(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158403
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】蓄電池システムおよび蓄電池の放電方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073570
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中井 義明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕
(72)【発明者】
【氏名】森田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】山本 達明
(72)【発明者】
【氏名】谷田 正人
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB02
5G503DA17
5G503DA18
5G503EA05
5G503EA08
(57)【要約】
【課題】蓄電池における安全性を向上させることができる蓄電池システム等を提供する。
【解決手段】蓄電池システム1は、蓄電池3を制御する制御部2と、蓄電池3の異常を検知する検知部21と、蓄電池3の放電対象を選択する選択部23と、蓄電池3の状態を取得する取得部22と、を備える。そして、制御部2は、検知部21が異常を検知すると、取得部22が取得した蓄電池3の状態に応じて、選択部23が放電対象を選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を制御する制御部と、
前記蓄電池の異常を検知する検知部と、
前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、
前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、
前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が放電対象を選択する
蓄電池システム。
【請求項2】
電動自転車に搭載される蓄電池を制御する制御部と、
前記蓄電池の異常を検知する検知部と、
前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、
前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、
前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が前記電動自転車に搭載される外部接続機器を放電対象に選択する
蓄電池システム。
【請求項3】
前記外部接続機器は、前照灯または電動モータを含む
請求項2記載の蓄電池システム。
【請求項4】
前記蓄電池の状態は、前記蓄電池の残量を示す状態である
請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項5】
前記蓄電池の状態は、前記蓄電池が設置されている状態を示している
請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項6】
さらに蓄電池を備える
請求項1に記載の蓄電池システム。
【請求項7】
前記蓄電池は、複数の電池セルを有し、
前記検知部は、前記複数の電池セルのうちの1つの電池セルの電圧が他の電池セルの電圧に比べ電位差がある場合、または、2以上の電池セルで構成された1つのブロックが複数設けられることで前記複数の電池セルを構成しているときに、複数の前記ブロックのうちの1つのブロックの電圧が他のブロックの電圧に比べ電位差がある場合、前記蓄電池に異常があることを検知する
請求項6記載の蓄電池システム。
【請求項8】
前記蓄電池は、外部接続機器に用いられる電池であり、
前記放電対象は、前記外部接続機器である
請求項6記載の蓄電池システム。
【請求項9】
前記蓄電池は、複数の電池セルで構成され、
前記蓄電池は、
残量を表示する表示部と、
前記複数の電池セルのそれぞれに接続されたスイッチおよび放電抵抗を有し、前記スイッチを動作させることで、前記放電抵抗を介して前記電池セルから放電させるセルバランス回路と、を有し、
前記放電対象は、前記表示部および前記セルバランス回路のうちの少なくとも1つである
請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項10】
放電は、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知してから、前記蓄電池の残量が所定量以下となるまで行われる
請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項11】
前記蓄電池は、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知すると、使用者に対して前記蓄電池に異常があることを通知する通知部をさらに有する
請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項12】
前記制御部は、さらに前記蓄電池の充電を制限する充電制限部を備え、
前記制御部では、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知すると、前記充電制限部により、前記蓄電池が充電されることを制限する
請求項1から8のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項13】
蓄電池の異常を検知することと、
前記蓄電池の放電対象を選択することと、
前記蓄電池の状態を取得することと、
前記蓄電池の異常が検知されると、取得された前記蓄電池の状態に応じて、放電対象を選択することとを含む
蓄電池の放電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電池システムおよび蓄電池の放電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電池では、電池セルに過電流が流れると性能が低下し、電流が流れた際に生じるジュール熱により発熱する恐れがある。そこで、特許文献1では、異常状態が検知されると、残存容量表示素子で放電させて、電池容量を適正な容量に低減する電池パックに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蓄電池は使用されずに放置されている場合があり、蓄電池の残量が満充電の50%以上のように蓄電池の残量が多いとき、従来の電池パックでは、蓄電池の残存容量表示素子で放電させるだけでは、残量を減らすために16Ah(満充電)の蓄電池の場合60日程度を要してしまい、例えば満充電の20%以下のような安全な残量まで速やかに放電することは困難という課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、蓄電池における安全性を向上させることができる蓄電池システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る蓄電池システムは、蓄電池を制御する制御部と、前記蓄電池の異常を検知する検知部と、前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が放電対象を選択する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る蓄電池システムは、電動自転車に搭載される蓄電池を制御する制御部と、前記蓄電池の異常を検知する検知部と、前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が前記電動自転車に搭載される外部接続機器を放電対象に選択する。
【0008】
また、本開示の一態様に係る蓄電池の放電方法は、蓄電池の異常を検知することと、前記蓄電池の放電対象を選択することと、前記蓄電池の状態を取得することと、前記蓄電池の異常が検知されると、取得された前記蓄電池の状態に応じて、放電対象を選択することとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る蓄電池システム等は、蓄電池における安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る蓄電池システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る蓄電池システムが外部接続機器である電動自転車に対して放電する場合を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る蓄電池システムの蓄電池を電動自転車に設置した様子を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る蓄電池システムと外部接続機器である充電器に対して放電する場合を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る蓄電池システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1に係る蓄電池システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例1に係る蓄電池システムの処理動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例2に係る蓄電池システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例2に係る蓄電池システムの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
まず、
図1~
図5を参照し、本実施の形態の蓄電池システム1および蓄電池3の放電方法について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態に係る蓄電池システム1の機能構成を示すブロック図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電池システム1が外部接続機器4である電動自転車40に対して放電する場合を示すブロック図である。
図3は、実施の形態に係る蓄電池システム1の蓄電池3を電動自転車40に設置した様子を示す図である。
図4は、実施の形態に係る蓄電池システム1と外部接続機器4である充電器に対して放電する場合を示すブロック図である。
図5は、セルバランス回路33を示す図である。
【0015】
<構成>
まず、
図1に示すように、本実施の形態における蓄電池システム1の構成について説明する。
【0016】
蓄電池システム1は、蓄電池3の異常を検知した場合、放電を開始する放電機能を備えるシステムである。具体的には、蓄電池システム1は、制御部2と、蓄電池3とを備えている。
【0017】
制御部2は、蓄電池3を制御する。具体的には、制御部2は、蓄電池3の残量(蓄電池3の充電量)をカウントしたり、蓄電池3を充電制御したり、蓄電池3を放電制御したりすることができる。
【0018】
制御部2は、検知部21と、取得部22と、選択部23とを有している。
【0019】
検知部21は、蓄電池3の異常を検知することができる。
【0020】
具体的には、検知部21は、複数の電池セル31のうちの1つの電池セル31の電圧が他の電池セル31の電圧に比べて電位差がある場合、蓄電池3に異常があることを検知する。また、2以上の電池セル31で構成された1つのブロックが複数設けられることで複数の電池セル31を構成しているときに、検知部21は、複数のブロックのうちの1つのブロックの電圧が他のブロックの電圧に比べて電位差がある場合、蓄電池3に異常があることを検知する。
【0021】
ここで、電位差は、例えば、複数の電池セル31のうちの最大電圧の電池セル31と、最小電圧の電池セル31とを比較したときの電位差であってもよい。また、電位差は、複数の電池セル31の平均の電圧を基準としたときに、任意の電池セル31の電圧との電位差であってもよい。また、電位差は、例えば、複数のブロックのうちの、平均電圧が最大となったブロックと、平均電圧が最小となったブロックとを比較したときの電位差であってもよい。また、電位差は、複数のブロックの平均の電圧を基準としたときに、任意のブロックの平均電圧との電位差であってもよい。なお、電位差がある場合には、僅かに電位差がある場合を含まなくてもよい。つまり、電池セル31の電圧の数%程度の電位差の範囲であれば、電位差がある場合に含まなくてもよい。
【0022】
また、検知部21は、蓄電池3を充電中に、複数の電池セル31のうちの1以上の電池セル31の電圧が急上昇した場合、つまり、1以上の電池セル31の電圧が規定電圧以上の急上昇をした場合も蓄電池3の異常として検知してもよい。また、検知部21は、複数の電池セル31のうちの1以上の電池セル31の温度が規定温度以上となった場合も、蓄電池3の異常として検知してもよい。
【0023】
取得部22は、蓄電池3の状態を取得することができる。
【0024】
蓄電池3の状態は、蓄電池3の残量を示す状態と、蓄電池3が設置されている状態とを示している。
【0025】
蓄電池3の残量は、蓄電池3が現在保持している電荷量を示している。つまり、蓄電池3の残量を示す状態は、蓄電池3が充電されたときに蓄えた電力が、現在どれだけ残っているかを示した状態である。また、蓄電池3の残量は、制御部2が蓄電池3に搭載される複数の電池セル31の電圧と電流とを検知することで、それぞれの電池セル31の残量を検知する。取得部22は、制御部2が検知した電池セル31の残量を取得することができる。
【0026】
蓄電池3が設置されている状態には、
図2~
図4に示すように、以下の3つの状態を含む。1つめの状態は、放電可能な外部接続機器4に蓄電池3が接続されることで、蓄電池3が放電可能に外部接続機器4に設置されている状態である。本実施の形態では、
図2および
図3で外部接続機器4の一例として、電動自転車40を例示している。2つめの状態は、充電装置45等の外部接続機器4に接続されることで、蓄電池3が充電可能に外部接続機器4に設置されている状態である。本実施の形態では、
図4で外部接続機器4の一例として、充電装置45を例示している。3つめの状態は、蓄電池3が外部接続機器4に設置されておらず、蓄電池3が単独で放置されている状態である。外部接続機器4は、電動自転車40の前照灯41、電動自転車40の電動モータ42、電動自転車40のサイクルコンピュータ等の制御処理装置43、電動自転車40の表示装置44、放電装置、放電機能を有する充電装置45、バッテリアダプタ等である。なお、蓄電池3が設置されている3つの状態は、蓄電池3が外部接続機器4と接続したときの信号検知によって、制御部2が1つめの状態か2つめの状態かを判定したり、信号検知が無い場合に制御部2が3つ目の状態であると判定したりしてもよい。
【0027】
図1および
図2に示すように、選択部23は、蓄電池3の放電対象を選択することができる。
【0028】
放電対象は、蓄電池3が放電させる対象となる機器であり、例えば、外部接続機器4、および、蓄電池3に搭載されている機器である。蓄電池3に搭載されている機器は、モニタおよび点灯装置等の表示部32、
図5のスイッチ33aおよび放電抵抗33b等で構成されるセルバランス回路33、CPU等の制御処理装置35等である。
【0029】
具体的には、選択部23は、検知部21が蓄電池3に搭載される複数の電池セル31のうちの1以上の電池セル31で異常を検知すると、取得部22が取得した蓄電池3の状態に応じて、放電対象を選択する。つまり、選択部23は、複数の放電対象のそれぞれの放電能力を示す放電量を把握しているため、蓄電池3の残量に応じて、所定量以下まで放電させるように1以上の放電対象を選択したり、放電量の大きい放電対象を選択したりする。例えば、選択部23は、蓄電池の残量が満充電の50%以上のように蓄電池3の残量が多い場合に、複数の放電対象の中から放電量の大きい1以上の放電対象を選択する。また、選択部23は、蓄電池3の残量が少ない場合、つまり残量が所定量以下の場合に、複数の放電対象の中から放電量の小さい1以上の放電対象を選択する。なお、蓄電池3の残量が多い場合とは、例えば、満充電の50%以上の残量である。
【0030】
ここで、放電対象によっては、放電量つまり放電能力が異なるため、放電時間が異なる。例えば、通常の蓄電池において、16Ah(満充電)の蓄電池を20%以下(少なくとも12.8Ahを電力消費)にするための日数は、1000mAの電動モータを駆動させる場合では0.5日を要し、100mAの電動自転車の前照灯を駆動させる場合では5日を要し、20mAの蓄電池におけるLED等の点灯装置および蓄電池のCPU等の制御処理装置を駆動させる場合では27日を要し、0.5mAの蓄電池を単独で通常放電させる場合では3年を要する。このため、蓄電池を単独で通常放電する場合に比べて、電動モータを駆動させる場合では2000倍の速度で放電でき、電動自転車の前照灯を駆動させる場合では200倍の速度で放電でき、蓄電池におけるLED等の点灯装置および蓄電池のCPU等の制御処理装置を駆動させる場合では40倍の速度で放電できる。
【0031】
このことから、放電能力は、蓄電池3単独よりも、電動自転車40および外部接続機器4の方が高いため、速やかに放電させたい場合は、電動自転車40および外部接続機器4を活用してもよい。
【0032】
このように、選択部23が蓄電池3の残量を示す状態に応じて、放電対象における放電量の大きさと、放電対象の数とを加味して放電対象を選択することで、蓄電池3を単独で通常放電するよりも速やかに放電させることが期待できる。
【0033】
制御部2は、選択部23が選択した放電対象に対して、放電させるように蓄電池3を制御する。例えば、放電対象に電動自転車40の前照灯41が含まれる場合、蓄電池3が電動自転車40に搭載されるとき、電動自転車40の制御処理装置43が、蓄電池3から前照灯41へ電力を供給させて前照灯41を点灯させることで、蓄電池3の放電を実行する。この場合、制御処理装置43は、本開示の制御部の一例となってもよい。また、制御部2は、放電対象に電動自転車40の電動モータ42が含まれる場合、蓄電池3から電動モータ42へ電力を供給させて電動モータ42を逆回転させることで、蓄電池3の放電を実行する。また、電動モータ42の逆回転以外の方法として、制御部2は、正常な通電を行わないことにより電動モータ42を回転させずに電流を消費、つまり電動モータ42を抵抗体として使用してもよい。また、制御部2は、放電対象に電動自転車40の制御処理装置43、または、蓄電池3の制御処理装置35が含まれる場合、制御処理装置43または蓄電池3の制御処理装置35を高速処理させることで、蓄電池3の放電を実行する。また、制御部2は、放電対象に電動自転車40の表示装置44、蓄電池3の表示部32、放電装置、または、放電機能を有する充電装置45が含まれる場合、電動自転車40の表示装置44、蓄電池3の表示部32、放電装置、または、放電機能を有する充電装置45を駆動させることで、蓄電池3の放電を実行する。充電装置45の放電機能は、例えば、充電装置45に搭載されているモニタ、および、点灯装置等の機能である。また、制御部2は、放電対象にセルバランス回路33が含まれる場合、セルバランス回路33へ電力を供給させることで、蓄電池3の放電を実行する。
【0034】
制御部2が蓄電池3を放電させる場合、制御部2は、選択部23が選択した放電対象に対して、複数の電池セル31のうちの最も電圧の高い電池セル31から順番に放電させてもよい。また、制御部2は、選択部23が選択した放電対象に対して、複数のブロックのうちの最も平均電圧の高いブロックから順番に放電させてもよい。
【0035】
蓄電池3は、外部接続機器4に用いられる電池である。蓄電池3は、制御部2に制御されることで、外部接続機器4に電力を供給することで放電したり、外部接続機器4から充電したりすることができる。
【0036】
蓄電池3は、複数の電池セル31と、表示部32と、セルバランス回路33とを有している。
【0037】
複数の電池セル31のそれぞれは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池である。複数の電池セル31は、直列に接続されていてもよい。また、複数の電池セル31では、2以上の電池セル31が直列に接続されることで構成された1つのブロックが複数並べられることで、複数のブロックが並列に接続されていてもよい。本実施の形態では、7つの電池セル31が直列に接続された1つのブロックを複数並べ、複数のブロックを並列に接続している。
【0038】
表示部32は、蓄電池3の筐体に設けられ、蓄電池3の蓄電容量、および、残量等を表示することができる。また、表示部32は、蓄電池3の充電時であることを表示したり、蓄電池3の放電時であることを表示したりすることもできる。
【0039】
図5に示すように、セルバランス回路33は、複数の電池セル31のそれぞれに接続されたスイッチ33aおよび放電抵抗33bを有する。具体的には、セルバランス回路33ではスイッチ33aと放電抵抗33bとが直列に接続されており、セルバランス回路33は、複数の電池セル31のそれぞれに対して並列に接続されている。
【0040】
図1に示すように、セルバランス回路33では、制御部2からの放電指示によってスイッチ33aをONにする(閉じる)ことができる。つまり、制御部2は、それぞれのセルバランス回路33へ放電指示を出力してスイッチ33aをONにすることで、複数の電池セル31のそれぞれを放電させる。また、制御部2は、複数のセルバランス回路33のうちの任意のセルバランス回路33へ放電指示を出力してスイッチ33aをONにすることで、当該スイッチ33aに対応する電池セル31、つまり当該スイッチ33aに対して並列に接続された電池セル31を放電させる。このように、制御部2は、複数のセルバランス回路33のスイッチ33aを一括して開閉させることができるとともに、複数のセルバランス回路33のスイッチ33aを個別に開閉させることもできる。
【0041】
蓄電池3が放電を行う場合、放電は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下となるまで行われる。つまり、制御部2は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下となるまで、蓄電池3を放電させる。これにより、本実施の形態では、蓄電池3の状態に合わせて安全な残量まで速やかに放電させることができる。ここで、安全な残量とは、例えば、満充電の20%以下の残量である。このため、蓄電池3の残量が所定量以下とは、満充電の20%以下となる。
【0042】
<処理動作>
次に、
図6を参照し、本実施の形態における蓄電池システム1および蓄電池3の放電方法の処理動作について説明する。
【0043】
図6は、実施の形態に係る蓄電池システム1の処理動作を示すフローチャートである。
【0044】
まず、
図6に示すように、制御部2の検知部21は、蓄電池3の異常を検知する(S11)。具体的には、検知部21は、複数の電池セル31のうちの1つの電池セル31の電圧が他の電池セル31の電圧に比べて電位差がある場合、または、2以上の電池セル31で構成された1つのブロックが複数設けられることで複数の電池セル31を構成しているときに、複数のブロックのうちの1つのブロックの電圧が他のブロックの電圧に比べて電位差がある場合、蓄電池3に異常があることを検知する。
【0045】
次に、制御部2の取得部22は、蓄電池3の状態として、蓄電池3の残量を取得する(S12)。蓄電池3の残量は、制御部2がそれぞれの電池セル31の残量を検知することで、制御部2の取得部22が蓄電池3の残量を取得することができる。
【0046】
次に、選択部23は、放電対象を選択する。具体的には、選択部23は、複数の電池セル31のうちの1以上の電池セル31で異常が検知されると、取得部22が取得した蓄電池3の状態に応じて、放電対象を選択する(S13)。
【0047】
例えば、選択部23は、蓄電池3の残量が多い場合に、放電量の大きい1以上の放電対象を選択したり、蓄電池3の残量が少ない場合に、放電量の小さい1以上の放電対象を選択したりする。
【0048】
具体的には、選択部23は、蓄電池3の残量が多い場合、蓄電池3を速やかに放電させるために、例えば電動自転車40の電動モータ42、および、前照灯41等を放電対象として選択する。また、選択部23は、蓄電池3の残量が少ない場合、蓄電池3を放電させるために、例えば蓄電池3に搭載されている表示部32、および、セルバランス回路33等を放電対象として選択する。
【0049】
これにより、制御部2は、選択部23が選択した1以上の放電対象に対して蓄電池3を放電させる(S14)。例えば、制御部2は、蓄電池3の残量が多い場合、蓄電池3が電動自転車40に接続されているときに、電動モータ42を逆回転させたり、前照灯41を点灯させたりすることで、蓄電池3を速やかに放電させてもよい。また、制御部2は、蓄電池3の残量が少ない場合、蓄電池3に搭載されている表示部32、および、セルバランス回路33のうちの少なくとも1つに対して電力を供給することで、蓄電池3の放電を実行してもよい。
【0050】
次に、取得部22が蓄電池3の残量を取得することで、制御部2は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下となったか否かを判定する(S15)。
【0051】
制御部2は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下となっていないと判定した場合(S15でNO)、ステップS14に処理動作を戻す。
【0052】
一方、制御部2は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下であると判定した場合(S15でYES)、
図6のフローチャートの処理動作を終了する。
【0053】
<作用効果>
次に、本実施の形態における蓄電池システム1および蓄電池3の放電方法の作用効果について説明する。
【0054】
上述したように、本実施の形態に係る蓄電池システム1は、蓄電池3を制御する制御部2と、蓄電池3の異常を検知する検知部21と、蓄電池3の放電対象を選択する選択部23と、蓄電池3の状態を取得する取得部22と、を備える。そして、制御部2は、検知部21が異常を検知すると、取得部22が取得した蓄電池3の状態に応じて、選択部23が放電対象を選択する。
【0055】
これによれば、蓄電池3の状態に応じて選択部23が放電可能な放電対象を選択することができる。このため、制御部2は、選択された放電対象に対して蓄電池3を放電させることができる。
【0056】
したがって、蓄電池システム1によれば、蓄電池3における安全性を向上させることができる。
【0057】
本実施の形態に係る蓄電池システム1は、電動自転車40に搭載される蓄電池3を制御する制御部2と、蓄電池3の異常を検知する検知部21と、蓄電池3の放電対象を選択する選択部23と、蓄電池3の状態を取得する取得部22と、を備える。そして、制御部2は、検知部21が異常を検知すると、取得部22が取得した蓄電池3の状態に応じて、選択部23が電動自転車40に搭載される外部接続機器4を放電対象に選択する。
【0058】
この蓄電池システム1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0059】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1は、さらに蓄電池3を備える。
【0060】
この蓄電池システム1においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0061】
また、本実施の形態に係る蓄電池3の放電方法は、蓄電池3の異常を検知することと、蓄電池3の放電対象を選択することと、蓄電池3の状態を取得することと、蓄電池3の異常が検知されると、取得された蓄電池3の状態に応じて、放電対象を選択することとを含む。
【0062】
この蓄電池3の放電方法においても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0063】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、外部接続機器4は、前照灯41または電動モータ42を含む。
【0064】
これによれば、蓄電池3の残量が多い場合、選択部23は、放電対象として電動自転車40に搭載されている前照灯41または電動モータ42を選択することができる。この場合、制御部2は、電動自転車40に搭載されている前照灯41を点灯させたり、電動モータ42を逆回転させたりすることで、蓄電池3の残量を、例えば満充電の20%以下のような安全な容量まで放電させることができる。その結果、蓄電池システム1における安全性をより向上させることが期待できる。
【0065】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、蓄電池3の状態は、蓄電池3の残量を示す状態である。
【0066】
これによれば、蓄電池3の残量に応じて選択部23が最適な放電対象を選択することができる。つまり、蓄電池3の残量が多ければ、放電量の大きい1以上の放電対象を選択したり、蓄電池3の残量が少なければ、放電量の小さい1以上の放電対象を選択したりする。このため、制御部2は、選択された放電対象に応じて蓄電池3を放電させることができる。
【0067】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、蓄電池3の状態は、蓄電池3が設置されている状態を示している。
【0068】
これによれば、蓄電池3が放電可能に設置されている状態、蓄電池3が充電可能に設置されている状態、単独で放置されている状態のいずれかの状態である場合、それぞれの状態に応じて、選択部23が最適な放電対象を選択することができる。具体的には、蓄電池3が放電可能に設置されている状態の場合、選択部23は、例えば電動自転車40および放電装置を放電対象として選択することができる。また、蓄電池3が充電可能に設置されている状態の場合、選択部23は、例えば充電装置45に搭載されている放電機能を放電対象として選択することができる。また、蓄電池3が単独で放置されている状態の場合、選択部23は、例えば蓄電池3に搭載されている表示部32、セルバランス回路33等の機器を放電対象として選択することができる。このように、制御部2は、蓄電池3の設置状態に応じて選択された選択対象に基づいて、蓄電池3を放電させることができる。
【0069】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、蓄電池3は、複数の電池セル31を有する。また、検知部21は、複数の電池セル31のうちの1つの電池セル31の電圧が他の電池セル31の電圧に比べ電位差がある場合、または、2以上の電池セル31で構成された1つのブロックが複数設けられることで複数の電池セル31を構成しているときに、複数のブロックのうちの1つのブロックの電圧が他のブロックの電圧に比べ電位差がある場合、蓄電池3に異常があることを検知する。
【0070】
これによれば、複数の電池セル31のうちの少なくとも1つの電池セル31に異常がある場合を検知することができる。また、複数のブロックのうちの少なくとも1つのブロックに異常がある場合も検知することができる。このため、電池セル31の異常またはブロックの異常を速やかに検知することができる。その結果、蓄電池システム1における安全性をより向上させることが期待できる。
【0071】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、蓄電池3は、外部接続機器4に用いられる電池である。そして、放電対象は、外部接続機器4である。
【0072】
これによれば、蓄電池3の残量が多い場合、選択部23は、放電対象として外部接続機器4を選択することができる。例えば、外部接続機器4が電動自転車40の場合、制御部2は、電動自転車40に搭載されている前照灯41を点灯させたり、電動モータ42を逆回転させたりすることで、蓄電池3の残量を、例えば満充電の20%以下のような安全な容量まで放電させることができる。その結果、蓄電池システム1における安全性をより向上させることが期待できる。
【0073】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、蓄電池3は、複数の電池セル31で構成されている。また、蓄電池3は、残量を表示する表示部32と、複数の電池セル31のそれぞれに接続されたスイッチ33aおよび放電抵抗33bを有し、スイッチ33aを動作させることで、放電抵抗33bを介して電池セル31から放電させるセルバランス回路33とを有している。そして、放電対象は、表示部32およびセルバランス回路33のうちの少なくとも1つである。
【0074】
これによれば、選択部23は、蓄電池3に設けられている表示部32およびセルバランス回路33のうちの少なくとも1つを放電対象として選択することができる。このため、使用者に放電を促すことなく、制御部2は、自動的に放電対象を選択し、蓄電池3の残量を、例えば満充電の20%以下のような安全な容量まで放電させることができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る蓄電池システム1において、放電は、検知部21が蓄電池3の異常を検知してから、蓄電池3の残量が所定量以下となるまで行われる。
【0076】
例えば、制御部が蓄電池の残量を所定量以下にするまで蓄電池を放電させる場合、制御部と別に設けられた蓄電池の電圧を検知する電圧検出用IC等のセンサが不具合を起こしているとき、制御部は、所定量以下まで蓄電池を放電させることができない場合がある。
【0077】
しかしながら、本実施の形態によれば、蓄電池3の異常が検知されてから蓄電池3の残量が所定量以下になるまでの制御部2の動作を行う範囲で、制御部2が蓄電池3の放電を行うことができる。このため、より確実に蓄電池3の残量を所定量以下になるまで放電させることができる。
【0078】
(実施の形態の変形例1)
まず、
図7を参照し、本変形例の蓄電池システム1aおよび蓄電池3aの放電方法について説明する。
【0079】
図7は、実施の形態の変形例1に係る蓄電池システム1aの機能構成を示すブロック図である。
【0080】
本変形例では、蓄電池3aが通知部34を有する点で実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0081】
蓄電池3aは、複数の電池セル31、表示部32、および、セルバランス回路33の他に、通知部34をさらに有している。
【0082】
通知部34は、検知部21が異常を検知すると、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知することができる。通知部34は、使用者が使用する端末装置に対して、蓄電池3aに異常があることを示す情報を通知する、無線通信部または有線通信部であってもよい。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の通信機能を有する装置である。この場合、端末装置は、蓄電池3aに異常があることを示す情報を取得することで、当該情報を表示することができる。これにより、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知してもよい。
【0083】
また、通知部34は、LED等の点灯装置であってもよい。この場合、検知部21が異常を検知すると、通知部34は、点灯または点滅をすることによって、使用者に対して蓄電池3aに異常があること通知してもよい。
【0084】
次に、
図8を参照し、本変形例における蓄電池システム1aおよび蓄電池3aの放電方法の処理動作について説明する。なお、
図6と同様の処理については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0085】
図8は、実施の形態の変形例1に係る蓄電池システム1aの処理動作を示すフローチャートである。
【0086】
まず、
図8に示すように、ステップS11、S12を経て、通知部34は、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知する(S12a)。具体的には、通知部34が通信機能を有する場合、使用者の端末装置へ蓄電池3aに異常があることを示す情報を送信することで、端末装置が使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知してもよい。また、通知部34が点灯装置である場合、通知部34は、点灯または点滅等をすることによって、使用者に対して蓄電池3aに異常があること通知してもよい。
【0087】
そして、ステップS13~S15を経て、
図8のフローチャートの処理動作を終了する。
【0088】
次に、本変形例における蓄電池システム1aおよび蓄電池3aの放電方法の作用効果について説明する。
【0089】
上述したように、本変形例に係る蓄電池システム1aにおいて、蓄電池3aは、検知部21が蓄電池3aの異常を検知すると、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知する通知部34をさらに有する。
【0090】
これによれば、通知部34は、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知することができる。このため、蓄電池3aの残量が多い場合では、通知部34は、使用者に対して電動自転車40等の外部接続機器4への接続を促すように、使用者に通知することができる。その結果、使用者が、蓄電池3aを電動自転車40等の外部接続機器4に接続することで、蓄電池3aの残量を、例えば満充電の20%以下のような安全な容量まで放電させることができる。
【0091】
(実施の形態の変形例2)
まず、
図9を参照し、本変形例の蓄電池システム1bおよび蓄電池3aの放電方法について説明する。
【0092】
図9は、実施の形態の変形例2に係る蓄電池システム1bの機能構成を示すブロック図である。
【0093】
本変形例では、制御部2bが充電制限部24を有する点で実施の形態の変形例1と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態の変形例1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0094】
制御部2bは、検知部21、取得部22、および、選択部23の他に、充電制限部24を有している。
【0095】
充電制限部24は、さらに蓄電池3aの充電を制限する。具体的には、検知部21が蓄電池3aの異常を検知すると、充電制限部24は、蓄電池3aが充電されることを制限する。例えば、充電制限部24は、蓄電池3aの複数の電池セル31を充電させないように、複数の電池セル31への通電を遮断する。これにより、充電制限部24は、蓄電池3aを充電させないようにすることができる。
【0096】
なお、本変形例では、蓄電池システム1bが通知部34を備えているが、これには限定されない。つまり、蓄電池システム1bは、通知部34を備えていなくてもよい。
【0097】
次に、
図10を参照し、本変形例における蓄電池システム1bおよび蓄電池3aの放電方法の処理動作について説明する。なお、
図8と同様の処理については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0098】
図10は、実施の形態の変形例2に係る蓄電池システム1bの処理動作を示すフローチャートである。
【0099】
まず、
図10に示すように、ステップS11を経て、充電制限部24は、検知部21が蓄電池3aの異常を検知すると、蓄電池3aの充電を制限する(S11a)。
【0100】
次に、ステップS11を経て、通知部34は、使用者に対して蓄電池3aに異常があることを通知する(S12a)。
【0101】
そして、ステップS13~S15を経て、
図8のフローチャートの処理動作を終了する。
【0102】
なお、蓄電池システム1bが通知部34を備えていない場合、ステップS12aの処理を省略してもよい。
【0103】
次に、本変形例における蓄電池システム1bおよび蓄電池3aの放電方法の作用効果について説明する。
【0104】
上述したように、本変形例に係る蓄電池システム1bにおいて、制御部2bは、さらに蓄電池3aの充電を制限する充電制限部24を備える。そして、制御部2bでは、検知部21が蓄電池3aの異常を検知すると、充電制限部24により、蓄電池3aが充電されることを制限する。
【0105】
これによれば、蓄電池3aが異常の場合に蓄電池3aの充電を制限することで、異常のある蓄電池3aの残量が増加してしまうことを抑制することができる。また、制御部2bがこのような蓄電池3aを放電させることで、蓄電池3aの残量を、例えば満充電の20%以下のような安全な容量まで放電させることができる。
【0106】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る蓄電池システムおよび蓄電池の放電方法について、上記実施の形態および実施の形態の変形例1、2に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態および実施の形態の変形例1、2に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態および実施の形態の変形例1、2に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0107】
例えば、上記実施の形態および実施の形態の変形例1、2において、制御部が検知部と選択部と取得部とを有していることを例示しているが、これには限定されない。例えば、検知部と選択部と取得部とのうちの少なくとも1つが制御部と別体であってもよい。
【0108】
また、上記実施の形態および実施の形態の変形例1、2において、蓄電池システムは、蓄電池を備えている場合を例示しているが、これには限定されない。例えば、蓄電池システムは、制御部だけを備え、蓄電池を構成要素として備えていなくてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態および実施の形態の変形例1、2において、制御部を構成する各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0110】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0111】
また、本開示の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0112】
また、フローチャートにおいて、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0113】
また、本開示は、コンピュータが実行する方法として実現されてもよいし、このような方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0114】
なお、上記の実施の形態および実施の形態の変形例1、2に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、および、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および実施の形態の変形例1、2における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0115】
(付記)
以下に、上記実施の形態および実施の形態の変形例1、2に基づいて説明した蓄電池システムおよび蓄電池の放電方法の特徴を示す。
【0116】
<技術1>
蓄電池を制御する制御部と、
前記蓄電池の異常を検知する検知部と、
前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、
前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、
前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が放電対象を選択する
蓄電池システム。
【0117】
<技術2>
電動自転車に搭載される蓄電池を制御する制御部と、
前記蓄電池の異常を検知する検知部と、
前記蓄電池の放電対象を選択する選択部と、
前記蓄電池の状態を取得する取得部と、を備え、
前記検知部が異常を検知すると、前記取得部が取得した前記蓄電池の状態に応じて、前記選択部が前記電動自転車に搭載される外部接続機器を放電対象に選択する
蓄電池システム。
【0118】
<技術3>
前記外部接続機器は、前照灯または電動モータを含む
技術2に記載の蓄電池システム。
【0119】
<技術4>
前記蓄電池の状態は、前記蓄電池の残量を示す状態である
技術1から3のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0120】
<技術5>
前記蓄電池の状態は、前記蓄電池が設置されている状態を示している
技術1から4のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0121】
<技術6>
さらに蓄電池を備える
技術1から5のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0122】
<技術7>
前記蓄電池は、複数の電池セルを有し、
前記検知部は、前記複数の電池セルのうちの1つの電池セルの電圧が他の電池セルの電圧に比べ電位差がある場合、または、2以上の電池セルで構成された1つのブロックが複数設けられることで前記複数の電池セルを構成しているときに、複数の前記ブロックのうちの1つのブロックの電圧が他のブロックの電圧に比べ電位差がある場合、前記蓄電池に異常があることを検知する
技術1から6のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0123】
<技術8>
前記蓄電池は、外部接続機器に用いられる電池であり、
前記放電対象は、前記外部接続機器である
技術1から7のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0124】
<技術9>
前記蓄電池は、複数の電池セルで構成され、
前記蓄電池は、
残量を表示する表示部と、
前記複数の電池セルのそれぞれに接続されたスイッチおよび放電抵抗を有し、前記スイッチを動作させることで、前記放電抵抗を介して前記電池セルから放電させるセルバランス回路とを有し、
前記放電対象は、前記表示部および前記セルバランス回路のうちの少なくとも1つである
技術1から8のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0125】
<技術10>
放電は、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知してから、前記蓄電池の残量が所定量以下となるまで行われる
技術1から9のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0126】
<技術11>
前記蓄電池は、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知すると、使用者に対して前記蓄電池に異常があることを通知する通知部をさらに有する
技術1から10のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0127】
<技術12>
前記制御部は、さらに前記蓄電池の充電を制限する充電制限部を備え、
前記制御部では、前記検知部が前記蓄電池の異常を検知すると、前記充電制限部により、前記蓄電池が充電されることを制限する
技術1から11のいずれか1つに記載の蓄電池システム。
【0128】
<技術13>
蓄電池の異常を検知することと、
前記蓄電池の放電対象を選択することと、
前記蓄電池の状態を取得することと、
前記蓄電池の異常が検知されると、取得された前記蓄電池の状態に応じて、放電対象を選択することとを含む
蓄電池の放電方法。
【符号の説明】
【0129】
1、1a、1b 蓄電池システム
2、2b 制御部
3、3a 蓄電池
4 外部接続機器
21 検知部
22 取得部
23 選択部
24 充電制限部
31 電池セル
32 表示部
33 セルバランス回路
33a スイッチ
33b 放電抵抗
34 通知部
40 電動自転車
41 前照灯
42 電動モータ
43 制御処理装置