(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158407
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20241031BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073574
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】森下 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】豊栖 波輝
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB20
5E223AB41
5E223AB77
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB31
5E223CC15
5E223CD01
5E223DB11
5E223DB32
5E223DB36
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の端子の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる電気コネクタを提供する。
【解決手段】本発明の電気コネクタ1は、ハウジング8,10と、金具12,14と、を有し、この金具の端子16,18は、その実装部42,52の実装面S3,S6に対して直交するZ方向に延びるように設けられて相手端子と接触可能な単一の接点P1,P2を含む第1壁面S5,S7を形成する第1壁部50,54と、この第1壁部におけるZ方向の一方側の端部に設けられて実装面に対して離間してハウジングに対して非接触な露出面S4,S8を形成する第2壁部46,56と、を備え、相手端子に対して単一の接点によって接触し、第1壁部の第1壁面のめっき部分の第1厚みT3,T5は、第2壁部の露出面のめっき部分の第2厚みT2,T6よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、
互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、
このハウジングに保持される金具と、を有し、
上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工される端子を備えており、
上記端子は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に延びるように設けられて相手端子と接触可能な単一の接点を含む第1壁面を形成する第1壁部と、この第1壁部における上記第1方向の一方側の端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、上記相手端子に対して上記単一の接点によって接触するように構成され、
上記第1壁部の上記第1壁面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記第1壁面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記第2壁部の上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
上記実装部の上記実装面は、上記インサート成形後にめっき加工され、この実装面にめっき加工されためっき部分の第3厚みは、上記第1厚みよりも小さく且つ上記第2厚みよりも大きい請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、
互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、
このハウジングに保持される金具と、を有し、
上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工される端子を備えており、
上記端子は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に延びるように設けられて相手端子と接触可能な単一の接点を含む第1壁面を形成する第1壁部と、この第1壁部における上記第1方向の一方側の端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、上記相手端子に対して上記単一の接点によって接触するように構成され、
上記実装部の上記実装面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項4】
上記第1壁部の上記第1壁面は、上記インサート成形後にめっき加工され、上記第1壁面にめっき加工されためっき部分の第3厚みは、上記第1厚みよりも大きい請求項3記載の電気コネクタ。
【請求項5】
上記第1壁部は、さらに、上記第1壁面に対して上記第1方向に直交する第2方向の反対側に設けられて上記ハウジングの一部と接触する接触面を含む第2壁面を備えており、上記インサート成形後に上記第2壁面にめっき加工されるめっき部分の厚みは0である請求項1又は3に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
上記めっき加工は、金めっきによるめっき加工である請求項1又は3に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
上記電気コネクタは、レセプタクルコネクタからなり、このレセプタクルコネクタは、上記ハウジングと、このハウジングに保持される上記金具と、を備えており、
上記ハウジングは、上記被実装部の上記被実装面に配置される底壁と、この底壁から上記ハウジングの高さ方向に向かって突出する突壁と、この突壁の外周に間隔を置いて設けられた長手壁及び短手壁を含む周壁と、この周壁の内側に設けられた嵌合凹部と、を備えており、
上記金具の上記端子は、レセプタクル端子であり、このレセプタクル端子は、上記実装部と、この実装部から上記ハウジングの高さ方向に屈曲して延びる第3壁部と、この第3壁部との接続部から上記ハウジングの横方向に屈曲する上記第2壁部と、この第2壁部との接続部から上記第1高さ方向に延びて相手側端子に対して弾性的に接触可能な上記第1壁部と、を備えており、上記第3壁部は、上記ハウジングの上記周壁の上記長手壁に保持されている請求項1又は3に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
上記電気コネクタは、プラグコネクタからなり、このプラグコネクタは、上記ハウジングと、このハウジングに保持される上記金具と、を備えており、
上記ハウジングは、上記被実装部の上記被実装面に配置される底壁と、この底壁から上記ハウジングの高さ方向に向かって突出する突壁と、を備えており、
上記金具の上記端子は、プラグ端子であり、このプラグ端子は、上記実装部と、この実装部から上記ハウジングの第1高さ方向に屈曲して延びる第1壁部と、この第1壁部との接続部から上記ハウジングの上記横方向に屈曲して延びる第2壁部と、この第2壁部との接続部から上記第1高さ方向に対して反対側の第2高さ方向に延びる第3壁部と、を備えており、上記ハウジングの上記突壁の一部は、上記プラグ端子の上記第1壁部、上記第2壁部、及び、上記第3壁部によって取り囲まれていることにより、上記金具が上記ハウジングに保持されている請求項1又は3に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに係り、特に、回路基板や電気ケーブル等の電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路基板や電気ケーブル等の電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタとして、例えば、特許文献1に記載されているように、キャリアと一体に設けられた複数の端子部分がハウジングに対して一体成形されることによりハウジングによって保持され、このハウジングに保持された端子部分がめっき加工された後にキャリアに対して切断されることにより製造される電気コネクタが知られている。
このような特許文献1に記載されている従来の電気コネクタにおいては、端子におけるハウジングに対して非接触な露出面には、めっき加工がされているため、電気的接触特性や半田付着特性を良好にしている。一方、ハウジングに対して接触している端子の接触面には、めっき加工がされていないため、ハウジングと端子の接触面との間の隙間に半田やそのフラックスが浸入する可能性を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4287450号(特開2008-59884号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した従来の電気コネクタにおいては、金具(端子、補強金具等)がハウジングに対して一体成形されてハウジングによって保持された後に、金具全体に対してめっき加工が行われると、めっき加工等の製造コストが増大するという問題がある。
特に、めっき加工に使用されるめっきとして、比較的導電性が高い高価なめっきや、比較的半田濡れ性が高い高価なめっきを採用する場合には、ハウジングに保持される金具の端子におけるめっき加工が行われる各めっき部分について、その要求される導電性や半田濡れ性等の重要度に応じて、いかに厚み(めっき厚)の大小の重み付けをして部分的なめっき加工を行い、製造コストを抑制するかが、近年要請されている課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の端子の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる電気コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、このハウジングに保持される金具と、を有し、上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工される端子を備えており、上記端子は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に延びるように設けられて相手端子と接触可能な単一の接点を含む第1壁面を形成する第1壁部と、この第1壁部における上記第1方向の一方側の端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、上記相手端子に対して上記単一の接点によって接触するように構成され、上記第1壁部の上記第1壁面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記第1壁面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記第2壁部の上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、このハウジングに保持される金具と、を有し、上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工される端子を備えており、上記端子は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に延びるように設けられて相手端子と接触可能な単一の接点を含む第1壁面を形成する第1壁部と、この第1壁部における上記第1方向の一方側の端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、上記相手端子に対して上記単一の接点によって接触するように構成され、上記実装部の上記実装面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気コネクタによれば、ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の端子の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における側面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4A】本発明の第1実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をその相手コネクタ側(プラグコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図4B】本発明の第1実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図4C】本発明の第1実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をレセプタクルコネクタの縦方向(長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をその相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図5B】本発明の第1実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図5C】本発明の第1実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をプラグコネクタの縦方向(長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による電気コネクタの
図3と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態による電気コネクタについて説明する。
まず、
図1~
図10Bにより、本発明の第1実施形態による電気コネクタ1について説明する。
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における斜視図及び側面図をそれぞれ示す。
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態による電気コネクタ1は、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコン等の電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等、いわゆる、電気的に接続される被実装物2に対して実装されるものである。
この電気コネクタ1は、互いに嵌合及び嵌合解除可能に設けられた一対のレセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6をそれぞれ備えている。
各コネクタ4,6は、それぞれに対応する被実装物2の異なる各被実装部2A,2B(第1被実装部2A、第2被実装部2B)における各被実装面S1,S2(第1被実装面S1、第2被実装面S2)に実装されるようになっている。
【0011】
ここで、本明細書及び図面においては、電気コネクタ1においては、
図1(他の図も同様)に示す互いに直交する3つのX軸、Y軸、及び、Z軸からなる右手系のXYZ座標軸うち、X軸方向(以下「X方向」)を各コネクタ4,6の横方向若しくは短手方向と定義している。このX方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交するYZ平面の法線方向に相当している。
また、XYZ座標軸うち、Y軸方向(以下「Y方向」)を各コネクタ4,6の縦方向若しくは長手方向と定義している。このY方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交するXZ平面の法線方向にも相当している。
さらに、XYZ座標軸うち、Z軸方向(以下「Z方向」)を各被実装面S1,S2に対する各コネクタ4,6の高さ方向、又は、嵌合方向若しくは嵌合解除方向と定義している。このZ方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交する法線方向にも相当している。
特に、各コネクタ4,6の互いがZ方向に近づく方向(近位側に移動する方向)及び嵌合する方向(嵌合方向)を「Z1方向」としている。一方、各コネクタ4,6の互いがZ方向に遠ざかる方向(遠位側に移動する方向)及び嵌合が解除される方向(嵌合解除方向)を「Z2方向」としている。
【0012】
つぎに、
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図1~
図3に示すように、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6のそれぞれは、ほぼ偏平矩形状の樹脂製のハウジング8,10(第1ハウジング8、第2ハウジング10)と、各ハウジング8,10に保持される金具12,14(第1金具12、第2金具14)とをそれぞれ備えている。
また、
図1~
図3に示すように、各コネクタ4,6の各金具12,14は、インサート成形によって各ハウジング8,10に対して一体成形され、この各ハウジング8,10によって保持される導電性の薄板状の母材からなり、端子16,18(第1端子16(レセプタクル端子16)、第2端子18(プラグ端子18)をそれぞれ備えている。
また、各金具12,14については、その全体がインサート成形によりハウジング8に対して一体成形された後、各端子16,18の表面が部分的にめっき加工されるようになっている。
なお、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各金具12,14における部分的にめっき加工される各端子16,18の部分の詳細については後述する。
【0013】
つぎに、
図1~
図3により、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各ハウジング8,10の詳細について説明する。
図1~
図3に示すように、各ハウジング8,10は、互いに直交する、縦方向(Y方向、長手方向)、横方向(X方向、短手方向)、及び、高さ方向(Z方向)をそれぞれ備えている。
また、
図1~
図3に示すように、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8は、電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等の電気的に接続される被実装物2の第1被実装部2Aの第1被実装面S1に配置される底壁20を備えている。
さらに、第1ハウジング8は、その底壁20におけるX方向の中央部からZ方向に延びるレセプタクルコネクタ4の中心軸線C1に沿ってZ方向(嵌合方向Z1)に突出する突壁22を備えている。
また、第1ハウジング8は、突壁22の外周に対してX方向及びY方向の外側に間隔を置いて第1ハウジング8の全周に亘って外枠状に設けられた周壁24を備えている。この周壁24は、第1ハウジング8のY方向(長手方向)に延びる長手壁26と、第1ハウジング8のX方向(短手方向)に延びる短手壁28とを備えている。
これらの周壁24の長手壁26及び短手壁28のそれぞれについても、底壁20からZ方向(嵌合方向Z1)に向かって突出するように形成されている。
また、第1金具12の各端子16は、インサート成形によって第1ハウジング8の各壁20,22,24,26,28に一体成形されることにより、第1ハウジング8に対して一体的に組み付けられるようになっている。
【0014】
同様に、
図1~
図3に示すように、プラグコネクタ6の第2ハウジング10は、電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等の電気的に接続される被実装物2の第2被実装部2Bの第2被実装面S2に配置される底壁30を備えている。
また、第2ハウジング10は、その底壁30からZ方向に延びるプラグコネクタ6の中心軸線C2に沿ってZ方向(嵌合方向Z1)突出する突壁32を備えている。この突壁32は、第2ハウジング10のY方向(長手方向)に延びるようにも形成されている。
さらに、第2ハウジング10は、その突壁32の基端側(嵌合解除方向Z2側)かつX方向(短手方向)の外側に設けられて第2ハウジング10のY方向(長手方向)に延びる長手壁34を備えている。
また、第2ハウジング10は、その突壁32及び長手壁24に対してY方向(長手方向)の端部に設けられて第2ハウジング10のX方向(短手方向)に延びる短手壁36を備えている。
ここで、第2金具14の各端子18は、インサート成形によって第2ハウジング10の各壁30,32,34,36に一体成形されることにより、第2ハウジング10に対して一体的に組み付けられるようになっている。
【0015】
つぎに、
図1~
図3に示すように、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8における周壁24のX方向及びY方向の内側、かつ、突壁22に対して嵌合方向Z1の内部空間領域A1には、プラグコネクタ6をレセプタクルコネクタ4に嵌合させた際に、プラグコネクタ6の第2ハウジング10の突壁32及び第2端子18を受け入れ可能にする第1嵌合凹部38が設けられている。
また、
図1~
図3に示すように、プラグコネクタ6の第2ハウジング10における突壁32の嵌合方向Z1の端部には、プラグコネクタ6をレセプタクルコネクタ4に嵌合させた際に、レセプタクルコネクタ6の第1ハウジング8の突壁22を受け入れ可能にする第2嵌合凹部40が設けられている。
なお、本実施形態の電気コネクタ1においては、第1ハウジング8の突壁22及び周壁24の長手壁26におけるY方向(長手方向)の長さが短手壁28のX方向(短手方向)の長さよりも長く、第2ハウジング10の長手壁34におけるY方向(長手方向)の長さが短手壁36のX方向(短手方向)の長さよりも長い形態について説明するが、このような形態に限られず、各長手壁26,34のY方向(長手方向)の長さと各短手壁28,34のX方向(短手方向)の長さとが同一であってもよい。
【0016】
つぎに、
図1~
図5Cにより、本実施形態の電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各金具12,14における部分的にめっき加工される各端子16,18の部分の詳細について説明する。
図4A~
図4Cのそれぞれは、本実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4の第1端子16部分について、その相手コネクタ側(プラグコネクタ6側)から見た部分拡大斜視図、その被実装物2の第1被実装部2A側から見た部分拡大斜視図、及び、レセプタクルコネクタ4のY方向(縦方向、長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【0017】
まず、
図3及び
図4A~
図4Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16は、被実装物2の第1被実装部2Aに実装される第1実装部である第1実装壁部42を備えている。
また、第1端子16は、第1実装壁部42からレセプタクルコネクタ4の中心軸線C1側に向かって、概ね4つの壁部44,46,48,50(第1壁部44、第2壁部46、第3壁部48、第4壁部50)を備えている。
第1端子16の第1実装部42は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図3及び
図4A~
図4Cに示す第1実装部42のZ2方向側、第1被実装部2A側)に設けられて第1被実装部2Aの第1被実装面S1と対向する第1実装面S3を備えている。
つぎに、
図3及び
図4A~
図4Cに示すように、第1端子16の第1壁部44は、第1実装壁部42のX1方向の一端の接続部44aからZ1方向に屈曲した後にZ1方向に所定距離延びており、第1ハウジング10の周壁24の長手壁26によって保持されている。
また、
図3及び
図4A~
図4Cに示すように、第1端子16の第2壁部46は、第1壁部44のZ1方向の一端の接続部46aからX1方向に屈曲した後にX1方向に所定距離延びている。
ここで、第2壁部46については、そのZ1方向側の壁面S4の一部が第1ハウジング8に対して非接触である露出面S4を形成している。
さらに、
図3及び
図4A~
図4Cに示すように、第1端子16の第3壁部48は、第2壁部46のX1方向の一端の接続部48aからZ1方向に屈曲した後にZ1方向に所定距離延びている。
また、
図3及び
図4A~
図4Cに示すように、第1端子16の第4壁部50は、第3壁部48のZ1方向の一端の接続部50aからZ1方向の屈曲部50bまでに延びている。その後、第4壁部50は、屈曲部50bからX1方向かつZ1方向の湾曲部50cまで延びた後、この湾曲部50cからX2方向かつZ1方向に所定距離延びている。
ここで、第1端子16の第4壁部50については、その湾曲部50cが相手端子(第2端子)18に対して弾性的に接触可能な単一の第1接点P1を含む壁面S5を形成しており、弾性接触片としても機能している。
【0018】
ここで、第1端子16における第1実装壁部42の第1実装面S3、第2壁部46の露出面S4、及び、第4壁部50の壁面S5のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。
また、第1実装面S3にめっき加工されためっき部分の厚みT1は、第2壁部46の露出面S4にめっき加工されためっき部分の厚みT2よりも大きく、かつ、第4壁部50の壁面S5にめっき加工されためっき部分の厚みT3よりも小さく設定されている(T3>T1>T2)。
なお、厚みT1,T3については、0.05[μm]以上に設定されることが好ましく、厚みT2については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0019】
つぎに、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、プラグコネクタ4の第2端子18は、被実装物2の第2被実装部2Bに実装される第2実装部である第2実装壁部52を備えている。
また、第2端子18は、第2実装壁部52からプラグコネクタ4の中心軸線C2側に向かって、概ね4つの壁部54,56,58(第1壁部54、第2壁部56、第3壁部58)を備えている。
さらに、第2端子18の第2実装部52は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図3及び
図5A~
図5Cに示す第2実装部52のZ2方向側、第2被実装部2B側)に設けられて第2被実装部2Bの第2被実装面S2と対向する第2実装面S3を備えている。
つぎに、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子18の第1壁部54は、第2実装壁部52のX2方向の一端の接続部54aからZ1方向に屈曲した後にZ1方向に所定距離延びている。
ここで、第2端子18の第1壁部54については、レセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ6とを互いに嵌合させた状態で、相手端子(第1端子)16の弾性接触片50の壁面S5における単一の接点P1と接触する単一の第2接点P2を含む壁面S7を形成している。
また、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子18の第2壁部56は、第1壁部54のZ1方向の一端の接続部56aからX2方向に屈曲した後にX2方向に所定距離延びている。
ここで、第2端子18の第2壁部56については、そのZ1方向側の壁面S8の一部が第2ハウジング10に対して非接触である露出面S8を形成している。
さらに、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子18の第3壁部58は、第2壁部56のX2方向の一端の接続部58aからZ2方向に屈曲した後にZ2方向に所定距離延びている。
すなわち、
図3及び
図5Cに示すように、第2端子18においては、その第1壁部54が第2実装壁部52との接続部54aからZ2方向に屈曲して所定距離延びた後、第2壁部56が第1壁部54との接続部56aからX2方向に延びた後、第3壁部58が第2壁部56との接続部58aからZ2方向に屈曲した形状が、概ねプラグコネクタ6の中心軸線C2に対して外側から内側に巻かれた形状(いわゆる、外巻き形状)となっている。
【0020】
ここで、第2端子18における第2実装壁部52の第2実装面S6、第1壁部54の第2接点P2を含む壁面S7、及び、第2壁部56の露出面S8のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。
また、第2実装面S6にめっき加工されためっき部分の厚みT4は、第1壁部54の壁面S7にめっき加工されためっき部分の厚みT5よりも小さく、かつ、第2壁部56の露出面S8にめっき加工されためっき部分の厚みT6よりも大きく設定されている(T5>T4>T6)。
なお、厚みT4,T5については、0.05[μm]以上に設定されることが好ましく、厚みT6については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0021】
つぎに、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子18の第1壁部54は、さらに、その壁面S7(第1壁面S7)に対して第1方向(嵌合方向Z1)と直交する第2方向(X2方向)の反対側(X1方向側)に設けられて第2ハウジング10の突壁32の一部と接触する接触面S9を含む第2壁面S9を備えている。
また、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子16の第2壁部56は、さらに、その第1壁面(露出面)S8に対してZ方向の反対側(Z2方向側)に設けられて第2ハウジング10の突壁32の一部と接触する接触面S10を含む第2壁面S10を備えている。
さらに、
図3及び
図5A~
図5Cに示すように、第2端子16の第3壁部58は、そのX1方向側の第1壁面S11に対してX方向の反対側(X2方向側)に設けられて第2ハウジング10の突壁32の一部と接触する接触面S12を含む第2壁面S12を備えている。
これらにより、第2ハウジング10の突壁32の一部は、第2端子16の第1壁部54の接触面S9、第2壁部56の接触面S10、及び、第3壁部58の接触面12のそれぞれによって取り囲まれており、第2金具14の第2端子18が第2ハウジング10に保持されている。
ここで、第2ハウジング10の突壁32の一部と接触する第2端子18の第1壁部54の第2壁面S9、第2壁部56の第2壁面S10、及び、第3壁部58の第2壁面S12のそれぞれにおいては、インサート成形後にめっき加工されるめっき部分の厚みT7が0に設定されている(T7=0)。
ちなみに、第2端子16の第3壁部58の第1壁面S11については、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。この第2端子16の第3壁部58の第1壁面S11におけるめっき加工されるめっき部分の厚みT8については、第1壁部54の壁面S5の厚みT7以下、かつ、第2壁部56の露出面S8の厚みT6よりも大きく設定されている(T7≧T8>T6)。又は、厚みT8は、第1壁部54の壁面S5の厚みT7以上、かつ、第2壁部56の露出面S8の厚みT6よりも大きく設定されている(T8≧T7>T6)。
また、厚みT8については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0022】
なお、上述した本実施形態の電気コネクタ1の各端子16,18に対する部分的なめっき加工に用いられるめっきの材料としては、特に、導電性や半田濡れ性が比較的高い材料を採用することが好ましい。具体的には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、又は、パラジウム(Pd)等の貴金属等を採用することが好ましく、最低限でも金(Au)を採用した、いわゆる、「金めっき」による部分的なめっき加工を行うことが好ましい。
また、このめっきの材料として採用する金としては、純金(100%Au)に限られず、Auを主成分とする材料であって、その他の金属がある程度含まれていてもよい。
さらに、各端子16,18の各壁部のそれぞれのめっき部分の厚みT1~T8の測定については、周知技術である蛍光X線分析法(XRF)、或いは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定可能である。
また、各端子16,18のうち、ハウジング8,10の樹脂と密着している部分については、地金(銅合金)となっているが、下地めっきとして、ニッケル(Ni)が施されていてもよい。
【0023】
さらに、インサート成形により各ハウジング8,10に一体成形された後に、各ハウジング8,10によって保持された各金具12,14に対して部分的にめっき加工を行う方法については、例えば、特開2013-213248号公報等に記載されているように、周知技術となっている。
簡単に説明すると、インサート成形により各ハウジング8,10に対して一体成形された各端子16,18の薄板状の母材が、めっき液を内部に収容する円筒形の支持体ドラムの外周面に巻き付けられている。そして、この支持体ドラムが回転すると、各端子16,18の薄板状の母材が送られると共に、支持体ドラムの外周面のめっき孔から、これに対向している各端子16,18の所定のめっき領域に向かってめっき液が噴出されることによって、各端子16,18の所定のめっき領域にめっき加工が行われるようになっている。
【0024】
つぎに、
図1~
図5Cを参照して、本発明の第1実施形態による電気コネクタ1の作用効果について説明する。
上述した本実施形態による電気コネクタ1によれば、各金具12,14がインサート成形によって各ハウジング8,10に対して一体成形され、各ハウジング8,10によって一体的に保持された後に、その金具12,14の表面に対して部分的にめっき加工が行われる。
これにより、電気コネクタ1の製造時に予め金具に対してめっき加工が行われた後に、このめっき加工が行われた各金具12,14を各ハウジング8,10に圧入する等の工程を採用した場合に比べて、製造効率を向上させることができる。
また、めっき加工が必要となる各金具12,14の表面の一部のみに部分的にめっき加工を行うだけで、各金具12,14の表面全体に対してめっき加工を行う必要がないため、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
特に、めっき加工に使用されるめっきとして、比較的導電性が高い高価なめっきや、比較的半田濡れ性が高い高価なめっきを採用した場合であっても、めっき加工を行う部分が金具の表面の一部のみに限られるため、製造コストを効果的に抑制することができる。
さらに、各金具12,14の表面に対して部分的にめっき加工が行われる際には、各端子16,18の壁部50,54における相手端子16,18と接触可能な単一の接点P1,P2を含む壁面S5,S7に対してめっき加工が行われると共に、各端子16,18の壁部46,56における各ハウジング8,10に対して非接触である露出面S4,S8に対してめっき加工が行われる。
このとき、相手端子16,18と接触可能な単一の接点P1,P2を含む各端子16,18の壁部50,54の壁面S5,S7にめっき加工されためっき部分の各厚みT3,T5が、各端子16,18の壁部46,56の露出面S4,S8にめっき加工されためっき部分の各厚みT2,T6よりも大きく設定されている(T3>T2、T5>T6)。
これにより、相手端子16,18と接触する単一の接点P1,P2を含む各端子16,18の壁部50,56の壁面S5,S7の電気抵抗を抑制し、導電性を高めることができる。
一方、各ハウジング8,10に対して非接触であって各端子16,18の壁部50,54に比べて相手端子16,18への導電性に寄与し難い各端子16,18の第2壁部46,56の露出面S4,S8におけるめっき厚(厚みT2,T6)を抑制することができ、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
これらの結果、各ハウジング8,10に対して一体成形されて保持される各金具12,14の各端子16,18の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、電気コネクタ1の電気特性を高めつつ、製造コストを抑制することができる。
【0025】
また、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各端子16,18の実装部42,52の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4が、各端子16,18の壁部50,54の壁面S5,S7におけるめっき部分の厚みT3,T5よりも小さく、かつ、各端子16,18の壁部46,56の露出面S4,S8におけるめっき部分の厚みT2,T6よりも大きく設定されている(T3>T1>T2、T5>T4>T6)。
これにより、各端子16,18の実装部42,52の実装面S3,S6における厚みT1,T4のめっき部分の半田濡れ性を良好にすることができる。
したがって、電気コネクタ1の各ハウジング8,10に保持された各金具12,14の端子16,18の実装部42,52を被実装物2の被実装部2A,2Bに確実に固定することができ、電気コネクタ1を被実装物2に対して確実に実装することができる。
また、各端子16,18の壁部50,54の壁面S5,S7におけるめっき部分の厚みT3,T5を各端子16,18の実装部42,52の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4よりも大きくしたことにより、各端子16,18の壁部50,54の壁面S5,S7の電気抵抗を抑制して導電性を高めることができる。
さらに、各端子16,18の壁部46,56の露出面S4,S8におけるめっき厚(厚みT2,T6)を各端子16,18の実装部42,52の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4よりも小さくしたことにより、各端子16,18の壁部46,56の露出面S4,S8におけるめっき厚(厚みT2,T6)を抑制して、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
【0026】
さらに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、プラグコネクタ6の第2ハウジング10の突壁32の一部と接触する接触面として機能するだけの第2端子18の壁部54,56,58の壁面S9,S10,S12については、その導電性や半田濡れ性に配慮しなくてもよいため、加工されるめっき部分の厚みT7を0に設定している(T7=0)。
これにより、めっき加工を省略することができ、製造コストを抑制することができる。
【0027】
つぎに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各金具12,14の複数の端子16,18のそれぞれに対して、最低限でも金(Au)を採用した、いわゆる、「金めっき」による部分的なめっき加工が行われている。
このような金めっきにより、各金具12,14の各端子16,18における導電性や耐久性を確保することができる。
また、比較的高価な金めっきを採用しためっき加工を部分的な箇所に制限することにより、製造コストを抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態による電気コネクタ1によれば、レセプタクルコネクタ4の金具12の複数の端子16のそれぞれに対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、レセプタクルコネクタ4において、金具12の各端子16における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0029】
さらに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、プラグコネクタ6の金具14の複数の端子18のそれぞれに対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、プラグコネクタ6において、金具14の各端子18における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0030】
つぎに、
図6を参照して、本発明の第2実施形態による電気コネクタ100について説明する。
図6は、本実施形態による電気コネクタ100の
図3と同様な断面図である。
ここで、
図6に示す本実施形態による電気コネクタ100において、上述した本発明の第1実施形態による電気コネクタ1と同一部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略する。
【0031】
まず、
図6に示すように、本実施形態による電気コネクタ100は、レセプタクルコネクタ104の第1金具112の第1端子116が第1ハウジング108に対して圧入して取り付けられている点で、上述した本発明の第1実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4の第1金具12の第1端子16が第1ハウジング8に対してインサート成形により一体成形される点と異なっている。
また、実施形態による電気コネクタ100では、プラグコネクタ106の第2金具114の第2端子118については、プラグコネクタ106の中心軸線C2に対して内側から外側に巻かれた形状(いわゆる、内巻き形状)となっている点で、上述した本発明の第1実施形態による電気コネクタ1のプラグコネクタ6の第2端子18がプラグコネクタ6の中心軸線C2に対して外側から内側に巻かれた形状(いわゆる、外巻き形状)と異なっている。
また、レセプタクルコネクタ104及びプラグコネクタ106を互いに嵌合方向Z1に嵌合させた場合には、第2端子118がレセプタクルコネクタ104の第1ハウジング108の第1嵌合凹部138内に嵌合する共に、第1端子116の弾性接触片150がプラグコネクタ106の第2ハウジング110の第2嵌合凹部140内に嵌合するようになっている。
そして、第1端子116の弾性接触片150の単一の第1接点P1が、第2端子118の第2接点P2と接触し、第1端子116と第2端子118とが互いに単一の接点P1,P2で接触するようになっている。
【0032】
図6に示すように、本実施形態による電気コネクタ100によれば、プラグコネクタ106の第2金具114がインサート成形によって第2ハウジング110に対して一体成形され、第1ハウジング110によって一体的に保持された後に、その金具114の表面に対して部分的にめっき加工が行われる。
これにより、電気コネクタ100の製造時に予め金具に対してめっき加工が行われた後に、このめっき加工が行われた第2金具114を第2ハウジング110に圧入する等の工程を採用した場合に比べて、製造効率を向上させることができる。
また、めっき加工が必要となる各金具112,114の表面の一部のみに部分的にめっき加工を行うことにより、各金具112,114の表面全体に対してめっき加工を行う必要がないため、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
特に、めっき加工に使用されるめっきとして、比較的導電性が高い高価なめっきや、比較的半田濡れ性が高い高価なめっきを採用した場合であっても、めっき加工を行う部分が各金具112,114の表面の一部のみに限られるため、製造コストを効果的に抑制することができる。
さらに、各金具112,114の表面に対して部分的にめっき加工が行われる際には、各端子116,118の壁部150,154における相手端子116,118と接触可能な単一の接点P1,P2を含む壁面S5,S7に対してめっき加工が行われると共に、第2端子118の壁部156における第2ハウジング110に対して非接触である露出面S8に対してめっき加工が行われる。
このとき、相手端子116,118と接触可能な単一の接点P1,P2を含む各端子116,118の壁部250,254の壁面S5,S7にめっき加工されためっき部分の各厚みT3,T5が、第2端子118の壁部156の露出面S8にめっき加工されためっき部分の各厚みT6よりも大きく設定されている(T3>T6、T5>T6)。
これにより、相手端子116と接触する単一の接点P2を含む第2端子118の壁部156の壁面S7の電気抵抗を抑制し、導電性を高めることができる。
一方、第2ハウジング110に対して非接触であって第2端子118の壁部154に比べて相手端子116への導電性に寄与し難い第2端子118の壁部156の露出面S8におけるめっき厚(厚みT6)を抑制することができ、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
これらの結果、少なくとも第2ハウジング110に対して一体成形されて保持される第2金具114の第2端子118の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、電気コネクタ100の電気特性を高めつつ、製造コストを抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態による電気コネクタ100によれば、各端子116,118の実装部142,152の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4が、各端子116,118の壁部150,154の壁面S5,S7におけるめっき部分の厚みT3,T5よりも小さく、かつ、第2端子118の壁部156の露出面S8におけるめっき部分の厚みT6よりも大きく設定されている(T3>T1>T6、T5>T4>T6)。
これにより、各端子116,118の実装部142,152の実装面S3,S6における厚みT1,T4のめっき部分の半田濡れ性を良好にすることができる。
したがって、電気コネクタ100の各ハウジング108,110に保持された各金具112,114の端子116,118の実装部142,152を被実装物2の被実装部2A,2Bに確実に固定することができ、電気コネクタ100を被実装物2に対して確実に実装することができる。
また、各端子116,118の壁部150,154の壁面S5,S7におけるめっき部分の厚みT3,T5を各端子116,118の実装部142,152の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4よりも大きくしたことにより、各端子116,118の壁部150,154の壁面S5,S7の電気抵抗を抑制して導電性を高めることができる。
さらに、第2端子118の壁部156の露出面S8におけるめっき厚(厚みT6)を各端子116,118の実装部142,152の実装面S3,S6にめっき加工されためっき部分の厚みT1,T4よりも小さくしたことにより、少なくとも第2端子118の壁部156の露出面S8におけるめっき厚(厚みT6)を抑制して、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
【0034】
さらに、本実施形態による電気コネクタ100によれば、プラグコネクタ106の第2ハウジング110の周壁132の一部と接触する接触面として機能するだけの第2端子118の壁部154,156,158の壁面S9,S10,S12については、その導電性や半田濡れ性に配慮しなくてもよいため、加工されるめっき部分の厚みT7を0に設定している(T7=0)。
これにより、めっき加工を省略することができ、製造コストを抑制することができる。
【0035】
つぎに、本実施形態による電気コネクタ100によれば、各金具112,114の複数の端子116,118のそれぞれに対して、最低限でも金(Au)を採用した、いわゆる、「金めっき」による部分的なめっき加工が行われている。
このような金めっきにより、各金具112,114の各端子116,118における導電性や耐久性を確保することができる。
また、比較的高価な金めっきを採用しためっき加工を部分的な箇所に制限することにより、製造コストを抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態による電気コネクタ100によれば、レセプタクルコネクタ104の金具112の複数の端子116のそれぞれに対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、レセプタクルコネクタ104において、金具112の各端子116における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0037】
さらに、本実施形態による電気コネクタ100によれば、プラグコネクタ106の金具114の複数の端子118のそれぞれに対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、プラグコネクタ106において、金具114の各端子118における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 本発明の第1実施形態による電気コネクタ
2 被実装物
2A 第1被実装部
2B 第2被実装部
4 レセプタクルコネクタ
6 プラグコネクタ
8 第1ハウジング
10 第2ハウジング
12 第1金具
14 第2金具
16 第1端子(端子)
18 第2端子(端子)
20 第1ハウジングの底壁
22 第1ハウジングの突壁
24 第1ハウジングの周壁
26 第1ハウジングの周壁の長手壁
28 第1ハウジングの周壁の短手壁
30 第2ハウジングの底壁
32 第2ハウジングの突壁
34 第2ハウジングの長手壁
36 第2ハウジングの短手壁
38 第1ハウジングの第1嵌合凹部
40 第2ハウジングの第2嵌合凹部
42 第1端子の第1実装部、第1実装壁部(端子の実装部)
44 第1端子の第1壁部
44a 接続部
46 第1端子の第2壁部
46a 接続部
48 第1端子の第3壁部(端子の第1壁部)
48a 接続部
50 第1端子の第4壁部、弾性接触片(端子の第1壁部)
50a 接続部
50b 屈曲部
50c 湾曲部
52 第2端子の第2実装部、第2実装壁部(端子の実装部)
54 第2端子の第1壁部(端子の第1壁部)
54a 接続部
56 第2端子の第2壁部
56a 接続部
58 第2端子の第3壁部
58a 接続部
100 本発明の第2実施形態による電気コネクタ
104 レセプタクルコネクタ
106 プラグコネクタ
108 第1ハウジング
110 第2ハウジング
112 第1金具
114 第2金具
116 第1端子(端子)
118 第2端子(端子)
132 第2ハウジングの周壁
138 第1ハウジングの第1嵌合凹部
140 第2ハウジングの第2嵌合凹部
142 第1端子の第1実装部、第1実装壁部(端子の実装部)
150 第1端子の壁部、弾性接触片
152 第2端子の第2実装部、第2実装壁部(端子の実装部)
154 第2端子の壁部
156 第2端子の壁部
158 第2端子の壁部
A1 内部空間領域
C1 レセプタクルコネクタにおけるZ方向に延びる中心軸線
C2 プラグコネクタにおけるZ方向に延びる中心軸線
P1 第1端子の第1接点
P2 第2端子の第2接点
S1 第1被実装面
S2 第2被実装面
S3 第1端子の第1実装部の第1実装面(端子の実装部の実装面)
S4 第1端子の第2壁部の壁面、露出面(端子の第2壁部の露出面)
S5 第1端子の第4壁部の壁面(端子の第1壁部の第1壁面)
S6 第2端子の第2実装部の第2実装面(端子の実装部の実装面)
S7 第2端子の第1壁部の第1壁面(端子の第1壁部の第1壁面)
S8 第2端子の第2壁部の第1壁面、露出面
S9 第2端子の第1壁部の第2壁面
S10 第2端子の第2壁部の第2壁面
S11 第2端子の第3壁部の第1壁面
S12 第2端子の第3壁部の第2壁面
T1 第1端子の第1実装部の第1実装面におけるめっき部分の厚み(端子の実装部の実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚み、端子の実装部の実装面にめっき加工されためっき部分の第3厚み)
T2 第1端子の第2壁部の壁面におけるめっき部分の厚み(端子の第2壁部の露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚み)
T3 第1端子の第4壁部の第3面におけるめっき部分の第3厚み(端子の第1壁部の第1壁面にめっき加工されためっき部分の第1厚み、端子の第1壁部の第1壁面にめっき加工されためっき部分の第3厚み)
T4 第2端子の第2実装部の第2実装面におけるめっき部分の厚み(端子の実装部の実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚み、端子の実装部の実装面にめっき加工されためっき部分の第3厚み)
T5 第2端子の第1壁部の第1壁面におけるめっき部分の厚み(端子の第1壁部の第1壁面にめっき加工されためっき部分の第1厚み、端子の第1壁部の第1壁面にめっき加工されためっき部分の第3厚み)
T6 第2端子の第2壁部の第1壁面(露出面)におけるめっき部分の厚み(端子の第2壁部の露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚み)
T7 第2端子の第1壁部の第2壁面、第2壁部の第2壁面、第3壁部の第2壁面におけるめっき部分の厚み
T8 第2端子の第3壁部の第1壁面におけるめっき部分の厚み
Z1 嵌合方向(実装面に対して直交する第1方向)
Z2 嵌合解除方向(実装面に対して直交する第1方向)