(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158408
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20241031BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073575
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】森下 琢哉
(72)【発明者】
【氏名】豊栖 波輝
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AA16
5E223AB20
5E223AB41
5E223AB77
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA01
5E223BA04
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB31
5E223CC15
5E223CD01
5E223DB11
5E223DB32
5E223DB36
5E223EA03
5E223EB03
5E223EB38
(57)【要約】
【課題】ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる電気コネクタを提供する。
【解決手段】本発明の電気コネクタ1は、ハウジング8,10と、このハウジングに保持される金具12,14と、を有し、この金具は、補強金具20,22又はシールド金具であり、実装部66,76と、実装面S7,S9に対して直交する第1方向に突出するように設けられた第1壁部112と、ハウジングに対して非接触である露出面S21,S25を形成する第2壁部106,114と、を備えており、実装部の実装面及び第2壁部の露出面のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工され、実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚みT9,T13は、第2壁部の露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みT25,T27よりも大きい。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、
互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、
このハウジングに保持される金具と、を有し、
上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工されるもの補強金具又はシールド金具であり、
上記金具は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に突出するように設けられた第1壁部と、この第1壁部における上記実装部に対して上記第1方向の遠位側端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、
上記実装部の上記実装面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記第2壁部の上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
上記第1壁部は、さらに、上記第1方向と直交する第2方向に設けられて上記ハウジングの一部と接触する接触面を含む壁面を備えており、上記インサート成形後に上記壁面にめっき加工されるめっき部分の厚みは0である請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
上記金具は、上記実装部を含む実装側金具部と、上記第2壁部を含む露出側金具部と、を備えており、上記実装側金具部及び上記露出側金具部は、互いに一体又は別体に設けられている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項4】
上記めっき加工は、金めっきによるめっき加工である請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項5】
上記電気コネクタは、レセプタクルコネクタからなり、このレセプタクルコネクタは、上記ハウジングと、このハウジングに保持される上記金具と、を備えており、
上記ハウジングは、上記被実装部の上記被実装面に配置される底壁と、この底壁から上記ハウジングの高さ方向に向かって突出する突壁と、この突壁の外周に間隔を置いて設けられた長手壁及び短手壁を含む周壁と、上記突壁と上記周壁との間に設けられた嵌合凹部と、を備えており、
上記金具は、レセプタクル端子を備え、このレセプタクル端子は、上記実装部と、この実装部から上記ハウジングの第1高さ方向に屈曲して延びる上記第1壁部と、この第1壁部との接続部から上記第1高さ方向に対して反対側の第2高さ方向に屈曲する上記第2壁部と、この第2壁部との接続部から上記第2高さ方向に延びて上記第1壁部と対向する第3壁部と、この第3壁部との接続部から上記レセプタクルコネクタの中心側に向かって屈曲して延びる第4壁部と、この第4壁部との接続部から上記第1高さ方向に屈曲して延びて且つ相手端子と弾性的に接触可能な第5壁部と、を備えており、上記第1壁部、上記第2壁部、及び、上記第3壁部によって囲まれる内部領域には、上記ハウジングの上記周壁の上記長手壁が設けられていることにより、上記金具が上記ハウジングに保持されている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
上記電気コネクタは、プラグコネクタからなり、このプラグコネクタは、上記ハウジングと、このハウジングに保持される上記金具と、を備えており、
上記ハウジングは、上記被実装部の上記被実装面に配置される底壁と、この底壁から上記ハウジングの高さ方向に向かって突出する長手壁及び短手壁を含む周壁と、この周壁の内周側に設けられた嵌合凹部と、を備えており、
上記金具は、プラグ端子を備え、このプラグ端子は、上記実装部と、この実装部から上記ハウジングの第1高さ方向に屈曲して延びる上記第1壁部と、この第1壁部との接続部から上記ハウジングの上記横方向に屈曲して延びる上記第2壁部と、この第2壁部との接続部から上記第1高さ方向に対して反対側の第2高さ方向に延びて上記第1壁部と対向する第3壁部と、を備えており、上記第1壁部、上記第2壁部、及び、上記第3壁部によって囲まれる内部領域には、上記ハウジングの上記周壁の上記長手壁が設けられていることにより、上記金具が上記ハウジングに保持されている請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項7】
上記金具は、上記補強金具と、端子と、を備えている請求項1記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに係り、特に、回路基板や電気ケーブル等の電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回路基板や電気ケーブル等の電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタとして、例えば、特許文献1に記載されているように、キャリアと一体に設けられた複数の端子部分がハウジングに対して一体成形されることによりハウジングによって保持され、このハウジングに保持された端子部分がめっき加工された後にキャリアに対して切断されることにより製造される電気コネクタが知られている。
このような特許文献1に記載されている従来の電気コネクタにおいては、端子におけるハウジングに対して非接触な露出面には、めっき加工がされているため、電気的接触特性や半田付着特性を良好にしている。一方、ハウジングに対して接触している端子の接触面には、めっき加工がされていないため、ハウジングと端子の接触面との間の隙間に半田やそのフラックスが浸入する可能性を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4287450号(特開2008-59884号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した従来の電気コネクタにおいては、金具(端子、補強金具等)がハウジングに対して一体成形されてハウジングによって保持された後に、金具全体に対してめっき加工が行われると、めっき加工等の製造コストが増大するという問題がある。
特に、めっき加工に使用されるめっきとして、比較的導電性が高い高価なめっきや、比較的半田濡れ性が高い高価なめっきを採用する場合には、ハウジングに保持される金具におけるめっき加工が行われる各めっき部分について、その要求される導電性や半田濡れ性等の重要度に応じて、いかに厚み(めっき厚)の大小の重み付けをして部分的なめっき加工を行い、製造コストを抑制するかが、近年要請されている課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や近年要請されている課題を解決するためになされたものであり、ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる電気コネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、電気的に接続される被実装物に対して実装される電気コネクタであって、互いに直交する、縦方向、横方向、及び、高さ方向をそれぞれ備えたハウジングと、このハウジングに保持される金具と、を有し、上記金具は、インサート成形によって上記ハウジングに対して一体成形され、上記ハウジングによって保持される導電性の薄板状の母材からなり、その表面が上記インサート成形後に部分的にめっき加工されるもの補強金具又はシールド金具であり、上記金具は、上記被実装物の被実装部に実装される実装面を含む実装部と、上記実装面に対して直交する第1方向に突出するように設けられた第1壁部と、この第1壁部における上記実装部に対して上記第1方向の遠位側端部に設けられて上記実装面に対して上記第1方向に離間して上記ハウジングに対して非接触である露出面を形成する第2壁部と、を備えており、上記実装部の上記実装面及び上記第2壁部の上記露出面のそれぞれは、上記インサート成形後にめっき加工され、上記実装面にめっき加工されためっき部分の第1厚みは、上記第2壁部の上記露出面にめっき加工されためっき部分の第2厚みよりも大きいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気コネクタによれば、ハウジングに対して一体成形されて保持される金具の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における側面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタのそれぞれの金具単体を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの一部をその相手コネクタ側(プラグコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図5B】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの一部をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図6A】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの一部をその相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ側)から見た部分斜視図である。
【
図6B】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの一部をその被実装部側から見た部分斜視図である。
【
図7A】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をその相手コネクタ側(プラグコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図7B】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図7C】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの端子部分をレセプタクルコネクタの縦方向(長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【
図8A】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をその相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図8B】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図8C】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの端子部分をプラグコネクタの縦方向(長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【
図9A】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの補強金具部分をその相手コネクタ側(プラグコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による電気コネクタのレセプタクルコネクタの補強金具部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの補強金具部分をその相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ側)から見た部分拡大斜視図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による電気コネクタのプラグコネクタの補強金具部分をその被実装部側から見た部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態による電気コネクタについて説明する。
まず、
図1~
図10Bにより、本発明の一実施形態による電気コネクタ1について説明する。
図1及び
図2は、本発明の一実施形態による電気コネクタの非嵌合状態における斜視図及び側面図をそれぞれ示す。
図1及び
図2に示すように、本発明の一実施形態による電気コネクタ1は、携帯電話やスマートフォン、デジタルカメラ、ノートパソコン等の電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等、いわゆる、電気的に接続される被実装物2に対して実装されるものである。
この電気コネクタ1は、互いに嵌合及び嵌合解除可能に設けられた一対のレセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6をそれぞれ備えている。
各コネクタ4,6は、それぞれに対応する被実装物2の異なる各被実装部2A,2B(第1被実装部2A、第2被実装部2B)における各被実装面S1,S2(第1被実装面S1、第2被実装面S2)に実装されるようになっている。
【0010】
ここで、本明細書及び図面においては、電気コネクタ1においては、
図1(他の図も同様)に示す互いに直交する3つのX軸、Y軸、及び、Z軸からなる右手系のXYZ座標軸うち、X軸方向(以下「X方向」)を各コネクタ4,6の横方向若しくは短手方向と定義している。このX方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交するYZ平面の法線方向に相当している。
また、XYZ座標軸うち、Y軸方向(以下「Y方向」)を各コネクタ4,6の縦方向若しくは長手方向と定義している。このY方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交するXZ平面の法線方向にも相当している。
さらに、XYZ座標軸うち、Z軸方向(以下「Z方向」)を各被実装面S1,S2に対する各コネクタ4,6の高さ方向、又は、嵌合方向若しくは嵌合解除方向と定義している。このZ方向は、各被実装面S1,S2であるXY平面に対して直交する法線方向にも相当している。
特に、各コネクタ4,6の互いがZ方向に近づく方向(近位側に移動する方向)及び嵌合する方向(嵌合方向)を「Z1方向」としている。一方、各コネクタ4,6の互いがZ方向に遠ざかる方向(遠位側に移動する方向)及び嵌合が解除される方向(嵌合解除方向)を「Z2方向」としている。
【0011】
つぎに、
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図1~
図3に示すように、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6のそれぞれは、ほぼ偏平矩形状の樹脂製のハウジング8,10(第1ハウジング8、第2ハウジング10)と、各ハウジング8,10に保持される金具12,14(第1金具12、第2金具14)とをそれぞれ備えている。
また、
図4は、本発明の一実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6のそれぞれの金具12,14単体を示す斜視図である。
図1~
図4に示すように、各コネクタ4,6の各金具12,14は、インサート成形によって各ハウジング8,10に対して一体成形され、この各ハウジング8,10によって保持される導電性の薄板状の母材からなり、端子16,18(第1端子16(レセプタクル端子16)、第2端子18(プラグ端子18))及び補強金具20,22(第1補強金具20、第2補強金具22)をそれぞれ備えている。
また、各金具12,14については、その全体がインサート成形によりハウジング8に対して一体成形された後、各端子16,18の表面が部分的にめっき加工されるようになっている。
さらに、各補強金具20,22は、各ハウジング8,10の一部に一体的に接続されて少なくとも各ハウジング8,10の強度を補強するようになっている。
なお、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各金具12,14における部分的にめっき加工される各端子16,18の部分や各補強金具20,22の詳細については後述する。
【0012】
つぎに、
図1~
図6Bにより、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各ハウジング8,10の詳細について説明する。
図5A及び
図5Bのそれぞれは、本発明の一実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4の一部について、その相手コネクタ側(プラグコネクタ6側)及び被実装物2の第1被実装部2A側のそれぞれから見た部分拡大斜視図である。また、
図6A及び
図6Bのそれぞれは、本発明の一実施形態による電気コネクタ1のプラグコネクタ6の一部について、その相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ4側)及び被実装物2の第2被実装部2B側のそれぞれから見た部分拡大斜視図である。
【0013】
図1~
図6Bに示すように、各ハウジング8,10は、互いに直交する、縦方向(Y方向、長手方向)、横方向(X方向、短手方向)、及び、高さ方向(Z方向)をそれぞれ備えている。
また、
図1~
図5Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8は、電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等の電気的に接続される被実装物2の第1被実装部2Aの第1被実装面S1に配置される底壁24と、この底壁24におけるX方向の中央部からZ方向(嵌合方向Z1)に向かって突出する突壁26とを備えている。
さらに、第1ハウジング8は、突壁26の外周に対してX方向及びY方向の外側に間隔を置いて第1ハウジング8の全周に亘って外枠状に設けられた周壁28を備えている。この周壁28は、第1ハウジング8のY方向(長手方向)に延びる長手壁30と、第1ハウジング8のX方向(短手方向)に延びる短手壁32とを備えている。
これらの周壁28の長手壁30及び短手壁32のそれぞれについても、底壁24からZ方向(嵌合方向Z1)に向かって突出するように形成されている。
また、第1金具12の各端子16及び各補強金具20のそれぞれは、インサート成形によって第1ハウジング8の各壁24,26,28,30,32に一体成形されることにより、第1ハウジング8に対して一体的に組み付けられるようになっている。
【0014】
同様に、
図1~
図4、
図6A及び
図6Bに示すように、プラグコネクタ6の第2ハウジング10は、電子機器の回路基板やフレキシブルフラットケーブルの電気接続部等の電気的に接続される被実装物2の第2被実装部2Bの第2被実装面S2に配置される底壁34を備えている。
また、第2ハウジング10は、その全周に亘って外枠状に設けられて底壁34からZ方向(嵌合方向Z1)に向かって突出する周壁36を備えている。この周壁36は、第2ハウジング10のY方向(長手方向)に延びる長手壁38と、第2ハウジング10のX方向(短手方向)に延びる短手壁40とを備えている。
さらに、第2金具14の各端子18及び各補強金具22のそれぞれは、インサート成形によって第2ハウジング10の各壁34,36,38,40に一体成形されることにより、第2ハウジング10に対して一体的に組み付けられるようになっている。
【0015】
つぎに、
図3、
図5A及び
図5Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8における突壁26と周壁28との間には、プラグコネクタ6をレセプタクルコネクタ4に嵌合させた際に、プラグコネクタ6の第2ハウジング10の周壁36を受け入れ可能にする第1嵌合凹部42が設けられている。
また、
図3、
図6A及び
図6Bに示すように、プラグコネクタ6の第2ハウジング10における周壁36の長手壁38及び短手壁40のそれぞれの内周側には、プラグコネクタ6をレセプタクルコネクタ4に嵌合させた際に、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8の突壁26を受け入れ可能にする第2嵌合凹部44が設けられている。
なお、本実施形態の電気コネクタ1においては、各ハウジング8,10の各周壁28,36の各長手壁30,38のY方向(長手方向)の長さが、各短手壁32,40のX方向(短手方向)の長さよりも長い形態について説明するが、このような形態に限られず、各長手壁30,38のY方向(長手方向)の長さと各短手壁32,40のX方向(短手方向)の長さとが同一であってもよい。
【0016】
つぎに、
図1~
図10Bにより、本実施形態の電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6の各金具12,14における部分的にめっき加工される各端子16,18の部分や各補強金具20,22の詳細について説明する。
図7A~
図7Cのそれぞれは、本実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4の第1端子16部分について、その相手コネクタ側(プラグコネクタ6側)から見た部分拡大斜視図、その被実装物2の第1被実装部2A側から見た部分拡大斜視図、及び、レセプタクルコネクタ4のY方向(縦方向、長手方向)から見た部分拡大側面図である。
【0017】
まず、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16は、被実装物2の第1被実装部2Aに実装される第1実装部46を備えている。この第1実装部46は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図3及び
図7Cに示す第1実装部46の下側、第1被実装部2A側)に設けられて第1被実装部2Aの第1被実装面S1と対向する第1実装面S3を形成する第1面48を備えている。
また、第1実装部46は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の他方側(
図3及び
図7Cに示す第1実装部46の上側)に設けられて第1実装面S3に対して厚み方向(Z方向)の反対側に位置する第2面50を備えている。
さらに、第1実装部46の第1面48及び第2面50のそれぞれは、第1金具12が第1ハウジング8に対してインサート成形され、第1ハウジング8によって保持された後にめっき加工されるようになっている。
このとき、第1実装部46の第1面48にめっき加工されためっき部分の第1厚みT1は、第2面50にめっき加工されためっき部分の第2厚みT2よりも大きくなるように設定されている(T1>T2)。
なお、第1厚みT1については、0.05[μm]~0.08[μm]に設定されることが好ましく、第2厚みT2については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0018】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16の第1実装部46は、さらに、その第1面48及び第2面50のそれぞれに対して、厚み方向(Z方向)に対して直交する方向(Y方向)の両側に設けられた第3面52を備えている。
この第3面52は、インサート成形後にめっき加工されためっき部分の第3厚みT3を備えている。
また、この第3厚みT3は、第1厚みT1よりも小さくなるように設定され、かつ、第2厚みT2よりも大きくなるように設定されている(T1>T3>T2)。
なお、第3厚みT3については、0.05[μm]~0.06[μm]に設定されることが好ましい。
【0019】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16の第1実装部46は、さらに、その第1面48、第2面50、及び、第3面52のそれぞれ対して直交する第4面54を備えている。
この第4面54は、第1実装部46がインサート成形後にめっき加工された後に破断されることにより破断面S4を形成している。
また、この破断面S4にめっき加工されるめっき部分の第4厚みT4は、第2厚みT2よりも小さく、0になるように設定されている(T2>T4=0)。
【0020】
つぎに、
図8A~
図8Cのそれぞれは、本実施形態による電気コネクタ1のプラグコネクタ6の第2端子18部分について、その相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ4側)から見た部分拡大斜視図、その被実装物2の第2被実装部2B側から見た部分拡大斜視図、及び、プラグコネクタ6のY方向(縦方向、長手方向)から見た部分拡大側面図である。
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18は、被実装物2の第2被実装部2Bに実装される第2実装部56を備えている。この第2実装部56は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図3及び
図8Cに示す実装部56の上側、第2被実装部2B側)に設けられて第2被実装部2Bの第2被実装面S2と対向する第2実装面S5を形成する第1面58を備えている。
また、第2実装部56は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の他方側(
図3及び
図8Cに示す第2実装部56の上側)に設けられて第2実装面S5に対して厚み方向(Z方向)の反対側に位置する第2面60を備えている。
さらに、第2実装部56の第1面58及び第2面60のそれぞれは、第2金具14が第2ハウジング10に対してインサート成形され、第2ハウジング10によって保持された後にめっき加工されるようになっている。
このとき、第2実装部56の第1面58にめっき加工されためっき部分の第1厚みT5は、第2面60にめっき加工されためっき部分の第2厚みT6よりも大きくなるように設定されている(T5>T6)。
なお、第1厚みT5については、0.05[μm]~0.08[μm]に設定されることが好ましく、第2厚みT6については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0021】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18の第2実装部56は、さらに、その第1面58及び第2面60のそれぞれに対して、厚み方向(Z方向)に対して直交する方向(Y方向)の両側に設けられた第3面62を備えている。
この第3面62は、インサート成形後にめっき加工されためっき部分の第3厚みT7を備えている。
また、この第3厚みT7は、第1厚みT5よりも小さくなるように設定され、かつ、第2厚みT6よりも大きくなるように設定されている(T5>T7>T6)。
なお、第3厚みT7については、0.05[μm]~0.06[μm]に設定されることが好ましい。
【0022】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18の第2実装部56は、さらに、その第1面58、第2面60、及び、第3面62のそれぞれ対して直交する第4面64を備えている。
この第4面64は、第2実装部56がインサート成形後にめっき加工された後に破断されることにより破断面S6を形成している。
また、この破断面S6にめっき加工されるめっき部分の第4厚みT8は、第2厚みT6よりも小さく、0になるように設定されている(T6>T8=0)。
【0023】
つぎに、
図9A及び
図9Bのそれぞれは、本実施形態による電気コネクタ1のレセプタクルコネクタ4の第1補強金具20部分について、その相手コネクタ側(プラグコネクタ6側)から見た部分拡大斜視図、及び、その被実装物2の第1被実装部2A側から見た部分拡大斜視図である。
図9A及び
図9Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1補強金具20は、被実装物2の第1被実装部2Aに実装される第1実装部66を備えている。この第1実装部66は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図9A及び
図9Bに示す第1実装部66の下側、第1被実装部2A側)に設けられて第1被実装部2Aの第1被実装面S1と対向する第1実装面S7を形成する第1面68を備えている。
また、第1実装部66は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の他方側(
図9A及び
図9Bに示す第1実装部66の上側)に設けられて第1実装面S7に対して厚み方向(Z方向)の反対側に位置する第2面70を備えている。
さらに、第1実装部66の第1面68及び第2面70のそれぞれは、第1金具12が第1ハウジング8に対してインサート成形され、第1ハウジング8によって保持された後にめっき加工されるようになっている。
このとき、第1実装部66の第1面68にめっき加工されためっき部分の第1厚みT9は、第2面70にめっき加工されためっき部分の第2厚みT10よりも大きくなるように設定されている(T9>T10)。
なお、第1厚みT9については、0.05[μm]~0.08[μm]に設定されることが好ましく、第2厚みT10については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0024】
つぎに、
図9A及び
図9Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1補強金具20の第1実装部66は、さらに、その第1面68及び第2面70のそれぞれに対して、厚み方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向又はY方向)の両側に設けられた第3面72を備えている。
この第3面72は、インサート成形後にめっき加工されためっき部分の第3厚みT11を備えている。
また、この第3厚みT11は、第1厚みT9よりも小さくなるように設定され、かつ、第2厚みT10よりも大きくなるように設定されている(T9>T11>T10)。
なお、第3厚みT11については、0.05[μm]~0.06[μm]に設定されることが好ましい。
【0025】
つぎに、
図9A及び
図9Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1補強金具20の第1実装部66は、さらに、その第1面68、第2面70、及び、第3面72のそれぞれ対して直交する第4面74を備えている。
この第4面74は、第1実装部66がインサート成形後にめっき加工された後に破断されることにより破断面S8を形成している。
また、この破断面S8にめっき加工されるめっき部分の第4厚みT12は、第2厚みT10よりも小さく、0になるように設定されている(T10>T12=0)。
【0026】
つぎに、
図10A及び
図10Bのそれぞれは、本実施形態による電気コネクタ1のプラグコネクタ6の第2補強金具22部分について、その相手コネクタ側(レセプタクルコネクタ4側)から見た部分拡大斜視図、及び、その被実装物2の第2被実装部2B側から見た部分拡大斜視図である。
図10A及び
図10Bに示すように、プラグコネクタ6の第2補強金具22は、被実装物2の第2被実装部2Bに実装される第2実装部76を備えている。この第2実装部76は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の一方側(
図10A及び
図10Bに示す第2実装部76の上側、第2被実装部2B側)に設けられて第2被実装部2Bの第2被実装面S2と対向する第2実装面S9を形成する第1面78を備えている。
また、第2実装部76は、その薄板状の母材の厚み方向(Z方向)の他方側(
図10A及び
図10Bに示す第2実装部76の下側)に設けられて第2実装面S9に対して厚み方向(Z方向)の反対側に位置する第2面80を備えている。
さらに、第2実装部76の第1面78及び第2面80のそれぞれは、第2金具14が第2ハウジング10に対してインサート成形され、第2ハウジング10によって保持された後にめっき加工されるようになっている。
このとき、第2実装部76の第1面78にめっき加工されためっき部分の第1厚みT13は、第2面80にめっき加工されためっき部分の第2厚みT14よりも大きくなるように設定されている(T13>T14)。
なお、第1厚みT13については、0.05[μm]~0.08[μm]に設定されることが好ましく、第2厚みT14については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0027】
つぎに、
図10A及び
図10Bに示すように、プラグコネクタ6の第2補強金具22の第2実装部76は、さらに、その第1面78及び第2面80のそれぞれに対して、厚み方向(Z方向)に対して直交する方向(X方向又はY方向)の両側に設けられた第3面82を備えている。
この第3面82は、インサート成形後にめっき加工されためっき部分の第3厚みT15を備えている。
また、この第3厚みT15は、第1厚みT13よりも小さくなるように設定され、かつ、第2厚みT14よりも大きくなるように設定されている(T13>T15>T14)。
なお、第3厚みT15については、0.05[μm]~0.06[μm]に設定されることが好ましい。
【0028】
つぎに、
図10A及び
図10Bに示すように、プラグコネクタ6の第2補強金具22の第2実装部76は、さらに、その第1面78、第2面80、及び、第3面82のそれぞれ対して直交する第4面84を備えている。
この第4面84は、第2実装部76がインサート成形後にめっき加工された後に破断されることにより破断面S10を形成している。
また、この破断面S10にめっき加工されるめっき部分の第4厚みT16は、第2厚みT14よりも小さく、0になるように設定されている(T14>T16=0)。
【0029】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16は、第1実装部46である実装壁部46を備えており、さらに、この実装壁部46からレセプタクルコネクタ4におけるZ方向に延びる中心軸線C1側に向かって、概ね5つの壁部86,88,90,92,94(第1壁部86、第2壁部88、第3壁部90、第4壁部92,第5壁部94)を備えている。
すなわち、第1壁部86は、第1実装部46の破断面S4に対してX方向に対向する側(反対側)の接続部86aからZ方向(嵌合方向Z1)に屈曲して所定距離延びた後、第2壁部88に接続されている。
そして、第2壁部88は、第1壁部86との接続部88aから
図7Cの側面視においてU字形で湾曲状に屈曲することにより、嵌合解除方向Z2にUターンして第3壁部90に接続されている。
また、第3壁部90は、第2壁部88との接続部90aから第1壁部86に対してX方向に対向するようにZ方向(嵌合解除方向Z2)に延びた後、第4壁部92に接続されている。
さらに、第4壁部92は、第3壁部90との接続部92aからレセプタクルコネクタ4の中心軸線C1側に向かってX方向に屈曲して所定距離延びた後、第5壁部94に接続されている。
そして、第5壁部94は、第4壁部92との接続部94aから、第1実装面S3に対して直交する第1方向であるZ方向(嵌合方向Z1)に屈曲して所定距離延びている。この第5壁部94は、相手端子(第2端子)18と主体的にかつ弾性的に接触可能な第1接点(メイン接点)P1を含む壁面S11を形成しており、弾性接触片としても機能している。
【0030】
また、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16の第3壁部90は、第1壁部86に対してX方向に対向しており、第1壁部86、第2壁部88、及び、第3壁部90によって囲まれる内部領域A1には、レセプタクルコネクタ4の第1ハウジング8の周壁28の長手壁30が設けられている。
さらに、レセプタクルコネクタ4の第1端子16の第3壁部90は、第5壁部94に対してもX方向に対向しており、第3壁部90、第4壁部92、及び、第5壁部94によって囲まれる内部領域A2は、相手側のプラグコネクタ6をレセプタクルコネクタ4に嵌合させた際に、プラグコネクタ6の第2ハウジング10の第2端子18を受け入れて接触可能にする凹状の第1嵌合領域A2となっており、第1嵌合凹部42を形成している。
すなわち、第3壁部90は、第5壁部94に対して第1方向(嵌合方向Z1)と直交する第2方向(X方向)に対向するように設けられ、相手端子(第2端子18)に応じて非接触又は補助的に接触可能な第2接点(サブ接点)P2を含む壁面S12を形成している。
プラグコネクタ6を嵌合させた状態のレセプタクルコネクタ4においては、第1端子16のこれらの第1接点(メイン接点)P1及び第2接点(サブ接点)P2により、第1端子16と相手端子(第2端子18)とが、互いに少なくとも2つの接点P1,P2(メイン接点P1、サブ接点P2)によって接触するようになっている。
【0031】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1端子16の第2壁部88は、第1実装部46に対して第1方向(嵌合方向Z1)の遠位側端部(接続部88a)に設けられて、かつ、第1実装面S3に対して第1方向(嵌合方向Z1)に離間して第1ハウジング8に対して非接触である露出面S13を形成している。
また、第5壁部94の壁面S11及び第2壁部88の露出面S13のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。そして、第5壁部94の壁面S11にめっき加工されためっき部分の厚みT17は、第2壁部88の露出面S13にめっき加工されためっき部分の厚みT18よりも大きく設定されている(T17>T18)。
なお、厚みT17については、0.05[μm]以上に設定されることが好ましく、厚みT18については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0032】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、第1端子16の第1実装部46における第1実装面S3にめっき加工されためっき部分の第1厚みT1は、第5壁部94の壁面S11の厚みT17よりも小さく、かつ、第2壁部88の露出面S13の厚みT18よりも大きく設定されている(T17>T1>T18)。
また、第1端子16の第3壁部90の壁面S12は、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。この第3壁部90の壁面S12にめっき加工されためっき部分のT19は、第5壁部94の壁面S11の厚みT17以下、かつ、第2壁部88の露出面S13の厚みT18よりも大きく設定されている(T17≧T19>T18)、又は、第5壁部94の壁面S11の厚みT17以上に設定されている(T19≧T17)。
なお、第1端子16の第5壁部94の壁面S11の第1接点(メイン接点)P1及び第3壁部90の壁面S12の第2接点(サブ接点)P2を含む第1端子16の少なくとも二つの接点P1,P2が、後述する相手側の第2端子18の第1接点(メイン接点)P3及び第2接点(サブ接点)P4のそれぞれと接触する、いわゆる、複数接点(少なくとも二点接点)による接触が行わる場合には、厚みT19については、0.05[μm]以下に設定されることが好ましい。
一方、第1端子16の第5壁部94の壁面S11の第1接点(メイン接点)P1のみの単一の接点P1が、後述する相手側の第2端子18の第1接点(メイン接点)P3のみと接触する、いわゆる、単一接点(一点接点)による接触が行わる場合には、厚みT19については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0033】
つぎに、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、第1端子16の第3壁部90は、さらに、その壁面S12に対して第1方向(嵌合方向Z1)と直交する第2方向(X方向)の反対側に設けられて第1ハウジング8の周壁28の長手壁30の一部と接触する接触面を含む壁面S14を備えている。
また、
図3及び
図7A~
図7Cに示すように、第1端子16の第3壁部90は、さらに、第3壁部90の壁面S14とX方向に対向しかつ第1ハウジング8の周壁28の長手壁30の一部と接触する接触面を含む壁面S15を備えている。
これらの第1端子16の第3壁部90の壁面S14及び第1壁部86の壁面S15においては、インサート成形後にめっき加工されるめっき部分の厚みT20が0に設定されている(T20=0)。
【0034】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18は、第2実装部56である実装壁部56を備えており、さらに、この実装壁部56から、プラグコネクタ6におけるZ方向に延びる中心軸線C2側に向かって、概ね3つの壁部96,98,100(第1壁部96、第2壁部98、第3壁部100)を備えている。
ここで、プラグコネクタ6におけるZ方向に延びる中心軸線C2は、レセプタクルコネクタ4のZ方向に延びる中心軸線C1に一致している。
また、第1壁部96は、第2実装部56の破断面S6に対してX方向に対向する側(反対側)の接続部96aからZ方向(嵌合方向Z1)に屈曲して所定距離延びた後、第2壁部98に接続されている。
そして、第2壁部98は、第1壁部96との接続部98aからX方向に屈曲して第3壁部100との接続部100aまで延びている。
また、第3壁部100は、第2壁部98との接続部100aから第1壁部96に対してX方向に対向するようにZ方向(嵌合解除方向Z2)に延びている。
ちなみに、第1壁部96は、相手端子(第1端子)16の第5壁部94の壁面S11と主体的にかつ弾性的に接触可能な第1接点(メイン接点)P3を含む壁面S16を形成している。
ここで、
図3及び
図8Cに示すように、第2端子18において、第2実装部56との接続部96aからZ方向(嵌合方向Z1)に屈曲した第1壁部96が、第2壁部98との接続部98aまでZ方向(嵌合方向Z1)延びた後にX方向に屈曲した形状であり、そして、第2壁部98が第3壁部100との接続部100aまでX方向に延びた後にZ方向(嵌合解除方向Z2)に屈曲した形状であり、第3壁部100が嵌合解除方向Z2に延びている形状となっている。これらの第2端子18の各壁部56,96,98,100からなる形状は、
図8Cの側面視において各接続部98a,100aにおいて屈曲してUターンする概ねU字形又はJ字形の形状となっており、プラグコネクタ6の中心軸線C2に対して内側から外側に巻かれた形状(いわゆる、内巻き形状)となっている。
【0035】
また、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18の第1壁部96及び第3壁部100は、互いにX方向に対向しており、第1壁部96、第2壁部98、及び、第3壁部100によって囲まれる内部領域A3には、プラグコネクタ6の第2ハウジング10の周壁36の長手壁38が設けられている。
さらに、プラグコネクタ6の第2端子18の第1壁部96、第2壁部98、及び、第3壁部100は、相手側のレセプタクルコネクタ4とプラグコネクタ6とを嵌合させた際に、相手側コネクタ4(レセプタクルコネクタ4)の第1嵌合凹部42内に嵌合可能な嵌合凸部102を形成する嵌合領域A4となっている。
すなわち、第3壁部100は、第1壁部96に対して第1方向(嵌合方向Z1)と直交する第2方向(X方向)に対向するように設けられ、相手端子(第1端子16)に応じて非接触又は補助的に接触可能な第2接点(サブ接点)P4を含む壁面S17を形成している。
これにより、レセプタクルコネクタ4及びプラグコネクタ6を互いに嵌合方向Z1に嵌合させた場合には、第2端子18の嵌合凸部102がレセプタクルコネクタ4の第1嵌合凹部42内に嵌合する共に、第1端子16の壁部94がプラグコネクタ6の第2ハウジング10の第2嵌合凹部44内に嵌合するようになっている。そして、第1端子16の第1接点(メイン接点)P1及び第2接点(サブ接点)P2のそれぞれが、第2端子18の第1接点(メイン接点)P3及び第2接点(サブ接点)P4のそれぞれと接触し、第1端子16と第2端子18とが互いに少なくとも2つの接点で接触するようになっている。
【0036】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、プラグコネクタ6の第2端子18の第2壁部98は、第2実装部56に対して第1方向(嵌合方向Z1)の遠位側端部(接続部98a)に設けられて、かつ、第2実装面S5に対して第1方向(嵌合方向Z1)に離間して第2ハウジング10に対して非接触である露出面S18を形成している。
また、第1壁部96の壁面S16及び第2壁部98の露出面S18のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。そして、第1壁部96の壁面S16にめっき加工されためっき部分の厚みT21は、第2壁部98の露出面S18にめっき加工されためっき部分の厚みT22よりも大きく設定されている(T21>T22)。
なお、厚みT21については、0.05[μm]以上に設定されることが好ましく、厚みT22については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0037】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、第2端子18の第2実装部56における第2実装面S5にめっき加工されためっき部分の第1厚みT5は、第1壁部96の壁面S16の厚みT21よりも小さく、かつ、第2壁部98の露出面S18の厚みT22よりも大きく設定されている(T21>T5>T22)。
また、第2端子18の第3壁部100の壁面S17は、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。この第3壁部100の壁面S17にめっき加工されためっき部分のT23は、第1壁部96の壁面S16の厚みT21以下、かつ、第2壁部98の露出面S18の厚みT22よりも大きく設定されている(T21≧T23>T22)、又は、第1壁部96の壁面S16の厚みT21以上に設定されている(T23≧T21)。
なお、第2端子18の第1壁部96の壁面S16の第1接点(メイン接点)P3及び第3壁部100の壁面S17の第2接点(サブ接点)P4を含む第2端子18の少なくとも二つの接点P3,P4が、相手側の第1端子16の第1接点(メイン接点)P1及び第2接点(サブ接点)P2のそれぞれと接触する、いわゆる、複数接点(少なくとも二点接点)による接触が行わる場合には、厚みT23については、0.05[μm]以下に設定されることが好ましい。
一方、第2端子18の第1壁部96の壁面S16の第1接点(メイン接点)P3のみの単一の接点P3が、相手側の第1端子16の第1接点(メイン接点)P1のみと接触する、いわゆる、単一接点(一点接点)による接触が行わる場合には、厚みT23については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0038】
つぎに、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、第2端子18の第3壁部100は、さらに、その壁面S17に対して第1方向(嵌合方向Z1)と直交する第2方向(X方向)の反対側に設けられて第2ハウジング10の周壁36の長手壁38の一部と接触する接触面を含む壁面S19を備えている。
また、
図3及び
図8A~
図8Cに示すように、第2端子18の第1壁部96は、さらに、第3壁部90の壁面S19とX方向に対向しかつ第2ハウジング10の周壁36の長手壁38の一部と接触する接触面を含む壁面S20を備えている。
これらの第2端子18の第3壁部100の壁面S19及び第1壁部96の壁面S20においては、インサート成形後にめっき加工されるめっき部分の厚みT24が0に設定されている(T24=0)。
【0039】
つぎに、
図5A、
図5B、
図9A、及び、
図9Bに示すように、レセプタクルコネクタ4の第1金具12の第1補強金具20は、第1実装部66である実装壁部66を備えている。
また、第1補強金具20は、さらに、この実装壁部66に対してZ1方向側において、第1ハウジング8の長手壁30の一部と接触しかつ
図7A~
図7Cに示す第1端子16と同様な端子を形成する概ね5つの壁部86,88,90,92,94(第1壁部86、第2壁部88、第3壁部90、第4壁部92、第5壁部94)を備えている。
さらに、第1補強金具20は、第1ハウジング8の短手壁32の一部と接触する概ね4つの壁部104,106,108,110(第1壁部104、第2壁部106、第3壁部108、第4壁部110)を備えている。
まず、第1補強金具20の第1壁部86,104のそれぞれは、そのZ2方向側に第1実装部66が設けられ、この第1実装部66の第1実装面S7に対して直交する第1方向(Z1方向)に屈曲して所定距離突出するように設けられている。
また、第1壁部86,104のそれぞれは、第1実装部66に対してZ1方向に離間した第2壁部88,106との接続部88a,106aの位置において、X方向及びY方向のそれぞれにも屈曲するようにも形成されている。
つぎに、第2壁部106は、第1壁部104のX方向の中央部においてX方向に所定長さに亘って設けられると共に、第1壁部104のZ1方向の一端の接続部106aからZ1方向かつY2方向に凸湾曲状に突出するように形成されている。これにより、第2壁部106は、第1壁部104における第1実装部66に対して第1方向(Z1方向)の遠位側端部に設けられている。
また、第2壁部88,106のそれぞれは、そのZ1方向側の壁面S13,S21が第1実装面S7に対して第1方向(Z1方向)に離間して第1ハウジング8に対して非接触である露出面S13,S21を形成している。
さらに、第1補強金具20の第1実装部66の第1実装面S7及び第2壁部88,106の露出面S13,S21のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。
そして、第1補強金具20の第1実装部66の第1実装面S7にめっき加工されためっき部分の第1厚みT9は、第2壁部88,106の露出面S13,S21にめっき加工されためっき部分の第2厚みT18,T25よりも大きく設定されている(T9>T18,T25)。
ここで、第1厚みT9については、0.05[μm]以上0.08[μm]未満に設定されることが好ましく、第2厚みT18,T25については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0040】
つぎに、
図7C、
図9A及び
図9Bに示すように、第1補強金具20の第3壁部90,108のそれぞれは、第2壁部88,106のX方向及びY方向のそれぞれ一端の接続部90a,108aからZ2方向に所定距離延びるように形成されており、第1壁部86,104のそれぞれに対してX方向及びY方向のそれぞれに対向するように設けられている。
また、第1補強金具20の第4壁部110は、第1壁部104のX方向の中央部におけるZ2方向の一端からY1方向に所定距離延びる壁部110aと、この壁部110aのY1方向の一端からZ1方向に屈曲して所定距離延びる壁部110bと、この壁部110bのZ1方向の一端からZ1方向かつY1方向に凸湾曲状に突出するように形成された後にZ2方向に折り返して延びる壁部110cとを備えている。
さらに、第1壁部86,104及び第3壁部90,108のそれぞれは、さらに、X方向及びY方向のそれぞれに互いに対向するように設けられた対向壁面S14,S15及び対向壁面S22,S23をそれぞれ備えている。
また、第1壁部86,104及び第3壁部90,108の各対向壁面S14,S15,S22,S23、並びに、第2壁部88,106におけるZ2方向側の壁面S13’,S24のそれぞれは、第1ハウジング8の周壁28の長手壁30及び短手壁32のそれぞれの一部と接触する接触面を含む。
ここで、第1壁部86,104及び第3壁部90,108の各対向壁面S14,S15及び対向壁面S22,S23、並びに、第2壁部88,106におけるZ2方向側の壁面S13’,S24のそれぞれにおいて、インサート成形後にめっき加工されるめっき部分の厚みT20,T26は0になるように設定されている(T20,T26=0)。
【0041】
また、
図5A、
図5B、
図9A、及び、
図9Bに示すように、第1金具12の第1補強金具20は、第1実装部66を含む実装側金具部20aと、第2壁部88,106を含む露出側金具部20bとを備えている。
本実施形態の第1金具12の第1補強金具20においては、各補強金具部20a,20bが互いに共通の母材で一体に設けられているが、互いに別体になるように分離して設けられていてもよい。
【0042】
つぎに、
図6A、
図6B、
図10A、及び、
図10Bに示すように、プラグコネクタ6の第2金具14の第2補強金具22は、第2実装部76である実装壁部76を備えている。
また、第2補強金具22は、さらに、この実装壁部76に対してZ1方向側において、第2ハウジング10の長手壁38の一部と接触しかつ
図8A~
図8Cに示す第2端子18と同様な端子を形成する概ね3つの壁部96,98,100(第1壁部96、第2壁部98、第3壁部100)を備えている。
さらに、第2補強金具22は、第2ハウジング10の短手壁40の一部と接触する概ね4つの壁部112,114,116,118(第1壁部112、第2壁部114、第3壁部116、接続壁部118)を備えている。
まず、第2補強金具22の第1壁部96,112のそれぞれは、そのZ2方向側の第2実装部76との接続部96a,112aのそれぞれから、第2実装部76の第2実装面S9に対して直交する第1方向(Z1方向)に屈曲して所定距離延びるように設けられている。
また、第2補強金具22の第1壁部112は、隣接する第2端子18の第1壁部96に対して接続壁部118によって接続されている。
つぎに、第2補強金具22の第2壁部98,114のそれぞれは、第1壁部96,112のZ1方向のそれぞれの一端の接続部98a,114aからX方向及びY方向のそれぞれに屈曲した後、Z1方向かつY2方向に凸湾曲状に突出するように形成されている。これにより、第2壁部98,114は、第1壁部96,112における第2実装部76に対して第1方向(Z1方向)の遠位側端部に設けられている。
さらに、第2壁部98,114は、そのZ1方向側の壁面S18,S25が第2実装面S9に対して第1方向(Z1方向)に離間して第2ハウジング10に対して非接触である露出面S18,S25を形成している。
ここで、第2補強金具22の第2実装部76の第2実装面S9及び第2壁部98,114の露出面S18,S25のそれぞれは、インサート成形後にめっき加工されるようになっている。
そして、第2補強金具22の第2実装部76の第2実装面S9にめっき加工されためっき部分の第1厚みT13は、第2壁部98,114の露出面S18,S25にめっき加工されためっき部分の第2厚みT22,T27よりも大きく設定されている(T13>T22,T27)。
なお、第1厚みT13については、0.05[μm]以上0.08[μm]未満に設定されることが好ましく、第2厚みT22,T27については、0.03[μm]以下に設定されることが好ましい。
【0043】
つぎに、
図8C、
図10A及び
図10Bに示すように、第2補強金具22の第3壁部100,116のそれぞれは、第2壁部98,114のX方向及びY2方向のそれぞれ一端の接続部100a,116aからZ2方向に所定距離延びるように形成されており、第1壁部96,112に対してX方向及びY方向のそれぞれに対向するように設けられている。
また、第1壁部96,112及び第3壁部100,116のそれぞれは、さらに、X方向及びY方向のそれぞれに互いに対向するように設けられた対向壁面S19,S20,S26,S27をそれぞれ備えている。
また、第1壁部96,112及び第3壁部100,116の各対向壁面S19,S20及びS26,S27、並びに、第2壁部98,114におけるZ2方向側の壁面S18’,S28のそれぞれは、第2ハウジング10の周壁36の長手壁38及び短手壁40のそれぞれの一部と接触する接触面を含む。
ここで、第1壁部96,112及び第3壁部100,116の各対向壁面S19,S20及びS26,S27、並びに、第2壁部98,114におけるZ2方向側の壁面S18’,S28のそれぞれにおいて、インサート成形後にめっき加工されるめっき部分の厚みT24,T28は0になるように設定されている(T24,T28=0)。
【0044】
また、
図6A、
図6B、
図10A、及び、
図10Bに示すように、第2金具14の第2補強金具22は、第2実装部76を含む実装側金具部22aと、第2壁部98,114を含む露出側金具部22bとを備えている。
本実施形態の第2金具14の第2補強金具22においては、各補強金具部22a,22bが互いに共通の母材で一体に設けられているが、互いに別体になるように分離して設けられていてもよい。
【0045】
ここで、上述した本実施形態の電気コネクタ1の各コネクタ4,6における各金具12,14の各補強金具20,22については、それぞれに対応する各ハウジング8,10を補強する機能を有することに限られず、各コネクタ4,6の一部をシールドするシールド金具であってもよい。
或いは、各金具12,14の各補強金具20,22については、各コネクタ4,6が相手側のコネクタ4,6と嵌合した際に、互いの補強金具20,22同士をロック(係止)する機能を有するものや、相手側の補強金具20,22と接触して電気的に導通する電源端子としての機能を有するものであってもよい。
また、上述した本実施形態の電気コネクタ1の各金具12,14の各実装部46,56,66,76に対する部分的なめっき加工に用いられるめっきの材料としては、特に、導電性や半田濡れ性が比較的高い材料を採用することが好ましい。具体的には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、又は、パラジウム(Pd)等の貴金属等を採用することが好ましく、最低限でも金(Au)を採用した、いわゆる、「金めっき」による部分的なめっき加工を行うことが好ましい。
なお、このめっきの材料として採用する金としては、純金(100%Au)に限られず、Auを主成分とする材料であって、その他の金属がある程度含まれていてもよい。
さらに、各金具12,14の各実装部46,56,66,76の第1面48,58,68,78、第2面50,60,70,80、第3面52,62,72,82、及び、第4面54,64,74,84のそれぞれのめっき部分の第1厚みT1,T5,T9,T13、第2厚みT2,T6,T10,T14、第3厚みT3,T7,T11,T15、及び、第4厚みT4,T8,T12,T16の測定については、周知技術である蛍光X線分析法(XRF)、或いは、走査電子顕微鏡(SEM)によって測定可能である。
また、金具12,14のうち、ハウジング8,10の樹脂と密着している部分については、地金(銅合金)となっているが、下地めっきとして、ニッケル(Ni)が施されていてもよい。
【0046】
さらに、インサート成形により各ハウジング8,10に一体成形された後に、各ハウジング8,10によって保持された各金具12,14に対して部分的にめっき加工を行う方法については、例えば、特開2013-213248号公報等に記載されているように、周知技術となっている。
簡単に説明すると、インサート成形により各ハウジング8,10に対して一体成形された各金具12,14の薄板状の母材が、めっき液を内部に収容する円筒形の支持体ドラムの外周面に巻き付けられている。そして、この支持体ドラムが回転すると、各金具12,14の薄板状の母材が送られると共に、支持体ドラムの外周面のめっき孔から、これに対向している各金具12,14の所定のめっき領域に向かってめっき液が噴出されることによって、各金具12,14の所定のめっき領域にめっき加工が行われるようになっている。
【0047】
つぎに、
図1~
図10Bを参照して、本発明の一実施形態による電気コネクタ1の作用効果について説明する。
まず、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各金具12,14がインサート成形によって各ハウジング8,10に対して一体成形され、各ハウジング8,10によって一体的に保持された後に、その金具12,14の表面に対して部分的にめっき加工が行われる。
これにより、電気コネクタ1の製造時に予め金具12,14に対してめっき加工が行われた後に、このめっき加工が行われた金具12,14を各ハウジング8,10に圧入する等の工程を採用した場合に比べて、製造効率を向上させることができる。
また、めっき加工が必要となる各金具12,14の表面の一部のみに部分的にめっき加工を行うだけで、各金具12,14の表面全体に対してめっき加工を行う必要がないため、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
特に、めっき加工に使用されるめっきとして、比較的導電性が高い高価なめっきや、比較的半田濡れ性が高い高価なめっきを採用した場合であっても、めっき加工を行う部分が各金具12,14の表面の一部のみに限られるため、製造コストを効果的に抑制することができる。
さらに、各金具12,14の表面に対して部分的にめっき加工が行われる際には、少なくとも各補強金具20,22の実装部66,76の実装面S7,S9に対してめっき加工が行われると共に、各補強金具20,22の壁部88,98,106,114における各ハウジング8,10に対して非接触である露出面S13,S18,S21,S25に対してめっき加工が行われる。
このとき、各補強金具20,22の実装部66,76の実装面S7,S9にめっき加工されためっき部分の厚みT9,T13について、各補強金具20,22の壁部88,98,106,114の露出面S13,S18,S21,S25にめっき加工されためっき部分の厚みT18,T22,T25,T27よりも大きく設定されている(T9>T18,T25、T13>T22,T27)。
これにより、各補強金具20,22の実装部66,76の実装面S7,S9の電気抵抗を抑制し、導電性を高めることができると共に、各補強金具20,22の実装部66,76の実装面S7,S9における厚みT9,T13のめっき部分の半田濡れ性を良好にすることができる。
一方、各ハウジング8,10に対して非接触であって、各補強金具20,22の実装部66,76の実装面S7,S9に比べてめっき加工される壁部88,98,106,114の露出面S13,S18,S21,S25のめっき厚(厚みT18,T22,T25,T27)を抑制することができるため、めっき加工等に関わる製造コストを抑制することができる。
これらの結果、各ハウジング8,10に対して一体成形されて保持される金具12,14の各部について、その用途に応じためっき厚の重み付けによる部分的なめっき加工により、電気コネクタの電気特性を高めつつ、製造コストを抑制することができる。
【0048】
つぎに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各ハウジング8,10の一部と接触する接触面として機能するだけの各補強金具20,22の第1壁部86,96,104,112及び第3壁部90,100,108,116の各対向壁面S14,S15,S19,S20,S22,S23,S26,S27、並びに、第2壁部88,98,106,114におけるZ2方向側の壁面S24,S28のそれぞれについては、その導電性や半田濡れ性に配慮しなくてもよい。
したがって、加工されるめっき部分の厚みT20,T24,T26,T28を0にすることにより、めっき加工を省略することができ、製造コストを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各補強金具20,22の実装部66,67の実装面S7,S9を含む実装側金具部20a,22aと、第2壁部88,98,106,114の露出面S13,S18,S21,S25を含む露出側金具部20b,22bとが互いに一体又は別体に設けられている。
これにより、電気コネクタ1の製造効率を向上させることができ、製造コストも抑制することができる。
【0050】
つぎに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各金具12,14に対して、最低限でも金(Au)を採用した、いわゆる、「金めっき」による部分的なめっき加工が行われている。
このような金めっきにより、各金具12,14における導電性や耐久性を確保することができる。
また、比較的高価な金めっきを採用しためっき加工を部分的な箇所に制限することにより、製造コストを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態による電気コネクタ1によれば、レセプタクルコネクタ4の金具12の補強金具20に対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、レセプタクルコネクタ4において、金具12の補強金具20おける導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0052】
さらに、本実施形態による電気コネクタ1によれば、プラグコネクタ6の金具14の補強金具22に対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、プラグコネクタ6において、金具14の補強金具22における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態による電気コネクタ1によれば、各金具12,14が各端子16,18及び各補強金具20,22からなり、これらに対して、部分的なめっき加工が行われている。
これにより、各金具12,14の各端子16,18及び各補強金具20,22における導電性や耐久性を確保しつつ、製造コストを抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 本発明の一実施形態による電気コネクタ
2 被実装物
2A 第1被実装部
2B 第2被実装部
4 レセプタクルコネクタ
6 プラグコネクタ
8 第1ハウジング
10 第2ハウジング
12 第1金具
14 第2金具
16 第1端子(端子)
18 第2端子(端子)
20 第1補強金具(補強金具)
20a 実装側金具部
20b 露出側金具部
22 第2補強金具(補強金具)
22a 実装側金具部
22b 露出側金具部
24 第1ハウジングの底壁
26 第1ハウジングの突壁
28 第1ハウジングの周壁
30 第1ハウジングの周壁の長手壁
32 第1ハウジングの周壁の短手壁
34 第2ハウジングの底壁
36 第2ハウジングの周壁
38 第2ハウジングの周壁の長手壁
40 第2ハウジングの周壁の短手壁
42 第1ハウジングの第1嵌合凹部
44 第2ハウジングの第2嵌合凹部
46 第1端子の第1実装部、実装壁部(金具の実装部)
48 第1端子の第1実装部の第1面(金具の実装部の第1面)
50 第1端子の第1実装部の第2面(金具の実装部の第2面)
52 第1端子の第1実装部の第3面(金具の実装部の第3面)
54 第1端子の第1実装部の第4面(金具の実装部の第4面)
56 第2端子の第2実装部、実装壁部(金具の実装部)
58 第2端子の第2実装部の第1面(金具の実装部の第1面)
60 第2端子の第2実装部の第2面(金具の実装部の第2面)
62 第2端子の第2実装部の第3面(金具の実装部の第3面)
64 第2端子の第2実装部の第4面(金具の実装部の第4面)
66 第1補強金具の第1実装部(金具の実装部)
68 第1補強金具の第1実装部の第1面(金具の実装部の第1面)
70 第1補強金具の第1実装部の第2面(金具の実装部の第2面)
72 第1補強金具の第1実装部の第3面(金具の実装部の第3面)
74 第1補強金具の第1実装部の第4面(金具の実装部の第4面)
76 第2補強金具の第2実装部(金具の実装部)
78 第2補強金具の第2実装部の第1面(金具の実装部の第1面)
80 第2補強金具の第2実装部の第2面(金具の実装部の第2面)
82 第2補強金具の第2実装部の第3面(金具の実装部の第3面)
84 第2補強金具の第2実装部の第4面(金具の実装部の第4面)
86 第1端子の第1壁部
86a 接続部
88 第1端子の第2壁部(端子の第3壁部)
88a 接続部
90 第1端子の第3壁部(端子の第2壁部)
90a 接続部
92 第1端子の第4壁部
92a 接続部
94 第1端子の第5壁部(端子の第1壁部)
94a 接続部
96 第2端子の第1壁部(端子の第1壁部)
96a 接続部
98 第2端子の第2壁部(端子の第3壁部)
98a 接続部
100 第2端子の第3壁部(端子の第2壁部)
100a 接続部
102 第2端子の嵌合凸部
104 第1補強金具の第1壁部
106 第1補強金具の第2壁部
108 第1補強金具の第3壁部
110 第1補強金具の第4壁部
112 第2補強金具の第1壁部
112a 接続部
114 第2補強金具の第2壁部
114a 接続部
116 第2補強金具の第3壁部
116a 接続部
118 第2端子と第2補強金具との接続壁部
A1 レセプタクルコネクタの第1端子の第1壁部、第2壁部、及び、第3壁部によって囲まれる内部領域
A2 レセプタクルコネクタの第1端子の第3壁部、第4壁部、及び、第5壁部によって囲まれる内部領域、凹状の第1嵌合領域
A3 プラグコネクタの第2端子の第1壁部、第2壁部、及び、第3壁部によって囲まれる内部領域
A4 プラグコネクタの第2端子の第1壁部、第2壁部、及び、第3壁部によって形成される凸状の第2嵌合領域
C1 レセプタクルコネクタにおけるZ方向に延びる中心軸線
C2 プラグコネクタにおけるZ方向に延びる中心軸線
P1 第1端子の第5壁部の壁面の第1接点、メイン接点
P2 第1端子の第3壁部の壁面の第2接点、サブ接点
P3 第2端子の第1壁部の壁面の第1接点、メイン接点
P4 第2端子の第3壁部の壁面の第2接点、サブ接点
S1 第1被実装面
S2 第2被実装面
S3 第1端子の第1実装部の第1実装面(金具の実装部の実装面)
S4 第1端子の第1実装部の破断面(金具の実装部の破断面)
S5 第2端子の第2実装部の第2実装面(金具の実装部の実装面)
S6 第2端子の第2実装部の破断面(金具の実装部の破断面)
S7 第1補強金具の第1実装部の第1実装面(金具の実装部の実装面)
S8 第1補強金具の第1実装部の破断面(金具の実装部の破断面)
S9 第2補強金具の第2実装部の第2実装面(金具の実装部の実装面)
S10 第2補強金具の第2実装部の破断面(金具の実装部の破断面)
S11 第1端子の第5壁部の壁面(端子の第1壁部の第1壁面)
S12 第1端子の第3壁部の壁面(端子の第2壁部の第2壁面)
S13 第1端子の第2壁部の露出面(端子の第3壁部の露出面)
S13’第1端子の第2壁部の壁面
S14 第1端子の第3壁部の第1ハウジングとの接触面を含む壁面(端子の第2壁部の第3壁面)
S15 第1端子の第1壁部における第3壁部と対向する壁面
S16 第2端子の第1壁部の壁面(端子の第1壁部の第1壁面)
S17 第2端子の第3壁部の壁面(端子の第2壁部の第2壁面)
S18 第2端子の第2壁部の露出面(端子の第3壁部の露出面)
S18’第2端子の第2壁部の壁面
S19 第2端子の第3壁部の第2ハウジングとの接触面を含む壁面(端子の第2壁部の第3壁面)
S20 第2端子の第1壁部における第3壁部と対向する壁面
S21 第1補強金具の第2壁部の露出面
S22 第1補強金具の第1壁部の対向壁面(金具の第1壁部の壁面)
S23 第1補強金具の第3壁部の対向壁面
S24 第1補強金具の第2壁部の接触面
S25 第2補強金具の第2壁部の露出面
S26 第2補強金具の第1壁部の対向壁面(金具の第1壁部の壁面)
S27 第2補強金具の第3壁部の対向壁面
S28 第1補強金具の第2壁部の接触面
T1 第1端子の第1実装部の第1面(実装面)におけるめっき部分の第1厚み(金具の実装部の第1面のめっき部分の第1厚み、実装面にめっき加工されためっき部分の第3厚み)
T2 第1端子の第1実装部の第2面におけるめっき部分の第2厚み(金具の実装部の第2面のめっき部分の第2厚み)
T3 第1端子の第1実装部の第3面におけるめっき部分の第3厚み(金具の実装部の第3面のめっき部分の第3厚み)
T4 第1端子の第1実装部の第4面(破断面)におけるめっき部分の第4厚み(金具の実装部の第4面のめっき部分の第4厚み)
T5 第2端子の第2実装部の第1面(実装面)におけるめっき部分の第1厚み(金具の実装部の第1面のめっき部分の第1厚み)
T6 第2端子の第2実装部の第2面におけるめっき部分の第2厚み(金具の実装部の第2面のめっき部分の第2厚み)
T7 第2端子の第2実装部の第3面におけるめっき部分の第3厚み(金具の実装部の第3面のめっき部分の第3厚み)
T8 第2端子の第2実装部の第4面(破断面)におけるめっき部分の第4厚み(金具の実装部の第4面のめっき部分の第4厚み)
T9 第1補強金具の第1実装部の第1面(実装面)におけるめっき部分の第1厚み(金具の実装部の第1面のめっき部分の第1厚み)
T10 第1補強金具の第1実装部の第2面におけるめっき部分の第2厚み(金具の実装部の第2面のめっき部分の第2厚み)
T11 第1補強金具の第1実装部の第3面におけるめっき部分の第3厚み(金具の実装部の第3面のめっき部分の第3厚み)
T12 第1補強金具の第1実装部の第4面(破断面)におけるめっき部分の第4厚み(金具の実装部の第4面のめっき部分の第4厚み)
T13 第2補強金具の第2実装部の第1面(実装面)におけるめっき部分の第1厚み(金具の実装部の第1面のめっき部分の第1厚み)
T14 第2補強金具の第2実装部の第2面におけるめっき部分の第2厚み(金具の実装部の第2面のめっき部分の第2厚み)
T15 第2補強金具の第2実装部の第3面におけるめっき部分の第3厚み(金具の実装部の第3面のめっき部分の第3厚み)
T16 第2補強金具の第2実装部の第4面(破断面)におけるめっき部分の第4厚み(金具の実装部の第4面のめっき部分の第4厚み)
T17 第1端子の第5壁部の壁面におけるめっき部分の厚み(端子の第1壁部の第1壁面におけるめっき部分の第1厚み、第3厚み)
T18 第1端子の第2壁部の壁面におけるめっき部分の厚み(端子の第3壁部の露出面におけるめっき部分の第2厚み)
T19 第1端子の第3壁部の壁面におけるめっき部分の厚み(端子の第2壁部の第2壁面におけるめっき部分の第4厚み)
T20 第1端子の互いに対向する第1壁部の壁面及び第3壁部の壁面、並びに、第2壁部の壁面におけるめっき部分の厚み
T21 第2端子の第1壁部の壁面にめっき加工されためっき部分の厚み(端子の第1壁部の第1壁面におけるめっき部分の第1厚み、第3厚み)
T22 第2端子の第2壁部の露出面にめっき加工されためっき部分の厚み(端子の第3壁部の露出面におけるめっき部分の第2厚み)
T23 第2端子の第3壁部の壁面にめっき加工されためっき部分の厚み(端子の第2壁部の第2壁面におけるめっき部分の第4厚み)
T24 第2端子の互いに対向する第1壁部の壁面及び第3壁部の壁面におけるめっき部分の厚み
T25 第1補強金具の第2壁部の露出面におけるめっき部分の厚み
T26 第1補強金具の第1壁部及び第3壁部の各対向壁面、並びに、第2壁部の壁面(第1ハウジングとの接触面)におけるめっき部分の厚み
T27 第2補強金具の第2壁部の露出面におけるめっき部分の厚み
T28 第2補強金具の第1壁部及び第3壁部の各対向壁面、並びに、第2壁部の壁面(第2ハウジングとの接触面)におけるめっき部分の厚み
Z1 嵌合方向(実装面に対して直交する第1方向)
Z2 嵌合解除方向(実装面に対して直交する第1方向)