IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧 ▶ 五大開発株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-施工管理システム 図1
  • 特開-施工管理システム 図2
  • 特開-施工管理システム 図3
  • 特開-施工管理システム 図4
  • 特開-施工管理システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158409
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】施工管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241031BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073576
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】397057186
【氏名又は名称】五大開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】石濱 茂崇
(72)【発明者】
【氏名】天下井 哲生
(72)【発明者】
【氏名】畑本 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中須賀 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 亮
(72)【発明者】
【氏名】竹下 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】山森 一彦
(72)【発明者】
【氏名】崔 伶準
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 兎
(72)【発明者】
【氏名】仁田 真綾
(72)【発明者】
【氏名】関家 史郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】施工対象の進捗に応じた施工データを簡易に入力可能にし、また、施工対象を進捗に応じて管理する。
【解決手段】
建設・土木事業の施工を管理する施工管理システム1は、施工対象を所定の施工厚と施工進捗に応じた水平方向の輪郭とで定義される層状のブロックの単位の施工データで管理し、また、施工データに基づいて施工対象の施工状況をウェブアプリケーションによって提示する管理サーバ2と、ユーザーの操作に応じて、施工対象を構成するブロック毎に管理サーバ2に対する施工データの入力を可能にし、また、施工状況の提示を管理サーバ2から受け付けるユーザー端末4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設・土木事業の施工を管理する施工管理システムであって、
施工対象を所定の施工厚と施工進捗に応じた水平方向の輪郭とで定義される層状のブロックの単位の施工データで管理し、また、前記施工データに基づいて前記施工対象の施工状況をウェブアプリケーションによって提示する管理サーバと、
ユーザーの操作に応じて、前記施工対象を構成する前記ブロック毎に前記管理サーバに対する前記施工データの入力を可能にし、また、前記施工状況の提示を前記管理サーバから受け付けるユーザー端末と、
を備えることを特徴とする施工管理システム。
【請求項2】
前記ユーザー端末は、表計算ソフトウェアで作成されるファイルであって、1つ以上の前記ブロックの位置情報及び属性情報からなる前記施工データが記述された施工データファイルを所定のオンラインストレージにアップロードし、
前記管理サーバは、前記オンラインストレージにアップロードされた前記施工データファイルを取得して、当該施工データファイルに記述された前記施工データを管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記施工状況の提示として、前記施工データに基づいて前記施工対象を可視化した三次元モデルを表示する前記ウェブアプリケーションを提供し、
前記ユーザー端末は、前記ウェブアプリケーションによって前記三次元モデルをブラウザに画面表示し、
前記ウェブアプリケーションによって前記施工対象を構成する前記ブロックの選択を受け付けて、選択された前記ブロックを前記三次元モデルで強調して表示する強調表示機能と、選択された前記ブロックを前記三次元モデルで垂直方向に間隔を空けて表示する分離表示機能とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の施工管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記施工状況の提示として、1つ以上の前記ブロックの前記施工データに基づいて前記施工対象の1つ以上の前記ブロックの帳票ファイルを作成して所定のオンラインストレージに出力する前記ウェブアプリケーションを提供し、
前記ユーザー端末は、前記ウェブアプリケーションによって前記帳票ファイルのダウンロードを受け付けて、前記帳票ファイルを前記オンラインストレージからダウンロードする
ことを特徴とする請求項1に記載の施工管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設・土木事業の施工を管理する施工管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設・土木事業においての施工を管理する施工管理システムでは、BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)を適用して、計画、調査、設計、施工、管理等の各段階において施工データを共有して生産・管理システムの効率化を図っている。
【0003】
なお、特許文献1は、工事で構築される構造物の表示についての情報処理技術に関するもので、工事の作業項目ごとの予定期間を含む計画データを格納する計画格納手段から、計画データを取得する計画取得手段と、工事の作業項目に関連付けられた構造物の設計データを格納する設計格納手段から、設計データを取得する設計取得手段と、表示の基準時点を指定した表示要求を受け付けた場合に、基準時点までに終了予定である作業項目を計画データから抽出し、抽出した作業項目に関連付けられた設計データに基づいて、基準時点までに構築予定の構造物の表示に用いられる表示用データを生成する表示用データ生成手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムを開示している。
【0004】
また、特許文献2に開示される盛土施工管理支援システムは、土取場でバックホウによりダンプトラックに土砂を積み込み盛土場へ運び、荷下ろしし振動ローラにより締め固める盛土施工において、土取場及び盛土場で取得されクラウドサーバに送信される情報により盛土場情報を作成する。この盛土施工管理支援システムでは、盛土場をメッシュ状の複数のボクセルブロックに分割し、クラウドサーバに送られた情報により荷下ろしした土砂の位置及び土質の情報を示した荷下ろし土質情報を作成し、その荷下ろし土質情報と振動ローラで得られた転圧情報とによって各ボクセルブロックの土質を判定して盛土場情報を作成し、その盛土場情報の複数のボクセルブロックを視認可能な状態でモニタに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-143345号公報
【特許文献2】特開2022-135525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の施工管理システムでは、施工時や完了後にBIM/CIMを利用して、施工時の属性情報、外部参照ファイルを登録しているところ、自然環境の影響を受けやすい土木工事では施工時の進捗に応じたモデルを含めた情報を出力することが困難である。また、施工対象を所定の立方体等の一定形状のボクセルブロックに分割して多数のボクセルブロックの各データを管理するので、各ボクセルブロックをリンクさせることが複雑であり、施工対象を進捗に応じて管理することが困難である。
【0007】
従来技術の施工管理システムは、施工対象の施工データを管理してモデルを作成・出力するために、専用のソフトウェアを備える必要があり、また、施工対象の属性情報を入力したり施工対象の位置情報等とリンクさせたりする操作が必要となる。そのため、現場のユーザーによって施工対象の施工データを入力したり施工対象のモデルを作成・出力したりすることが困難であり、外注によって作業されることとなる。
【0008】
なお、従来技術の施工管理システムにおいて、施工対象のモデルを参照するためには専用のソフトウェアや高性能のPC(パーソナルコンピュータ)が必要となり、施工対象の施工データを共有するためにはこれらのソフトウェアやPCを各ユーザーが保有する必要があるので、施工管理システムを普及させることが困難である。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、施工対象の進捗に応じた施工データを簡易に入力可能にし、また、施工対象を進捗に応じて管理することができる施工管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の施工管理システムは、建設・土木事業の施工を管理する施工管理システムであって、施工対象を所定の施工厚と施工進捗に応じた水平方向の輪郭とで定義される層状のブロックの単位の施工データで管理し、また、前記施工データに基づいて前記施工対象の施工状況をウェブアプリケーションによって提示する管理サーバと、ユーザーの操作に応じて、前記施工対象を構成する前記ブロック毎に前記管理サーバに対する前記施工データの入力を可能にし、また、前記施工状況の提示を前記管理サーバから受け付けるユーザー端末と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、施工対象の進捗に応じた施工データを簡易に入力可能にし、また、施工対象を進捗に応じて管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る施工管理システムを示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る施工管理システムにおいて、施工モデルを表示した管理画面の例を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る施工管理システムにおいて、選択されたブロックを強調表示している施工モデルを表示した管理画面の例を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る施工管理システムにおいて、選択されたブロックを積層状態で分離表示している施工モデルを表示した管理画面の例を示す正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る施工管理システムにおいて、選択されたブロックを分散状態で分離表示している施工モデルを表示した管理画面の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の施工管理システム1について説明する。図1は、施工管理システム1を示すブロック図である。
【0014】
施工管理システム1は、建設・土木事業の施工を管理するものであり、現場の施工対象を管理する管理サーバ2と、施工データの施工データファイル等の各種ファイルを保存するオンラインストレージ3と、施工データの入力や施工状況の提示を受け付けるユーザー端末4とを備える。施工管理システム1では、管理サーバ2と、オンラインストレージ3と、ユーザー端末4とが、インターネット等のネットワーク5を介して通信可能に接続される。
【0015】
管理サーバ2は、CPU等のコンピュータで構成される制御部10を備えていて、制御部10は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部11や、外部機器と通信を行う通信部12に接続されている。
【0016】
記憶部11は、管理サーバ2の各部及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部10が、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、管理サーバ2の各部及び各種機能を制御する。通信部12は、ネットワーク5を介してオンラインストレージ3やユーザー端末4と通信可能に接続される。
【0017】
例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ユーザー端末4のブラウザによって実行されるウェブアプリケーションを提供し、データ入力部20、施工状況表示部21及び帳票出力部22として動作する。換言すれば、制御部10は、ウェブアプリケーションにおいてデータ入力部20、施工状況表示部21及び帳票出力部22を実行する。
【0018】
ウェブアプリケーションによって、管理サーバ2は、現場の施工対象を層状のブロックの単位で分けた施工データで管理し、また、施工データに基づいて施工対象の施工状況を提示する。管理サーバ2は、例えば、ウェブアプリケーションによって、図2図3図4及び図5に示すように、ユーザー端末4のブラウザに所定の管理画面100を表示させる。
【0019】
データ入力部20は、所定の施工対象についてオンラインストレージ3にアップロードされた施工データの施工データファイルをオンラインストレージ3から取得して、当該施工データファイルに記述された施工データを当該施工対象に関連付けて記憶部11に記憶して管理する。記憶部11に記憶された施工データは、管理サーバ2にログインしたユーザーの間で共有される。
【0020】
データ入力部20は、施工データファイルのオンラインストレージ3へのアップロード操作を、管理画面100において受け付ける。オンラインストレージ3では、施工対象について盛土、構造物、埋設計器、設計等のデータ種別毎に施工データファイルを保持する。オンラインストレージ3では、施工対象毎にフォルダを有して、各施工対象の施工データの施工データファイルを当該施工対象に対応するフォルダに記憶する。
【0021】
施工データは、施工対象の情報を、垂直方向の所定の施工厚と施工進捗に応じた水平方向の輪郭とで定義される層状のブロックの単位で示し、各ブロックは、ブロック識別情報(ID)で識別される。各施工データは、施工対象の各ブロックの位置情報と属性情報とで構成される。施工データファイルは、表計算ソフトウェアで作成されるファイルであって、各行に各位置情報を記述した位置情報シートと、各行に各属性情報を記述した属性情報シートとで構成される。
【0022】
オンラインストレージ3では、各施工対象のフォルダの下位に、各ブロックのフォルダを有して、各ブロックの施工データファイルを当該ブロックに対応するフォルダに記憶する。なお、管理サーバ2は、例えば、ブロックの施工データファイルがアップロードされるときに、当該ブロックに対応するフォルダを自動的に作成してもよく、あるいは、ユーザーの操作に応じてブロックに対応するフォルダを作成してもよい。
【0023】
位置情報は、例えば、ブロックIDと、ブロックの基面(底面)の垂直方向の高さである基面標高(LF)と、ブロックの垂直方向の施工厚と、ブロックの水平方向の輪郭の頂点の座標値とを有する。なお、位置情報には、必要に応じて、他の情報が設定されてもよい。
【0024】
各ブロックは、水平方向に沿った断面形状が、各ブロックの施工厚の範囲内における垂直方向の各位置で同一形状であるものとする。ここで、ブロックの断面形状に凹部(2つの頂点の間で2つ以上の頂点を有する凹部)がない場合には、当該断面形状は1つの多角形で示されるので、ブロックは、当該1つの多角形の各頂点の座標値を有する1つの位置情報を有する。一方、ブロックの断面形状に凹部(2つの頂点の間で2つ以上の頂点を有する凹部)がある場合や、ブロックの断面形状の内側がくり抜かれている場合には、当該断面形状は2つ以上の多角形で示されるので、ブロックは、当該2つ以上の多角形の各頂点の座標値を有する2つ以上の位置情報を有する。
【0025】
属性情報は、例えば、ブロックIDと、ブロックを施工した日の日付、気象状況(天候、気温、各時間帯の降水確率、最高気温、最低気温等)施工開始時刻及び施工終了時刻と、ブロックを構成する材料の材料名、品質試験結果、設計数量、施工数量とを有する。なお、属性情報は、必要に応じて、他の情報が設定されてもよい。
【0026】
また、データ入力部20は、所定の施工対象についてオンラインストレージ3にアップロードされた設計データの設計データファイルをオンラインストレージ3から取得して、当該設計データファイルに記述された設計データを当該施工対象に関連付けて記憶部11に記憶して管理する。データ入力部20は、設計データファイルのオンラインストレージ3へのアップロード操作を、管理画面100において受け付ける。
【0027】
設計データファイルは、CAD等の設計支援ソフトウェアによって施工対象の三次元形状を設計した設計モデルを示すCADデータ等を有するCADデータファイル等で構成される。設計データは、設計対象の寸法だけでなく、座標値を有するとよい。なお、オンラインストレージ3では、施工対象のフォルダに当該施工対象に対応する設計データファイルを記憶する。
【0028】
更に、データ入力部20は、所定の施工対象の施工される地形についてオンラインストレージ3にアップロードされた地形データの地形データファイルをオンラインストレージ3から取得して、当該地形データファイルに記述された地形データを当該施工対象に関連付けて記憶部11に記憶して管理する。データ入力部20は、地形データファイルのオンラインストレージ3へのアップロード操作を、管理画面100において受け付ける。
【0029】
地形データファイルは、複数の三角形で構成されるメッシュモデルによって地形モデルを提供するために、複数の三角形の位置をそれぞれ示す複数の地形データで構成される。地形モデルを構成する各三角形は三次元空間に配置されるところ、各地形データは、対応する三角形の各頂点の3次元の位置座標を有する。なお、オンラインストレージ3では、施工対象のフォルダに当該施工対象に対応する地形データファイルを記憶する。
【0030】
施工状況表示部21は、データ入力部20によって各データ種別の施工データファイルから取得した施工データに基づいて、施工対象の施工状況をウェブアプリケーションによってユーザー端末4のブラウザに画面表示することによってユーザーに提示する。管理サーバ2がウェブアプリケーションによってユーザー端末4のブラウザに管理画面100を表示させるところ、施工状況表示部21は、記憶部11に施工データを記憶した1つ以上の施工対象の中から、施工状況を提示する施工対象の選択操作を、管理画面100において受け付けるとよい。
【0031】
施工状況表示部21は、ウェブアプリケーションによって、施工状況の提示として、各データ種別の施工データに基づいて施工対象を可視化した三次元モデルである施工モデル101を作成して管理画面100に表示する。
【0032】
施工状況表示部21は、各ブロックの施工データの位置情報に基づいて、各ブロックを可視化した三次元モデルであるブロックモデル102を作成し、管理画面100において各ブロックモデル102を積層して表示することで施工対象の三次元モデルである施工モデル101を表示する。なお、1つのブロックが1つの位置情報を有するか2つ以上の位置情報を有するかに拘わらず、施工状況表示部21は、1つのブロックに対して1つのブロックモデル102を表示する。施工状況表示部21は、データ種別毎に異なる色を各ブロックモデル102に付して施工モデル101を表示するとよい。
【0033】
また、施工状況表示部21は、ウェブアプリケーションによって、データ入力部20によって地形データファイルから取得した地形データに基づいて、複数の三角形からなるメッシュモデルの地形モデル105を作成して、ユーザー端末4のブラウザに表示される管理画面100に表示することもできる。このとき、施工状況表示部21は、施工モデル101と地形モデル105とを、座標値を合わせて重ねて表示してよい。
【0034】
施工状況表示部21は、管理画面100におけるクリック操作やタッチ操作に応じて施工モデル101の回転操作や拡大・縮小操作を受け付けて、管理画面100を介して参照される施工モデル101や地形モデル105の画像を変化させることができる。
【0035】
施工状況表示部21は、管理画面100において、施工対象の施工履歴に応じて、所定の施工日付までに施工を終えた各ブロックのブロックモデル102からなる施工モデル101を表示することができる。例えば、施工状況表示部21は、管理画面100において、参照するブロックの施工日付を設定可能なスライダーバーを表示して、スライダーバーの操作に応じて設定された施工日付までに施工を終えたブロックモデル102からなる施工モデル101を表示する。
【0036】
施工状況表示部21は、管理画面100において、施工対象を構成する各ブロックの選択操作を受け付けて、更に、選択されたブロックに対応するブロックモデル102を施工モデル101で強調して表示する強調表示機能と、選択されたブロックに対応するブロックモデル102を施工モデル101で垂直方向に間隔を空けて表示する分離表示機能とを有する。
【0037】
例えば、施工状況表示部21は、管理画面100に表示される1つ以上のブロックモデル102からなる施工モデル101に対するブロックモデル102の選択操作(例えば、クリック操作やタッチ操作)に応じてブロックの選択を受け付ける。
【0038】
また、施工状況表示部21は、施工対象を構成する1つ以上のブロックを一覧表示するリスト画面110を管理画面100に表示して、リスト画面110での選択操作に応じてブロックの選択を受け付ける。
【0039】
更に、施工状況表示部21は、施工対象を構成する1つ以上のブロックの中からブロックを選択するための選択条件を設定する条件設定画面120を管理画面100に表示して、条件設定画面120で設定された選択条件を満たすブロックの選択を受け付ける。施工状況表示部21は、例えば、選択条件として、データ種別、ブロックの施工日付、ブロックID、施工標高(基面標高及び施工厚に基づく標高)、各属性情報を設定可能とする。
【0040】
施工状況表示部21は、強調表示機能として、管理画面100に表示した施工モデル101において、図3に示すように、選択されたブロックのブロックモデル102に対して、選択されなかった他のブロックモデル102と濃淡を変えたり、異なる色を付したり、異なる色によって点滅表示したりすることによって強調して表示する。なお、施工状況表示部21は、管理画面100において、任意の操作に応じて、選択されなかった他のブロックモデル102の表示・非表示を切換可能にしてもよい。
【0041】
施工状況表示部21は、分離表示機能として、管理画面100において、図4図5に示すように、選択されなかったブロックのブロックモデル102からなる施工モデル101を表示すると共に、選択されたブロックのブロックモデル102からなる分離モデル103を、施工モデル101に対して垂直方向上方に所定の第1間隔を空けて分離して表示する。なお、施工状況表示部21は、施工モデル101と分離モデル103とが重複しないように第1間隔を設定するとよく、また、任意の操作に応じて第1間隔を設定可能にしてもよい。
【0042】
このとき、施工状況表示部21は、図4に示すように、選択されたブロックのブロックモデル102を積層するように構成した分離モデル103を表示してよく、換言すれば、積層状態の分離モデル103を分離している施工モデル101を表示してよい。
【0043】
あるいは、施工状況表示部21は、図5に示すように、選択されたブロックのブロックモデル102を更にブロック毎に垂直方向に第2間隔(好ましくは第1間隔よりも小さい間隔)を空けて配置した垂直分散モデルによって分離モデル103を表示(垂直分散表示)してよく、換言すれば、分散状態の分離モデル103を分離している施工モデル101を表示してよい。なお、施工状況表示部21は、分離モデル103が画面寸法内に収まるように第2間隔を設定するとよく、また、任意の操作に応じて第2間隔を設定可能にしてもよい。
【0044】
施工状況表示部21は、選択に拘わらず全てのブロックモデル102を積層した施工モデル101の表示と、積層した分離モデル103を施工モデル101から分離した表示と、垂直分散モデルの分離モデル103を施工モデル101から分離した表示とを、任意の操作に応じて切換可能にする。
【0045】
また、施工状況表示部21は、ウェブアプリケーションによって、データ入力部20によって設計データファイルから取得した設計データに基づいて、施工対象の三次元形状を設計した設計モデルを作成して、ユーザー端末4のブラウザに表示される管理画面100に表示することもできる。このとき、施工状況表示部21は、施工モデル101と設計モデルとを、座標値を合わせて重ねて表示してよい。なお、施工状況表示部21は、濃淡や色等によって設計モデルよりも施工モデル101が明瞭となるように表示するとよく、また、施工モデル101と設計モデルとの相違点を検出して強調表示してもよい。
【0046】
また、施工状況表示部21は、施工状況の提示として、選択されたブロックの位置情報や属性情報を表記する情報表記画面130を管理画面100に表示する。情報表記画面130に表示する情報の種類は、予め設定されていてもよいが、あるいは、任意の操作に応じて設定可能にしてもよい。
【0047】
帳票出力部22は、ウェブアプリケーションによって、施工状況の提示として、1つ以上のブロックの施工データに基づいて、施工対象の1つ以上のブロックの帳票ファイルを作成してオンラインストレージ3に出力する。帳票出力部22は、表計算ソフトウェアで参照可能な形式のファイルとして帳票ファイルを作成する。帳票出力部22は、帳票ファイルのオンラインストレージ3からのダウンロード操作を、管理画面100において受け付ける。
【0048】
なお、オンラインストレージ3では、施工対象のフォルダに当該施工対象に対して作成された帳票ファイルを記憶する。帳票出力部22は、施工状況表示部21によって管理画面100に提示している施工対象について、記憶部11に施工データを記憶した1つ以上のブロックの中から、帳票を作成するブロックの選択操作を、管理画面100において受け付けるとよい。なお、帳票出力部22は、施工データに含まれる位置情報及び属性情報の中から、帳票によって出力する情報の種類を選択する帳票情報画面(図示せず)を管理画面100に表示して、帳票情報画面で選択された情報を書き込むように帳票を作成するとよい。
【0049】
ユーザー端末4は、タブレット端末やスマートフォン、パーソナルコンピュータ等で構成される。ユーザー端末4は、CPU等のコンピュータで構成される制御部30を備えていて、制御部30は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等の記憶部31や、外部機器と通信を行う通信部32に接続されている。また、制御部30は、液晶ディスプレイ等からなる表示部33や、キーボードやポインティングデバイス等からなる操作部34に接続される。なお、表示部33及び操作部34は、タッチパネルで構成されていてもよい。
【0050】
記憶部31は、ユーザー端末4の各部及び各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、制御部30が、記憶部31に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、ユーザー端末4の各部及び各種機能を制御する。通信部32は、ネットワーク5を介して管理サーバ2やオンラインストレージ3と通信可能に接続される。
【0051】
例えば、ユーザー端末4は、制御部30が記憶部31に記憶されたプログラムを実行することにより、ブラウザを起動して表示部33に表示し、管理サーバ2によって提供されるウェブアプリケーションを、ブラウザを介して実行する。ユーザー端末4は、表示部33のブラウザにおいて、管理サーバ2のウェブアプリケーションによって提供される管理画面100を表示する。
【0052】
ユーザー端末4は、ブラウザの管理画面100において、所定の施工データファイルや設計データファイル、地形データファイルを指定したアップロード操作を受け付けると、ウェブアプリケーションを利用して施工データファイルや設計データファイル、地形データファイルと共にアップロード指示を管理サーバ2に送信し、施工データファイルや設計データファイル、地形データファイルは、管理サーバ2を介してオンラインストレージ3にアップロードされる。あるいは、ユーザー端末4は、管理サーバ2を介することなく、オンラインストレージ3に直接アクセスして施工データファイルや設計データファイル、地形データファイルをアップロードしてもよい。
【0053】
また、ユーザー端末4は、ブラウザの管理画面100において、施工状況を提示する施工対象の選択操作を受け付けると、ウェブアプリケーションを利用して施工対象の選択指示を管理サーバ2に送信し、管理サーバ2からウェブアプリケーションによって提供される施工対象の施工モデル101を管理画面100に表示する。
【0054】
ユーザー端末4は、施工モデル101を表示した管理画面100において、ブロックの選択操作を受け付けると、ウェブアプリケーションを利用してブロックの選択指示を管理サーバ2に送信し、強調表示機能や分離表示機能によって更新された施工モデル101を管理画面100に表示する。ユーザー端末4は、施工モデル101を表示した管理画面100において、施工モデル101の回転操作や拡大・縮小操作を受け付けると、ウェブアプリケーションを利用して施工モデル101の回転指示や拡大・縮小指示を管理サーバ2に送信し、回転操作や拡大・縮小操作に応じて変化した施工モデル101の画像を管理画面100に表示する。
【0055】
また、ユーザー端末4は、ブラウザの管理画面100において、所定のブロックを指定した帳票ファイルのダウンロード操作を受け付けると、ウェブアプリケーションを利用して帳票ファイルのダウンロード指示を管理サーバ2に送信し、管理サーバ2がオンラインストレージ3から取得した帳票ファイルを管理サーバ2からダウンロードする。あるいは、ユーザー端末4は、管理サーバ2を介することなく、オンラインストレージ3に直接アクセスして帳票ファイルをダウンロードしてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、上述のように、建設・土木事業の施工を管理する施工管理システム1は、施工対象を所定の施工厚と施工進捗に応じた水平方向の輪郭とで定義される層状のブロックの単位の施工データで管理し、また、施工データに基づいて施工対象の施工状況をウェブアプリケーションによって提示する管理サーバ2と、ユーザーの操作に応じて、施工対象を構成するブロック毎に管理サーバ2に対する施工データの入力を可能にし、また、施工状況の提示を管理サーバ2から受け付けるユーザー端末4と、を備える。
【0057】
これにより、施工管理システム1では、施工進捗に応じたブロックの単位で施工データを管理するので、各施工進捗を適切に反映した施工状況を容易にユーザーに提示することができる。また、施工したブロック毎に施工データを入力することができるので、施工データの入力操作が簡易になる。更に、施工管理システム1では、施工状況を管理サーバ2からウェブアプリケーションによってユーザー端末4に提供するので、ユーザー端末4は施工データを管理する機能を有する必要がなく、インターネット環境があれば場所を問わずに、ブラウザを利用して簡易に施工状況の提示を受けることができ、現場での作業を効率化することもできる。また、ユーザー端末4が専用のソフトウェアや高性能のコンピュータを備える必要がないので、ユーザーが施工管理システム1を利用し易くなり、施工管理システム1を広く普及させることが可能である。このように、施工管理システム1では、施工対象の進捗に応じた施工データを簡易に入力可能にし、また、施工対象を進捗に応じて管理することができる。
【0058】
また、本実施形態の施工管理システム1によれば、ユーザー端末4は、表計算ソフトウェアで作成されるファイルであって、1つ以上のブロックの位置情報及び属性情報からなる施工データが記述された施工データファイルを所定のオンラインストレージ3にアップロードする。管理サーバ2は、オンラインストレージ3にアップロードされた施工データファイルを取得して、当該施工データファイルに記述された施工データを管理する。
【0059】
これにより、施工管理システム1では、ユーザーは、より操作し易い手段で施工データを入力することができるので、施工管理システム1をより利用し易くなり、施工管理システム1をより広く普及させることが可能である。
【0060】
また、本実施形態の施工管理システム1によれば、管理サーバ2は、施工状況の提示として、施工データに基づいて施工対象を可視化した三次元モデルの施工モデル101を表示するウェブアプリケーションを提供する。ユーザー端末4は、ウェブアプリケーションによって三次元モデルの施工モデル101をブラウザに画面表示する。このとき、ウェブアプリケーションによって施工対象を構成するブロックの選択を受け付けて、選択されたブロックを施工モデル101で強調して表示する強調表示機能と、選択されたブロックを施工モデル101で垂直方向に間隔を空けて表示する分離表示機能とを有する。
【0061】
これにより、施工管理システム1では、ユーザーは、より操作し易い手段で施工状況を参照することができるので、施工管理システム1をより利用し易くなり、施工管理システム1をより広く普及させることが可能である。また、施工したブロックを選択して表示することができるので、進捗に応じた施工状況を容易に確認することができる。
【0062】
また、本実施形態の施工管理システム1によれば、管理サーバ2は、施工状況の提示として、1つ以上のブロックの施工データに基づいて施工対象の1つ以上のブロックの帳票ファイルを作成して所定のオンラインストレージ3に出力するウェブアプリケーションを提供する。ユーザー端末4は、ウェブアプリケーションによって帳票ファイルのダウンロードを受け付けて、帳票ファイルをオンラインストレージ3からダウンロードする。
【0063】
これにより、施工管理システム1では、ユーザーは、より操作し易い手段で帳票を取得することができるので、施工管理システム1をより利用し易くなり、施工管理システム1をより広く普及させることが可能である。また、施工したブロックを選択して帳票を作成することができるので、進捗に応じた施工状況を容易に確認することができる。
【0064】
また、他の実施形態として、施工管理システム1では、管理サーバ2(施工状況表示部21)は、ウェブアプリケーションによって、施工状況の提示として、各データ種別の施工データに基づいて、施工対象の各ブロックの属性情報や完成率等を時系列にプロットしたグラフを作成して管理画面100に表示してもよい。
【0065】
なお、施工管理システム1では、管理サーバ2(データ入力部20)は、オンラインストレージ3にアップロードされた施工データファイルの施工データを施工対象に関連付けて記憶部11に記憶しているところ、他の実施形態では、記憶部11に記憶された施工データの中から、選択された各ブロックの施工データからなる施工データファイルを復元してオンラインストレージ3に出力してもよい。そして、ユーザー端末4は、復元された施工データファイルのオンラインストレージ3からのダウンロード操作を、管理画面100において受け付けるとよい。
【0066】
なお、実施形態の説明は、本発明に係る施工管理システムにおける一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含む。
【符号の説明】
【0067】
1 施工管理システム
2 管理サーバ
3 オンラインストレージ
4 ユーザー端末
5 ネットワーク
10 制御部
11 記憶部
20 データ入力部
21 施工状況表示部
22 帳票出力部
30 制御部
33 表示部
34 操作部
100 管理画面
101 施工モデル
102 ブロックモデル
103 分離モデル
図1
図2
図3
図4
図5