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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158426
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】紙おむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
A61F13/49 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073615
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒須 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 景
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA07
3B200BA08
3B200CA02
3B200CB01
3B200CB03
3B200DA15
(57)【要約】
【課題】着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることが可能な紙おむつを提供する。
【解決手段】本開示は、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体30と、吸収性本体30を支持する外装体20とを備える紙おむつ10であって、紙おむつ10の総重量をA、吸収性本体30の重量をBとした場合の式(B/A)で得られる値は、0.6以上0.9未満である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体と、前記吸収性本体を支持する外装体とを備える紙おむつであって、
前記紙おむつの総重量をA、前記吸収性本体の重量をBとした場合の下記式(1)で得られる値は、0.6以上0.9未満である
ことを特徴とする紙おむつ。
B/A・・・(1)
【請求項2】
展開した状態の前記外装体の面積をC、前記吸収性本体の面積をDとした場合の下記式(2)で得られる値は、0.3以上0.8未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の紙おむつ。
D/C・・・(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パンツ型使い捨ておむつが開示されている。このおむつは、吸収性本体と、吸収性本体に接合される外装部材とを有する。外装部材は、股下外装部と、前身頃部と、後身頃部とを有する。吸収性本体は、厚さ方向の肌側から順に、液透過性のトップシートと、液透過性のセカンドシートと、吸収性コアと、液不透過性のバックシートと、クロッチ弾性部材被覆シートとを有する。外装部材の股下外装部は、スパンボンド不織布等によって形成されている。前身頃部は、厚さ方向に重ねられた腹側内層シートと、腹側補強シートと、腹側外層シートと、複数の腹側胴回り弾性部材と、複数のウエスト弾性部材と、を有する。後身頃部は、前身頃部と同様に、厚さ方向に重ねられた背側内層シートと、背側補強シートと、背側外層シートと、複数の背側胴回り弾性部材と、複数のウエスト弾性部材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-066375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、従来のパンツ型使い捨ておむつ(紙おむつ)は、排泄(吸収)後も紙おむつが身体からずり落ちたり脱げたりしないように、しっかりとした外装部材(外装体)やギャザー(弾性部材)等を備えている。このため、装着時にはギャザー等の伸縮部材を拡げて履く必要があり、また、着用中も締め付け感が発生し、しっかりとした外装体が密着することによって蒸れ感が発生する。また、紙おむつは、その上から通常の下着を重ねて着用して使用する場合があり、この場合、締め付け感や蒸れ感が更に増大し、着用中の快適性が低下してしまう。このように、従来の紙おむつでは、しっかりした外装体やギャザー類によって、装着性や着用感を悪化させ、コスト高になるという課題があった。
【0005】
そこで、本開示は、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることが可能な紙おむつの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に吸収体を配置した吸収性本体と、前記吸収性本体を支持する外装体とを備える紙おむつであって、前記紙おむつの総重量をA、前記吸収性本体の重量をBとした場合の下記式(1)で得られる値は、0.6以上0.9未満である。
B/A・・・(1)
【0007】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の紙おむつであって、展開した状態の前記外装体の面積をC、前記吸収性本体の面積をDとした場合の下記式(2)で得られる値は、0.3以上0.8未満である。
D/C・・・(2)
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることが可能な紙おむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る紙おむつの前方からの外観斜視図である。
図2図1の紙おむつを展開した状態の肌側からの平面図である。
図3図2のIIIーIII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る紙おむつについて説明する。
【0011】
本明細書において、紙おむつの着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、紙おむつを身体に装着した状態を意味する。また、「前側」とは、紙おむつを着用したときに着用者の腹側となる方向を意味し、「後側」とは、着用者の背側となる方向を意味する。また、「上側」とは、紙おむつを着用したときに着用者の頭側となる方向を意味し、「下側」とは、着用者の足側となる方向を意味する。また、左右方向とは、前方を向いた状態の着用者から視た左右方向をいう。また、紙おむつの各構成部材の長手方向とは、紙おむつを展開した状態(図2に示す状態)における長手となる方向を意味し、図中の矢印Xに沿った方向である。また、紙おむつの各構成部材の幅方向とは、紙おむつを展開した状態における長手方向と交叉(直交)する方向(左右に沿った方向)をいい、図中の矢印Yに沿った方向を意味する。また、紙おむつの各構成部材の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「肌側」とは、厚み方向のうち紙おむつを着用したときの着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る紙おむつの前方からの外観斜視図である。図2は、図1の紙おむつを展開した状態の肌側からの平面図である。図3は、図2のIIIーIII矢視断面図である。なお、各図は、紙おむつの構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、紙おむつの用途、使用対象とする着用者の年齢等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
[紙おむつ]
【0013】
本開示に係る紙おむつ10は、紙おむつ10を着用者の身体に対して保持するためのサポートとなる他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用することを前提としている紙おむつ10である。上記他の衣類としては、例えば、伸縮性を有する下着が挙げられる。なお、上記他の衣類は、伸縮性を有する下着に限定されるものではなく、紙おむつ10を着用者の身体に対して保持するためのサポートとなる衣類であればよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る紙おむつ10は、パンツ型の外形形状を構成する外装体20と、外装体20に支持されて体液を吸収する吸収性本体30とを備える。なお、本実施形態では、本開示に係る紙おむつを、パンツ型の紙おむつ10に適用しているが、これに限定されるものではなく、着用前は展開している状態で、着用時に外装体の前後の幅方向の両側同士を互いに着脱可能に止めるタイプの紙おむつに適用してもよい。
[外装体]
【0015】
図1及び図2に示すように、外装体20は、着用時に紙おむつ10の外形形状を構成する部材である。外装体20は、少なくとも不織布によって構成される。例えば、外装体20は、非肌側の外装不織布シートと、肌側の内装不織布シートと、外装不織布シートと内装不織布シートとの間に介在する糸ゴム等の複数の弾性伸縮部材とを積層して形成してもよい。外装不織布シート及び内装不織布シートには、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布、好ましくはエアスルー不織布又はスパンボンド不織布であって、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることができる。或いは、外装体20は、2枚の不織布シートの間に伸縮性フィルム(例えばポリウレタンフィルム)を挟んで接合することによって得られる伸縮不織布であってもよい。なお、外装不織布シート及び内装不織布シートに加えて、後述する吸収性本体30の周縁を覆う補助シートを、外装体20に設けてもよい。
【0016】
外装体20は、着用時に着用者の腹部の前方に位置する腹側領域21と、着用者の背部の後方に位置する背側領域22と、着用者の股下に位置する股下領域23とを有する。腹側領域21の左右の両端部と背側領域22の左右の両端部とは、互いに接合されて(例えば、超音波接着によって互いに接合されて)左右のサイドシール部24を構成する。このように、本実施形態の外装体20は、腹側領域21及び背側領域22の幅方向の両端部同士を接合することによって、図1に示すように、全体としてパンツ型の外形形状を構成する。
【0017】
上述したように、本実施形態では、他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用することを前提としているので、外装体20には、体液を吸収して重量が増加した紙おむつ10が脱げてしまわないように身体側へ保持するための締め付け力は必要ない。
【0018】
外装体20の展開時の長手方向(図2の矢印Xに沿った方向)の寸法L1は、600mm以上800mm以下であることが好ましい。すなわち、外装体20の腹側領域21及び背側領域22の長手方向の寸法L2は、一般的な寸法よりも短く設定される。例えば、本実施形態では、外装体20の腹側領域21及び背側領域22の長手方向の寸法L2は、100mmに設定される。外装体20の展開時の幅方向(図2の矢印Yに沿った方向)の寸法W1は、450mm以上900mm以下であることが好ましい。外装体20の展開時の幅方向の寸法W1を上記の範囲とすることにより、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用の紙おむつ10を提供することができる。
【0019】
図2に示すように、外装体20は、サイドシール部24を接合する前の展開した状態では、左右対称の形状を有する。腹側領域21と背側領域22とは、長手方向に互いに離間した位置に配置され、股下領域23は、腹側領域21と背側領域22との間に位置する。サイドシール部24は、腹側領域21及び背側領域22の幅方向の両端部に設けられて長手方向に沿って延びる。外装体20の股下領域23の肌側面には、後述する吸収性本体30が接合されている。なお、以下の説明では、外装体20についての方向は、着用者に着用された状態(図1に示す状態)における方向を示す。
【0020】
外装体20は、着用時に着用者の胴が内側に挿通する上端のウエスト開口25と、着用者の脚が内側に挿通する左右の脚開口26a,26bとを有する。ウエスト開口25は、腹側領域21及び背側領域22の上端縁によって区画され、周方向に伸縮性を有する。左右の脚開口26a,26bは、股下領域23の左右の両端縁によって区画される、周方向に伸縮性を有する。左右のサイドシール部24は、ウエスト開口25から左右の脚開口26a,26bまで上下方向に延びている。
【0021】
図1及び図2に示すように、腹側領域21及び背側領域22の上端縁部には、ウエスト開口25の周方向に伸縮可能な弾性伸縮部材27が、ウエスト開口25の周方向に沿って設けられる。また、股下領域23の左右の両端縁部には、左右の脚開口26a,26bの周方向に伸縮可能な弾性伸縮部材28が、左右の脚開口26a,26bの周方向に沿って設けられる。本実施形態では、腹側領域21及び背側領域22の上端縁部には、ウエスト開口25の周方向に沿って1列の弾性伸縮部材27が設けられ、股下領域23の左右の両端縁部には、左右の脚開口26a,26bの周方向に沿って1列の弾性伸縮部材28が設けられる。1列の弾性伸縮部材27,28は、1本の弾性伸縮部材によって構成されてもよいし、直列的に配置された複数本の弾性伸縮部材によって構成されてもよい。各弾性伸縮部材27,28は、外装体20を構成する外装不織布シート及び内装不織布シートに接合されている。弾性伸縮部材27,28としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等の糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。なお、上述したように、外装体20を伸縮不織布で構成する場合には、伸縮性フィルム(例えばポリウレタンフィルム)を有しているので、弾性伸縮部材27,28を設けなくてもよい。
[吸収性本体]
【0022】
図2及び図3に示すように、吸収性本体30は、主として体液を吸収する部材であって、着用者の股間部を前方、下方、及び後方から覆う前後方向に略帯状の形態を有し、外装体20の少なくとも股下領域23の肌側に配置され、外装体20に対して接合される。吸収性本体30は、主として外装体20の股下領域23の肌側に配置されるが、その一部(前後の端部)が外装体20の腹側領域21又は背側領域22にまで延在してもよい。
【0023】
吸収性本体30の長手方向の寸法L3は、300mm以上500mm以下であることが好ましい。吸収性本体30の幅方向の寸法W2は、100mm以上300mm以下であることが好ましい。吸収性本体30の寸法を上記の範囲とすることにより、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用の紙おむつ10を提供することができる。
【0024】
吸収性本体30は、肌側の液透過性のトップシート31と、非肌側の液不透過性のバックシート32と、トップシート31及びバックシート32の間に配置される吸収体33とを含む。
(トップシート)
【0025】
トップシート31は、体液が吸収体33へと移動するような液透過性を備えたシート状基材である。基材の一例としては、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートなどが挙げられる。また、トップシート31には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート31には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
(バックシート)
【0026】
バックシート32は、吸収体33が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えたシート状基材である。基材の一例としては、例えば、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート32には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート32に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート32にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
(吸収体)
【0027】
吸収体33は、体液吸収材料を含み、好ましくは、基材と、基材に保持された体液吸収材料と、を含む。体液吸収材料としては、体液を吸収及び保持するものであれば特に限定されないが、例えば、フラッフパルプや高吸収性樹脂(Super Absorbent Polymer(SAP))等が挙げられる。吸収体33の基材は、一般に生理用ナプキン、おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布といった材料から形成される。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。
【0028】
SAPとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物といった材料から形成されたものを挙げることができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩系が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム系がより好ましい。SAPは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
吸収体33は、基材とSAPとを含有するものが好ましく、その構成は、基材中にSAP粒子を混合して形成したもの、基材間にSAP粒子を固着したSAPシート等が挙げられる。また、SAP粒子の脱落防止や、吸収体33の形状安定化の観点から、吸収体33をキャリアシートに包むことが好ましい。また、SAPを繊維状に成形し、基材に混合して用いてもよい。キャリアシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布が挙げられる。吸収体33がキャリアシートを複数備える場合には、キャリアシートの基材は同一でも異なってもよい。
【0030】
吸収体33の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状等が挙げられる。吸収体33は、2層以上を重ねて用いてもよい。
【0031】
吸収性本体30は、体液の横漏れを防止するための一対の立体ギャザー34を含んでもよい。立体ギャザー34は、幅方向の外端がバックシート32の肌側の面に、幅方向の中間部がトップシート31の肌側の面にそれぞれ固定され、幅方向の内端が自由端となってトップシート31の肌側の面に延在してもよい。立体ギャザー34をこのように構成することで、立体ギャザー34の自由端付近に起立性が付与され、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。
(紙おむつの総重量に対する吸収性本体の重量の割合)
【0032】
紙おむつ10の総重量Aには、吸収性本体30の重量Bと外装体20の重量Eとが含まれる(A=B+E)。紙おむつ10の総重量をA、吸収性本体30の重量をBとした場合の下記式(1)で得られる値は、0.6以上0.9未満である。
B/A・・・(1)
すなわち、紙おむつ10の総重量Aに対する吸収性本体30の重量Bの割合(B/A×100)は、60%以上90%未満である。なお、上記式(1)で得られる値の下限値は、0.7以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
(展開した状態の外装体の面積に対する吸収性本体の面積の割合)
【0033】
吸収性本体30は、展開した状態(図2に示す状態)の外装体20の外縁よりも内側に配置される。展開した状態の外装体20の面積(投影面積)をC、吸収性本体30の面積をDとした場合の下記式(2)で得られる値は、下限値0.3以上であることが好ましく、上限値0.8未満であることが好ましい。
D/C・・・(2)
すなわち、展開した状態の外装体20の面積Cに対する吸収性本体30の面積Dの割合(D/C×100)は、30%以上80%未満であることが好ましい。なお、上記式(2)で得られる値の下限値は、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることが更に好ましい。
【0034】
上記のように構成された紙おむつ10は、紙おむつ10の総重量Aに対する吸収性本体30の重量Bとした場合の上記式(1)で得られる値は、0.6以上0.9未満である。吸収性本体30の重量Bは、吸収性本体30の大きさや吸収体33の量によるところが大きく、一方、外装体20の重量Eは、不織布の大きさや弾性伸縮部材の量によるところが大きい。本開示に係る紙おむつ10を着用者の身体に対して保持するためのサポートとなる他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用することを前提としているので、吸収性本体30の大きさや吸収体33の量を、体液を吸収するために必要な大きさや量に設定するとともに、外装体20が有する着用者の身体側への保持力を必要最小限に抑えることができる。外装体20は、着用した際に吸収性本体30が適切な位置になるように、紙おむつ10の形状を保つことができれば十分である。このため、上記式(1)で得られる値を上記範囲内の値に設定する場合、外装体20の重量Eを調節することによって、上記式(1)で得られる値を上記範囲内の値に設定する。
【0035】
上記式(1)で得られる値が0.9未満であるので、紙おむつ10の総重量Aに対する外装体20の重量Eの割合を少なくとも10%以上確保することができる。このため、外装体20は、着用者の腰回りに装着できる大きさを確保することができる。
【0036】
また、上記式(1)で得られる値が0.6以上であるので、紙おむつ10の総重量Aに対する外装体20の重量Eの割合を40%以下に抑えられる。例えば、本実施形態では、外装体20の長手方向の寸法L1が800mm以下になるように、外装体20の腹側領域21及び背側領域22の長手方向の寸法L2を100mmに設定することによって、外装体20の重量Eを抑えて、紙おむつ10の総重量Aに対する吸収性本体30の重量Bの割合を大きくしている。このように、外装体20の大きさを抑えることができるので、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることができる。
【0037】
また、上記式(1)で得られる値が0.6以上であるので、外装体20の重量Eを抑えるために、外装体20に設ける弾性伸縮部材27,28の本数や列数を低減することができる。これにより、外装体20の重量Eを抑えて、紙おむつ10の総重量Aに対する吸収性本体30の重量Bの割合を大きくすることができる。本実施形態では、1列の弾性伸縮部材27をウエスト開口25に設け、1列の弾性伸縮部材28を左右の脚開口26a,26bに設けている。このように、外装体20に設ける弾性伸縮部材27,28の本数や列数を少なくすることができるので、装着時には履き易く、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることができる。
【0038】
従って、本実施形態によれば、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることが可能な紙おむつ10を提供することができる。
【0039】
また、外装体20の大きさを抑えることによって、上記他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用した際の嵩張りを抑えることができる。
【0040】
また、紙おむつ10は、上記他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用することを前提としているので、尿とりパッドや軽失禁パッド等の吸収性パッドと比較すると、下着等の肌側面に貼着する作業が不要である。また、外装体20を備えているので、吸収性パッドと比較すると、適切な位置に容易に装着することができ、また、体液吸収後の交換も容易である。
【0041】
また、紙おむつ10は、上記他の衣類を紙おむつ10の上から重ねて着用することを前提としているので、例えば、紙おむつ10の上から通常の下着(上記他の衣類)を重ねて着用することにより、紙おむつ10を使用している意識が少なくなり、健常時と同じように尊厳を保つことができる。
【0042】
また、展開した状態の外装体20の面積をC、吸収性本体30の面積をDとした場合の上記式(2)で得られる値を、0.8未満にすることによって、少なくとも着用者の腰回りに装着できる大きさの外装体20の面積Cを確保することができる。
【0043】
また、上記式(2)で得られる値を、0.3以上にすることによって、外装体20の面積Cを抑えることができるので、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、本開示に係る紙おむつを、パンツ型の紙おむつ10に適用しているが、これに限定されるものではない。例えば、本開示に係る紙おむつを、外装体の幅方向の両側をテープで止めるテープ止めタイプの紙おむつに適用してもよい。この場合、上記実施形態の左右のサイドシール部24に代えて、外装体20の腹側領域21及び背側領域22の少なくとも一方の幅方向の両端部に、メカニカルファスナーを設けてもよい。或いは、本開示に係る紙おむつを、紐で縛って着用するような紙おむつとしてもよく、この場合、上記実施形態の左右のサイドシール部24に代えて、外装体20の腹側領域21及び背側領域22の少なくとも一方の幅方向の両端部に、紙おむつを身体側へ着脱可能に取り付けるための縛り紐等の取付手段を設けてもよい。
【0045】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【実施例0046】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
実施例1-3及び比較例1、2の紙おむつを作成した。これらの実施例1-3及び比較例1、2の紙おむつを20人のモニターに着用してもらい、着用した紙おむつの上から下着を着用した状態で使用してもらうことによって、以下の2つの項目(締めつけ感、排尿後の吸収性本体の体への密着性)の評価を行った。
【0048】
「締めつけ感」の評価は、20人のモニターの中で「締めつけ感が弱く快適である」と評価したモニターの数によって4段階の官能評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :「締めつけ感が弱く快適である」と感じたモニターが、16人以上
○ :「締めつけ感が弱く快適である」と感じたモニターが、11人~15人
△ :「締めつけ感が弱く快適である」と感じたモニターが、6人~10人
× :「締めつけ感が弱く快適である」と感じたモニターが、5人以下
【0049】
「排尿後の吸収性本体の体への密着性」の評価は、20人のモニターの中で「密着性が強く、複数回の排尿でも漏れが発生しない」と評価したモニターの数によって4段階の官能評価をした。評価基準は以下のとおりである。
◎ :「密着性が強く、複数回の排尿でも漏れが発生しない」と感じたモニターが、16人以上
○ :「密着性が強く、複数回の排尿でも漏れが発生しない」と感じたモニターが、11人~15人
△ :「密着性が強く、複数回の排尿でも漏れが発生しない」と感じたモニターが、6人~10人
× :「密着性が強く、複数回の排尿でも漏れが発生しない」と感じたモニターが、5人以下
【0050】
得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
以上より、本発明の紙おむつによれば、着用中の締め付け感や蒸れ感を抑えることができ、製造コストを抑えることが可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0053】
10:紙おむつ
20:外装体
30:吸収性本体
31:トップシート
32:バックシート
33:吸収体
図1
図2
図3