(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158437
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】充電器管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20241031BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241031BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241031BHJP
B60L 53/60 20190101ALI20241031BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073639
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森 啓介
(72)【発明者】
【氏名】洲濱 将圭
(72)【発明者】
【氏名】新美 国明
(72)【発明者】
【氏名】弓田 修
(72)【発明者】
【氏名】井上 淳
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC21
5H125BE02
5H125CD02
5H125DD02
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性の向上を図る。
【解決手段】電動車に搭載された蓄電装置を充電するための複数の充電器を管理する充電器管理システムにおいて、複数の充電器のうち第1充電器による蓄電装置の充電中に、複数の充電器のうち第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器が利用可能になったときには、その旨の情報を報知する。これにより、ユーザは、第1充電器による蓄電装置の充電を継続するか、第2充電器による蓄電装置の充電に変更するか、を選択することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車に搭載された蓄電装置を充電するための複数の充電器を管理する充電器管理システムであって、
前記複数の充電器のうち第1充電器による前記蓄電装置の充電中に、前記複数の充電器のうち前記第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器が利用可能になったときには、その旨の情報を報知する、
充電器管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充電器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、充電器の利用予約登録を受信すると共に利用開始日時および仮の利用終了日時を含む予約情報を管理する予約処理部と、ユーザが利用予約登録に基づいて充電器の利用を開始したら充電に要する所要時間を算出する充電所要時間算出部と、を備える充電器予約システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、予約処理部は、所要時間に基づいて新規の利用終了日時を算出し、仮の利用終了日時を新規の利用終了日時に更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによっては、充電器を利用予約するときに、ユーザの所望充電条件により近い充電器を利用予約できずに、別の充電器を用いて車載の蓄電装置を充電する場合がある。その充電中に現在の充電器よりも所望充電条件により近い充電器が利用可能になっても、ユーザはそのことを知らないため、充電器を変更するか否かを選択できなかった。その点で、ユーザの利便性の向上を図る余地がある。
【0005】
本開示の充電器管理システムは、ユーザの利便性の向上を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の充電器管理システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の充電器管理システムは、電動車に搭載された蓄電装置を充電するための複数の充電器を管理する充電器管理システムであって、前記複数の充電器のうち第1充電器による前記蓄電装置の充電中に、前記複数の充電器のうち前記第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器が利用可能になったときには、その旨の情報を報知することを要旨とする。
【0008】
本開示の充電器管理システムでは、複数の充電器のうち第1充電器による蓄電装置の充電中に、複数の充電器のうち第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器が利用可能になったときには、その旨の情報を報知する。これにより、ユーザは、第2充電器が利用可能になったことを知ることができるから、第1充電器による蓄電装置の充電を継続するか、第2充電器による蓄電装置の充電に変更するか、を選択することができる。この結果、ユーザの利便性の向上を図ることができる。ここで、所望充電条件は、例えば、所望地点(ショッピングセンターやレジャー施設など)、所望利用時間(長さ)、蓄電装置の所望充電量などのうちの少なくとも1つを含むものとしてもよい。所定充電条件として複数の条件を用いる場合、複数の条件を優先付けして第2充電器を探索するものとしてもよいし、各条件ごとに第2充電器を探索するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】所定施設20A~20Cの充電器22A~22Cを利用可能な車両の一例としての電気自動車220の概略構成図である。
【
図3】充電器管理部34により実行される処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、充電システム10の概略構成図である。図示するように、充電システム10は、複数の所定施設20A~20Cと、有線または無線の通信網12と、通信網12に接続された管理サーバ30と、通信網12に接続されたユーザ端末120とを備える。ここで、本実施形態の充電器管理システムとしては、管理サーバ30およびユーザ端末120が該当する。
【0011】
所定施設20A~20Cとしては、例えば、ショッピングセンターやレジャー施設、サービスエリアの駐車場などを挙げることができる。所定施設20A~20Cには、それぞれ、充電器22A~22Cが設けられている。充電器22A~22Cは、それぞれ、商用電源などの電力供給源に接続されており、これらに接続された車両に搭載された蓄電装置を充電することができるように構成されている。
【0012】
充電器22A~22Cは、それぞれ、これに接続された車両に、直流電力を供給することができるように構成されている。充電器22A~22Cは、それぞれ、車両に直流電力を供給する電力供給部と、管理サーバ30や車両と通信を行なう通信装置と、電力供給部および通信装置を制御する制御部とを備える。
【0013】
管理サーバ30は、コンピュータと通信装置32とを備える。通信装置32は、通信網12や充電器22A~22C、車両と通信を行なう。また、管理サーバ30は、充電器管理部34を備える。充電器管理部34は、ハードウエアとアプリケーションソフトウエアとが一体として機能する機能ブロックであり、充電器22A~22Cなどの利用予約の受付および管理を行なう。
【0014】
ユーザ端末120は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯可能な通信端末として構成されており、コンピュータとディスプレイ122と通信装置124とを備える。ディスプレイ122は、タッチパネルタイプとして構成されている。通信装置124は、通信網12や車両と通信を行なう。ユーザ端末120には、充電器22A~22Cなどの利用予約を行なうための充電器予約アプリ126がインストールされている。
【0015】
所定施設20A~20Cの充電器22A~22Cなどを利用可能な車両としては、例えば
図2に例示する電気自動車220を挙げることができる。電気自動車220は、モータ232とインバータ234と蓄電装置236とコネクタ240とナビゲーションシステム246と通信装置248と電子制御ユニット250とを備える。
【0016】
モータ232は、例えば同期発電電動機として構成されており、モータ232の回転子は、駆動輪222にデファレンシャルギヤ224を介して連結された駆動軸226に接続されている。インバータ234は、蓄電装置236と共に電力ライン238に接続されており、蓄電装置236からの直流電力を三相交流電力に変換してモータ232に供給する。これにより、モータ232が回転駆動される。蓄電装置236は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されている。コネクタ240は、電力ライン238に接続されていると共に、充電器22A~22Cと接続することができるように構成されている。ナビゲーションシステム246は、本体とGPSアンテナとディスプレイとを備える。このナビゲーションシステム246は、GPSアンテナにより車両の現在地を受信したり、ディスプレイに各種情報を表示して経路案内を行なったりする。通信装置248は、他車両と通信を行なったり、充電器22A~22Cなどと通信を行なったり、ユーザ端末120と通信を行なったりする。
【0017】
電子制御ユニット250は、マイクロコンピュータを備える。電子制御ユニット250は、各種センサからの信号を入力している。電子制御ユニット250が入力する信号としては、例えば、スタートスイッチ260からのスタート信号や、モータ232の回転位置を検出する回転位置センサからの回転位置θm、蓄電装置236の出力端子に取り付けられた電圧センサ236vや電流センサ236iからの電圧Vbや電流Ibなどを挙げることができる。電子制御ユニット250は、各種制御信号を出力している。電子制御ユニット250が出力する信号としては、例えば、インバータ234への制御信号や、通信装置248への制御信号などを挙げることができる。電子制御ユニット250は、ナビゲーションシステム246と通信を行なっている。電子制御ユニット250は、電流センサ236iからの蓄電装置236の電流Ibの積算値に基づいて蓄電装置236の蓄電割合SOCを演算している。
【0018】
次に、本実施形態の充電システム10の動作、特に、所定施設20A~20Cの充電器22A~22Cから1つの充電器を選択して利用予約を行なう際の動作やその充電器による電気自動車220の蓄電装置236の充電中の動作について説明する。ユーザによりユーザ端末120の充電器予約アプリ126が起動されて充電予約フォームに必要事項が入力や選択されて送信が指示されると、その必要事項の情報がユーザ端末120から管理サーバ30に送信される。必要事項としては、例えば、ユーザの氏名や連絡先(電話番号やメールアドレス)、所望充電条件などを挙げることができる。所望充電条件としては、例えば、所望地点(ショッピングセンターやレジャー施設など)を挙げることができる。所望地点は、例えば、ユーザが住所や電話番号を入力する形態や、地図からユーザが選択する形態などが考えられる。
【0019】
管理サーバ30の充電器管理部34は、充電器22A~22Cを所望地点に近い順に並べて、それぞれについて利用予約可能であるか否かを判定し、判定結果をユーザ端末120に送信してそのディスプレイ122に表示させる。そして、ユーザにより、ディスプレイ122の表示内容を踏まえて充電器の利用予約の申請が行なわれると、その申請情報がユーザ端末120から管理サーバ30に送信され、管理サーバ30は、申請情報に基づいて充電器の利用予約を行なう。
【0020】
例えば、充電器22A~22Cが所望地点から近い順にこの順であり、充電器22Aが利用不可(他者により予約済または使用中)であり且つ充電器22B,22Cが利用可能である場合(以下、「所定ケース」という)を考える。この場合、充電器管理部34は、ユーザ端末120のディスプレイ122に、例えば、「充電器22A:利用不可、充電器22B:利用可、充電器22C:利用可」のように表示させる。そして、ユーザにより充電器22Bの利用予約の申請が行なわれると、管理サーバ30は、充電器22Bの利用予約を行なう。その後に、ユーザは、所定施設20Bの充電器22Bにより電気自動車220の蓄電装置236の充電を行なう。
【0021】
この充電中に、管理サーバ30は、
図3の処理ルーチンを実行する。この処理ルーチンでは、充電器管理部34は、電気自動車220との通信により、現在の充電器による電気自動車220の蓄電装置236の充電が完了したか否かを判定する(ステップS100)。現在の充電器による蓄電装置236の充電が完了していないと判定したときには、現在の充電器に比してユーザの所望充電条件により近い充電器が利用可能になったか否かを判定する(ステップS110,S112)。現在の充電器に比してユーザの所望充電条件により近い充電器が利用可能になっていないと判定したときには、ステップS100に戻る。ステップS100~S112の処理を繰り返し実行し、ステップS100で現在の充電器による蓄電装置236の充電が完了したと判定したときには、本ルーチンを終了する。一方、ステップS100で現在の充電器による蓄電装置236の充電が完了したと判定する前に、ステップS110,S112で現在の充電器に比してユーザの所望充電条件により近い充電器が利用可能になったと判定したときには、その旨をユーザ端末120に送信してそのディスプレイ122に表示させて(ステップS120)、本ルーチンを終了する。上述の所定ケースで考えると、充電器22Bによる蓄電装置236の充電中に充電器22Aが利用可能になったときには、その旨をユーザ端末120のディスプレイ122に表示させることになる。こうした処理により、ユーザは、現在の充電器(例えば充電器22B)に比してユーザの所望充電条件により近い充電器(例えば充電器22A)が利用可能になったことを知ることができるから、現在の充電器による蓄電装置236の充電を継続するか、現在の充電器に比してユーザの所望充電条件により近い充電器による蓄電装置236の充電に変更するか、を選択することができる。この結果、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0022】
以上説明した本実施形態の充電システム10が備える管理サーバ30では、第1充電器(例えば充電器22B)による蓄電装置236の充電中に第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器(例えば充電器22A)が利用可能になったときには、第2充電器をユーザ端末120のディスプレイ122に表示させる。これにより、ユーザは、第2充電器が利用可能になったことを知ることができるから、第1充電器による蓄電装置236の充電を継続するか、第2充電器による蓄電装置236の充電に変更するか、を選択することができる。この結果、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0023】
上述した実施形態では、所望充電条件として、所望地点を用いるものとした。これらに加えてまたは代えて、所望利用時間(長さ)や、蓄電装置の所望充電量を用いてもよい。所望利用時間は、例えば、ユーザが開始時刻および終了時刻を入力する形態などが考えられる。所望充電量は、例えば、ユーザが数値を入力する形態や、電気自動車220から取得した選択肢からユーザが選択する形態などが考えられる。電気自動車220から取得する選択肢は、例えば、蓄電装置236の蓄電割合SOCを現在値からA1[%]まで充電する場合の所望充電量QcがB1[kWh]、A2[%]まで充電する場合の所望充電量QcがB2[kWh]などとすることができる。所望充電条件として複数の条件を用いる場合、予め定められたまたはユーザにより設定された優先順に従って充電器22A~22Cを順位付けしてそれぞれ利用可能であるか否かを判定してもよいし、各条件ごとに充電器22A~22Cを順位付けしてそれぞれ利用可能であるか否かを判定してもよい。
【0024】
上述した実施形態では、充電器管理部34は、第1充電器による蓄電装置236の充電中に第1充電器に比してユーザの所望充電条件により近い第2充電器が利用可能になったときには、第2充電器をユーザ端末120のディスプレイ122に表示させるものとした。しかし、これに加えてまたは代えて、第2充電器をユーザ端末120のスピーカから音声出力させてもよい。
【0025】
上述した実施形態では、所定施設20A~20Cにそれぞれ充電器22A~22Cが設けられるものとした。しかし、充電器22A~22Cのうち複数は、同一の所定施設に設けられてもよい。
【0026】
上述した実施形態では、管理サーバ30は、3つの充電器22A~22Cを管理するものとした。しかし、2つの充電器または4つ以上の充電器を管理してもよい。
【0027】
上述した実施形態では、ユーザ端末120として、携帯可能な通信端末を挙げた。しかし、これに加えてまたは代えて、電気自動車220の電子制御ユニット250、ナビゲーションシステム246、通信装置248などを有する車載ユニットを用いてもよい。
【0028】
上述した実施形態では、電気自動車220は、蓄電装置236に電力ライン238を介して接続され且つ直流電力を供給可能な充電器22A~22Cに接続可能なコネクタ240を備えるものとした。しかし、これに加えてまたは代えて、蓄電装置236に電力ライン238を介して接続された充電回路と、充電回路に接続され且つ交流電力を供給可能な交流用充電器に接続可能な交流用コネクタとを備えてもよい。この場合、交流用充電器に交流用コネクタが接続されているときに、交流用充電器からの交流電力を充電回路により直流電力に変換して電力ライン238(蓄電装置236)に供給することにより、蓄電装置236を充電することができる。
【0029】
上述した実施形態では、所定施設20A,22B,22Cの充電器22A~22Cを利用可能な車両として、例えば、
図2に例示した電気自動車220、具体的には、モータ232やインバータ234、蓄電装置236を備える電気自動車220を挙げた。しかし、これに限定されるものではなく、モータやインバータ、蓄電装置に加えてエンジンを備えるハイブリッド車や、モータやインバータ、蓄電装置に加えて燃料電池を備える燃料電池車などであってもよい。
【0030】
上述した実施形態では、充電器管理システムとして、管理サーバ30およびユーザ端末120が該当するものとした。しかし、充電器管理システムとして、管理サーバ30だけが該当するものとしてもよい。
【0031】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、充電器22A~22Cが「複数の充電器」に相当し、管理サーバ30(およびユーザ端末120)が「充電器管理システム」に相当する。
【0032】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0033】
以上、本開示を実施するための実施形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本開示は、充電器管理システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 充電システム、12 通信網、20A~20C 所定施設、22A~22C 充電器、30 管理サーバ、32 通信装置、34 充電器管理部、120 ユーザ端末、122 ディスプレイ、124 通信装置、126 充電器予約アプリ、220 電気自動車、236 蓄電装置、238 電力ライン、240 コネクタ、246 ナビゲーションシステム、248 通信装置、250 電子制御ユニット。