(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158442
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】アース端子の取付構造、及びアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20241031BHJP
H01R 11/11 20060101ALI20241031BHJP
H01R 4/34 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R4/64 C
H01R11/11 Z
H01R4/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073649
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】真木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 慶恭
(72)【発明者】
【氏名】池内 俊平
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA43
(57)【要約】
【課題】錆の発生を抑制できるアース端子の取付構造、及びアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法を提供する。
【解決手段】アース端子20,21の取付構造は、ねじ60を用いて車両のボディ10にアース端子20,21を取り付けるアース端子20,21の取付構造であって、ボディ10は、規制孔11と、ねじ60が取り付けられる取付孔と、を備え、アース端子20,21は、ねじ60が取り付けられる取付部を備え、アース端子20,21は、樹脂製のプロテクタ30に覆われており、プロテクタ30は、アース端子20,21を覆うプロテクタ本体31と、ねじ60の延びる方向に沿って延びるとともに規制孔11に挿入される規制部32と、ねじ60が取り付けられる挿通部を有するとともにアース端子20,21及びボディ10に接触する金属板と、を備え、金属板は、プロテクタ本体31と一体に成形されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじを用いて車両のボディにアース端子を取り付けるアース端子の取付構造であって、
前記ボディは、規制孔と、前記ねじが取り付けられる取付孔と、を備え、
前記アース端子は、前記ねじが取り付けられる取付部を備え、
前記アース端子は、樹脂製のプロテクタに覆われており、
前記プロテクタは、前記アース端子を覆うプロテクタ本体と、前記ねじの延びる方向に沿って延びるとともに前記規制孔に挿入される規制部と、前記ねじが取り付けられる挿通部を有するとともに前記アース端子及び前記ボディに接触する金属板と、を備え、
前記金属板は、前記プロテクタ本体と一体に成形されている、
アース端子の取付構造。
【請求項2】
前記プロテクタ本体は、前記金属板と一体に成形されたケース部と、前記ケース部に取り付けられるとともに前記ねじの延びる方向において前記アース端子と対向するカバー部と、を備え、
前記カバー部は、カバー本体と、前記カバー本体から前記アース端子に向かって突出するとともに前記アース端子と接触する突出部と、を備える、
請求項1に記載のアース端子の取付構造。
【請求項3】
前記カバー部は、前記ケース部とは別体である、
請求項2に記載のアース端子の取付構造。
【請求項4】
前記カバー本体には、前記ねじの頭部よりも径が大きい開口部が設けられている、
請求項3に記載のアース端子の取付構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法であって、
成形型によって前記金属板を保持することで当該金属板を位置決めし、
前記成形型に樹脂を充填して、前記金属板の前記挿通部の外周部分を前記樹脂で覆うことで前記プロテクタを成形する、
アース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アース端子の取付構造、及びアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用アース端子を車体側のアース取着部に接続する構造が開示されている。アース端子は、接続ボルトによってアース取着部に接続される。
アース端子は、板状接触部と、板状接触部の外縁から外側に突出するとともに下方に屈曲する位置決め片とを備える。
【0003】
アース取着部は、アース端子の位置決め片が挿入される位置決めスリットを備える。
アース取着部の上方にアース端子を重ねるとともに位置決めスリットに位置決め片が挿入されることで、アース取着部に対してアース端子が位置決めされる。その後、アース端子及びアース取着部に接続ボルトを回転させながら挿通することでアース取着部にアース端子を締結する。このとき、位置決め片が位置決めスリットに接触することで、接続ボルトの回転に伴うアース端子の回転が規制される。
【0004】
なお、一般的にアース取着部及びアース端子は、それぞれ異なる種類の金属が含まれる。また、アース取着部及びアース端子の表面には、錆の発生を抑制する塗装が施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、位置決めスリットに位置決め片が接触すると、塗装が剥がれることで、塗装に覆われていた内部の金属同士が直接接触する。そして、位置決めスリットに含まれる金属と位置決め片に含まれる金属とが異なるため、一方の金属には、異種金属接触腐食と称される錆が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのアース端子の取付構造、及びアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法の各態様を記載する。
[態様1]ねじを用いて車両のボディにアース端子を取り付けるアース端子の取付構造であって、前記ボディは、規制孔と、前記ねじが取り付けられる取付孔と、を備え、前記アース端子は、前記ねじが取り付けられる取付部を備え、前記アース端子は、樹脂製のプロテクタに覆われており、前記プロテクタは、前記アース端子を覆うプロテクタ本体と、前記ねじの延伸方向に沿って延びるとともに前記規制孔に挿入される規制部と、前記ねじが取り付けられる挿通部を有するとともに前記アース端子及び前記ボディに接触する金属板と、を備え、前記金属板は、前記プロテクタ本体と一体に成形されている、アース端子の取付構造。
【0008】
上記構成によれば、ねじの回転に伴ってプロテクタが回転することでプロテクタの規制部が規制孔の縁に接触しても、規制部が樹脂製であるため、規制部と規制孔の縁との間に異種金属接触腐食は生じない。したがって、錆の発生を抑制できる。
【0009】
[態様2]前記プロテクタ本体は、前記金属板と一体に成形されたケース部と、前記ケース部に取り付けられるとともに前記ねじの延びる方向において前記アース端子と対向するカバー部と、を備え、前記カバー部は、カバー本体と、前記カバー本体から前記アース端子に向かって突出するとともに前記アース端子と接触する突出部と、を備える、[態様1]に記載のアース端子の取付構造。
【0010】
上記構成によれば、突出部によって突出部の突出方向に沿った方向におけるアース端子の移動が規制される。したがって、アース端子を的確に位置決めできる。
[態様3]前記カバー部は、前記ケース部とは別体である、[態様2]に記載のアース端子の取付構造。
【0011】
突出部はカバー本体からアース端子に向かって延びている。そのため、上記構成とは異なり、例えば、カバー部とケース部とがヒンジによって一体に形成される場合、以下のような問題が生じる。すなわち、カバー部がヒンジを中心に回転しながらケース部に取り付けられる際に、突出部が他の部材に接触するおそれがある。
【0012】
その点、上記構成によれば、カバー部を突出部が延びる方向に平行移動させながらケース部に取り付けることができるため、突出部が他の部材に接触することを抑制できる。
[態様4]前記カバー本体には、前記ねじの頭部よりも径が大きい開口部が設けられている、[態様2]または[態様3]のいずれか一項に記載のアース端子の取付構造。
【0013】
上記構成によれば、開口部にねじを回転させる工具を挿通させることができる。したがって、カバー部をケース部に取り付けるとともに突出部でアース端子の移動を規制した状態でねじを回転させて取り付けることができる。そのため、カバー部に開口部が設けられておらず、カバー部をケース部から取り外した状態でねじを回転させる場合と比較して、アース端子が移動しにくい。したがって、アース端子を的確に位置決めしながらねじを取り付けることができる。
【0014】
[態様5][態様1]から[態様4]のいずれか一項に記載のアース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法であって、成形型によって前記金属板を保持することで当該金属板を位置決めし、前記成形型に樹脂を充填して、前記金属板の前記挿通部の外周部分を前記樹脂で覆うことで前記プロテクタを成形する、アース端子の取付構造におけるプロテクタの製造方法。
【0015】
上記方法によれば、金属板を的確に位置決めしながら金属板と一体にケース部を成形できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、錆の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るプロテクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るプロテクタの平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る第1アース端子及び第2アース端子の平面図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係るケース部の平面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るプロテクタの製造方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変更例に係る
図2の7-7線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図8を参照して、アース端子の取付構造の一実施形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、車両のボディ10には、ねじ60によって第1アース端子20及び第2アース端子21が取り付けられている。第1アース端子20及び第2アース端子21は、樹脂製のプロテクタ30によって覆われている。
【0019】
以下、各構成について詳細に説明する。
<ボディ10>
図3に示すように、ボディ10は、規制孔11と、ねじ60が取り付けられる取付孔12とを備える。なお、ボディ10は、金属製である。
【0020】
<第1アース端子20及び第2アース端子21>
図1~
図4に示すように、第1アース端子20及び第2アース端子21は、それぞれ電線70の先端に接続されている。
【0021】
(第1アース端子20)
図4に示すように、第1アース端子20は、電線70に接続される接続部24と、接続部24の先端に設けられる第1取付部22とを備える。第1取付部22は、接続部24の先端から幅方向Wの一側(
図4の右側)及び電線70の延伸方向Lの一側(
図4の上側)に延びる平板状の金属部材である。第1取付部22には、ねじ60が挿通される孔25が設けられている。また、第1取付部22における延伸方向Lの一側には、切欠き26が設けられている。
【0022】
(第2アース端子21)
第2アース端子21は、電線70に接続される接続部24と、接続部24の先端に設けられる第2取付部23とを備える。第2取付部23は、接続部24の先端から幅方向Wの他側(
図4の左側)及び延伸方向Lの一側に延びる平板状の金属部材である。第2取付部23には、ねじ60が挿通される孔25が設けられている。また、第2取付部23における延伸方向Lの一側には、切欠き26が設けられている。第2取付部23の切欠き26における幅方向Wの他側には、幅方向Wの一側に延びるとともに高さ方向Zの一側(
図4の奥側)に傾斜する傾斜部27が設けられている。
【0023】
図6に示すように、第2アース端子21の第2取付部23は、第1アース端子20の第1取付部22の高さ方向Zの他側(
図6の上側)に重ねられている。また、第2アース端子21の傾斜部27は、第1アース端子20の切欠き26に挿入されている。
【0024】
<プロテクタ30>
図1~
図3、及び
図5に示すように、プロテクタ30は、第1アース端子20及び第2アース端子21を覆うプロテクタ本体31と、規制部32と、金属板33とを備える。
【0025】
(プロテクタ本体31)
プロテクタ本体31は、ケース部40と、ケース部40に取り付けられるとともに高さ方向Zにおいて第1アース端子20及び第2アース端子21と対向するカバー部50とを備える筐体である。
【0026】
図5に示すように、ケース部40は、底壁41と、一対の側壁42と、前壁45と、後壁46とを備える。
底壁41は、幅方向W及び延伸方向Lに延びている。
【0027】
一対の側壁42は、底壁41における幅方向Wの両端に接続されている。一対の側壁42は、延伸方向L及び高さ方向Zの他側に延びている。すなわち、一対の側壁42は、幅方向Wにおいて対向している。
【0028】
図1~
図3、及び
図5に示すように、一対の側壁42における高さ方向Zの他側の端部には、高さ方向Zの他側に突出する爪部43が設けられている。また、爪部43は、高さ方向Zの一側ほど幅方向Wの両側に突出している。そして、爪部43の延伸方向Lの両側には、プロテクタ本体31の外側に向かって突出する凸部44が設けられている。
【0029】
図1及び
図5に示すように、前壁45は、底壁41における延伸方向Lの一側の端部に接続されるとともに高さ方向Zの他側に延びている。また、前壁45は、一対の側壁42における延伸方向Lの一側の端部に接続されるとともに延伸方向Lの一側に突出しており、延伸方向Lの一側ほど幅方向Wにおいて小さくなる。そして、前壁45における延伸方向Lの一側の先端部分は、幅方向Wに延びる平面となっている。
【0030】
図5に示すように、後壁46は、底壁41における延伸方向Lの他側(
図5の右側)に接続されるとともに高さ方向Zの他側に延びている。また、後壁46は、一対の側壁42における延伸方向Lの他側の端部に接続されている。
【0031】
図5及び
図7に示すように、後壁46には、後壁46を延伸方向Lに貫通する第1収容部47及び第2収容部48が設けられている。第1収容部47及び第2収容部48は、高さ方向Zの他側に開口する凹部である。第1収容部47は、第2収容部48よりも幅方向Wの他側に位置する。
【0032】
図7に示すように、第1収容部47には、第1取付部22の接続部24が収容される。第2収容部48には、第2取付部23の接続部24が収容される。
図1~
図3、
図6、及び
図7に示すように、カバー部50は、カバー本体51と、嵌合部53と、第1突出部55と、第2突出部56とを備える。なお、カバー部50は、ケース部40とは別体であり、ケース部40に対して脱着可能に構成されている。
【0033】
カバー本体51は、ケース部40の底壁41に対向する平板状の部材である。カバー本体51の外周は、一対の側壁42、前壁45、及び後壁46の高さ方向Zの他側の端部に沿った形状である。
【0034】
図1及び
図2に示すように、カバー本体51には、ねじ60の頭部61よりも径が大きい円形状の開口部52が設けられている。高さ方向Zの他側からプロテクタ30を見たときに、開口部52の中心は、ねじ60の中心と一致している。また、ねじ60の外周縁は、開口部52の内側に位置している。
【0035】
図1~
図3に示すように、カバー本体51における幅方向Wの両側には、ケース部40の爪部43に嵌合する嵌合部53が設けられている。嵌合部53は、カバー本体51から高さ方向Zの一側に延びている。嵌合部53には、爪部43が嵌合する嵌合孔54が設けられている。嵌合部53は、2つの凸部44の間に位置する。
【0036】
図6に示すように、第1突出部55は、開口部52の縁に設けられている。第1突出部55は、第1アース端子20の第1取付部22及び第2アース端子21の第2取付部23に向かって延びている。第1突出部55と、第1取付部22及び第2取付部23との間には、隙間が設けられている。
【0037】
図7に示すように、第2突出部56は、カバー本体51において第1収容部47及び第2収容部48に対して高さ方向Zに対向する部分にそれぞれ2つずつ設けられている。第2突出部56は、第1アース端子20の接続部24及び第2アース端子21の接続部24に向かって延びるとともに第1アース端子20の接続部24及び第2アース端子21の接続部24に接触している。
【0038】
(規制部32)
図1及び
図3に示すように、規制部32は、底壁41における延伸方向Lの一側の端部に設けられている。規制部32は、底壁41から高さ方向Zの一側に延びる棒状の部材である。規制部32は、ボディ10の規制孔11に挿入されている。
【0039】
(金属板33)
図5及び
図6に示すように、金属板33は、底壁41及び一対の側壁42と一体に成形されている。金属板33は、延伸方向L及び幅方向Wに延びている。金属板33は、ねじ60が取り付けられる挿通部35を有する。挿通部35は孔である。
【0040】
図6に示すように、金属板33は、ボディ10に接触している。金属板33における幅方向Wの一側の端部34は、高さ方向Zの他側に延びるとともに幅方向Wの一側の側壁42と一体に成形されている。金属板33における幅方向Wの他側の端部34は、高さ方向Zの他側に延びるとともに幅方向Wの他側の側壁42と一体に成形されている。
【0041】
金属板33の高さ方向Zの他側には、第1アース端子20の第1取付部22及び第2アース端子21の第2取付部23が重ねられている。第1取付部22及び第2アース端子21の傾斜部27は、金属板33に接触している。そして、ねじ60によって、金属板33、第1取付部22、及び第2取付部23がボディ10に取り付けられている。ねじ60は、ナット62に螺合している。
【0042】
次に、
図8に示すように、プロテクタ30の製造方法について説明する。
まず、図示しない成形型によって金属板33を保持することで金属板33を位置決めする(位置決め工程)。
【0043】
次に、成形型に溶融した樹脂を充填することで金属板33の挿通部35の外周部分となる端部34を樹脂で覆う(充填工程)。
そして、成形型及び樹脂を冷却することで金属板33と一体にプロテクタ30を成形する(成形工程)。
【0044】
なお、第1アース端子20及び第2アース端子21は、「課題を解決するための手段」に記載のアース端子の一例であってその形状を限定するものではない。また、第1取付部22及び第2取付部23は、「課題を解決するための手段」に記載の取付部の一例であってその形状を限定するものではない。また、第2突出部56は、「課題を解決するための手段」に記載の突出部の一例であってアース端子を適切に保持可能な突出部であればその形状を限定するものではない。
【0045】
本実施形態の作用について説明する。
図1及び
図3に示すように、プロテクタ30の規制部32が、ボディ10の規制孔11に挿入される。また、ねじ60は、取付孔12、挿通部35、第1アース端子20の孔25、及び第2アース端子21の孔25に挿通されている。この状態で、ねじ60を回転させることで、プロテクタ30、第1アース端子20、及び第2アース端子21をボディ10に締結させる。そして、ねじ60の回転に伴って、プロテクタ30もねじ60と同じ方向に回転する。しかしながら、規制部32がねじ60の延びる方向である高さ方向Zに沿って延びているため、規制部32が規制孔11の縁に接触する。その結果、プロテクタ30の回転が規制される。
【0046】
本実施形態の効果について説明する。
(1)第1アース端子20及び第2アース端子21は、プロテクタ30に覆われている。そして、プロテクタ30の規制部32は、樹脂製である。
【0047】
同構成によれば、上記作用を奏することから、規制部32と規制孔11の縁との間に異種金属接触腐食は生じない。したがって、錆の発生を抑制できる。
(2)プロテクタ本体31は、ケース部40と、カバー部50とを備える。カバー部50は、カバー本体51と、第1アース端子20及び第2アース端子21に向かって延びるとともに第1アース端子20及び第2アース端子21と接触する第2突出部56とを備える。
【0048】
同構成によれば、第2突出部56によって高さ方向Zにおける第1アース端子20及び第2アース端子21の移動が規制される。したがって、第1アース端子20及び第2アース端子21を的確に位置決めできる。
【0049】
(3)カバー部50は、ケース部40とは別体である。
図9に示すように、カバー本体51における幅方向Wの他側の端部と、幅方向Wの他側の側壁42における高さ方向Zの他側の端部とがヒンジ80によって一体に形成される場合、以下のような問題が生じる。すなわち、カバー部50がヒンジ80を中心に回転しながらケース部40に取り付けられる際に、第2突出部56が他の部材に接触するおそれがある。
【0050】
その点、上記構成によれば、カバー部50を高さ方向Zに対して平行移動させながらケース部40に取り付けることができるため、第2突出部56が他の部材に接触することを抑制できる。
【0051】
(4)カバー本体51には、ねじ60の頭部61よりも径が大きい開口部52が設けられている。高さ方向Zの他側からプロテクタ30を見たときに、開口部52の中心は、ねじ60の中心を一致している。また、ねじ60の外周縁は、開口部52の内側に位置している。
【0052】
同構成によれば、開口部52にねじ60を回転させる工具を挿通させることができる。したがって、カバー部50をケース部40に取り付けるとともに第2突出部56で第1アース端子20及び第2アース端子21の移動を規制した状態でねじ60を回転させて取り付けることができる。そのため、カバー本体51に開口部52が設けられておらず、カバー部50をケース部40から取り外した状態でねじ60を回転させる場合と比較して、第1アース端子20及び第2アース端子21が移動しにくい。したがって、第1アース端子20及び第2アース端子21を的確に位置決めしながらねじ60を取り付けることができる。
【0053】
(5)プロテクタ30の製造方法は、位置決め工程と、充填工程と、成形工程とを備える。
同方法によれば、金属板33を的確に位置決めしながら金属板33と一体にケース部40を成形できる。
【0054】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・凸部44を省略してもよい。
・第2アース端子21及び第2収容部48を省略してもよい。
・開口部52を省略してもよい。
【0056】
・
図9に示すように、カバー本体51における幅方向Wの他側の端部と、幅方向Wの他側の側壁42における高さ方向Zの他側の端部とをヒンジ80によって一体に形成してもよい。この場合、カバー部50とケース部40とが分離しないため、組付作業の効率を向上できるとともにカバー部50が落下することを抑制できる。
【0057】
・第2突出部56は、カバー本体51において第1収容部47及び第2収容部48に対向する部分にそれぞれ1つずつ設けられていてもよい。
・第1突出部55を省略してもよい。また、第2突出部56を省略してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…ボディ
11…規制孔
12…取付孔
20…第1アース端子(アース端子)
21…第2アース端子(アース端子)
22…第1取付部(取付部)
23…第2取付部(取付部)
24…接続部
25…孔
26…切欠き
27…傾斜部
30…プロテクタ
31…プロテクタ本体
32…規制部
33…金属板
34…端部
35…挿通部
40…ケース部
41…底壁
42…側壁
43…爪部
44…凸部
45…前壁
46…後壁
47…第1収容部
48…第2収容部
50…カバー部
51…カバー本体
52…開口部
53…嵌合部
54…嵌合孔
55…第1突出部
56…第2突出部(突出部)
60…ねじ
61…頭部
62…ナット
70…電線
80…ヒンジ