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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158443
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】調味料及び調味料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20241031BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20241031BHJP
   A23L 27/50 20160101ALI20241031BHJP
【FI】
A23L27/00 D
A23L27/20 B
A23L27/50 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073651
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】523160586
【氏名又は名称】武田 好生
(74)【代理人】
【識別番号】100185476
【弁理士】
【氏名又は名称】宮下 桂輔
(72)【発明者】
【氏名】武田 好生
【テーマコード(参考)】
4B039
4B047
【Fターム(参考)】
4B039LB14
4B039LC06
4B039LR30
4B047LB04
4B047LB09
4B047LE01
4B047LG21
4B047LG23
4B047LG60
4B047LG62
4B047LG63
4B047LP05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】適用する食材や食品に良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能で、万能的に利用可能な調味料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】糖類と酢との混合物のメイラード反応物と醤油を含有する調味料とする。該調味料の製造方法は、糖類と酢を加熱する工程と、加熱工程によって糖類と酢との混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油を添加する工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油を含有する調味料。
【請求項2】
糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを含有する調味料。
【請求項3】
糖類としてフラクトオリゴ糖と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油を含有する調味料。
【請求項4】
糖類としてフラクトオリゴ糖と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを含有する調味料。
【請求項5】
前記糖類の添加量100質量%に対して、前記糖類と酢との混合物への酢の添加量が15質量%~150質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の調味料。
【請求項6】
前記糖類の添加量100質量%に対して、前記醤油の添加量が500質量%~2000質量%であることを特徴とする請求項1又は3に記載の調味料。
【請求項7】
前記糖類の添加量100質量%に対して、前記醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの添加量が500質量%~2000質量%であることを特徴とする請求項2又は4に記載の調味料。
【請求項8】
糖類と酢を加熱する工程と、
前記加熱工程によって糖類と酢との混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油を添加する工程と、を含む調味料の製造方法。
【請求項9】
糖類と酢を加熱する工程と、
前記加熱工程によって糖類と酢との混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを添加する工程と、を含む調味料の製造方法。
【請求項10】
前記糖類がフラクトオリゴ糖であることを特徴とする請求項8又は9に記載の調味料の製造方法。
【請求項11】
前記醤油を添加する前に、前記加熱してメイラード反応を開始した糖類と酢の混合物の温度を100°C以下にする調温工程を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適用する食材や食品に良好な旨味、風味及びコクを付与することが可能な調味料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フランス料理の分野では、砂糖と酢を加熱してメイラード反応を生じさせ、そのメイラード反応物に水を添加して得られるガストリックと称される調味料が存在している。ガストリックは、適用する食品素材の旨味を引き出するためや、料理の隠し味に用いられている。
ガストリックは、有効な調味料であるものの、糖類と酢との混合物のメイラード反応物に水を添加することから、ガストリック自体の味や風味が薄まり、これを適用する食材や料理に良好な旨味、風味やコクを付与するには不十分な場合があった。
【0003】
特許文献1は、糖類を、糖類の品温が糖類の熔融温度±20℃になるように加熱し、次いで水を添加することにより当該品温を10~40℃低下させた後、食品素材を加え、加熱濃縮することを特徴とするロースト食品の製造方法を開示している。
特許文献1は、ローストした食品の香味を付与するための技術であり、万能的に利用可能な調味料を開示するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-060881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、適用する食材や食品に良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能で、万能的に利用可能な調味料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の調味料は、糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油を含有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の態様の調味料は、糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の態様の調味料は、糖類としてフラクトオリゴ糖と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油を含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第4の態様の調味料は、糖類としてフラクトオリゴ糖と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の第5の態様の調味料は、前記糖類の添加量100質量%に対して、前記糖類と酢との混合物への酢の添加量が15質量%~150質量%であることを特徴とする。
【0011】
本発明の第6の態様の調味料は、前記糖類の添加量100質量%に対して、前記醤油の添加量が500質量%~2000質量%であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第7の態様の調味料は、前記糖類の添加量100質量%に対して、前記醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの添加量が500質量%~2000質量%であることを特徴とする。
【0013】
本発明の第8の態様の調味料の製造方法は、糖類と酢を加熱する工程と、前記加熱工程によって糖類と酢との混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油を添加する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第9の態様の調味料の製造方法は、糖類と酢を加熱する工程と、前記加熱工程によって糖類と酢の混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを添加する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の第10の態様の調味料の製造方法は、前記糖類がフラクトオリゴ糖であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第11の態様の調味料の製造方法は、前記醤油を添加する前に、前記加熱してメイラード反応を開始した糖類と酢の混合物の温度を100°C以下にする調温工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、調味料が、糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、さらに醤油を含有することから、糖類と酢との混合物のメイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクと、これを希釈することなく、さらに醤油の良好な旨味、風味及びコクを有することから、当該調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、調味料が、さらにみりん及び酢の少なくとも1つを含有することから、本発明の前記効果に加えて、調味料の有する旨味、風味及びコクに変化をもたらすことができ、当該調味料を適用する食材・食品に、バリエーション豊富な旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0019】
本発明の第3及び第4の態様によれば、糖類がフラクトオリゴ糖であることから、本発明の前記効果に加え、調味料の摂取者にフラクトオリゴ糖由来の整腸効果、糖質を吸収させない効果、場合によりメイラード反応により生ずるAGE(Advanced Glycation Endproducts 終末糖化産物)を吸収させない効果等の健康面での効果も期待できる。
【0020】
本発明の第5の態様によれば、糖類の添加量100質量%に対して、糖類と酢との混合物への酢の添加量が15質量%~150質量%であることから、調味料が、糖類と酢との混合物のメイラード反応物のより良好な旨味、風味及びコクを有することが可能となり、その結果、当該調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、より良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能になる。
【0021】
本発明の第6及び第7の態様によれば、糖類の添加量100質量%に対して、醤油の添加量が500質量%~2000質量%であり、また、醤油と、さらにみりん及び酢の少なくとも1つの添加量が500質量%~2000質量%であることから、調味料が、糖類と酢との混合物のメイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクを希釈することなく、さらに醤油のより良好な旨味、風味及びコクを有することから、当該調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、より良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となるとともに、調味料の有する旨味、風味及びコクに変化をより有効にもたらすことができ、当該調味料を適用する食材・食品に、より有効にバリエーション豊富な旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様によれば、糖類と酢を加熱する工程と、前記加熱工程によって糖類と酢との混合物がメイラード反応を開始した後に、醤油を添加する工程と、を含むことから、得られた調味料が、糖類と酢との混合物のメイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクと、これを希釈することなく、さらに醤油の良好な旨味、風味及びコクを有することから、当該調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0023】
本発明の第9の態様によれば、さらにみりん及び酢の少なくとも1つを添加することから、本発明の前記効果に加えて、調味料の有する旨味、風味及びコクに変化をもたらすことができ、当該調味料を適用する食材・食品に、バリエーション豊富な旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0024】
本発明の第10の態様によれば、糖類がフラクトオリゴ糖であることから、本発明の前記効果に加え、調味料の摂取者にフラクトオリゴ糖由来の整腸効果、糖質を吸収させない効果、場合によりメイラード反応により生ずるAGE(Advanced Glycation Endproducts 終末糖化産物)を吸収させない効果等の健康面での効果も期待できる。
【0025】
本発明の第11の態様によれば、醤油を添加する前に、加熱してメイラード反応を開始した糖類と酢の混合物の温度を100°C以下に調温することから、100°Cを超える高温で醤油を加熱した場合に生じる苦味や焦げ臭さの発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の調味料は、糖類と酢との混合物のメイラード反応物と、醤油を含有するものである。以下、糖類と酢との混合物のメイラード反応物を、単にメイラード反応物と称することがある。
【0027】
本発明の糖類は、特に限定されるものではないが、例えば、ブドウ糖、果糖、砂糖、マルトース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、オリゴ糖、水飴、糖蜜、蜂蜜、メープルシラップ等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明の糖類は、好ましくはフラクトオリゴ糖である。
フラクトオリゴ糖は、整腸効果、糖質を吸収させない効果等の健康面で優位な効果があることが知られており、また、場合によりメイラード反応により生ずるAGE(Advanced Glycation Endproducts 終末糖化産物)を吸収させない効果も期待できる。
また、フラクトオリゴ糖は、他の多くの糖類と比較して甘味が少ないため、調味料が甘くなり過ぎることを防止することも可能である。
なお、フラクトオリゴ糖と酢との混合物のメイラード反応物に、液体を加えると、ガラスのように強固に固まってしまい、これを調味料として使用可能な粘度とするためには、相当程度多量の液体を加える必要があり、例えば、一般的なガストリックのように液体として水を添加した場合には、調味料の味、風味及びコクが薄くなり過ぎてしまうところ、本発明のように、醤油又は好ましい態様において醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つを相当程度多量にメイラード反応物に添加しても、調味料の味、風味及びコクが薄くなり過ぎてしまうことを有効に防止することができる。
【0029】
本発明の酢は、特に限定されるものではないが、例えば、穀物酢、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガー、バルサミコ酢等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
本発明の糖類と酢との混合物のメイラード反応物とは、糖類と酢を加熱しメイラード反応させたものである。
糖類と酢は、予め混合しておいてから加熱してもよいし、糖類と酢を別々に添加して両者を混合しながら加熱してもよい。
本発明のメイラード反応物は、糖類と酢を加熱して褐変反応が開始し始めた段階の物から、糖類と酢が加熱により焦げる直前の段階の物を含む。
【0031】
本発明の調味料は、メイラード反応物と、さらに醤油を含む。メイラード反応物に醤油を加えることで、調味料が、メイラード反応物と、さらに醤油を含有することから、メイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクと、これを希釈することなく、さらに醤油の良好な旨味、風味及びコクを有することから、調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
本発明の醤油は、特に限定されるものではないが、例えば、濃口醤油、淡口醤油、溜醤油、再仕込醤油、白醤油等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、醤油は、メイラード反応物に添加される。
また、後述するように、好ましくは、醤油は、温度が100°C以下のメイラード反応物に添加される。
また、後述するように、好ましくは、醤油をメイラード反応物に添加した後、メイラード反応物と醤油の混合物をさらに継続加熱して、より好ましくは100°Cを超えない温度で継続加熱して、メイラード反応物と醤油の混合物、即ち、本発明の調味料の粘度を、例えば、どろっとした調味料として適度な状態に調整することが可能となる。
【0032】
本発明の調味料は、好ましくは、メイラード反応物と、醤油と、これらに加え、さらに、みりん及び酢の少なくとも1つを含む。調味料が、さらにみりん及び酢の少なくとも1つを含有することから、本発明の前記効果に加えて、調味料の有する旨味、風味及びコクに変化をもたらすことができ、当該調味料を適用する食材・食品に、バリエーション豊富な旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
本発明において、みりんは、特に限定されるものではないが、例えば、本みりんの他、みりんタイプの発酵調味料、みりん風調味料等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、メイラード反応物に後から添加される酢は、メイラード反応物に元々含有される酢、即ち、糖類と酢との混合物に添加される酢とは別に添加されるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、穀物酢、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガー、バルサミコ酢等のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、本発明において、メイラード反応物に後から添加される酢と、メイラード反応物に元々含有される酢、即ち、糖類と酢との混合物に添加される酢とを区別するために、以下、メイラード反応物に添加される酢を、単に添加酢と称することがある。
【0033】
本発明の好ましい態様において、調味料は、みりん及び添加酢の少なくとも1つを含むので、調味料は、みりん及び添加酢のいずれか1種、又はみりん及び添加酢の両方を含むことができる。
【0034】
みりん及び添加酢の少なくとも1つは、別々にメイラード反応物と醤油に添加してもよいし、みりん及び添加酢の両方を予め混合した混合物をメイラード反応物と醤油に添加してもよいし、みりん及び添加酢の少なくとも1つと醤油を予め混合した混合物をメイラード反応物に添加してもよい。
【0035】
本発明の好ましい態様において、糖類の添加量100質量%に対して、糖類と酢との混合物に添加される酢、即ち、メイラード反応物に含有される酢の添加量が15質量%~150質量%であることが望ましく、30質量%~100質量%であることがより望ましい。
酢の添加量を前記好ましい範囲とすることにより、調味料が、メイラード反応物のより良好な旨味、風味及びコクを有することが可能となり、その結果、調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、より良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能になる。
【0036】
本発明の好ましい態様において、糖類の添加量100質量%に対して、醤油の添加量が500質量%~2000質量%であることが望ましい。
醤油の添加量を前記好ましい範囲とすることにより、調味料が、メイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクを希釈することなく、さらに醤油のより良好な旨味、風味及びコクを有することから、調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、より良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0037】
本発明の好ましい態様において、糖類の添加量100質量%に対して、醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの添加量が500質量%~2000質量%であることが望ましい。
醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの添加量を前記好ましい範囲とすることにより、調味料が、メイラード反応物の良好な旨味、風味及びコクを希釈することなく、さらに醤油のより良好な旨味、風味及びコクを有することから、調味料を適用する食材・食品に、万能的に利用可能で、より良好な十分の旨味、風味及びコクを付与することが可能となるとともに、調味料の有する旨味、風味及びコクに変化をより有効にもたらすことができ、調味料を適用する食材・食品に、より有効にバリエーション豊富な旨味、風味及びコクを付与することが可能となる。
【0038】
次に、本発明の調味料の製造方法について説明する。
【0039】
鍋に糖類と酢を投入して混合しながら加熱し、糖類と酢の混合物が褐変し始めた後(メイラード反応を開始した後)黒色となる前に加熱を停止する。この時、糖類と酢の混合物が褐変し始めた物、即ち、メイラード反応物の温度は140°C前後である。
メイラード反応物の温度が100°C以下となるまで加熱を停止し、メイラード反応物の温度が100°C以下となってから、メイラード反応物に醤油、又は好ましい態様において醤油と、さらにみりん及び酢の少なくとも1つを添加して混合する。
メイラード反応物と醤油又は醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの混合物の粘度、味、風味が調味料として適当であれば、この時点でのメイラード反応物と醤油又は醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの混合物を本発明の調味料として用いることができる。
ここで、メイラード反応物と醤油又は醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの混合物の粘度、味、風味が調味料として不十分であれば、必要に応じて、例えば、どろっとした粘度となり、所望の味、風味が得られるまで、メイラード反応物と醤油又は醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの混合物をさらに継続加熱、好ましくはメイラード反応物と醤油又は醤油と、みりん及び酢の少なくとも1つの混合物を100°C以下の温度に維持しながら継続加熱することも可能である。
【実施例0040】
砂糖50質量%と酢10質量%を鍋に投入し混合しながら加熱した。
砂糖と酢の混合物が褐変し始めた後(メイラード反応を開始した後)、黒色となる直前に加熱を停止し、メイラード反応物を得た。
メイラード反応物の温度を確認し、100°C以下となったら、醤油1,000質量%をメイラード反応物に添加して混合した。
メイラード反応物に醤油を添加した後、メイラード反応物と醤油の混合物が、どろっとした粘度となるまで、メイラード反応物と醤油の混合物の温度を100°C以下に維持しながら継続加熱を行い、本発明の調味料を製造した。
製造した調味料を食したところ、調味料は、十分濃い旨味、風味及びコクを有していた。
得られた調味料の適量を刺身に付けて食したところ、調味料が刺身の味を邪魔することなく、刺身の旨味及び風味を引き出し、調味料と刺身の味及び風味が相俟って全体としてコクのある旨味と良好な風味を感じることができた。
【実施例0041】
フラクトオリゴ糖200質量%と酢40質量%を鍋に投入し混合しながら加熱した。
フラクトオリゴ糖と酢の混合物が褐変し始めた後(メイラード反応を開始した後)、黒色となる直前に加熱を停止し、メイラード反応物を得た。
メイラード反応物の温度を確認し、100°C以下となったら、醤油、みりん及び添加酢を、その合計量4,000質量%をメイラード反応物に添加して混合した。
メイラード反応物に醤油、みりん及び添加酢を添加した後、メイラード反応物と醤油、みりん及び添加酢の混合物が、どろっとした粘度となるまで、メイラード反応物と醤油、みりん及び添加酢の混合物の温度を100°C以下に維持しながら継続加熱を行い、本発明の調味料を製造した。
製造した調味料を食したところ、調味料は、十分濃い旨味、風味及びコクを有していた。
得られた調味料の適量を生野菜に付けて食したところ、調味料が野菜の味を邪魔することなく、野菜の旨味及び風味を引き出し、調味料と野菜の味及び風味が相俟って全体としてコクのある旨味と良好な風味を感じることができた。