(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158444
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】通信制御システム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/06 20090101AFI20241031BHJP
【FI】
H04W48/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073652
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】町本 将記
(72)【発明者】
【氏名】大滝 基之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE72
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動通信端末からの要求信号の受信が集中する場合において、要求信号に対する規制が実施される状態からの早期の復帰をはかり、要求信号を発した移動通信端末における通信を可能とする移動通信システムを提供する。
【解決手段】移動通信システムにおいて、通信制御システム1は、移動通信端末からの通信を要求する要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、前記要求信号に対する規制を実施し、前記規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された前記要求信号に応じて前記移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける規制制御部13と、前記要求信号を当該通信制御システムに再送させるタイミングを示し前記再送グループごとに異なる再送タイミングを含む前記応答信号を、規制された前記要求信号を発信した前記移動通信端末のそれぞれに送信する送信部14、を有する通信制御装置10を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末からの通信を要求する要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、前記要求信号に対する規制を実施する規制制御部であって、前記規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された前記要求信号に応じて前記移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける、規制制御部と、
前記要求信号を当該通信制御システムに再送させるタイミングを示し前記再送グループごとに異なる再送タイミングを含む前記応答信号を、規制された前記要求信号を発信した前記移動通信端末のそれぞれに送信する送信部と、
を備える通信制御システム。
【請求項2】
前記規制制御部は、規制された前記要求信号の数に基づいて、前記規制の状況が前記規制条件を満たすか否かを判断する、
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記規制制御部は、前記規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、前記規制の状況が前記規制条件を満たすか否かを判断する、
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記規制条件は、規制された前記要求信号の数に占められる、所定の緊急通報に係る要求信号である緊急要求信号、及び/又は、優先的に扱われることが定められた所定の移動通信端末からの要求信号である優先要求信号の数が、所与の閾値を超えることである、
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記規制制御部は、前記規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、再送グループごとに異なる前記再送タイミングを設定する、
請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記規制制御部は、規制された前記要求信号の数、及び、当該通信制御システムの通常時における前記要求信号の処理数の余力を表す余力情報に基づいて、前記再送グループの数を設定する、
請求項1に記載の通信制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信網において移動通信端末間の通信を制御する通信制御システムは、通信の確立のために要求信号を移動通信端末から受信する。要求信号は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)におけるINVITE信号である。通信制御システムは、要求信号の受信に応じて、通信の確立のための処理を行う。多くの要求信号の受信が一定時間に集中し処理可能な許容数を超えた場合には、通信制御システムは、システム保護のために規制を実施する。通信制御システムは、規制において、要求信号の再送タイミングを含むエラー応答信号を移動通信端末に返信する。移動通信端末は、再送タイミングに従って要求信号を再送する。
【0003】
特許文献1には、通信特性値が通信特性しきい値と一致又は通信特性しきい値を超えているときに再送信要求伝送レートを調整すること及び調整された再送信要求伝送レートに基づいてネットワークエンティティに再送信要求を送る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、移動通信端末からの要求信号の受信が集中する場合においても、要求信号に対する規制が実施される状態からの早期の復帰をはかり、要求信号を発した移動通信端末における通信を可能とする通信制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一側面に係る通信制御システムは、移動通信端末からの通信を要求する要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、要求信号に対する規制を実施する規制制御部であって、規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された要求信号に応じて移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける、規制制御部と、要求信号を当該通信制御システムに再送させるタイミングを示し再送グループごとに異なる再送タイミングを含む応答信号を、規制された要求信号を発信した移動通信端末のそれぞれに送信する送信部と、を備える。
【0007】
上記の側面によれば、移動通信端末からの要求信号の受信が集中する場合においても、要求信号に対する規制が実施される状態からの早期の復帰が図られ、要求信号を発した移動通信端末における通信が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、要求信号を発した移動通信端末における通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の通信制御システムの通信対象の装置構成を示す図である。
【
図2】移動通信端末からの要求信号が規制された場合における応答信号の送信及び要求信号の再送を示す図である。
【
図3】従来及び本発明適用時のそれぞれにおける、受信された要求信号及び再送に係る要求信号の数の推移の例を示す図である。
【
図4】本実施形態の通信制御システムを構成する通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】通信制御システムにおける通信制御方法の処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】再送タイミング制御処理の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る通信制御システムの実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態の通信制御システムの通信対象の装置構成を示す図である。通信制御システム1は、移動体通信網において移動通信端末T間の通信を制御するシステムである。
図1に示されるように、通信制御システム1は、無線又は有線のネットワークNを介して移動通信端末Tと通信可能に構成されている。移動通信端末Tは、移動体通信網を介して移動体通信を行う機能を有する装置である。移動通信端末Tは、例えば、携帯電話機又はスマートフォンである。
【0012】
図2は、移動通信端末Tからの要求信号が規制された場合における応答信号の送信及び要求信号の再送を示す図である。
図2に示されるように、通信制御システム1は、通信の確立のために要求信号C1を移動通信端末Tから受信する。要求信号C1は、例えば、SIPにおけるINVITE信号(SIP_INV)である。通信制御システム1は、受信した要求信号C1に応じて、移動通信端末T間の通信を確立するための処理を行う。
【0013】
通信制御システム1において多くの要求信号の受信が一定時間に集中し処理可能な許容数を超えた場合には、通信制御システム1は、システム保護のために規制を実施する。規制は、例えば、受信した要求信号に対する処理の不実施及び応答信号の返信等である。
図2に示される例において、移動通信端末Tから送信された要求信号C21が規制されると、通信制御システム1は、応答信号C22を移動通信端末Tに返信する。応答信号C22は、例えば、SIPにおけるエラー応答信号(SIP_503)であってもよい。応答信号C22は、要求信号を再送させるタイミング示す再送タイミング情報を含む。即ち、再送タイミング情報は、再送タイミング情報に示される時間が経過した時に、要求信号の再送をすることを移動通信端末Tに指示するための情報である。再送タイミング情報は、retry afterヘッダとしてエラー応答信号(SIP_503)に含まれてもよい。移動通信端末Tは、応答信号C22に含まれる再送タイミング情報に従って要求信号C23を再送する。
【0014】
図3は、従来のシステム及び本実施形態の通信制御システム1の適用時のそれぞれにおける、新規の要求信号及び再送に係る要求信号の数の推移の例を示す図である。
図3には、従来のシステムにおける受信した要求信号の信号数na1及び再送に係る要求信号の信号数na2、並びに、本実施形態の通信制御システム1の適用時における受信した要求信号の信号数nb1及び再送に係る要求信号の信号数nb2の推移の例が示されている。
【0015】
従来のシステムでは、要求信号が規制された場合において端末Tに返信される応答信号に含まれる再送タイミングは予め一律に設定されていた。従って、ある一時期に要求信号の受信が集中して、各端末Tに同じ再送タイミングが通知されると、再送時においても要求信号が集中して、受信した要求信号に対する規制が実施されることとなる。
【0016】
具体的には、符号ta1に示されるように、規制が実施される規制閾値thを信号数na1が超えると、要求信号に対する規制が実施される。規制された要求信号の送信元の端末Tは、受信した応答信号において予め設定された再送タイミングに基づいて要求信号を再送するので、符号ta2に示されるように、再送に係る要求信号の信号数na2が短時間のうちに増加する。その結果、符号ta3に示されるように、新規の要求信号に加えて再送に係る要求信号が各端末Tから送信されるので、信号数na1が規制閾値thを超える時間が継続することとなる。
【0017】
これに対して、本実施形態の通信制御システム1では、後に詳述されるように、規制された要求信号が複数の再送グループに分けられ、再送グループごとに異なる再送タイミングが設定される。即ち、一時に規制された要求信号が再送されるタイミングは、一律ではなく、分散されることとなる。
【0018】
具体的には、符号tb2に示されるように、規制閾値thを信号数nb1が超えると、要求信号に対する規制が実施される。規制された要求信号の送信元の端末Tは、再送グループごとに異なる再送タイミングに基づいて要求信号を再送するので、符号tb2に示されるように、再送に係る要求信号の信号数nb2は、急激には増加せず時間軸に沿って分散される。その結果、符号tb3に示されるように、新規の要求信号の信号数と再送に係る要求信号の信号数との合計である信号数nb1は、時間の経過に従って減少して規制閾値thを下回り、規制が実施される状態からの早期の復帰が実現する。これにより、本実施形態の通信制御システム1によれば、移動通信端末T間の通信を適切に行わせることができる。
【0019】
図4は、本実施形態の通信制御システム1を構成する通信制御装置の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態では、通信制御システム1は、一例として、通信制御装置10により構成される。
【0020】
通信制御装置10は、
図4に示すように、機能的には、要求受信部11、要求処理部12、規制制御部13及び送信部14を備える。これらの各機能部11~14は、
図4に例示されるように一つの装置に構成されてもよいし、複数の装置に分散されて構成されてもよい。
【0021】
要求受信部11は、移動通信端末Tからの要求信号を受信する。具体的には、要求信号は、移動通信端末間の通信の確立を要求するための信号である。要求信号は、例えば、SIPにおけるINVITE信号(SIP_INV)であってもよい。
【0022】
要求処理部12は、要求受信部11により受信された要求信号に応じて、移動通信端末間の通信を確立するための処理を実施する。具体的には、要求処理部12は、例えば、SIPといったプロトコルに従った処理を実施する。
【0023】
この場合には、要求処理部12は、通信相手の識別情報が指定された要求信号を受信すると、識別情報に対応するIPアドレスに対してメッセージを送信する。メッセージを受信した相手方の移動通信端末Tは、応答メッセージを要求処理部12に返信する。要求処理部12は、要求信号の発信元の移動通信端末Tに応答メッセージを転送する。これらの一連の処理により、互いのIPアドレスが移動通信端末Tにより認識され、移動通信端末間の通信が確立される。
【0024】
このように、通信制御システム1では、要求信号の受信に応じて、通信の確立のための一連の処理が実施されるので、通信制御システム1において、受信した要求信号の信号数に応じた処理負荷が発生する。
【0025】
規制制御部13は、移動通信端末Tからの要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、要求信号に対する規制を実施する。例えば、規制制御部13は、要求信号に関する受信処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、要求信号に対する規制を実施する。具体的には、規制制御部13は、移動通信端末Tからの要求信号の数が所与の規制閾値を超えた場合に、要求信号に対する規制を実施してもよい。即ち、規制制御部13は、単位時間あたりに要求受信部11により受信された要求信号の数が規制閾値を超えた場合に、システムを過度な負荷から保護するために、要求信号に対する規制を実施してもよい。
【0026】
要求信号に対する規制は、例えば、要求処理部12による通信の確立のための処理を実施しないこと、及び、要求信号の発信元の移動通信端末Tに対する応答信号(例えば、エラー応答信号)の返信等である。具体的には、規制制御部13は、要求信号を当該通信制御システム1に再送させるタイミングに関する再送タイミング情報を含む応答信号を送信部14に送信させる。
【0027】
応答信号は、例えば、通信制御システム1がSIPに従うシステムである場合には、SIPにおけるエラー応答信号(SIP_503)であってもよい。この場合には、エラー応答信号は、再送タイミング情報をリトライアフターヘッダとして含んでもよい。
【0028】
規制制御部13は、規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された前記要求信号に応じて前記移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける。具体的には、規制制御部13は、規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、再送タイミング制御を実施する。再送タイミング制御は、規制された要求信号に応じて移動通信端末Tに送信する応答信号を複数の再送グループに分けて、再送グループごとに異なる再送タイミングを設定する制御処理である。規制制御部13は、規制された要求信号及び/又はその発信元の移動通信端末Tを複数の再送グループに分けることにより、対応する応答信号を複数の再送グループに分けてもよい。
【0029】
規制制御部13は、規制の状況が所定の規制条件を満たすか否かを判定する処理を所定の時間間隔で実施してもよい。規制制御部13は、例えば、規制の状況が所定の規制条件を満たすか否かを判定する処理を毎秒で実施し、再送タイミング制御を実施するか否かを判定してもよい。
【0030】
規制制御部13は、規制された要求信号の数に基づいて、規制の状況が規制条件を満たすか否かを判断してもよい。再送タイミング制御の実施の契機である規制条件は、規制された要求信号の数及び閾値に基づくものであってもよく、例えば、規制された要求信号の数が、所与の制御閾値を超えることであってもよい。具体的には、規制条件は、単位時間あたりの規制された要求信号の数が所与の制御閾値を超えることであってもよい。また、規制条件は、要求信号に対する規制が実施されるようになった時以降の累積の規制された要求信号の数が、所与の制御閾値を超えることであってもよい。また、規制制御部13は、規制に関する情報を他の装置から受信して規制条件を設定してもよい。また、規制制御部13は、システムのリソース(CPU及びメモリ等)の使用状況に基づいて規制条件を設定してもよい。規制条件における制御閾値は、設計的に任意に設定されてもよく、例えば20であってもよい。
【0031】
規制された要求信号の数が制御閾値を超えること等により規制条件を満たすと判断された場合に、規制された要求信号が再送グループに分割され、再送グループごとに異なる再送タイミングを含む再送タイミング情報が各移動通信端末に送信されるので、規制された多くの要求信号の再送が一時に集中することが防止される。
【0032】
また、規制制御部13は、要求信号に対する規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、規制の状況が規制条件を満たすか否かを判断してもよい。例えば、規制条件は、規制時間が、所与の閾値を超えることであってもよい。規制時間が所与の閾値を超えて長時間に至った場合に、再送タイミング制御が実施されることにより、各移動通信端末Tが、取得した再送タイミングに基づいて要求信号を再送する。従って、規制が実施されている状態からの早期の復帰が可能となる。また、規制時間に関する閾値が適切に設定されることにより、過度の再送タイミング制御の実施が防止される。
【0033】
規制条件は、規制された要求信号の数に占められる、予め定められた特定の要求信号の数が所与の閾値を超えることであってもよい。特定の要求信号は、緊急要求信号及び/又は優先要求信号であってもよい。緊急要求信号は、所定の緊急通報に係る要求信号である。優先要求信号は、優先的に扱われることが定められた所定の移動通信端末からの要求信号である。特定の要求信号に関する所与の閾値は、設計的に任意に設定され得るが、例えば、1又は複数であってもよい。
【0034】
規制制御部13は、要求信号に含まれる、各移動通信端末Tが分類されたクラスを示す情報に基づいて、受信した要求信号が緊急要求信号及び/又は優先要求信号であるか否かを判断してもよい。移動通信端末Tのクラスを示す情報は、例えば、移動通信端末TのSIMに記憶されたAccessClassであってもよい。
【0035】
規制された要求信号の数に占められる特定の要求信号の数が閾値を超えた場合に再送タイミング制御が実施されることにより、規制が実施されている状態からの早期の復帰が実現され、特定の要求信号に基づく通信が可能となる。
【0036】
規制制御部13は、受信した要求信号に関する処理の状況、及び、当該通信制御システム1におけるリソースの使用状況の少なくともいずれか一方に基づいて再送グループの数を設定してもよい。例えば、規制制御部13は、受信した要求信号の数に基づいて再送グループの数を設定してもよいし、規制された要求信号の数に基づいて再送グループの数を設定してもよい。また、規制制御部13は、規制時間に基づいて再送グループの数を設定してもよいし、設定情報に基づいて再送グループの数を設定してもよい。また、再送グループの数は、予め決められた値であってもよい。
【0037】
一例として、規制制御部13は、規制された要求信号の数及び余力情報に基づいて、再送グループの数を設定してもよい。余力情報は、当該通信制御システム1の通常時における要求信号の処理数の余力を表す情報である。
【0038】
具体的には、余力情報は、余力数であってもよい。余力数は、当該通信制御システム1における平常時の要求信号の処理の余力を信号数で示したものである。余力数は、例えば、通信制御システム1が平常時に受信する要求信号の数を規制閾値thから減じた数である。平常時に受信する要求信号の数は、単位時間あたりに受信される要求信号の数の時間平均であってもよい。更に具体的には、規制制御部13は、単位時間あたりに規制された要求信号の数を、余力数で除した数を、再送グループの数としてもよい。
【0039】
このように再送グループの数が設定されることにより、要求処理部12は、再送された要求信号を処理の余力により処理できるので、再送された要求信号の処理が促進される。
【0040】
規制制御部13は、規制が開始されてから経過した時間の長さである規制時間に基づいて、再送グループごとに異なる再送タイミングを設定してもよい。具体的には、規制制御部13は、規制時間が長いほど、長い再送タイミングを各再送グループに対して設定してもよい。また、規制制御部13は、各再送グループの再送タイミングの間隔を、規制時間及び再送グループの数の少なくともいずれか一方に基づいて設定してもよい。
【0041】
具体的には、規制制御部13は、例えば、規制時間と各再送グループの再送タイミングとの対応関係を予め規定したテーブルを参照して、各再送グループの再送タイミングを設定してもよい。また、規制制御部13は、例えば、規制時間及び再送グループの数に基づく所定の数式により、各再送グループの再送タイミングを算出及び設定してもよい。
【0042】
規制制御部13は、例えば、複数の再送グループのうちの、最も早い時を再送タイミングとして設定される第1の再送グループの再送タイミングを、再送タイミング制御の実施の判定時から規制時間が経過した時に設定してもよい。また、規制制御部13は、第1の再送グループの再送タイミングを、再送タイミング制御の実施の判定時から、規制時間を用いた所定の数式により算出された時間が経過した時に設定してもよい。
【0043】
また、規制制御部13は、例えば、各再送グループの再送タイミングの間隔を、規制時間を再送グループ数で除した時間に設定してもよい。一例として、規制制御部13は、以下の式により、複数の再送グループのうちの、n番目に再送タイミングが到来する再送グループの再送タイミングを算出及び設定してもよい。
n番目の再送グループの再送タイミング=lt+(n-1)×lt/rg
lt:規制時間
rg:再送グループ数
【0044】
例えば、再送グループ数が4であって(rg=4)、要求信号に対する規制が8秒間継続した時において(lt=8)、規制制御部13は、上記の式により、以下のように各再送グループの再送タイミングを瀬邸してもよい。
1番目の再送グループの再送タイミング:8秒
2番目の再送グループの再送タイミング:8秒+2秒
3番目の再送グループの再送タイミング:8秒+4秒
2番目の再送グループの再送タイミング:8秒+6秒
【0045】
このように、規制時間の長短に応じた再送タイミングが再送グループごとに設定されることにより、再送された要求信号の処理が適切に実施され、規制が実施されている状態からの速やかな復帰が可能となる。
【0046】
また、規制時間が長いほど長い再送タイミングが再送グループごとに設定されるのことにより、要求信号の再送が長い時間に亘って分散される。従って、再送された要求信号が一時に集中することが防止され、規制が実施されている状態からの適切な復帰が可能となる。
【0047】
また、各再送グループの再送タイミングの間隔が規制時間及び再送グループの数に基づいて設定されることにより、各再送グループの再送タイミングを好適に分散させることができるので、規制が実施されている状態からの適切な復帰が可能となる。
【0048】
なお、規制制御部13は、各再送グループに対して設定される再送タイミングに対して、所定の上限値及び/又は所定の下限値を設定してもよい。即ち、規制制御部13は、上述された方法により再送グループに設定された再送タイミングが上限値を超えている場合に、当該再送グループの再送タイミングを上限値に設定する。また、規制制御部13は、上述された方法により再送グループに設定された再送タイミングが下限値未満である場合に、当該再送グループの再送タイミングを下限値に設定する。
【0049】
このように、再送タイミングの上限値が設定されることにより、要求信号の再送が過剰に長い時間に亘って分散されることが防止される。また、再送タイミングの下限値が設定されることにより、規制の実施が開始された直後における要求信号の輻輳が防止される。
【0050】
送信部14は、再送タイミングを含む再送タイミング情報を、規制された要求信号を発信した移動通信端末Tのそれぞれに送信する。
【0051】
具体的には、送信部14は、規制制御部13により各再送グループに対して設定された再送タイミングを含む再送タイミング情報を、各再送グループに含まれる要求信号の発信元の移動通信端末Tのそれぞれに送信する。
【0052】
上述のとおり、送信部14は、SIPにおけるエラー応答信号(SIP_503)のリトライアフターヘッダに再送タイミング情報を含めてもよい。
【0053】
図5は、通信制御システム1における通信制御方法の処理内容を示すフローチャートである。
図6は、再送タイミング制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS1において、要求受信部11は、移動通信端末Tからの要求信号を受信したか否かを判定する。要求信号を受信したと判定された場合には、処理はステップS2に進む。
【0055】
ステップS2において、規制制御部13は、単位時間あたりの受信した要求信号の数が規制閾値thを超えたか否かを判定する。要求信号の数が規制閾値thを超えたと判定された場合には、処理はステップS4に進む。一方、要求信号の数が規制閾値thを超えたと判定されなかった場合には、処理はステップS3に進む。
【0056】
ステップS3において、要求処理部12は、要求受信部11により受信された要求信号に応じて、移動通信端末T間の通信を確立するための処理を実施する。
【0057】
ステップS4において、規制制御部13は、要求信号に対する規制の状況が所定の規制条件を満たすか否かを判定する。規制の状況が所定の規制条件を満たすと判定された場合には、処理はステップS6に進む。一方、規制の状況が所定の規制条件を満たすと判定されなかった場合には、処理はステップS5に進む。
【0058】
ステップS5において、要求処理部12は、受信した要求信号のうちの、規制閾値thの数の要求信号について、移動通信端末T間の通信を確立するための処理を実施する。また、規制制御部13は、受信した要求信号のうちの、規制閾値thの数を超えた分の要求信号について、要求信号の発信元の移動通信端末Tに再送タイミング情報を含む応答信号を送信する。
【0059】
ステップS6において、要求処理部12は、受信した要求信号のうちの、規制閾値thの数の要求信号について、移動通信端末T間の通信を確立するための処理を実施する。また、規制制御部13は、再送タイミング制御処理を実施する。
【0060】
なお、ステップS1,S2,S4の一連の判定処理及び判定結果に応じたステップS3,S5,S6の処理は、所定の時間間隔で実施されてもよく、例えば、毎秒で実施されてもよい。
【0061】
図6に示される再送タイミング制御処理のフローチャートのステップS11において、規制制御部13は、再送グループ数を所定の手法により設定する。例えば、規制制御部13は、規制された要求信号の数及び余力情報に基づいて、再送グループの数を設定してもよい。そして、規制制御部13は、規制閾値thの数を超えた分の要求信号を複数の再送グループに分ける。
【0062】
ステップS12において、規制制御部13は、所定の手法により、再送グループごとに異なる再送タイミングを設定する。例えば、規制制御部13は、規制時間に基づいて再送グループごとに異なる再送タイミングを設定してもよく、規制時間が長いほど、長い再送タイミングを各再送グループに対して設定してもよい。
【0063】
ステップS13において、送信部14は、再送タイミングを含む再送タイミング情報を、規制された要求信号のそれぞれの発信元の移動通信端末Tに、再送グループごとに異なる再送タイミングを示す再送タイミング情報を送信する。例えば、送信部14は、再送タイミング情報を含む応答信号を移動通信端末Tのそれぞれに送信する。
【0064】
次に、
図7を参照して、コンピュータを、本実施形態の通信制御システム1として機能させるための通信制御プログラムについて説明する。
図7は、通信制御プログラムP1の構成を示す図である。通信制御プログラムP1は、通信制御システム1における通信制御処理を統括的に制御するメインモジュールm10、要求受信モジュールm11、要求処理モジュールm12、規制制御モジュールm13及び送信モジュールm14を備えて構成される。そして、各モジュールm11~m14のそれぞれにより、各機能部11~14のための各機能が実現される。
【0065】
なお、通信制御プログラムP1は、通信回線等の伝送媒体を介して伝送される態様であってもよいし、
図7に示されるように、記録媒体M1に記憶される態様であってもよい。
【0066】
以上説明した本実施形態の通信制御システム1、通信制御装置10、通信制御方法、通信制御プログラムP1によれば、要求信号に対する規制の状況が所定の規制条件に該当する場合に、規制された要求信号が複数の再送グループに分けられる。そして、再送グループごとに異なる要求信号の再送タイミングに関する情報が含まれる再送タイミング情報が、各要求信号を発信した移動通信端末に送信される。従って、各移動通信端末は、再送グループごとにそれぞれ異なる再送タイミングで要求信号を再送するので、新規の要求信号に加えて再送に係る要求信号の受信が一時に集中することに起因した規制の発動が防止又は緩和される。
【0067】
本開示に係る通信制御システムは、以下の構成を有しても良い。また、各構成における作用及び効果は、以下のとおり説明される。
【0068】
本開示の一側面に係る通信制御システムは、移動通信端末からの通信を要求する要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、要求信号に対する規制を実施する規制制御部であって、規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された要求信号に応じて移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける、規制制御部と、要求信号を当該通信制御システムに再送させるタイミングを示し再送グループごとに異なる再送タイミングを含む応答信号を、規制された要求信号を発信した移動通信端末のそれぞれに送信する送信部と、を備える。
【0069】
上記の側面によれば、要求信号に対する規制の状況が所定の規制条件に該当する場合に、規制された要求信号に応じて移動通信端末に送信する応答信号が複数の再送グループに分けられる。そして、再送グループごとに異なる要求信号の再送タイミングに関する情報が含まれる応答信号が、各要求信号を発信した移動通信端末に送信される。従って、各移動通信端末は、再送グループごとにそれぞれ異なる再送タイミングで要求信号を再送するので、新規の要求信号に加えて再送に係る要求信号の受信が一時に集中することに起因した規制の発動が防止又は緩和される。
【0070】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制制御部は、規制された要求信号の数に基づいて、規制の状況が規制条件を満たすか否かを判断することとしてもよい。
【0071】
上記の側面によれば、規制された要求信号の数が規制条件を満たすと判断された場合に、規制された要求信号が再送グループに分割され、再送グループごとに異なる再送タイミングを含む再送タイミング情報が各移動通信端末に送信されるので、規制された多くの要求信号の再送が一時に集中することが防止される。
【0072】
また、他の側面に係る通信制御システムは、規制制御部は、規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、規制の状況が規制条件を満たすか否かを判断することとしてもよい。
【0073】
上記の側面によれば、規制時間が規制条件を満たすと判断された場合に、規制された要求信号が再送グループに分割され、再送グループごとに異なる再送タイミングを含む再送タイミング情報が各移動通信端末に送信される再送タイミング制御が実施されるので、各移動通信端末が、取得した再送タイミングに基づいて要求信号を再送することにより、規制が実施されている状態からの早期の復帰が可能となる。また、規制時間に関する規制条件が適切に設定されることにより、過度の再送タイミング制御の実施が防止される。
【0074】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制条件は、規制された要求信号の数に占められる、所定の緊急通報に係る要求信号である緊急要求信号、及び/又は、優先的に扱われることが定められた所定の移動通信端末からの要求信号である優先要求信号の数が、所与の閾値を超えることであることとしてもよい。
【0075】
上記の側面によれば、規制された要求信号の数に占められる緊急要求信号及び/又は優先要求信号の数が閾値を超えた場合に、規制された要求信号が再送グループに分割され、再送グループごとに異なる再送タイミングを含む再送タイミング情報が各移動通信端末に送信される再送タイミング制御が実施されるので、規制が実施されている状態からの早期の復帰が図られることにより、緊急要求信号及び/又は優先要求信号に基づく通信が可能となる。
【0076】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制制御部は、規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、再送グループごとに異なる再送タイミングを設定することとしてもよい。
【0077】
上記の側面によれば、規制時間の長短に応じた再送タイミングが再送グループごとに設定されるので、再送された要求信号の処理が適切に実施され、規制が実施されている状態からの速やかな復帰が可能となる。
【0078】
また、他の側面に係る通信制御システムは、規制制御部は、規制時間が長いほど、長い再送タイミングを各再送グループに対して設定することとしてもよい。
【0079】
上記の側面によれば、規制時間が長いほど長い再送タイミングが再送グループごとに設定されるので、要求信号の再送が長い時間に亘って分散される。従って、再送された要求信号が一時に集中することが防止され、規制が実施されている状態からの適切な復帰が可能となる。
【0080】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制制御部は、各再送グループの再送タイミングの間隔を、規制時間及び再送グループの数に基づいて設定することとしてもよい。
【0081】
上記の側面によれば、各再送グループの再送タイミングを好適に分散させることができるので、規制が実施されている状態からの適切な復帰が可能となる。
【0082】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制制御部は、各再送グループに対して設定される再送タイミングに対して、所定の上限値及び/又は所定の下限値を設定することとしてもよい。
【0083】
上記の側面によれば、再送タイミングの上限値が設定されることにより、要求信号の再送が過剰に長い時間に亘って分散されることが防止される。また、再送タイミングの下限値が設定されることにより、規制の実施が開始された直後における要求信号の輻輳が防止される。
【0084】
また、他の側面に係る通信制御システムでは、規制制御部は、規制された要求信号の数、及び、当該通信制御システムの通常時における要求信号の処理数の余力を表す余力情報に基づいて、再送グループの数を設定することとしてもよい。
【0085】
上記の側面によれば、再送された要求信号を処理の余力により処理できるので、再送された要求信号の処理が促進される。
【0086】
なお、
図4に示したブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0087】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0088】
例えば、本開示の一実施の形態における通信制御装置10は、本開示の方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図8は、本実施形態に係る通信制御装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。通信制御装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0089】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。通信制御装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0090】
通信制御装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0091】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、
図4に示した各機能部11~14などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0092】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、通信制御装置10の各機能部11~21は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0093】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0094】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0095】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0096】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0097】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0098】
また、通信制御装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0099】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0100】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0101】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0102】
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0103】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0104】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0105】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0106】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0107】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0108】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0109】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0110】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0111】
なお、本開示において説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0112】
本開示において使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0113】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0114】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0115】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0116】
本開示で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0117】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0118】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0119】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0120】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0121】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0122】
本開示の通信制御システム1は、以下の構成を有してもよい。
[1]
移動通信端末からの通信を要求する要求信号に関する処理の状況が所与の処理状況に該当する場合に、前記要求信号に対する規制を実施する規制制御部であって、前記規制の状況が所定の規制条件を満たす場合に、規制された前記要求信号に応じて前記移動通信端末に送信する応答信号を複数の再送グループに分ける、規制制御部と、
前記要求信号を当該通信制御システムに再送させるタイミングを示し前記再送グループごとに異なる再送タイミングを含む前記応答信号を、規制された前記要求信号を発信した前記移動通信端末のそれぞれに送信する送信部と、
を備える通信制御システム。
[2]
前記規制制御部は、規制された前記要求信号の数に基づいて、前記規制の状況が前記規制条件を満たすか否かを判断する、
[1]に記載の通信制御システム。
[3]
前記規制制御部は、前記規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、前記規制の状況が前記規制条件を満たすか否かを判断する、
[1]又は[2]に記載の通信制御システム。
[4]
前記規制条件は、規制された前記要求信号の数に占められる、所定の緊急通報に係る要求信号である緊急要求信号、及び/又は、優先的に扱われることが定められた所定の移動通信端末からの要求信号である優先要求信号の数が、所与の閾値を超えることである、
[1]~[3]のいずれか一項に記載の通信制御システム。
[5]
前記規制制御部は、前記規制が開始されてから経過した時間である規制時間に基づいて、再送グループごとに異なる前記再送タイミングを設定する、
[1]~[4]のいずれか一項に記載の通信制御システム。
[6]
前記規制制御部は、規制された前記要求信号の数、及び、当該通信制御システムの通常時における前記要求信号の処理数の余力を表す余力情報に基づいて、前記再送グループの数を設定する、
[1]~[5]のいずれか一項に記載の通信制御システム。
【符号の説明】
【0123】
1…通信制御システム、10…通信制御装置、11…要求受信部、12…要求処理部、13…規制制御部、14…送信部、M1…記録媒体、m10…メインモジュール、m11…要求受信モジュール、m12…要求処理モジュール、m13…規制制御モジュール、m14…送信モジュール、P1…通信制御プログラム、T…移動通信端末。