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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158452
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/06 20060101AFI20241031BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241031BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65H7/06
G03G15/00 480
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073665
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】中込 貴光
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA16
2H072AA24
2H072AB25
2H072CA01
2H072CB01
2H072CB03
2H072CB06
2H072EA14
2H270LA66
2H270LC10
2H270LC22
2H270LD01
2H270LD08
2H270MH04
2H270RB09
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB02
3F048BD01
3F048CC01
3F048DA06
3F048EA03
3F048EA12
3F048EB22
3F048EB28
(57)【要約】
【課題】 ジャムした際に排出させるシートの優先順位を選択することによって、シートの取り扱いを容易にすることのできるシート搬送装置を提供する。
【解決手段】 第1のジャム検知センサSa12がシートのジャムを検知した場合は、第2の経路36の滞留シートを排出トレイ40に排出させ、その後に第1の経路35の滞留シートを排出トレイ40に排出させ、第2のジャム検知センサSa13がシートのジャムを検知した場合は、第1の経路35の滞留シートを前記排出トレイ40に排出させ、その後に前記第2の経路36の滞留シートを前記排出トレイ40に排出させる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを案内する第1の搬送経路及び第2の搬送経路と、
前記第1の搬送経路を案内されるシートのジャムを検出する第1のジャム検知手段と、
前記第1の搬送経路を案内されるシートのジャムを検知する第2のジャム検知手段と、
前記第1、第2のジャム検知手段のいずれか一方がシートのジャムを検知した時点で前記第1、第2の搬送経路に存在する滞留シートが排出されるシート排出部と、を備え、
前記第1のジャム検知手段がシートのジャムを検知した場合は、前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、
前記第2のジャム検知手段がシートのジャムを検知した場合は、前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させるシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1の搬送経路を案内されるシートの重送を検知する第1の重送検知手段と、
前記第1の搬送経路を案内されるシートの重送を検知する第2の重送検知手段と、を備え、
前記シート排出部は、前記第1、第2の重送検知手段のいずれか一方がシートの重送を検知した時点で前記第1、第2の搬送経路に存在する滞留シートが排出され、
前記第1の重送検知手段がシートの重送を検知した場合は、前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、
前記第2の重送検知手段がシートの重送を検知した場合は、前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第1、第2の搬送経路からのシートを受けてシートを案内する合流経路と、
前記合流経路の途中に設けられ、前記第1、第2の搬送経路における滞留シートを前記合流経路から前記シート排出部に向けて案内する案内部材と、を備える請求項1又は2に記載のシート搬送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを所定の搬送経路に沿って搬送するシート搬送装置に関し、詳しくは、搬送中にジャムしたシートをシート排出部に排出する制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを搬送するための搬送経路を備えたシート搬送装置において、搬送経路内でシートの重送やジャム等の搬送不良が発生した場合、シートの搬送を一旦停止させた後に所定の搬送経路を開放して、搬送不良となったシート(不良シート)を取り除く処理方法が知られている。しかしながら、前記不良シートの上流側に搬送が停止した他のシート(滞留シート)がある場合、不良シートを取り除いたとしても、滞留シートが搬送経路に留まっていて取り出し難い場合があった。これを改善するために、滞留シートを取り出しやすい位置まで搬送する手段を備えた装置もある。
【0003】
特許文献1、2には、搬送中のシートの重送を検知する重送検知センサを複数備えたシート搬送装置が開示されている。このシート搬送装置では、搬送経路中の所定位置に配置された重送検知センサによって検知された重送シートを最初に所定のシート排出部に排出し、その後に前記重送シートの下流にある滞留シートを続けて前記シート排出部に排出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-100534号公報
【特許文献2】特開2022-130846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、いずれかの搬送経路で重送が検知された場合、この時点ですべての搬送経路において搬送中のシートを一旦停止させて、重送した不良シートを他のシートよりも先に排出させる構造となっている。一方、特許文献2では、シートがジャム等した際、搬送経路を開放してジャムした不良シートや滞留シートを手動で取り除くように構成されているが、複数の搬送経路からジャムや滞留したシートを取り除かなければならず、取り除き作業が煩雑になるといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ジャムした際に排出させるシートの優先順位を選択することによって、シートの取り扱いを容易にすることのできるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシート搬送装置は、シートを案内する第1の搬送経路及び第2の搬送経路と、前記第1の搬送経路を案内されるシートのジャムを検出する第1のジャム検知手段と、前記第1の搬送経路を案内されるシートのジャムを検知する第2のジャム検知手段と、前記第1、第2のジャム検知手段のいずれか一方がシートのジャムを検知した時点で前記第1、第2の搬送経路に存在する滞留シートが排出されるシート排出部と、を備え、前記第1のジャム検知手段がシートのジャムを検知した場合は、前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、前記第2のジャム検知手段がシートのジャムを検知した場合は、前記第1の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させ、その後に前記第2の搬送経路の滞留シートを前記シート排出部に排出させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシート搬送装置によれば、前記第1及び第2の搬送経路のいずれかからのシートを優先してシート排出部に排出させるかを選択することで、シートの取り扱いを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】シート搬送装置を備えた画像形成システムの全体構成を示す断面図である。
図2】シート搬送装置の搬送系の構成を示す断面図である。
図3】シート搬送装置の駆動系の構成を示す断面図である。
図4】シート搬送装置の駆動系のブロック図である。
図5】重送処理動作を示す説明図である。
図6】重送処理動作を示すフロー図である。
図7】ジャム処理動作を示す説明図である。
図8】ジャム処理動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に基づいて、本発明のシート搬送装置の詳細を説明する。図1はシート搬送装置を中心とした画像形成システムの一例を概略的に示したものである。画像形成システムは、画像形成装置A1と、画像形成装置A1に接続されたシート搬送装置としての一実施形態である多段収納装置B1と、給送デッキB2とによって構成されている。多段収納装置B1は、後述するように、複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫と、手差しトレイB3とを有しており、各収納庫又は手差しトレイB3から画像形成装置A1にシートを給送可能である。また、給送デッキB2も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、多段収納装置B1の上流側に配置されている。給送デッキB2又は手差しトレイB3から給送されるシートは、多段収納装置B1に設けられた中継搬送ユニット80を介して画像形成装置A1に搬送される。なお、本発明のシート搬送装置は、上記多段収納装置B1に限定されるものではない。
【0011】
画像形成システムは、画像形成装置A1に接続された原稿読取装置A2又は画像形成装置A1に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読取装置A2は、画像形成装置A1の上側に配置されている。原稿読取装置A2は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス3の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光を光電変換素子CCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読取装置A2は、原稿搬送装置A3を備えており、トレイ5上に載置された原稿を原稿搬送装置A3により自動的に原稿読取装置A2の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。
【0012】
画像形成装置A1は、画像形成部11、複数のシート給送部12、13等を備える。画像形成装置A1は、制御部CON1により各部が制御される。制御部CON1は、CPU、ROM、RAMを有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0013】
画像形成装置A1には、複数の搬送経路と、各搬送経路に沿って設けられる複数の搬送ローラ対からなる搬送手段と、シートを収納する複数の給紙カセット12a、13aと、各給紙カセット12a、13aからシートを1枚ずつ分離して給紙する給紙機構12b、13bとが設けられている。複数の搬送ローラ対15により搬送経路16を通過した後、画像形成部11に送り込まれる。また、多段収納装置B1、給送デッキB2、手差しトレイB3から搬送されるシートは、接続路17を介して搬送経路16に合流した後、搬送ローラ15を介して画像形成部11に送り込まれる。
【0014】
また、前記画像形成装置A1の各搬送経路には複数のジャム検知センサ(図示せず)が設けられ、各搬送経路を搬送するシートの位置情報を基にジャムが発生したことを検知する。制御部CON1では、ジャムが検知されると、搬送中のシートを停止するように制御される。
【0015】
画像形成部11は、感光ドラム20、帯電器21、レーザスキャナ22、現像器23、転写装置24、クリーナ25等を備えている。画像形成時には、感光ドラム20が回転駆動され、まず、帯電器21により感光ドラム20の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ22からのレーザ光が帯電された感光ドラム20に照射されることで、感光ドラム20上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム20上に形成された静電潜像は、この後、現像器23によってトナー像として顕像化される。この後、感光ドラム20上のトナー像は、転写装置24によりシートに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートは、定着装置27に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ対18によって排出トレイ19に排出される。シートの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置27から排出されたシートを反転搬送経路26に搬送する。そして、反転搬送経路26により表裏を反転した状態で、シートを再度、画像形成部11の転写装置24に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートは、定着装置27に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ対18により排出トレイ19に排出される。なお、転写後に感光ドラム20上に残った転写残トナーは、クリーナ25により除去される。
【0016】
図2は多段収納装置B1の搬送経路を示す断面図、図3は多段収納装置B1の駆動の構成を示す断面図、図4は多段収納装置B1を中心とした制御の構成を示すブロック図である。多段収納装置B1は、図2及び図3に示したように、上段収納庫30、中段収納庫31、下段収納庫32、中継搬送ユニット80等を備える。本実施形態では、中段収納庫31と下段収納庫32との間に中継搬送ユニット80を配置している。上段収納庫30、中段収納庫31、下段収納庫32には、それぞれにシートを積載する上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aが設けられている。この上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aはそれぞれ昇降モータM15、M16、M17の駆動によって昇降し、上段積載トレイ30a、中段積載トレイ31a、下段積載トレイ32aを給紙位置や補充位置に移動するように構成されている。上段収納庫30のシートは上段搬送経路33に給紙され、中段収納庫31のシートは中段搬送経路34に給紙され、下段収納庫32のシートは下段搬送経路(第2経路)35に給紙される。また、中継搬送ユニット80から搬送されたシートは、中継搬送経路(第3経路)36に搬送される。上段搬送経路33と中段搬送経路34は、第1経路35に合流する。さらに第1経路35、第2経路36、第3経路37は合流経路38に合流した後、共通経路39に接続される。これによって、第1経路35、第2経路36、第3経路37からのシートはそれぞれ共通経路39に搬送され、共通経路39に設けられる複数の搬送ローラ対52、53にて共通経路39を通って画像形成装置A1に搬送される。
【0017】
また、多段収納装置B1には、上流から下流に至る搬送経路の共通経路39の一部を開放することで、シート搬送方向に沿ったシート長方向からシートの取り出しが可能な第1の搬送経路開放部61と、前記共通経路39より上流側に位置する第3経路37の一部を開放することで、シート搬送方向と直交するシート幅方向からシートの取り出しが可能な第2の搬送経路開放部62とを有している。制御部CON2は、画像形成装置A1と通信することでシートの給送タイミングや搬送するシートの種類、サイズ(シート長)、搬送中の位置等の情報を取得する。図3及び図4に示したように、多段収納装置B1には、搬送されるシートのジャムを検知するための複数のジャム検知手段(ジャム検知センサ)Sa1~Sa13、シートの重送を検知する重送検知手段(重送検知センサ)Sb1~Sb3、各搬送経路33~39に配置された各ローラを駆動するための複数の搬送モータM1~M14、積載トレイを昇降させる昇降モータM15~M17、フラッパ63を切り換えるためのソレノイド(SOL)が備えられている。制御部CON2は、複数のジャム検知センサSa1~Sa13によるシートの検知状態によって、各搬送モータM1~M14を制御し、シートの搬送動作を実行する。また、画像形成装置A1からジャムが検知されると、制御部CON1を介して多段収納装置B1の制御部CON2にその情報が伝達され、多段収納装置B1内でのシートの搬送及びシート給送装置B2、手差しトレイB3からのシートの給送を停止する。そして、この停止によって取り残されたシート(滞留シート)が後述するジャム検知センサSa1~Sa7によって検知され、その結果に基づいて、前記滞留シートを第1又は第2の搬送経路開放部61、62に向けて搬送するように制御される。また、制御部CON2は、複数のジャム検知センサSa1~Sa13のシートの検知状態からジャムを検知し、多段収納装置B1内でのシートの搬送及びシート給送装置B2、手差しトレイB3からのシートの給送を停止する。
【0018】
多段収納装置B1には、図2に示したように、上段収納庫30からシートを給紙する上段給送部41、中段収納庫31からシートを給紙する中段給送部42、下段収納庫32からシートを給紙する下段給送部43が上下方向に設けられている。上段給送部41、中段給送部42、下段給送部43には、それぞれピックアップローラ41a、42a、43a、給紙ローラ41b、42b、43b、リタードローラ41c、42c、43cを有している。上段給送部41のピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cは、搬送モータM1の正転駆動によってシートを給紙する。中段給送部42のピックアップローラ42a、給紙ローラ42b、リタードローラ42cは、搬送モータM3の正転駆動によってシートを給紙する。下段給送部43のピックアップローラ43a、給紙ローラ43b、リタードローラ43cは、搬送モータM5の正転駆動によってシートを給紙する。なお、上段給送部41、中段給送部42、下段給送部43の構成は同一であるため、ここでは上段給送部41について説明し、中段給送部42、下段給送部43の詳細については省略する。
【0019】
上段給送部41は、ピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cを有する。ピックアップローラ41a、給紙ローラ41b、リタードローラ41cは、幅方向略中央に配置されている。ピックアップローラ41aは、上段収納庫30に収納されたシートを給送する。具体的には、ピックアップローラ41aは、上昇した積載トレイ30aに積載されたシートの最上位シートと当接して給送する。このためにピックアップローラ41aは、図3に示したように、シート搬送方向に関してシートの先端部近傍に、積載トレイ30a上の最上位シートに適宜の力で圧接可能となるように配置されている。そして、ピックアップローラ41aは、駆動源としての搬送モータM1の駆動により回転することで、最上位のシートを送り出す。
【0020】
給紙ローラ41bとリタードローラ41cは、ピックアップローラ41aから2枚以上のシートが重なって給送された場合に、分離して1枚のみのシートを搬送する。即ち、給紙ローラ41bは、搬送モータM1の駆動によりシートを搬送する方向に回転し、ピックアップローラ41aから給送されたシートを搬送する。一方、リタードローラ41cは、給紙ローラ41bとは逆方向に回転して、ピックアップローラ41aから送られた2枚以上のシートのうち、最上位のシート以外のシートを積載トレイ30a側に押し戻す。なお、リタードローラ41cにはトルクリミッタ(図示せず)が内蔵されており、ピックアップローラ41aから送られたシートが1枚のみの場合には、給紙ローラ41bにより搬送されるシートによって連れ回るようになっている。
【0021】
上段給送部41にて給紙されたシートは、搬送ローラ対46によって上段搬送経路33に搬送される。また、中段収納庫31内のシートは搬送ローラ対47によって中段搬送経路34に、下段収納庫32内のシートは搬送ローラ対48によって第2経路36に搬送される。そして、前記上段搬送経路33、中段搬送経路34、第2経路36を経て搬送されたシートは、下流側の共通経路39を介して画像形成装置A1に搬送される。
【0022】
上段搬送経路33には、第1の上段搬送ローラ対46、第2の上段搬送ローラ対56、第3の上段搬送ローラ対57が設けられている。第1の上段搬送ローラ対46は搬送モータM1の逆転駆動で回転し、第2の上段搬送ローラ対56、第3の上段搬送ローラ対57は、搬送モータM2の駆動にて回転してシートを上段搬送経路33に沿って搬送する。中段搬送経路34には、中段搬送ローラ対47が設けられている。第1の上段搬送ローラ対46は、搬送モータM1の逆転駆動で回転してシートを中段搬送経路34に沿って搬送する。第1経路35には、第1、第2の合流ローラ対49、50が設けられている。この第1、第2の合流ローラ対49、50は、搬送モータM4の駆動にて回転してシートを第1経路35に沿って搬送し、上段搬送経路33及び中段搬送経路34からのシートを共通経路39に搬送する。さらに第2経路36には、第1の下段搬送ローラ対48、第2の下段搬送ローラ対51が設けられている。第1の下段搬送ローラ対48は搬送モータM6の逆転駆動で回転し、第2の下段搬送ローラ対51は搬送モータM6の駆動にて回転する。第1、第2の下段搬送ローラ対48、51によって、シートは第2経路36から共通経路39に搬送される。
【0023】
また、第3経路37には、第1、第2の中継搬送ローラ対54、55と、搬送ベルト81が設けられ、第1、第2の中継搬送ローラ対54、55はそれぞれ搬送モータM12、M13の駆動で回転し、搬送ベルト81は搬送モータM14の駆動で回転する。第1、第2の中継搬送ローラ対54、55及び搬送ベルト81によって、給送デッキB2及び手差しトレイB3から多段収納装置B1を経由したシートは、共通経路39に搬送される。共通経路39に設けられた第1、第2の共通搬送ローラ対52、53も、それぞれ第4、第5の搬送モータの駆動で回転し、各搬送経路37、36、35からのシートを共通経路39から画像形成装置A1に搬送する。
【0024】
図2に示したように、中継搬送ユニット80は、搬送ベルト81、複数の球体82、搬送ベルト81の上流側と下流側に位置する搬送ローラ対55、54を有する。搬送ベルト81は、一対のプーリ86、87に掛け渡された無端状のベルトである。片方のプーリ86は、搬送モータM14の駆動によって回転する。この搬送ベルト81によって、上流側の搬送ローラ対55から受け渡されたシートを下流側の搬送ローラ対54に向けて搬送する。球体82は、搬送ベルト81の搬送面と対向する位置に搬送ベルト81の回転方向に沿って複数配置されている。複数の球体82は、搬送ベルト81の上方で、搬送ベルト81の回転方向に沿って等間隔に配置されている。複数の球体82は、保持板88に任意方向に回転自在に保持されており、搬送ベルト81の搬送面 との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転する。
【0025】
本実施形態では、画像形成装置A1でジャムが発生した場合、多段収納装置B1はその動作を一旦停止する。これによって、多段収納装置B1内の各搬送経路におけるシートの搬送は一旦停止するため、各搬送経路内に取り残されたシートは滞留シートとなる。画像形成装置A1においてジャムしたシートが取り除かれ、画像形成装置A1のジャムが解除されると、多段収納装置B1内に滞留シートがあるか否かを検知する。滞留シートがあるか否かは、複数のジャム検知センサSa1~Sa7の検知結果によって判定でき、また、シートが停止した場所についても特定することができる。一方、多段収納装置B1でジャムが発生した場合は、ジャムが発生した位置よりも上流側の搬送経路内にあるシートを停止する。
【0026】
次に、ジャムが発生した際の動作について説明する。図2に示したように、ジャムした際に発生する滞留シートは、第1の搬送経路開放部61又は第2の搬送経路開放部62のいずれかから取り出し可能となっている。
【0027】
本実施形態では、前記滞留シートの長さや位置を検知する手段として、複数のジャム検知センサSa1~Sa7を備えている。共通経路39には第1~第3のジャム検知センサSa1、Sa2、Sa3が配置され、第3経路37上には第4、第5のジャム検知センサSa4、Sa5が配置され、第3経路37の上流側には第6、第7のジャム検知センサSa6、Sa7が配置されている。
【0028】
また、前記ジャム検知センサSa1~Sa13の他に、シートが1枚ごとに分離せず2枚以上が重なった状態(重送)を検知する手段として、第1乃至第3の重送検知センサSb1~Sb3を備えている。第1重送検知センサSb1は上段搬送経路33と中段搬送経路34とが合流する第1経路35に配置され、第2重送検知センサSb2は第2経路36に配置され、第3重送検知センサSb3は第3経路37に配置されている。
【0029】
上段搬送経路33においてシートが搬送されている間に、第1重送検知センサSb1が重送を検知すると、案内部材(フラッパ)63の切り換えによって、重送シートを排出トレイ40に搬送する。ただし、重送シートが搬送されたままでは、切り換え完了前のフラッパ63に到達してしまうため、重送が検知された時点で重送シートの搬送を一端停止させ、その後に、フラッパ63を切り換えて排出トレイ40に案内する。このとき、第2経路36や第3経路37に他のシートが停止して待機していることを、ジャム検知センサSa13、Sa4が検知した場合、停止している重送シートまたは滞留シートのうちのどのシートから排出トレイ40へ搬送させるかを選択する必要がある。
【0030】
上段搬送経路33からの重送シートは、搬送が即時停止されるため、シート給送時とは異なる位置で停止しており、第1経路35に到達している可能性がある。重送シートが第1経路35に存在する状態で、第2経路36や第3経路37で待機しているシートを先に排出トレイ40に搬送させようとすると、重送シートと滞留シートとが干渉し合って排出不良となる場合がある。
【0031】
一方、上段搬送経路33からの重送シートを先に排出トレイ40に排出させようとした場合、第2経路36や第3経路37で待機している滞留シートは、第1経路35に合流してくるシートとは干渉しない位置で待機しているので、重送シートの排出の障害となることはない。
【0032】
本発明では、シートの搬送不良の種別として重送とジャムを想定しており、この重送やジャムの発生に応じて、排出トレイ40に排出させるシートの優先順位を選択する。以下、図5乃至図8に基づいて、上記構成の多段収納装置B1における重送処理及びジャム処理の一実施形態について説明する。まず、いずれかの経路でシートの搬送不良が検知されると、その時点で図3に示した搬送モータM1~M14が停止し、搬送中の全てのシートが停止する。そして、搬送不良の種別が重送であるかジャムであるかによって、重送処理又はジャム処理のいずれかが起動される。
【0033】
重送処理及びジャム処理のいずれの場合も、最初に合流経路38にシートが到達した状態で停止しているかが検知される。ここでシートが検知されていると、このシートを最初に排出トレイ40に排出させて合流経路38を開放した後、重送処理又はジャム処理が実行される。
【0034】
重送処理では、最初に重送が発生した経路にある重送シートを排出させた後、重送が発生していない他の経路にある滞留シートを排出する。ジャム処理においては、ジャムが発生した経路以外の経路にある滞留シートを先に排出した後、ジャムの発生した経路にある滞留シートを排出する。
【0035】
図5は、第1経路35で重送が生じた場合の重送処理の一例を示したものである。図5(a)は、第1経路35の重送検知センサSb1によって、2枚のシートP1a、P1bによる重送が検知され、シートP1a、P1bのいずれかの先端が既に合流経路38に到達して停止している状態である。このとき、第2経路36、第3経路37及び中段搬送経路34には搬送中のシートがそれぞれ停止した状態で滞留している。このような場合にあっては、図5(b)に示すように、フラッパ63を排出トレイ40側に切り換えると共に、搬送ローラ対50、49、53を駆動して、重送しているシートP1a、P1bを先に排出トレイ40に排出する。続けて、合流経路38に対して最も短い搬送経路に滞留しているシートから優先して排出トレイ40に排出する。各搬送経路の長さは装置構成によって異なるが、本実施形態では、搬送経路の長さを短い順に第2経路36、中段搬送経路34と第1経路35からなる経路、上段搬送経路33と第1経路35からなる経路、第3経路37としている。このため、図5(c)に示すように、合流経路38に対して最も短い搬送経路長を有する第2経路36に滞留しているシートP2を、搬送ローラ対48、51、53の駆動によって排出トレイ40に排出する。その後、中段搬送経路34に滞留しているシートP4、第3経路37に滞留しているシートP3の順に排出トレイ40に排出する。
【0036】
図6は、第1経路35と第2経路36とにシートがある場合の重送処理動作をフローで示したものである。この重送処理では、第1経路35での重送の有無(ST11)を検知した後、第2経路36での重送の有無(ST21)を検知する。第1経路35で重送が検知された場合、この時点で合流経路38にシートが到達しているか否かが検知される(ST12)。この合流経路38でシートが検知されている場合は、ここで検知されたシートを排出トレイ40に排出(ST13)する。その後、第1経路35で検知された滞留シート(ST14)、第2経路36の滞留シート(ST15)の順に排出トレイ40に排出する。一方、(ST12)において合流経路38でのシートが検知されていなければ、第1経路35で検知された滞留シートを排出(ST14)した後、第2経路36の滞留シート(ST15)を排出トレイ40に排出する。なお、合流経路38に到達しているシートは重送シートも含み、第1経路35又は第2経路36の滞留シートは重送シートも含むものである。
【0037】
上記(ST11)において、第1経路35では重送が検知されず、第2経路36で重送が検知された場合(ST21)は、この時点で合流経路38にシートが到達しているか否かが検知される(ST22)。この合流経路38でシートが検知されている場合は、ここで検知されたシートを排出トレイ40に排出(ST23)する。その後、第2経路36の滞留シート(ST24)、第1経路35の滞留シート(ST25)の順に排出トレイ40に排出する。一方、(ST22)において合流経路38でのシートが検知されていなければ、第2経路36の滞留シート(ST24)を排出した後に、第1経路35の滞留シート(ST25)を排出トレイ40に排出する。
【0038】
前記(ST21)において、第2経路36での重送が検出されていない場合は、重送が生じていないとして重送処理動作を終了する。
【0039】
図7は、第2経路36にジャムが発生した場合におけるジャム処理の一例を示したものである。図7(a)は、第2経路36でシートP2にジャムが発生し、この時点で第1経路35のシートP1の先端が既に合流経路38に到達している場合である。この場合は、図7(b)に示すように、フラッパ63を排出トレイ40側に切り換えると共に、搬送ローラ対50、49、53を駆動して、シートP1を先に排出トレイ40に排出する。その後、図7(c)に示すように、第2経路36の次に合流経路38までの搬送経路長が最も短い中段搬送経路34で滞留しているシートP4を、搬送ローラ対47、50、49、53の駆動によって排出トレイ40に排出し、続けて第3経路37で滞留しているシートP3を排出する。最後に、第2経路36でジャムしているシートP2を取り除く。
【0040】
図8は、第1経路35でのジャムの検出有無に対応したジャム処理をフローで示したものである。このジャム処理では、第1経路35でのジャムの有無(ST31)を検知し、ここでジャムが検知された場合、この時点で合流経路38にシートが到達しているか否かが検知される(ST32)。この合流経路38でシートが検知されている場合は、この合流経路38に到達しているシートを最初に排出する(ST33)。その後に、第2経路36の滞留シートを排出(ST34)し、さらに、第1経路35の滞留シートを排出(ST35)する。前記(ST32)において、合流経路38でシートが検知されていなければ、第2経路36の滞留シートを排出(ST34)した後、第1経路35の滞留シートを排出(ST35)する。
【0041】
上記(ST31)において、第1経路35ではジャムが検知されていなければ、さらにこの第2経路36のジャムを検知する(ST41)。ここで、ジャムが検知された場合は、この時点で合流経路38にシートが到達しているか否かが検知される(ST42)。この合流経路38でシートが検知されている場合は、ここで検知されたシートを排出トレイ40に排出(ST43)する。前記(ST42)において、合流経路38でシートが検知されていなければ、第1経路35の滞留シートを排出(ST44)した後、第2経路36の滞留シートを排出(ST45)する。
【0042】
前記(ST41)において、第1経路35での重送が検出されていない場合は、現時点でのジャム及び重送が生じていないとして、再度ジャムが発生していなかを検知する(ST51)。ここでジャムが検知された場合は、ジャムを報知(ST52)して、ジャム処理動作を終了する。なお、合流経路38に到達しているシートはジャムしたシートも含み、第1経路35又は第2経路36の滞留シートはジャムしたシートも含むものである。
【0043】
上記の実施の形態によれば、重送が発生した場合、重送シートの最先端位置と最後端位置が不明となるので、重送が発生した経路以外の他の経路からの滞留シートの排出の妨げになる場合がある。このような場合であっても、重送を検知した経路を先にシート排出部に排出することで、他の経路からの滞留シートの排出が支障なく実行できる。また、遅延ジャムや滞留ジャム等のジャムが発生した場合、ジャムしたシートが排出できない可能性が高いため、多くの滞留シートが経路内に残り、使用者が滞留シートの取り除く必要が生じる。このような場合であっても、遅延ジャムや滞留ジャムによるジャムを検知し、ジャムが検出された経路の滞留シートを最後にシート排出部に排出することで、経路内に残される滞留シートを減らすことができ、使用者の滞留シートの負担を軽減できる。
【符号の説明】
【0044】
A1 画像形成装置
A2 原稿読取装置
A3 原稿搬送装置
B1 多段収納装置
B2 給送デッキ
B3 手差しトレイ
CON1,CON2 制御部
Sa1~Sa13 ジャム検知センサ
Sb1~Sb3 重送検知センサ
M1~M14 搬送モータ
M15~M17 昇降モータ
11 画像形成部
15 搬送ローラ
16 搬送経路
17 接続路
18 排出ローラ対
19 排出トレイ
30 上段収納庫
31 中段収納庫
32 下段収納庫
33 上段搬送経路
34 中段搬送経路
35 第1経路
36 第2経路
37 第3経路
38 合流経路
39 共通経路
40 排出トレイ(シート排出部)
41 上段給送部
41a,42a,43a ピックアップローラ
41b,42b,43b 給紙ローラ
41c,42c,43c リタードローラ
42 中段給送部
43 下段給送部
46,47,48 搬送ローラ対
49,50 合流ローラ対
51、52、53、54、55、56、57 搬送ローラ対
61 第1の搬送経路開放部
62 第2の搬送経路開放部
63 フラッパ(案内部材)
80 中継搬送ユニット
81 搬送ベルト
82 球体
86,87 プーリ
88 保持板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8