特開 2024-158454 吐出器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024158454

(43)【公開日】2024-11-08

(54)【発明の名称】吐出器

(51)【国際特許分類】

   B65D 47/34 20060101AFI20241031BHJP

   F04B 9/14 20060101ALI20241031BHJP

【ＦＩ】

B65D47/34 200

F04B9/14 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】2

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023073668

(22)【出願日】2023-04-27

(71)【出願人】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100141139

【弁理士】

【氏名又は名称】及川 周

(74)【代理人】

【識別番号】100140718

【弁理士】

【氏名又は名称】仁内 宏紀

(74)【代理人】

【識別番号】100140774

【弁理士】

【氏名又は名称】大浪 一徳

(74)【代理人】

【識別番号】100188592

【弁理士】

【氏名又は名称】山口 洋

(72)【発明者】

【氏名】先曽 洋一

(72)【発明者】

【氏名】當麻 徹

【テーマコード（参考）】

3E084

3H075

【Ｆターム（参考）】

3E084AB01

3E084AB10

3E084BA02

3E084DB09

3E084DB12

3E084FB01

3E084JA20

3E084KA20

3E084LC01

3E084LD22

3E084LD26

3E084LD30

3H075AA01

3H075BB03

3H075BB22

3H075CC26

3H075CC36

3H075DA03

3H075DA04

3H075DA09

3H075DB14

3H075DB40

(57)【要約】

【課題】操作レバーを有する吐出器において、操作性を向上させる。
【解決手段】吐出器１は、容器本体Ｗ内の内容物が貯留される貯留空間Ａを有するとともに、上下方向に延びるシリンダ１１と、シリンダ１１内に上下摺動可能に嵌合されたピストン１５と、内容物を吐出する吐出孔２５が形成された吐出ヘッド１４と、ピストン１５を付勢する付勢部材１６と、容器本体Ｗ内と貯留空間Ａとを連通する供給孔２６を開放可能に閉塞する下部弁体１７と、シリンダ１１に対して上下方向に直交する方向に延びるレバー回動軸線Ｐを中心に回動可能に設けられ、レバー回動軸線Ｐ回りの回動に伴いピストン１５を押圧する操作レバー１８と、操作レバー１８にレバー回動軸線Ｐと平行に延びる軸線Ｑを中心に回動可能に支持され、使用者の指を支持する支持面６３を有する補助板６２と、を備える。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、
前記貯留空間を上下方向に拡縮するように前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、
前記ピストンを、前記貯留空間を上下方向に拡張する向きに付勢する付勢部材と、
前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、
前記シリンダに対して上下方向に直交する方向に延びるレバー回動軸線を中心に回動可能に設けられ、前記レバー回動軸線回りの回動に伴い前記貯留空間を上下方向に縮小する向きに前記ピストンを押圧する操作レバーと、
前記操作レバーに前記レバー回動軸線と平行に延びる軸線を中心に回動可能に支持され、使用者の指を支持する支持面を有する補助板と、
を備える吐出器。

【請求項2】

前記操作レバーは、上下方向から見て径方向に沿って延び、
前記補助板は、前記操作レバーの径方向外側の端部に支持されている、
請求項１に記載の吐出器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、吐出器に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来から、例えば下記特許文献１に示されるように、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、貯留空間を上下方向に拡縮するようにシリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、ピストンを、貯留空間を上下方向に拡張する向きに付勢する付勢部材と、容器本体内と貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、シリンダに対してピストンを上方に向けて移動させる操作レバーと、を備える吐出器が知られている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－２４５８６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、従来の吐出器では、操作レバーが上下方向に直交する方向に延びる軸線回りに回動可能に設けられているので、ピストンの移動距離の大きさに応じて操作レバーの傾きが変化する。このため、使用者が操作レバーを操作して内容物を吐出させる際に、使用者の指が操作レバーに追従しにくい。したがって、従来の吐出器においては、操作レバーの操作性に改善の余地がある。

【0005】

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作レバーを有する吐出器において、操作性を向上させるものである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の第１の態様に係る吐出器は、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、前記貯留空間を上下方向に拡縮するように前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、前記ピストンを、前記貯留空間を上下方向に拡張する向きに付勢する付勢部材と、前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、前記シリンダに対して上下方向に直交する方向に延びるレバー回動軸線を中心に回動可能に設けられ、前記レバー回動軸線回りの回動に伴い前記貯留空間を上下方向に縮小する向きに前記ピストンを押圧する操作レバーと、前記操作レバーに前記レバー回動軸線と平行に延びる軸線を中心に回動可能に支持され、使用者の指を支持する支持面を有する補助板と、を備える。

【0007】

第１の態様によれば、補助板の支持面に指を置いた状態で、指により補助板を押し込むと、操作レバーを回動させてピストンを押圧できる。このように操作レバーを操作して、付勢部材による付勢力に抗して貯留空間を縮小する向きにピストンを変位させると、貯留空間内が正圧になり、下部弁体が弁座面に押し付けられることで、供給孔が閉塞された状態に保たれ、貯留空間内の内容物が吐出孔から吐出される。
補助板を解放して操作レバーの復元移動を許容すると、ピストンが付勢部材により復元移動させられ、貯留空間内が負圧になり、下部弁体が弁座面から離れて供給孔が開放され、容器本体内の内容物が供給孔を通過して貯留空間内に供給される。
操作レバーを回転軸線回りに回動させる際、補助板が操作レバーに回動可能に支持されているので、操作レバーの姿勢変化に合わせて補助板を操作レバーに対して回転させることができる。しかも、補助板が操作レバーに対して回転軸線と平行に延びる軸線を中心に回動可能とされているので、操作レバーを操作する際に支持面の傾斜角度の変化を緩和するように補助板を回転させることができる。これにより、操作レバーの回動角度によらず、補助板が指を支持しやすい状態（例えば支持面が上方を向く状態）を保つことができる。したがって、内容物を吐出させる際の操作性を向上させることができる。

【0008】

本発明の第２の態様に係る吐出器は、上記第１の態様に係る吐出器において、前記操作レバーは、上下方向から見て径方向に沿って延び、前記補助板は、前記操作レバーの径方向外側の端部に支持されていてもよい。

【0009】

第２の態様によれば、指を置きやすい位置に補助板を配置できる。これにより、上記の作用効果を得るのに好適な吐出器とすることができる。

【発明の効果】

【0010】

本発明によれば、操作レバーを有する吐出器において、操作性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】実施形態に係る吐出器の縦断面図である。

【図2】実施形態に係る吐出器の平面図である。

【図3】図１の吐出器において、操作レバーを回動させた状態を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0012】

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。

【0013】

吐出器１は、図１に示すように、シリンダ１１と、閉塞壁１２と、吐出弁１３と、吐出ヘッド１４と、ピストン１５と、付勢部材１６と、下部弁体１７と、グリップ部４４と、操作レバー１８と、操作受部６０と、を備え、内容物が充填された容器本体Ｗの口部Ｗ１に、装着キャップＣを介して取付けられる。内容物としては、例えば、衣料用液体洗剤、柔軟剤、若しくは自動食洗機用液体洗剤等が挙げられる。なお、吐出器１は、閉塞壁１２を備えなくてもよい。

【0014】

シリンダ１１、ピストン１５、および付勢部材１６は、共通軸Ｏと同軸に配設されている。以下、共通軸Ｏに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、共通軸Ｏに交差する方向を径方向といい、共通軸Ｏ回りに周回する方向を周方向という。

【0015】

シリンダ１１は、上下方向に延びる筒状に形成されている。シリンダ１１は、内容物が貯留される貯留空間Ａを有している。貯留空間Ａは、口部Ｗ１の上方に位置している。シリンダ１１の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。シリンダ１１は、有底筒状の本体筒２１と、本体筒２１より小径に形成されるとともに、本体筒２１の底壁を上下方向に貫く供給筒２２と、を備えている。

【0016】

本体筒２１は、口部Ｗ１から上方に向けて突出している。本体筒２１の下端部は、口部Ｗ１内に挿入されている。本体筒２１に、径方向の外側に突出したフランジ部が形成されている。フランジ部が容器本体Ｗの口部Ｗ１の上端開口縁と装着キャップＣとにより上下方向に挟まれることで、吐出器１が口部Ｗ１に固定される。

【0017】

供給筒２２の上部は、本体筒２１の底壁から上方に突出している。供給筒２２の上部は、本体筒２１の上端部より下方に位置している。供給筒２２の上部の内周面に、上下方向の全長にわたって連続して延びる縦溝２２ｂが形成されている。供給筒２２の下部は、本体筒２１の底壁から下方に突出している。供給筒２２の上部の直径は、供給筒２２の下部の直径より大きくなっている。供給筒２２のうち、本体筒２１の底壁との接続部分には、供給筒２２内と容器本体Ｗ内とを連通する外気導入孔２２ａが形成されている。

【0018】

閉塞壁１２は、貯留空間Ａの上端開口を閉塞している。閉塞壁１２の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。閉塞壁１２の外周縁部には、下方に向けて延び、シリンダ１１の本体筒２１に外嵌された外嵌筒２４が形成されている。外嵌筒２４は、下端部同士が連結され、かつ上端が開口した二重筒状に形成されている。

【0019】

閉塞壁１２には、上下方向に貫き、貯留空間Ａに連通する流出孔２３が形成されている。流出孔２３は、共通軸Ｏと同軸に配設されている。流出孔２３の内周面には、上方に向かうに従い流出孔２３の内径を大きくする第１弁座面２３ａが形成されている。第１弁座面２３ａは、流出孔２３の内周面のうちの上部に形成され、流出孔２３の内周面の下部は、上下方向に真直ぐ延びている。閉塞壁１２における径方向の中央部（以下、隆起筒１２ｂという）は、上方に向けて隆起した有頂筒状に形成されており、その頂壁に流出孔２３が形成されている。

【0020】

閉塞壁１２には、閉塞壁１２の下面が上方に向けて窪み、かつ頂壁が流出孔２３より上方に位置する有頂筒状のエア貯留部１２ａが形成されている。なお、閉塞壁１２にエア貯留部１２ａを形成しなくてもよい。エア貯留部１２ａ内の上部には、貯留空間Ａ内に内容物が充填された状態でも、空気を残留させておくことが可能になり、後述のように操作レバー１８を操作してピストン１５を上昇させ、貯留空間Ａの内圧を上昇させる際、エア貯留部１２ａ内の空気が圧縮することにより、操作レバー１８の初動時の操作荷重を低減することができる。

【0021】

吐出ヘッド１４は、有頂筒状に形成され、外嵌筒２４に嵌合されている。吐出ヘッド１４は、閉塞壁１２の上面を覆っている。吐出ヘッド１４の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。吐出ヘッド１４には、流出孔２３からの内容物を吐出する吐出孔２５が形成されている。吐出孔２５は、径方向のうち、共通軸Ｏに対してエア貯留部１２ａが位置している側の反対側に向けて開口している。
以下、径方向のうち、吐出孔２５が開口する向きを前方といい、この逆向きを後方といい、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。

【0022】

吐出ヘッド１４には、閉塞壁１２の隆起筒１２ｂに外嵌され、かつ吐出孔２５に連通した連結筒１４ａが形成されている。連結筒１４ａは、吐出ヘッド１４の頂壁の下面から下方に向けて延びている。

【0023】

吐出ヘッド１４の頂壁の下面において、連結筒１４ａの内側に位置する部分に、下方に向けて突出した規制突起１４ｂが形成されている。規制突起１４ｂには、上昇端位置に達した吐出弁１３が突き当たる。規制突起１４ｂは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。規制突起１４ｂは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。規制突起１４ｂは、連結筒１４ａの内周面に連結されている。規制突起１４ｂのうち、径方向の外側部分は、径方向の内側部分より下方に向けて突出している。規制突起１４ｂのうち、径方向の外側部分は連結筒１４ａに連結され、径方向の内側部分は吐出弁１３と上下方向で対向している。

【0024】

ピストン１５は、貯留空間Ａを上下方向に拡縮するようにシリンダ１１の本体筒２１内に上下摺動可能に嵌合されるとともに、貯留空間Ａの下端開口を閉塞している。ピストン１５の材質は、例えばポリエチレンが好ましい。ピストン１５には、上下方向に貫いて容器本体Ｗ内に連通する供給孔２６が形成されている。ピストン１５において、貯留空間Ａの内面を画成する部分における供給孔２６の開口周縁部に、供給孔２６に向かうに従い下方に向けて延びる第２弁座面３１ａが形成されている。図示の例では、ピストン１５は、下方に向かうに従い縮径した多段の筒状に形成され、ピストン１５のうち最も下方に位置する下筒部３１は有底筒状に形成されている。ピストン１５において、シリンダ１１の内周面を摺動する摺動筒部２７は、最も上方に位置している。

【0025】

下筒部３１の底壁には、下方に向けて延びる外側シール筒３２および内側シール筒３３が形成されている。外側シール筒３２は、内側シール筒３３の上部を径方向の外側から囲っている。内側シール筒３３の下部は、外側シール筒３２より下方に位置している。外側シール筒３２は、供給筒２２の上部内に上下摺動可能に嵌合され、内側シール筒３３は、供給筒２２の下部内に上下摺動可能に嵌合されている。

【0026】

供給孔２６は、下筒部３１の底壁を上下方向に貫き、容器本体Ｗ内と貯留空間Ａ内とを連通する。第２弁座面３１ａは、下筒部３１の底壁の上面における供給孔２６の開口周縁部に形成され、径方向の内側に向かうに従い下方に向けて延びている。下筒部３１の底壁の上面のうち、第２弁座面３１ａの外周縁に連なる外周縁部は、上方を向く平坦面となっている。

【0027】

下部弁体１７は、供給孔２６を閉塞し、貯留空間Ａ内の負圧時に供給孔２６を開放する。下部弁体１７は、第２弁座面３１ａに上方に向けて離反可能に着座した球体となっている。下部弁体１７は、ピストン１５を形成する材料の比重より高い比重の材料で形成されている。下部弁体１７の材質は、例えばステンレス等の金属材料、若しくはポリプロピレン等の合成樹脂材料が好ましい。下部弁体１７の上部は、下筒部３１の底壁の上面の外周縁部より上方に位置している。下部弁体１７は、下筒部３１の上端部より下方に位置している。

【0028】

ピストン１５には、支持部材３４が設けられている。支持部材３４の材質は、例えばポリプロピレン等が好ましい。なお、支持部材３４は、ピストン１５と一体に形成されてもよい。

【0029】

支持部材３４は、ピストン１５内において、摺動筒部２７と下筒部３１との間に位置する部分に嵌合された有頂筒状の装着部３５と、装着部３５の頂壁３５ａから上方に向けて延びる有頂筒状の案内部３６と、装着部３５の頂壁３５ａから下方に向けて延びる抜け止め突起３４ａと、を備えている。

【0030】

装着部３５および案内部３６それぞれの周壁には、径方向のうちの一方向に貫く連通開口が形成されている。図示の例では、連通開口は、装着部３５および案内部３６それぞれの周壁を左右方向に貫いている。案内部３６の頂壁３６ａは環状に形成されている。案内部３６の頂壁３６ａの内周縁部は、案内部３６の周壁の内周面より径方向の内側に張り出している。

【0031】

抜け止め突起３４ａは、ピストン１５の下筒部３１内に挿入されている。抜け止め突起３４ａは、上下方向から見て十字状を呈する。抜け止め突起３４ａと、下筒部３１の内周面と、の間の径方向の隙間は、下部弁体１７の直径より小さくなっている。抜け止め突起３４ａに、第２弁座面３１ａから上方に離反した下部弁体１７が突き当たることで、下部弁体１７が下筒部３１内から離脱することが規制される。なお、抜け止め突起３４ａは、下筒部３１より上方に位置してもよい。抜け止め突起３４ａに下部弁体１７が突き当たった状態で、下部弁体１７の下端部、および下筒部３１の底壁の上面の外周縁部それぞれの上下方向の位置が互いに同等になる。

【0032】

付勢部材１６は、ピストン１５を下方付勢状態で上方移動可能に支持している。付勢部材１６は、コイルスプリングとなっている。付勢部材１６の材質は、例えばステンレス等の金属材料、若しくはポリアセタールコポリマー等の合成樹脂材料が好ましい。付勢部材１６の上端部は、閉塞壁１２の隆起筒１２ｂ内に挿入され、かつ閉塞壁１２の下面に当接している。付勢部材１６の下部内に、支持部材３４の案内部３６が挿入されている。付勢部材１６の下端部が、支持部材３４における装着部３５の頂壁３５ａの上面に当接している。

【0033】

吐出弁１３は、閉塞壁１２の流出孔２３に挿入された状態で上下動可能に設けられ、流出孔２３を開閉する。吐出弁１３は、軸部３７および弁本体３８を備え、共通軸Ｏと同軸に配設されている。吐出弁１３は、有底筒状に形成されている。なお、吐出弁１３は、中実の棒体であってもよい。吐出弁１３の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。

【0034】

軸部３７は、上下方向に延び、支持部材３４の案内部３６内に上下動可能に挿入されている。軸部３７には、案内部３６の頂壁３６ａの内周縁部に、この頂壁３６ａの下方から当接した係止突起３７ａが形成されている。吐出弁１３は、係止突起３７ａおよび案内部３６を介して付勢部材１６により下方に付勢されている。

【0035】

弁本体３８は、閉塞壁１２の第１弁座面２３ａに対して上下方向に接近、および離反可能に設けられている。 弁本体３８の外周面は、上方に向かうに従い外径が大きくなる円錐面状に形成されている。弁本体３８の外周面に、全周にわたって連続して延び、第１弁座面２３ａに当接する突条状のシール突起が設けられている。弁本体３８の外周面における下端部は、流出孔２３の内周面より径方向の内側に位置している。弁本体３８の外周面、および流出孔２３の内周面それぞれの下端部は、径方向で対向している。

【0036】

弁本体３８の上端部に、上方に向けて突出した環状突起３９が設けられている。環状突起３９の上端開口縁は、閉塞壁１２における隆起筒１２ｂの頂壁の上面より上方に位置している。環状突起３９の上端開口縁は、吐出弁１３が上昇端位置に位置したときに、吐出ヘッド１４の規制突起１４ｂに突き当たる。

【0037】

グリップ部４４は、シリンダ１１に相対変位不能に設けられている。グリップ部４４は、外嵌筒２４と一体に形成されている。グリップ部４４は、外嵌筒２４から後方に向かうに従い下方に向けて延びている。グリップ部４４は、左右方向に間隔をあけて配置された一対の側板４４ａと、一対の側板４４ａ同士を連結するグリップ板４４ｂと、を備えている。グリップ板４４ｂは、一対の側板４４ａの間の空間を下方から画成するように、各側板４４ａの下縁の全体に接続している。側板４４ａにおける径方向の内端部に、操作レバー１８を軸支する軸受孔が形成されている。

【0038】

操作レバー１８は、径方向に沿って延び、グリップ部４４の一対の側板４４ａの間に配置されている。操作レバー１８は、グリップ部４４のグリップ板４４ｂの上方からグリップ板４４ｂに対向している。操作レバー１８は、シリンダ１１内において貯留空間Ａの外側に位置する部分に差し込まれ、ピストン１５を押し上げる。操作レバー１８の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。操作レバー１８は、シリンダ１１に対して左右方向に延びるレバー回動軸線Ｐを中心に回動可能に設けられている。

【0039】

操作レバー１８は、一対の側板４４ａに形成された軸受孔に回転可能に嵌合された左右一対の回動軸４１と、シリンダ１１内において貯留空間Ａより下方に位置する部分に差し込まれ、ピストン１５を押し上げる押上部４２と、押上部４２に連結されるとともに、シリンダ１１内から突出したレバー部４３と、を備える。回動軸４１は、レバー回動軸線Ｐを中心とする円柱状に形成されている。

【0040】

押上部４２は、シリンダ１１の本体筒２１内において、貯留空間Ａより下方に位置する部分に前後方向に差し込まれ、ピストン１５を押し上げる。押上部４２は、本体筒２１の後端部を前後方向に貫いている。押上部４２は、ピストン１５において、摺動筒部２７と下筒部３１との間に位置する部分に形成された、上下方向を向く段壁１５ａの下面に当接している。操作レバー１８の回動軸４１回りの回動に伴い、押上部４２およびピストン１５が互いに係合した状態で、ピストン１５が上下動する。

【0041】

レバー部４３は、シリンダ１１の本体筒２１内から閉塞壁１２の外嵌筒２４の後方に突出している。レバー部４３は、グリップ板４４ｂの上方からグリップ板４４ｂに対向している。レバー部４３は、グリップ部４４の一対の側板４４ａの間に位置するレバー前部と、グリップ部４４から後上方に突出したレバー後部と、を備える。レバー前部は、後方に向かうに従い上方に延びている。レバー後部は、レバー前部よりも前後方向に対して緩やかな傾斜で後方に向かうに従い上方に延びている。レバー部４３の後端部は、レバー回動軸線Ｐよりも上方に位置する。

【0042】

レバー部４３には、リブ４３ａが突設されている。リブ４３ａは、レバー部４３から前方に突出している。リブ４３ａは、表裏面を左右方向に向けて配置されている。リブ４３ａは、グリップ部４４の一対の側板４４ａの間に位置する。リブ４３ａは、外嵌筒２４の後方から外嵌筒２４に当接している。これにより、リブ４３ａは、レバー部４３の前進を伴う操作レバー１８の回動を規制している。

【0043】

押上部４２およびレバー部４３は、左右一対のレバー側板５１と、一対のレバー側板５１を連結する連結板５２と、により形成されている。一対のレバー側板５１は、押上部４２の前端からレバー部４３の後端にわたって連続して延びている。一対のレバー側板５１は、表裏面を左右方向に向けて配置されている。一対のレバー側板５１は、左右方向に間隔をあけて平行に配置されている。一対のレバー側板５１は、押上部４２においてピストン１５の下筒部３１を左右方向に挟むように位置している。各レバー側板５１には、回動軸４１が左右方向の外側に突設されている。

【0044】

連結板５２は、一対のレバー側板５１を左右方向に連結している。連結板５２は、回動軸４１の下方を前後方向に跨ぐように延びている。連結板５２は、押上部４２からレバー部４３の後端にわたって連続して延びている。ただし、連結板５２は、押上部４２に形成されていなくてもよい。連結板５２の前端は、レバー側板５１の前端よりも後方に位置する。連結板５２は、レバー部４３において一対のレバー側板５１の間の空間を前上方から画成するように、各レバー側板５１の上端縁に接続している。連結板５２には、リブ４３ａが前方に突設されている。

【0045】

図１および図２に示すように、操作レバー１８は、左右一対の支持板部４６をさらに備える。一対の支持板部４６は、操作レバー１８の後端部に設けられ、レバー部４３と一体に形成されている。一対の支持板部４６は、表裏面を左右方向に向けて配置されている。一対の支持板部４６は、左右方向に間隔をあけて平行に配置されている。支持板部４６は、レバー側板５１に１対１で接続している。支持板部４６は、レバー側板５１の後端部における左右方向の外側を向く面に結合している。一対の支持板部４６は、レバー部４３から後方に突出している。支持板部４６は、レバー部４３の後端部よりも上方に突出するように、左右方向から見てレバー部４３の後端部よりも上下方向に拡幅して前後方向に沿って延びている。各支持板部４６には、操作受部６０を軸支する支持凹部４６ａが形成されている。支持凹部４６ａは、支持板部４６における左右方向内側を向く面に開口している。図示の例では、支持凹部４６ａは、支持板部４６を左右方向に貫通している。

【0046】

操作受部６０は、操作レバー１８にレバー回動軸線Ｐと平行に延びる軸線Ｑを中心に回動可能に支持されている。軸線Ｑは、レバー回動軸線Ｐよりも上方かつ後方に位置する。操作受部６０は、操作レバー１８の支持板部４６に形成された支持凹部４６ａに回転可能に嵌合された左右一対の軸部６１と、一対の軸部６１を左右方向に連結する補助板６２と、を有する。一対の軸部６１は、それぞれ左右方向の外側に突出している。軸部６１は、軸線Ｑを中心とする円柱状に形成されている。一対の軸部６１は、左右方向の内側に延びて互いに結合していてもよい。例えば、軸部６１は、支持凹部４６ａの側壁面に対する摩擦抵抗によって、操作受部６０が操作レバー１８に対して自重により回転することを規制できるように支持凹部４６ａに嵌合されている。

【0047】

補助板６２は、上下方向に沿う厚みを有するとともに、前後方向および左右方向に延びる板状に形成されている。図示の例では、補助板の平面形状は、一対の辺が左右方向に延び、かつ残り一対の辺が前後方向に延びる矩形状である。補助板６２は、軸部６１よりも前方および後方に突出している。補助板６２は、上方から見て操作レバー１８の一対の支持板部４６の間に配置されている。補助板６２は、上方から見て操作レバー１８の後端（一対の支持板部４６の後端）よりも後方に突出している。補助板６２の左右方向の幅は、一対の支持板部４６の間隔よりも小さい。これにより、補助板６２は、操作受部６０がレバー回動軸線Ｐを中心に回動する際に一対の支持板部４６に干渉しない。補助板６２は、上方から見て操作レバー１８の連結板５２の後方に位置する。軸線Ｑから補助板６２の前端までの距離は、軸線Ｑから連結板５２までの距離よりも小さい。これにより、補助板６２の前端は、操作受部６０が軸線Ｑを中心に回動する際に、連結板５２に干渉せずに連結板５２の後方を通過可能である。一方で、軸線Ｑから補助板６２の後端までの距離は、軸線Ｑから連結板５２までの距離よりも大きい。これにより、補助板６２の後端は、操作受部６０が軸線Ｑを中心に回動する際に、連結板５２に干渉して連結板５２の後方を通過不能である。

【0048】

補助板６２の全体は、軸線Ｑに重ならないように、軸線Ｑの上方を前後方向に跨ぐように延びている。補助板６２の上面は、使用者の指を支持する支持面６３である。支持面６３は、左右方向から見て支持板部４６の上縁よりも上方を前後方向に延びている。支持面６３は、左右方向から見て上方に膨出する凸曲面である。

【0049】

次に、吐出器１の作用について説明する。
操作受部６０の補助板６２の支持面６３に親指を置き、かつ他の指をグリップ部４４のグリップ板４４ｂの前方を向く内面に沿わせた状態で、親指により補助板６２を下方に向けて押し込むと、レバー部４３の下降を伴って操作レバー１８がレバー回動軸線Ｐ回りに回動する。このとき、レバー部４３の後端部は、レバー回動軸線Ｐよりも上方かつ後方の位置から、操作受部６０とともに下方かつ後方に変位して、グリップ板４４ｂに接近する。レバー部４３が下降すると、押上部４２がピストン１５の段壁１５ａの下面を上方に突上げて、貯留空間Ａが縮小する向きにピストン１５を押圧する。これにより、ピストン１５が、付勢部材１６を上下方向に圧縮させながら、シリンダ１１内を上方に向けて移動し、貯留空間Ａの内圧が上昇する。操作レバー１８は、レバー部４３がグリップ板４４ｂに当接するまで回動可能である。

【0050】

以上の過程において、吐出弁１３が上方に向けて移動し、弁本体３８が閉塞壁１２の第１弁座面２３ａから上方に離反する。これにより、貯留空間Ａの内容物が、流出孔２３から流出し、吐出ヘッド１４の連結筒１４ａ内を通して吐出孔２５から吐出される。この際、外側シール筒３２および内側シール筒３３は、供給筒２２内に嵌合した状態に保たれ、シリンダ１１の本体筒２１内のうち、貯留空間Ａの外側に位置する部分は、供給筒２２における縦溝２２ｂおよび外気導入孔２２ａを通して、容器本体Ｗ内に連通する。

【0051】

そして、レバー部４３を解放すると、付勢部材１６の復元力によりピストン１５が下方移動し、ピストン１５の段壁１５ａにより押上部４２が押下げられ、操作レバー１８がレバー回動軸線Ｐ回りに回動する。

【0052】

以上の過程において、貯留空間Ａが拡張して負圧になり、吐出弁１３が下方に移動して弁本体３８が第１弁座面２３ａに当接し、下部弁体１７が第２弁座面３１ａから上方に離反する。これにより、供給孔２６が開放され、容器本体Ｗ内の内容物が、シリンダ１１の供給筒２２内、および供給孔２６を通して貯留空間Ａに供給される。この際、外気が、シリンダ１１の本体筒２１内のうち、貯留空間Ａの外側に位置する部分と、供給筒２２における縦溝２２ｂおよび外気導入孔２２ａと、を通して、容器本体Ｗ内に供給される。

【0053】

図１および図３に示すように、操作レバー１８をレバー回動軸線Ｐ回りに回動させる際、補助板６２が操作レバー１８に回動可能に支持されているので、操作レバー１８の姿勢変化に合わせて補助板６２を操作レバー１８に対して回転させることができる。しかも、補助板６２が操作レバー１８に対してレバー回動軸線Ｐと平行に延びる軸線Ｑを中心に回動可能とされているので、操作レバー１８の傾斜角度の変化を緩和するように補助板６２を回転させることができる。すなわち、操作レバー１８を操作する際に補助板６２を平行移動、または平行移動に近い動きで移動させることができる。本実施形態では、操作レバー１８の回動可能範囲内で、補助板６２が操作レバー１８に干渉せずに平行移動可能である。これにより、操作レバー１８の回動角度によらず、補助板６２の支持面６３が親指を支持しやすい状態（例えば支持面６３が上方を向く状態）を保つことができる。したがって、内容物を吐出させる際の操作性を向上させることができる。

【0054】

また、補助板６２は、操作レバー１８の径方向外側の端部に支持されているので、指を置きやすい位置に補助板６２を配置できる。これにより、上記の作用効果を得るのに好適な吐出器１とすることができる。

【0055】

なお、必ずしも操作レバー１８を操作する際に補助板６２を平行移動させなくてもよい。補助板６２は、操作レバー１８の回動角度によらず、補助板６２が操作レバー１８に固定されている場合と比較して支持面６３を上方寄りに向けることができるように構成されていれば、上記の作用効果を奏する。

【0056】

なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、操作レバーがピストンを上昇させてシリンダの貯留空間を縮小させるように吐出器が構成されているが、この構成に限定されない。吐出器は、操作レバーがピストンを下降させてシリンダの貯留空間を縮小させるように構成されていてもよい。

【0057】

上記実施形態では、補助板６２が操作レバー１８に軸支される軸部６１を有しているが、補助板は操作レバーに対して回動可能に設けられていればよい。例えば、補助板が操作レバーに設けられた軸に回動可能に支持されていてもよい。

【0058】

上記実施形態では、補助板６２の支持面６３が上方に膨出する湾曲面であるが、この構成に限定されない。例えば、支持面は、平坦面であってもよいし、下方に窪む凹曲面であってもよい。

【0059】

上記実施形態では、操作レバー１８を回動させる際に補助板６２に親指を置く場合を例示しているが、補助板に親指以外の手指や掌などを置くように構成されていてもよい。

【0060】

その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。

【符号の説明】

【0061】

１…吐出器 １１…シリンダ １４…吐出ヘッド １５…ピストン １６…付勢部材 １７…下部弁体 １８…操作レバー ２５…吐出孔 ２６…供給孔 ６２…補助板 ６３…支持面 Ａ…貯留空間 Ｐ…レバー回動軸線 Ｑ…軸線 Ｗ…容器本体

【図1】

【図2】

【図3】