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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158457
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】排気再循環システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20241031BHJP
   F02M 26/47 20160101ALI20241031BHJP
   F02M 26/49 20160101ALI20241031BHJP
   F02D 21/08 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F02D45/00 364D
F02M26/47 B
F02M26/49 321
F02D21/08 Z
F02D45/00 345
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073676
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】舘 昌志
【テーマコード(参考)】
3G062
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G062FA11
3G062FA15
3G062FA19
3G062GA02
3G092AA17
3G092DC09
3G092EC05
3G092FA06
3G092FB06
3G092HA05Z
3G384BA27
3G384DA04
3G384DA42
3G384EA07
3G384FA08Z
(57)【要約】
【課題】EGRガスの流量を適正量に保てるようにする。
【解決手段】排気再循環システムの制御装置(100)は、内燃機関(1)において排気路(12)から吸気路(4)に排気ガスを戻し、前記吸気路(4)への排気ガスの流入量をバルブ(18)により調整するようにした排気再循環システムを制御する排気再循環システムの制御装置であって、前記バルブ(18)を開いたときに、前記吸気路(4)に設置された圧力センサ(22)で測定された圧力変動を記録部(103)に記録する記録制御手段(102)と、前記バルブ(18)を開いたときに前記圧力センサ(22)で測定された圧力変動と、前記記録部(103)に記録された、過去に前記バルブ(18)を開いたときに前記圧力センサ(22)で測定された圧力変動とに差があるとき、前記バルブ(18)の開度の補正を行う補正手段(104)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関において排気路から吸気路に排気ガスを戻し、前記吸気路への排気ガスの流入量をバルブにより調整するようにした排気再循環システムを制御する排気再循環システムの制御装置であって、
前記バルブを開いたときに、前記吸気路に設置された圧力センサで測定された圧力変動を記録部に記録する記録制御手段と、
前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動と、前記記録部に記録された、過去に前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動とに差があるとき、前記バルブの開度の補正を行う補正手段とを備えたことを特徴とする排気再循環システムの制御装置。
【請求項2】
前記補正手段は、前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動が、前記記録部に記録された、過去に前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動よりも小さいとき、前記バルブの開度を大きくするように補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の排気再循環システムの制御装置。
【請求項3】
前記記録制御手段は、前記排気再循環システムの故障判定の実施時に前記圧力センサで測定された圧力変動を前記記録部に記録し、
前記補正手段は、今回の前記故障判定の実施時に前記圧力センサで測定された圧力変動と、前回の前記故障判定の実施時に前記圧力センサで測定された圧力変動とに差があるとき、前記バルブの開度の補正を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気再循環システムの制御装置。
【請求項4】
前記故障判定は、前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動が所定の閾値以上であるか否かを判定するものであり、
前記記録制御手段及び前記補正手段は、前記故障判定の実施時に前記圧力センサで測定された圧力変動が前記所定の閾値以上である場合、前記記録及び前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の排気再循環システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気再循環システムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を駆動源とする自動車において、排気再循環システム(EGR(Exhaust Gas Recirculation)システム)が搭載されることがある。EGRシステムでは、排気ガス中の窒素酸化物の低減や燃費抑制等を目的として、内燃機関において排気路から吸気路に排気ガスを戻し、吸気路への排気ガス(以下、吸気路に戻すガスをEGRガスとも呼ぶ)の流入量をバルブにより調整する。
特許文献1には、EGRバルブを開閉したときのサージタンク内の圧力差に基づいて、EGRシステムの故障判定を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-119559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにEGRシステムの故障判定を行う場合、EGRシステムに明確な異常が発生するまでは故障と判定されず、通常通りのEGRシステムの制御が実施される。
一方で、故障と判定されるまでには至っていないが、排気路から吸気路にEGRガスを戻す流路やEGRバルブにデポジットが付着、堆積する等の経年劣化により、吸気路にEGRガスが流入しにくい状態になることがある。この状態で、通常通りのEGRシステムの制御が実施されると、燃費悪化やノッキングの発生等を招くおそれがある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、EGRガスの流量を適正量に保てるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の排気再循環システムの制御装置は、内燃機関において排気路から吸気路に排気ガスを戻し、前記吸気路への排気ガスの流入量をバルブにより調整するようにした排気再循環システムを制御する排気再循環システムの制御装置であって、前記バルブを開いたときに、前記吸気路に設置された圧力センサで測定された圧力変動を記録部に記録する記録制御手段と、前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動と、前記記録部に記録された、過去に前記バルブを開いたときに前記圧力センサで測定された圧力変動とに差があるとき、前記バルブの開度の補正を行う補正手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、EGRガスの流量を適正量に保てるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係るエンジン制御システムの構成を示す図である。
図2】実施例に係るECUの機能構成を示す図である。
図3】実施例に係るECUが実行する処理の例を示すフローチャートである。
図4】EGRバルブの開度と、インテークマニホールド内の圧力との関係の例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る排気再循環システムの制御装置(100)は、内燃機関(1)において排気路(12)から吸気路(4)に排気ガスを戻し、前記吸気路(4)への排気ガスの流入量をバルブ(18)により調整するようにした排気再循環システムを制御する排気再循環システムの制御装置であって、前記バルブ(18)を開いたときに、前記吸気路(4)に設置された圧力センサ(22)で測定された圧力変動を記録部(103)に記録する記録制御手段(102)と、前記バルブ(18)を開いたときに前記圧力センサ(22)で測定された圧力変動と、前記記録部(103)に記録された、過去に前記バルブ(18)を開いたときに前記圧力センサ(22)で測定された圧力変動とに差があるとき、前記バルブ(18)の開度の補正を行う補正手段(104)とを備える。
これにより、EGRガスの流量を適正量に保てるようになり、燃費悪化やノッキングの発生等を防ぐことができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について説明する。
図1に、実施例に係るエンジン制御システムの構成例を示す。
自動車に、エンジン1と、エンジン制御用のECU(Electronic Control Unit)100とが搭載される。
エンジン1は、複数の気筒を有する内燃機関であり、吸気路を構成するインテークマニホールド4と、排気路を構成するエキゾーストマニホールド12とが接続する。吸気側において、エアクリーナ2から吸入する空気量をスロットルバルブ3で調整し、インテークマニホールド4を通った吸入空気とインジェクタ5から噴射される燃料とを混合する。エンジン1では、吸気バルブ7を開いて混合気を燃焼室内に投入し、ピストン8で圧縮し、点火プラグ9により点火して、燃焼させる。燃焼した混合気は膨張し、ピストン8を押し下げて、クランクシャフト10を回転させる。排気側において、排気バルブ11が開くと、燃焼後の混合気がエキゾーストマニホールド12を通り、三元触媒13で浄化されてから排気される。
【0011】
ECU100は、インジェクタ5による燃料噴射を制御する。
また、エンジン1はVVT(可変バルブタイミング機構)を備えており、ECU100は、吸気バルブ7及び排気バルブ11の開閉タイミングを制御する。なお、吸気及び排気いずれもVVTを備えるようにしてもよいし、吸気側のみVVTを備えるようにしてもよい。吸気バルブ7及び排気バルブ11の位相は、吸気カム角センサ14及び排気カム角センサ15で読み取られ、その情報がECU100に送られる。
また、ECU100は、点火プラグ9による点火時期を制御する。予めエンジン回転とエンジン負荷とを軸とした基本点火時期マップが記憶されており、ECU100は、現在の運転条件に合った点火時期を基本点火時期マップから読み込み、読み込んだ点火時期に合わせて点火プラグ9に電圧をかけて点火する。ECU100は、クランクシャフト10のクランク角に基づいて、エンジン回転数を取得する。クランク角は、クランクシャフトプーリー19に設けられた欠歯をクランク角センサ20で検出することにより得られる。また、ECU100は、吸入空気量に基づいて、エンジン負荷を取得する。吸入空気量は、スロットルバルブ3の上流に設置されたエアフロメータ21で検出される。
【0012】
また、スロットルバルブ3の下流に、インテークマニホールド4内の圧力(吸気圧力)を検出する圧力センサ22が設置される。圧力センサ22は、検出した圧力の情報をECU100に送信する。
また、エンジンブロックに、ノッキングを検出するノックセンサ23が設置される。エンジン負荷が高い運転領域やエンジン冷却水温度又は吸入空気温度が高温となった場合、ノッキングが発生しやすくなる。ノックセンサ23は、エンジン1の振動により電圧を発生させ、電圧値をノック信号としてECU100に送信する。ECU100は、ノックセンサ23からのノック信号に基づいて、ノックが発生したか否かを判定し、ノックが発生と判定した場合、点火時期を遅角させ、ノックが発生していないと判定した場合、点火時期を進角する。
また、ECU100は、接続されたバッテリ24から電源を供給する。
【0013】
本実施例では、自動車に、EGRシステムが搭載される。エキゾーストマニホールド12を通った排気ガスは、排気ガス再循環路17を介して、インテークマニホールド4に導入される。排気ガス再循環路17には、EGRバルブと称されるバルブ18が設置される。ECU100は、EGRバルブ18の開度を制御して、インテークマニホールド4へのEGRガスの流入量を調整する。
【0014】
図2に、ECU100の機能構成を示す。本実形例では、ECU100が本発明を適用したEGRシステムの制御装置として機能する。なお、ECU100はEGRシステムの制御装置以外の制御装置としての機能も有するが、図2には、EGRシステムの制御装置としての機能構成だけを示す。
ECU100は、判定部101と、記録制御部102と、記録部103と、補正部104とを備える。
【0015】
ECU100は、EGRシステムの故障判定を行うEGR診断を実施する。EGR診断は、アクセルオフの減速時や燃料カット中に実施される。このときにEGRバルブ18の開度を大きくすると、インテークマニホールド4内の負圧により、エキゾーストマニホールド12の空気がインテークマニホールド4に流入するため、インテークマニホールド4内の圧力が大きくなる。EGR診断時に、判定部101は、EGRバルブ18バルブを開いたときに、インテークマニホールド4に設置された圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上であるか否かを判定する。そして、判定部101は、圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上でない場合、インテークマニホールド4へのEGRガスの流入がうまくいっていないとして、故障であると判定する。例えば排気ガス再循環路17やEGRバルブ18にデポジットが付着、堆積して目詰まりする目詰まり故障が生じると、EGRバルブ18を開いてもインテークマニホールド4にEGRガスがほとんど流入せず、インテークマニホールド4内の圧力変動はほぼない状態になる。
【0016】
記録制御部102は、EGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動を記録部103に記録する。本実施例では、記録制御部102は、EGR診断の実施時に、判定部101において圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上であると判定した場合、すなわち故障でないと判定した場合、圧力センサ22で測定された圧力変動を記録部103に記録する。以下、記録部103に記録する圧力変動を学習値と呼ぶ。
【0017】
図4に、アクセルオフの減速時や燃料カット中における、EGRバルブ18の開度と、インテークマニホールド4内の圧力(圧力センサ22で測定された圧力)との関係の例を示す。EGRバルブ18の開度を大きくすると、インテークマニホールド4へのEGRガスの流入量が増えるので、インテークマニホールド4内の圧力は大きくなる。例えば、EGRバルブ18の新品時の特性(特性線401)に合わせて、EGR診断に用いられる所定の閾値(特性線402)が設定される。また、故障と判定されるまでには至っていないが、排気ガス再循環路17やEGRバルブ18にデポジットが付着、堆積する等の経年劣化により、インテークマニホールド4にEGRガスが流入しにくい状態になることがある。この場合、EGRバルブ18が同開度であっても、インテークマニホールド4へのEGRガスの流入量が増えず、圧力センサ22で測定される圧力が小さくなる傾向になる(特性線403や特性線404)。
なお、記録部103に記録する圧力変動として、EGRバルブ18を段階的に開いて、図4に示すような特性線を表す情報を記録するようにしてもよい。或いは、EGRバルブ18を例えば予め定められた第1の開度から第2の開度まで開いたときの圧力変動値を記録するようにしてもよい。
【0018】
補正部104は、EGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動と、記録部103に記録された、過去にEGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動とが異なるとき、EGRバルブ18の開度の補正を行う。本実施例では、補正部104は、EGR診断の実施時に、判定部101において圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上であると判定した場合、すなわち故障でないと判定した場合、今回の学習値と、前回のEGR診断の実施時に記録部103に記録した学習値(前回の学習値)とが異なるとき、EGRバルブ18の開度の補正を行う。
具体的には、補正部104は、EGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動が、記録部103に記録された、過去にEGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動よりも小さいとき、EGRバルブ18の開度を大きくするように補正を行う。本実施例では、今回の学習値が前回の学習値よりも小さいとき、目詰まり故障までには至っていないが、経年劣化によりインテークマニホールド4にEGRガスが流入しにくい状態になっているため、EGRバルブ18の開度を大きくするように補正を行う。EGRバルブ18の開度を大きくするように補正を行うとは、例えば図4に示すように、これまではECU100からの指示でEGRバルブ18の開度を開度O1にしていたものを、前回学習値と同等の圧力変動の特性が得られるように、同じ指示でEGRバルブ18の開度を開度O2(>O1)まで大きくする。
【0019】
図3は、ECU100が実行する処理の例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、アクセルオフの減速時や燃料カット中にEGR診断を実施するときに実行される。
ステップS1で、ECU100の判定部101は、EGRバルブ18バルブを開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上であるか否かを判定する。圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上でない場合、目詰まり故障等の故障であるとして、ステップS2に進む。圧力センサ22で測定された圧力変動が所定の閾値以上である場合、故障ではないとして、ステップS3に進む。
【0020】
ステップS2で、ECU100は、故障対応を行い、本フローチャートを抜ける。故障対応としては、例えばEGRシステムを停止する、運転者に故障である旨を報知する等が挙げられる。
【0021】
ステップS3で、記録制御部102は、圧力センサ22で測定された圧力変動を学習値として記録部103に記録する。
【0022】
ステップS4で、補正部104は、今回の学習値が前回の学習値以上であるか否かを判定する。今回の学習値が前回の学習値以上である場合、前回のEGR診断の実施時と比べてデポジットのさらなる付着、堆積はないとして、本フローチャートを抜ける。今回の学習値が前回の学習値以上でない場合、ステップS5に進む。
【0023】
ステップS5で、補正部104は、目詰まり故障までには至っていないが、前回のEGR診断の実施時と比べてデポジットのさらなる付着、堆積があり、インテークマニホールド4にEGRガスが流入しにくい状態になっているとして、EGRバルブ18の開度を大きくするように補正を行う。
【0024】
なお、ステップS4において今回の学習値が前回の学習値以上である場合、前回のEGR診断の実施時と比べてデポジットが剥離等して、インテークマニホールド4にEGRガスが流入しやすい状態になっているとして、EGRバルブ18の開度を小さくするように補正を行うようにしてもよい。
【0025】
以上述べたように、EGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動と、記録部103に記録された、過去にEGRバルブ18を開いたときに圧力センサ22で測定された圧力変動とに差があるとき、EGRバルブ18の開度の補正を行うようにしたので、EGRガスの流量を適正量に保てるようになり、燃費悪化やノッキングの発生等を防ぐことができる。
一般的に、吸気路にEGRガスが流入すると、EGRガス流入前と同程度の空気量を確保するためにスロットルを開く。これにより、同じ新気量でポンプロスが低減し、燃費向上につながる。また、EGRガスは不燃性であり、EGRガスが混入すると燃焼が緩慢になるので、点火時期はEGR流量に応じて最適な点火時期となるよう進角側に設定することができ、フェージングロスの改善により、燃費向上につながる。
しかしながら、デポジットの付着、堆積があり、インテークマニホールド4にEGRガスが流入しにくい状態になると、燃費悪化を招く。また、EGRガスの流量が確保されていないのにスロットル開度が大きくなるため、単純に空気量が増え、本来設定されるべき点火時期よりも過進角側で制御されてしまい、強ノックが発生しやすくなる。
本実施形態では、目詰まり故障までには至っていないが、デポジットの付着、堆積があり、インテークマニホールド4にEGRガスが流入しにくい状態になっているときに、EGRバルブ18の開度が補正されるので、デポジットの付着、堆積前と同等又は同等に近いEGRガスの流量を確保することができ、燃費悪化やノッキングの発生等を防ぐことができる。また、新たに装置を追加する必要もないので、コストアップするのを避けることができる。
【0026】
なお、予めEGRバルブ18や圧力センサ22の設計中央値品での学習値を記憶しておき、新品時の学習値と記録した中央値品の学習値とを比較することで、経年劣化だけでなく、EGRバルブ18、圧力センサ22のばらつきを考慮してより、EGRバルブ18の開度を適切な開度に補正することが可能になる。
また、EGRバルブ18の開度を補正しない場合でも、EGRバルブ18の開度に応じた圧力変動の学習値を利用することで、同開度におけるEGRガスの流量の推定精度を向上させることが可能にある。
【0027】
以上、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明したが、各実施例は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、各実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明を適用した排気再循環システムの制御装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により構成され、CPUが例えばROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、各手段の機能が実現される。
【符号の説明】
【0028】
1:エンジン、12:エキゾーストマニホールド、14:インテークマニホールド、18:EGRバルブ、22:圧力センサ、100:ECU、101:判定部、102:記録制御部、103:記録部、104:補正部
図1
図2
図3
図4