(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158481
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20241031BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20241031BHJP
G01D 5/16 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/02 N
G01D5/16 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073713
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤浦 英明
【テーマコード(参考)】
2F077
2G017
【Fターム(参考)】
2F077AA12
2F077AA20
2F077JJ08
2F077JJ09
2F077PP12
2F077PP14
2F077TT33
2F077UU20
2G017AA02
2G017AA03
2G017AA10
2G017AB09
2G017AD55
2G017BA09
2G017BA10
2G017BA15
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1正弦信号S1を補正するための第1補正値を第1増幅器14aに出力し、第1余弦信号S2を補正するための第2補正値を第2増幅器14cに出力し、第2正弦信号S3を補正するための第3補正値を第3増幅器14bに出力し、第2余弦信号S4を補正するための第4補正値を第4増幅器14dに出力する。オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第5補正値を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第6補正値を用いて第2デジタル信号S12を補正する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1正弦信号を出力する第1磁気抵抗素子と、
第1余弦信号を出力する第2磁気抵抗素子と、
第2正弦信号を出力する第3磁気抵抗素子と、
第2余弦信号を出力する第4磁気抵抗素子と、
前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号が入力され、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号に対する信号処理を行う信号処理回路と、を備え、
前記信号処理回路は、
前記第1正弦信号を増幅させる第1増幅器と、
前記第1余弦信号を増幅させる第2増幅器と、
前記第2正弦信号を増幅させる第3増幅器と、
前記第2余弦信号を増幅させる第4増幅器と、
前記第1増幅器からの第1増幅信号、及び前記第3増幅器からの第3増幅信号が入力される第1差動増幅器と、
前記第2増幅器からの第2増幅信号、及び前記第4増幅器からの第4増幅信号が入力される第2差動増幅器と、
前記第1差動増幅器からの第1差動増幅信号が入力され、前記第1差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する第1AD変換器と、
前記第2差動増幅器からの第2差動増幅信号が入力され、前記第2差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する第2AD変換器と、
前記第1増幅器、前記第2増幅器、前記第3増幅器及び前記第4増幅器に接続されているオフセット調整回路と、
前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力されるオフセット補正回路と、を有し、
前記オフセット調整回路は、第1オフセット処理において、
前記第1正弦信号を補正するための第1補正値を前記第1増幅器に出力し、
前記第1余弦信号を補正するための第2補正値を前記第2増幅器に出力し、
前記第2正弦信号を補正するための第3補正値を前記第3増幅器に出力し、
前記第2余弦信号を補正するための第4補正値を前記第4増幅器に出力し、
前記オフセット補正回路は、第2オフセット処理において、
第5補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、
第6補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正し、
前記第1補正値、前記第3補正値及び前記第5補正値の各々は、前記第1正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第2正弦信号のオフセット量である第3オフセット量と前記第1補正値と前記第3補正値と前記第5補正値との総和がゼロになるような値であり、
前記第2補正値、前記第4補正値及び前記第6補正値の各々は、前記第1余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記第2余弦信号のオフセット量である第4オフセット量と前記第1余弦信号の2次高調波成分の振幅である第1振幅と前記第2余弦信号の2次高調波成分の振幅である第2振幅と前記第2補正値と前記第4補正値と前記第6補正値との総和がゼロになるような値である、
磁気センサ。
【請求項2】
第1正弦信号を出力する第1磁気抵抗素子と、
第1余弦信号を出力する第2磁気抵抗素子と、
第2正弦信号を出力する第3磁気抵抗素子と、
第2余弦信号を出力する第4磁気抵抗素子と、
前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号が入力され、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号に対する信号処理を行う信号処理回路と、を備え、
前記信号処理回路は、
前記第1正弦信号及び前記第2正弦信号が入力される第1差動増幅器と、
前記第1余弦信号及び前記第2余弦信号が入力される第2差動増幅器と、
前記第1差動増幅器からの第1差動増幅信号が入力され、前記第1差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する第1AD変換器と、
前記第2差動増幅器からの第2差動増幅信号が入力され、前記第2差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する第2AD変換器と、
前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力されるオフセット補正回路と、を有し、
前記オフセット補正回路は、オフセット処理において、
前記第1正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第2正弦信号のオフセット量である第3オフセット量と第1補正値との総和がゼロになるような前記第1補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、
前記第1余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記第2余弦信号のオフセット量である第4オフセット量と前記第1余弦信号の2次高調波成分の振幅である第1振幅と前記第2余弦信号の2次高調波成分の振幅である第2振幅と第2補正値との総和がゼロになるような前記第2補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する、
磁気センサ。
【請求項3】
正弦信号を出力する第1磁気抵抗素子と、
余弦信号を出力する第2磁気抵抗素子と、
前記正弦信号及び前記余弦信号が入力され、前記正弦信号及び前記余弦信号に対する信号処理を行う信号処理回路と、を備え、
前記信号処理回路は、
前記正弦信号を増幅させる第1増幅器と、
前記余弦信号を増幅させる第2増幅器と、
前記第1増幅器からの第1増幅信号に基づく第1アナログ信号が入力され、前記第1アナログ信号をアナログ-デジタル変換する第1AD変換器と、
前記第2増幅器からの第2増幅信号に基づく第2アナログ信号が入力され、前記第2アナログ信号をアナログ-デジタル変換する第2AD変換器と、
前記第1増幅器及び前記第2増幅器に接続されているオフセット調整回路と、
前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力されるオフセット補正回路と、を有し、
前記オフセット調整回路は、第1オフセット処理において、
前記正弦信号を補正するための第1補正値を前記第1増幅器に出力し、
前記余弦信号を補正するための第2補正値を前記第2増幅器に出力し、
前記オフセット補正回路は、第2オフセット処理において、
第3補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、
第4補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正し、
前記第1補正値及び前記第3補正値の各々は、前記正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第1補正値と前記第3補正値との総和がゼロになるような値であり、
前記第2補正値及び前記第4補正値の各々は、前記余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記余弦信号の2次高調波成分の振幅と前記第2補正値と前記第4補正値との総和がゼロになるような値である、
磁気センサ。
【請求項4】
正弦信号を出力する第1磁気抵抗素子と、
余弦信号を出力する第2磁気抵抗素子と、
前記正弦信号及び前記余弦信号が入力され、前記正弦信号及び前記余弦信号に対する信号処理を行う信号処理回路と、を備え、
前記信号処理回路は、
前記正弦信号に基づく第1アナログ信号が入力され、前記第1アナログ信号をアナログ-デジタル変換する第1AD変換器と、
前記余弦信号に基づく第2アナログ信号が入力され、前記第2アナログ信号をアナログ-デジタル変換する第2AD変換器と、
前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力されるオフセット補正回路と、を有し、
前記オフセット補正回路は、オフセット処理において、
前記正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記正弦信号を補正するための第1補正値との総和がゼロになるような前記第1補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、
前記余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記余弦信号の2次高調波成分の振幅と前記余弦信号を補正するための第2補正値との総和がゼロになるような前記第2補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する、
磁気センサ。
【請求項5】
前記信号処理回路は、
前記第1デジタル信号及び前記第2デジタル信号に対してarctan演算を行うarctan回路を更に有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に磁気センサに関し、より詳細には、複数の磁気抵抗素子を備える磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1磁気抵抗素子と、第2磁気抵抗素子と、検出回路(信号処理回路)と、を備える磁気センサが記載されている。第1磁気抵抗素子は、正弦信号を出力する。第2磁気抵抗素子は、余弦信号を出力する。検出回路は、第1磁気抵抗素子からの正弦信号、及び第2磁気抵抗素子からの余弦信号が入力される。
【0003】
特許文献1に記載の磁気センサでは、高調波成分を含まない理想的な正弦信号及び余弦信号であれば、角度誤差を補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の磁気センサでは、高調波成分を含む実際の正弦信号及び余弦信号だと高調波成分が残り、角度誤差が生じてしまうため、信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
本開示の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な磁気センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る磁気センサは、第1磁気抵抗素子と、第2磁気抵抗素子と、第3磁気抵抗素子と、第4磁気抵抗素子と、信号処理回路と、を備える。前記第1磁気抵抗素子は、第1正弦信号を出力する。前記第2磁気抵抗素子は、第1余弦信号を出力する。前記第3磁気抵抗素子は、第2正弦信号を出力する。前記第4磁気抵抗素子は、第2余弦信号を出力する。前記信号処理回路は、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号が入力され、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号に対する信号処理を行う。前記信号処理回路は、第1増幅器と、第2増幅器と、第3増幅器と、第4増幅器と、第1差動増幅器と、第2差動増幅器と、第1AD変換器と、第2AD変換器と、オフセット調整回路と、オフセット補正回路と、を有する。前記第1増幅器は、前記第1正弦信号を増幅させる。前記第2増幅器は、前記第1余弦信号を増幅させる。前記第3増幅器は、前記第2正弦信号を増幅させる。前記第4増幅器は、前記第2余弦信号を増幅させる。前記第1差動増幅器は、前記第1増幅器からの第1増幅信号、及び前記第3増幅器からの第3増幅信号が入力される。前記第2差動増幅器は、前記第2増幅器からの第2増幅信号、及び前記第4増幅器からの第4増幅信号が入力される。前記第1AD変換器は、前記第1差動増幅器からの第1差動増幅信号が入力され、前記第1差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記第2AD変換器は、前記第2差動増幅器からの第2差動増幅信号が入力され、前記第2差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記オフセット調整回路は、前記第1増幅器、前記第2増幅器、前記第3増幅器及び前記第4増幅器に接続されている。前記オフセット補正回路は、前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力される。前記オフセット調整回路は、第1オフセット処理において、前記第1正弦信号を補正するための第1補正値を前記第1増幅器に出力し、前記第1余弦信号を補正するための第2補正値を前記第2増幅器に出力し、前記第2正弦信号を補正するための第3補正値を前記第3増幅器に出力し、前記第2余弦信号を補正するための第4補正値を前記第4増幅器に出力する。前記オフセット補正回路は、第2オフセット処理において、第5補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、第6補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する。前記第1補正値、前記第3補正値及び前記第5補正値の各々は、前記第1正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第2正弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記第1補正値と前記第3補正値と前記第5補正値との総和がゼロになるような値である。前記第2補正値、前記第4補正値及び前記第6補正値の各々は、前記第1余弦信号のオフセット量である第3オフセット量と前記第2余弦信号のオフセット量である第4オフセット量と前記第1余弦信号の2次高調波成分の振幅である第1振幅と前記第2余弦信号の2次高調波成分の振幅である第2振幅と前記第2補正値と前記第4補正値と前記第6補正値との総和がゼロになるような値である。
【0008】
本開示の別の一態様に係る磁気センサは、第1磁気抵抗素子と、第2磁気抵抗素子と、第3磁気抵抗素子と、第4磁気抵抗素子と、信号処理回路と、を備える。前記第1磁気抵抗素子は、第1正弦信号を出力する。前記第2磁気抵抗素子は、第1余弦信号を出力する。前記第3磁気抵抗素子は、第2正弦信号を出力する。前記第4磁気抵抗素子は、第2余弦信号を出力する。前記信号処理回路は、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号が入力され、前記第1正弦信号、前記第1余弦信号、前記第2正弦信号及び前記第2余弦信号に対する信号処理を行う。前記信号処理回路は、第1差動増幅器と、第2差動増幅器と、第1AD変換器と、第2AD変換器と、オフセット補正回路と、を有する。前記第1差動増幅器は、前記第1正弦信号及び前記第2正弦信号が入力される。前記第2差動増幅器は、前記第1余弦信号及び前記第2余弦信号が入力される。前記第1AD変換器は、前記第1差動増幅器からの第1差動増幅信号が入力され、前記第1差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記第2AD変換器は、前記第2差動増幅器からの第2差動増幅信号が入力され、前記第2差動増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記オフセット補正回路は、前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力される。前記オフセット補正回路は、オフセット処理において、前記第1正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第2正弦信号のオフセット量である第2オフセット量と第1補正値との総和がゼロになるような前記第1補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、前記第1余弦信号のオフセット量である第3オフセット量と前記第2余弦信号のオフセット量である第4オフセット量と前記第1余弦信号の2次高調波成分の振幅である第1振幅と前記第2余弦信号の2次高調波成分の振幅である第2振幅と第2補正値との総和がゼロになるような前記第2補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する。
【0009】
本開示の別の一態様に係る磁気センサは、第1磁気抵抗素子と、第2磁気抵抗素子と、信号処理回路と、を備える。前記第1磁気抵抗素子は、正弦信号を出力する。前記第2磁気抵抗素子は、余弦信号を出力する。前記信号処理回路は、前記正弦信号及び前記余弦信号が入力され、前記正弦信号及び前記余弦信号に対する信号処理を行う。前記信号処理回路は、第1増幅器と、第2増幅器と、第1AD変換器と、第2AD変換器と、オフセット調整回路と、オフセット補正回路と、を有する。前記第1増幅器は、前記正弦信号を増幅させる。前記第2増幅器は、前記余弦信号を増幅させる。前記第1AD変換器は、前記第1増幅器からの第1増幅信号が入力され、前記第1増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記第2AD変換器は、前記第2増幅器からの第2増幅信号が入力され、前記第2増幅信号をアナログ-デジタル変換する。前記オフセット調整回路は、前記第1増幅器及び前記第2増幅器に接続されている。前記オフセット補正回路は、前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力される。前記オフセット調整回路は、第1オフセット処理において、前記正弦信号を補正するための第1補正値を前記第1増幅器に出力し、前記余弦信号を補正するための第2補正値を前記第2増幅器に出力する。前記オフセット補正回路は、第2オフセット処理において、第3補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、第4補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する。前記第1補正値及び前記第3補正値の各々は、前記正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記第1補正値と前記第3補正値との総和がゼロになるような値である。前記第2補正値及び前記第4補正値の各々は、前記余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記余弦信号の2次高調波成分の振幅と前記第2補正値と前記第4補正値との総和がゼロになるような値である。
【0010】
本開示の別の一態様に係る磁気センサは、第1磁気抵抗素子と、第2磁気抵抗素子と、信号処理回路と、を備える。前記第1磁気抵抗素子は、正弦信号を出力する。前記第2磁気抵抗素子は、余弦信号を出力する。前記信号処理回路は、前記正弦信号及び前記余弦信号が入力され、前記正弦信号及び前記余弦信号に対する信号処理を行う。前記信号処理回路は、第1AD変換器と、第2AD変換器と、オフセット補正回路と、を有する。前記第1AD変換器は、前記正弦信号が入力され、前記正弦信号をアナログ-デジタル変換する。前記第2AD変換器は、前記余弦信号が入力され、前記余弦信号をアナログ-デジタル変換する。前記オフセット補正回路は、前記第1AD変換器からの第1デジタル信号、及び前記第2AD変換器からの第2デジタル信号が入力される。前記オフセット補正回路は、オフセット処理において、前記正弦信号のオフセット量である第1オフセット量と前記正弦信号を補正するための第1補正値との総和がゼロになるような前記第1補正値を用いて前記第1デジタル信号を補正し、前記余弦信号のオフセット量である第2オフセット量と前記余弦信号の2次高調波成分の振幅と前記余弦信号を補正するための第2補正値との総和がゼロになるような前記第2補正値を用いて前記第2デジタル信号を補正する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係る磁気センサによれば、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る磁気センサのブロック図である。
【
図2】
図2Aは、同上の磁気センサの信号処理回路に入力される正弦信号及び余弦信号の波形図である。
図2Bは、同上の磁気センサのオフセット調整回路によりオフセット補正された後の正弦信号及び余弦信号の波形図である。
図2Cは、同上の磁気センサのオフセット補正回路によりオフセット補正された後の正弦信号及び余弦信号の波形図である。
【
図3】
図3Aは、第1比較例に係る磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に高調波成分が含まれていない場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
図3Bは、同上の磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に2次高調波成分が含まれている場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
【
図4】
図4Aは、第2比較例に係る磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に高調波成分が含まれていない場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
図4Bは、同上の磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に2次高調波成分が含まれている場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
【
図5】
図5Aは、実施形態1に係る磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に高調波成分が含まれていない場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
図5Bは、同上の磁気センサに関し、正弦信号及び余弦信号に2次高調波成分が含まれている場合の基準角度と角度誤差との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る磁気センサのブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る磁気センサのブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態4に係る磁気センサのブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態5に係る磁気センサのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態1~5に係る磁気センサについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態1~5において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1~5で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1~5に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る磁気センサ1の概要について、
図1を参照して説明する。
【0015】
実施形態1に係る磁気センサ1は、例えば、車のステアリングシャフト等の回転体の回転角度を検出するために用いられる。より詳細には、上記回転体にギア等を介して連結されている磁石からの磁界の変化により、後述の複数の磁気抵抗体12a~12hの抵抗値が変化する。そして、複数の磁気抵抗体12a~12hの抵抗値の変化を検出することにより、上記回転体の回転角度を検出することが可能となる。
【0016】
実施形態1に係る磁気センサ1は、
図1に示すように、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、第3磁気抵抗素子11cと、第4磁気抵抗素子11dと、信号処理回路10と、を備える。第1磁気抵抗素子11aは、第1正弦信号S1を出力する。第2磁気抵抗素子11bは、第1余弦信号S2を出力する。第3磁気抵抗素子11cは、第2正弦信号S3を出力する。第4磁気抵抗素子11dは、第2余弦信号S4を出力する。信号処理回路10は、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4が入力され、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に対する信号処理を行う。
【0017】
信号処理回路10は、第1増幅器14aと、第2増幅器14cと、第3増幅器14bと、第4増幅器14dと、第1差動増幅器16aと、第2差動増幅器16bと、第1AD変換器18aと、第2AD変換器18bと、オフセット調整回路15と、オフセット補正回路70cと、を有する。第1増幅器14aは、第1正弦信号S1を増幅させる。第2増幅器14cは、第1余弦信号S2を増幅させる。第3増幅器14bは、第2正弦信号S3を増幅させる。第4増幅器14dは、第2余弦信号S4を増幅させる。第1差動増幅器16aは、第1増幅器14aからの第1増幅信号S5、及び第3増幅器14bからの第3増幅信号S7が入力される。第2差動増幅器16bは、第2増幅器14cからの第2増幅信号S6、及び第4増幅器14dからの第4増幅信号S8が入力される。
【0018】
第1AD変換器18aは、第1差動増幅器16aからの第1差動増幅信号S9が入力され、第1差動増幅信号S9をアナログ-デジタル変換する。第2AD変換器18bは、第2差動増幅器16bからの第2差動増幅信号S10が入力され、第2差動増幅信号S10をアナログ-デジタル変換する。オフセット調整回路15は、第1増幅器14a、第2増幅器14c、第3増幅器14b及び第4増幅器14dに接続されている。オフセット補正回路は、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11、及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。
【0019】
オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1正弦信号S1を補正するための第1補正値A11を第1増幅器14aに出力し、第1余弦信号S2を補正するための第2補正値A12を第2増幅器14cに出力する。また、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第2正弦信号S3を補正するための第3補正値A13を第3増幅器14bに出力し、第2余弦信号S4を補正するための第4補正値A14を第4増幅器14dに出力する。オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第5補正値A15を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第6補正値A16を用いて第2デジタル信号S12を補正する。
【0020】
第1補正値A11、第3補正値A13及び第5補正値A15の各々は、第1正弦信号S1のオフセット量である第1オフセット量As01と第2正弦信号S3のオフセット量である第2オフセット量As02と第1補正値A11と第3補正値A13と第5補正値A15との総和がゼロになるような値である。第2補正値A12、第4補正値A14及び第6補正値A16の各々は、第1余弦信号S2のオフセット量である第3オフセット量Ac01と第2余弦信号S4のオフセット量である第4オフセット量Ac02と第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅である第1振幅Ac21と第2余弦信号S4の2次高調波成分の振幅である第2振幅Ac22と第2補正値A12と第4補正値A14と第6補正値A16との総和がゼロになるような値である。
【0021】
実施形態1に係る磁気センサ1では、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1オフセット量As01と第2オフセット量As02と第1補正値A11と第3補正値A13と第5補正値A15との総和がゼロになるような第1補正値A11を第1増幅器14aに出力し、第3補正値A13を第3増幅器14bに出力している。また、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第3オフセット量Ac01と第4オフセット量Ac02と第1振幅Ac21と第2振幅Ac22と第2補正値A12と第4補正値A14と第6補正値A16との総和がゼロになるような第2補正値A12を第2増幅器14cに出力し、第4補正値A14を第4増幅器14dに出力している。また、オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第5補正値A15を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第6補正値A16を用いて第2デジタル信号S12を補正している。これにより、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0022】
(2)詳細
次に、実施形態1に係る磁気センサ1の構成について、
図1を参照して説明する。
【0023】
実施形態1に係る磁気センサ1は、
図1に示すように、磁気抵抗素子12と、信号処理回路10と、を備える。磁気抵抗素子12と信号処理回路10とは電気的に接続されている。
【0024】
(2.1)磁気抵抗素子
磁気抵抗素子12は、複数(図示例では8個)の磁気抵抗体12a~12hを有する。複数の磁気抵抗体12a~12hは、第1磁気抵抗体12aと、第2磁気抵抗体12bと、第3磁気抵抗体12cと、第4磁気抵抗体12dと、第5磁気抵抗体12eと、第6磁気抵抗体12fと、第7磁気抵抗体12gと、第8磁気抵抗体12hと、を含む。
【0025】
複数の磁気抵抗体12a~12hの各々は、例えば、シリコン基板上に設けられた鉄-ニッケル合金を含む磁気抵抗効果を有する金属パターンである。複数の磁気抵抗体12a~12hの各々は、外部から与えられる磁界の向き及び大きさの変化に応じて電気抵抗が変化する。
【0026】
磁気抵抗素子12では、第1磁気抵抗体12aと第3磁気抵抗体12cとの第1直列回路と、第2磁気抵抗体12bと第4磁気抵抗体12dとの第2直列回路と、が並列に接続されており、第1ブリッジ回路を構成している。また、磁気抵抗素子12では、第5磁気抵抗体12eと第7磁気抵抗体12gとの第3直列回路と、第6磁気抵抗体12fと第8磁気抵抗体12hとの第4直列回路と、が並列に接続されており、第2ブリッジ回路を構成している。
【0027】
実施形態1では、第1磁気抵抗体12aと第3磁気抵抗体12cとの第1直列回路により第1磁気抵抗素子11aが構成されている。また、実施形態1では、第6磁気抵抗体12fと第8磁気抵抗体12hとの第4直列回路により第2磁気抵抗素子11bが構成されている。また、実施形態1では、第2磁気抵抗体12bと第4磁気抵抗体12dとの第2直列回路により第3磁気抵抗素子11cが構成されている。また、実施形態1では、第5磁気抵抗体12eと第7磁気抵抗体12gとの第3直列回路により第4磁気抵抗素子11dが構成されている。すなわち、磁気センサ1は、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、第3磁気抵抗素子11cと、第4磁気抵抗素子11dと、信号処理回路10と、を備える。
【0028】
第1ブリッジ回路では、第1磁気抵抗体12aと第2磁気抵抗体12bとの接続点が電位VSに接続され、第3磁気抵抗体12cと第4磁気抵抗体12dとの接続点がグランドGNDに接続されている。また、第2ブリッジ回路では、第5磁気抵抗体12eと第6磁気抵抗体12fとの接続点が電位VCに接続され、第7磁気抵抗体12gと第8磁気抵抗体12hとの接続点がグランドGNDに接続されている。実施形態1では、第1ブリッジ回路は、第2ブリッジ回路に対して45°回転させた状態に配置されている。
【0029】
第1ブリッジ回路では、第1磁気抵抗体12aと第3磁気抵抗体12cとの接続点と、第2磁気抵抗体12bと第4磁気抵抗体12dとの接続点とから、互いの位相が180°異なる正弦波状の2つの信号が出力される。すなわち、第1磁気抵抗素子11aは、第1正弦信号S1を出力する。また、第3磁気抵抗素子11cは、第2正弦信号S3を出力する。第1正弦信号S1は、例えば、+sin信号である。第2正弦信号S3は、例えば、-sin信号である。第1正弦信号S1は、
図2Aの実線a1で示されるように、θ方向にオフセットしている。
【0030】
また、第2ブリッジ回路では、第6磁気抵抗体12fと第8磁気抵抗体12hとの接続点と、第5磁気抵抗体12eと第7磁気抵抗体12gとの接続点とから、互いの位相が180°異なる余弦波状の2つの信号が出力される。すなわち、第2磁気抵抗素子11bは、第1余弦信号S2を出力する。また、第4磁気抵抗素子11dは、第2余弦信号S4を出力する。第1余弦信号S2は、例えば、+cos信号である。第2余弦信号S4は、例えば、-cos信号である。第1余弦信号S2は、
図2Aの破線b1で示されるように、第1正弦信号S1と同様、θ方向にオフセットしている。
【0031】
ここで、上述したように、第1ブリッジ回路が第2ブリッジ回路に対して45°回転させた状態に配置されていることから、第1ブリッジ回路から正弦波状の信号が得られ、第2ブリッジ回路から余弦波状の信号が得られる。
【0032】
(2.2)信号処理回路
信号処理回路10は、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第4余弦信号が入力され、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に対する信号処理を行う。
【0033】
信号処理回路10は、
図1に示すように、第1増幅器14aと、第2増幅器14cと、第3増幅器14bと、第4増幅器14dと、第1差動増幅器16aと、第2差動増幅器16bと、第1AD変換器18aと、第2AD変換器18bと、オフセット調整回路15と、ゲイン調整回路17と、を有する。
【0034】
また、信号処理回路10は、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bと、複数(図示例では2個)の増幅器42a,42bと、第1コンパレータ44aと、第2コンパレータ44bと、を更に有する。また、信号処理回路10は、第1レギュレータ60aと、第2レギュレータ60bと、第3レギュレータ60cと、演算回路70と、を更に有する。また、信号処理回路10は、第1オシレータ80aと、第2オシレータ80bと、メモリ80cと、温度センサ80dと、を更に有する。
【0035】
第1増幅器14aは、第1磁気抵抗素子11aに接続されており、第1磁気抵抗素子11aからの第1正弦信号S1を第1増幅信号S5に増幅させる。第2増幅器14cは、第2磁気抵抗素子11bに接続されており、第2磁気抵抗素子11bからの第1余弦信号S2を第2増幅信号S6に増幅させる。第3増幅器14bは、第3磁気抵抗素子11cに接続されており、第3磁気抵抗素子11cからの第2正弦信号S3を第3増幅信号S7に増幅させる。第4増幅器14dは、第4磁気抵抗素子11dに接続されており、第4磁気抵抗素子11dからの第2余弦信号S4を第4増幅信号S8に増幅させる。
【0036】
オフセット調整回路15は、第1増幅器14a、第2増幅器14c、第3増幅器14b及び第4増幅器14dに接続されている。より詳細には、オフセット調整回路15は、第1増幅器14a、第2増幅器14c、第3増幅器14b及び第4増幅器14dの各々の入力段に接続されている。オフセット調整回路15は、第1正弦信号S1と第2正弦信号S3との中点電位差をゼロにし、かつ第1余弦信号S2と第2余弦信号S4との中点電位差をゼロにするようにそれぞれ調整する。
【0037】
より詳細には、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1補正値A1を第1増幅器14aに出力し、第2補正値A2を第2増幅器14cに出力し、第3補正値A3を第3増幅器14bに出力し、第4補正値A4を第4増幅器14dに出力する。第1補正値A1は、第1正弦信号S1を補正するための値であり、第2補正値A2は、第1余弦信号S2を補正するための値であり、第3補正値A3は、第2正弦信号S3を補正するための値であり、第4補正値A4は、第2余弦信号S4を補正するための値である。
【0038】
実施形態1では、第1補正値A1、第3補正値A3及び後述の第5補正値A5の各々は、第1オフセット量A101と第3オフセット量A301と第1補正値A1と第3補正値A3と第5補正値A5との総和がゼロになるような値である。第1オフセット量A101は、第1正弦信号S1のオフセット量である。第3オフセット量A301は、第2正弦信号S3のオフセット量である。
【0039】
また、実施形態1では、第2補正値A2、第4補正値A4及び後述の第6補正値A6の各々は、第2オフセット量A201と第4オフセット量A401と第1振幅A202と第2振幅A402と第2補正値A2と第4補正値A4と第6補正値A6との総和がゼロになるような値である。第2オフセット量A201は、第1余弦信号S2のオフセット量である。第4オフセット量A401は、第2余弦信号S4のオフセット量である。第1振幅A202は、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅である。第2振幅A402は、第2余弦信号S4の2次高調波成分の振幅である。
【0040】
実施形態1では、第1正弦信号S1は、
図2Bの実線a2で示されるように、オフセット調整回路15の第1オフセット処理によって、θ方向のオフセット量が小さくなっている。また、実施形態1では、第1余弦信号S2は、
図2Bの破線b2で示されるように、オフセット調整回路15の第1オフセット処理によって、θ方向のオフセット量が小さくなっている。
【0041】
第1差動増幅器16aは、第1増幅器14aからの第1増幅信号S5、及び第3増幅器14bからの第3増幅信号S7が入力される。第1差動増幅器16aは、第1増幅信号S5と第3増幅信号S7とを差動増幅させて、2倍の振幅からなる第1差動増幅信号S9を生成し、第1AD変換器18aに出力する。
【0042】
第2差動増幅器16bは、第2増幅器14cからの第2増幅信号S6、及び第4増幅器14dからの第4増幅信号S8が入力される。第2差動増幅器16bは、第2増幅信号S6と第4増幅信号S8とを差動増幅させて、2倍の振幅からなる第2差動増幅信号S10を生成し、第1AD変換器18bに出力する。
【0043】
ゲイン調整回路17は、第1差動増幅器16a及び第2差動増幅器16bの各々に接続されている。ゲイン調整回路17は、第1差動増幅信号S9及び第2差動増幅信号S10の振幅が所定の振幅となるように、第1差動増幅器16a及び第2差動増幅器16bのゲインを調整する。
【0044】
第1AD変換器18aは、第1差動増幅器16aからの第1差動増幅信号S9が入力され、第1差動増幅信号S9をアナログ-デジタル変換する。より詳細には、第1AD変換器18aは、第1差動増幅信号S9を所定のサンプリング周期でアナログ-デジタル変換し、変換後の第1デジタル信号S11を演算回路70に出力する。
【0045】
第2AD変換器18bは、第2差動増幅器16bからの第2差動増幅信号S10が入力され、第2差動増幅信号S10をアナログ-デジタル変換する。より詳細には、第2AD変換器18bは、第2差動増幅信号S10を所定のサンプリング周期でアナログ-デジタル変換し、変換後の第2デジタル信号S12を演算回路70に出力する。
【0046】
第1ホール素子40aは、信号処理回路10が実装される回路基板に対して垂直又は平行な方向の外部磁界を検出する。第1ホール素子40aは、上述の外部磁界(回転磁界)の方向及び大きさの変化を検出し、第1検出信号を出力する。
【0047】
第2ホール素子40bは、第1ホール素子40aと同様、信号処理回路10が実装される回路基板に対して垂直又は平行な方向の外部磁界を検出する。第2ホール素子40bは、上述の外部磁界(回転磁界)の方向及び大きさの変化を検出し、第2検出信号を出力する。
【0048】
増幅器42aは、第1ホール素子40aからの第1検出信号を増幅させる。増幅器42bは、第2ホール素子40bからの第2検出信号を増幅させる。
【0049】
第1コンパレータ44aは、増幅器42aからの信号を矩形波信号である第1パルス信号に変換する。第2コンパレータ44bは、増幅器42bからの信号を矩形波信号である第2パルス信号に変換する。
【0050】
ここで、第1ホール素子40aは、第2ホール素子40bに対して90°回転させた状態に配置されている。このため、第1パルス信号の位相と第2パルス信号の位相との位相差は、90°である。
【0051】
第1レギュレータ60aは、磁気抵抗素子12、及び磁気抵抗素子12からの信号を処理する信号処理回路10内の増幅器等に第1電位を供給する。
【0052】
第2レギュレータ60bは、第1オシレータ80aに第1電位を供給する。また、第2レギュレータ60bは、第1ホール素子40a、第2ホール素子40b、及び各ホール素子からの信号を処理する信号処理回路10内の増幅器等に第1電位を供給する。
【0053】
第3レギュレータ60cは、第2オシレータ80bに第1電位を供給する。また、第3レギュレータ60cは、第1ホール素子40a及び第2ホール素子40bの間欠動作に用いられる電位を供給する。
【0054】
演算回路70は、
図1に示すように、角度検出回路70aと、回転数検出回路70bと、オフセット補正回路70cと、温度補正回路70dと、を有する。すなわち、信号処理回路10は、オフセット補正回路70cを有する。
【0055】
角度検出回路70aは、第1デジタル信号S11、第2デジタル信号S12、第1パルス信号及び第2パルス信号から、上記磁石の回転角度を検出し、検出信号Voutを出力する。具体的には、角度検出回路70aは、第1磁気抵抗素子11aからの第1正弦信号S1、第2磁気抵抗素子11bからの第1余弦信号S2、第3磁気抵抗素子11cからの第2正弦信号S3、及び第4磁気抵抗素子11dからの第2余弦信号S4に対してarctan演算を行うことにより、上記回転角度を検出する。実施形態1では、角度検出回路70aは、第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12に対してarctan演算を行う。すなわち、実施形態1では、角度検出回路70aがarctan回路(以下、「arctan回路70a」ともいう)に相当する。角度検出回路70aは、検出信号Voutとして、arctan演算を行った後の回転角度を表す角度信号を出力する。このように、信号処理回路10は、第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12に対してarctan演算を行うarctan回路(角度検出回路70a)を更に有する。
【0056】
ここで、第1正弦信号S1は、第1正弦信号S1に含まれる3次以上の高調波成分を無視することによって、(1)式のように表される。同様に、第1余弦信号S2は、第1余弦信号S2に含まれる3次以上の高調波成分を無視することによって、(2)式のように表される。
【0057】
なお、θは磁界角度、A101は第1正弦信号S1の振幅、A201は第1余弦信号S2の振幅、A102は第1正弦信号S1に含まれる2次高調波成分の振幅、A202は第1余弦信号S2に含まれる2次高調波成分の振幅である。また、A100は第1正弦信号S1のオフセット量、A200は第1余弦信号S2のオフセット量、A1は第1補正値、A2は第2補正値である。
【0058】
【0059】
【0060】
上述の(1)式及び(2)式から角度を計算すると、(3)式のように表される。
【0061】
【0062】
ここで、A101=A201=A10と近似し、かつA102=A202=A20と近似する。そして、第1補正値A1=-A100とし、かつ第2補正値A2=A102-A200とすると、(4)式のようになる。
【0063】
【0064】
なお、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4についても同様である。
【0065】
このように、実施形態1に係る磁気センサ1では、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となる。その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0066】
回転数検出回路70bは、上記第1パルス信号及び第2パルス信号から、上記磁石の回転数を計測する。
【0067】
オフセット補正回路70cは、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11、及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第5補正値A5を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第6補正値A6を用いて第2デジタル信号S12を補正する。第5補正値A5は、上述したように、第1オフセット量A101と第3オフセット量A301と第1補正値A1と第3補正値A3と第5補正値A5との総和がゼロになるような値である。また、第6補正値A6は、上述したように、第2オフセット量A201と第4オフセット量A401と第1振幅A202と第2振幅A402と第2補正値A2と第4補正値A4と第6補正値A6との総和がゼロになるような値である。
【0068】
実施形態1では、第1正弦信号S1は、
図2Cの実線a3で示されるように、オフセット補正回路70cの第2オフセット処理によって、θ方向におけるオフセット量がほぼゼロになっている。また、実施形態1では、第1余弦信号S2は、
図2Cの破線b3で示されるように、オフセット補正回路70cの第2オフセット処理によって、θ方向のオフセット量がほぼゼロになっている。
【0069】
温度補正回路70dは、複数の磁気抵抗体12a~12hの温度変化に起因して、第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12に生じるゲイン(振幅)のオフセットを補正する。温度補正回路70dは、例えば、温度センサ80dから入力される温度情報に基づいてメモリ80c内の測定値を読み出し、読み出した測定値を第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12に重畳させる。上記測定値は、温度変化に伴う第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12の変化量を予め測定した測定値である。また、温度補正回路70dは、温度センサ80dから入力される温度情報と、メモリ80cに保存されているオフセットの温度依存性に関する係数と、を用いて演算処理することで、第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12のオフセットの温度特性を補正する。
【0070】
第1オシレータ80aは、信号処理回路10で用いられる内部クロックを生成するための発振回路である。第1オシレータ80aで生成された内部クロックは、磁気抵抗素子12、第1ホール素子40a及び第2ホール素子40bの検出に用いられる。第2オシレータ80bは、信号処理回路10で用いられる別の内部クロックを生成するための発振回路である。ここで、第1オシレータ80aが生成する第1クロック信号の第1周波数は、第2オシレータ80bが生成する第2クロック信号の第2周波数よりも高い。
【0071】
メモリ80cは、回転数検出回路70bで計測された回転数、及び温度オフセットの補正に用いられる測定値等を保存する。また、メモリ80cは、磁気抵抗素子12から出力される第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4の各々について、オフセットの温度に対する依存性を多項式関数で近似したときの係数を保存する。また、メモリ80cは、AD変換後の第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4の各々のゲイン(振幅)の温度に対する依存性を多項式関数で近似したときの係数を保存する。
【0072】
(3)特性
次に、実施形態1に係る磁気センサ1の特性について、第1比較例及び第2比較例と比較しながら説明する。
【0073】
(3.1)第1比較例
以下、第1比較例について、
図3A及び
図3Bを参照して説明する。第1比較例では、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に対するオフセット補正を行わない。
【0074】
まず、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分が含まれていない場合を想定する。例えば、表1に示すように、第1正弦信号S1のオフセット量A100=0.001、第1正弦信号S1の振幅A101=1.001、第1余弦信号S2のオフセット量A200=-0.002、第1余弦信号S2の振幅A201=0.999とする。この場合、
図3Aに示すように、基準角度が第1角度及び第2角度である場合を除いて角度誤差が生じている。第1角度は、90degと180degとの間の角度である。第2角度は、270degと360degとの間の角度である。
図3Aの例では、角度誤差は±0.15degである。
【0075】
【0076】
次に、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に2次高調波成分が含まれている場合を想定する。例えば、表2に示すように、第1正弦信号のオフセット量A100=0.001、第1正弦信号S1の振幅A101=1.001、第1余弦信号S2のオフセット量A200=-0.002、第1余弦信号S2の振幅A201=0.999、第1正弦信号S1の2次高調波成分の振幅A102=0.01、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅A202=0.01とする。この場合、
図3Bに示すように、基準角度が第3角度及び第4角度である場合を除いて角度誤差が生じている。第3角度は、90degと180degとの間の角度である。第4角度は、270degと360degとの間の角度である。
図3Bの例では、角度誤差は±0.70degである。
【0077】
【0078】
第1比較例では、高調波成分(例えば、2次高調波成分)を含まない理想的な第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2であっても角度誤差が生じるため、信頼性が低下するという問題がある。
【0079】
(3.2)第2比較例
以下、第2比較例について、
図4A及び
図4Bを参照して説明する。第2比較例では、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に対して、オフセット量をゼロにするオフセット補正を行っている。
【0080】
まず、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分が含まれていない場合を想定する。例えば、表3に示すように、第1正弦信号S1のオフセット量A100=0、第1正弦信号S1の振幅A101=1、第1余弦信号S2のオフセット量A200=0、第1余弦信号S2の振幅A201=1とする。この場合、
図4Aに示すように、基準角度の全範囲(0deg以上、360deg以下)にわたって角度誤差がゼロである。
【0081】
【0082】
次に、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に2次高調波成分が含まれている場合を想定する。例えば、表4に示すように、第1正弦信号S1のオフセット量A100=0、第1正弦信号S1の振幅A101=1、第1余弦信号S2のオフセット量A200=0、第1余弦信号S2の振幅A201=1、第1正弦信号S1の2次高調波成分の振幅A102=0.01、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅A202=0.01とする。この場合、2次高調波成分が残ってしまうため、
図4Bに示すように、基準角度が第5角度、第6角度及び第7角度である場合を除いて角度誤差が生じている。第5角度は、例えば、0degである。第6角度は、例えば、180degである。第7角度は、例えば、360degである。
図4Bの例では、角度誤差は±0.57degである。
【0083】
【0084】
第2比較例では、高調波成分(例えば、2次高調波成分)を含む実際の第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2である場合に角度誤差が生じるため、信頼性が低下するという問題がある。
【0085】
(3.3)本実施例
以下、本実施例について、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。本実施例では、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に対するオフセット補正を行っている。
【0086】
まず、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分が含まれていない場合を想定する。例えば、表5に示すように、第1正弦信号S1のオフセット量A100=0、第1正弦信号S1の振幅A101=1、第1余弦信号S2のオフセット量A200=0、第1余弦信号S2の振幅A201=1とする。この場合、
図4Aに示すように、基準角度の全範囲(0deg以上、360deg以下)にわたって角度誤差がゼロである。
【0087】
【0088】
次に、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に2次高調波成分が含まれている場合を想定する。例えば、表6に示すように、第1正弦信号S1のオフセット量A100=0、第1正弦信号S1の振幅A101=1、第1余弦信号S2のオフセット量A200=0.01、第1余弦信号S2の振幅A201=1、第1正弦信号S1の2次高調波成分の振幅A102=0.01、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅A202=0.01とする。この場合、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅A202と第1余弦信号S2のオフセット量A200とが相殺されるため、
図4Bに示すように、基準角度の全範囲(0deg以上、360deg以下)にわたって角度誤差がゼロになる。
【0089】
【0090】
本実施例では、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合であっても角度誤差をゼロにすることが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0091】
(4)効果
実施形態1に係る磁気センサ1では、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1オフセット量A100と第3オフセット量A300と第1補正値A1と第3補正値A3と第5補正値A5との総和がゼロになるような第1補正値A1を第1増幅器14aに出力し、第3補正値A3を第3増幅器14bに出力している。また、オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第2オフセット量A200と第4オフセット量A400と第1振幅A202と第2振幅A402と第2補正値A2と第4補正値A4と第6補正値A6との総和がゼロになるような第2補正値A2を第2増幅器14cに出力し、第4補正値A4を第4増幅器14dに出力している。また、オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第5補正値A5を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第6補正値A6を用いて第2デジタル信号S12を補正している。これにより、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0092】
また、実施形態1に係る磁気センサ1では、信号処理回路10は、arctan回路70aを更に有する。arctan回路70aは、第1デジタル信号S11及び第2デジタル信号S12に対してarctan演算を行う。これにより、回転角度を検出することが可能となる。
【0093】
(実施形態2)
実施形態2に係る磁気センサ1Aについて、
図6を参照して説明する。実施形態2に係る磁気センサ1Aに関し、実施形態1に係る磁気センサ1(
図1参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
実施形態2に係る磁気センサ1Aは、第1~第4増幅器14a~14dが省略されている点で、実施形態1に係る磁気センサ1と相違する。また、実施形態2に係る磁気センサ1Aは、オフセット調整回路15が省略されている点で、実施形態1に係る磁気センサ1と相違する。
【0095】
実施形態2に係る磁気センサ1Aは、
図6に示すように、磁気抵抗素子12Aと、信号処理回路10Aと、を備える。
【0096】
磁気抵抗素子12Aは、実施形態1の磁気抵抗素子12と同様、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、第3磁気抵抗素子11cと、第4磁気抵抗素子11dと、を有する。第1磁気抵抗素子11aは、第1磁気抵抗体12aと、第3磁気抵抗体12cと、を含む。第2磁気抵抗素子11bは、第6磁気抵抗体12fと、第8磁気抵抗体12hと、を含む。第3磁気抵抗素子11cは、第2磁気抵抗体12bと、第4磁気抵抗体12dと、を含む。第4磁気抵抗素子11dは、第5磁気抵抗体12eと、第7磁気抵抗体12gと、を含む。すなわち、実施形態2に係る磁気センサ1Aは、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、第3磁気抵抗素子11cと、第4磁気抵抗素子11dと、信号処理回路10Aと、を備える。
【0097】
第1磁気抵抗素子11aは、第1磁気抵抗体12aと第3磁気抵抗体12cとの接続点から、第1正弦信号S1を出力する。第2磁気抵抗素子11bは、第6磁気抵抗体12fと第8磁気抵抗体12hとの接続点から、第1余弦信号S2を出力する。第3磁気抵抗素子11cは、第2磁気抵抗体12bと第4磁気抵抗体12dとの接続点から、第2正弦信号S3を出力する。第4磁気抵抗素子11dは、第5磁気抵抗体12eと第7磁気抵抗体12gとの接続点から、第2余弦信号S4を出力する。
【0098】
信号処理回路10Aは、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4が入力され、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に対する信号処理を行う。信号処理回路10Aは、第1差動増幅器16aと、第2差動増幅器16bと、ゲイン調整回路17と、第1A/D変換器18aと、第2A/D変換器18bと、を有する。また、信号処理回路10Aは、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bと、複数(図示例では2個)の増幅器42a,42bと、第1コンパレータ44aと、第2コンパレータ44bと、を更に有する。また、信号処理回路10Aは、第1レギュレータ60aと、第2レギュレータ60bと、第3レギュレータ60cと、演算回路70と、を更に有する。また、信号処理回路10Aは、第1オシレータ80aと、第2オシレータ80bと、メモリ80cと、温度センサ80dと、を更に有する。
【0099】
第1差動増幅器16aは、
図6に示すように、第1正弦信号S1及び第2正弦信号S3が入力される。第1差動増幅器16aは、第1正弦信号S1と第2正弦信号S3とを差動増幅させて、2倍の振幅からなる第1差動増幅信号S9を生成し、第1AD変換器18aに出力する。
【0100】
第2差動増幅器16bは、
図6に示すように、第1余弦信号S2及び第2余弦信号S4が入力される。第2差動増幅器16bは、第1余弦信号S2と第2余弦信号S4とを差動増幅させて、2倍の振幅からなる第2差動増幅信号S10を生成し、第2AD変換器18bに出力する。
【0101】
第1AD変換器18aは、第1差動増幅器16aからの第1差動増幅信号S9が入力され、第1差動増幅信号S9をアナログ-デジタル変換する。より詳細には、第1AD変換器18aは、第1差動増幅信号S9を所定のサンプリング周期でアナログ-デジタル変換し、変換後の第1デジタル信号S11を演算回路70に出力する。
【0102】
第2AD変換器18bは、第2差動増幅器16bからの第2差動増幅信号S10が入力され、第2差動増幅信号S10をアナログ-デジタル変換する。より詳細には、第2AD変換器18bは、第2差動増幅信号S10を所定のサンプリング周期でアナログ-デジタル変換し、変換後の第2デジタル信号S12を演算回路70に出力する。
【0103】
演算回路70は、
図6に示すように、角度検出回路70aと、回転数検出回路70bと、オフセット補正回路70cと、温度補正回路70dと、を有する。
【0104】
オフセット補正回路70cは、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。オフセット補正回路70cは、第1オフセット量A100、第2オフセット量A200、第3オフセット量A300及び第4オフセット量A400がゼロになるように、オフセット量を補正するオフセット処理を実行する。第1オフセット量A100は、第1正弦信号S1のオフセット量である。第2オフセット量A200は、第1余弦信号S2のオフセット量である。第3オフセット量A300は、第2正弦信号S3のオフセット量である。第4オフセット量A400は、第2余弦信号S4のオフセット量である。
【0105】
オフセット補正回路70cは、オフセット処理において、第1オフセット量A100と第3オフセット量A300と第1補正値A11との総和がゼロになるような第1補正値A11を用いて第1デジタル信号S11を補正する。また、オフセット補正回路70cは、オフセット処理において、第2オフセット量A200と第4オフセット量A400と第1振幅A202と第2振幅A402と第2補正値A12との総和がゼロになるような第2補正値A12を用いて第2デジタル信号S12を補正する。第1振幅A202は、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅である。第2振幅A402は、第2余弦信号S4の2次高調波成分の振幅である。
【0106】
実施形態2に係る磁気センサ1Aでは、オフセット補正回路70cが、第1補正値A11を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第2補正値A12を用いて第2デジタル信号S12を補正する。これにより、第1正弦信号S1、第1余弦信号S2、第2正弦信号S3及び第2余弦信号S4に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0107】
(実施形態3)
実施形態3に係る磁気センサ1Bについて、
図7を参照して説明する。実施形態3に係る磁気センサ1Bに関し、実施形態1に係る磁気センサ1(
図1参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
実施形態3に係る磁気センサ1Bは、第1磁気抵抗素子11aと第2磁気抵抗素子11bとで磁気抵抗素子12Bが構成されている点で、実施形態1に係る磁気センサ1と相違する。また、実施形態3に係る磁気センサ1Bは、第3増幅器14b及び第4増幅器14dが省略されている点で、実施形態1に係る磁気センサ1と相違する。また、実施形態3に係る磁気センサ1Aは、第1差動増幅器16a及び第2差動増幅器16bの代わりに、増幅器16c,16dが設けられている点で、実施形態1に係る磁気センサ1と相違する。
【0109】
実施形態3に係る磁気センサ1Bは、
図7に示すように、磁気抵抗素子12Bと、信号処理回路10Bと、を備える。
【0110】
磁気抵抗素子12Bは、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、を有する。第1磁気抵抗素子11aは、第1磁気抵抗体12aと、第3磁気抵抗体12cと、を含む。第2磁気抵抗素子11bは、第6磁気抵抗体12fと、第8磁気抵抗体12hと、を含む。すなわち、実施形態3に係る磁気センサ1Bは、第1磁気抵抗素子11aと、第2磁気抵抗素子11bと、信号処理回路10Bと、を備える。
【0111】
第1磁気抵抗素子11aは、第1磁気抵抗体12aと第3磁気抵抗体12cとの接続点から、第1正弦信号(正弦信号)S1を出力する。第2磁気抵抗素子11bは、第6磁気抵抗体12fと第8磁気抵抗体12hとの接続点から、第1余弦信号(余弦信号)S2を出力する。
【0112】
信号処理回路10Bは、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2が入力され、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に対する信号処理を行う。信号処理回路10Bは、第1増幅器14aと、第2増幅器14cと、オフセット調整回路15と、第1AD変換器18aと、第2AD変換器18bと、を備える。また、信号処理回路10Bは、複数(図示例では2個)の増幅器16c,16dと、ゲイン調整回路17と、を更に有する。また、信号処理回路10Bは、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bと、複数(図示例では2個)の増幅器42a,42bと、第1コンパレータ44aと、第2コンパレータ44bと、を更に有する。また、信号処理回路10Bは、第1レギュレータ60aと、第2レギュレータ60bと、第3レギュレータ60cと、演算回路70と、を更に有する。また、信号処理回路10Bは、第1オシレータ80aと、第2オシレータ80bと、メモリ80cと、温度センサ80dと、を更に有する。
【0113】
第1増幅器14aは、第1磁気抵抗素子11aからの第1正弦信号(正弦信号)S1を第1増幅信号S5に増幅させる。第2増幅器14cは、第2磁気抵抗素子11bからの第1余弦信号(余弦信号)S2を第2増幅信号S6に増幅させる。
【0114】
増幅器16cは、第1増幅器14aからの第1増幅信号S5を第1アナログ信号S13に増幅させ、第1アナログ信号S13を第1AD変換器18aに出力する。増幅器16dは、第2増幅器14cからの第2増幅信号S6を第2アナログ信号S14に増幅させ、第2アナログ信号S14を第2AD変換器18bに出力する。
【0115】
第1AD変換器18aは、増幅器16cからの第1アナログ信号S13が入力され、第1アナログ信号S13をアナログ-デジタル変換する。すなわち、第1AD変換器18aは、第1増幅器14aからの第1増幅信号S5に基づく第1アナログ信号S13が入力され、第1アナログ信号S13をアナログ-デジタル変換する。
【0116】
第2AD変換器18bは、増幅器16dからの第2アナログ信号S14が入力され、第2アナログ信号S14をアナログ-デジタル変換する。すなわち、第2AD変換器18bは、第2増幅器14cからの第2増幅信号S6に基づく第2アナログ信号S14が入力され、第2アナログ信号S14をアナログ-デジタル変換する。
【0117】
オフセット調整回路15は、第1増幅器14a及び第2増幅器14cに接続されている。オフセット調整回路15は、第1オフセット量A100及び第2オフセット量A200を補正する第1オフセット処理を実行する。オフセット調整回路15は、第1オフセット処理において、第1正弦信号S1を補正するための第1補正値A21を第1増幅器14aに出力し、第1余弦信号S2を補正するための第2補正値A22を第2増幅器14cに出力する。第1補正値A21は、第1オフセット量A100と第1補正値A21と後述の第3補正値A23との総和がゼロになるような値である。第1オフセット量A100は、第1正弦信号S1のオフセット量である。第2補正値A22は、第2オフセット量A200と第1振幅A202と第2補正値A22と後述の第4補正値A24との総和がゼロになるような値である。第2オフセット量A200は、第1余弦信号S2のオフセット量である。第1振幅A202は、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅である。
【0118】
演算回路70は、
図7に示すように、角度検出回路70aと、回転数検出回路70bと、オフセット補正回路70cと、温度補正回路70dと、を有する。
【0119】
オフセット補正回路70cは、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。オフセット補正回路70cは、第1オフセット量A100及び第2オフセット量A200を補正する第2オフセット処理を実行する。
【0120】
オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第3補正値A23を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第4補正値A24を用いて第2デジタル信号S12を補正する。第3補正値A23は、第1オフセット量A100と第1補正値A21と第3補正値A23との総和がゼロになるような値である。第4補正値A24は、第2オフセット量A200と第1振幅A202と第2補正値A22と第4補正値A24との総和がゼロになるような値である。
【0121】
実施形態3に係る磁気センサ1Bにおいても、オフセット調整回路15が第1オフセット処理を実行し、オフセット補正回路70cが第2オフセット処理を実行する。これにより、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0122】
(実施形態4)
実施形態4に係る磁気センサ1Cについて、
図8を参照して説明する。実施形態4に係る磁気センサ1Cに関し、実施形態3に係る磁気センサ1B(
図7参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0123】
実施形態4に係る磁気センサ1Cは、第1増幅器14a及び第2増幅器14cが省略されている点で、実施形態3に係る磁気センサ1Bと相違する。また、実施形態4に係る磁気センサ1Cは、オフセット調整回路15が省略されている点で、実施形態3に係る磁気センサ1Bと相違する。
【0124】
実施形態4に係る磁気センサ1Cは、
図8に示すように、磁気抵抗素子12Cと、信号処理回路10Cと、を備える。磁気抵抗素子12Cは、上述の磁気抵抗素子12Bと同様の構成を有している。
【0125】
信号処理回路10Cは、第1正弦信号(正弦信号)S1及び第1余弦信号(余弦信号)S2が入力され、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に対する信号処理を行う。信号処理回路10Bは、
図8に示すように、第1A/D変換器18aと、第2A/D変換器18bと、を有する。また、信号処理回路10Cは、複数(図示例では2個)の増幅器19a,19bと、ゲイン調整回路17と、を更に有する。また、信号処理回路10Cは、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bと、複数(図示例では2個)の増幅器42a,42bと、第1コンパレータ44aと、第2コンパレータ44bと、を更に有する。また、信号処理回路10Cは、第1レギュレータ60aと、第2レギュレータ60bと、第3レギュレータ60cと、演算回路70と、を更に有する。また、信号処理回路10Cは、第1オシレータ80aと、第2オシレータ80bと、メモリ80cと、温度センサ80dと、を更に有する。
【0126】
増幅器19aは、第1磁気抵抗素子11aからの第1正弦信号S1を第1増幅信号S5に増幅させる。増幅器19bは、第2磁気抵抗素子11bからの第1余弦信号S2を第2増幅信号S6に増幅させる。
【0127】
第1AD変換器18aは、第1増幅信号S5が入力され、第1増幅信号S5をアナログ-デジタル変換する。すなわち、第1AD変換器18aは、第1正弦信号S1に基づく第1アナログ信号(第1増幅信号S5)が入力され、第1アナログ信号をアナログ-デジタル変換する。
【0128】
第2AD変換器18bは、第2増幅信号S6が入力され、第2増幅信号S6をアナログ-デジタル変換する。すなわち、第2AD変換器18bは、第1余弦信号S2に基づく第2アナログ信号(第2増幅信号S6)が入力され、第1アナログ信号をアナログ-デジタル変換する。
【0129】
演算回路70は、
図8に示すように、角度検出回路70aと、回転数検出回路70bと、オフセット補正回路70cと、温度補正回路70dと、を有する。
【0130】
オフセット補正回路70cは、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。オフセット補正回路70cは、第1オフセット量A100及び第2オフセット量A200を補正するオフセット処理を実行する。
【0131】
オフセット補正回路70cは、オフセット処理において、第1補正値A31を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第2補正値A32を用いて第2デジタル信号S12を補正する。第1補正値A31は、第1オフセット量A100と第1補正値A41との総和がゼロになるような補正値である。第2補正値A32は、第2オフセット量A200と第1振幅A202と第2補正値A22との総和がゼロになるような補正値である。
【0132】
第1オフセット量A100は、第1正弦信号S1のオフセット量である。第2オフセット量A200は、第1余弦信号S2のオフセット量である。第1振幅A202は、第1余弦信号S2の2次高調波成分の振幅である。
【0133】
実施形態4に係る磁気センサ1Cにおいても、オフセット補正回路70cがオフセット処理を実行する。これにより、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0134】
(実施形態5)
実施形態5に係る磁気センサ1Dについて、
図9を参照して説明する。実施形態5に係る磁気センサ1Dに関し、実施形態3に係る磁気センサ1B(
図7参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0135】
実施形態5に係る磁気センサ1Dは、第1増幅器14a及び第2増幅器14cが省略されている点で、実施形態3に係る磁気センサ1Bと相違する。また、実施形態5に係る磁気センサ1Dは、オフセット調整回路15及びゲイン調整回路17の代わりに、オフセット・ゲイン調整回路17aが設けられている点で、実施形態3に係る磁気センサ1Bと相違する。
【0136】
実施形態5に係る磁気センサ1Dは、
図9に示すように、磁気抵抗素子12Dと、信号処理回路10Dと、を備える。磁気抵抗素子12Dは、上述の磁気抵抗素子12Bと同様の構成を有している。
【0137】
信号処理回路10Dは、
図9に示すように、複数(図示例では2個)の増幅器19a,19bと、オフセット・ゲイン調整回路17aと、第1A/D変換器18aと、第2A/D変換器18bと、を有する。また、信号処理回路10Dは、第1ホール素子40aと、第2ホール素子40bと、複数(図示例では2個)の増幅器42a,42bと、第1コンパレータ44aと、第2コンパレータ44bと、を更に有する。また、信号処理回路10Dは、第1レギュレータ60aと、第2レギュレータ60bと、第3レギュレータ60cと、演算回路70と、を更に有する。また、信号処理回路10Dは、第1オシレータ80aと、第2オシレータ80bと、メモリ80cと、温度センサ80dと、を更に有する。
【0138】
増幅器(第1増幅器)19aは、第1磁気抵抗素子11aからの第1正弦信号S1を第1増幅信号S5に増幅させる。増幅器(第2増幅器)19bは、第2磁気抵抗素子11bからの第1余弦信号S2を第2増幅信号S6に増幅させる。
【0139】
オフセット・ゲイン調整回路17aは、オフセット調整回路15としての機能と、ゲイン調整回路17としての機能と、を有する。オフセット・ゲイン調整回路17aは、複数の増幅器19a,19bに接続されている。オフセット・ゲイン調整回路17aは、増幅器19aに対して第1補正値A41を出力し、増幅器19bに対して第2補正値A42を出力する。また、オフセット・ゲイン調整回路17aは、各増幅器19a,19bから出力される増幅信号の振幅が所定の振幅になるように、各増幅器19a,19bのゲインを調整する。
【0140】
演算回路70は、
図9に示すように、角度検出回路70aと、回転数検出回路70bと、オフセット補正回路70cと、温度補正回路70dと、を有する。
【0141】
オフセット補正回路70cは、第1AD変換器18aからの第1デジタル信号S11及び第2AD変換器18bからの第2デジタル信号S12が入力される。オフセット補正回路70cは、第1オフセット量A100及び第2オフセット量A200を補正する第2オフセット処理を実行する。
【0142】
オフセット補正回路70cは、第2オフセット処理において、第3補正値A43を用いて第1デジタル信号S11を補正し、第4補正値A44を用いて第2デジタル信号S12を補正する。第3補正値A43は、第1オフセット量A100と第1補正値A41と第3補正値A43との総和がゼロになるような値である。第4補正値A44は、第2オフセット量A200と第1振幅A202と第2補正値A42と第4補正値A44との総和がゼロになるような値である。
【0143】
実施形態5に係る磁気センサ1Dにおいても、オフセット・ゲイン調整回路17aが第1オフセット処理を実行し、オフセット補正回路70cが第2オフセット処理を実行する。これにより、第1正弦信号S1及び第1余弦信号S2に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0144】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0145】
第1の態様に係る磁気センサ(1)は、第1磁気抵抗素子(11a)と、第2磁気抵抗素子(11b)と、第3磁気抵抗素子(11c)と、第4磁気抵抗素子(11d)と、信号処理回路(10)と、を備える。第1磁気抵抗素子(11a)は、第1正弦信号(S1)を出力する。第2磁気抵抗素子(11b)は、第1余弦信号(S2)を出力する。第3磁気抵抗素子(11c)は、第2正弦信号(S3)を出力する。第4磁気抵抗素子(11d)は、第2余弦信号(S4)を出力する。信号処理回路(10)は、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)が入力され、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)に対する信号処理を行う。信号処理回路(10)は、第1増幅器(14a)と、第2増幅器(14c)と、第3増幅器(14b)と、第4増幅器(14d)と、第1差動増幅器(16a)と、第2差動増幅器(16b)と、第1AD変換器(18a)と、第2AD変換器(18b)と、オフセット調整回路(15)と、オフセット補正回路(70c)と、を有する。第1増幅器(14a)は、第1正弦信号(S1)を増幅させる。第2増幅器(14c)は、第1余弦信号(S2)を増幅させる。第3増幅器(14b)は、第2正弦信号(S3)を増幅させる。第4増幅器(14d)は、第2余弦信号(S4)を増幅させる。第1差動増幅器(16a)は、第1増幅器(14a)からの第1増幅信号(S5)、及び第3増幅器(14b)からの第3増幅信号(S7)が入力される。第2差動増幅器(16b)は、第2増幅器(14c)からの第2増幅信号(S6)、及び第4増幅器(14d)からの第4増幅信号(S8)が入力される。第1AD変換器(18a)は、第1差動増幅器(16a)からの第1差動増幅信号(S9)が入力され、第1差動増幅信号(S9)をアナログ-デジタル変換する。第2AD変換器(18b)は、第2差動増幅器(16b)からの第2差動増幅信号(S10)が入力され、第2差動増幅信号(S10)をアナログ-デジタル変換する。オフセット調整回路(15)は、第1増幅器(14a)、第2増幅器(14c)、第3増幅器(14b)及び第4増幅器(14d)に接続されている。オフセット補正回路(70c)は、第1AD変換器(18a)からの第1デジタル信号(S11)、及び第2AD変換器(18b)からの第2デジタル信号(S12)が入力される。オフセット調整回路(15)は、第1オフセット処理において、第1正弦信号(S1)を補正するための第1補正値(A1)を第1増幅器(14a)に出力し、第1余弦信号(S2)を補正するための第2補正値(A2)を第2増幅器(14c)に出力し、第2正弦信号(S3)を補正するための第3補正値(A3)を第3増幅器(14b)に出力し、第2余弦信号(S4)を補正するための第4補正値(A4)を第4増幅器(14d)に出力する。オフセット補正回路(70c)は、第2オフセット処理において、第5補正値(A5)を用いて第1デジタル信号(S11)を補正し、第6補正値(A6)を用いて第2デジタル信号(S12)を補正する。第1補正値(A1)、第3補正値(A3)及び第5補正値(A5)の各々は、第1正弦信号(S1)のオフセット量である第1オフセット量(A100)と第2正弦信号(S3)のオフセット量である第3オフセット量(A300)と第1補正値(A1)と第3補正値(A3)と第5補正値(A5)との総和がゼロになるような値である。第2補正値(A2)、第4補正値(A4)及び第6補正値(A6)の各々は、第1余弦信号(S2)のオフセット量である第2オフセット量(A200)と第2余弦信号(S4)のオフセット量である第4オフセット量(A400)と第1余弦信号(S2)の2次高調波成分の振幅である第1振幅(A202)と第2余弦信号(S4)の2次高調波成分の振幅である第2振幅(A402)と第2補正値(A2)と第4補正値(A4)と第6補正値(A6)との総和がゼロになるような値である。
【0146】
この態様によれば、オフセット調整回路(15)が第1オフセット処理を実行し、オフセット補正回路(70c)が第2オフセット処理を実行することにより、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0147】
第2の態様に係る磁気センサ(1A)は、第1磁気抵抗素子(11a)と、第2磁気抵抗素子(11b)と、第3磁気抵抗素子(11c)と、第4磁気抵抗素子(11d)と、信号処理回路(10A)と、を備える。第1磁気抵抗素子(11a)は、第1正弦信号(S1)を出力する。第2磁気抵抗素子(11b)は、第1余弦信号(S2)を出力する。第3磁気抵抗素子(11c)は、第2正弦信号(S3)を出力する。第4磁気抵抗素子(11d)は、第2余弦信号(S4)を出力する。信号処理回路(10A)は、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)が入力され、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)に対する信号処理を行う。信号処理回路(10A)は、第1差動増幅器(16a)と、第2差動増幅器(16b)と、第1AD変換器(18a)と、第2AD変換器(18b)と、オフセット補正回路(70c)と、を有する。第1差動増幅器(16a)は、第1正弦信号(S1)及び第2正弦信号(S3)が入力される。第2差動増幅器(16b)は、第1余弦信号(S2)及び第2余弦信号(S4)が入力される。第1AD変換器(18a)は、第1差動増幅器(16a)からの第1差動増幅信号(S9)が入力され、第1差動増幅信号(S9)をアナログ-デジタル変換する。第2AD変換器(18b)は、第2差動増幅器(16b)からの第2差動増幅信号(S10)が入力され、第2差動増幅信号(S10)をアナログ-デジタル変換する。オフセット補正回路(70c)は、第1AD変換器(18a)からの第1デジタル信号(S11)、及び第2AD変換器(18b)からの第2デジタル信号(S12)が入力される。オフセット補正回路(70c)は、オフセット処理において、第1正弦信号(S1)のオフセット量である第1オフセット量(A100)と第2正弦信号(S3)のオフセット量である第3オフセット量(A300)と第1補正値(A11)との総和がゼロになるような第1補正値(A11)を用いて第1デジタル信号(S11)を補正する。オフセット補正回路(70c)は、第1余弦信号(S2)のオフセット量である第2オフセット量(A200)と第2余弦信号(S4)のオフセット量である第4オフセット量(A400)と第1余弦信号(S2)の2次高調波成分の振幅である第1振幅(A202)と第2余弦信号(S4)の2次高調波成分の振幅である第2振幅(A402)と第2補正値(A12)との総和がゼロになるような第2補正値(A12)を用いて第2デジタル信号(S12)を補正する。
【0148】
この態様によれば、オフセット補正回路(70c)がオフセット処理を実行することにより、第1正弦信号(S1)、第1余弦信号(S2)、第2正弦信号(S3)及び第2余弦信号(S4)に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0149】
第3の態様に係る磁気センサ(1B;1D)は、第1磁気抵抗素子(11a)と、第2磁気抵抗素子(11b)と、信号処理回路(10B;10D)と、を備える。第1磁気抵抗素子(11a)は、正弦信号(S1)を出力する。第2磁気抵抗素子(11b)は、余弦信号(S2)を出力する。信号処理回路(10B;10D)は、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2)が入力され、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2)に対する信号処理を行う。信号処理回路(10B;10D)は、第1増幅器(14a;19a)と、第2増幅器(14c;19b)と、第1AD変換器(18a)と、第2AD変換器(18b)と、オフセット調整回路(15;17a)と、オフセット補正回路(70c)と、を有する。第1増幅器(14a;19a)は、正弦信号(S1)を増幅させる。第2増幅器(14c;19b)は、余弦信号(S2)を増幅させる。第1AD変換器(18a)は、第1増幅器(14a;19a)からの第1増幅信号(S5)に基づく第1アナログ信号(S13)が入力され、第1アナログ信号(S13)をアナログ-デジタル変換する。第2AD変換器(18b)は、第2増幅器(14c;19b)からの第2増幅信号(S6)に基づく第2アナログ信号(S14)が入力され、第2アナログ信号(S14)をアナログ-デジタル変換する。オフセット調整回路(15;17a)は、第1増幅器(14a;19a)及び第2増幅器(14c;19b)に接続されている。オフセット補正回路(70c)は、第1AD変換器(18a)からの第1デジタル信号(S11)、及び第2AD変換器(18b)からの第2デジタル信号(S12)が入力される。オフセット調整回路(15)は、第1オフセット処理において、正弦信号(S1)を補正するための第1補正値(A21;A41)を第1増幅器(14a;19a)に出力し、余弦信号(S2)を補正するための第2補正値(A22;A42)を第2増幅器(14c;19b)に出力する。オフセット補正回路(70c)は、第2オフセット処理において、第3補正値(A23;A43)を用いて第1デジタル信号(S11)を補正し、第4補正値(A24;A44)を用いて第2デジタル信号(S12)を補正する。第1補正値(A21;A41)及び第3補正値(A23;A43)の各々は、正弦信号(S1)のオフセット量である第1オフセット量(A100)と第1補正値(A21;A41)と第3補正値(A23;A43)との総和がゼロになるような値である。第2補正値(A22;A42)及び第4補正値(A24;A44)の各々は、余弦信号(S2)のオフセット量である第2オフセット量(A200)と余弦信号(S2)の2次高調波成分の振幅(A202)と第2補正値(A22;A42)と第4補正値(A24;A44)との総和がゼロになるような値である。
【0150】
この態様によれば、オフセット調整回路(15)が第1オフセット処理を実行し、オフセット補正回路(70c)が第2オフセット処理を実行することにより、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2)に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0151】
第4の態様に係る磁気センサ(1C)は、第1磁気抵抗素子(11a)と、第2磁気抵抗素子(11b)と、信号処理回路(10C)と、を備える。第1磁気抵抗素子(11a)は、正弦信号(S1)を出力する。第2磁気抵抗素子(11b)は、余弦信号(S2)を出力する。信号処理回路(10B)は、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2)が入力され、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2)に対する信号処理を行う。信号処理回路(10B)は、第1AD変換器(18a)と、第2AD変換器(18b)と、オフセット補正回路(70c)と、を有する。第1AD変換器(18a)は、正弦信号(S1)に基づく第1アナログ信号(S5)が入力され、第1アナログ信号(S5)をアナログ-デジタル変換する。第2AD変換器(18b)は、余弦信号(S2)に基づく第2アナログ信号(S6)が入力され、第2アナログ信号(S6)をアナログ-デジタル変換する。オフセット補正回路(70c)は、第1AD変換器(18a)からの第1デジタル信号(S11)、及び第2AD変換器(18b)からの第2デジタル信号(S12)が入力される。オフセット補正回路(70c)は、オフセット処理において、正弦信号(S1)のオフセット量である第1オフセット量(A100)と正弦信号(S1)を補正するための第1補正値(A31)との総和がゼロになるような第1補正値(A31)を用いて第1デジタル信号(S11)を補正する。オフセット補正回路(70c)は、オフセット処理において、余弦信号(S2)のオフセット量である第2オフセット量(A200)と余弦信号(S2)の2次高調波成分の振幅(A202)と余弦信号(S2)を補正するための第2補正値(A32)との総和がゼロになるような第2補正値(A32)を用いて第2デジタル信号(S12)を補正する。
【0152】
この態様によれば、オフセット補正回路(70c)がオフセット処理を実行することにより、正弦信号(S1)及び余弦信号(S2に高調波成分(例えば、2次高調波成分)が含まれている場合でも角度誤差を補正することが可能となり、その結果、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0153】
第5の態様に係る磁気センサ(1)では、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、信号処理回路(10)は、arctan回路(70a)を更に有する。arctan回路(70a)は、第1デジタル信号(S11)及び第2デジタル信号(S12)に対してarctan演算を行う。
【0154】
この態様によれば、回転角度を検出することが可能となる。
【0155】
第4の態様に係る構成については、磁気センサ(1;1A;1B;1C;1D)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0156】
1,1A,1B,1C,1D 磁気センサ
10,10A,10B,10C,10D 信号処理回路
11a 第1磁気抵抗素子
11b 第2磁気抵抗素子
11c 第3磁気抵抗素子
11d 第4磁気抵抗素子
14a 第1増幅器
14b 第3増幅器
14c 第2増幅器
14d 第4増幅器
15 オフセット調整回路
16a 第1差動増幅器
16b 第2差動増幅器
17a オフセット・ゲイン調整回路(オフセット調整回路)
18a 第1AD変換器
18b 第2AD変換器
19a 増幅器(第1増幅器)
19b 増幅器(第2増幅器)
70c オフセット補正回路
A1,A11,A21,A31,A41 第1補正値
A2,A12,A22,A32,A42 第2補正値
A3,A23,A43 第3補正値
A4,A24,A44 第4補正値
A5 第5補正値
A6 第6補正値
A100 第1オフセット量
A200 第2オフセット量
A202 第1振幅
A300 第3オフセット量
A400 第4オフセット量
A402 第2振幅
S1 第1正弦信号(正弦信号)
S2 第1余弦信号(余弦信号)
S3 第2正弦信号
S4 第2余弦信号
S5 第1増幅信号
S6 第2増幅信号
S7 第3増幅信号
S8 第4増幅信号
S9 第1差動増幅信号
S10 第2差動増幅信号
S11 第1デジタル信号
S12 第2デジタル信号