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  • 特開-二部材同士の接合構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158486
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】二部材同士の接合構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20241031BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241031BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/90
B23K31/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073718
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】安田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】田口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 泰典
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DB04
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】第1部材とプレス成形品である第2部材を適切な態様で溶接し易い二部材同士の接合構造を提供する。
【解決手段】軸線16Xに沿って延びる長尺部材であり、外周面が軸線を中心とする周方向に並ぶ複数の平面状の被接合面20、22、24を含む金属製の第1部材14と、内周面が複数の平面状の接合面32、34、36を含み、各被接合面に対して各接合面をそれぞれ対向させた状態で第1部材の外周面に被せられ、各接合面が対応する被接合面にそれぞれ溶接される金属製のプレス成形品である第2部材30と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って延びる長尺部材であり、外周面が前記軸線を中心とする周方向に並ぶ複数の平面状の被接合面を含む金属製の第1部材と、
内周面が複数の平面状の接合面を含み、前記各被接合面に対して前記各接合面をそれぞれ対向させた状態で前記第1部材の外周面に被せられ、前記各接合面が対応する前記被接合面にそれぞれ溶接される金属製のプレス成形品である第2部材と、
を備える二部材同士の接合構造。
【請求項2】
前記複数の被接合面同士が前記周方向に連続し、
前記複数の接合面同士が前記周方向に連続する請求項1に記載の二部材同士の接合構造。
【請求項3】
前記第1部材の外周面が、
前記軸線に対して直交する断面形状が円弧形をなす円弧面と、
前記円弧面の周方向の両端の間に位置する前記複数の被接合面と、
を備える請求項2に記載の二部材同士の接合構造。
【請求項4】
最も前記周方向の一方側に位置する前記接合面が第1接合面であり、
最も前記周方向の他方側に位置する前記接合面が第2接合面であり、
前記第1接合面と、前記第1接合面と対向する前記被接合面とが、連続した線状の溶接部である第1溶接部によって接合され、
前記第2接合面と、前記第2接合面と対向する前記被接合面とが、連続した線状の溶接部である第2溶接部によって接合され、
前記第1溶接部の両端部は、前記第1接合面の前記一方側の端部までの前記周方向の距離より、前記第1接合面の前記他方側の端部までの前記周方向の距離が短く、
前記第2溶接部の両端部は、前記第2接合面の前記他方側の端部までの前記周方向の距離より、前記第2接合面の前記一方側の端部までの前記周方向の距離が短い請求項2又は請求項3に記載の二部材同士の接合構造。
【請求項5】
前記第1部材が、シートバックフレームの上部を構成するアッパフレームであり、
前記第2部材が、前記シートバックフレームの側部を構成するサイドフレームである請求項1又は請求項2に記載の二部材同士の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二部材同士の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、軸線に沿って延びる円筒状の長尺部材である第1部材と、第1部材の外周面に被せられる断面円弧形状の第2部材と、を接合するための接合構造が開示されている。第1部材及び第2部材は金属製である。第1部材及び第2部材の断面形状は円弧形状(円形状)であるため、第2部材の内周面が第1部材の外周面に沿う形状になるように、第2部材をプレス成形するのは容易でない。
【0003】
そのため下記特許文献1では、第1部材と第2部材を接合する際に、第1治具によって支持された第1部材の外周面に、第2治具によって支持された第2部材の内周面を被せた状態で、第1治具と第2治具を接近させる。これにより、第2部材の内周面が第1部材の外周面に沿う形状になるように、第2部材が変形させられる。この状態で第2部材の外周側から第2部材の外周面にレーザを照射して、第1部材と第2部材をレーザ溶接する。
【0004】
このように2つの治具を用いて第2部材の内周面を第1部材の外周面に沿う形状にすると、第2部材の内周面と第1部材の外周面との隙間が小さくなる。そのため第1部材及び第2部材に施されたレーザ溶接が適切な態様の溶接になり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-202710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のように第2部材が変形させられ状態で第1部材と第2部材が溶接されると、第2部材に残留応力が発生し易い。そのため第2部材に、残留応力に起因する遅れ割れが発生し易い。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、第1部材とプレス成形品である第2部材を適切な態様で溶接し易い二部材同士の接合構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様の二部材同士の接合構造は、軸線に沿って延びる長尺部材であり、外周面が前記軸線を中心とする周方向に並ぶ複数の平面状の被接合面を含む金属製の第1部材と、内周面が複数の平面状の接合面を含み、前記各被接合面に対して前記各接合面をそれぞれ対向させた状態で前記第1部材の外周面に被せられ、前記各接合面が対応する前記被接合面にそれぞれ溶接される金属製のプレス成形品である第2部材と、を備える。
【0009】
第1の態様の二部材同士の接合構造では、金属製の第1部材の外周面が、第1部材の軸線を中心とする周方向に並ぶ複数の平面状の被接合面を含む。金属製の第2部材の内周面が複数の平面状の接合面を含む。さらに各被接合面に対して各接合面をそれぞれ対向させた状態で、第1部材の外周面に第2部材が被せられ、各接合面が対応する被接合面にそれぞれ溶接される。
【0010】
第1部材の被接合面及び第2部材の接合面は平面状である。そのため、第1部材の外周面に第2部材を被せたときに、各接合面と対応する被接合面との隙間が小さくなるように、第2部材をプレス成形するのは、第1部材及び第2部材の断面形状が円弧形状の場合と比べて容易である。そのため第1の態様の二部材同士の接合構造は、第1部材とプレス成形品である第2部材を適切な態様で溶接し易い。
【0011】
第2の態様の二部材同士の接合構造は、第1の態様において、前記複数の被接合面同士が前記周方向に連続し、前記複数の接合面同士が前記周方向に連続する。
【0012】
第2の態様の二部材同士の接合構造では、複数の被接合面同士が周方向に連続し、且つ、複数の接合面同士が周方向に連続する。そのため、隣り合う被接合面の間に円弧面が設けられたり、隣り合う接合面の間に円弧面が設けられたりする場合と比べて、各接合面と対応する被接合面との隙間を小さくし易い。そのため第2の態様の二部材同士の接合構造は、第1部材とプレス成形品である第2部材をより適切な態様で溶接し易い。
【0013】
第3の態様の二部材同士の接合構造は、第1の態様又は第2の態様において、前記第1部材の外周面が、前記軸線に対して直交する断面形状が円弧形をなす円弧面と、前記円弧面の周方向の両端の間に位置する前記複数の被接合面と、を備える。
【0014】
第3の態様の二部材同士の接合構造では、外周面の一部が断面形状が円弧形をなす円弧面によって構成された第1部材とプレス成形品である第2部材を、適切な態様で溶接し易い。
【0015】
第4の態様の二部材同士の接合構造は、第1~第3の態様の何れかにおいて、最も前記周方向の一方側に位置する前記接合面が第1接合面であり、最も前記周方向の他方側に位置する前記接合面が第2接合面であり、前記第1接合面と、前記第1接合面と対向する前記被接合面とが、連続した線状の溶接部である第1溶接部によって接合され、前記第2接合面と、前記第2接合面と対向する前記被接合面とが、連続した線状の溶接部である第2溶接部によって接合され、前記第1溶接部の両端部は、前記第1接合面の前記一方側の端部までの前記周方向の距離より、前記第1接合面の前記他方側の端部までの前記周方向の距離が短く、前記第2溶接部の両端部は、前記第2接合面の前記他方側の端部までの前記周方向の距離より、前記第2接合面の前記一方側の端部までの前記周方向の距離が短い。
【0016】
第4の態様の二部材同士の接合構造では、第1接合面の一方側の端部及び第2接合面の他方側の端部が、溶接部の端部の応力に起因して割れたり、第1接合面の一方側の端部及び第2接合面の他方側の端部が溶接部の端部の熱に起因して溶けたりするおそれが小さい。
【0017】
第5の態様の二部材同士の接合構造は、第1~第4の態様の何れかにおいて、前記第1部材が、シートバックフレームの上部を構成するアッパフレームであり、前記第2部材が、前記シートバックフレームの側部を構成するサイドフレームである。
【0018】
第5の態様の二部材同士の接合構造では、シートバックフレームの上部を構成するアッパフレームと、シートバックフレームの側部を構成するサイドフレームとを、適切な態様で溶接し易い。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明に係る二部材同士の接合構造は、第1部材とプレス成形品である第2部材を適切な態様で溶接し易い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るシートフレームのシートバックフレームのアッパフレーム及びサイドフレームの分解斜視図である。
図2】アッパフレームのサイド部の下部とサイドフレームの上部が接続されたときの斜視図である。
図3図2の3-3線に沿った断面図である。
図4】アッパフレームのサイド部の下部とサイドフレームの上部が接続されたときの側面図である。
図5】変形例の図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1図4を参照して本発明の実施形態に係るシートフレーム10について説明する。なお、各図に示される矢印FR、LH及びUPは、シートフレーム10の前方、左方及び上方をそれぞれ示している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、シートフレーム10を基準とする方向を示すものとする。
【0022】
図1に示されるように、本発明の実施形態に係るシートフレーム10は、車両用シートのシートバックの骨格を構成するシートバックフレーム12と、車両用シートのシートクッションの骨格を構成するシートクッションフレーム(図示省略)とを備えている。シートバックフレーム12は、シートバックフレーム12の上部を構成するアッパフレーム14と、シートバックフレーム12の左右の側部を構成する左右のサイドフレーム(第2部材)30(右側のサイドフレーム30は図示省略)とを備えている。アッパフレーム14と左右のサイドフレーム30との間に、本発明の実施形態に係る二部材同士の接合構造が適用されている。
【0023】
アッパフレーム14は、金属製のパイプ材を曲げ加工することにより製造された部材であり、その正面形状は逆U字状である。アッパフレーム14の左右のサイド部16(第1部材)(右側のサイド部16は図示省略)は上下方向と略平行な長尺状部である。即ち、サイド部16の軸線16X(図1図2参照)は上下方向と略平行である。サイド部16は、上部16Aと、上部16A以外の部位である下部16Bと、によって構成される。
【0024】
サイド部16の軸線16Xに直交する断面形状は上部16Aと下部16Bとで異なる。上部16Aの軸線16Xに直交する断面形状は円形である。即ち、上部16Aの外周面は円筒面によって構成されている。一方、図3に示されたように、下部16Bの軸線16Xに直交する断面の形状は円形ではない。即ち、下部16Bの外周面は、一つの円弧面18と、3つの互いに連続する被接合面20、22、24とによって構成されている。被接合面20、22、24は、同じ形状であり且つ平面である。より詳細には、被接合面20、22、24は長方形である。
【0025】
左右のサイドフレーム30は、金属製の板材をプレス成形することにより製造された、上下方向に延びる長尺板状部材である。本実施形態のサイドフレーム30を構成する材料は高張力鋼である。サイドフレーム30は、上部30Aと、上部30A以外の部位である本体部30Bと、によって構成される。図2及び図3に示されたように、サイドフレーム30の長手方向(上下方向)に対して直交する断面の形状は上部30Aと本体部30Bとで異なる。
【0026】
左右のサイドフレーム30の上部30Aの断面形状は図3に示されたように、下部16Bの被接合面20、22、24に対応する形状である。即ち、上部30Aの内周面は、接合面(第1接合面)32、接合面34及び接合面(第2接合面)36によって構成されている。接合面32、34、36は、同じ形状であり且つ平面である。より詳細には、接合面32は被接合面20と略同じ形状の長方形であり、接合面34は被接合面22と略同じ形状の長方形であり、接合面36は被接合面24と略同じ形状の長方形である。
【0027】
アッパフレーム14の左右のサイド部16と左右のサイドフレーム30をそれぞれ接合する際は、まず図3に示されたように第一治具60によって支持された各サイド部16の下部16Bを、第二治具65によって支持された各サイドフレーム30の上部30Aの内部空間に挿入する。さらに第一治具60と第二治具65を互いに接近させる。これにより、下部16Bの外周面との間の隙間を小さくするように上部30Aが変形させられながら、各サイドフレーム30の上部30Aが対応する下部16Bの外周面に被せられる。このとき各上部30Aの接合面32が下部16Bの被接合面20と対向し、接合面34が被接合面22と対向し、接合面36が被接合面24と対向する。
【0028】
続いて、図2及び図3に示されたように、上部30Aの外周側に配設されたレーザ溶接機(図示省略)から出力されたレーザを、第二治具65に設けられた6つの貫通孔66(図3に3つのみ図示)を利用して上部30Aの外周面の接合面32、34、36に対応する各部位に照射する。これにより接合面32、34、36及び被接合面20、22、24に、溶接部(第1溶接部)46、溶接部48及び溶接部(第2溶接部)50がそれぞれ2つずつ形成される。即ち、2つの溶接部46によって接合面32と被接合面20が接合され、2つの溶接部48によって接合面34と被接合面22が接合され、2つの溶接部50によって接合面36と被接合面24が接合される。各溶接部46、48、50はいずれも、連続した線状形状であり、略C字形状である。溶接作業が完了したら、第一治具60を下部16Bから分離させ、第二治具65を上部30Aから分離させる。
【0029】
ここで図4に示されたように、溶接部46、48、50の一対の端部をそれぞれ、端部46ED、48ED、端部50EDと定義する。ここで軸線16Xを中心とする周方向を定義する。最も周方向の一方側に位置する接合面である接合面32の周方向の一方側の端部を側縁部(一方側の端部)32S1と定義し、接合面32の周方向の他方側の端部を側縁部(他方側の端部)32S2と定義する。さらに最も周方向の他方側に位置する接合面である接合面36の周方向の一方側の端部を側縁部(一方側の端部)36S1と定義し、接合面36の周方向の他方側の端部を側縁部(他方側の端部)36S2と定義する。この場合、図4に示されたように、溶接部46の各端部46EDから側縁部32S1までの距離32L1より、各端部46EDから側縁部32S2までの距離32L2が短い。さらに溶接部50の各端部50EDから側縁部36S2までの距離32L2より、各端部50EDから側縁部36S1までの距離36L1が短い。
【0030】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0031】
以上説明した本実施形態のサイドフレーム30は高張力鋼板をプレス成形することにより製造される。一般的に高張力鋼板のプレス成形品はスプリングバック等の影響により、設計形状となるように製造するのが容易ではない。しかし上部30Aの内周面は平面からなる接合面32、34、36によって構成されている。そのため上部30Aは、その断面形状が円弧状の場合と比べて、設計形状となるようにプレス成形するのが容易である。換言すると、下部16Bの外周面に上部30Aを被せたときに、接合面32、34、36と対応する被接合面20、22、24との隙間が小さくなるようにサイドフレーム30をプレス成形することは、上部30Aの断面形状が円弧形状の場合と比べて容易である。そのため、各サイド部16の下部16Bを各サイドフレーム30の上部30Aの内部空間に挿入したときに、接合面32と被接合面20との間に形成される隙間、接合面34と被接合面22との間に形成される隙間、及び接合面36と被接合面24との間に形成される隙間は、いずれも極めて小さくなる。さらに接合面32と被接合面20との間に形成される隙間、接合面34と被接合面22との間に形成される隙間、及び接合面36と被接合面24との間に形成される隙間を小さくするために、上部30Aと下部16Bを接近させるための第一治具60及び第二治具65が利用される。しかし、このときのサイドフレーム30(上部30A)の変形量は、上部30A及び下部16Bが円筒形状の場合と比べて小さいため、サイドフレーム30(上部30A)に残留応力が発生し難い。そのためサイドフレーム30(上部30A)に、残留応力に起因する遅れ割れが発生し難い。そのため本実施形態の二部材同士の接合構造は、サイド部16の下部16Bとプレス成形品であるサイドフレーム30の上部30Aとを適切な態様で溶接し易い。そのため、上部30Aと下部16Bは、溶接部46、48、50によって強固に固定される。
【0032】
さらに下部16Bの被接合面20、22、24が周方向に連続し、且つ、上部30Aの接合面32、34、36が周方向に連続する。換言すると、上部30Aは、接合面32と接合面34の間に位置する断面円弧状部、及び、接合面34と接合面36の間に位置する断面円弧状部を具備しない。そのため、設計形状となるようにプレス成形するのが難しい断面円弧状部が、隣り合う接合面32、34、36の間に設けられる場合と比べて、被接合面20、22、24と接合面32、34、36との隙間を小さくし易い。そのためサイド部16の下部16Bとサイドフレーム30の上部30Aを適切な態様で溶接し易い。
【0033】
また、通常、溶接部46、48、50の端部において応力集中が発生し易く且つ端部が他の部位と比べて高温になり易い。そのため仮に溶接部46の各端部46EDから接合面32の側縁部32S2までの距離32L2より各端部46EDから側縁部32S1までの距離32L1が短い場合は、側縁部32S1及びその周辺部に割れが発生し易く、且つ、側縁部32S1及びその周辺部が溶けやすい。これに対して本実施形態では上述のように距離32L1より距離32L2が短い。そのため側縁部32S1及びその周辺部に割れが発生したり、側縁部32S1及びその周辺部が溶けたりし難い。同様に、溶接部50の各端部50EDから側縁部36S2までの距離32L2より、各端部50EDから側縁部36S1までの距離36L1が短い。そのため側縁部36S2及びその周辺部に割れが発生したり、側縁部36S2及びその周辺部が溶けたりし難い。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0035】
実施形態では接合面32、34、36と被接合面20、22、24の接合方法は、レーザ溶接とされているが、これに限るものではない。例えば、接合面32、34、36と被接合面20、22、24とが、アーク溶接又はスポット溶接により固定されてもよい。
【0036】
図5に示されたように、サイド部16に設けられた被接合面20、22、24の間に断面円弧状部25が設けられ、サイドフレーム30に設けられた接合面32、34、36の間に断面円弧状部37が設けられてもよい。なお図5では、サイド部16の下部16Bを支持する治具、及び、サイドフレーム30の上部30Aを支持する治具の図示が省略されている。
【0037】
実施形態及び図5の変形例におけるサイド部16に設けられた被接合面の数、及び、サイドフレームに設けられた接合面の数は3個には限定されず、3個以外の複数であってもよい。
【0038】
サイドフレーム30を構成する材料が、高張力鋼とは異なる金属であってもよい。
【0039】
シートバックフレームのアッパフレーム及びサイドフレームとは異なる2部材に本発明が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
12 シートバックフレーム
14 アッパフレーム
16 サイド部(第1部材)
16X 軸線
18 円弧面
20 22 24 被接合面
30 サイドフレーム(第2部材)
32 接合面(第1接合面)
32S1 側縁部(一方側の端部)
32S2 側縁部(他方側の端部)
34 接合面
36 接合面(第2接合面)
36S1 側縁部(一方側の端部)
36S2 側縁部(他方側の端部)
46 溶接部(第1溶接部)
46ED 端部
50 溶接部(第2溶接部)
50ED 端部
図1
図2
図3
図4
図5