IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧

特開2024-158495スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法
<>
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図1
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図2
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図3
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図4
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図5
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図6
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図7
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図8
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図9
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図10
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図11
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図12
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図13
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図14
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図15
  • 特開-スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158495
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 19/00 20060101AFI20241031BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20241031BHJP
   B66F 9/07 20060101ALI20241031BHJP
   B66C 5/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66C19/00 A
B65G1/04 527
B66F9/07
B66F9/07 Z
B66C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073733
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】藤原 淳史
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】今井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】生駒 清吾
(72)【発明者】
【氏名】林 徹也
【テーマコード(参考)】
3F022
3F202
3F333
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ07
3F022MM11
3F022MM51
3F202AA01
3F202BA01
3F333AA04
(57)【要約】
【課題】装置の高さを高くすることなく、スタッカークレーンを容易に建て起こすことが可能なスタッカークレーンの建て起こし装置を提供する。
【解決手段】建て起こし装置(1)は、一対の第1支柱(2)と、第1巻上げ部(3)と、各第1巻上げ部(3)に両端が連結された吊上げ部(6)と、を備えている。建て起こし装置(1)は、吊上げ部(6)を各第1巻上げ部(3)で吊り上げることにより、スタッカークレーン(100)が回動して、スタッカークレーン(100)が建て起こされるように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置であって、
床面に対して垂直方向に延設された一対の第1支柱と、
前記一対の第1支柱の上部にそれぞれ設けられた第1巻上げ部と、
横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第1巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、
を備え、
前記吊上げ部を前記各第1巻上げ部で吊り上げることにより、前記スタッカークレーンが回動して、前記スタッカークレーンが建て起こされるように構成されていることを特徴とするスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項2】
前記一対の第1支柱を連結する連結部を更に備え、
前記一対の第1支柱は、前記床面に対して垂直方向に延びる一対の本体部と、前記一対の本体部のそれぞれから、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの天面側に向かって水平に延設された延設部とを有し、
各前記第1巻上げ部は、前記延設部の前端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項3】
前記延設部の後端部に配置された第2巻上げ部を更に備え、
各前記第1巻上げ部は、前記吊上げ部を介して前記マストの長手方向の中央部付近を吊り上げ、
各前記第2巻上げ部は、前記スタッカークレーンの底部を引っ張ることを特徴とする請求項2に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項4】
前記一対の第1支柱を連結する第1連結部及び第2連結部を更に備え、
前記第1連結部は、前記一対の第1支柱の上部同士を連結し、
前記第2連結部は、前記一対の第1支柱に対して着脱可能であり、前記一対の第1支柱の延伸方向の中央部同士を連結することを特徴とする請求項1に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項5】
前記一対の第1支柱に対して、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの底面側に配置された補強部と、
前記補強部に設けられた一対の第2巻上げ部と、
を更に備え、
各前記第2巻上げ部は、前記スタッカークレーンの底部を引っ張ることを特徴とする請求項1に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項6】
台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置であって、
床面に対して垂直方向に延設された第1支柱と、
前記第1支柱に対向して配置された第2支柱と、
前記第1支柱及び前記第2支柱のそれぞれの上部に架設された一対のレールと、
前記一対のレールのそれぞれに沿って移動可能に配置された一対のトロリと、
前記一対のトロリのそれぞれに接続され、前記一対のレールに沿って移動可能に配置された一対の第3巻上げ部と、
横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第3巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、
を備え、
前記吊上げ部を前記各第3巻上げ部で吊り上げることにより、前記スタッカークレーンが回動して、前記スタッカークレーンが建て起こされるように構成されていることを特徴とするスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項7】
前記建て起こし装置の全高寸法は、前記スタッカークレーンの全高寸法よりも短いことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項8】
各前記第1巻上げ部を吊り上げる制御部を更に備え、
前記制御部は、
前記各第1巻上げ部を吊り上げることにより、前記吊上げ部を介して前記スタッカークレーンを一定の速度で建て起こすことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスタッカークレーンの建て起こし装置。
【請求項9】
台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置を用いたスタッカークレーンの建て起こし方法であって、
前記建て起こし装置は、
床面に対して垂直方向に延設された一対の第1支柱と、
前記一対の第1支柱の上部にそれぞれ設けられた第1巻上げ部と、
横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第1巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、
を備え、
前記横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの下側に、前記吊上げ部を配置する配置工程と、
前記吊上げ部を各前記第1巻上げ部により吊り上げる吊上げ工程と、
前記各第1巻上げ部により前記スタッカークレーンの回動を調整することで、前記スタッカークレーンの姿勢を垂直な状態に調整する調整工程と、
を含むことを特徴とするスタッカークレーンの建て起こし方法。
【請求項10】
台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置を用いたスタッカークレーンの建て起こし方法であって、
前記建て起こし装置は、
床面に対して垂直方向に延設された第1支柱と、
前記第1支柱に対向して配置された第2支柱と、
前記第1支柱及び前記第2支柱のそれぞれの上部に架設された一対のレールと、
前記一対のレールのそれぞれに沿って移動可能に配置された一対のトロリと、
前記一対のトロリのそれぞれに接続され、前記一対のレールに沿って移動可能に配置された一対の第3巻上げ部と、
横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第3巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、
を備え、
前記横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの下側に、前記吊上げ部を配置する配置工程と、
前記吊上げ部を各前記第3巻上げ部により吊り上げる吊上げ工程と、
前記各第3巻上げ部により前記スタッカークレーンの回動を調整することで、前記スタッカークレーンの姿勢を垂直な状態に調整する調整工程と、
を含むことを特徴とするスタッカークレーンの建て起こし方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柱等の構造物を建て起こすための様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ラック鉄骨の頂部にワイヤロープの一端を結着させ、既に建てられた鉄骨の頂部及び下部に支持された各滑車にワイヤロープを引掛けて、ウインチによりワイヤロープを引っ張ることで、ラック鉄骨を起立させる工法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-18502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のラック鉄骨の建方工法では、ラック鉄骨の頂部以上の高さに配置された滑車にワイヤロープを引掛ける必要があり、ラック鉄骨を起立させるための装置の高さが高くなるという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、装置の高さを高くすることなく、スタッカークレーンを容易に建て起こすことが可能なスタッカークレーンの建て起こし装置、及びスタッカークレーンの建て起こし方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るスタッカークレーンの建て起こし装置は、台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置であって、床面に対して垂直方向に延設された一対の第1支柱と、前記一対の第1支柱の上部にそれぞれ設けられた第1巻上げ部と、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第1巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、を備えている。前記建て起こし装置は、前記吊上げ部を前記各第1巻上げ部で吊り上げることにより、前記スタッカークレーンが回動して、前記スタッカークレーンが建て起こされるように構成されている。
【0007】
本発明の一態様に係るスタッカークレーンの建て起こし装置は、台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置であって、床面に対して垂直方向に延設された第1支柱と、前記第1支柱に対向して配置された第2支柱と、前記第1支柱及び前記第2支柱のそれぞれの上部に架設された一対のレールと、前記一対のレールのそれぞれに沿って移動可能に配置された一対のトロリと、前記一対のトロリのそれぞれに接続され、前記一対のレールに沿って移動可能に配置された一対の第3巻上げ部と、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第3巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、を備えている。前記建て起こし装置は、前記吊上げ部を前記各第3巻上げ部で吊り上げることにより、前記スタッカークレーンが回動して、前記スタッカークレーンが建て起こされるように構成されている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るスタッカークレーンの建て起こし方法は、台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置を用いたスタッカークレーンの建て起こし方法であって、前記建て起こし装置は、床面に対して垂直方向に延設された一対の第1支柱と、前記一対の第1支柱の上部にそれぞれ設けられた第1巻上げ部と、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第1巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、を備えている。
【0009】
前記建て起こし方法は、前記横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの下側に、前記吊上げ部を配置する配置工程と、前記吊上げ部を各前記第1巻上げ部により吊り上げる吊上げ工程と、前記各第1巻上げ部により前記スタッカークレーンの回動を調整することで、前記スタッカークレーンの姿勢を垂直な状態に調整する調整工程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るスタッカークレーンの建て起こし方法は、台車部と、前記台車部から垂直方向に延びるマストと、前記マストに沿って昇降する昇降体と、を有するスタッカークレーンの建て起こし装置を用いたスタッカークレーンの建て起こし方法であって、前記建て起こし装置は、床面に対して垂直方向に延設された第1支柱と、前記第1支柱に対向して配置された第2支柱と、前記第1支柱及び前記第2支柱のそれぞれの上部に架設された一対のレールと、前記一対のレールのそれぞれに沿って移動可能に配置された一対のトロリと、前記一対のトロリのそれぞれに接続され、前記一対のレールに沿って移動可能に配置された一対の第3巻上げ部と、横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの一側面の下に配置された横長の部材であって、各前記第3巻上げ部に両端が連結された吊上げ部と、を備えている。
【0011】
前記建て起こし方法は、前記横倒しにされた状態の前記スタッカークレーンの下側に、前記吊上げ部を配置する配置工程と、前記吊上げ部を各前記第3巻上げ部により吊り上げる吊上げ工程と、前記各第3巻上げ部により前記スタッカークレーンの回動を調整することで、前記スタッカークレーンの姿勢を垂直な状態に調整する調整工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、装置の高さを高くすることなく、容易にスタッカークレーンを建て起こすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態1に係る建て起こし装置の側面図である。
図2】実施形態1に係る建て起こし装置の正面図である。
図3】実施形態1に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの開始の様子を示す側面図である。
図4】実施形態1に係るスタッカークレーンの斜視図である。
図5】実施形態1に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こし方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態1に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの途中の様子を示す側面図である。
図7】実施形態1に係る建て起こし装置によりスタッカークレーンが建て起こされた状態を示す側面図である。
図8】実施形態2に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの開始の様子を示す概略側面図である。
図9】実施形態2に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの開始の様子を示す概略正面図である。
図10】実施形態2に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの途中の様子を示す概略側面図である。
図11】実施形態2に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの途中の様子を示す概略正面図である。
図12】実施形態2に係る建て起こし装置によりスタッカークレーンが建て起こされた状態を示す概略側面図である。
図13】実施形態3に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの開始の様子を示す概略側面図である。
図14】実施形態3に係る建て起こし装置によるスタッカークレーンの建て起こしの開始の様子を示す概略正面図である。
図15】実施形態3に係る建て起こし装置によりスタッカークレーンが建て起こされる様子を示す概略側面図である。
図16】実施形態4に係る建て起こし装置によりスタッカークレーンが建て起こされる様子を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1に係る建て起こし装置1について、図1図7を参照して説明する。
【0015】
[建て起こし装置]
図1は、実施形態1の建て起こし装置1の側面図である。図2は、実施形態1の建て起こし装置1の正面図である。なお、説明の便宜上、図1及び図2の矢印に示されるように、建て起こし装置1の上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。
【0016】
図1及び図2に示すように、建て起こし装置1は、マスト20が横倒しにされた状態のスタッカークレーン100を建て起こすための装置である。建て起こし装置1は、一対の第1支柱2と、第1巻上げ部の一例である第1チェーンブロック3と、第2巻上げ部の一例である第2チェーンブロック4と、連結部5と、吊上げ部6と、支持部7とを備えている。建て起こし装置1の全高寸法L1は、スタッカークレーン100の全高寸法L2(図4参照)よりも短くなっている。
【0017】
一対の第1支柱2は、例えば、断面が矩形状の金属製の角材からなる。各第1支柱2は、床面200に対して垂直方向、即ち上下方向に延設されている。各第1支柱2は、本体部21と、延設部22と、ベースフレーム23と、一対の第1補強部材24と、第2補強部材25と、複数の車輪26とをそれぞれ有している。
【0018】
本体部21は、ベースフレーム23から、床面200に対して垂直方向、即ち上下方向に延びている。延設部22は、本体部21から、前側に向かって水平に延設されている。なお、本体部21の前側は、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の天面側に相当する(図3参照)。
【0019】
図1に示すように、ベースフレーム23は、本体部21の下部に前後方向に延びて設けられている。本体部21とベースフレーム23との間には、一対の第1補強部材24が配置されている。一対の第1補強部材24は、本体部21を補強するための部材である。
【0020】
また、本体部21と延設部22の前端部との間には、第2補強部材25が配置されている。第2補強部材25は、延設部22を補強するための部材である。また、ベースフレーム23の下部には、複数の車輪26が設けられている。
【0021】
一対の第1支柱2の上部には、それぞれ第1チェーンブロック3が設けられている。具体的には、各延設部22の前端部に、それぞれ第1チェーンブロック3が配置されている。各第1チェーンブロック3は、それぞれチェーン31を有している。各チェーン31の先端部には、それぞれフック32が設けられている。各フック32は、吊上げ部6の両端部に設けられたシャックル61に連結される(図3参照)。
【0022】
ここで、図3は、建て起こし装置1によるスタッカークレーン100の建て起こしの開始の様子を示す側面図である。図3に示すように、各第1チェーンブロック3の各チェーン31の先端部には、吊上げ部6が取り付けられる。各第1チェーンブロック3の各チェーン31は、吊上げ部6を介してマスト20の長手方向、即ち前後方向の中央部付近を吊り上げる。なお、吊上げ部6の配置箇所は、適宜変更可能であるとする。
【0023】
各延設部22の後端部には、それぞれ第2チェーンブロック4が配置されている。各第2チェーンブロック4は、それぞれチェーン41を有している。各2チェーンブロック4の各チェーン41は、スタッカークレーン100の底部を引っ張る。
【0024】
図2に示すように、連結部5は、一対の第1支柱2を連結するための部材である。連結部5は、第1連結部51と、第2連結部52とを有している。第1連結部51は、各本体部21の上端部同士を連結している。第2連結部52は、各本体部21の中央部同士を連結している。第1連結部51及び第2連結部52は、一対の支柱2を補強する機能を果たす。なお、建て起こし装置1によるスタッカークレーン100の建て起こしの際には、第2連結部52を一対の支柱2から取り外すものとする。
【0025】
吊上げ部6は、左右方向に延びた横長の板状部材である。吊上げ部6は、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100のマスト20の一側面の下側に配置される。具体的には、吊上げ部6は、マスト20の長手方向の中央部付近の下側に配置される。そして、吊上げ部6の両端が、各第1チェーンブロック3の各チェーン31に連結される。なお、吊上げ部6は、金属製のパイプ等であってもよい。
【0026】
スタッカークレーン100は、支持部7により支持された状態で、建て起こし装置1が配置された場所まで搬送される。支持部7は、マスト20が横倒しにされた状態におけるスタッカークレーン100の下側になった一側面と底面とにおいて、スタッカークレーン100を支持する。支持部7は、スタッカークレーン100が建て起こされる際に、床面200と接触する複数の車輪Wを有している。
【0027】
建て起こし装置1は、各第1チェーンブロック3で吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7がスタッカークレーン100と共に回動して、スタッカークレーン100が建て起こされるように構成されている。
【0028】
[スタッカークレーン]
次に、建て起こし装置1により建て起こされるスタッカークレーン100について、図4を参照して説明する。図4は、実施形態1のスタッカークレーン100の斜視図である。なお、説明の便宜上、図4の矢印に示されるように、スタッカークレーン100の上下方向、及び左右方向を定義する。
【0029】
図4に示すように、スタッカークレーン100は、4本のマスト20と、上部フレーム30と、昇降体40と、台車部50と、クレーン制御部(図示省略)と、昇降用モータM1と、走行用モータM2とを備えている。
【0030】
4本のマスト20は、台車部50から垂直方向、即ち上方向に延びて設けられている。各マスト20は、上下に長尺な中空部材により形成されている。上部フレーム30は、各マスト20の上端部同士を連結する。昇降体40は、各マスト20に支持され、マスト20に沿って移動する。
【0031】
昇降体40は、物品を把持し得るように構成されている。昇降体40は、昇降用モータM1の駆動力により、チェーンCが巻き取り、又は繰り出しされることで、マスト20に沿って昇降する。なお、チェーンCの代わりに、ベルトを用いてもよい。
【0032】
台車部50は、走行レールRに沿って走行する。台車部50は、走行レールR上を転動する走行輪W1,W2を支持する。走行輪W1は、台車部50の左端部に設けられ、走行用モータM2により駆動される。走行輪W2は、台車部50の右端部に遊転自在に設けられている。
【0033】
クレーン制御部は、昇降用モータM1を駆動させることにより、昇降体40の昇降動作を制御する。また、クレーン制御部は、走行用モータM2を駆動させることにより、台車部50の走行動作を制御する。
【0034】
[建て起こし方法]
次に、建て起こし装置1によるスタッカークレーン100の建て起こし方法について、図5図7を参照して説明する。図5は、建て起こし装置1によるスタッカークレーン100の建て起こし方法の流れの一例を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示すように、建て起こし装置1によるスタッカークレーン100の建て起こし方法では、配置工程(S1)と、吊上げ工程(S2)と、調整工程(S3)とが順に行われる。
【0036】
配置工程S1では、まず、作業員により、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100が、支持部7に載置された状態で、建て起こし装置1の設置された自動倉庫等へ搬送される。そして、建て起こし装置1の一対の支柱2の各本体部21の間に、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100を配置する。具体的には、各第1チェーンブロック3の真下に、マスト20の長手方向の中央部付近が位置するようにする。
【0037】
続いて、作業員により、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の下側に、吊上げ部6が配置される。具体的には、吊上げ部6は、マスト20の長手方向の中央部付近に設けられた複数のアイボルト(図示省略)に挿通される。そして、吊上げ部6は、マスト20の長手方向の中央部付近の下側に配置される。
【0038】
次に、吊上げ工程S2では、図3に示すように、各第1チェーンブロック3の各チェーン31のフック32を、吊上げ部6の両端に設けられたシャックル61に連結する。そして、各第1チェーンブロック3で、吊上げ部6を吊り上げていくことにより、図6に示すように、支持部7の前方底部に設けられた車輪Wを中心として、スタッカークレーン100を図6の時計方向に徐々に回動させることで、スタッカークレーン100を建て起こしていく。なお、チェーン31の吊り上げは、作業員により手動で行うものとする。また、第2連結部52を一対の支柱2から取り外した状態で、吊上げ部6の吊り上げを行うものとする。
【0039】
次に、調整工程S3では、建て起こし装置1は、各第1チェーンブロック3で吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7の前方底部を中心として、スタッカークレーン100を図6の時計方向に徐々に回動させながら、スタッカークレーン100の回動を調整する。そして、図7に示すように、スタッカークレーン100の姿勢を垂直な状態に調整することで、スタッカークレーン100の建て起こしを完了させる。
【0040】
このように建て起こし装置1によりスタッカークレーン100を垂直な状態にする際に、支持部7に設けられた車輪Wが床面200と接触して、車輪Wが床面200上を転がるため、スタッカークレーン100を円滑に建て起こすことができる。
【0041】
[実施形態1の効果]
以上説明した実施形態1の建て起こし装置1では、一対の第1支柱2の上部に設けられた各第1チェーンブロック3で、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の下側に配置された吊上げ部6を吊り上げることにより、スタッカークレーン100が回動して、スタッカークレーン100を容易に建て起こすことができる。
【0042】
特に、建て起こし装置1の全高寸法L1が、スタッカークレーン100の全高寸法L2よりも短くなっているので、建て起こし装置1の高さを高くすることなく、スタッカークレーン100を建て起こすことができ、建て起こし装置1の小型化を図ることができる。
【0043】
また、従来のように、スタッカークレーン100の頂部を吊り上げて建て起こしを行う場合、作業者が高所作業車などを利用して天井を開けて、天井の裏に設けられた鉄骨からチェーンブロック等によりスタッカークレーン100の頂部を吊り上げる必要があった。これに対して、建て起こし装置1によれば、建て起こし装置1の全高寸法L1がスタッカークレーン100の全高寸法L2よりも短いので、天井を開けて高所作業を行う必要がなく、地上での作業だけでスタッカークレーン100を建て起こすことができる。また、各第1チェーンブロック3の各チェーン31の巻き取り量を少なくでき、吊上げ工程S2の短縮化を図ることができる。
【0044】
また、一対の第1支柱2が、第1連結部51及び第2連結部52により連結されているので、建て起こし装置1の耐久性を向上できる。また、第1チェーンブロック3が延設部22の前端部に配置されているので、スタッカークレーン100を第1チェーンブロック3で建て起こす際に、第1連結部51がスタッカークレーン100に干渉しないようにできる。
【0045】
また、各第1チェーンブロック3で吊上げ部6を吊り上げることで、スタッカークレーン100を建て起こす際、各第2チェーンブロック4でスタッカークレーン100の底部を引っ張ることにより、スタッカークレーン100の急激な回動を抑制でき、スタッカークレーン100を緩やかに建て起こすことができる。
【0046】
〔実施形態2〕
次に、本発明の実施形態2の建て起こし装置1Aについて、図8図12を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
[建て起こし装置]
図8は、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしの開始の様子を示す概略側面図である。図9は、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしの開始の様子を示す概略正面図である。なお、説明の便宜上、図8及び図9の矢印に示されるように、建て起こし装置1Aの上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。
【0048】
図8及び図9に示すように、建て起こし装置1Aは、一対の第1支柱2Aと、第1巻上げ部の一例である第1チェーンブロック3Aと、吊上げ部6と、支持部7と、補強部8と、第2巻上げ部の一例である第2チェーンブロック4Aと、第1連結部51Aと、第2連結部52A(図11参照)とを備えている。建て起こし装置1Aの全高寸法L1Aは、スタッカークレーン100の全高寸法L2(図4参照)よりも短くなっている。
【0049】
各第1支柱2Aは、前部支柱21Aと、後部支柱22Aと、ベースフレーム23Aと、接続部24Aとをそれぞれ有している。各支柱2Aは、床面200に対して垂直方向、即ち上下方向に延設されている。一対の支柱2Aは、図9に示すように、スタッカークレーン100の両側に、左右方向に間隔をあけて配置されている。
【0050】
ベースフレーム23Aは、床面200に対して凹んだ凹部201に載置されたベースプレートPの上面に配置されている。凹部201の深さ、即ち上下方向の長さは、例えば600mm程度である。ベースプレートPの厚さは、例えば20mm程度である。なお、凹部201はなくてもよく、この場合、床面200にベースプレートPを配置すればよい。
【0051】
前部支柱21A及び後部支柱22Aは、図8に示すように、ベースフレーム23Aから上方に垂直に延びている。前部支柱21A及び後部支柱22Aは、前後方向に間隔をあけて配置されている。
【0052】
接続部24Aは、前部支柱21Aと後部支柱22Aとを接続する。接続部24Aには、第1チェーンブロック3Aが取り付けられている。各第1チェーンブロック3Aは、各第1支柱2Aの上部にそれぞれ設けられている。各第1チェーンブロック3Aは、それぞれチェーン31Aを有している。各チェーン31Aの先端部には、それぞれフック32Aが設けられている。各フック32Aは、吊上げ部6の両端部に設けられたシャックル61に連結される。
【0053】
また、接続部24Aには、第1連結部51Aが取り付けられている。第1連結部51Aは、図9に示すように、一対の第1支柱2Aの上部同士を連結する。第1連結部51Aは、一対の第1支柱2Aに対して着脱可能に構成されている。なお、第1連結部51Aは、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしの途中で取り外される。
【0054】
一対の第1支柱2Aの後側には、それぞれ補強部8が配置されている。各補強部8は、各第1支柱2Aに接続されて、各第1支柱2Aを補強している。各補強部8は、各第1支柱2Aに対して、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の底面側に配置されている。
【0055】
補強部8は、柱部81と、接続部82とを有している。柱部81は、ベースフレーム23Aから上方へ垂直に延設されている。接続部82は、第1支柱2Aの後部支柱22Aと、柱部81とを接続している。
【0056】
各補強部8の各接続部82には、それぞれ第2チェーンブロック4Aが設けられている。各第2チェーンブロック4Aの各チェーン41Aは、スタッカークレーン100の底部を引っ張っている。
【0057】
建て起こし装置1Aは、各第1チェーンブロック3Aで吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7の前方底部を中心として、スタッカークレーン100を図8の時計方向に徐々に回動させる。このとき、支持部7に取り付けられた車輪WがベースプレートPと接触することにより、スタッカークレーン100が回動し易くなっている。
【0058】
[建て起こし方法]
次に、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こし方法について、図5、及び図8図12を参照して説明する。図10は、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしの途中の様子を示す概略側面図である。図11は、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしの途中の様子を示す概略正面図である。図12は、建て起こし装置1Aによりスタッカークレーン100が建て起こされた状態を示す概略側面図である。
【0059】
実施形態2の建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こし方法では、まず、実施形態1と同様に、図5に示すように、配置工程(S1)と、吊上げ工程(S2)と、調整工程(S3)とが順に行われる。
【0060】
まず、配置工程S1では、作業員により、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の底面側が、図8に示しように、支持部7に載置された状態で、凹部201に載置されたベースプレートPの上面に落とし込まれる。このとき、スタッカークレーン100の天面側は、床面200に残したままとする。
【0061】
続いて、作業員により、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の下側に、吊上げ部6が配置される。吊上げ部6は、マスト20の長手方向の中央部付近の下側に配置される(図9参照)。
【0062】
次に、吊上げ工程S2では、各第1チェーンブロック3Aで、吊上げ部6を吊り上げることで、スタッカークレーン100を徐々に回動させる。このとき、床面200と凹部201の上面との間に段差があることから、支持部7に支持されたスタッカークレーン100が回動し易くなっている。
【0063】
実施形態2では、スタッカークレーン100の建て起こしの途中に、図10に示すように、凹部201の前方の側面に、第2チェーンブロック4Aを取り付け、チェーン41Aにより、スタッカークレーン100の底部を引っ張るようにする。
【0064】
更に、図11に示すように、一対の第1支柱2Aに第2連結部52Aを取り付ける。第2連結部52Aは、一対の第1支柱2Aの延伸方向の中央部同士を連結する。第2連結部52Aは、一対の第1支柱2Aに対して着脱可能に構成されている。なお、第2連結部52Aは、一対の第1支柱2Aから第1連結部51Aが取り外されている状態では、一対の第1支柱2Aから取り外せない構造になっている。
【0065】
そして、一対の第1支柱2Aに第2連結部52Aを取り付けた後、第1連結部51Aがスタッカークレーン100の回動の妨げにならないように、一対の第1支柱2Aから第1連結部51Aを取り外す。
【0066】
次に、調整工程S3では、建て起こし装置1Aは、各第1チェーンブロック3Aで吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7の前方底部に取り付けられた車輪Wを中心として、スタッカークレーン100を図10の時計方向に徐々に回動させる。そして、図12に示すように、スタッカークレーン100の姿勢が垂直な状態になるように、各第1チェーンブロック3Aで吊上げ部6を吊り上げながらスタッカークレーン100の位置を調整する。
【0067】
[実施形態2の効果]
以上説明した実施形態2の建て起こし装置1Aにおいても、実施形態1の建て起こし装置1と同様の効果を得ることができる。特に、各補強部8によって、一対の第1支柱2Aが支持されているので、建て起こし装置1Aの耐久性を向上することができる。また、スタッカークレーン100の姿勢を垂直な状態に調整する際に、第2チェーンブロック4Aのチェーン41Aにより、スタッカークレーン100の底部が引っ張られているので、スタッカークレーン100の急激な回動を抑制することができる。
【0068】
また、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こし始めでは、図8及び図9に示すように、一対の第1支柱2Aから第2連結部52Aを取り外した状態で、第1連結部51Aによって一対の第1支柱2Aを連結している。これにより、第2連結部52Aがスタッカークレーン100の回動に干渉することを防ぎながら、建て起こし装置1Aを補強することが可能である。
【0069】
一方、建て起こし装置1Aによるスタッカークレーン100の建て起こしが進んだ段階では、図10及び図11に示すように、一対の第1支柱2Aから第1連結部51Aを取り外した状態で、第2連結部52Aによって一対の第1支柱2Aを連結することで、第1連結部51Aがスタッカークレーン100の回動に干渉することを防ぎながら、建て起こし装置1Aを補強することが可能である。
【0070】
〔実施形態3〕
次に、本発明の実施形態3の建て起こし1Bについて、図13図15を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3の建て起こし装置1Bは、建て起こし装置1のように連結部5及び延設部22を備えていない点が、実施形態1と主に異なる。
【0071】
[建て起こし装置]
図13は、実施形態3の建て起こし装置1Bによるスタッカークレーン100の建て起こしの開始の様子を示す概略側面図である。図14は、実施形態3の建て起こし装置1Bによるスタッカークレーン100の建て起こしの開始の様子を示す概略正面図である。なお、説明の便宜上、図13及び図14の矢印に示すように、建て起こし装置1Bの上下方向、前後方向、及び左右方向を定義する。
【0072】
図13及び図14に示すように、建て起こし装置1Bは、一対の第1支柱2Bと、第1巻上げ部の一例である第1チェーンブロック3Bと、第2巻上げ部の一例である第2チェーンブロック4Bと、吊上げ部6と、支持部7と、第2チェーンブロック4Bとを備えている。建て起こし装置1Bの全高寸法L1Bは、スタッカークレーン100の全高寸法L2(図4参照)よりも短くなっている。
【0073】
各第1支柱2Bは、前部支柱21Bと、後部支柱22Bと、ベースフレーム23Bと、接続部24Bとをそれぞれ有している。各支柱2Bは、床面200に対して垂直方向、即ち上下方向に延設されている。一対の支柱2Bは、図14に示すように、スタッカークレーン100の両側に、左右方向に間隔をあけて配置されている。
【0074】
ベースフレーム23Bは、凹部201に載置されたベースプレートPの上面に配置されている。図13に示すように、前部支柱21A及び後部支柱22Aは、ベースフレーム23Bから上方に垂直に延びている。前部支柱21B及び後部支柱22Bは、前後方向に間隔をあけて配置されている。
【0075】
接続部24Bは、前部支柱21Bと後部支柱22Bとを接続する。接続部24Bには、第1チェーンブロック3Bが取り付けられている。各第1チェーンブロック3Bは、各第1支柱2Bの上部にそれぞれ設けられている。各第1チェーンブロック3Bは、それぞれチェーン31Bを有している。各チェーン31Bの先端部には、それぞれフック32Bが設けられている。各フック32Bは、吊上げ部6の両端部に設けられたシャックル61に連結される。
【0076】
また、凹部201の前側の側面には、第2チェーンブロック4Bが取り付けられている。第2チェーンブロック4Bは、チェーン41Bを有している。第2チェーンブロック4Bのチェーン41Bは、スタッカークレーン100の底部を引っ張っている。
【0077】
[建て起こし方法]
次に、建て起こし装置1Bによるスタッカークレーン100の建て起こし方法について、図5及び図15を参照して説明する。図15は、建て起こし装置1Bによりスタッカークレーン100が建て起こされる様子を示す概略側面図である。
【0078】
実施形態3の建て起こし装置1Bによるスタッカークレーン100の建て起こし方法では、まず、実施形態2と同様に、図5に示す配置工程S1が行われる。
【0079】
次に、吊上げ工程S2では、図15の上図に示すように、各第1チェーンブロック3Bで、吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7の前方底部に設けられた車輪Wを中心として、スタッカークレーン100を図15の時計方向に徐々に回動させることで、スタッカークレーン100を建て起こしていく。このとき、車輪WがベースプレートPと接触することにより、スタッカークレーン100が回動し易くなっている。
【0080】
次に、調整工程S3では、建て起こし装置1Bは、各第1チェーンブロック3Bで吊上げ部6を吊り上げることにより、スタッカークレーン100の回動を調整して、図15の下図に示すように、スタッカークレーン100の姿勢を垂直な状態に調整する。
【0081】
このように、建て起こし装置1Bによって、スタッカークレーン100を垂直な状態に建て起こす際に、各第2チェーンブロック4Bの各チェーン41Bによりスタッカークレーン100の底部が引っ張られているので、スタッカークレーン100の急激な回動が抑制されるようになっている。
【0082】
[実施形態3の効果]
以上説明した実施形態3の建て起こし装置1Bにおいても、実施形態1の建て起こし装置1と同様に、建て起こし装置1Bの全高寸法L1Bを高くすることなく、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100を建て起こすことができる。
【0083】
特に、実施形態3の建て起こし装置1Bでは、支柱2Bに、実施形態1の建て起こし装置1のように延設部22を設けなくてもよいので、建て起こし装置1Bの前後方向の長さを短くでき、建て起こし装置1Bの小型化を図ることができる。
【0084】
〔実施形態4〕
次に、本発明の実施形態4の建て起こし1Cについて、図16を参照して説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0085】
[建て起こし装置]
図16は、建て起こし装置1Cによりスタッカークレーン100が建て起こされる様子を示す概略側面図である。なお、説明の便宜上、図16の矢印に示されるように、建て起こし装置1Cの上下方向、及び前後方向を定義する。
【0086】
図16に示すように、建て起こし装置1Cは、第1支柱2Cと、第2支柱3Cと、一対の第3チェーンブロック4Cと、一対のトロリ5Cと、吊上げ部6と、支持部7と、一対のレール9Cとを備えている。第3チェーンブロック4Cは、第3巻上げ部の一例である。建て起こし装置1Cの全高寸法L1Cは、スタッカークレーン100の全高寸法L2(図4参照)よりも短くなっている。
【0087】
建て起こし1Cは、凹部201に載置されたベースプレートPの上面において、スタッカークレーン100を建て起こす。なお、凹部201はなくてもよく、この場合には建て起こし1Cは、床面200においてスタッカークレーン100を建て起こせばよい。
【0088】
第1支柱2Cは、床面200に対して垂直方向に延設されている。第1支柱2Cは、例えば、角柱状の部材から形成されている。第2支柱3Cは、床面200に対して垂直方向に延設されている。第2支柱3Cは、例えば、角柱状の部材から形成されている。
【0089】
第2支柱3Cは、第1支柱2Cに対して、前後方向に対向して配置されている。第1支柱2Cと第2支柱3Cとの間には、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100が配置されている。なお、第1支柱2C及び第2支柱3Cは、それぞれ左右一対の支柱であってもよい。
【0090】
一対のレール9Cは、第1支柱2C及び第2支柱のそれぞれの上部に架設されている。各レール9Cは左右方向に間隔をあけて配置されている。各レール9Cは、Iビーム、又はH型鋼材等から形成されている。なお、図16では、左右一方のレール9Cのみが示されており、他方のレール9Cは省略されている。
【0091】
一対のレール9Cには、それぞれトロリ5Cが配置されている。各トロリ5Cは、各レール9Cに沿って、前後方向に移動可能に配置されている。なお、図16では、左右一方のトロリ5Cのみが示されており、他方のトロリ5Cは省略されている。
【0092】
各トロリ5Cには、それぞれ第3チェーンブロック4Cが接続されている。各第3チェーンブロック4Cは、それぞれチェーン41Cを有している。各第3チェーンブロック4Cは、各レール9Cに沿って、前後方向に移動可能に配置されている。各チェーン41Cの先端部には、それぞれフック42Cが設けられている。各フック42Cは、吊上げ部6の両端部に設けられたシャックル61に連結される。
【0093】
[建て起こし方法]
次に、建て起こし装置1Cによるスタッカークレーン100の建て起こし方法について、図5及び図16を参照して説明する。図5に示すように、建て起こし装置1Cによるスタッカークレーン100の建て起こし方法では、配置工程(S1)と、吊上げ工程(S2)と、調整工程(S3)とが順に行われる。
【0094】
配置工程S1では、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100の下側に、吊上げ部6が配置される。このとき、トロリ5Cを移動させることにより、スタッカークレーン100の長手方向における、第3チェーンブロック4Cによる吊上げ部6の吊上げ位置を調整することが可能となっている。
【0095】
次に、吊上げ工程S2では、図16の上図に示すように、各第3チェーンブロック4Cで、吊上げ部6を吊り上げることにより、支持部7の前方底部を中心として、スタッカークレーン100を図16の時計方向に徐々に回動させることで、スタッカークレーン100を建て起こしていく。このとき、支持部7に取り付けられた車輪WがベースプレートPと接触することにより、スタッカークレーン100が回動し易くなっている。
【0096】
次に、調整工程S3では、建て起こし装置1Cは、各第3チェーンブロック4Cで吊上げ部6を吊り上げることにより、スタッカークレーン100の回動を調整して、図16の下図に示すように、スタッカークレーン100の姿勢を垂直な状態に調整する。
【0097】
[実施形態4の効果]
以上説明した実施形態4の建て起こし装置1Cにおいても、実施形態1の建て起こし装置1と同様の効果を得ることができる。即ち、建て起こし装置1Cの全高寸法L1Cを高くすることなく、各第3チェーンブロック4Cで吊上げ部6Cを吊り上げることにより、横倒しにされた状態のスタッカークレーン100を建て起こすことができる。
【0098】
特に、実施形態3の建て起こし装置1Cによれば、レール9Cに沿ってトロリ5Cを移動させることにより、マスト20の長手方向における吊上げ部6の配置位置を調節して吊上げ位置を調整することで、スタッカークレーン100を良好に建て起こすことができる。
【0099】
〔その他の実施形態〕
上記した実施形態1~3では、第1巻上げ部及び第2巻上げ部の一例として、それぞれ第1チェーンブロック3,3A,3B、及び第2チェーンブロック4,4A,4Bを用いるものとしたが、これに限定されない。例えば、各第1チェーンブロック3,3A,3Bの各チェーン31,31A,31Bの代わりに、ワイヤを用いてもよい。また、各第2チェーンブロック4,4A,4Bの各チェーン41,41A,41Bの代わりに、ワイヤを用いてもよい。
【0100】
上記した実施形態1の建て起こし装置1は、支持部7を備えるものとしたが、これに限らず、支持部7を備えていなくてもよい。この場合、車輪Wをスタッカークレーン100に直接取り付けることによって、スタッカークレーン100を良好に建て起こすことが可能である。また、支持部7は、スタッカークレーン100の一側面を支持する部材と、スタッカークレーン100の底面を支持する部材とが別々に構成されていてもよい。
【0101】
また、上記した各実施形態では、スタッカークレーン100は、4本のマスト20を備えているものとしたが、これに限定されない。スタッカークレーン100は、少なくとも1本のマスト20を備えていればよく、1本のマスト20だけを備えていてもよい。
【0102】
また、上記した実施形態1の建て起こし装置1では、各第1チェーンブロック3の各チェーン31の吊り上げは、作業員により手動で行うものとしたが、これに限定されない。例えば、各第1チェーンブロック3の各チェーン31を自動で吊り上げるための制御部を設けてもよい。そして、制御部により、各第1チェーンブロック3の各チェーン31を吊り上げることで、吊上げ部6を介してスタッカークレーン100を一定の速度で建て起こすようにしてもよい。この構成によれば、制御部により、自動的にスタッカークレーン100を一定の速度で建て起こすことができるので、作業員の手間を省くことができる。
【0103】
実施形態4の建て起こし装置1Cでは、第1支柱2C及び第2支柱3Cは、角柱状の部材から構成されているものとしたが、これに限定されない。例えば、各第1支柱2C及び各第2支柱3Cは、直方体状の構造体を上下方向に複数積み重ねて、ボルト等により接続することによって構成してもよい。各構造体は、板状の金属、及び硬質なセラミック等から形成されている。この構成によれば、積み上げる構造体の個数を調節することにより、第1支柱2C及び第2支柱3Cの高さを容易に変更できる。
【0104】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1、1A、1B、1C 建て起こし装置
2、2A、2B、2C 第1支柱
3、3A、3B 第1チェーンブロック
3C 第2支柱
4、4A、4B 第2チェーンブロック
4C 第3チェーンブロック
5 連結部
5C トロリ
7 支持部
8 補強部
9C レール
20 マスト
21 本体部
22 延設部
31、31A、31B、41、41B、41C チェーン
40 昇降体
50 台車部
51、51A 第1連結部
52、52A 第2連結部
100 スタッカークレーン
200 床面
S1 配置工程
S2 吊上げ工程
S3 調整工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16