(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001585
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20231227BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231227BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20231227BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/19
A61K8/34
A61K8/81
A61K8/31
A61K8/891
A61Q17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100326
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】田家 みなみ
(72)【発明者】
【氏名】古勢 美緒
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB342
4C083AB362
4C083AB432
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC912
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB25
4C083CC03
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】肌に塗布した時に白浮きせず(透明性がある)、かつ水に濡れた時に白くならない、新規な油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】下記(A)~(E)を含み、
化粧料全体に対する(B)の配合量が7質量%以上、かつ、(E)の配合量が33質量%以下である油中水型乳化化粧料。
(A)疎水化処理金属酸化物
(B)不揮発性炭化水素油または不揮発性シリコーン油
(C)二価の金属塩
(D)ペンチレングリコール
(E)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(E)を含み、
化粧料全体に対する(B)の配合量が7質量%以上、かつ、(E)の配合量が33質量%以下であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)疎水化処理金属酸化物
(B)不揮発性炭化水素油または不揮発性シリコーン油
(C)二価の金属塩
(D)ペンチレングリコール
(E)水
【請求項2】
(B)が、水添ポリイソブテン、スクワラン、ジメチコンから選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
化粧料全体に対する(D)の配合量が0.1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料は、高いSPF(Sun Protection Factor)効果を得るため、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を多く配合する傾向にある。紫外線散乱剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの金属酸化物が好んで用いられている。紫外線散乱剤は、UVBだけでなくUVAも遮蔽し、皮膚に刺激を与えない点で優れている。一方、紫外線吸収剤は、皮膚刺激の恐れがある。
【0003】
日焼け止め化粧料において、皮膚刺激を低減するために、紫外線吸収剤の配合を減らし、金属酸化物(紫外線散乱剤)をできるだけ多く配合したいという設計要求がある。しかしながら、金属酸化物は、配合量を多くすると皮膚に塗布した時に伸びが重くなる、肌の上で白さが残る(透明性が低くなる)などの問題が発生する恐れがある。さらに、金属酸化物を多く配合した日焼け止め化粧料は、水で濡れた時に白くなることが問題視されてきた。
本出願人は、特許文献1において、肌に塗布したときに白浮きせず(透明性がある)、水に濡れたときにも白くならない油中水型乳化化粧料を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、肌に塗布した時に白浮きせず(透明性がある)、かつ水に濡れた時に白くならない、新規な油中水型乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は以下のとおりである。
1.下記(A)~(E)を含み、
化粧料全体に対する(B)の配合量が7質量%以上、かつ、(E)の配合量が33質量%以下であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
(A)疎水化処理金属酸化物
(B)不揮発性炭化水素油または不揮発性シリコーン油
(C)二価の金属塩
(D)ペンチレングリコール
(E)水
2.(B)が、水添ポリイソブテン、スクワラン、ジメチコンから選ばれる1以上であることを特徴とする1.に記載の油中水型乳化化粧料。
3.化粧料全体に対する(D)の配合量が0.1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする1.または2.に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化化粧料は、肌に塗布した時に白浮きがなく、かつ水に濡れても白くならない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の油中水型乳化化粧料は、下記(A)~(E)を含み、
化粧料全体に対する(B)の配合量が7質量%以上、かつ、(E)の配合量が33質量%以下である。
(A)疎水化処理金属酸化物
(B)不揮発性炭化水素油または不揮発性シリコーン油
(C)二価の金属塩
(D)ペンチレングリコール
(E)水
【0009】
(A)疎水化処理金属酸化物
(A)は、紫外線を散乱または遮蔽するものである。(A)は、疎水化処理されており、油中水型乳化化粧料の油中に分散して存在する。
(A)としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム等の1種または2種以上を用いることができ、2種以上を用いることが好ましく、微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を含むことがより好ましい。
(A)は、紫外線散乱(遮蔽)性、分散性、使用性等の点から、1次粒子の平均粒子径が0.001μm以上0.1μm以下であるものが好ましい。(A)として2種以上の粉体を用いる場合、各粉体の平均粒子径は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0010】
疎水化処理剤の種類としては制限されないが、例えば、高級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素、トリグリセライド、エステル、シリコーン油、シリコーン樹脂、フッ素化合物、アシルアミノ酸などが挙げられる。例えば、微粒子酸化チタン及び微粒子酸化亜鉛の疎水化処理剤は、アルキルトリエトキシシラン、アルキルトリメトキシシラン、パーフルオロアルキルリン酸、(アクリル酸アルキル/ジメチルシリコーン)コポリマー、パルミチン酸デキストリン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチコン、ハイドロゲンジメチコン、(アクリロイルジメチルタウリンNa/メタクリルアミドラウリン酸)コポリマー、アシルグルタミン酸などが挙げられる。(A)として2種以上の粉体を用いる場合、各粉体は、同一の疎水化処理剤を用いてもよく、異なる疎水化処理剤を用いてもよい。
疎水化処理の方法は特に限定されず、公知の方法により表面処理することができる。例えば、オクチルトリエトキシシラン又はジメチコン、ハイドロゲンジメチコン中で微粒子金属酸化物を、一定時間、混合撹拌し、これをろ過することによって、疎水化処理した微粒子金属酸化物を製造することができる。
【0011】
(A)は、本発明の化粧料に配合される油剤と予め混合してから配合することにより、油中水型乳化化粧料として調製する際の油相への分散を容易に行うことができる。
(A)が事前に油剤に分散されたものとして市販品を用いることもでき、例えば、市販の疎水化処理微粒子酸化チタンを含む原料としては、ハイドロゲンジメチコン、ジメチコン、水酸化Al、含水シリカで疎水化処理した微粒子酸化チタンを、シクロペンタシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸に分散させた「FLT-01」(テイカ株式会社)、あるいはハイドロゲンジメチコン、水酸化Al、シリカで疎水化処理した酸化チタンをトコフェロール、シクロペンタシロキサン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンに分散させた「TD-57A-L」(チタン工業株式会社)を例示できる。市販の疎水化処理微粒子酸化亜鉛を含む原料としては、トリエトキシカプリリルシランで疎水化処理微粒子酸化亜鉛をトコフェロール、シクロペンタシロキサン、ポリグリセリル3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコンに分散させた「DIF-5CS」(堺化学工業株式会社)を例示できる。
【0012】
(A)の配合量は、特に制限されず、目的とするSPFの程度等に応じて調整することができ、例えば、油中水型乳化化粧料全体に対する(A)の配合量は、5質量%以上40質量%以下とすることができる。本発明の油中水型乳化化粧料は、(A)を高配合しても肌に塗布した時と水に濡れた時に白くなりにくい。そのため、本発明の化粧料全体に対する(A)の合計は、紫外線防御の点から、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、17質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることがよりさらに好ましい。一方、(A)を高配合しすぎると、塗布性等が低下する場合があるため、本発明の化粧料全体に対する(A)の配合量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
【0013】
(B)不揮発性炭化水素油または不揮発性シリコーン油
(B)は不揮発性の液状油であり、油相を形成する。本発明の油中水型乳化化粧料は、(B)として、不揮発性炭化水素油と不揮発性シリコーン油の両方を含むこともできる。なお、本発明において液状油とは、1気圧下25℃で液体の油剤を意味する。また、本発明において不揮発性とは、引火点が100℃以上であり、動粘度が5cSt以上であることをいう。
不揮発性炭化水素油としては、例えば、5cStを超える動粘度を有する炭化水素油を挙げることができ、具体的には、水添ポリイソブテン、スクワラン、スクワレン、ミネラルオイル、オレフィンオリゴマー、水添ポリデセン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
不揮発性シリコーン油としては、例えば、5cStを超える動粘度を有するシリコーン油を挙げることができ、具体的には、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、アミノ変性シリコーン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
これらの中で、水添ポリイソブテン、スクワラン、ジメチコンが好ましい。
【0014】
本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧料全体に対する(B)の配合量が7質量%以上である。化粧料全体に対する(B)の配合量は、8質量%以上であることが好ましく、9質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがよりさらに好ましい。(B)の配合量の上限は、本発明の効果を奏するものであれば特に限定されないが、例えば、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の不揮発性油を含むこともできるが、全不揮発性油に対する(B)の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%(他の不揮発性油を含まない)であることが最も好ましい。
【0015】
(C)、(D)、(E)
本発明の油中水型乳化化粧料において、(C)二価の金属塩、(D)ペンチレングリコール、(E)水は、水相を形成する。
(C)としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが好ましく、硫酸マグネシウムがより好ましい。
本発明の化粧料全体に対する(C)の配合量は、0.01質量%以上2.0質量%以下が好ましい。
【0016】
本発明の油中水型乳化化粧料は、(D)ペンチレングリコールと(E)水を必須成分として含む。
化粧料全体に対する(D)の配合量は、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがよりさらに好ましく、また、13質量%以下であることがより好ましく、11質量%以下であることがよりさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の水溶性多価アルコールを含むこともできるが、全水溶性多価アルコールに対する(D)の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%(他の水溶性多価アルコールを含まない)であることが最も好ましい。
【0017】
本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧料全体に対する(E)の配合量が33質量%以下である。化粧料全体に対する(E)の配合量は、32質量%以下であることが好ましく、31質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがよりさらに好ましい。(E)の配合量の下限は特に制限されないが、(D)、(E)、及び水溶性多価アルコール等の任意である他の水性溶媒の合計が、化粧料全体に対して15質量%以上となるように配合することが好ましい。
【0018】
本発明の油中水型乳化化粧料は、水に濡れても白くならない。本発明の油中水型乳化化粧料が水に濡れても白くならない詳細なメカニズムは不明であるが、本発明の油中水型乳化化粧料は、上記した特定の組成を満足することにより、塗布、乾燥後に緻密な膜が形成され、この膜が耐水性に優れるため、水に濡れても疎水化処理金属酸化物の配置が乱れにくく、白くなりにくいと推測される。
【0019】
本発明の油中水型乳化化粧料は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、粉体、油剤、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン系増粘剤、多価アルコール類、糖類、糖アルコール類、水溶性高分子、その他増粘剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。また、ビタミン類や、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることができる。
【0020】
界面活性剤としては、乳化型が油中水型となるものであればいずれを用いてもよく、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を配合することができる。
非イオン性界面活性剤としては、オレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、PEG-9ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤を例示できる。
アニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルサルコシン塩、スルホコハク酸塩、N-アシルアミノ酸塩等を例示できる。
カチオン性界面活性剤としては、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等を例示できる。
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等を例示できる。
【0021】
粉体としては、顔料級酸化チタン、パール顔料、酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、タルク、カオリン、窒化ホウ素、マイカ、結晶セルロース粉体、シルク粉体、ポリアクリル酸アルキル粉体、ナイロン粉体、ポリエチレン粉体、ポリスチレン粉体等を例示できる。また、シリコーン処理やフッ素処理等を施した表面処理粉体を用いてもよい。また、複数種の不溶性粉体からなる複合粉体を用いてもよい。不溶性粉体はあらかじめシリコーン油などに分散処理した市販されている分散体を用いてもよい。
【0022】
他の油剤としては、(B)以外の不揮発性油、揮発油が挙げられる。例えば、揮発性のシリコーン油、揮発性の炭化水素油、揮発性および不揮発性のエステル油、不揮発性の油脂が挙げられる。
揮発性のシリコーン油としては、動粘度が5cSt未満のジメチコン、メチルトリメチコン、カプリリルメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロテトラシロキサン等が例示できる。揮発性の炭化水素油としては水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソヘキサデカン、ドデカン、イソドデカン等が例示できる。
エステル油としては、例えば、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ジイソノナン酸1,3-ブチレングリコール、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジ2-エチルヘキサン酸ジプロピレングリコール、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソステアリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等が例示できる。
油脂としては、例えば、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、ツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、胚芽油、小麦胚芽油等の液体油脂を例示できる。
【0023】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等を例示できる。
【0024】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、オクチルドデカノール等の分岐鎖アルコール等を例示できる。
【0025】
シリコーン系増粘剤としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン、アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、シリコーン分岐型アルキル変性部分架橋型オルガノポリシロキサン等を例示できる。部分架橋型オルガノポリシロキサンと、シクロペンタシロキサンやジメチコンといった油剤とをあらかじめ混合したゲル混合物を用いてもよい。
【0026】
水溶性高分子としては、例えば、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシードエキス、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を例示できる。
【0027】
その他の増粘剤としては、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ステアリン酸デキストリン、イソステアリン酸デキストリン等を例示できる。
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン等を例示できる。
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を例示できる。
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2,4-ジハイドロキシベンゾフェノン等を例示できる。
【0028】
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩等のB6類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL-α-トコフェロール等のビタミンE類を例示できる。
【0029】
本発明の油中水型乳化化粧料は、サンスクリーンクリーム、サンスクリーン乳液、サンケアスプレー等の日焼け止め化粧料として好適に用いることができる。また、本発明の油中水型乳化化粧料は、紫外線防止効果が高いので、UVカット機能付きの化粧下地やBBクリーム・乳液とすることもできる。
【実施例0030】
1.試験品の調製
表1、2の組成の油中水型乳化化粧料を以下の調製方法により調製した。
【0031】
2.調製方法
油性成分を室温で混合し、ホモミキサー(3000rpm)で10分間混合した。
混合物に水溶性成分を投入しながら、ホモミキサー(3000rpm)で混合し、1~2分間乳化した。ホモミキサー(4500rpm)で10分間混合を継続し、調製を終了した。
【0032】
調製した油中水型乳化化粧料について、下記評価を行った。結果を表1、2に示す。
3.評価(白浮き1、白浮き2)
3名の専門の官能評価員による合議により表1、2の油中水型乳化化粧料を、下記試験法により評価した。また、使用感について特記事項がある場合報告させた。
結果を表1、2の下段に示した。
【0033】
<白浮き1(塗布した時の透明性)>
得られた油中水型乳化化粧料を上腕内側部に20mgとり、1cm2あたり2mg程度となるように塗り伸ばした。その後、白浮きの有無を下記基準により目視評価した。
(評価基準)
〇:白浮きせず、透明性がある
×:白浮きして、透明性がない
【0034】
<白浮き2(水に濡れた時の透明性)>
人工皮革(サプラーレ:出光テクノファイン製)に、得られた油中水型乳化化粧料20mgを3cm×3cmの範囲に塗り伸ばし、乾燥させた。その後、濡れたティッシュを3cm×3cmの範囲の半分に静置し、塗布部の半分を浸水させた。3分後にティッシュを取り、浸水部と非浸水部を比較し、白浮きの有無を、下記基準により目視評価した。
(評価基準)
〇:白浮きせず、透明性がある
×:白浮きして、透明性がない
【0035】
【0036】
【0037】
本発明である実施例で得られた油中水型乳化化粧料は、肌に塗布した時に白浮きせず透明性に優れ、さらに、水に濡れた時も白くならず透明性を維持することができた。
それに対し、比較例で得られた油中水型乳化化粧料は、肌に塗布した時に白浮きせず透明であったが、水に濡れると白浮きが生じた。
【0038】
以下に、処方例を示す。
処方例1(日焼け止めクリーム)
成 分 質量%
1.疎水化処理 微粒子酸化チタン 4
2.疎水化処理 微粒子酸化亜鉛 13
3.水添ポリイソブテン 21
4.シクロペンタシロキサン 32.5
5.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.5
6.(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー 0.4
7.トリメチルシロキシケイ酸 5
8.ポリメタクリル酸メチル 3
9.硫酸Mg 0.5
10.ペンチレングリコール 1
11.BG 2
12.水 残余
【0039】
処方例2(日焼け止め乳液)
成 分 質量%
1.疎水化処理 微粒子酸化チタン 2.75
2.疎水化処理 微粒子酸化亜鉛 17.5
3.ジメチコン (不揮発油) 30
4.シクロペンタシロキサン 22
5.PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.5
6.ポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.5
7.(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマー 0.25
8.ポリヒドロキシステアリン酸 0.1
9.トリメチルシロキシケイ酸 3
10.シリカ 2.4
11.硫酸Mg 0.1
12.ペンチレングリコール 1
13.水 残余
【0040】
処方例3(化粧下地)
成 分 質量%
1.疎水化処理 微粒子酸化チタン 2
2.疎水化処理 微粒子酸化亜鉛 6
3.ジメチコン (不揮発油) 10
4.水添ポリイソブテン 5
5.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 3
6.トリイソステアリン 1.5
7.シクロペンタシロキサン 25
8.ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2
9.トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 0.5
10.(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)クロスポリマー 0.8
11.(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー 0.1
12.(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー 0.5
13.疎水化処理 顔料級酸化チタン 4
14.疎水化処理シルバーパール(酸化チタン、合成フルオロフロゴパイト、酸化スズ)
2
15.疎水化処理タルク 1
16.疎水化処理マイカ 4.6
17.硫酸Ba 0.5
18.硫酸Mg 0.2
19.ペンチレングリコール 3
20.フェノキシエタノール 0.3
21.水 残余