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特開2024-158520穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法
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  • 特開-穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法 図1
  • 特開-穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法 図2
  • 特開-穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法 図3
  • 特開-穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158520
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F16L55/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073777
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】水野 宏俊
(57)【要約】
【課題】本管に形成された穿孔を閉塞する作業を容易に行えるとともに、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良くに判別できる穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法の提供を目的とした。
【解決手段】穿孔閉塞体20は、本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するためのものであって、本管1の外側から穿孔3に対して挿入される挿入部22を有し、挿入部22が、穿孔3の開口領域に亘って拡がる閉塞面26を有し、閉塞面26が、挿入部22を穿孔3に対して挿入することにより、本管1の外周面2aよりも本管1の内側に到達する位置に設けられたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するための穿孔閉塞体であって、
前記本管の外側から前記穿孔に対して挿入される挿入部を有し、
前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、
前記閉塞面が、前記挿入部を前記穿孔に対して挿入することにより、前記本管の外周面よりも前記本管の内側に到達する位置に設けられていること、を特徴とする穿孔閉塞体。
【請求項2】
前記挿入部から外側に張り出した張出部を有し、
前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように前記挿入部を前記穿孔に対して挿入した状態において、前記張出部が、前記本管の外側において前記穿孔の開口領域よりも外側に張り出した状態となること、を特徴とする請求項1に記載の穿孔閉塞体。
【請求項3】
本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するための穿孔閉塞体であって、
前記本管の外側に配され、前記穿孔の周部において前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部を備えた外周部材に対して直接的あるいは間接的に装着されるものであり、
前記筒状部に対して挿入される挿入部を有し、
前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように挿入されるものであること、を特徴とする穿孔閉塞体。
【請求項4】
本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するための穿孔閉塞装置であって、
前記本管の外側に配され、前記穿孔の周部において前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部と、
前記筒状部に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体と、
を有し、
前記穿孔閉塞体が、前記筒状部を介して前記穿孔に挿入される挿入部を有し、
前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように挿入されるものであること、を特徴とする穿孔閉塞装置。
【請求項5】
前記筒状部、及び前記穿孔閉塞体の間に介在するスペーサを有すること、を特徴とする請求項4に記載の穿孔閉塞装置。
【請求項6】
前記スペーサが、前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて延びるものであり、前記本管の管径に応じて前記本管の径方向外側から内側への突出量を調整可能であること、を特徴とする請求項5に記載の穿孔閉塞装置。
【請求項7】
前記筒状部及び前記スペーサが接着により固定されていること、を特徴とする請求項5又は6に記載の穿孔閉塞装置。
【請求項8】
前記閉塞面が、前記穿孔の閉塞を前記本管の内側から識別可能とする識別部を有すること、を特徴とする請求項4又は5に記載の穿孔閉塞装置。
【請求項9】
本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するための穿孔閉塞方法であって、
前記本管の外側において、前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部を前記穿孔の周部に設ける筒状部設置工程と、
前記筒状部に対して挿入される挿入部を有するとともに、前記挿入部が前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有する穿孔閉塞体を、前記筒状部を介して前記穿孔に装着する閉塞体装着工程と、
を有し、
前記閉塞体装着工程において、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように、前記穿孔閉塞体の前記挿入部が前記筒状部に対して挿入されること、を特徴とする穿孔閉塞方法。
【請求項10】
前記筒状部設置工程において、前記本管に対して既設の支管あるいは前記支管を前記本管に対して接続するための接続部材を切断することにより前記本管に残る筒体を、前記筒状部として設けるものであること、を特徴とする請求項9に記載の穿孔閉塞方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1の分岐管取付用治具のような枝管接続部材を用いるなどして、既設の下水道等の主管(本管)に穿孔を形成し、当該穿孔に対して枝管を接続することが行われている。
【0003】
上記特許文献1の分岐管取付用治具は、枝管の接続対象となる主管に形成された開口部に対し、主管の内面側に係止可能な内面側係止部材と、主管の外面側から内面側係止部材に接続可能な外面側接続部材とを組付けて、枝管を接続可能な分岐管部を形成するためのものである。特許文献1の分岐管取付用治具は、主管への組み付けに際し、主管の内部において内面側係止部材を仮保持できる分岐管取付治具本体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-133917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述したように本管に対して枝管を接続した配管系統において、枝管が不要になる場合がある。このような場合には、本管から枝管や分岐管取付用治具が取り外されるため、本管に形成された穿孔を閉塞する必要がある。しかしながら、従来技術においては、本管に形成された穿孔を閉塞する作業を容易に行えるようなものが存在していないという問題がある。
【0006】
そこで、上述した問題を解決すべく、本発明者らは、穿孔を閉塞するための閉塞部材について検討を重ねた。その結果、閉塞部材により本管に形成された穿孔を閉塞する場合には、穿孔の閉塞作業を容易に行えるようにするだけではなく、検査やメンテナンスの観点においても配慮がなされたものとすることが好ましいとの知見が得られた。具体的には、従来技術においては、主管(本管)の内部に自走式のカメラ等の装置を導入することにより、下水道等の検査やメンテナンスが行われている。このようにして検査やメンテナンスを行う場合において、本管に形成された穿孔に対して枝管が接続されているのか、あるいは何らかの閉塞部材によって閉塞されているのかを容易かつ精度良くに判別できるようにすることが好ましいとの知見が得られた。
【0007】
上述した知見に基づき、本発明は、本管に形成された穿孔を閉塞する作業を容易に行えるとともに、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の穿孔閉塞体は、本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するためのものであって、前記本管の外側から前記穿孔に対して挿入される挿入部を有し、前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、前記閉塞面が、前記挿入部を前記穿孔に対して挿入することにより、前記本管の外周面よりも前記本管の内側に到達する位置に設けられたものである。
【0009】
本発明の穿孔閉塞体は、本管の外側から穿孔に対して挿入される挿入部を穿孔に対して挿入することにより、穿孔を閉塞することができる。そのため、本発明の穿孔閉塞体は、穿孔の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本発明の穿孔閉塞体は、挿入部に設けられた閉塞面が穿孔の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管の外周面よりも本管の内側に到達する位置に閉塞面が設けられている。そのため、本発明の穿孔閉塞体は、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本発明の穿孔閉塞体は、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0010】
(2)本発明の穿孔閉塞体は、前記挿入部から外側に張り出した張出部を有し、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように前記挿入部を前記穿孔に対して挿入した状態において、前記張出部が、前記本管の外側において前記穿孔の開口領域よりも外側に張り出した状態となるものであると良い。
【0011】
本発明の穿孔閉塞体は、かかる構成とすることにより、挿入部が穿孔に対して過剰に挿入された状態になるのを抑制できる。これにより、本発明の穿孔閉塞体は、穿孔に対する挿入部の挿入量を最適化し、閉塞面を適切な位置に配置することができる。従って、本発明の穿孔閉塞体は、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置と、閉塞面との距離を最適化し、穿孔が閉塞されているのか否かの判別精度をより一層向上できる。また、本発明の穿孔閉塞体は、上記(2)のような構成とすることにより、本管の外側から穿孔に挿入された挿入部が、本管の内側に脱落してしまうのを抑制できる。
【0012】
(3)本発明の穿孔閉塞体は、本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するためのものであって、前記本管の外側に配され、前記穿孔の周部において前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部を備えた外周部材に対して直接的あるいは間接的に装着されるものであり、前記筒状部に対して挿入される挿入部を有し、前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように挿入されるものである。
【0013】
本発明の穿孔閉塞体は、本管の外側から穿孔に対して挿入される挿入部を穿孔に対して挿入することにより、穿孔を閉塞することができる。そのため、本発明の穿孔閉塞体は、穿孔の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本発明の穿孔閉塞体は、挿入部に設けられた閉塞面が穿孔の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管の外周面よりも本管の内側に到達する位置に閉塞面が設けられている。そのため、本発明の穿孔閉塞体は、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本発明の穿孔閉塞体は、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0014】
また、本発明の穿孔閉塞体は、本管の外側に配された外周部材が備える筒状部に対して直接的あるいは間接的に装着されるものである。これにより、本発明の穿孔閉塞体は、外周部材の筒状部によってガイドされつつ穿孔に対して挿入することができる。また、本発明の穿孔閉塞体は、穿孔に対して挿入された状態において、外周部材の筒状部によって側方から支持された状態となる。従って、本発明の穿孔閉塞体は、穿孔に対する取り付けを容易かつ精度良く行えるとともに、取り付け後における安定性の面においても優れた特性を有する。
【0015】
(4)本発明の穿孔閉塞装置は、本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するためのものであって、前記本管の外側に配され、前記穿孔の周部において前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部と、前記筒状部に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体と、を有し、前記穿孔閉塞体が、前記筒状部を介して前記穿孔に挿入される挿入部を有し、前記挿入部が、前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有し、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように挿入されるものである。
【0016】
本発明の穿孔閉塞装置は、本管の外側に配される筒状部と、筒状部に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体とを有する。本発明の穿孔閉塞装置は、筒状部を介して穿孔閉塞体の挿入部を穿孔に挿入することにより、穿孔を閉塞することができる。そのため、本発明の穿孔閉塞装置は、穿孔の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本発明の穿孔閉塞装置は、挿入部に設けられた閉塞面が穿孔の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管の外周面よりも本管の内側に到達する位置に閉塞面が設けられている。そのため、本発明の穿孔閉塞装置は、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本発明の穿孔閉塞装置は、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0017】
また、本発明の穿孔閉塞装置は、本管の外側に配された筒状部に対して直接的あるいは間接的に装着されるものである。これにより、本発明の穿孔閉塞装置は、筒状部によって穿孔閉塞体をガイドしつつ穿孔に対して挿入することができる。また、本発明の穿孔閉塞装置は、穿孔閉塞体が穿孔に対して挿入された状態において、筒状部によって側方から支持された状態とすることができる。従って、本発明の穿孔閉塞装置は、穿孔に対する穿孔閉塞体の取り付けを容易かつ精度良く行えるとともに、取り付け後においても穿孔閉塞体を安定的に保持することができる。
【0018】
(5)本発明の穿孔閉塞装置は、前記筒状部、及び前記穿孔閉塞体の間に介在するスペーサを有するものであると良い。
【0019】
本発明の穿孔閉塞装置は、かかる構成とすることにより、穿孔閉塞体を筒状体や穿孔に対して位置決め精度良く取り付けることができる。
【0020】
(6)本発明の穿孔閉塞装置は、前記スペーサが、前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて延びるものであり、前記本管の管径に応じて前記本管の径方向外側から内側への突出量を調整可能なものであると良い。
【0021】
本発明の穿孔閉塞装置は、かかる構成とすることにより、本管の管径に応じてスペーサを適切な突出量となるように取り付けることができる。
【0022】
(7)本発明の穿孔閉塞装置は、前記筒状部及び前記スペーサが接着により固定されているものであると良い。
【0023】
本発明の穿孔閉塞装置は、かかる構成とすることにより、筒状部及びスペーサの密着性を高め、両者の間を水密にすることができる。これにより、本発明の穿孔閉塞装置は、筒状部及びスペーサの間から漏水等が発生するのを抑制できる。
【0024】
(8)本発明の穿孔閉塞装置は、前記閉塞面が、前記穿孔の閉塞を前記本管の内側から識別可能とする識別部を有するものであると良い。
【0025】
本発明の穿孔閉塞装置は、かかる構成とすることにより、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって識別部を識別することにより、閉塞部材によって穿孔が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別可能なものとすることができる。
【0026】
(9)本発明の穿孔閉塞装置において、前記識別部は、少なくとも前記本管の内側を向く領域に付された表示であると良い。
【0027】
本発明の穿孔閉塞装置は、かかる構成とすることにより、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置による識別部の識別精度を一層向上させることができる。
【0028】
(10)本発明の穿孔閉塞方法は、本管の周壁に形成された穿孔を閉塞するための方法であって、前記本管の外側において、前記本管の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部を前記穿孔の周部に設ける筒状部設置工程と、前記筒状部に対して挿入される挿入部を有するとともに、前記挿入部が前記穿孔の開口領域に亘って拡がる閉塞面を有する穿孔閉塞体を、前記筒状部を介して前記穿孔に装着する閉塞体装着工程と、を有し、前記閉塞体装着工程において、前記閉塞面が前記本管の外周面よりも前記本管の内側まで到達するように、前記穿孔閉塞体の前記挿入部が前記筒状部に対して挿入されることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の穿孔閉塞方法は、筒状部設置工程において筒状部を穿孔の周部に設けた後、閉塞体装着工程において穿孔閉塞体の挿入部を筒状部を介して穿孔に装着することにより、穿孔閉塞体によって穿孔を閉塞することができる。本発明の穿孔閉塞方法では、閉塞体装着工程において、穿孔閉塞体に設けられた閉塞面が本管の外周面よりも本管の内側まで到達するように、穿孔閉塞体の挿入部が前記筒状部に対して挿入される。従って、本発明の穿孔閉塞方法によれば、本管の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面の存在を容易かつ精度良く確認できるように、穿孔閉塞体を設置して穿孔を閉塞できる。
【0030】
(11)本発明の穿孔閉塞装置は、前記筒状部設置工程において、前記本管に対して既設の支管あるいは前記支管を前記本管に対して接続するための接続部材を切断することにより前記本管に残る筒体を、前記筒状部として設けるものであると良い。
【0031】
本発明の穿孔閉塞方法は、かかる構成とすることにより、本管に対して既設の支管あるいは支管を本管に対して接続するための接続部材を切断することにより本管に残る筒体を筒状部として活用することができる。そのため、本発明の穿孔閉塞方法は、筒状部を別途設ける必要がなく、その分だけ穿孔の閉塞に要する施工コストや施工の手間を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上述した課題を解決した穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る穿孔閉塞体、及びこれを備えた穿孔閉塞装置により本管に形成された穿孔を閉塞した状態を本管の軸線方向に対して交差する平面で断面視した状態を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る穿孔閉塞体、及びこれを備えた穿孔閉塞装置により本管に形成された穿孔を閉塞した状態を本管の軸線方向に沿う方向に拡がる平面で断面視した状態を示す断面図である。
図3】(a),(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る穿孔閉塞方法により本管に形成された穿孔を閉塞する工程を段階を追って図示した断面図である。
図4】(a)~(c)はそれぞれ、本発明の変形例に係る穿孔閉塞方法により本管に形成された穿孔を閉塞する工程を段階を追って図示した断面図である。る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態に係る穿孔閉塞装置10、穿孔閉塞体20、及び穿孔閉塞方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
図1及び図2に示すように、穿孔閉塞装置10は、下水道等を構成する本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するためのものである。具体的には、穿孔3は、本管1に対して枝管を接続するために設けられたものである。穿孔閉塞装置10は、枝管を本管1から撤去する等して、穿孔3を利用する必要がなくなった場合に、穿孔3を閉塞するために用いられる。図1に示すように、穿孔閉塞装置10は、穿孔閉塞体20、外周部材30、及びスペーサ40を備えている。
【0036】
穿孔閉塞体20は、本管1の周壁2に形成された穿孔3に挿入されることにより、穿孔3を閉塞するものである。穿孔閉塞体20は、例えば樹脂製、金属製、ゴム製、あるいはコンクリート製等のもの等、適宜の素材によって構成されたものとすることができる。穿孔閉塞体20を樹脂製とする場合は、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等からなる樹脂製のものとすると良い。また、穿孔3が設けられている下水道等の本管1に塩化ビニル管が用いられることが多いことを考慮すれば、接着剤を用いて穿孔閉塞体20を容易に接着固定できる観点から、特にPVCが穿孔閉塞体20の材質として好ましい。
【0037】
穿孔閉塞体20は、後に詳述する外周部材30に対して直接的あるいは間接的に装着される。本実施形態においては、穿孔閉塞体20は、外周部材30に対して、後に詳述するスペーサ40を介して間接的に装着されるものとされている。穿孔閉塞体20は、挿入部22、及び張出部24を有する。
【0038】
挿入部22は、本管1の外側から穿孔3に対して挿入される部分である。挿入部22は、穿孔3に対して挿入可能に形成された栓状のものやキャップ状のものとすることができる。本実施形態では、挿入部22は、穿孔3の形状や大きさに応じて形成された円形の底部22aと、底部22aの周部から底部22aに対して交差する方向に立ち上がる周部22bとを有するものとされている。また、挿入部22は、底部22aに対して対向する部分(天面側)が開口し、外部に解放されたものとされている。底部22aは、挿入部22を穿孔3に差し込んだ状態において、穿孔3の開口領域に亘って拡がり、穿孔3を閉塞する閉塞面26を構成するものとされている。
【0039】
また、挿入部22は、底部22aや周部22bに加えて突出部22cを有する。突出部22cは、底部22aの中央部から上方に向けて立ち上がるように設けられた突起状の部分である。突出部22cは、穿孔閉塞体20の取り付け時に把持するための把持部として用いることができる。
【0040】
具体的には、穿孔閉塞体20を取り付けるべく、挿入部22等の表面に接着剤を塗布してスペーサ40の内側に挿入する場合、例えば張出部24の周囲を持って取り付け作業を行おうとすると、作業者の手に接着剤が付着してしまう懸念がある。しかしながら、突出部22cのように把持部として機能するものを、挿入部22の外周面等の接着剤が塗布される部分(接着剤塗布領域)を外れた位置に設けておくことにより、穿孔閉塞体20の取り付けのために接着剤を塗布した穿孔閉塞体20を挿入する作業を行う際や、穿孔閉塞体20の接着剤塗布領域に接着剤を塗布する作業を行う際等に、接着剤が作業者の手に付くのを抑制できる。また、前述のような把持部として機能するものとして、穿孔閉塞体20の挿入方向に延びる突起状の突出部22cを用いることにより、穿孔閉塞体20の挿入作業を行いやすくなる。さらに、本実施形態のように、突出部22cを穿孔閉塞体20の軸心位置に設けることにより、穿孔閉塞体20の挿入作業時に、穿孔閉塞体20を軸線方向に向けて真っ直ぐ挿入させやすくなる。
【0041】
閉塞面26(底部22a)には、穿孔3が閉塞されていることを、本管1の内側から識別可能とするための識別部28が設けられている。識別部28は、本管1の検査やメンテナンスのために本管1の内部に導入される自走式のカメラ等の装置(以下、「設備管理装置」とも称す)により識別可能なものとされる。識別部28は、設備管理装置により識別可能なものであれば良い。
【0042】
具体的には、識別部28は、例えば、カメラによる撮影により検知可能な文字や図形、色彩等からなる表示、設備管理装置に設けられたマイクロフォンや音響センサーを使用することにより検知可能な音を発生するもの、設備管理装置に設けられた超音波センサーや光学センサー、磁気センサーなどを使用して、物体の距離や位置を測定可能とするもの、設備管理装置に設けられたフォトダイオードやフォトトランジスターなどにより、光の強度や波長を測定可能とする発光体等によって構成することができる。本実施形態では、挿入部22を穿孔3に挿入した状態において本管1の内側を向く面に穿孔3が閉塞されていること等を示す文字や記号等を施すことにより、識別部28が設けられている。識別部28に施す文字等の情報は、例えば、穿孔3が閉塞されていることを示す「ヘイソク」等の文字や、穿孔3を閉塞した日付、施工記録等の情報とすると良い。
【0043】
張出部24は、挿入部22から外側(挿入部22の挿入方向に対して交差する方向)に張り出した部分である。張出部24は、挿入部22の軸線方向(挿入方向)の中間部に設けることも可能であるが、本実施形態では図示例のように、挿入部22の挿入方向の終端部に設けられている。張出部24は、挿入部22の周方向の一部に設けられていても良いが、本実施形態では挿入部22の周方向全体に亘って設けられている。また、張出部24の張出量(挿入部22の挿入方向に対して交差する方向への長さ)は、各部において相違していても良いが、本実施形態では周方向の各部において均等に張り出したものとされている。これにより、張出部24は、挿入部22の終端部において全周に亘って設けられたフランジ状のものされている。
【0044】
外周部材30は、本管1の周壁2(外周面2a)に対して当接するように取り付けられる部分である。外周部材30は、外壁当接部32、及び筒状部34を有する。外周部材30は、例えば樹脂製や金属製のもの等、適宜の素材によって構成されたものとすることができる。外周部材30を樹脂製とする場合は、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等からなる樹脂製のものとすると良い。また、穿孔3が設けられている下水道等の本管1に塩化ビニル管が用いられることが多いことを考慮すれば、接着剤を用いて外周部材30を容易に接着固定できる観点から、特にPVCが外周部材30の材質として好ましい。
【0045】
外壁当接部32は、周壁2(外周面2a)と同等の曲率で湾曲した円弧状の断面形状を有し、平面視で略矩形の形状を有する部材である。外壁当接部32は、長手方向(母線方向)に所定の長さを有し、長手方向の略中央部に表面30aから裏面30bに向けて貫通するように設けられた貫通孔30cを備えている。
【0046】
筒状部34は、貫通孔30cを取り囲むように形成された円筒状の部分である。また、筒状部34の内径や裏面30bの開口径や開口形状は、本管1に設けられた穿孔3の開口径に対応する大きさや形状とされている。筒状部34は、外周部材30を本管1に対して取り付けた状態において、本管1の外側に位置するとともに、穿孔3の周部において本管1の軸線方向に対して交差する方向(略直交する方向)に向けて突出する。
【0047】
スペーサ40は、本管1に対して穿孔閉塞装置10を取り付けた状態において、上述した穿孔閉塞体20、及び外周部材30の筒状部34の間に介在する部材である。スペーサ40は、上述した穿孔閉塞体20や外周部材30と同様に、例えば樹脂製、金属製、ゴム製、あるいはコンクリート製等のもの等、適宜の素材によって構成されたものとすることができる。スペーサ40を樹脂製とする場合は、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等からなる樹脂製のものとすると良い。また、穿孔3が設けられている下水道等の本管1に塩化ビニル管が用いられることが多いことを考慮すれば、接着剤を用いてスペーサ40を容易に接着固定できる観点から、特にPVCがスペーサ40の材質として好ましい。
【0048】
スペーサ40は、本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて延びるものとされている。また、スペーサ40は、穿孔閉塞体20及び筒状部34の間に介在する部材である。スペーサ40は、このような特性を有するものであれば、いかなる形状を有するものであっても良いが、本実施形態では筒状部34と同様に円筒状の部材とされている。スペーサ40をなす筒体は、その外径が筒状部34の内径と同等の大きさを有するものとされている。これにより、スペーサ40は、筒状部34の内部において略隙間無く収まるものとされている。
【0049】
また、スペーサ40は、軸線方向への長さが、穿孔閉塞体20の底部22aから張出部24までの高さと同等の大きさを有するものとされている。スペーサ40の上端部は、穿孔閉塞装置10を本管1に対して取り付けた状態において、穿孔閉塞体20の張出部24に対して下方側から当接する部分となる。そのため、スペーサ40は、外周部材30の筒状部34と穿孔閉塞体20との隙間を埋めることにより穿孔閉塞体20を穿孔3や筒状部34の径方向に位置決めするとともに、穿孔閉塞体20が穿孔3内に脱落するのを抑制したり、穿孔閉塞体20の閉塞面26が穿孔3内に到達した位置において位置決めしたりすることができる。
【0050】
スペーサ40は、本管1の管径に応じて本管1の径方向外側から内側への突出量を調整可能とされている。スペーサ40は、本管1の径方向外側から内側への突出量が適正となる位置において、筒状部34に対して固定されている。具体的には、図1図2等に示すように断面視した状態において、スペーサ40は、下端部が穿孔3に入らない位置となるように本管1の径方向外側から内側への突出量を調整して筒状部34に対して固定されている。また、スペーサ40は、筒状部34に対して接着剤等を用いて密着するように固定されている。具体的には、例えば、スペーサ40及び筒状部34がPVC製の場合には、公知の塩化ビニル用接着剤を用いることにより、スペーサ40が筒状部34に対して密着するように固定される。これにより、スペーサ40は、筒状部34に対して水密に接続されている。
【0051】
穿孔閉塞装置10は、上述したような穿孔閉塞体20や外周部材30、スペーサ40を備えている。穿孔閉塞装置10は、穿孔閉塞体20の閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように挿入した状態となるように取り付けられる。また、このように穿孔閉塞装置10を本管1に対して取り付けると、穿孔閉塞体20の張出部24が本管1の外側において穿孔3の開口領域よりも外側に張り出した状態となる。これにより、穿孔閉塞装置10は、穿孔3から本管1の内部に脱落等しないように穿孔閉塞体20を取り付けて穿孔3を閉塞しつつ、本管1の内側から閉塞面26の存在を容易に確認可能とすることができる。
【0052】
上述した穿孔閉塞装置10による穿孔3を閉塞する際には、以下に説明するような穿孔閉塞方法により本管1の穿孔3に対する穿孔閉塞装置10の取付施工が行われる。以下、本実施形態に係る穿孔閉塞方法について説明する。
【0053】
図3に示すように、本実施形態の穿孔閉塞方法は、筒状部設置工程、及び閉塞体装着工程を含む複数の工程を経て行われる。
【0054】
図3(a)に示すように、筒状部設置工程は、本管1の外側において、本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部34を穿孔3の周部に設ける工程である。上述した穿孔閉塞装置10を用いて本実施形態の穿孔閉塞方法による施工を行う場合には、外周部材30として、外壁当接部32の曲率が本管1の外径に適合したものを準備し、本管1の穿孔3と貫通孔30cとを位置合わせした状態で外壁当接部32を本管1の外周面2aに対して固定する。
【0055】
本管1に対する外壁当接部32の固定に際しては、両者の間に接着剤を塗布する等して、両者の間が水密となるように固定される。このようにして本管1に対して外周部材30を取り付けることにより、筒状部34を穿孔3の周部に設けることができる。また、本実施形態では、このようにして筒状部34を設けた後や、あるいは外周部材30を本管1に対して取り付ける前の段階において、筒状部34に対してスペーサ40を取り付けた状態とされる。これにより、筒状部34とともに、スペーサ40が取り付けられた状態とされる。
【0056】
上述した筒状部設置工程が完了すると、閉塞体装着工程へと工程が移行する。図3(b)に示すように、閉塞体装着工程は、上述した穿孔閉塞体20を外周部材30の筒状部34に対して装着する工程である。上述した穿孔閉塞装置10を用いて本実施形態の穿孔閉塞方法による施工を行う場合には、筒状部設置工程において設置済みである筒状部34及びスペーサ40の内側に、穿孔閉塞体20の挿入部22を挿入することにより閉塞体装着工程が行われる。挿入部22の挿入に際して、挿入部22は、閉塞面26を先頭(本管1の内側)を向く姿勢とされる。挿入部22をこのような姿勢として、筒状部34及びスペーサ40の内側において、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように、挿入部22が挿入される。
【0057】
ここで、本実施形態では、スペーサ40の長さが穿孔閉塞体20の閉塞面26から張出部24までの長さとされると共に、張出部24がスペーサ40の上端部に当接するまで挿入部22を挿入すると、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達した状態となるように、スペーサ40の大きさや取付位置が調整されている。そのため、閉塞体装着工程においては、スペーサ40の上端部に張出部24が当接するまで挿入部22を挿入することにより、本管1の内部から閉塞面26の位置を確認する等しなくても、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達した状態となるように挿入部22を取り付けることができる。このようにして挿入部22の挿入が完了すると筒状部設置工程が完了し、穿孔閉塞装置10により本管1の穿孔3が閉塞された状態になる。
【0058】
≪作用効果について≫
上記実施形態に係る穿孔閉塞装置10、穿孔閉塞体20、及び穿孔閉塞方法は、以下の(a)~(j)のような特徴を有する。これにより、穿孔閉塞装置10、穿孔閉塞体20、及び穿孔閉塞方法は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0059】
(a)本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するためのものであって、本管1の外側から穿孔3に対して挿入される挿入部22を有し、挿入部22が、穿孔3の開口領域に亘って拡がる閉塞面26を有し、閉塞面26が、挿入部22を穿孔3に対して挿入することにより、本管1の外周面2aよりも本管1の内側に到達する位置に設けられたものである。
【0060】
本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の外側から穿孔3に対して挿入される挿入部22を穿孔3に対して挿入することにより、穿孔3を閉塞することができる。そのため、本実施形態の穿孔閉塞体20は、穿孔3の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本実施形態の穿孔閉塞体20は、挿入部22に設けられた閉塞面26が穿孔3の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管1の外周面2aよりも本管1の内側に到達する位置に閉塞面26が設けられている。そのため、本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面26の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本実施形態の穿孔閉塞体20は、閉塞部材によって穿孔3が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0061】
(b)本実施形態の穿孔閉塞体20は、挿入部22から外側に張り出した張出部24を有し、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように挿入部22を穿孔3に対して挿入した状態において、張出部24が、本管1の外側において穿孔3の開口領域よりも外側に張り出した状態となるものである。
【0062】
本実施形態の穿孔閉塞体20は、かかる構成とすることにより、挿入部22が穿孔3に対して過剰に挿入された状態になるのを抑制できる。これにより、本実施形態の穿孔閉塞体20は、穿孔3に対する挿入部22の挿入量を最適化し、閉塞面26を適切な位置に配置することができる。従って、本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置と、閉塞面26との距離を最適化し、穿孔3が閉塞されているのか否かの判別精度をより一層向上できる。また、本実施形態の穿孔閉塞体20は、上記(b)のような構成とすることにより、本管1の外側から穿孔3に挿入された挿入部22が、本管1の内側に脱落してしまうのを抑制できる。
【0063】
(c)本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するためのものであって、本管1の外側に配され、穿孔3の周部において本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部34を備えた外周部材30に対して直接的あるいは間接的に装着されるものであり、筒状部34に対して挿入される挿入部22を有し、挿入部22が、穿孔3の開口領域に亘って拡がる閉塞面26を有し、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように挿入されるものである。
【0064】
本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の外側から穿孔3に対して挿入される挿入部22を穿孔3に対して挿入することにより、穿孔3を閉塞することができる。そのため、本実施形態の穿孔閉塞体20は、穿孔3の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本実施形態の穿孔閉塞体20は、挿入部22に設けられた閉塞面26が穿孔3の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管1の外周面2aよりも本管1の内側に到達する位置に閉塞面26が設けられている。そのため、本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面26の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本実施形態の穿孔閉塞体20は、閉塞部材によって穿孔3が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0065】
また、本実施形態の穿孔閉塞体20は、本管1の外側に配された外周部材30が備える筒状部34に対して直接的あるいは間接的に装着されるものである。これにより、本実施形態の穿孔閉塞体20は、外周部材30の筒状部34によってガイドされつつ穿孔3に対して挿入することができる。また、本実施形態の穿孔閉塞体20は、穿孔3に対して挿入された状態において、外周部材30の筒状部34によって側方から支持された状態となる。従って、本実施形態の穿孔閉塞体20は、穿孔3に対する取り付けを容易かつ精度良く行えるとともに、取り付け後における安定性の面においても優れた特性を有する。
【0066】
(d)本実施形態の穿孔閉塞装置10は、本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するためのものであって、本管1の外側に配され、穿孔3の周部において本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部34と、筒状部34に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体20と、を有し、穿孔閉塞体20が、筒状部34を介して穿孔3に挿入される挿入部22を有し、挿入部22が、穿孔3の開口領域に亘って拡がる閉塞面26を有し、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように挿入されるものである。
【0067】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、本管1の外側に配される筒状部34と、筒状部34に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体20とを有する。本実施形態の穿孔閉塞装置10は、筒状部34を介して穿孔閉塞体20の挿入部22を穿孔3に挿入することにより、穿孔3を閉塞することができる。そのため、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、穿孔3の閉塞作業を容易に行うことができる。また、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、挿入部22に設けられた閉塞面26が穿孔3の開口領域に亘って拡がるものであるとともに、本管1の外周面2aよりも本管1の内側に到達する位置に閉塞面26が設けられている。そのため、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面26の存在を容易かつ精度良く確認することができる。従って、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、閉塞部材によって穿孔3が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別できる。
【0068】
また、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、本管1の外側に配された筒状部34に対して直接的あるいは間接的に装着されるものである。これにより、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、筒状部34によって穿孔閉塞体20をガイドしつつ穿孔3に対して挿入することができる。また、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、穿孔閉塞体20が穿孔3に対して挿入された状態において、筒状部34によって側方から支持された状態とすることができる。従って、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、穿孔3に対する穿孔閉塞体20の取り付けを容易かつ精度良く行えるとともに、取り付け後においても穿孔閉塞体20を安定的に保持することができる。
【0069】
(e)本実施形態の穿孔閉塞装置10は、筒状部34、及び穿孔閉塞体20の間に介在するスペーサ40を有するものである。
【0070】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、かかる構成とすることにより、穿孔閉塞体20を筒状体や穿孔3に対して位置決め精度良く取り付けることができる。
【0071】
(f)本実施形態の穿孔閉塞装置10は、スペーサ40が、本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて延びるものであり、本管1の管径に応じて本管1の径方向外側から内側への突出量を調整可能なものである。
【0072】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、かかる構成とすることにより、本管1の管径に応じてスペーサ40を適切な突出量となるように取り付けることができる。
【0073】
(g)本実施形態の穿孔閉塞装置10は、筒状部34及びスペーサ40が接着により固定されているものである。
【0074】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、かかる構成とすることにより、筒状部34及びスペーサ40の密着性を高め、両者の間を水密にすることができる。これにより、本実施形態の穿孔閉塞装置10は、筒状部34及びスペーサ40の間から漏水等が発生するのを抑制できる。
【0075】
(h)本実施形態の穿孔閉塞装置10は、閉塞面26が、穿孔3の閉塞を本管1の内側から識別可能とする識別部28を有するものである。
【0076】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、かかる構成とすることにより、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって識別部28を識別することにより、閉塞部材によって穿孔3が閉塞されているのか否かを容易かつ精度良く判別可能なものとすることができる。
【0077】
(i)本実施形態の穿孔閉塞装置10において、識別部28は、少なくとも本管1の内側を向く領域に付された表示である。
【0078】
本実施形態の穿孔閉塞装置10は、かかる構成とすることにより、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置による識別部28の識別精度を一層向上させることができる。
【0079】
(j)本実施形態の穿孔閉塞方法は、本管1の周壁2に形成された穿孔3を閉塞するための方法であって、本管1の外側において、本管1の軸線方向に対して交差する方向に向けて突出する筒状部34を穿孔3の周部に設ける筒状部設置工程と、筒状部34に対して挿入される挿入部22を有するとともに、挿入部22が穿孔3の開口領域に亘って拡がる閉塞面26を有する穿孔閉塞体20を、筒状部34を介して穿孔3に装着する閉塞体装着工程と、を有し、閉塞体装着工程において、閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように、穿孔閉塞体20の挿入部22が筒状部34に対して挿入されることを特徴とするものである。
【0080】
本実施形態の穿孔閉塞方法は、筒状部設置工程において筒状部34を穿孔3の周部に設けた後、閉塞体装着工程において穿孔閉塞体20の挿入部22を筒状部34を介して穿孔3に装着することにより、穿孔閉塞体20によって穿孔3を閉塞することができる。本実施形態の穿孔閉塞方法では、閉塞体装着工程において、穿孔閉塞体20に設けられた閉塞面26が本管1の外周面2aよりも本管1の内側まで到達するように、穿孔閉塞体20の挿入部22が筒状部34に対して挿入される。従って、本実施形態の穿孔閉塞方法によれば、本管1の内部に導入された自走式のカメラ等の装置によって閉塞面26の存在を容易かつ精度良く確認できるように、穿孔閉塞体20を設置して穿孔3を閉塞できる。
【0081】
≪変形例≫
上記実施形態において例示したものは、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(j)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、本発明の穿孔閉塞体、穿孔閉塞装置、及び穿孔閉塞方法は、上述した(a)~(j)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(j)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。具体的には、以下に説明するような変形例が考えられる。
【0082】
具体的には、穿孔閉塞体20は、上述したような構成のものに限定されず、上記(a)のように、閉塞面26を有する挿入部22を有するものであれば良い。例えば、穿孔閉塞体20は、挿入部22の天面側についても閉塞されたものや、挿入部22が中実のもの、突出部22cを備えていないもの、張出部24を備えていないもの、識別部28を備えていないもの等とすることも可能である。
【0083】
穿孔閉塞体20は、上記(b)のような張出部24を設ける場合において、張出部24を上述したような形態のものとする必要はない。例えば、張出部24は、挿入部22から外側に向けて全周に亘って略均等に張り出したものとする必要はなく、例えば外周部材30における筒状部34に対する外壁当接部32のように、周方向への張出量が不均等なもの等とすることができる。
【0084】
上述した穿孔閉塞体20は、上記(c)のように筒状部34を備えた外周部材30に対してスペーサ40を介して間接的に装着されるものであるが、本発明はこれに限定されず、スペーサ40を介さず筒状部34に対して直接的に装着されるものや、スペーサ40に代えてあるいはスペーサ40に加えて他の部材を介して間接的に装着されるものとしても良い。
【0085】
穿孔閉塞装置10は、上述したような構成のものに限定されず、上記(d)のように、筒状部34と、筒状部34に対して直接的あるいは間接的に装着される穿孔閉塞体20とを有するものであれば良い。例えば、穿孔閉塞装置10は、本管1に対して取り付けられる外周部材30に筒状部34が設けられたものとして例示したが、本発明はこれに限定されず、外周部材30に代えて、他の部材に筒状部34に相当するものを設けた構成としたり、筒状部34を単独で本管1に対して設けた構成としたりしても良い。
【0086】
上述した穿孔閉塞装置10は、上記(e)のように、筒状部34、及び穿孔閉塞体20の間に介在するスペーサ40を備えたものであるが、本発明はこれに限定されず、スペーサ40を備えていないものとしても良い。
【0087】
上述した穿孔閉塞装置10は、上記(f)のように、スペーサ40が、本管1の管径に応じて本管1の径方向外側から内側への突出量を調整可能なものであるが、本発明はこれに限定されず、スペーサ40の突出量を調整できないものとすることも可能である。
【0088】
上述した穿孔閉塞装置10は、上記(g)のように、筒状部34及びスペーサ40が接着により固定されたものを例示したが、本発明はこれに限定されず、筒状部34及びスペーサ40が非接着状態で配されるものとしても良い。
【0089】
上述した穿孔閉塞装置10は、上記(h)のように、閉塞面26が、穿孔3の閉塞を本管1の内側から識別可能とする識別部28を有するものであるが、本発明はこれに限定されず、識別部28を備えていないものとしても良い。
【0090】
上述した穿孔閉塞装置10は、上記(i)のように、識別部28が、少なくとも本管1の内側を向く領域に付された表示として設けられたものであるが、本発明はこれに限定されず、上記実施形態において例示したように表示以外のものを識別部28として設けたものとしても良い。
【0091】
上述した穿孔閉塞方法は、上記(j)のように、筒状部設置工程、及び閉塞体装着工程を経て穿孔閉塞装置10により穿孔3を閉塞するものであるが、本発明はこれに限定されず、これらの工程に加えて他の工程を設けたものとすることも可能である。
【0092】
また、上述した穿孔閉塞方法は、外周部材30を備えた穿孔閉塞装置10を用いることにより、筒状部設置工程において筒状部34を本管1に対して設けるものであるが、本発明はこれに限定されない。具体的には、上述した穿孔閉塞方法は、筒状部設置工程において外周部材30を用いることなく筒状部34に相当するものを本管1に設けられた穿孔3を取り囲むように設け、これに対して閉塞体装着工程において穿孔閉塞体20を取り付けるものとしても良い。
【0093】
さらに詳細には、筒状部設置工程において、図4(a)において二点鎖線で示すように、本管1に対して既設の支管4あるいは支管4を本管1に対して接続するための接続部材5(図示例では接続部材5)を、軸線方向の中間部で切断する。これにより、図4(b)に示すように、本管1には、支管4や接続部材5の一部である筒体6が残った状態になる。図4(c)に示すように、この筒体6を筒状部34に代わるものとして活用し、これに対して穿孔閉塞体20を取り付けることにより、上記実施形態で示したのと同様に、穿孔閉塞体20により穿孔3を閉塞することができる。すなわち、本発明にかかる穿孔閉塞方法は、以下に記載の(k)のようなものとすることができる。
【0094】
(k)本実施形態の穿孔閉塞方法は、筒状部設置工程において、本管1に対して既設の支管4あるいは支管4を本管1に対して接続するための接続部材5を切断することにより本管1に残る筒体6を、筒状部34として設けるものとすることができる。
【0095】
本発明の穿孔閉塞方法は、上記(k)のようなものとすることにより、本管1に対して既設の支管4あるいは支管4を本管1に対して接続するための接続部材5を切断することにより本管1に残る筒体を筒状部として活用することができる。そのため、本発明の穿孔閉塞方法は、上記(k)のようにすることにより、上記実施形態で示したような筒状部34を別途設ける必要がなく、その分だけ穿孔3の閉塞に要する施工コストや施工の手間を抑制することができる。
【0096】
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、水道管、下水管、排水管等の各種の配管において、本管に対して枝管を接続するために形成された穿孔を閉塞する用途全般において好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 :本管
2 :周壁
2a :外周面
3 :穿孔
10 :穿孔閉塞装置
20 :穿孔閉塞体
22 :挿入部
24 :張出部
26 :閉塞面
28 :識別部
30 :外周部材
34 :筒状部
40 :スペーサ
図1
図2
図3
図4