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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158522
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用ドアミラー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B60R1/06 D
B60R1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073782
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中谷 崇
(72)【発明者】
【氏名】松原 智哉
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF29
3D053FF30
3D053GG06
3D053HH04
3D053HH14
3D053HH53
3D053HH55
(57)【要約】
【課題】ハウジングカバーの開口を閉鎖パーツで閉鎖する場合に生じ得る閉鎖パーツの脱落リスクを解消又は低減すること。
【解決手段】
車両用のドアミラー1は、外面38と内面39を有するシェル部37を含むと共に、シェル部37を貫通する少なくとも一つの開口45が形成された下部カバー31と、少なくとも一つの開口45を下部カバー31の内側から塞ぐ閉鎖パーツ20を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のドアミラーであって、
外面と内面を有するシェル部を含むと共に、前記シェル部を貫通する少なくとも一つの開口が形成されたハウジングカバーと、
前記少なくとも一つの開口を前記ハウジングカバーの内側から塞ぐ閉鎖パーツを備える、ドアミラー。
【請求項2】
前記閉鎖パーツは、前記少なくとも一つの開口内に少なくとも部分的に配置されて前記少なくとも一つの開口を閉鎖する閉鎖部と、前記閉鎖部を挟むようにその両側に設けられ、前記ハウジングカバーの第1及び第2取付部に個別に取り付けられる第1及び第2被取付部を含む、請求項1に記載のドアミラー。
【請求項3】
前記閉鎖パーツの前記第1及び第2被取付部が線対称に形状付けられる、請求項2に記載のドアミラー。
【請求項4】
前記ハウジングカバーの前記第1及び第2取付部が線対称に形状付けられる、請求項3に記載のドアミラー。
【請求項5】
前記シェル部は、前記少なくとも一つの開口を画定する周縁部を有し、
前記閉鎖部は、前記周縁部の全周において前記周縁部の内面に当接するシール面を有する、請求項2に記載のドアミラー。
【請求項6】
前記閉鎖部は、前記少なくとも一つの開口内に配置された閉鎖板と、前記閉鎖板から張り出して前記シール面を持つシール部を有する、請求項5に記載のドアミラー。
【請求項7】
前記閉鎖部は、前記少なくとも一つの開口とは反対側で開口した凹部を有し、前記凹部を周囲するリブには前記凹部からの流体排出を許容する少なくとも一つの溝が形成される、請求項2に記載のドアミラー。
【請求項8】
前記少なくとも一つの溝が、線対称に配置された2個の溝を含む、請求項7に記載のドアミラー。
【請求項9】
前記閉鎖パーツは、その枢動を介して前記ハウジングカバーに取り付けられる、請求項1に記載のドアミラー。
【請求項10】
前記第1取付部が枢支部を含み、前記第1被取付部が、前記枢支部により枢支される被枢支部を含み、前記第2被取付部が、前記ハウジングカバーへの前記閉鎖パーツの取付時に旋回する旋回部を含み、当該旋回部は、前記第2取付部の係止部により係止される被係止部を有する、請求項2乃至8のいずれか一項に記載のドアミラー。
【請求項11】
前記閉鎖パーツは、前記少なくとも一つの開口内に少なくとも部分的に配置されて前記少なくとも一つの開口を閉鎖する閉鎖部を含み、
前記被枢支部及び前記旋回部は、前記閉鎖部を挟む態様で第1軸線上に配置され、かつ前記第1軸線に関して線対称に形状付けられる、請求項10に記載のドアミラー。
【請求項12】
前記被枢支部は、一対の被係止端が枢動軸上で反対側に突出した枢動軸部と、前記閉鎖部と前記枢動軸部の間を延びて両者を連結する連結部を含む、請求項11に記載のドアミラー。
【請求項13】
前記枢支部は、前記少なくとも一つの開口の径方向外側を向いた切り欠きを有する一対の枢支板を含み、前記被枢支部は、前記切り欠きへの前記被係止端の挿入により前記枢支部により枢支される、請求項12に記載のドアミラー。
【請求項14】
前記連結部は、前記枢動軸部に連結した近位端部と、前記閉鎖部に連結した遠位端部を有し、前記近位端部と前記遠位端部の間の少なくとも1箇所で屈曲している、請求項12に記載のドアミラー。
【請求項15】
前記連結部は、前記近位端部と前記遠位端部の間の少なくとも2箇所で屈曲してコ字状の形状を有する、請求項14に記載のドアミラー。
【請求項16】
前記第2取付部は、前記被係止部を少なくとも部分的に受容する筒部を有する、請求項10に記載のドアミラー。
【請求項17】
前記ハウジングカバーは、前記少なくとも一つの開口の周囲にカメラ又はカメラユニットが取り付けられるカメラ取付部を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のドアミラー。
【請求項18】
ハウジングカバーに形成された少なくとも一つの開口を前記ハウジングカバーの内側から塞ぐように前記ハウジングカバーに対して閉鎖パーツを取り付けることを含むドアミラーの製造方法。
【請求項19】
車両用のドアミラーの製造方法であって、
少なくとも一つの開口、カメラ取付部、及び閉鎖パーツ取付部を含み、前記少なくとも一つの開口の周囲に前記カメラ取付部及び前記閉鎖パーツ取付部が位置付けられたハウジングカバーを連続的に成形することと、
前記ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第1のハウジングカバーの前記カメラ取付部に対してカメラを直接又はブラケットを介して取り付けることと、
前記ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第2のハウジングカバーの前記閉鎖パーツ取付部に対して前記第2のハウジングカバーの内側から閉鎖パーツを取り付けることを含む、ドアミラーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ドアミラー及びその製造方法に関し、より詳細には光学装置を有するドアミラー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用サイドミラーのハウジング内にカメラとランプを組み付けることが開示されている。同文献の図2に示すようにカメラ50とランプ60が共通のネジBによって固定されている。
【0003】
特許文献2にはドアミラーにランプを組み込んで車両への乗員の乗り降りに際して足下照明を提供することが開示されている。
【0004】
特許文献3には車両の外面に装飾的な光デザインを投影する投影装置を車両に組み込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-78559号公報
【特許文献2】特開平11-198717号公報
【特許文献3】米国特許第7175321号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドアミラーのハウジングカバーにカメラ用又はランプ用の開口を形成する場合がある。しかしながら、ドアミラーにカメラ又はランプが搭載されない場合、この開口を閉鎖することが求められる。さもなければ、別途、その開口無しのハウジングカバーを成形又は造形する必要が生じるためである。この点に併せて、ハウジングカバーの開口を閉鎖パーツで閉鎖する場合、閉鎖パーツの脱落リスクについても検討する意義がある。例えば、車両が走行中にドアミラーから閉鎖パーツが脱落すれば、その閉鎖パーツの脱落に気付かずないおそれが高い。この状況が放置されれば、ドアミラーの内蔵部品がより厳しい環境に晒されることになる。例えば、車両走行時に路面の水たまりに車輪が進入して水しぶきが飛散してドアミラー内に進入するおそれもある。
【0007】
本願発明者は、上述の非限定の例示の説明から分かるようにハウジングカバーの開口を閉鎖パーツで閉鎖する場合に生じ得る閉鎖パーツの脱落リスクを解消又は低減するという新たな課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る車両用ドアミラーは、外面と内面を有するシェル部を含むと共に、シェル部を貫通する少なくとも一つの開口が形成されたハウジングカバーと、少なくとも一つの開口をハウジングカバーの内側から塞ぐ閉鎖パーツを含む。
【0009】
幾つかの実施形態においては、閉鎖パーツは、少なくとも一つの開口内に少なくとも部分的に配置されて少なくとも一つの開口を閉鎖する閉鎖部と、閉鎖部を挟むようにその両側に設けられ、ハウジングカバーの第1及び第2取付部に個別に取り付けられる第1及び第2被取付部を含む。有利には、閉鎖パーツの第1及び第2被取付部が線対称に形状付けられる。有利には、ハウジングカバーの第1及び第2取付部が線対称に形状付けられる。
【0010】
幾つかの実施形態においては、シェル部は、少なくとも一つの開口を画定する周縁部を有し、閉鎖部は、周縁部の全周において周縁部の内面に当接するシール面を有する。有利には、閉鎖部は、少なくとも一つの開口内に配置された閉鎖板と、閉鎖板から張り出してシール面を持つシール部を有する。
【0011】
幾つかの実施形態においては、閉鎖部は、少なくとも一つの開口とは反対側で開口した凹部を有し、凹部を周囲するリブには凹部からの流体排出を許容する少なくとも一つの溝が形成される。少なくとも一つの溝が、線対称に配置された2個の溝を含み得る。
【0012】
幾つかの実施形態においては、閉鎖パーツは、その枢動を介してハウジングカバーに取り付けられる。
【0013】
幾つかの実施形態においては、第1取付部が枢支部を含み、第1被取付部が、枢支部により枢支される被枢支部を含み、第2被取付部が、ハウジングカバーへの閉鎖パーツの取付時に旋回する旋回部を含み、当該旋回部は、第2取付部の係止部により係止される被係止部を有する。
【0014】
幾つかの実施形態においては、閉鎖パーツは、少なくとも一つの開口内に少なくとも部分的に配置されて少なくとも一つの開口を閉鎖する閉鎖部を含み、被枢支部及び旋回部は、閉鎖部を挟む態様で第1軸線上に配置され、かつ第1軸線に関して線対称に形状付けられる。
【0015】
幾つかの実施形態においては、被枢支部は、一対の被係止端が枢動軸上で反対側に突出した枢動軸部と、閉鎖部と枢動軸部の間を延びて両者を連結する連結部を含む。
【0016】
幾つかの実施形態においては、枢支部は、少なくとも一つの開口の径方向外側を向いた切り欠きを有する一対の枢支板を含み、被枢支部は、切り欠きへの被係止端の挿入により枢支部により枢支される。
【0017】
幾つかの実施形態においては、連結部は、枢動軸部に連結した近位端部と、閉鎖部に連結した遠位端部を有し、近位端部と遠位端部の間の少なくとも1箇所で屈曲している。
【0018】
幾つかの実施形態においては、連結部は、近位端部と遠位端部の間の少なくとも2箇所で屈曲してコ字状の形状を有する。
【0019】
幾つかの実施形態においては、第2取付部は、被係止部を少なくとも部分的に受容する筒部を有する。
【0020】
幾つかの実施形態においては、ハウジングカバーは、少なくとも一つの開口の周囲にカメラ又はカメラユニットが取り付けられるカメラ取付部を有する。
【0021】
本開示の別態様に係る車両用のドアミラーの製造方法は、少なくとも一つの開口、カメラ取付部、及び閉鎖パーツ取付部を含み、少なくとも一つの開口の周囲にカメラ取付部及び閉鎖パーツ取付部が位置付けられたハウジングカバーを連続的に成形することと、ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第1のハウジングカバーのカメラ取付部に対してカメラを直接又はブラケットを介して取り付けることと、ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第2のハウジングカバーの閉鎖パーツ取付部に対して第2のハウジングカバーの内側から閉鎖パーツを取り付けることを含む。
【0022】
本開示のまた別態様に係る車両用のドアミラーの製造方法は、ハウジングカバーに形成された少なくとも一つの開口をハウジングカバーの内側から塞ぐようにハウジングカバーに対して閉鎖パーツを取り付けることを含む。
【発明の効果】
【0023】
本開示の一態様によれば、ハウジングカバーの開口を閉鎖パーツで閉鎖する場合に生じ得る閉鎖パーツの脱落リスクを解消又は低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一態様に係るドアミラーの前面図であり、そこに内蔵されたカメラ及びランプを点線にて併せて示す。
図2】ドアミラーの後面図であり、そこに内蔵されたカメラ及びランプを点線にて併せて示す。
図3】ドアミラーの下面図であり、その下部カバーにはカメラ及びランプ用の開口が個別に形成されている。
図4】ミラーハウジングと共に収容空間を画定する下部カバーの概略的な後面図である。
図5】下部カバーの概略的な斜視図である。
図6】下部カバーの概略的な斜視図であり、カメラ取付状態を示す。
図7】下部カバーの概略的な部分拡大図であり、閉鎖パーツが取り付けられる閉鎖パーツ取付部を示す。
図8図7の一点鎖線VIII-VIIIにおける下部カバーの概略的な断面模式図である。
図9】閉鎖パーツが取り付けられた状態の下部カバーの概略的な斜視図である。
図10図9の一点鎖線X-Xにおける下部カバーの概略的な断面模式図である。
図11】閉鎖パーツの概略的な斜視図である。
図12】閉鎖パーツの概略的な立面図であり、その外面側を示す。
図13】閉鎖パーツの概略的な立面図であり、その内面側を示す。
図14】閉鎖パーツの概略的な断面模式図である。
図15】閉鎖パーツ取付部への閉鎖パーツの取付方法を示す工程図である。
図16】変形例に係る閉鎖パーツを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示されたドアミラー及びその製造方法にのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々なドアミラー及びその製造方法にも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0026】
まず、図1乃至図3を主に参照して、まずドアミラー1にカメラ5が搭載される形態について説明する。図1は、ドアミラー1の前面図であり、そこに内蔵されたカメラ5とランプ6を点線にて併せて示す。図2は、ドアミラー1の後面図であり、そこに内蔵されたカメラ5とランプ6を点線にて併せて示す。図3は、ドアミラー1の下面図であり、その下部カバー31にはカメラ5とランプ6用の開口が個別に形成されている。ドアミラー1に関して、ドアミラー1の外部の任意の第1位置とドアミラー1の内部の任意の第2位置を結ぶ直線に関して、第2位置よりも第1位置に近い位置又はそこに向かう方向を外側と呼び、第1位置よりも第2位置に近い位置又はそこに向かう方向を内側と呼ぶ。上下・左右・前後方向は、車両に対してドアミラー1が取り付けられた状態を前提として用いる。上下・左右・前後方向は、車両に乗車した運転手を基準とする。車幅方向、鉛直方向、及び進行方向は、図1乃至図3等に図示の座標に示す通りである。
【0027】
ドアミラー1は、車両のドアパネルに締結具によって締結され、車両(不図示)の運転手に後方視界(所謂、リアビュー又はバックビュー)を提供する。典型的には、ドアミラー1は、ベース11、ベース11に対して回転軸AX3周りに手動又は電動で回動可能に設けられたミラーアセンブリー12を有する。ベース11は、車両のドアパネルに締結具によって締結される。ベース11は、ベースハウジング、シャフトホルダー、ハーネスガイド等の多数のパーツの組み合わせから成り得る。
【0028】
ミラーアセンブリー12は、典型的には不図示のシャフトを介してベース11に対して回転可能に連結される。ミラーアセンブリー12が展開位置にある時(図1及び図2参照)、ミラー35が後方を臨むように位置付けられる。ミラーアセンブリー12が格納位置にある時(不図示)、ミラー35が車両側面に対向して位置付けられる。シャフトの構造に基づいてミラーアセンブリー12は展開位置と格納位置の間で電動制御可能であり得る。また、ミラー35は、不図示のミラー駆動ユニットの作動に応じて揺動可能であり得る。これらの駆動機構は、本分野において周知であり、説明は省略する。
【0029】
ミラーアセンブリー12は、複数のハウジングパーツから組み立てられ得る。ハウジングパーツは、金属又は樹脂から成り、ダイカスト成形又は射出成形により成形されるが、他の造形方法も採用可能である。幾つかの場合、ミラーアセンブリー12は、ハウジングパーツとして、ミラーハウジング3、ミラーハウジング3と共にドアミラー1の収容空間を画定する下部カバー31、及びミラーハウジング3及び下部カバー31と共にドアミラー1の収容空間を画定する上部カバー32を有する。ミラーハウジング3は、ミラー35のハウジングとして機能し、かつ様々なパーツ、アクチュエータ、ハーネス等の支持部として機能し得る。下部カバー31及び上部カバー32は、ミラーハウジング3よりも軽量であり得る。これらのパーツの外観形状は、デザイン要求などの種々の要求に応じて変更可能である。下部及び上部カバーを区別することなく単にハウジングカバーとも呼ぶ。
【0030】
ミラーアセンブリー12の収容空間、例えば、ミラーハウジング3と下部カバー31により画定される収容空間にカメラ5及びランプ6が配備される。下部カバー31には、カメラ5と外部空間を空間的に連通する開口45と、ランプ6と外部空間を空間的に連通する開口46が形成される。下部カバー31は、外面38と内面39を有し、これにより厚みが画定されるシェル部37を有する。開口45,46は、少なくともシェル部37を貫通する。開口45,46は、ドアミラー1が車両に取り付けられた状態で鉛直方向下方を向き、即ち、車両が走行する走行面(例えば、路面)を臨む。開口45,46は、何ら物体により占有されていない無の空間を意味する。ランプ用の開口46は、カメラ用の開口45よりも大きく形成されるが、必ずしもこの限りではない。尚、シェル部37の外面38及び内面39には様々な構造部分が設けられ得る。また、ドアミラー1の外観形状のためにシェル部37は任意の3次元形状に形成される。
【0031】
カメラ5は、安全運転の支援のために車両周囲を撮影するモニターとして用いられるが、他の目的(車両周囲の物体検出)のために用いることもできる。ランプ6は、路面及び/又は車両側面を照明する装置であり、典型的には、照明ランプ(例えば、足下照明ランプ)及び投影ランプのいずれかであり得る。照明ランプは、車両のドアの開放又はカメラ5の稼働に同期して点灯し得る。投影ランプは、車両のドアの開放又はロック解除又は他のイベントに同期して点灯し得る。照明ランプは、投影ランプよりも広範囲を照明し、この点から異なる照明特性を持つものと言える。投影ランプは、照明ランプとは異なり、凸レンズを有することがあり、この点から異なる照明特性を持つものと言える。ランプ6として他の様々な種類のランプを採用可能である。投影ランプは、車両のメーカー又は車種に関する又はこれとは無関係のロゴ又は図柄を投影し得る。
【0032】
図1に図示の如く、ミラーアセンブリー12の回転軸AX3に平行な軸線L1に対するカメラ5の光軸AX5の(鋭角の)なす角θ1は、ミラーアセンブリー12の回転軸AX3に平行な軸線L2に対するランプ6の光軸AX6の(鋭角の)なす角θ2よりも大きく、これにより車両から十分に離れた範囲で画像取得することができる。軸線L1,L2を鉛直方向に平行な軸線と読み替えても同様である。
【0033】
図4乃至図6を参照して説明する。カメラ5は、ブラケット9(図6参照)を介して下部カバー31のカメラ取付部7(図4参照)に取り付けられ、開口45を介して到来する光束を受光して画像を取得する。下部カバー31は、ブラケット9を介してカメラ5が取り付けられるカメラ取付部7を有する。カメラ取付部7は、取付部71,72を有し、これらが車幅方向及び/又は鉛直方向において異なる位置に配置されている。図示例では、取付部71が開口45よりも車幅方向外側に位置し、取付部72が開口45よりも車幅方向内側に位置するが、逆にすることもできる。有利には、取付部71、取付部72、及び開口45が、下部カバー31の内側空間において仮想的に設定可能な三角形の頂点に配置され、これによりカメラ5の安定保持が促進される。最適には、取付部71,72といった合計2つの取付部のみが設けられ、カメラ5の組み付け効率が促進される。
【0034】
取付部71は、ブラケット9の挿入部91の挿入方向(第1方向)に開口した少なくとも1つのスロットを有する。幾つかの場合、取付部71は、少なくとも一つのスロットを画定する枠部73であり、下部カバー31の内面に一体的に連結される。図示例では、枠部73は、下部カバー31の内面から後方に突出して設けられ、起立した一対の側壁と、下部カバー31の内面から最も離れた頂壁(後壁)を有する。
【0035】
取付部71は、枠部73により画定されるスロットを2つのスロットSL1,SL2に仕切る仕切り部74を有することができる。図示例では、スロットSL1,SL2は、車両進行方向に沿って配置される。仕切り部74は、取付部71の上述の側壁をそれらの中間高さにて連結する。尚、取付部72は、例えば、図示の通りのボスであり、下部カバー31の内面から後方に向けて突出している。取付部72であるボスは、締結具の軸部が挿入される孔を有し、この孔の周囲には被締結部92が座する座面が形成される。取付部72としてボス以外の構造を採用することもできる。
【0036】
ブラケット9は、下部カバー31の取付部71の少なくとも1つのスロットに対して第1方向D1に挿入される挿入部91と、下部カバー31の取付部72に対して第1方向D1とは異なる第2方向D2において締結具により締結される被締結部92を有する。これによりカメラ5に対してブラケット9を装着した後、ブラケット9の挿入部91を取付部71のスロットに挿入し、続いてブラケット9の被締結部92を取付部72上に配置して締結具を用いて締結することができる。即ち、ドアミラーの構成パーツへのカメラ5のより円滑な組み付けが促進される。図示例では、第1方向D1は、車幅方向に沿う方向であり、第2方向D2は、車両進行方向に沿う方向である。
【0037】
特には、取付部71のスロットへの挿入部91の挿入と取付部72上への被締結部92の配置によって、ブラケット9付きのカメラ5(単にカメラユニットとも呼ぶ)を仮固定できる。この仮固定状態で取付部72に対して締結具を用いて被締結部92を安定して円滑に締結することができる。場合によっては、取付部71のスロットへの挿入部91の挿入度合い、取付部71のスロットの構造、又は挿入部91の挿入端の構造によって、締結前にカメラユニットが揺動可能であり、従って、取付部72上への被締結部92の配置も容易に行うことができる。
【0038】
以下、下部カバー31にカメラ5が取り付けられず、閉鎖パーツ20が取り付けられて開口45が閉鎖される形態について説明する。本形態によれば、カメラ有り仕様の下部カバー31をカメラ無し仕様のものに流用することができ、製造コストの低減が図られる。更には、下部カバー31の開口45を通じて雨水や風の流入を防ぎ、ドアミラー1の内部パーツ(例えば、ハーネス、ランプ、及び/又は駆動機構)を保護できる。念のため言えば、閉鎖パーツ20は、下部カバー31の開口45を閉鎖するものに限られない。下部カバー31以外のハウジングカバーに開口45が形成される場合、その閉鎖のためにそのハウジングカバーに閉鎖パーツ20を取り付けることができる。また、閉鎖パーツ20により閉鎖される開口は、カメラ用の開口45に限られず、ランプ、他の光学装置、ハーネス、又は電線のための開口であっても構わない。
【0039】
図7は、下部カバー31の概略的な部分拡大図であり、閉鎖パーツ20が取り付けられる閉鎖パーツ取付部8を示す。図8は、図7の一点鎖線VIII-VIIIにおける下部カバー31の概略的な断面模式図である。図9は、閉鎖パーツ20が取り付けられた状態の下部カバー31の概略的な斜視図である。図10は、図9の一点鎖線X-Xにおける下部カバー31の概略的な断面模式図である。
【0040】
下部カバー31は、閉鎖パーツ20が取り付けられる閉鎖パーツ取付部8を有する。閉鎖パーツ取付部8は、第1及び第2取付部81,82を有する。第1取付部81と第2取付部82は、同一直線上で開口45を挟んでその両側に配置される。第1取付部81は、カメラ取付部7の取付部71と取付部72の間に位置し、第2取付部82についても同様である。これによりカメラ取付部7と閉鎖パーツ取付部8の両方について他方により空間的に制約されずに設計できる。
【0041】
第1取付部81は、閉鎖パーツ20を枢支する枢支部81’として設けられ得る。枢支部81’は、開口45の径方向外側を向いた切り欠き81bが形成された一対の枢支板81aを含む。一対の枢支板81aは、開口45の径方向外側に並走して設けられ、両者の間に所定幅W81の間隔が形成される。この幅W81は、後述の閉鎖パーツ20の連結部28の幅よりも広く、好適には僅かに大きい。これにより枢支板81aと閉鎖パーツ20の連結部28の干渉が回避される。追加或いは代替として、枢支板81aは、開口45に向かって漸減する高さH81を持つ。これにより後述のように閉鎖パーツ20が枢動する時の枢支板81aと閉鎖パーツ20の連結部28の干渉が回避される。閉鎖パーツ20が下部カバー31に取り付けられた状態では閉鎖パーツ20の連結部28が一対の枢支板81aの間に挟まれる。連結部28と下部カバー31の間の隙間が、一対の枢支板81aによって連結部28の両側で少なくとも部分的に閉鎖される。これにより閉鎖パーツ20の外れに至る逆枢動力が連結部28(特にはコ字状のもの)に作用することが抑制される。
【0042】
第2取付部82は、閉鎖パーツ20が外れないように閉鎖パーツ20の被係止部22bを係止する係止部82bを有する。この目的において第2取付部82は任意の形状を取り得る。図示例では、第2取付部82は、閉鎖パーツ20の被係止部22bを少なくとも部分的に受容する筒部82aとして設けられる。筒部82aにおいて、開口45からより離れて位置する側壁部(即ち、係止部82b)が、開口45寄りの側壁部よりも高さが高く、これにより十分な係止機能が確保される。第2取付部82及び/又は筒部82aとして他の構成も採用可能である。
【0043】
閉鎖パーツ20は、射出成形により製造された樹脂パーツであり、従って、若干の可撓性を有し、下部カバー31への取付過程において僅かに弾性的に変形可能である。閉鎖パーツ20は、2つの面により厚みが画定された板状パーツであり、下部カバー31への取付状態において外面20jと内面20rを有する。閉鎖パーツ20は、少なくとも部分的に開口45内に配置されて開口45を閉鎖する閉鎖部25と、閉鎖部25を挟むようにその両側に設けられ、下部カバー31の第1及び第2取付部81,82に個別に取り付けられる第1及び第2被取付部21,22を含む。
【0044】
本実施形態では、下部カバー31の開口45を下部カバー31の内側(又はドアミラー1の内側)から塞ぐ閉鎖パーツ20が採用される(図9及び図10参照)。これにより閉鎖パーツ20の脱落リスクを解消又は低減できる。例えば、車両走行中又は停車中に閉鎖パーツ20が何らかの理由(例えば、物理的な衝撃)により外れたとしても、閉鎖パーツ20は、ドアミラー1の内部空間に留まり、少なくとも下部カバー31の外側から開口45を閉鎖する場合と比べてドアミラー1外に脱落する可能性は低い。ドアミラー1の内部空間に閉鎖パーツ20が留まれば、車両走行時に発生する音からドアミラー1の異常を検知でき、これにより、より迅速にドアミラー1を補修してその内部パーツを保護できる。尚、閉鎖パーツ20は、典型的には下部カバー31の開口45を下部カバー31(ドアミラー1)の外側から閉鎖できない大きさ及び/又は形状を持つ。
【0045】
閉鎖部25は、開口45の閉鎖のために設けられる。閉鎖部25は、開口45を画定するシェル部37の周縁部36の内面に当接するシール面29を有し得る。シール面29は、有利には周縁部36の全周において周縁部36の内面に当接する。これにより閉鎖部25と周縁部36が隙間なく密着して空気又は水といった流体の流入が阻止される。この目的のため、閉鎖パーツ20の取付状態において閉鎖パーツ20が僅かに(ドアミラー1及び/又は下部カバー31に関する外側に)撓んでも良い。これにより周縁部36の内面がシール面29により圧迫され、両者の密着度合いが高められる。尚、図示例では、開口45が円形であり、周縁部36が開口45周りの環部であり、シール面29も同様に環状面であるが、他の形状(例えば、矩形)も採用可能である。また、Oリングのようなシール材を介挿することも検討されるが、この場合、下部カバー31に対する閉鎖パーツ20の最終位置にバラツキが生じるおそれがあり、後述のような閉鎖パーツ20の閉鎖面25jと下部カバー31のシェル部37の外面38の面一配置がより難しくなる。
【0046】
閉鎖パーツ20の第1及び第2被取付部21,22を線対称に形状付けることもでき、これにより左右両側のドアミラー1に対して共通の閉鎖パーツ20を利用できる。これと同じ理由から第1取付部81と第2取付部82も線対象に形状付けても良い。有利には、閉鎖パーツ20全体が線対称であるが、下部カバー31への閉鎖パーツ20の取付とは無関係の部分を対称にする必要はない。
【0047】
更に述べれば、閉鎖パーツ20は、(その取付状態において)下部カバー31を貫く開口45の貫通方向に直交する第1軸線AX1に関して対称であり得る。同様、第1取付部81と第2取付部82も下部カバー31を貫く開口45の貫通方向に直交する第1軸線AX1に関して対称であり得る。図9において、閉鎖パーツ20、第1取付部81、及び第2取付部82は、いずれも第1軸線AX1(一点鎖線X-X)に関して対称である。第1軸線AX1は、図9から分かるように車幅方向に交差し、かつ車両の進行方向に沿う方向であるが、これに限られない。尚、第1軸線AX1上にはカメラ取付部7が設けられていない。
【0048】
閉鎖部25は、開口45内に配置される閉鎖板25aと、閉鎖板25aから張り出してシール面29を持つシール部25bを有する。閉鎖板25aは、典型的には、図示例の如く円板部であり、下部カバー31のシェル部37の外面38側に配置される閉鎖面25jを有する。シール部25bは環部であり、開口45に関する径方向外側に閉鎖板25aから張り出す。閉鎖板25a及びシール部25bを、各々、矩形板及び矩形枠の如く形状付けることもできる。下部カバー31への閉鎖パーツ20の取付状態で、閉鎖板25aが下部カバー31のシェル部37の外面38よりも外側に突出しないことが望ましく、これにより閉鎖パーツ20に対して外力が付与され難くなる。有利には、閉鎖面25jがシェル部37の外面38と面一に配置され、連続的な外面を形成し、ドアミラー1の外観が改善される。
【0049】
閉鎖部25は、開口45とは反対側(例えば、上側)で開口した凹部25cを有することができる。このように閉鎖部25がその内側に凹部25cを有する場合、この凹部25cにドアミラー1内に流入した液体が溜まってしまうおそれがある。この点は、開口45が下部カバー31に設けられ、凹部25cが上方を向く場合に特に問題になる。本形態では、凹部25cを周囲するリブ25dに凹部25cからの流体排出を許容する少なくとも一つの溝25eを形成する。より好適には、2つの溝25eが形成され、これらが線対称に配置される(換言すれば、上述の第1軸線AX1(一点鎖線X-X)に関して鏡像対称に配置される)。このようにして左右のいずれのドアミラー1に閉鎖パーツ20が装着されるとしても流体排出機能を確実に担保することができる。尚、2つの溝25eのために2つの弧状のリブ25dが形成される。リブ25dは、閉鎖板25aにシール部25bが連結することにより形成される部分であり得るが、これに限られない。
【0050】
第1及び第2被取付部21,22は、第1及び第2取付部81,82との関係において様々な形状を持ち得る。有利には、閉鎖パーツ20は、その枢動を介して下部カバー31に取り付けられる。これにより下部カバー31への閉鎖パーツ20のより迅速な取付が可能となる。場合によって、上述した閉鎖パーツ20の取付後の閉鎖パーツ20の撓みが確保し易くなる。以下、閉鎖パーツ20の枢動により下部カバー31に取り付けられる形態について主に述べる。
【0051】
第1被取付部21は、上述の枢支部81’により枢支される被枢支部21’として設けられる。第2被取付部22は、下部カバー31への閉鎖パーツ20の取付時に旋回する旋回部22’として設けられる。繰り返しになるが、被枢支部21’及び旋回部22’ は、閉鎖部25を挟む態様で第1軸線AX1上に配置され、かつ第1軸線AX1に関して線対称に形状付けられ、これにより左右両側のドアミラー1への閉鎖パーツ20の装着が促進される。
【0052】
図11乃至図14を追加参照してより詳細に説明する。被枢支部21’は、閉鎖部25から離れるように延びる脚部として形状付けられ、詳細には、枢動軸部27と、閉鎖部25と枢動軸部27の間を延びて両者を連結する連結部28を含む。枢動軸部27は、下部カバー31を貫く開口45の貫通方向と上述の第1軸線AX1の両方に対して直交する第2軸線AX2上に設けられ、端的には、第2軸線AX2に沿って延びる棒状部分である。枢動軸部27は、第2軸線AX2上で反対側に突出している一対の被係止端26を含み、この結果、連結部28よりも幅広である。尚、第2軸線AX2は、閉鎖パーツ20の枢動軸に合致する。枢動軸部27の各被係止端26は、枢支板81aの切り欠き81bに挿入されて係止され、これにより被枢支部21’(ひいては閉鎖パーツ20)が枢支部81’により枢支される。
【0053】
連結部28は、枢動軸部27に連結した近位端部28mと、閉鎖部25に連結した遠位端部28nを有し、近位端部28mと遠位端部28nの間の少なくとも1箇所、図示例では2箇所で屈曲し、コ字状に形状付けられている。被枢支部21’に少なくとも1箇所で屈曲した連結部28を設けることにより閉鎖パーツ20が撓み易くなり、かつ閉鎖パーツ20の枢動軸から離れて位置する(後述の)被係止部22bの位置の自由度が高まり、下部カバー31への閉鎖パーツ20の円滑な取付が促進される。
【0054】
連結部28は、下部カバー31のシェル部37の内面39から離れるようにドアミラー1の内側に延びる第1部分28pと、シェル部37の内面39沿いに閉鎖部25に近づくように延びる第2部分28qと、シェル部37の内面39に近づくように外側に延びる第3部分28rをこの順で含み、第1部分28pと第2部分28qの間に屈曲部が形成され、第2部分28qと第3部分28rの間に屈曲部が形成される。このように少なくも1箇所又は2箇所で連結部28を屈曲させることにより所望の撓み特性を獲得しつつ、枢動軸部27と閉鎖部25の間隔を狭くすることができ、閉鎖パーツ20の小型化を図り、使用樹脂量の低減を図ることができる。
【0055】
旋回部22’は、第2取付部82の係止部82bにより係止される被係止部22bを有し、被係止部22bは、閉鎖パーツ20の枢動軸に関する径方向外側に突出する。図示例では、旋回部22’は、閉鎖部25から離れるように延びる脚部22aを有し、その外面に被係止部22bが凸状に設けられる。被係止部22bは、上述の第1軸線AX1上で閉鎖部25から離れる側に突出し、及び/又は、開口45に関する径方向外側を臨む。被係止部22bは、斜度が緩慢に変化する傾斜面22cを有し、これにより係止部82bを円滑に乗り越えることができる。
【0056】
図15を参照して下部カバー31(第1及び第2取付部81,82)への閉鎖パーツ20の取付方法について説明する。まず、図15(a)に示すように、閉鎖パーツ20の被枢支部21’の枢動軸部27の被係止端26を枢支板81aの切り欠き81bに挿入する。これにより閉鎖パーツ20の被枢支部21’が、枢支部81’により枢支される。続いて、図15(b)に示すように、閉鎖パーツ20の閉鎖部25が下部カバー31に形成された開口45に接近するように閉鎖パーツ20を枢動する。これにより、旋回部22’が旋回し、旋回部22’に設けられた被係止部22bが第2取付部82(端的には、係止部82b(筒部82aの側壁部))に衝突する。閉鎖パーツ20の閉鎖部25を開口45内に押し込むことによって、閉鎖パーツ20が撓み、被係止部22bが係止部82bを乗り越え、これにより被係止部22bが係止部82bにより係止され、筒部82a内に被係止部22bが受容される。斯くして、図15(c)に示すように閉鎖パーツ20が下部カバー31に対して取り付けられて閉鎖部25により開口45が閉鎖される。
【0057】
尚、被係止部22bには傾斜面22cが形成されており、それが形成されていない場合と比べて筒部82aの側壁部をより円滑に乗り越えることができる。必要に応じて筒部82aにスリットを設けて周方向にて分割し、その側壁部に可撓性を付与することもできる。
【0058】
繰り返すが、シール面29と周縁部36が圧接することが望ましい。この目的のために閉鎖パーツ20が取付状態において若干撓んでいると良いが、これに限られない。ドアミラー1の意匠外観の向上のために閉鎖部25の閉鎖面25jが下部カバー31のシェル部37の外面38と面一に配されることが好ましいが、これに限られない。
【0059】
図16に示すように、閉鎖パーツ20を枢動させずに下部カバー31に対して取り付けることもできる。この場合も上述と同様、開口45は、下部カバー31の内側から閉鎖パーツ20により閉鎖され、上述と同様の効果が得られる。尚、閉鎖パーツ20に対して上述の被枢支部21’を持たせることにより閉鎖パーツ20がやや大きくなり、ロボットハンド又は人手で取り扱い易くなる利点もある。
【0060】
車両用のドアミラーの製造方法は、上述の説明から明らかである。念のため述べれば、当該製造方法は、ハウジングカバーに形成された少なくとも一つの開口をハウジングカバーの内側から塞ぐようにハウジングカバーに対して閉鎖パーツを取り付けることを含む。これに関して、当該製造方法は、ハウジングカバーをダイカスト又は射出成形により製造することと、閉鎖パーツを射出成形により製造することを含むことができる。上述のハウジングカバーに対して閉鎖パーツを取り付けることは、閉鎖パーツを枢動させることを含むことができ、オプションとして、閉鎖パーツの枢動過程において、閉鎖パーツの被係止部がハウジングカバーの係止部を乗り越え、被係止部が係止部により係止されることを含む。有利には、閉鎖パーツが撓んだ状態で取付固定され、そのシール面がハウジングカバーの内面(シェル部の内面)に圧接する。閉鎖パーツ付きのドアミラーについて述べた他の特徴についても製法にとって有益であるが、冗長説明を避けるべくその全てについて説明しない。
【0061】
別の観点から見ると、車両用のドアミラーの製造方法は、少なくとも一つの開口、カメラ取付部、及び閉鎖パーツ取付部を含み、少なくとも一つの開口の周囲にカメラ取付部及び閉鎖パーツ取付部が位置付けられたハウジングカバーを連続的に成形することと、ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第1のハウジングカバーのカメラ取付部に対してカメラを直接又はブラケットを介して取り付けることと、ハウジングカバーの連続的な成形により得られた第2のハウジングカバーの閉鎖パーツ取付部に対して第2のハウジングカバーの内側から閉鎖パーツを取り付けることを含む。
【0062】
本明細書では、カメラ及びランプを包括的に光学装置と呼ぶ。カメラは、少なくとも一つのレンズとイメージセンサーを含み、その主たる機能は、イメージセンサーの画素における光電変換である。他方、ランプは、光源を含み、その主たる機能は、光源による電気エネルギーの光エネルギーへの変換である。いずれの装置も光に関係しており、この意味において光学装置と言える。
【0063】
上述の開示を踏まえ、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :ドアミラー

20 :閉鎖パーツ
21 :第1被取付部
21' :被枢支部
22 :第2被取付部
22' :旋回部
22b :被係止部

25 :閉鎖部
25a :閉鎖板
25b :シール部
25c :凹部
25d :リブ
25e :溝
25j :閉鎖面
26 :被係止端
27 :枢動軸部
28 :連結部
29 :シール面
36 :周縁部
37 :シェル部

45 :開口
46 :開口

81 :第1取付部
81' :枢支部
81a :枢支板
81b :切り欠き
82 :第2取付部
82a :筒部
82b :係止部
AX1 :第1軸線
AX2 :第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16