(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158526
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】カーシェアリング管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241031BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073788
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】安藤 瞭
(72)【発明者】
【氏名】飯野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 章
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA03
5L049AA03
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】 カーシェアリング事業において、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施することに寄与するカーシェアリング事業を提供する。
【解決手段】 カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、その端末位置データ受信手段が受信した会員IDに係る予約データを予約データベースから読み出すとともに、読み出した予約データに係るシェアカーの出発地へ位置データが近づいたか否かを検知する到着判断手段と、その到着判断手段が前記の出発地へ近づいた旨を検知した場合に予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ会員ユーザが出発地へ近づいた旨を送信する到達結果送信手段と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリング利用に関して予め会員登録をした会員ユーザに係る属性データを会員IDに紐付けて蓄積する会員データベースと、
カーシェアリングの予約データを会員IDに紐付けて蓄積する予約データベースと、
カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、
その端末位置データ受信手段が受信した前記の会員IDに係る予約データを前記の予約データベースから読み出すとともに、前記の位置データに基づき、会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地へ近づいたか否かを検知する到着判断手段と、
その到着判断手段が前記の出発地へ近づいた旨を検知した場合に前記の予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ前記の会員ユーザが前記の出発地へ近づいた旨を送信する到達結果送信手段と、
を備えたカーシェアリング管理サーバ。
【請求項2】
前記の端末位置データ受信手段は、予約データに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットへ前記の会員ユーザに係る前記の携帯端末が達した場合に、前記の携帯端末から発信される位置データを受信することとした
請求項1に記載のカーシェアリング管理サーバ。
【請求項3】
前記の到着結果送信手段は、予約データに係る予約開始時刻から所定の時間前のトリガー時刻となった場合に前記の営業所端末がタイマー情報を出力するようにするタイマーデータを含むことと
請求項1または請求項2のいずれかに記載のカーシェアリング管理サーバ。
【請求項4】
カーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記のカーシェアリング管理サーバには、 予め会員登録をした会員ユーザに係る属性データを会員IDに紐付けて蓄積する会員データベースと、
カーシェアリングの予約データを会員IDに紐付けて蓄積する予約データベースと、
を備え、
前記のコンピュータプログラムは、
カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手順と、
その端末位置データ受信手順にて受信した前記の会員IDに係る予約データを前記の予約データベースから読み出すとともに、前記の位置データに基づき、会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地へ近づいたか否かを検知する到着判断手順と、
その到着判断手順にて前記の出発地へ近づいた旨を検知した場合に前記の予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ前記の会員ユーザが前記の出発地へ近づいた旨を送信する到達結果送信手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記の端末位置データ受信手順では、予約データに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットへ前記の会員ユーザに係る前記の携帯端末が達した場合に、前記の携帯端末から発信される位置データを受信することとした
請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
予約データに係る予約開始時刻から所定の時間前のトリガー時刻となった場合に前記の営業所端末がタイマー情報を出力するようにするタイマーデータを送信するタイマーデータ送信手順を、前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとした
請求項4または請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
カーシェアリング利用に関して予め会員登録をして会員IDを取得した会員ユーザに係る携帯端末において実行されるコンピュータプログラムであって、
カーシェアリング利用の予約を完了した場合に完了した予約内容を特定する予約IDとともに前記予約IDに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットの位置データを受信する予約確定データ受信手順と、
前記の携帯端末の位置データを取得する位置データ受信手順と、
前記の位置データ受信手順にて受信した位置データが前記のトリガースポットの位置データに達したか否かを判断するトリガースポット到達判断手順と、
そのトリガースポット到達手順にて前記の携帯端末が前記のトリガースポットに到達したと判断した場合に、前記のカーシェアリング管理サーバへ到着した旨を前記の会員ユーザに意思表示させるための到着ボタンを前記の携帯端末の出力画面に出力させる到達ボタン起動手順と、
その到達ボタン起動手順にて出力された到着ボタンが前記の会員ユーザにてタップされた場合に携帯端末が前記のトリガースポットに到達した旨を前記のカーシェアリング管理サーバへ送信するトリガースポット到着送信手順と、
そのトリガースポット到着送信手順にて携帯端末が前記のトリガースポットに到達した旨を受信した前記のカーシェアリング管理サーバから到達確認を受信する到達確認受信手順と、
を前記の携帯端末に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリング事業において、一つの駐車スペースで複数のカーシェア車両(シェアカー)を貸し出せるようにする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェアリングサービスを提供する事業者は、事前に会員登録がなされた会員に対して、会員を識別するICカードたる会員カードや、会員が保有する携帯情報端末に会員であることを保証する会員IDを含んだ電子データを提供する。ICカードや携帯情報端末に格納された会員IDを用いて、事業者の提供する車両の予約を実行して利用することとなる。
【0003】
会員登録を予め済ませた会員ユーザは自らの会員IDを用いて、利用を開始したい場所であるカーシェアステーション、利用を開始したい日時、利用を終了して返却する予定時刻、希望する車種(クラス)を入力して検索する。
【0004】
上記の「カーシェアステーション」は、複数の車両が駐車できる駐車場において、一部の車室をシェアカーの出し入れ専用の車室として運営することが多い。たとえば、
図1に示す駐車場は、8つの車室を備えており、月極契約の車室が3室、EV(電気自動車)用車室が1室、時間貸し車室が2室、カーシェア用車室が2室となっている。
【0005】
一方、都市部を中心に、歩道のスペースを一部切り欠いて車両の駐停車を可能とする「路上駐車スペース」(
図2参照)が設置されることがある。
この「路上駐車スペース」は、タクシーの乗降スペース、一般車両の駐停車スペース、時間貸しの駐車場(いわゆるコインパーキング)としての活用、など様々な活用がなされている。
【0006】
特許情報プラットフォームにおいて、本願に関わりそうな先行特許を検索したところ、以下の特許文献を抽出したので、それを検証した。
【0007】
特許文献1には、個別車室式駐車場の一部または全部を、予約駐車場を運営する会社の予約駐車場として利用させる場合に、個別車室式駐車場と予約駐車場とを連携し、予約、予約車室の確保、駐車料金や予約料金の支払いを実行する技術が開示されている。
【0008】
特許文献2には、無人化により鍵と車両が一体的に管理でき、且つ都市部における駐車場の確保を可能としたレンタカー自動システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-99758号公報
【特許文献2】特開2005-25630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
カーシェアリングの需要が多いカーシェアステーションでは、一つの車室に対して一台のシェアカーを割り当てていては、需要を捌ききれないほどのニーズがある。そのため、一つの車室からシェアカーが貸し出されたら、その車室へ近傍のシェアカープール地(営業所)からシェアカーを補充して貸し出す、という運用も開始された。これをカーシェアリングにおける「一車室多車両(のサービス形態)」とする。
【0011】
ところで、カーシェアサービスの場合、会員ユーザの予約開始時刻と、会員ユーザが実際にシェアカーの貸し出し場所に来る時刻とがずれていることが多い。たとえば、ある会員ユーザが利用開始時刻を過ぎても現れず、車両が貸し出せないうちに、次の会員ユーザの予約開始時刻が到来する事態も生じ得る。このような場合、特に一車室多車両のサービス形態であると、それぞれの会員ユーザに対して具体的にどのシェアカーを貸し出すべきか、複雑な対応が必要になる。
【0012】
一車室多車両のサービス形態を合理的に運用するためには、会員ユーザによる予約遂行の確実さと、その予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充と、を円滑に実施すべきという課題がある。しかし、前述した特許文献1、2では、前記の課題を解決するには至らない。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、カーシェアリング事業において、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した課題を解決するため、カーシェアリング管理サーバに係る第一の発明、第一に係るカーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明、および第一の発明に係るカーシェアリング管理サーバと通信する通信端末上で実行されるコンピュータプログラムに係る第三の発明を提供する。
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、 カーシェアリング利用に関して予め会員登録をした会員ユーザに係る属性データを会員IDに紐付けて蓄積する会員データベースと、
カーシェアリングの予約データを会員IDに紐付けて蓄積する予約データベースと、
カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手段と、
その端末位置データ受信手段が受信した前記の会員IDに係る予約データを前記の予約データベースから読み出すとともに、前記の位置データに基づき、会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地へ近づいたか否かを検知する到着判断手段と、
その到着判断手段が前記の出発地へ近づいた旨を検知した場合に前記の予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ前記の会員ユーザが前記の出発地へ近づいた旨を送信する到達結果送信手段と、
を備えたカーシェアリング管理サーバに係る(
図9参照)。
【0016】
(用語説明)
「シェアカーの出発地」とは、カーシェアリングの予約確定時に決定されたカーシェアステーションの位置である(
図1参照)。このカーシェアステーションには、路上駐車スペースを含む(
図2参照)。
「営業所端末」とは、近傍のカーシェアステーションへシェアカーを供給したり、引き上げたりするシェアカープール地に係るシェアカーの管理や当該シェアカープール地に勤務するスタッフの管理などをするための端末である。
【0017】
(作用)
カーシェアリング管理サーバにおいては、予め会員登録をした会員ユーザに係る属性データを会員IDに紐付けて会員データベースへ蓄積しており、カーシェアリングの予約データを会員IDに紐付けて予約データベースへ蓄積している。
カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに、端末位置データ受信手段が受信する。 その端末位置データ受信手段が受信した会員IDに係る予約データを、予約データベースから到着判断手段が読み出す。そして、読み出した予約データに係るシェアカーの出発地へ位置データが近づいたか否かを到着判断手段が検知する。 その到着判断手段が出発地へ近づいた旨を検知した場合に、予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ会員ユーザが出発地へ近づいた旨を、到達結果送信手段が送信する。
【0018】
営業所端末のある営業所では、予約データに係る会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地に近づいた旨を知ることができる。シェアカーの出発地に会員ユーザが予約したシェアカーが配備されていない場合には、その営業所の勤務者が配備する。
換言すれば、その営業所の勤務者は、会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地に到着する前に、出発地へ近づいている旨を知ることができるので、予約したシェアカーが配備されていないとしても、準備する時間を確保できる。そのため、一車室多車両のサービス形態を維持するのに寄与する。
【0019】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の端末位置データ受信手段は、予約データに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットへ前記の会員ユーザに係る前記の携帯端末が達した場合に、前記の携帯端末から発信される位置データを受信することとする。
【0020】
(用語説明)
「トリガースポット」とは、予約データに係るシェアカーの出発地の近傍に存在する公共交通の拠点、たとえば鉄道の駅、バスターミナルやバス停留所、空港、船舶の乗降所などである。
「所定の距離」とは、徒歩圏内であり、1キロメートル以下であることが多い。
【0021】
「トリガースポット」へ「会員ユーザに係る携帯端末が達した場合に」、携帯端末から位置データが発信されるようにするためには、携帯端末に所定のアプリケーションプログラムを予めインストールしておく。あるいは、会員ユーザに係る携帯端末との双方向通信を開始したら、当該携帯端末の位置データをカーシェアリング管理サーバに対して送信するようにセッティングした中継機を「トリガースポット」へ設置しておく。
【0022】
(作用)
端末位置データ受信手段は、予約データに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットへ会員ユーザに係る携帯端末が達した場合には、携帯端末から発信される位置データを受信することができる。したがって、会員ユーザがトリガースポットへ到達したら、出発地までの到達時刻を予想できることとなり、予約したシェアカーが配備されていないとしても、準備する時間を確保できる。そのため、一車室多車両のサービス形態を維持することに寄与する。
【0023】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の到着結果送信手段は、予約データに係る予約開始時刻から所定の時間前のトリガー時刻となった場合に前記の営業所端末がタイマー情報を出力するようにするタイマーデータを含むこととするのである(
図5参照)。
【0024】
(用語説明)
「トリガー時刻」とは、たとえば、予約データに係る開始時刻が13時であれば、その「所定の時間前」である12時50分となる。ここで、「所定の時間」は、予約データに係るシェアカーの出発地に対して最寄りのシェアカープール地(担当の営業所)からシェアカーを回送するのに充分な時間である(
図5の例示では「15分」としている)。
【0025】
(作用)
到着結果送信手段は、予約データに係る予約開始時刻から所定の時間前のトリガー時刻となった場合に前記の営業所端末がタイマー情報を出力するようにするタイマーデータを送信している。したがって、予約時刻の所定時間前になったら、営業所端末がタイマー情報を出力するので、営業所においては、シェアカーの配備を確認するなどの作業に寄与する。予約したシェアカーが配備されていないとしても、準備する時間を確保できる。そのため、一車室多車両のサービス形態を維持することに寄与する。
【0026】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るカーシェアリング管理サーバを制御するコンピュータプログラムに係る(
図9参照)。
すなわち、前記のカーシェアリング管理サーバには、 予め会員登録をした会員ユーザに係る属性データを会員IDに紐付けて蓄積する会員データベースと、
カーシェアリングの予約データを会員IDに紐付けて蓄積する予約データベースと、
を備える。
前記のコンピュータプログラムは、
カーシェアリングの予約をした会員ユーザに係る携帯端末の位置データを会員IDとともに受信する端末位置データ受信手順と、
その端末位置データ受信手順にて受信した前記の会員IDに係る予約データを前記の予約データベースから読み出すとともに、前記の位置データに基づき、会員ユーザが予約データに係るシェアカーの出発地へ近づいたか否かを検知する到着判断手順と、
その到着判断手順にて前記の出発地へ近づいた旨を検知した場合に前記の予約データに係るシェアカーを管理する営業所端末へ前記の会員ユーザが前記の出発地へ近づいた旨を送信する到達結果送信手順と、
を前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0027】
(用語説明)
「カーシェアリング管理サーバ」は、コンピュータであるので、他の端末とのデータ送受信を実行する入力手段および出力手段、入力手段から入力されたデータを蓄積したり会員データベースや予約データベースを備えたりするための記憶手段、入力手段からの入力データや記憶手段に蓄積された記憶データを用いて演算する演算手段、その演算手段が演算時に用いるランダムアクセスメモリなどを備えている。
【0028】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、前記の端末位置データ受信手順では、予約データに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットへ前記の会員ユーザに係る前記の携帯端末が達した場合に、前記の携帯端末から発信される位置データを受信することとするのである。
【0029】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のように形成することができる。
すなわち、予約データに係る予約開始時刻から所定の時間前のトリガー時刻となった場合に前記の営業所端末がタイマー情報を出力するようにするタイマーデータを送信するタイマーデータ送信手順を、前記のカーシェアリング管理サーバに実行させることとするのである。
前記のタイマーデータ送信手順は、前記の到着結果送信手順とは別々に実行しても良い(
図5参照)し、同時に実行しても良い。
【0030】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明に係るカーシェアリング管理サーバとの通信を実行する会員ユーザに係る携帯端末で実行されるアプリケーションプログラムに係る発明である。
すなわち、
カーシェアリング利用に関して予め会員登録をして会員IDを取得した会員ユーザに係る携帯端末において実行されるコンピュータプログラムであって、
カーシェアリング利用の予約を完了した場合に完了した予約内容を特定する予約IDとともに前記予約IDに係るシェアカーの出発地から所定の距離内にあるトリガースポットの位置データを受信する予約確定データ受信手順と、
前記の携帯端末の位置データを取得する位置データ受信手順と、
前記の位置データ受信手順にて受信した位置データが前記のトリガースポットの位置データに達したか否かを判断するトリガースポット到達判断手順と、
そのトリガースポット到達手順にて前記の携帯端末が前記のトリガースポットに到達したと判断した場合に、前記のカーシェアリング管理サーバへ到着した旨を前記の会員ユーザに意思表示させるための到着ボタンを前記の携帯端末の出力画面に出力させる到達ボタン起動手順と、
その到達ボタン起動手順にて出力された到着ボタンが前記の会員ユーザにてタップされた場合に携帯端末が前記のトリガースポットに到達した旨を前記のカーシェアリング管理サーバへ送信するトリガースポット到着送信手順と、
そのトリガースポット到着送信手順にて携帯端末が前記のトリガースポットに到達した旨を受信した前記のカーシェアリング管理サーバから到達確認を受信する到達確認受信手順と、
を前記の携帯端末に実行させるアプリケーションプログラムである(
図11、
図9参照)。
【0031】
(用語説明)
「携帯端末」は、コンピュータであるので、他の端末とのデータ送受信を実行する入力手段および出力手段、入力手段から入力したデータなどを蓄積するための記憶手段、入力手段からの入力データや記憶手段に蓄積された記憶データを用いて演算する演算手段、その演算手段が演算時に用いるランダムアクセスメモリなどを備えている。
【0032】
「アプリケーションプログラム」は、携帯端末に予めインストールして実行する場合の他、所定のウェブサイトとの双方向通信によって一時的に実行される場合を含む。
【0033】
第二および第三の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは管理サーバの制御コンピュータから、通信回線を通じて管理サーバの制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【0034】
(カーシェアリングサービスの予約に関する補足)
一室一車両の原則にて運用しているステーションの場合には、車両が車室に紐付いているため、予約の際に車両の個体指定までが可能である。そのため、予約時に「クラス指定」ではなく、車番指定をすることが多い。
しかし、一室多車両で運用しているステーションの場合には、車番指定ではなく、「クラス指定」としている。この「クラス指定」とは、カーシェアリング事業者が保有して提供する車両に関する車種の全てを、ベーシック、ミドル、スペシャルなどの複数クラスに分け、ユーザは車種ではなくクラスを指定することである。なお、車種を指定して予約をしたいユーザに対しては、オプションでの車種指定を可能とすることで、ユーザニーズに対応することとしている。
【0035】
「クラス」とは、たとえば、4~5人乗りの5ナンバーによるベーシッククラス、5~7人乗りの3ナンバーによるミドルクラス、特殊用途や稀少モデルなどの車種を含んだスペシャルクラスなど、利用料金によって複数の区分を備えている。
【発明の効果】
【0036】
第一の発明によれば、カーシェアリング事業において、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施することに寄与するカーシェアリング管理サーバを提供することができる。
第二の発明によれば、カーシェアリング事業において、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施することに寄与するカーシェアリング管理サーバの制御プログラムを提供することができる。
第三の発明によれば、カーシェアリング事業において、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施することに寄与する会員ユーザに係る携帯端末で実行されるアプリケーションプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】カーシェアリングサービスを実行するための駐車場に関して典型例を示す概略図である。
【
図2】本発明の影響が及ぶ路上駐車スペースを示す概略平面図である。
【
図3】シェアカーを利用する際の予約手順を示すブロック図である。
【
図4】予約した車両のある路上駐車スペースの最寄り駅へ到着した会員Aがなすべきことと、その後の情報処理手順を示す概念図である。
【
図5】会員Aが予約した車両のある路上駐車スペースへ到着し、利用を開始する際の動作を示す概念図である。
【
図6】会員Aが路上駐車スペースから車両を出発させ、会員Bが最寄り駅Rへ到着した場合の情報処理手順を示す概念図である。
【
図7】会員Bが予約した車両のある路上駐車スペースへ到着し、利用を開始する際の動作を示す概念図である。
【
図8】カーシェアリングの利用予約から、車両の回送までの手順を示すフローチャートである。
【
図9】会員ユーザの情報端末、カーシェアリング管理サーバおよび営業所端末における情報処理手順を示すブロック図である。
【
図10】会員ユーザの情報端末、カーシェアリング管理サーバ、シェアカー車載器、および営業所端末における情報処理手順を示すブロック図である。
【
図11】会員ユーザの携帯端末において、予約遂行の直前に実施される情報処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】車両を返却する際のカーシェアリング管理サーバ、シェアカー車載器、および営業所端末における情報処理手順を示す概念図である。
【
図13】回収回送が必要となる場面を示す概念図である。
【
図14】車両の返却予定と回収回送の関係を示すフローチャートである。
【
図15】返却車両が使う車室へ多機能カーナビゲーションにて誘導する様子を示す概念図である。
【
図16】営業所端末が、担当するカーシェアステーションに関して必要な会員ユーザの情報を、会員ユーザの携帯端末からカーシェアリング管理サーバを介さずに取得する場合を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図3から
図16)を参照して説明する。必要に応じて、
図1および
図2も参照する。
本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための実施形態である。なお、
図3以降において、実線の矢印は有線通信を、二点破線の矢印は無線通信をそれぞれ意味する。
【0039】
(
図3)
図3は、シェアカーをデリバリ感覚で利用する際の予約手順を示す。
会員ユーザに係る端末は、図では携帯端末(スマートフォン)を示しているが、予約段階では携帯端末で無くても良い。ただし、本願発明は、予約手続きをしてから予約遂行までの時間が短い場合にも対応できるのが特徴である。よって、会員ユーザは、外出先でカーシェアリング利用を予約してそのまま使用する場面が多いと想定されるので、携帯端末であることが多い。
【0040】
予め会員登録をしている会員ユーザは、会員登録に伴って与えられた会員IDと、予約日時、出発場所(ステーション)、希望する車種クラスなどを含む予約データを、自らに係る会員端末からカーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0041】
送信された予約データは、カーシェアリング管理サーバの予約データ受信手段が受信する。そして、予約データに含まれる会員IDおよびパスワード等によって会員登録の有無や未払い金が無いか等を会員データベースに蓄積されたデータを用いて、予約可否判断手段がチェックする。
【0042】
予約データにおける予約日時や出発場所などの希望について、予約可能か否かについては、カーシェア管理データベースを用いて、予約可否判断手段がチェックする。
【0043】
予約が可能であると、予約可否判断手段が判断した場合には、予約承認の旨を、予約承認送信手段が会員端末へ送信する。その際、予約内容の確認データと紐付けられる予約IDを送信する。また、携帯端末を用いてシェアカーのロックや解除をするシステムの場合には、ロック解除キーとなる電子データも送信する。
【0044】
予約承認送信手段は、予約データに係るステーションへのシェアカー補給を担当する営業所に係る営業所端末へも、予約承認の旨を送信する。その予約承認は、営業所端末の予約承認受信手段が受信する。営業所端末が受信する予約承認には、予約に係る会員ID、予約ID、予約日時、出発場所などのデータが含まれる。そして、それらのデータは、シェアカー管理データベースに蓄積される。
【0045】
(
図4)
図4は、予約した車両のある路上駐車スペースの最寄り駅へ到着した会員Aがなすべきことと、その後の情報処理手順を示している。
【0046】
会員Aが予約したのは、「トリガースポット」たる最寄り駅がRである路上駐車スペースであるとする。 会員Aの携帯端末DAには、「R駅に到着」というボタンが表示されるように、カーシェアリング管理サーバから予め予約IDとともにデータが送り込まれている。携帯電話のGPS機能にてR駅に到着すると、「R駅に到着」というボタンが会員Aの携帯端末DAに表示される。
【0047】
「R駅に到着」というボタンを会員Aがタップすると、携帯端末DAは、会員IDと最寄り駅Rへの到着というデータをカーシェアリング管理サーバに送信する。そして、カーシェアリング管理サーバがそのデータを受信したら、最寄り駅がRである路上駐車スペースの管理を担当する営業所Qの営業所端末へ送信される。
【0048】
営業所Qでは、事前にカーシェアリング管理サーバから受信している会員Aに係る予約IDと照合し、予約に係るクラスの車両Kを路上駐車スペースまで回送するように、回送担当者端末へ指示を出す。最寄り駅Qから路上駐車スペースまでは、徒歩10分程度であるとすれば、10分以内に回送を終了しなければならない。換言すれば、会員ユーザが徒歩で到着する時間よりも短い時間で届け回送を終了できる位置にトリガースポットを設定する必要がある。
【0049】
回送担当者は、営業所Qに停めてあった車両Kに自転車を搭載し、路上駐車スペースまで運転する。自転車を搭載するのは、回送後に営業所へ戻る際に使うためであり、路上駐車スペースに車両Kを停車させたら自転車を下ろして使うこととなる。
【0050】
なお、営業所Qは、図示した路上駐車スペース以外にも、複数のカーシェアステーションに対する車両の供給(届け回送)や引き取り(回収回送)を担当していることが普通である。
図4から
図7においては、単純化のために単独の路上駐車スペースを対象として説明しているが、営業所Qにおける実際のオペレーションは、この文書中で説明しているよりも複雑となる。
【0051】
(
図5)
図5は、会員Aが予約した車両のある路上駐車スペースへ到着し、利用を開始する際の動作を示している。
【0052】
最寄り駅Rから徒歩で路上駐車スペースに到着した会員Aは、路上駐車スペースに停められたシェアカーである車両Kに対して、予約IDとともに受信していた解錠データである電子キーを用いて解錠し、カーシェアリングの利用を開始する。会員Aが到着する前に、車両Kを運転して路上駐車スペースへ到着していた回送担当者Xは、車両Kに搭載してきた自転車を下ろし、営業所Qに戻る。
【0053】
カーシェアリング管理サーバからは、路上駐車スペースからのシェアカー利用を会員Aの次に予約していた会員Bに係るタイマーデータが、営業所Qの営業所端末へ送信される。営業所端末は、たとえば、『会員Bさんの使用開始予定時刻まであと15分です。』といった音声出力、画面表示を実施し、営業所Qにいる職員に報知する。
【0054】
前記のタイマーデータは、カーシェアリング管理サーバがタイムリーに送信する必要はなく、予約IDとともに送信しておくこととしても良い。営業所端末は、予め受信していたタイマーデータの時刻になったことを内蔵している時計が検知したら、音声出力、画面表示を実施するのである。
【0055】
(
図6)
図6は、会員Aが路上駐車スペースから車両を出発させ、会員Bが最寄り駅Rへ到着した場合の情報処理手順を示している。
【0056】
会員Aが車両Kを路上駐車スペースから出発させると、車両Kの車載機器が車両位置データを定期的にカーシェアリング管理サーバに送信する。車両位置データが路上駐車スペースと不一致となったことで、カーシェアリング管理サーバは、車両Kが利用され、どこへ向かっているか、などの情報を得ることとなる。そして、車両Kが出発した旨は、営業所Qの営業所端末へ送信する。営業所Qにおいては、車両Kが出発し、路上駐車スペースが空いた旨を知ることとなる。
【0057】
一方、会員Bが最寄り駅Rに到達したとすると、会員Bに係る携帯端末D-Bから端末位置データをカーシェアリング管理サーバに送信する。カーシェアリング管理サーバは、携帯端末D-Bから端末位置データ、つまり会員Bが最寄り駅Rに到着した旨を営業所端末へ送信する。この結果、営業所Qにおいては、会員Bが最寄り駅Rに到着した旨を知ることとなる。
【0058】
営業所Qにおいては、会員Bに係る予約IDを確認し、会員Bが予約したクラスの車両Lを路上駐車スペースへ届け回送をするため、回送担当者端末へ、必要な情報(予約ID、会員IDなど)を送信する。
【0059】
(
図7)
図7は、会員Bが予約した車両のある路上駐車スペースへ到着し、利用を開始する際の動作を示している。
【0060】
最寄り駅Rから徒歩で路上駐車スペースに到着した会員Bは、路上駐車スペースに停められたシェアカーである車両Lに対して、予約IDとともに受信していた解錠データである電子キーを用いて解錠し、カーシェアリングの利用を開始する。会員Aが到着する前に、車両Lを運転して路上駐車スペースへ到着していた回送担当者Yは、車両Lに搭載してきた自転車を下ろし、営業所Qに戻る。
【0061】
(
図8)
図8に示すフローチャートは、カーシェアリングの利用予約から、車両の回送までの手順を示す。
図3から
図7を用いて説明してきた内容と重なるが、補充内容を主に説明する。
【0062】
会員ユーザは、会員登録に伴って与えられた会員IDと、予約日時、出発場所(ステーション)、希望する車種クラスなどを含む予約データを、自らに係る会員端末からカーシェアリング管理サーバへ送信し、予約を完了する(S0)。
【0063】
会員ユーザが、予約に係るカーステーションのトリガースポット(
図4等では、最寄り駅R)へ到着する(S1)。そして、会員ユーザに係る携帯端末から位置データを取得する。予約に係るカーステーションを担当する営業所から、予約に係る車両(シェアカー)の届け回送(デリバリ)を開始する(S2)。
【0064】
会員ユーザは、シェアカーのロックを解除して乗車し、エンジンを掛けて出発する(S3)。シェアカーの車載機器は、GPS機能にて取得した車両の位置データのほか、エンジンのオンオフデータなども、カーシェアリング管理サーバに対して定期的に送信している。カーシェアリング管理サーバは、そうして取得したシェアカーの位置データを営業所端末へ送信する(S4)。
【0065】
次の予約をしている会員(
図6では会員B)の位置データを、会員に係る携帯端末、カーシェアリング管理サーバを介して営業所端末が取得する(S5)。そして、営業所の回送担当者が予約に係る車両をカーシェアステーションへ届け回送する(S6)。
【0066】
回送担当者は、予約に係る車両の届け回送をするために運転し、カーシェアステーションに到達する。そのカーシェアステーションのカーシェア用車室が、届け回送をした車両で埋まってしまった場合において、会員ユーザによる利用終了の予定時刻と次の利用開始時刻とを勘案した場合に、利用終了する会員ユーザによる車両を返却する車室が不足している、と判断できる場合がある。その場合、回送担当者は、返却するための車室を確保するため、予約が暫くの間入っていない車両を回収回送することなる。これが、S7に示す判断ステップである。
なお、回収回送に関しては、
図13にも示している。
【0067】
当該カーシェアステーションにおいて回収回送を必要とする車両がある場合、回送担当者は、届け回送の車両に積載してきた自転車を回収すべき車両へ載せ替え、運転して営業所へ戻る(S8)。
なお、届け回送に出発する前の段階で、回収回送をすべき車両があると分かっている場合には、営業所へ戻ってくる自転車は必要ないので、自転車を積載せずに届け回送に向かうこととなる。
【0068】
回送回収をする車両がない場合には、届け回送をする車両へ積載してきた自転車を下ろし、その自転車をこいで営業所へ戻ることとなる(S9)。
【0069】
(
図9)
図9は、会員ユーザの情報端末、カーシェアリング管理サーバおよび営業所端末における情報処理手順を示している。
【0070】
カーシェアリング管理サーバは、会員登録をした会員ユーザに関する氏名、サービス利用料金の決済方法、利用履歴などの会員データを格納する会員データベースと、カーシェアリングサービス全体の管理データを格納するカーシェア管理データベースとを備えている。カーシェア管理データベースの中には、予約内容やその予約内容に紐付けた予約IDなどを格納する予約データベースが備えられている。
【0071】
営業所端末は、カーシェアリング管理サーバにおける予約データベースの中で、担当するカーシェアステーションに関する予約データを格納する予約データベースと、担当するカーシェアステーションにて用いられるシェアカーの管理データを格納するシェアカー管理データベースとを備えている。
【0072】
会員の携帯端末は、カーシェアリング管理サーバとのデータ送受信を実施し、予約に係るシェアカーやカーシェアステーションを担当する営業所に係る営業所端末は、カーシェアリング管理サーバとのデータ送受信を実施する。すなわち、営業所端末は、会員の携帯端末から送信されるデータを、カーシェアリング管理サーバを介して受信する。
【0073】
図4や
図6に示したように、会員がトリガースポットに到着したら、会員の携帯端末に表示される「到着ボタン」(
図4,6では、「R駅に到着」)をタップする。すると、端末位置データ送信手段が、会員ID、予約IDとともに端末位置データを、カーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0074】
カーシェアリング管理サーバでは、端末位置データ受信手段が会員ID、予約ID、端末位置データを受信する。そして、会員IDについて会員データベースを、予約IDについて予約データベースをそれぞれ参照し、会員の誰がどのような予約内容でどこに到着したのかを、到着判断手段にて判断する。この判断により、会員が確かに予約のトリガースポットに到着した旨を示す到着確認データを会員の携帯端末へ送信する。この到着確認データを受信した会員端末では、たとえば「トリガースポット(具体的な地名など)に到着したことを確認しました。ただいま車両を回送しております」などの表示を行う。また、営業所端末には、到着確認データとともに会員IDおよび予約IDを送信する。
【0075】
営業所端末においては、到着結果受信手段が到着確認データ、会員IDおよび予約IDを受信する。そして、予め受信していた予約IDを格納している予約データベースと受診した予約IDを照合する。加えて、シェアカー管理データベースに格納したデータを参照し、回送の必要性について回送判断手段が判断する。回送の必要性を判断した場合、回送担当者端末へ、回送が必要な車両を特定する車両IDを、回送データ送信手段が送信する。
【0076】
回送担当者は、車両(
図9では「L」)を運転し、予約IDに係るカーシェアステーションへ予約開始時刻までに回送を終えるように手配する。
【0077】
(
図10)
図10は、会員ユーザの情報端末、カーシェアリング管理サーバ、シェアカー車載器、および営業所端末における情報処理手順を示す。
【0078】
予約に係るカーシェアステーションへ到着した会員ユーザは、携帯端末を用いて、予め入手していたロック解錠送信手段にて端末位置データを会員ID、予約IDとともにカーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0079】
カーシェアリング管理サーバにおいては、端末位置データ受信手段にて前記のデータを受信する。一方、前記の会員に係る予約のシェアカーに搭載されたシェアカー車載機からは、車両位置データを車両位置データ受信手段が受信する。
【0080】
車両位置データおよび端末位置データを照合して一致しているか否かを、解施錠判断手段が判断する。判断結果として、会員が予約に係る車両付近にいることが確認できる。その場合、解施錠結果送信手段が、シェアカー車載機に対して解錠を可能とするデータを送信する。同時に、会員の携帯端末に対しては車両が解錠された旨のデータを送信する。それによって、会員ユーザは車両のロックが解除されたことを知る。そして、会員ユーザはそのシェアカーに乗り込むことができる。
【0081】
車両IDを伴った車両位置データは、カーシェアリング管理サーバを解して定期的に送信されており、営業所端末にも送信される。したがって、シェアカーに乗り込んだ会員ユーザが運転を開始すると、その旨を営業所においても把握できる
【0082】
たとえば、次の予約データに基づく回送が必要な状態が発生したことを、シェアカー管理データベースのデータなどから把握できた場合には、回送データ送信手段が、回送担当者端末へ、次の回送が必要な車両ID(この図では「N」)を送信する。
【0083】
(
図11)
図11は、会員ユーザの携帯端末において、予約遂行の直前に実施される情報処理手順をフローチャートにて示している。
【0084】
カーシェアリングの予約手続をした会員ユーザは、自らに係る携帯端末にて予約確定データを受信する(S11)。この際、トリガースポットの位置データも受信する。会員ユーザは、そのトリガースポットの位置データに近づいたことを把握したら到着ボタンが起動するようなアプリケーションプログラムも、携帯端末にインストールしておくことが求められる。
【0085】
会員ユーザに係る携帯端末から発信される位置データに基づいて、カーシェアリング管理サーバは、その会員ユーザがトリガースポットへ到着したか否かを検証する(S12)。到着していなければ、位置データの取得を繰り返す。
【0086】
会員ユーザがトリガースポットへ到着したら、携帯端末のアプリケーションプログラムによって「到着ボタン」が起動する(S13)。会員ユーザは、その到着ボタンをタップする。すると、携帯端末からは、到着ボタンがタップされた旨、会員ID、予約ID、端末位置データがカーシェアリング管理サーバに送信される(S14)。
【0087】
カーシェアリング管理サーバは、到着ボタンがタップされた旨のデータを受信したら、ユーザID、端末位置データなどを検証し、携帯端末に対して到着を確認した旨(到着確認データ)を送信する。その到着確認データは、携帯端末が受信する(S15)。
【0088】
(
図12)
図12は、車両を返却する際のカーシェアリング管理サーバ、シェアカー車載器、および営業所端末における情報処理手順を示している。
【0089】
会員Aが利用していたシェアカー(車両K)が、返却地である路上駐車スペースに戻ってきたとする。車両の位置データは、定期的にカーシェアリング管理サーバに対して送信されている。また、シェアカーの車載機器はエンジンのデータをも定期的にカーシェアリング管理サーバに対して送信しているので、エンジンが停止した旨のデータもカーシェアリング管理サーバにおいては取得している。
【0090】
カーシェアリング管理サーバは、シェアカーから取得したデータについて、返却地である路上駐車スペースの管理を実施している営業所Qの営業所端末DQに対して、管理上必要なデータを送信する。
【0091】
ここで、返却する形態としては以下のようなものが考えられる。一つは、シェアカーの運転を開始したステーションとは別に配置されている、返却専用のステーションへ返却する形態である(以下、返却専用のステーションを返却ステーションと略記する。また会員がシェアカーに乗り込み、運転を開始するステーションを出発ステーションと略記する)。この返却ステーションに返却されたシェアカーについては、シェアカーの予約状況、出発ステーションの車室の状況に応じて、出発ステーションへ配車するかプールへの引き取りを行うかをカーシェアリング管理サーバが決定する。
カーシェアリング管理サーバは、出発ステーションに空きがあれば返却されたシェアカーを出発ステーションに配車するように営業所端末に対して指示する。一方、出発ステーションに空きがなければ、返却された返却されたシェアカーを回収回送するよう、営業所端末に対して指示する。返却されたシェアカーを出発ステーションに配車した場合は、車両をセットアップし、次の利用に備える。
【0092】
また、返却する形態の別の例として、以下のようなものが考えられる。すなわち会員は、出発ステーションと同じステーションにシェアカーを返却するものである。カーシェアリング管理サーバは、ステーションの車室状況を注視し、返却による車室オーバーフローの可能性がある場合には、ステーションからプールへの車両引取を営業所端末に対して指示する。この形態でも、返却されたシェアカーは、次の会員の利用に備えて自動でセットアップされる。
【0093】
(
図13)
図13は、路上駐車スペースに対してシェアカーの回収回送が必要となる場面を示している。
【0094】
営業所Qが管理を担当している路上駐車スペースには、車両Kが停められている。一方、車両Lを利用した会員Bが返却地である路上駐車スペースに向かっているとする。車両Lの位置データは、カーシェアリング管理サーバにおいて定期的に取得されている。したがって、車両Lが返却されようとしていることが、カーシェアリング管理サーバにおいて予想されることとなる。
【0095】
一方、営業所端末DQにおいては、路上駐車スペースに停められている車両Kは、車両Lが返却される時刻まで、利用の予約が入っていないことを管理上、把握している。となると、会員Bが車両Lを返却する車室が存在しないこととなる。
【0096】
こうした場合、会員Bが車両Lを返却する車室を確保するため、営業所Qにいる回収回送の担当者の携帯端末に、車両Kを回収回送してくるように、命令データを送信する。回収回送の担当者は、車両Kに積載可能な自転車にて、車両Kのある路上駐車スペースに向かうのである。
【0097】
(
図14)
図14では、車両の返却予定と回収回送の関係をフローチャートにて示している
【0098】
カーシェアリング管理サーバは、貸し出されたシェアカーの位置データ(車両位置データ)を取得する(S21)。そして、その車両位置データが返却地まで所定の距離内であるか否かを検証する(S22)。もし、所定距離内ではない場合には、車両位置データの取得を繰り返す。
【0099】
所定距離内となった場合には、車両が返却に向かっていると判断できる。そのため、次のステップとして、返却されることが予定されているカーシェアステーション(または路上駐車スペース)に、その車両が返却する車室があるのか否か、を検証する(S23)。返却できる車室がある場合には、返却に向かっている車両に関して取るべきアクションはないので、終了する。
【0100】
その車両が返却する車室がない場合、回送担当者がそのカーシェアステーションに出向いて、予約開始時刻まで所定時間が空いている車両を回収回送する(S24)。
【0101】
(
図15)
図15は、シェアカーに搭載されている多機能カーナビゲーションに必要なデータを送信し、返却車両が使う車室へ誘導する様子を示している。
【0102】
一車室多車両のサービス形態を運用していると、会員ユーザが利用を開始した車室とは異なる車室へ返却してもらう必要がある、という場面が出てくる。そうした場合に備えて、カーシェアリング管理サーバは、会員ユーザが利用している車両を、どの車室に返却すべきかについてのデータを該当するシェアカーの車載機器へ送信する。
【0103】
車載機器にて前記のデータを受信したら、そのシェアカーでは、搭載している多機能カーナビゲーションへ、前記のデータを出力させる。たとえば、「3番車室に返却して下さい」といったメッセージを画面に出力し、音声でも案内するのである。
【0104】
(
図16)
図16は、営業所端末が、担当するカーシェアステーションに関して必要な会員ユーザの情報を、会員ユーザの携帯端末からカーシェアリング管理サーバを介さずに取得する場合を示す。
【0105】
図9に示したカーシェアリング管理サーバは、営業所が複数存在するような大規模なカーシェアリング事業を想定している。一方、
図16に示した営業所は、複数のカーシェアステーションを管理しているものの、営業所は一つであるような事業規模を想定している。
【0106】
この営業所端末には、図示は省略するが、会員データベースも存在しており、
図9に示したカーシェアリング管理サーバを兼用しているイメージである。
それゆえ、カーシェアリング管理サーバを中継せずに、会員ユーザに係る携帯端末と直接データの送受信を実施している。データ処理の流れは、これまで説明してきた通りであるので、詳述することは省略する。
【0107】
以上説明してきた実施形態によれば、会員ユーザによる予約遂行の確実さ、およびその予約遂行のタイミングに合わせたシェアカーの補充を円滑に実施することに寄与するカーシェアリング事業を提供することができる。
【0108】
なお、本発明は、以下のような構成をさらに有していてもよい。
たとえば、複数の会員の予約において、予約開始時刻がかち合う場合(例えば、10時予約の会員Aと、10時15分予約の会員Bとがトリガースポットに到着して同時に到着ボタンをタップしたような場合)、一度に両方の会員へシェカーを用意することは運用上、難しい。特に、路上に駐車スペースを設けてカーシェアリング事業による車両を貸し出す場合、複数のシェアカーを同時に準備するために不正駐車をすることは避けなければならないため、運用が難しい。このような場合には、どちらか一方の会員にお待ちいただくように案内し、もう一方の会員に対する貸し出しを確実に実施する運用とすることが考えられる。
【0109】
このように運用すれば、お待ちいただくように案内した会員にとっては、事情を理解した上でシェアカーの配車を待つので、不満は生じにくい。そしてもう一方の会員に対してはシェアカーを確実に提供することができ、カーシェアステーションへ到着したのに自分のシェアカーが用意できていない、といった事態は避けることができる。
【0110】
なお、お待ちいただくという会員については、その分、カーシェアリング利用料金を割引くなどの特典を付与してもよい。さらに、適切なタイミングでお待ちいただく案内を提供すれば、ステーションに来たのに待たなければいけないという事態を避け、たとえばトリガーポイント(具体的には、駅内や駅近くの店舗など)にて待つこともできる。
【0111】
さらに、予約時間が過ぎているのにトリガーポイントに来ていない、到着ボタンが押されていないという場合には、「予約取り消しの失念」と推定し、一定時間後、当該予約をキャンセルするという構成も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、駐車場などの駐車スペースおよび貸し出し用車両を利用したカーシェアリング事業やレンタカー事業、駐車場の設備製造業、駐車場の管理業、駐車場管理用データの通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、駐車場の制御ユニットや駐車場管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。
特にカーシェアリング事業に適用する場合については、道路外の駐車場の敷地内でシェアカーの受け渡しをする形態、また道路上で車両の待避スペースを作り、そのスペースでシェアカーの受け渡しをする形態のいずれについても本発明を適用可能である。