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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158527
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用ドアミラー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B60R1/06 D
B60R1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073789
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】523099264
【氏名又は名称】美里工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松原 智哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 崇
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF30
3D053FF31
3D053FF40
3D053GG06
3D053HH04
3D053HH14
3D053HH39
3D053HH53
3D053HH55
3D053HH60
(57)【要約】
【課題】ドアミラーの構成パーツへのカメラのより円滑な組み付けを促進すること。
【解決手段】車両用のドアミラー1は、開口45を有するハウジングパーツ31と、ハウジングパーツ31に対してブラケット9を介して取り付けられ、開口45を介して到来する光束を受光して画像を取得するカメラ5を有する。ブラケット9は、ハウジングパーツ31の第1取付部71の少なくとも1つのスロットに対して第1方向に挿入される挿入部91と、ハウジングパーツ31の第2取付部72に対して第1方向とは異なる第2方向において締結具により締結される被締結部92を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のドアミラーであって、
光学的開口を有するハウジングパーツと、
前記ハウジングパーツに対してブラケットを介して取り付けられ、前記光学的開口を介して到来する光束を受光して画像を取得するカメラを備え、
前記ブラケットは、前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して第1方向に挿入される挿入部と、前記ハウジングパーツの第2取付部に対して前記第1方向とは異なる第2方向において締結具により締結される被締結部を有する、ドアミラー。
【請求項2】
前記第1方向が、車幅方向に沿う方向であり、前記第2方向が、車両進行方向に沿う方向である、請求項1に記載のドアミラー。
【請求項3】
前記第1取付部は、前記少なくとも1つのスロットを画定する枠部を含む、請求項1に記載のドアミラー。
【請求項4】
前記第1取付部は、少なくとも2つのスロットを画定するように前記枠部に設けられた仕切り部を含み、前記挿入部の挿入端は、前記少なくとも2つのスロットに個別に挿入される少なくとも2つの挿入片を有するべく分岐している、請求項3に記載のドアミラー。
【請求項5】
前記仕切り部は、前記少なくとも2つの挿入片の間に形成された凹部の底側を臨む丸み付けられた端部を有する、請求項4に記載のドアミラー。
【請求項6】
前記仕切り部は、前記挿入部の挿入方向において前記枠部の枠面よりも前記スロットの奥側にオフセットして設けられる、請求項4に記載のドアミラー。
【請求項7】
前記ブラケットは、前記カメラに装着されるブラケット本体を含み、前記挿入部は、前記ブラケット本体から離れるに応じて前記ハウジングパーツに接近するように延びる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のドアミラー。
【請求項8】
前記挿入部と前記被締結部は、前記ブラケット本体の対辺に位置する、請求項7に記載のドアミラー。
【請求項9】
前記ブラケットは、前記カメラに接続されたハーネスが掛けられるフックを有する、請求項7に記載のドアミラー。
【請求項10】
前記フックは、前記被締結部よりも前記挿入部の近くに位置付けられる、請求項9に記載のドアミラー。
【請求項11】
前記ハウジングパーツは、前記第1方向に延びる前記ハーネスの一部を保持するハーネス保持部を有し、前記ブラケットの前記フックに前記ハーネスを掛けることにより前記カメラと前記ハーネス保持部の間で前記ハーネスの弛みを低減可能である、請求項9に記載のドアミラー。
【請求項12】
前記ハウジングパーツへの前記ブラケットの固定のために用いられる前記締結具の数は一つである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のドアミラー。
【請求項13】
車両用のドアミラーであって、
光学的開口を有するハウジングパーツと、
前記ハウジングパーツに対してブラケットを介して取り付けられ、前記光学的開口に光学的に連絡可能に配される光学装置を備え、
前記ブラケットは、前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して第1方向に挿入される挿入部と、前記ハウジングパーツの第2取付部に対して前記第1方向とは異なる第2方向において締結具により締結される被締結部を有する、ドアミラー。
【請求項14】
前記光学装置がカメラである、請求項13に記載のドアミラー。
【請求項15】
車両用のドアミラーの製造方法であって、
カメラに対してブラケットを装着する第1工程と、
光学的開口を有するハウジングパーツに対して前記ブラケットを介して前記カメラを取り付ける第2工程を含み、
前記第2工程は、
(i)前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して前記ブラケットの挿入部を第1方向に挿入すること;
(ii)前記ハウジングパーツの第2取付部上に前記ブラケットの被締結部を配置すること;及び
(iii)前記第1方向とは異なる第2方向において前記第2取付部に対して締結具により前記被締結部を締結することを含む、ドアミラーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用ドアミラー及びその製造方法に関し、より詳細には光学装置を有するドアミラー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用サイドミラーのハウジング内にカメラとランプを組み付けることが開示されている。同文献の図2に示すようにカメラ50とランプ60が共通のネジBによって固定されている。
【0003】
特許文献2にはドアミラーにランプを組み込んで車両への乗員の乗り降りに際して足下照明を提供することが開示されている。
【0004】
特許文献3には車両の外面に装飾的な光デザインを投影する投影装置を車両に組み込むことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-78559号公報
【特許文献2】特開平11-198717号公報
【特許文献3】米国特許第7175321号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドアミラーのハウジング内で締結具を用いてカメラを固定する場合、締結具によって強固にカメラを固定できるものの、締結作業に時間を要し、また締結の前段階ではカメラを定位置に位置決めする作業負担があり、必ずしも効率的とは言えない。このような例示の課題に照らして、本願発明者は、ドアミラーの構成パーツ(例えば、ミラーハウジング、ハウジングカバー、又は他のハウジングパーツ)への光学装置(例えば、カメラ又はランプ)のより円滑な組み付けを促進するという課題を新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る車両用ドアミラーは、光学的開口を有するハウジングパーツと、前記ハウジングパーツに対してブラケットを介して取り付けられ、前記光学的開口を介して到来する光束を受光して画像を取得するカメラを備え、前記ブラケットは、前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して第1方向に挿入される挿入部と、前記ハウジングパーツの第2取付部に対して前記第1方向とは異なる第2方向において締結具により締結される被締結部を有する。
【0008】
幾つかの実施形態においては、前記第1方向が、車幅方向に沿う方向であり、前記第2方向が、車両進行方向に沿う方向である。
【0009】
幾つかの実施形態においては、前記第1取付部は、前記少なくとも1つのスロットを画定する枠部を含む。
【0010】
幾つかの実施形態においては、前記第1取付部は、少なくとも2つのスロットを画定するように前記枠部に設けられた仕切り部を含み、前記挿入部の挿入端は、前記少なくとも2つのスロットに個別に挿入される少なくとも2つの挿入片を有するべく分岐している。
【0011】
幾つかの実施形態においては、前記仕切り部は、前記少なくとも2つの挿入片の間に形成された凹部の底側を臨む丸み付けられた端部を有する。
【0012】
幾つかの実施形態においては、前記仕切り部は、前記挿入部の挿入方向において前記枠部の枠面よりも前記スロットの奥側にオフセットして設けられる。
【0013】
幾つかの実施形態においては、前記ブラケットは、前記カメラに装着されるブラケット本体を含み、前記挿入部は、前記ブラケット本体から離れるに応じて前記ハウジングパーツに接近するように延びる。
【0014】
幾つかの実施形態においては、前記挿入部と前記被締結部は、前記ブラケット本体の対辺に位置する。
【0015】
幾つかの実施形態においては、前記ブラケットは、前記カメラに接続されたハーネスが掛けられるフックを有する。
【0016】
幾つかの実施形態においては、前記フックは、前記被締結部よりも前記挿入部の近くに位置付けられる。
【0017】
幾つかの実施形態においては、前記ハウジングパーツは、前記第1方向に延びる前記ハーネスの一部を保持するハーネス保持部を有し、前記ブラケットの前記フックに前記ハーネスを掛けることにより前記カメラと前記ハーネス保持部の間で前記ハーネスの弛みを低減可能である。
【0018】
幾つかの実施形態においては、前記ハウジングパーツへの前記ブラケットの固定のために用いられる前記締結具の数は一つである。
【0019】
本開示の別態様に係る車両用のドアミラーは、光学的開口を有するハウジングパーツと、前記ハウジングパーツに対してブラケットを介して取り付けられ、前記光学的開口に光学的に連絡可能に配される光学装置を備え、前記ブラケットは、前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して第1方向に挿入される挿入部と、前記ハウジングパーツの第2取付部に対して前記第1方向とは異なる第2方向において締結具により締結される被締結部を有する。前記光学装置がカメラであり得る。
【0020】
本開示の更なる別態様に係る車両用のドアミラーの製造方法は、カメラに対してブラケットを装着する第1工程と、光学的開口を有するハウジングパーツに対して前記ブラケットを介して前記カメラを取り付ける第2工程を含み、前記第2工程は、(i)前記ハウジングパーツの第1取付部の少なくとも1つのスロットに対して前記ブラケットの挿入部を第1方向に挿入すること;(ii)前記ハウジングパーツの第2取付部上に前記ブラケットの被締結部を配置すること;及び(iii)前記第1方向とは異なる第2方向において前記第2取付部に対して締結具により前記被締結部を締結することを含む。前記(i)及び(ii)により前記ハウジングパーツ上に前記ブラケットを介して前記カメラが仮固定され得る。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一態様によれば、ドアミラーの構成パーツへの光学装置のより円滑な組み付けを促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一態様に係るドアミラーの前面図であり、そこに内蔵されたカメラ及びランプを点線にて併せて示す。
図2】ドアミラーの後面図であり、そこに内蔵されたカメラ及びランプを点線にて併せて示す。
図3】ドアミラーの下面図であり、その下部カバーにはカメラ及びランプ用の開口が個別に形成されている。
図4】ミラーハウジングと共に収容空間を画定する下部カバーの概略的な後面図である。
図5】下部カバーの概略的な斜視図である。
図6】下部カバーの概略的な斜視図であり、カメラ取付状態を示す。
図7】下部カバーの概略的な後面図であり、カメラ取付状態を示す。
図8】下部カバーの概略的な部分拡大斜視図であり、カメラ取付状態を示す。
図9】カメラに取り付けられるブラケットの概略的な正面図である。
図10図9に示したブラケットの概略的な斜視図である。
図11】第1取付部のスロットへのブラケットの挿入部の挿入に関する模式図である。
図12】第1取付部のスロットへのブラケットの挿入部の挿入に関する模式図である。
図13】第1取付部のスロットへのブラケットの挿入部の挿入に関する模式図である。
図14】変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示されたドアミラー及びその製造方法にのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々なドアミラー及びその製造方法にも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0024】
図1乃至図3を参照して説明する。図1は、ドアミラー1の前面図であり、そこに内蔵されたカメラ5とランプ6を点線にて併せて示す。図2は、ドアミラー1の後面図であり、そこに内蔵されたカメラ5とランプ6を点線にて併せて示す。図3は、ドアミラー1の下面図であり、その下部カバー31にはカメラ5とランプ6用の開口が個別に形成されている。ドアミラー1に関して、ドアミラー1の外部の任意の第1位置とドアミラー1の内部の任意の第2位置を結ぶ直線に関して、第2位置よりも第1位置に近い位置又はそこに向かう方向を外側と呼び、第1位置よりも第2位置に近い位置又はそこに向かう方向を内側と呼ぶ。上下・左右・前後方向は、車両に対してドアミラー1が取り付けられた状態を前提として用いる。上下・左右・前後方向は、車両に乗車した運転手を基準とする。車幅方向、鉛直方向、及び進行方向は、図1乃至図3等に図示の座標に示す通りである。
【0025】
ドアミラー1は、車両のドアパネルに締結具によって締結され、車両(不図示)の運転手に後方視界(所謂、リアビュー又はバックビュー)を提供する。典型的には、ドアミラー1は、ベース11、ベース11に対して回転軸AX3周りに手動又は電動で回動可能に設けられたミラーアセンブリー12を有する。ベース11は、車両のドアパネルに締結具によって締結される。ベース11は、ベースハウジング、シャフトホルダー、ハーネスガイド等の多数のパーツの組み合わせから成り得る。
【0026】
ミラーアセンブリー12は、典型的には不図示のシャフトを介してベース11に対して回転可能に連結される。ミラーアセンブリー12が展開位置にある時(図1及び図2参照)、ミラー35が後方を臨むように位置付けられる。ミラーアセンブリー12が格納位置にある時(不図示)、ミラー35が車両側面に対向して位置付けられる。シャフトの構造に基づいてミラーアセンブリー12は展開位置と格納位置の間で電動制御可能であり得る。また、ミラー35は、不図示のミラー駆動ユニットの作動に応じて揺動可能であり得る。これらの駆動機構は、本分野において周知であり、説明は省略する。
【0027】
ミラーアセンブリー12は、複数のハウジングパーツから組み立てられ得る。ハウジングパーツは、金属又は樹脂から成り、ダイカスト成形又は射出成形により成形されるが、他の造形方法も採用可能である。幾つかの場合、ミラーアセンブリー12は、ハウジングパーツとして、ミラーハウジング3、ミラーハウジング3と共にドアミラー1の収容空間を画定する下部カバー31、及びミラーハウジング3及び下部カバー31と共にドアミラー1の収容空間を画定する上部カバー32を有する。ミラーハウジング3は、ミラー35のハウジングとして機能し、かつ様々なパーツ、アクチュエータ、ハーネス等の支持部として機能し得る。下部カバー31及び上部カバー32は、ミラーハウジング3よりも軽量であり得る。これらのパーツの外観形状は、デザイン要求などの種々の要求に応じて変更可能である。下部及び上部カバーを区別することなく単にハウジングカバーとも呼ぶ。
【0028】
ミラーアセンブリー12の収容空間、例えば、ミラーハウジング3と下部カバー31により画定される収容空間にカメラ5及びランプ6が配備される。下部カバー31には、カメラ5と外部空間を光学的に連通する開口45と、ランプ6と外部空間を光学的に連通する開口46が形成される。開口45,46は、ドアミラー1が車両に取り付けられた状態で鉛直方向下方を向き、即ち、車両が走行する走行面(例えば、路面)を臨む。開口45,46は、何ら物体により占有されていない無の空間を意味するが、光線の透過を許容する透明な窓材(例えば、ガラス板、透明プラスチック板)が配置された光学的開口として設けることもできる。ランプ用の開口46は、カメラ用の開口45よりも大きく形成されるが、必ずしもこの限りではない。
【0029】
カメラ5は、安全運転の支援のために車両周囲を撮影するモニターとして用いられるが、他の目的(車両周囲の物体検出)のために用いることもできる。ランプ6は、路面及び/又は車両側面を照明する装置であり、典型的には、照明ランプ(例えば、足下照明ランプ)及び投影ランプのいずれかであり得る。照明ランプは、車両のドアの開放又はカメラ5の稼働に同期して点灯し得る。投影ランプは、車両のドアの開放又はロック解除又は他のイベントに同期して点灯し得る。照明ランプは、投影ランプよりも広範囲を照明し、この点から異なる照明特性を持つものと言える。投影ランプは、照明ランプとは異なり、凸レンズを有することがあり、この点から異なる照明特性を持つものと言える。ランプ6として他の様々な種類のランプを採用可能である。投影ランプは、車両のメーカー又は車種に関する又はこれとは無関係のロゴ又は図柄を投影し得る。
【0030】
図1に図示の如く、ミラーアセンブリー12の回転軸AX3に平行な軸線L1に対するカメラ5の光軸AX5の(鋭角の)なす角θ1は、ミラーアセンブリー12の回転軸AX3に平行な軸線L2に対するランプ6の光軸AX6の(鋭角の)なす角θ2よりも大きく、これにより車両から十分に離れた範囲で画像取得することができる。軸線L1,L2を鉛直方向に平行な軸線と読み替えても同様である。
【0031】
図4を参照して説明する。下部カバー31は、開口45を画定する周縁部41を有し、更には、開口46を画定する周壁42を有する。開口45の画定のために周壁を設けることもできる。開口46の画定のために周縁を設けることもできる。周壁42は、ドアミラー1(ミラーアセンブリー12)の内側に向かって延び、好適には窄むように延びる(図5,6も併せて参照)。即ち、開口46の開口幅は、ランプ6の光軸に沿って開口46が外側に延びるに応じて増加し得る。有利には、周壁42の高さは、開口46の周方向において連続的(図示例参照)又は断続的(不図示)に変化する。有利には、周壁42は、車幅方向内側よりも車幅方向外側において高く設定される。尚、車幅方向内側は、車両の車幅中心で車両の進行方向に延びる車両の中心線により近い位置又はそこに近づく方向を意味し、車幅方向外側は、その中心線からより離れた位置又はそこから離れる方向を意味する。
【0032】
図4乃至図8を参照して説明する。カメラ5は、ブラケット9(図6参照)を介して下部カバー31のカメラ取付部7に取り付けられ、開口45を介して到来する光束を受光して画像を取得する。下部カバー31は、ブラケット9を介してカメラ5が取り付けられるカメラ取付部7を有する。カメラ取付部7は、第1及び第2取付部71,72を有し、これらが車幅方向及び/又は鉛直方向において異なる位置に配置されている。図示例では、第1取付部71が開口45よりも車幅方向外側に位置し、第2取付部72が開口45よりも車幅方向内側に位置するが、逆にすることもできる。有利には、第1取付部71、第2取付部72、及び開口45が、下部カバー31の内側空間において仮想的に設定可能な三角形の頂点に配置され、これによりカメラ5の安定保持が促進される。最適には、第1及び第2取付部71,72といった合計2つの取付部のみが設けられ、カメラ5の組み付け効率が促進される。
【0033】
第1取付部71は、ブラケット9の挿入部91の挿入方向(第1方向)に開口した少なくとも1つのスロットを有する。幾つかの場合、第1取付部71は、少なくとも一つのスロットを画定する枠部73であり、下部カバー31の内面に一体的に連結される。図示例では、枠部73は、下部カバー31の内面から後方に突出して設けられ、起立した一対の側壁と、下部カバー31の内面から最も離れた頂壁(後壁)を有する。
【0034】
第1取付部71は、枠部73により画定されるスロットを2つのスロットSL1,SL2に仕切る仕切り部74を有することができる。図示例では、スロットSL1,SL2は、車両進行方向に沿って配置される。仕切り部74は、第1取付部71の上述の側壁をそれらの中間高さにて連結する。尚、第2取付部72は、例えば、図示の通りのボスであり、下部カバー31の内面から後方に向けて突出している。第2取付部72であるボスは、締結具の軸部が挿入される孔を有し、この孔の周囲には被締結部92が座する座面が形成される。第2取付部72としてボス以外の構造を採用することもできる。
【0035】
本実施形態においては、ブラケット9は、下部カバー31の第1取付部71の少なくとも1つのスロットに対して第1方向D1に挿入される挿入部91と、下部カバー31の第2取付部72に対して第1方向D1とは異なる第2方向D2において締結具により締結される被締結部92を有する。これによりカメラ5に対してブラケット9を装着した後、ブラケット9の挿入部91を第1取付部71のスロットに挿入し、続いてブラケット9の被締結部92を第2取付部72上に配置して締結具を用いて締結することができる。即ち、ドアミラーの構成パーツへのカメラ5のより円滑な組み付けが促進される。図示例では、第1方向D1は、車幅方向に沿う方向であり、第2方向D2は、車両進行方向に沿う方向である。
【0036】
特には、第1取付部71のスロットへの挿入部91の挿入と第2取付部72上への被締結部92の配置によって、ブラケット9付きのカメラ5(単にカメラユニットとも呼ぶ)を仮固定できる。この仮固定状態で第2取付部72に対して締結具を用いて被締結部92を安定して円滑に締結することができる。場合によっては、第1取付部71のスロットへの挿入部91の挿入度合い、第1取付部71のスロットの構造、又は挿入部91の挿入端の構造によって、締結前にカメラユニットが揺動可能であり、従って、第2取付部72上への被締結部92の配置も容易に行うことができる。
【0037】
図9及び図10を追加参照して更に説明する。ブラケット9は、ダイカスト又は射出成形品により得られる(金属製又は樹脂製の)一体物であるが、インサート成形に基づいて異なる材料(例えば、樹脂と金属)を含むこともできる。ブラケット9は、カメラ5に装着されるブラケット本体95、挿入部91、被締結部92及びフック98を有する。挿入部91、被締結部92及びフック98のいずれもブラケット本体95に対して一体的に連結している。
【0038】
ブラケット本体95は、カメラ5の内端部(図示では上端部)を受容する受容部95rを有する。受容部95rは、開口96が設けられた主板95aと、主板95aの外周に位置してカメラ5を囲む周壁95bから成る。これらの主板95aと周壁95bにより凹状の受容空間が形成される。ブラケット本体95の主板95aに開口96が設けられる場合、カメラ5に接続されたハーネスをそこに通すことができる。ブラケット本体95の主板95aの開口96は、下部カバー31の開口45と同一直線上に配置され得、及び/又は、カメラ5の光軸AX5と同一直線上に配置され得る。周壁95bは、カメラ5の光軸AX5よりも径方向外方に位置する。
【0039】
主板95aは矩形状の輪郭を有し、周壁95bは、主板95aの矩形状の輪郭に対応して4つの側壁部を有するが、勿論、他の形状(例えば、円筒)も採用可能である。挿入部91は、主板95aよりも離れた側(外側寄りの位置)で側壁部に連結し、ブラケット9を容易に把持することができる。被締結部92及びフック98についても同様の特徴を適用できる。
【0040】
挿入部91と被締結部92をブラケット本体95を挟むように設けることもできる。ブラケット本体95の主板95aが多角形の輪郭を有する場合、挿入部91と被締結部92は、ブラケット本体95の対辺(例えば、その矩形の対辺)に位置し得る。これによりブラケット9のブラケット本体95を摘んで挿入部91を第1取付部71のスロットに挿入し易くなり、これと同時に第2取付部72上に被締結部92を配置し易くなる。
【0041】
挿入部91は、ブラケット本体95(例えば、その周壁95b)に連結した基端部91mとブラケット95本体から離れた挿入端91nを有し、これらの間を延びる。幾つかの場合、挿入部91は、ブラケット本体95から離れるに応じて下部カバー31(その内面)に接近するように延びる。追加又は代替として、挿入部91は、基端部91mと挿入端91nの間に1以上の屈曲部91jを有する。この場合、挿入部91は、屈曲部91jと挿入端91nの間を斜めに延びる傾斜部91kを持つ。挿入部91に傾斜部91kを設けることにより第1取付部71のスロットに挿入部91を斜めに挿入し易くなる。傾斜部91kは、ブラケット本体95の存在する平面(主板95aが存在する平面)に対して35°~65°間の鋭角を成すように延び得る。
【0042】
挿入端91nは、2つのスロットSL1,SL2に対応して分岐しており、端的には、2つのスロットSL1,SL2に個別に挿入される少なくとも2つの挿入片91a,91b(第1及び第2挿入片とも呼ぶ)を有するべく分岐している。2つの挿入片91a,91bの間には、挿入部91の基端部91m又は屈曲部91jに向けて延びる一つの凹部91cが形成されており、上述の仕切り部74が少なくとも部分的に受容される。2つの挿入片91a,91bの間で画定される凹部91cの幅W91cは、その底側(挿入部91の基端部91m又は屈曲部91j側)に向かって漸減し得る。
【0043】
被締結部92は、ブラケット本体95に対して挿入部91とは異なる位置で連結し、好適には、ブラケット本体95に連結した突板(タブ)として設けられる。被締結部92は、締結具の軸部が挿通される孔を有し、この孔の周囲に締結具の頭部が座する座面を有する。被締結部92は、ブラケット本体95の周壁95bの側壁面において、この側壁面の対角線方向に沿って配向され得る。換言すれば、被締結部92は、その側壁面の対角線方向を含む平面に配置され得る。これにより下部カバー31の湾曲に適合して第1及び第2取付部71,72を配置し、そこに対してブラケット9を上手く固定することが促進される。尚、下部カバー31の開口45の近傍において下部カバー31の前面と下面と左側面の間に湾曲面が形成される。
【0044】
ブラケット9にはフック98が設けられ、これに対してカメラ5に接続されたハーネスが掛けられ、ミラーアセンブリー12内でハーネスをより弛み無く配線できる(図6参照)。フック98は、ブラケット本体95の周壁95bに連結されており、そこから離れるに応じて1箇所で屈曲している。ブラケット9にフック98を設けることによりカメラ5の近い位置でハーネスを掛けることができ、ハーネスが無理に引っ張られる可能性も低下する。カメラ5に直接又はコネクタを介して連結するハーネスの長さは、カメラ5の製造元に指定することもできるが、製造元の負担もあり、時として困難である。
【0045】
上述の点に関連して、下部カバー31は、第1方向に延びるハーネスの一部を保持するハーネス保持部319を有することができる。ブラケット9のフック98によりカメラ5とハーネス保持部319の間を延びるハーネスをより弛み無く配線できる。下部カバー31にハーネス保持部319を設けることにより下部カバー31上においてカメラ5及びハーネスの両方を一緒に組み付けることができる。
【0046】
有利には、フック98は、被締結部92よりも挿入部91(その基端部91m)の近くに位置付けられる。これによりハーネスが被締結部92の近くに位置して締結作業を煩わせる可能性が低くなる。
【0047】
図11乃至図13を参照して説明する。図11の矢印が示す第1方向D1において第1取付部71のスロットに挿入部91の挿入端91nを挿入する時、図12が示す挿入過程において図12の矢印が示す方向D11(第1方向に直交する方向)において弧状矢印で示すように挿入部91が揺動可能である。追加的に、図13に示す挿入完了状態において図12と同様に挿入部91が揺動可能である。
【0048】
仕切り部74は、挿入部91の挿入方向において枠部73の枠面73aよりもスロットの奥側にオフセットして設けられる(図12のオフセットOS74参照)。この場合、挿入部91は、仕切り部74により仕切られていない枠部73のより開口幅が広いスロットにまず挿入され、従って、挿入の初期段階でブラケット9をより的確に位置決めできる。枠部73の枠面73aは、車幅方向に交差又は直交し、図示例では、車幅方向内側を臨むが(図4,5参照)、車幅方向外側を臨むように配置しても良い。
【0049】
上述した特徴の追加又は代替として、仕切り部74は、第1挿入片91aと第2挿入片91bの間の凹部91cの底側を臨む丸み付けられた端部74aを有することができる。スロットSL1,SL2への第1挿入片91aと第2挿入片91bの挿入過程で第1挿入片91aが端部74aに接触してもブラケット9が停止する可能性が低くなる(第2挿入片91bについても同様である)。第1取付部71のスロットへの挿入部91の挿入完了状態(又は、ブラケット9を介してカメラ5がカメラ取付部7に取り付けられた状態)において仕切り部74の端部74aが凹部91cの底(例えば、底面)に接触するか否かは任意である(図13の場合、両者は接触していない)。
【0050】
図14に示すように挿入部91が分岐せずにテーパー状の挿入端91nを有する形態も想定されている。第1取付部71において一つのスロットSLが枠部73により画定される。スロットSLがその奥側に向かって幅狭になるように枠部73が形状付けられる(例えば、枠部73にガイドリブ739が設けられる)。これによりスロットSLに挿入された挿入部91が揺動し易くなる。当然ながら図11乃至図13も同様に枠部73を形状付けることができる。
【0051】
ブラケット9を用いてカメラ5をカメラ取付部7に取り付ける方法について念のため説明する。まず、カメラ5に対してブラケット9を装着する。具体的には、ブラケット9内(周壁95b内)にカメラ5を挿入して両者をネジ止めする。このようにしてカメラ5とブラケット9が連結したカメラユニットが得られる。次に、ブラケット9の挿入部91を第1取付部71のスロットに挿入する。続いて、第2取付部72上に被締結部92を配置し、この状態で下部カバー31にカメラユニットが仮固定される。第1取付部71のスロットに挿入された挿入部91を枢動点としてブラケット9(カメラユニット)を枢動させることができ、第2取付部72上に被締結部92を的確に配置することができる。最後に、締結具(例えば、ネジ)を用いて第2取付部72に対して被締結部92を締結する。有利には、カメラユニットは、第1取付部71のスロットと挿入部91の係合に加えて、締結具のみにより1箇所のみで(即ち、上述の第2取付部72のみで)下部カバー31に対して締結される。典型的には、下部カバー31へのブラケット9の固定のために用いられる締結具の数は一つであり、締結箇所の数自体が減じられて締結作業負担が軽減される。
【0052】
カメラの代替として、照明ランプ又は投影ランプといった各種ランプをブラケット9を用いて取り付けることもできる。カメラ及びランプを包括的に光学装置と呼ぶ。カメラは、少なくとも一つのレンズとイメージセンサーを含み、その主たる機能は、イメージセンサーの画素における光電変換である。他方、ランプは、光源を含み、その主たる機能は、光源による電気エネルギーの光エネルギーへの変換である。いずれの装置も光に関係しており、この意味において光学装置と言える。
【0053】
上述の開示を踏まえ、当業者は、各実施形態及び各特徴に対して様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 :ドアミラー
5 :カメラ
9 :ブラケット

45 :開口
46 :開口

71 :第1取付部
72 :第2取付部

73 :枠部
73a :枠面
74 :仕切り部
74a :端部

91 :挿入部
91a :挿入片
91b :挿入片
91c :凹部
91n :挿入端

92 :被締結部
93 :枠部
95 :ブラケット本体
98 :フック

319 :ハーネス保持部

SL1 :スロット
SL2 :スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14