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特開2024-158533欠相検出装置、圧縮機用欠相検出システムおよび欠相検出方法
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  • 特開-欠相検出装置、圧縮機用欠相検出システムおよび欠相検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158533
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】欠相検出装置、圧縮機用欠相検出システムおよび欠相検出方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241031BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20241031BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20241031BHJP
   H02H 3/34 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/12 H
H02M7/06 H
H02H3/34 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073796
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】大田黒 修平
【テーマコード(参考)】
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006DB01
5H006DC05
5H770BA05
5H770DA03
5H770JA08Z
5H770LA07W
5H770LB10
(57)【要約】
【課題】回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源の欠相を検出することのできる欠相検出装置を提供する。
【解決手段】この欠相検出装置2は、電力変換部1に電力を供給する三相交流電源101のうち2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を線間電圧に対応するパルスに変換する変換部21と、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出するとともに、検出された2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う制御部22とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換部に電力を供給する三相交流電源のうち2つの線間電圧を検出するとともに、前記線間電圧を前記線間電圧に対応するパルスに変換する変換部と、
2つの前記線間電圧に対応する前記パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの前記線間電圧に対応する前記パルスの前記立ち上がりのエッジおよび前記立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて前記三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う制御部とを備える、欠相検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記変換部が検出した一方の前記線間電圧に対応する前記パルスにおいて、前記立ち上がりのエッジおよび前記立ち下がりのエッジが発生したことを示す情報を含む第1検出情報と、他方の前記線間電圧に対応する前記パルスの前記立ち上がりのエッジおよび前記立ち下がりのエッジが発生したことを示す情報を含む第2検出情報とを検出し、検出された前記第1検出情報および前記第2検出情報に基づいて前記三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う、請求項1に記載の欠相検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1検出情報と前記第2検出情報との両方を検出した場合に、前記三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する、請求項2に記載の欠相検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1検出情報および前記第2検出情報の両方を検出した回数をカウントするカウンタ部を含み、
所定の時間内に前記カウンタ部がカウントした回数がしきい値を超えた場合に、前記三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する、請求項2に記載の欠相検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1検出情報および前記第2検出情報が所定の時間内に検出されなかった場合に、前記三相交流電源から供給される電力のうちの2つ以上の相が欠相していると判定する制御を行う、請求項2に記載の欠相検出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記三相交流電源から供給される電力が正常な状態における2つの前記パルスの発生時間の差より短い周期で、前記第1検出情報および前記第2検出情報を検出する制御を行う、請求項2に記載の欠相検出装置。
【請求項7】
三相交流電源から電力供給回路を通して供給された電力を変換する電力変換装置と、
前記電力変換装置から電力が供給される圧縮機と、
前記三相交流電源の少なくとも1つの相の欠相を検出する欠相検出装置とを備え、
前記欠相検出装置は、
前記三相交流電源のうち2つの線間電圧を検出するとともに、前記線間電圧を前記線間電圧に対応するパルスに変換する変換部と、
前記線間電圧に対応する前記パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの前記立ち上がりのエッジおよび前記立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて前記三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する制御部とを備える、圧縮機用欠相検出システム。
【請求項8】
電力変換部に電力を供給する三相交流電源の欠相を検出する方法であって、
前記三相交流電源のうち2つの線間電圧を検出するとともに、前記線間電圧を前記線間電圧に対応するパルスに変換する変換工程と、
前記線間電圧に対応する前記パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された少なくとも2つの前記立ち上がりのエッジおよび前記立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて前記三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する検出工程とを備える、欠相検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、欠相検出装置、圧縮機用欠相検出システムおよび欠相検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相平衡負荷を駆動する電力変換装置において、機器の保護を行うために三相交流電源の欠相を検出する欠相検出装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載の欠相検出装置は、三相交流電源の線間電圧を検出してパルスに変換するフォトカプラと、フォトカプラから出力されたパルスに基づいて線間電圧に同期した欠相判定パルスを生成する欠相判定パルス生成手段としてのコンパレータとによって構成されている。そして、この特許文献1に記載の欠相検出装置は、コンパレータにより生成された欠相判定パルスの有無をCPUによりカウントし、一定時間カウント値がゼロであれば三相交流電源の欠相と判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-066566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、三相交流電源の欠相を検出するために、三相交流電源の線間電圧を検出してパルスに変換するフォトカプラに加えて、欠相判定パルスを生成するコンパレータが必要となる。この場合、欠相検出装置を構成する回路基板上に、検出する線間電圧の数に応じて複数のコンパレータを実装する必要があるため、欠相検出装置を構成する回路基板において、実装に必要な面積(実装面積)が増加するという問題がある。そのため、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することのできる欠相検出装置が求められている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することのできる欠相検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による欠相検出装置は、電力変換部に電力を供給する三相交流電源のうち2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を線間電圧に対応するパルスに変換する変換部と、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う制御部とを備える。
【0007】
この発明の第1の局面による欠相検出装置は、上記のように、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う制御部を備えている。これにより、欠相検出装置が、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて、欠相を直接検出する制御部を備えるため、コンパレータを用いることなく、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出することができる。また、電圧の検出は2つの線間電圧を検出すればよいので、装置の小型化が可能になる。その結果、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することができる。
【0008】
上記第1の局面による欠相検出装置において、好ましくは、制御部は、変換部が検出した一方の線間電圧に対応するパルスにおいて、立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの少なくとも一方が発生したことを示す情報を含む第1検出情報と、他方の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの少なくとも一方が発生したことを示す情報を含む第2検出情報とを検出し、検出された第1検出情報および第2検出情報に基づいて三相交流電源から供給される電力の欠相を検出する制御を行う。このように構成すれば、制御部が、立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの少なくとも一方が発生したかどうかという単純な情報に基づいて、欠相を検出することができる。その結果、制御部の処理負荷を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出できるようになる。
【0009】
この場合、好ましくは、制御部は、第1検出情報と第2検出情報との両方を検出した場合に、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する。このように構成すれば、制御部が欠相を検出する際に、検出した情報の数という単純な入力処理に基づいて欠相を検出することができる。その結果、制御部の処理負荷を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することができる。
【0010】
上記検出された第1検出情報および第2検出情報に基づいて三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う欠相検出装置において、好ましくは、制御部は、第1検出情報および第2検出情報の両方が検出された回数をカウントするカウンタ部を含み、所定の時間内にカウンタ部がカウントした回数がしきい値を超えた場合に、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う。このように構成すれば、ノイズなどの外乱によって、一時的に第1検出情報および第2検出情報が両方検出された場合に、制御部が欠相を誤検出してしまうことを抑制することができる。その結果、三相交流電源から供給される電力の欠相を高精度で検出することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、第1検出情報および第2検出情報が所定の時間内に検出されなかった場合に、三相交流電源のうちの2つ以上の相が欠相していると判定する制御を行う。このように構成すれば、制御部が、検出した情報の数の違いにより、三相交流電源から供給される電力の欠相の状態を検出できるようになる。その結果、三相交流電源のうちの1つの相が欠相している場合および2つ以上の相が欠相している場合のいずれの場合においても、欠相していることを検出することができる。
【0012】
上記検出された第1検出情報および第2検出情報に基づいて三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う欠相検出装置において、好ましくは、制御部は、三相交流電源から供給される電力が正常な状態における2つの前記パルスの発生時間の差より短い周期で第1検出情報および第2検出情報を検出する制御を行う。このように構成すれば、制御部がより多くのタイミングで第1検出情報および第2検出情報を検出することができるようになる。その結果、パルスのエッジを精密に検出することができるようになり、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を、より確実に検出することができる。
【0013】
この第2の局面による圧縮機用欠相検出システムは、三相交流電源から電力供給回路を通して供給された電力を変換する電力変換装置と、電力変換装置から電力が供給される圧縮機と、記三相交流電源の少なくとも1つの相の欠相を検出する欠相検出装置とを備え、欠相検出装置は、三相交流電源のうち少なくとも2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を線間電圧に対応するパルスに変換する変換部と、線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する制御部とを備える。
【0014】
上記第2の局面による圧縮機用欠相検出システムは、上記のように、欠相検出装置が、三相交流電源のうち少なくとも2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を線間電圧に対応するパルスに変換する変換部と、線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された2つの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する制御部を備える。これにより、欠相検出装置が、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて欠相を直接検出する制御部を備えるため、コンパレータを用いることなく、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出することができる。その結果、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することが可能な、圧縮機用欠相検出システムを提供することができる。
【0015】
この第3の局面による欠相検出方法は、電力変換部に電力を供給する三相交流電源の欠相を検出する方法であって、三相交流電源のうち2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を線間電圧に対応するパルスに変換する変換工程と、線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された少なくとも2つの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する検出工程とを備える。
【0016】
上記第3の局面による欠相検出方法は、上記のように、線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報を検出するとともに、検出された少なくとも2つの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて三相交流電源から供給される電力の少なくとも1つの相の欠相を検出する。これにより、欠相検出装置が、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて欠相を直接検出する制御部を備えるため、コンパレータを用いることなく、三相交流電源のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出することができる。その結果、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することが可能な、圧縮機用欠相検出システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源から供給される電力の欠相を検出することのできる欠相検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による圧縮機用欠相検出システムの構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態による変換部の詳細な回路図の一例である。
図3】本発明の一実施形態による欠相検出装置の動作の処理を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による三相交流電源から供給される電力が欠相していない状態における線間電圧に対応したパルス波形と第1および第2検出情報とを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による三相交流電源から供給される電力のうち1相が欠相している状態における線間電圧に対応したパルス波形と第1および第2検出情報とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1を参照して、本実施形態による圧縮機用欠相検出システム100の構成について説明する。
【0021】
(圧縮機用欠相検出システム100の構成)
図1に示すように、圧縮機用欠相検出システム100は、電力変換部1と、欠相検出装置2と、圧縮機3とを備えている。また、圧縮機用欠相検出システム100は、装置外部の三相交流電源101からR相の電力線R、S相の電力線SおよびT相の電力線Tを介して電力を供給されるように構成されている。
【0022】
電力変換部1は、圧縮機用欠相検出システム100の外部に設けられた三相交流電源101から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力を昇圧または降圧するコンバータ部11を含む。なお、コンバータ部11は、ダイオードをブリッジ接続した整流回路で構成してもよい。また、電力変換部1は直流リアクトル13および平滑コンデンサ14を含む。また、電力変換部1は、コンバータ部11から出力された直流電力を交流電力に変換して装置外部の負荷である圧縮機3に出力するインバータ部12を含む。これにより、電力変換部1は、装置外部の三相交流電源101から供給された交流電力が正常に供給されている正常動作時において、装置外部の三相交流電源101からの交流電力を所望の電力に変換して、装置外部の負荷である圧縮機3に出力するように構成されている。
【0023】
欠相検出装置2は、電力を供給する三相交流電源101のうちの2つの線間電圧を検出するとともに、線間電圧を、線間電圧に対応するパルスに変換する変換部21を含む。この変換部21は、図2に示すように、分圧用の抵抗21a、フォトカプラ21bおよびプルアップ抵抗21c、フォトカプラ21bを保護するツェナーダイオード21dを含むように構成されている。そして、変換部21は、三相交流電源101から供給される電力のうちの2つの線間電圧の各々を分圧し、フォトカプラ21bの発光ダイオードに印加する。このとき、例えば、R-S間の場合、R相電圧がS相電圧より小さい場合にフォトカプラ21bが立ち上がり、R相電圧がS相電圧より大きい場合に立ち下がるパルスが、フォトカプラ21bのトランジスタ部分から出力される。本実施形態においては、変換部21が変換する線間電圧を、R-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧とした例について説明する。
【0024】
また、欠相検出装置2は、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの少なくとも一方を検出する制御部22を備える。この制御部22は、検出されたR-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報に基づいて、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う。この制御部22は、マイクロコンピュータであり、たとえばPCB基板に実装される。制御部22は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0025】
ここで、本実施形態では、制御部22は、図1に示すように、R-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの少なくとも一方を検出するエッジ検出部22aを有している。また、制御部22は、エッジ検出部22aが検出したR-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりの一方のエッジに関する情報である外部割込みの要求フラグ(以下の記載において、フラグとする)を検出するように構成されている。このフラグは、各々のパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジが発生した際に、エッジが発生したことを示す信号であり、たとえばエッジ検出部22aはエッジの無い部分において「0」のフラグを出力し、エッジを検出した際に「1」のフラグを出力する。なお、このフラグは、特許請求の範囲の「エッジに関する情報」、「第1検出情報」および「第2検出情報」の一例である。
【0026】
また、本実施形態では、制御部22は、フラグの検出状態をカウントする、カウンタ部22bを有している。このカウンタ部22bは、検出したいフラグの数に応じて、複数設けられている。
【0027】
また、この本実施形態において、制御部22は、電力変換部1に含まれる各部の制御を行う。たとえば、三相交流電源101から電力線R、電力線Sおよび電力線Tを通して電力変換部1に供給される電力が正常な場合には、所望の電力を圧縮機3に供給するように、電力変換部1に含まれる各部の制御を行う。また、制御部22は、三相交流電源101から電力変換部1に供給される電力のうち、少なくとも一つの相が欠相していることを検出した際には、電力変換部1の動作を停止させて、圧縮機3に対しての電力供給が停止されるように制御を行う。
【0028】
圧縮機3は、たとえば冷却器を構成する部品として、冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機3は、電力変換部1から供給される電力に応じて、圧縮機3から吐出される冷媒の流量を調整可能に構成されている。なお、冷媒は、たとえば、R410A、R404A、R32および二酸化炭素(CO)などである。
【0029】
(圧縮機用欠相検出システムを用いた欠相検出方法)
次に、図3図5を参照して、本実施形態における圧縮機用欠相検出システム100における欠相検出方法の処理について説明する。
【0030】
本実施形態における圧縮機用欠相検出システム100における欠相検出方法においては、図3のステップS1において、まず変換部21によって、検出された電力変換部1と三相交流電源101との間のR-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧が、パルスに変換される。また、変換部21は、変換した線間電圧に対応するパルスを制御部22へ出力するように構成されている。その後、ステップS2の処理に進む。
【0031】
ステップS2において、エッジ検出部22aは、R-S間の線間電圧のパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの発生に応じて、第1のフラグを出力する。また、エッジ検出部22aは、S-T間の線間電圧のパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの発生に応じて、第2のフラグとして出力する。
【0032】
このとき、欠相検出処理の周期T1、つまりエッジ検出部22aによるパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出する周期T1は以下のとおり定める。図4は三相交流電源101に欠相がなく、正常な状態におけるR-S間の線間電圧、S-T間の線間電圧およびT-R間の線間電圧の各々に対応したパルス波形を示す。なお、本実施形態では、変換部21は、R-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧のみを取得し、パルス波形に変換している。三相交流電源101の周波数f2がたとえば50Hzのとき、R-S間の線間電圧とS-T間の線間電圧のパルス波形の位相差は120度であるため、それぞれのパルスの発生時間の差t1は、t1=1/(f2×3)=6.67msであり、三相交流電源101の周波数f2が60Hzのとき、t1=5.56msである。このことから、制御部22が有するエッジ検出部22aによるパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出する周期T1は、t1=6.67msよりも短く、かつ計算負荷が小さくなるような値に設定する。本実施形態では、欠相検出処理の周期T1はたとえば1msとする。その後、ステップS3の処理に進む。
【0033】
ステップS3において、制御部22は、エッジ検出部22aから出力されたフラグの検出数が2であるかどうかを判定する。
【0034】
(三相交流電源101から供給される交流電力が正常な状態)
まず、三相交流電源101から供給される交流電力が正常な状態における欠相検出処理について説明する。図4に示すように、三相交流電源101から供給される交流電力が正常な状態においては、エッジ検出部22aがR-S間の線間電圧のパルスの立ち上がりのエッジを検出した際に、第1のフラグ「1」を出力する。また、そのt1時間後に、エッジ検出部22aは、S-T間の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジを検出し、第2のフラグ「1」を出力する。このように、エッジ検出部22aから出力される第1のフラグおよび第2のフラグは同時には発生しない。
【0035】
上記のように、エッジ検出部22aから出力される第1のフラグおよび第2のフラグは同時には発生しないため、制御部22は、同一の欠相検出処理の周期T1内に、第1または第2のフラグ「1」を2つ同時に検出することはない。なお、パルスの立ち下がり時にも同様に、制御部22は、同一の欠相検出処理の周期T1内に、第1または第2のフラグ「1」を2つ同時に検出することはない。したがって、三相交流電源101から供給される交流電力が正常な状態において、制御部22は同一の欠相検出処理の周期T1内に第1または第2のフラグ「1」を1つずつしか検出しないため、同一の欠相検出処理の周期T1内にフラグ検出数は2つにはならない。したがって、ステップS5の処理に進む。
【0036】
ステップS5において、制御部22は、エッジ検出部22aから出力されたフラグの検出数が0であるかどうかを判定する。三相交流電源101から供給される交流電力が正常な状態において、上記の通り、制御部22は第1または第2のフラグを検出することになり、所定期間内(たとえば三相交流電源101の周期T2内)に制御部22が検出するフラグ検出数は「0」にはならない。そのため、ステップS5の分岐「No」に進み、欠相は検出されずに欠相検出処理が終了することになる。
【0037】
(三相交流電源101から供給される交流電力のうち1つの相が欠相している状態)
次に、ステップS3において、三相交流電源101から供給される交流電力のうち1つの相が欠相している状態について説明する。
【0038】
図5に、変換部21が出力する三相交流電源101から供給される交流電力のうち電力線Rから供給されるR相の電力が欠相しているという、異常な状態におけるR-S間の線間電圧、S-T間およびT-R間の線間電圧の各々に対応するパルスを示す。なお、本実施形態では、変換部21は、R-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧のみを取得し、パルス波形に変換している。三相交流電源101から供給される交流電力のうち電力線Rから供給されるR相の電力が欠相している状態においては、欠相していない残りの2つのS相の電力およびT相の電力の電圧の和を2で割った値が中性点電位となり、欠相したR相の電位は中性点電位と等しくなる特徴がある。そのため、図5に示すように、欠相した相を含む線間電圧であるR-S間の線間電圧に対応するパルス、および、T-R間の線間電圧に対応するパルスの位相が同位相となり、残りのS-T間の線間電圧は位相が180度ずれて出力されている。また、エッジ検出部22aは、R-S間の線間電圧のパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの発生に応じて、第1のフラグを出力する。また、エッジ検出部22aは、S-T間の線間電圧のパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの発生に応じて、第2のフラグを出力する。
【0039】
図3のステップS3において、制御部22は、エッジ検出部22aにより出力されたR-S間の線間電圧のパルス波形の立ち上がりのエッジおよび立ち下りのエッジに基づく第1のフラグ、および、S-T間の線間電圧に対応するパルス波形の立ち上がりのエッジおよび立ち下りのエッジに基づく第2のフラグの両方を検出する。具体的には、図5に示すように、制御部22はフラグを2つ同時に検出することになる。なお、フラグが同時に発生せずとも、制御部22が有するエッジ検出部22aによるパルスの立ち上がりまたは立ち下りのエッジを検出する周期T1の一周期中内であれば、2つのフラグが少しずれて発生した場合にも、制御部22はフラグを2つ同時に検出することになる。上記の通り、三相交流電源101から供給される交流電力のうち電力線Rから供給されるR相の電力が欠相している状態においては、ステップS3において、制御部22が検出するフラグ数が2であるため、ステップS4の処理に進む。
【0040】
ステップS4において、制御部22は、第1の所定期間以内に内部のカウンタ部22bがフラグを2つ同時に検出した回数をカウントするように構成されている。ここで、第1の所定期間はあらかじめ設定するものであり、たとえば、三相交流電源101の1.5周期に設定すると、三相交流電源101の周波数が50Hzの場合は30msとなり、60Hzの場合は25msとなる。そして、制御部22は、カウンタ部22bが30ms内(50Hzの場合)に3回以上フラグを2つ同時に検出したカウントした場合に、ステップS7に進み、三相交流電源101から供給される電力の1つが欠相していることを判定する。なお、制御部22は、カウント部が30ms内にカウントした回数が3回未満である場合は、ステップS4の分岐「No」に進み、ノイズによる誤検出であったと判定し、カウントをゼロに戻すようにカウンタ部22bの動作を制御する。以上の動作により、欠相検出装置2は、三相交流電源101から供給される電力が1つ欠相している場合に、三相交流電源101から供給される電力が1つ欠相していることを検出することができる。
【0041】
(三相交流電源101から供給される交流電力のうち2つ以上の相が欠相している状態)
次に、ステップS3において三相交流電源101から供給される交流電力のうち2つ以上の相が欠相している状態について説明する。
【0042】
三相交流電源101から供給される交流電力のうち、たとえばR相およびS相の両方が欠相している場合、線間電圧はゼロとなるため、変換部21が出力するパルスは変化しない。したがって、パルスが変化しないためエッジも発生しないことになり、エッジ検出部22aが出力するフラグは0になっている。
【0043】
このとき、ステップS3において、制御部22は、検出するフラグ検出数が2であるかどうかを判定する。上記の通り、エッジ検出部22aにより出力されるフラグ検出数は「0」であり、フラグ検出数は「2」ではないため、図3に示すフローチャートにおいて、ステップS5の処理に進む。なお、ステップS5において、上記の通り、制御部22が検出するフラグの検出数は「0」であるのでステップS6の処理に進む。
【0044】
制御部22は、図1に示すように、本実施形態において有していたカウンタ部22bとは別に、フラグが「0」である状態数を一定のタイミングでカウントするカウンタ部22cを有するように構成されている。ステップS6において、制御部22は、カウンタ部22cが、第2の所定期間の間、フラグが「0」である状態数のカウントを続けている場合に、ステップS7に進み、三相交流電源101から供給される電力の2つ以上が欠相していると判定し、欠相を検出する。ここで、第2の所定期間はあらかじめ設定するものであり、たとえば、三相交流電源101の3周期に設定すると、三相交流電源101の周波数が50Hzの場合は60msとなり、60Hzの場合は50msとなる。なお、制御部22は、60ms(50Hzの場合)の時間において、フラグ検出数が第1または第2のフラグを検出した場合は、2相以上の欠相は起きていないと判定し、ステップS6の分岐「No」に進み、カウントをゼロに戻すようにカウンタ部22cの動作を制御する。
【0045】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0046】
本実施形態の欠相検出装置2は、R-S間およびS-T間の線間電圧を検出してR-S間およびS-T間の線間電圧に対応するパルスに変換する変換部21を備える。また、本実施形態の欠相検出装置2は、パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報であるフラグを検出するとともに、検出された少なくとも2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報であるフラグに基づいて、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う制御部22を備えている。これにより、欠相検出装置2が、2つの線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報であるフラグに基づいて欠相を直接検出する制御部22を備えるため、コンパレータを用いることなく、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出することができる。また、電圧の検出は2つの線間電圧を検出すればよいので、装置の小型化が可能になる。その結果、回路基板の実装面積を抑制しながら、三相交流電源101から供給される電力の欠相を検出することができる。
【0047】
なお、本実施形態の欠相検出装置2では、制御部22は、変換部21が検出した一方の線間電圧に対応するパルスにおいて、立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジが発生したことを示す情報を含むフラグと、他方の線間電圧に対応するパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジが発生したことを示すフラグとを検出し、検出されたフラグに基づいて三相交流電源101から供給される電力の欠相を検出する制御を行う。これにより、制御部22が、立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジが発生したかどうかという単純な情報に基づいて、欠相を検出することができる。その結果、制御部22の処理負荷を抑制しながら、三相交流電源101から供給される電力のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出できるようになる。
【0048】
また、本実施形態では、制御部22は、第1のフラグと第2のフラグとを同時に検出した場合に、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する。これにより、制御部22が欠相を検出する際に、検出した情報の数という単純な入力処理に基づいて欠相を検出することができる。その結果、制御部22の処理負荷を抑制しながら、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出することができる。
【0049】
また、本実施形態では、制御部22は、2つのフラグの両方が検出された回数をカウントするカウンタ部22bを含み、所定の時間内にカウンタ部22bがカウントした回数がしきい値を超えた場合に、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を検出する制御を行う。これにより、ノイズなどの外乱によって、フラグが同時に検出された際に、欠相が検出されることを抑制することができる。その結果、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を高精度で検出することができる。
【0050】
また、本実施形態では、制御部22は、三相交流電源101から供給される電力が正常な状態における2つのパルスの発生時間の差t1より短い周期T1で第1または第2のフラグを検出する制御を行う。これにより、制御部22がより多くのタイミングで第1または第2のフラグを検出することができるようになる。その結果、パルスのエッジを精密に検出することができるようになり、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相の欠相を、より確実に検出することができる。
【0051】
また、本実施形態では、制御部22は、フラグが所定の時間内に検出されなかった場合に、三相交流電源101のうちの2つ以上の相が欠相していると判定する制御を行う。これにより、三相交流電源101のうちの1つの相が欠相している場合だけでなく、2つ以上の相が欠相している場合にも欠相を検出できるようになる。その結果、制御部22が取得したフラグの数の違いにより、三相交流電源101のうちの1つの相が欠相している場合および2つ以上の相が欠相している場合のいずれの場合においても、欠相していることを検出することができる。
【0052】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、三相交流電源101のうちの少なくとも1つの相が欠相している場合に、欠相検出装置2が圧縮機3に対しての電力供給を停止するように電力変換部1を制御する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、欠相検出装置2が例えばモーターやポンプなどの圧縮機3以外の負荷に対しての電力供給を停止するように、電力変換部1を制御するように構成されていてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、変換部21が、R-S間の線間電圧およびS-T間の線間電圧を検出してパルスに変換する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、変換部21が検出する線間電圧を、三相交流電源101から供給される3つの相のうち任意の2つの相を選択してよい。たとえば、変換部21は、R-S間の線間電圧およびR-T間の線間電圧を検出してパルスに変換するように構成されていてもよいし、S-T間の線間電圧およびR-T間の線間電圧を検出してパルス波形に変換するように構成されていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、制御部22がパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出する周期T1が1msである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部22がパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出する周期T1は、三相交流電源101が正常時の2つの線間電圧の位相差で決まる時間t1より短く、かつ計算負荷が小さくなるような値に設定すればよく、設定により適宜変更することができる。これにより早い処理速度は不必要となり、比較的安価なCPUでも容易に欠相検出処理が実現できる。
【0056】
また、上記実施形態では、制御部22がパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジを検出するとともに、パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに基づいて得られた第1および第2のフラグに基づいて三相交流電源101から供給される電力の欠相を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部22が、検出したパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに基づいて、フラグとは別の情報を検出するように構成されていてもよい。制御部22が検出する、パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジに関する情報としては、たとえば、パルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの電圧、発生した時間(タイミング)などを用いることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、制御部22がパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの各々を、第1および第2のフラグとして、両方検出した回数をカウントし、所定の時間内に所定の回数カウントした場合に、三相交流電源101から供給される電力のうち1つの相が欠相していると判定した上で、欠相を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部22が、第1および第2のフラグを両方検出した際に、三相交流電源101から供給される電力のうち1つの相が欠相しているという判定を行うことなく、直ちに三相交流電源101から供給される電力の少なくとも1つが欠相していることを検出するように構成されていてもよい。
【0058】
また、上記1第実施形態では、制御部22がカウンタ部22bを含み、カウンタ部22bがパルスの立ち上がりのエッジおよび立ち下がりのエッジの各々を、第1および第2のフラグとして、両方検出した回数をカウントし、30ms内に3回以上カウントした場合に、三相交流電源101から供給される電力の1つが欠相していると判定して欠相を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の時間内において、所定の回数カウントした際に、制御部22が三相交流電源101から供給される電力の1つが欠相していることを検出するように、適宜時間および回数を設定してもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、制御部22が、フラグが「0」である状態数をカウントするカウンタ部22cを有するように構成され、60msの時間において、カウンタ部22cが、フラグが「0」である状態数のカウントを続けている場合に、三相交流電源101から供給される電力の2つ以上が欠相していると判定し、欠相を検出する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カウンタ部22cが所定の時間にフラグが「0」である状態数のカウント続けている場合に、制御部22が、三相交流電源101から供給される電力の2つ以上が欠相していると判定して欠相を検出するように、適宜時間を設定してもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、欠相検出装置2が変換部21と制御部22のみを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、欠相検出装置2が変換部21と制御部22以外にも、少なくとも検出された第1検出情報および第2検出情報を記憶する記憶部を設けてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、欠相検出装置2の制御部22が、三相交流電源101から供給される電力が正常な場合においても電力変換部1の各部の制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、欠相検出装置2の制御部22とは別に、電力変換部1の制御を行う制御装置を設けてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 電力変換部
2 欠相検出装置
3 圧縮機
11 コンバータ部
12 インバータ部
21 変換部
22 制御部
22a エッジ検出部
22b、22c カウンタ部
100 圧縮機用欠相検出システム
101 三相交流電源
R、S、T 電力線
T1 制御部22がフラグを検出する周期
T2 三相交流電源の周波数の周期
図1
図2
図3
図4
図5