(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158539
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/36 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
E06B9/36 B
E06B9/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073805
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
(57)【要約】
【課題】遮蔽材を左右方向に開閉するための操作荷重を軽減可能な開閉装置を提供する。
【解決手段】縦型ブラインド100は、複数のルーバー110をヘッドレール120の長手方向に沿って移動可能に吊り下げ支持するものであって、ヘッドレール120の長手方向に沿って移動可能に吊り下げられ、長手方向への移動操作により複数のルーバー110を開閉可能な操作バトン130と、長手方向に沿って操作バトン130と一体に移動可能に設けられ、操作バトン130の操作により作動し、操作バトン130の移動方向への動力をアシストすることで該移動方向への操作荷重を軽減するアシスト装置140と、を備えることを特徴とする。かかる構成によれば、遮蔽材を左右方向に開閉するための操作荷重を軽減可能にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材をヘッドレールの長手方向に沿って移動可能に吊り下げ支持する開閉装置であって、
前記ヘッドレールの長手方向に沿って移動可能に吊り下げられ、前記長手方向への移動操作により前記遮蔽材を開閉可能な操作部材と、
前記長手方向に沿って前記操作部材と一体に移動可能に設けられ、前記操作部材の操作により作動し、前記操作部材の移動方向への動力をアシストすることで該移動方向への操作荷重を軽減するアシスト装置と、
を備えることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記アシスト装置は、前記操作部材の移動操作に伴い入力される回転力により作動するはずみ車を備えることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記アシスト装置は、
前記ヘッドレール内を走行可能に設けられるローラと、
前記ローラの回転が伝達されるギヤ部と、
前記ギヤ部を介して前記ローラの回転が伝達されることにより回転するはずみ車と、
を備え、
前記はずみ車の回転によって生じる慣性モーメントにより前記ローラを回転させることで、前記操作部材の移動方向への動力をアシストすることを特徴とする、請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ローラは、前記ヘッドレールの接触面と摩擦係合するように少なくとも外周面がゴム系の材料で構成されることを特徴とする、請求項3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記アシスト装置を上方に付勢する付勢部材を更に備え、
前記操作部材が非操作状態である場合には、前記付勢部材の付勢力により前記ローラと前記ヘッドレールとを非接触状態に維持することにより前記アシスト装置が作動せず、
前記操作部材が操作状態である場合には、前記操作部材が前記付勢部材の付勢力に抗して下方に引っ張られながら移動操作されることにより前記アシスト装置が作動することを特徴とする、請求項3又は4に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、前記アシスト装置の下部に設けられ、前記アシスト装置と前記ヘッドレールとを離間させる板状のバネであることを特徴とする、請求項5に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記アシスト装置は、前記操作部材が操作状態となると、前記ローラと前記はずみ車との間で回転が伝達可能な第1状態に切り替え、前記操作部材が非操作状態となると、前記ローラと前記はずみ車との間で回転が伝達不能な第2状態に切り替える切替手段を更に備えることを特徴とする、請求項3又は4に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記操作部材の回転操作により前記遮蔽材を鉛直軸回りに回転動作させる駆動系を更に備え、
前記駆動系は、前記長手方向に沿って移動可能に前記ヘッドレール内に設けられ、前記操作部材の回転操作による回転力が入力される入力軸を有するキャリアを含み、
前記アシスト装置は、前記入力軸を有するキャリアと一体に移動可能となるように該入力軸を有するキャリアに連結されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の開閉装置。
【請求項9】
前記アシスト装置は、前記ヘッドレールの端部側から前記入力軸を有するキャリアに連結され、
前記駆動系は、
前記長手方向において前記入力軸よりも前記ヘッドレールの端部側に設けられ、前記操作部材を回転操作可能に吊り下げ支持する吊下軸と、
前記入力軸と前記吊下軸との間に介在され、前記操作部材の回転操作による前記吊下軸の回転を前記入力軸に伝達可能な伝達部と、
を更に含むことを特徴とする、請求項8に記載の開閉装置。
【請求項10】
前記ローラはピニオンであり、前記ヘッドレールの長手方向に設けられたラックに噛み合って移動することを特徴とする、請求項3に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の開閉装置としては、特開2009-185493号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に示される開閉装置(縦型ブラインド)は、ヘッドレール内を移動可能な複数のキャリアを備えており、最も端部に配置されるマスターキャリアには操作部材が吊り下げられ、各キャリアにはルーバーが吊り下げられる。また、この開閉装置は、操作部材の回転操作を介してルーバーを鉛直軸周りに回転動作させるための駆動軸を含む駆動機構を備えている。
【0003】
このような従来の開閉装置によれば、操作部材の移動操作によりルーバーを左右方向に開閉させることができ、操作部材の回転操作によりルーバーを鉛直軸周りに回転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の開閉装置は、サイズが大きくなるほどルーバーを左右方向に開閉するための操作荷重が大きくなるという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、遮蔽材を左右方向に開閉するための操作荷重を軽減可能な開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、遮蔽材をヘッドレールの長手方向に沿って移動可能に吊り下げ支持する開閉装置であって、前記ヘッドレールの長手方向に沿って移動可能に吊り下げられ、前記長手方向への移動操作により前記遮蔽材を開閉可能な操作部材と、前記長手方向に沿って前記操作部材と一体に移動可能に設けられ、前記操作部材の操作により作動し、前記操作部材の移動方向への動力をアシストすることで該移動方向への操作荷重を軽減するアシスト装置と、を備えることを特徴とする開閉装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、遮蔽材を左右方向(ヘッドレールの長手方向)に開閉操作する際の操作荷重をアシスト装置により軽減することができる。
【0009】
本発明の応用例として様々なものが考えられる。例えば、前記アシスト装置は、前記操作部材の移動操作に伴い入力される回転力により作動するはずみ車を備えてもよい。かかる構成によれば、はずみ車を利用してアシスト装置を構成することができる。
【0010】
また、前記アシスト装置は、前記ヘッドレール内を走行可能に設けられるローラと、前記ローラの回転が伝達されるギヤ部と、前記ギヤ部を介して前記ローラの回転が伝達されることにより回転するはずみ車と、を備え、前記はずみ車の回転によって生じる慣性モーメントにより前記ローラを回転させることで、前記操作部材の移動方向への動力をアシストするようにしてもよい。かかる構成によれば、遮蔽材を左右方向(ヘッドレールの長手方向)に開閉操作する際の操作荷重をアシスト装置により軽減することができる。
【0011】
また、前記ローラは、前記ヘッドレールの接触面と摩擦係合するように少なくとも外周面がゴム系の材料で構成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、ローラがヘッドレールの接触面で滑ることなく、アシスト装置を確実に作動させることができる。
【0012】
また、前記アシスト装置を上方に付勢する付勢部材を更に備え、前記操作部材が非操作状態である場合には、前記付勢部材の付勢力により前記ローラと前記ヘッドレールとを非接触状態に維持することにより前記アシスト装置が作動せず、前記操作部材が操作状態である場合には、前記操作部材が前記付勢部材の付勢力に抗して下方に引っ張られながら移動操作されることにより前記アシスト装置が作動するようにしてもよい。かかる構成によれば、操作部材の移動操作を止めるとローラがヘッドレールに対して非接触状態となるため、移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置が作動し続けて操作部材が移動してしまうことを防止できる。
【0013】
また、前記付勢部材は、前記アシスト装置の下部に設けられ、前記アシスト装置と前記ヘッドレールとを離間させる板状のバネであってもよい。かかる構成によれば、操作部材の移動操作を止めると板状のバネによってアシスト装置とヘッドレールとが離間し、ローラがヘッドレールに対して非接触状態となる。このため、移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置が作動し続けて操作部材が移動してしまうことを防止できる。
【0014】
また、前記アシスト装置は、前記操作部材が操作状態となると、前記ローラと前記はずみ車との間で回転が伝達可能な第1状態に切り替え、前記操作部材が非操作状態となると、前記ローラと前記はずみ車との間で回転が伝達不能な第2状態に切り替える切替手段を更に備えるようにしてもよい。かかる構成によれば、操作部材の移動操作を止めると、切替手段によってローラとはずみ車との間で回転が伝達不能となる。このため、移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置が作動し続けて操作部材が移動してしまうことを防止できる。
【0015】
また、前記操作部材の回転操作により前記遮蔽材を鉛直軸回りに回転動作させる駆動系を更に備え、前記駆動系は、前記長手方向に沿って移動可能に前記ヘッドレール内に設けられ、前記操作部材の回転操作による回転力が入力される入力軸を有するキャリアを含み、前記アシスト装置は、前記入力軸を有するキャリアと一体に移動可能となるように該入力軸を有するキャリアに連結されるようにしてもよい。かかる構成によれば、遮蔽材の左右方向への開閉操作と鉛直軸回りの回転操作が可能な従来の開閉装置にアシスト装置を後付けすることができる。
【0016】
また、前記アシスト装置は、前記ヘッドレールの端部側から前記入力軸を有するキャリアに連結され、前記駆動系は、前記長手方向において前記入力軸よりも前記ヘッドレールの端部側に設けられ、前記操作部材を回転操作可能に吊り下げ支持する吊下軸と、前記入力軸と前記吊下軸との間に介在され、前記操作部材の回転操作による前記吊下軸の回転を前記入力軸に伝達可能な伝達部(伝達ギヤ)と、を更に含むようにしてもよい。かかる構成によれば、吊下軸の位置をキャリアの下方ではなくアシスト装置の下方に配置できるため、吊下軸に吊り下げられる操作部材を下方に引いたときの下向きの力をアシスト装置に伝達しやすくなり、操作部材を移動操作した際にアシスト装置を確実に作動させることができる。また、入力軸を有するキャリアよりもヘッドレールの端部側にアシスト装置を設けても、操作部材をヘッドレールの端部寄りに吊り下げることができるため、隣接する端部遮蔽材の回転が阻害されて遮蔽性が低下することを回避できる。
【0017】
また、前記ローラはピニオンであり、前記ヘッドレールの長手方向に設けられたラックに噛み合って移動するようにしてもよい。かかる構成によれば、ローラの空転を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遮蔽材を左右方向に開閉するための操作荷重を軽減可能な開閉装置が提供される。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態の縦型ブラインド100(開閉装置)の全体構成を示す概略正面図であり、(a)はルーバー110(遮蔽材)の展開時を示し、(b)はルーバー110の畳込み時を示す。
【
図4】アシスト装置140、操作キャリア160、マスターキャリア151の関係を説明するための図であり、(a)は斜視図であり、(b)は分解斜視図である。
【
図6】アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
【
図7】アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は
図6のA-A断面図であり、(b)は(a)のB-B断面図である。
【
図8】アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は底面図であり、(b)は
図7(a)のC-C断面図である。
【
図9】アシスト装置140の作動状態を示す図であり、(a)は停止時の状態を示す図であり、(b)は畳込み操作時の状態を示す図である。
【
図10】第2の実施形態の縦型ブラインド200(開閉装置)の構成を示す概略正面図であり、(a)は停止時の状態を示す図であり、(b)は畳込み操作時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る縦型ブラインド100(開閉装置)の全体の構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の縦型ブラインド100(開閉装置)の全体構成を示す概略正面図であり、(a)はルーバー110(遮蔽材)の展開時を示し、(b)はルーバー110の畳込み時を示す。
図2は、縦型ブラインド100の側断面図である。
図3は、縦型ブラインド100の縦断面図である。
図4は、アシスト装置140、操作キャリア160、マスターキャリア151の関係を説明するための図である。
【0022】
縦型ブラインド100は、
図1に示したように、複数のルーバー110をヘッドレール120の長手方向に沿って移動可能に吊り下げ支持するものであって、ヘッドレール120の長手方向に沿って移動可能に吊り下げられ、長手方向への移動操作により複数のルーバー110を開閉可能な操作バトン130(操作部材)と、長手方向に沿って操作バトン130と一体に移動可能に設けられ、操作バトン130の操作により作動し、操作バトン130の移動方向への動力をアシストすることで該移動方向への操作荷重を軽減するアシスト装置140と、を備えて構成される。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0023】
(ルーバー110)
ルーバー110は、
図1に示したように、窓などの開口部を開放又は閉鎖するものである。ルーバー110は、一般的な縦型ブラインドのルーバーと同様の構成とすることができる。ルーバー110は、
図2に示したように、上端にルーバーフック111が設けられている。ルーバーフック111は、
図2及び
図3に示したように、後述するキャリアフック154に係止されている。ルーバー110の下端には、バランスウエイト112が設けられている。
【0024】
(ヘッドレール120)
ヘッドレール120は、ルーバー110を長手方向に移動可能に吊り下げ支持するものである。ヘッドレール120は、
図1に示したように、ブラケット121によって窓枠などの固定面に取り付けられる。ヘッドレール120内には、
図1に示したように、長手方向に移動可能に複数のキャリア150が配列されている。また、ヘッドレール120の一端部には、アシスト装置140と、アシスト装置140に連結された操作キャリア160が配置されている。複数のキャリア150と操作キャリア160の間には、マスターキャリア151が配置されている。
【0025】
複数のキャリア150、マスターキャリア151及び操作キャリア160には、
図1及び
図2に示したように、ヘッドレール120の長手方向に延びるチルトロッド122が貫通している。複数の各キャリア150とマスターキャリア151は、スペーサーリンク152で連結されている。複数のキャリア150、マスターキャリア151、チルトロッド122及びスペーサーリンク152の構成は一般的なブラインドと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
操作キャリア160とマスターキャリア151は、
図4に示したように、スペーサー153によって一定間隔で連結されている。複数のキャリア150とマスターキャリア151には、
図2及び
図3に示したように、ルーバーフック111を係止するためのキャリアフック154が吊り下げられている。キャリアフック154は、チルトロッド122の回転が伝達されて回転することによりルーバー110を回転させる。
【0027】
(操作バトン130)
操作バトン130(操作部材)は、複数のルーバー110を開閉させたり、回転させたりするものである。操作バトン130は、
図1に示したように、ヘッドレール120の一端部に配置される。操作バトン130は、
図3に示したように、上端にフック131が設けられており、操作キャリア160に設けられる後述する連結部材161から垂下する吊下軸162のリング162a(
図6、
図7参照)にフック131が連結されている。よって、操作バトン130のヘッドレール120の長手方向への移動操作により複数のルーバー110を開閉可能であり、操作バトン130の回転操作により複数のルーバー110を回転可能である。操作バトン130は、アシスト装置140の下方に配置されており、操作バトン130を操作する際の下方への引っ張り力がアシスト装置140に伝達されやすくなっている。
【0028】
(アシスト装置140)
アシスト装置140は、操作バトン130の操作により作動し、操作バトン130の移動方向への動力をアシストすることで該移動方向への操作荷重を軽減するものである。アシスト装置140は、
図1に示したように、操作キャリア160よりヘッドレール120の端部寄りに配置されている。アシスト装置140と操作キャリア160は、
図3及び
図4に示したように、連結部材161によって連結されている。アシスト装置140、マスターキャリア151及び操作キャリア160は、ユニット化されている。
【0029】
本実施形態の特徴的な構成であるアシスト装置140について、主に
図5~
図8を参照しながら説明する。
図5は、アシスト装置140の斜視図である。
図6は、アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
図7は、アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は
図6のA-A断面図であり、(b)は(a)のB-B断面図であり、
図8は、アシスト装置140の構成を説明するための図であり、(a)は底面図であり、(b)は
図7(a)のC-C断面図である。
【0030】
アシスト装置140は、
図5に示したように、操作バトン130の移動操作に伴い入力される回転力により作動するはずみ車147を備えたはずみ車機構で構成される。アシスト装置140は、ヘッドレール120内の底面上に載置されることで走行可能に設けられるローラ141と、ローラ141の回転が伝達され、第1ギヤ142、第2ギヤ143、第3ギヤ144、第4ギヤ145によって構成されるギヤ部146と、ギヤ部146を介してローラ141の回転が伝達されることにより回転するはずみ車147と、を備える。
【0031】
アシスト装置140は、はずみ車147の回転によって生じる慣性モーメントによりローラ141を回転させることで、操作バトン130の移動方向への動力をアシストする。ギヤ部146とはずみ車147は、
図5及び
図6に示したように、アシスト装置ケース148内に収容される。アシスト装置ケース148は、ケース148A、ケース148B、ケース148Cが組合わされることで構成される。
【0032】
ローラ141は、
図5及び
図6に示したように、アシスト装置ケース148を挟んだ両側にそれぞれ1つずつ配置されている。2つのローラ141は、ローラ連結軸149によって一体に回転するように連結されている。ローラ141の外周面は、ヘッドレール120の接触面と摩擦係合するようにゴム系の材料で構成される。
【0033】
ローラ連結軸149は、
図5に示したように、一体回転するように第1ギヤ142を貫通している。第1ギヤ142は、これの斜め上方に配置された第2ギヤ143と回転を伝達可能に噛み合っている。第2ギヤ143に隣接して第3ギヤ144が一体に回転するように設けられている。第3ギヤ144は、第2ギヤ143よりも大径であり、ローラ連結軸149の斜め上方において第1ギヤ142の一方の面と隣り合って配置されている。第3ギヤ144は、これの上部において第4ギヤ145と噛み合っている。第4ギヤ145に隣接してはずみ車147が一体に回転するように設けられている。第4ギヤ145は軸方向に長く構成されており、はずみ車147は、第1ギヤ142の他方の面と隣り合って配置されている。
【0034】
本実施形態のはずみ車147は、軽負荷時と重負荷時にローラ141に回転速度のムラを生じるため、軽負荷時にはずみ車147を回転させ、重負荷時にはずみ車147に蓄えた回転力を放出して回転速度を安定させるものであり、一般的なものを用いることができる。
【0035】
アシスト装置140の下部には、
図5に示したように、連結部材161が設けられる。アシスト装置ケース148の底部には、
図7に示したように、連結部材161が嵌め合わされる窪み部148aが形成されている。窪み部148aには、連結部材161とねじ止め可能なネジ穴148bが形成されている。また、アシスト装置ケース148の底部には、円柱状に下方に突出する吊下軸支持部148cも形成されており、吊下軸支持部148cには吊下軸162の上部が回転可能に嵌め合わされている。このように、吊下軸162が、アシスト装置ケース148の位置に配置されることにより、吊下軸162に吊り下げられる操作バトン130を下方に引いたときの下向きの力をローラ141に伝達しやすい。よって、ローラ141とヘッドレール120との摩擦力を大きくすることができる。
【0036】
アシスト装置ケース148の操作キャリア160に隣接する下部は、
図7(a)に示したように、円筒状に下方に突出する第2伝達ギヤ支持軸148dが形成されており、第2伝達ギヤ支持軸148dには、後述する第2伝達ギヤ167が回転可能に嵌め合わされている。第2伝達ギヤ支持軸148dの下端は、連結部材161に嵌め合わされている。
【0037】
アシスト装置ケース148は、
図7(b)に示したように、はずみ車147の両端を回転可能に支持している。また、アシスト装置ケース148は、
図7(a)に示したように、ローラ連結軸149を回転可能に支持している。
【0038】
(キャリア150、マスターキャリア151)
キャリア150及びマスターキャリア151は、ルーバー110を吊り下げ支持し、ルーバー110を開閉及び回転させるものである。キャリア150は、
図1に示したように、前述のようにヘッドレール120内に、長手方向に移動可能に複数配列される。また、マスターキャリア151は、複数のキャリア150の一端部に配置される。複数のキャリア150とマスターキャリア151は、スペーサーリンク152で連結されている。前述のように、キャリア150、マスターキャリア151及びスペーサーリンク152は一般的な構成のものを用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
(操作キャリア160)
操作キャリア160(入力軸を有するキャリア)は、操作バトン130の回転をキャリア150及びマスターキャリア151に伝達するものである。操作キャリア160は、
図1に示したように、長手方向に沿って移動可能にヘッドレール120内に設けられる。操作キャリア160は、
図4に示したように、アシスト装置140とマスターキャリア151の間に配置されている。操作キャリア160とアシスト装置140は、
図8に示したように、連結部材161を介して連係されている。
【0040】
操作キャリア160は、
図5に示したように、チルトロッド122と一体に回転するように連結される挿入孔163が設けられている。挿入孔163には、
図2に示したように、チルトロッド122が挿入されている。また、操作キャリア160は、
図7(a)に示したように、挿入孔163に回転を伝達するウォーム164と、ウォーム164と噛み合いウォーム164に回転を伝達する入力軸165と、を有している。入力軸165は、上端が操作キャリアケース169に、下端が連結部材161に回転可能に嵌め合わされて支持されている。
【0041】
入力軸165と吊下軸162は、
図7及び
図8に示したように、ヘッドレール120の長手方向に並設される。入力軸165と吊下軸162は、吊下軸162から入力軸165へ動力を伝達する伝達部である第1伝達ギヤ166、第2伝達ギヤ167及び第3伝達ギヤ168を介して動力を伝達可能に連結されている。第1伝達ギヤ166、第2伝達ギヤ167及び第3伝達ギヤ168は、連結部材161の長手方向に並設されて、互いに噛み合っている。このようにして、操作バトン130の回転操作によりルーバー110を鉛直軸回りに回転動作させる駆動系が構成される。
【0042】
第1伝達ギヤ166は、吊下軸162の上端に一体に回転するように嵌め合わされている。第2伝達ギヤ167は、アシスト装置ケース148の第2伝達ギヤ支持軸148dに回転可能に嵌め合わされている。また、第3伝達ギヤ168は、入力軸165に一体に回転するように嵌め合わされている。
【0043】
吊下軸162には、
図6(a)に示したように、操作バトン130のフック131を連結するための中空のリング162aが形成されている。リング162aには、
図3に示したように、操作バトン130のフック131が連結されて操作バトン130が吊り下げられる。よって、操作バトン130の回転操作が吊下軸162を介して第1伝達ギヤ166に伝達される。また、操作バトン130の開閉方向の移動が、吊下軸162を介して操作キャリア160とアシスト装置140に伝達される。
【0044】
以上、本実施形態の縦型ブラインド100の構成について説明した。次に、縦型ブラインド100の動作について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、アシスト装置140の作動状態を示す図であり、(a)は停止時の状態を示す図であり、(b)は畳込み操作時の状態を示す図である。
【0045】
ルーバー110を畳込み操作する際の縦型ブラインド100の動作を説明する。ルーバー110が開いており、畳込み操作をしていない状態では、
図9(a)に示したように、スペーサーリンク152によって、各キャリア150及びマスターキャリア151は、等間隔に維持されて配置されている。
【0046】
畳込み操作をする際には、
図9(b)の矢印aに示したように、操作バトン130を畳込み方向に引く。操作バトン130は、吊下軸162に対して回動可能であるため、畳込み方向に傾かせながら操作することができる。よって、畳込み操作しやすい。また、操作の際に、操作バトン130は、連結部材161を介してアシスト装置140を、矢印bに示したように、下方に引っ張るため、ローラ141がヘッドレール120の底面に押し付けられる。よって、ローラ141の外周面とヘッドレール120の接触面との摩擦係合によって、ローラ141が、矢印cに示したように、回転する。
【0047】
ローラ141が回転すると、ギヤ部146を介してはずみ車147が、矢印dに示したように、回転する。はずみ車147が回転すると、この回転によって生じる慣性モーメントによりローラ141を回転させることで、操作バトン130の移動方向への動力がアシストされる。よって、ルーバー110を開閉操作する際の操作荷重が軽減される。
【0048】
ルーバー110を展開する操作をする際には、畳込み操作の方向とは反対方向に操作キャリア160を移動させるように操作バトン130を操作する。すると、アシスト装置140のローラ141が逆回転するため、ギヤ部146を介してはずみ車147も矢印dとは逆回転して操作バトン130の移動方向への動力をアシストする。よって、ルーバー110を開閉操作する際の操作荷重が軽減される。
【0049】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、ルーバー110をヘッドレール120の長手方向である左右方向に開閉操作する際の操作荷重をアシスト装置140により軽減することができる。
【0050】
また、ルーバー110をヘッドレール120の長手方向である左右方向に開閉操作する際の操作荷重を軽減するアシスト装置140をはずみ車147で構成するため、既存のはずみ車を利用してアシスト装置140を構成することができる。
【0051】
また、ローラ141は、ヘッドレール120の接触面と摩擦係合するように少なくとも外周面がゴム系の材料で構成されるため、ローラ141がヘッドレール120の接触面で滑ることなく摩擦係合する。よって、アシスト装置140を確実に作動させることができる。
【0052】
また、操作キャリア160よりもヘッドレール120の端部側にアシスト装置140を設けても、操作バトン130をヘッドレール120の端部寄りに吊り下げることができるため、隣接する端部ルーバー110の回転が阻害されて遮蔽性が低下することを回避できる。
【0053】
また、吊下軸162の位置が操作キャリア160の下方ではなくアシスト装置140の下方となるように構成したことで、吊下軸162に吊り下げられる操作バトン130を下方に引いたときの下向きの力がローラ141に伝達しやすくなり、ローラ141とヘッドレール120との摩擦力を大きくすることができる。結果として、操作バトン130を移動操作した際に、アシスト装置140を確実に作動させることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る縦型ブラインド200の構成について、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施形態の縦型ブラインド200(開閉装置)の全体構成を示す概略正面図であり、(a)は停止時の状態を示す図であり、(b)は畳込み操作時の状態を示す図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは主にアシスト装置240を上方に付勢する板バネ270(付勢部材)を備えた点が異なるものであり、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0055】
縦型ブラインド200は、
図10に示したように、アシスト装置240を上方に付勢する板バネ270(付勢部材)を更に備えて構成されている。また、縦型ブラインド200は、アシスト装置240と操作キャリア260の配置、マスターキャリア151との連結の構成が上記第1の実施形態の縦型ブラインド100と相違している。
【0056】
アシスト装置240は、
図10に示したように、上記第1の実施形態のようなスペーサー153を介することなく、マスターキャリア151に隣接して設けられている。操作キャリア260は、アシスト装置240よりもヘッドレール120の長手方向の端部寄りに配置されている。吊下軸262と操作バトン230は、操作キャリア260の下部に設けられている。アシスト装置240と操作キャリア260は、1つのケース280内に配置されており、ケース280の下部のアシスト装置240から吊下軸262の位置にかけて板バネ270が設けられている。板バネ270は、ケース280の下部とヘッドレール120の底面との間に配置されることでケース280を上方に付勢しており、ローラ241とヘッドレール120とを非接触状態に維持することが可能である。
【0057】
以上、本実施形態の縦型ブラインド200の構成について説明した。次に、縦型ブラインド200の動作について、再び
図10を参照しながら説明する。操作バトン230が非操作状態である場合には、
図10(a)に示したように、板バネ270の付勢力によりローラ241とヘッドレール120とが非接触状態に維持される。よって、操作バトン230の操作途中に操作を中断したり、操作を終了したりしたときに、はずみ車247の慣性によりアシスト装置240が作動していても、操作バトン230を下方に引っ張る力が解除されると、ローラ241とヘッドレール120とが非接触状態になり、この状態が維持されるため、ローラ241が空転し、操作キャリア260の移動が防止される。
【0058】
操作バトン230が操作状態である場合には、
図10(b)に示したように、矢印eに示したルーバー110の移動方向に傾かせながら操作バトン230が操作される。このとき、操作バトン230は、矢印eに示した開方向に移動されるとともに、矢印fに示したように下方に引っ張られる。よって、吊下軸262及びケース280が、矢印fに示したように板バネ270の付勢力に抗して下方に引っ張られて、ヘッドレール120の底面に近づくように移動する。よって、ローラ241がヘッドレール120と接触状態になり、ローラ241が矢印gに示したように回転する。ローラ241の回転は、矢印hに示したように、はずみ車247に伝達されてアシスト装置240が作動する。操作バトン230が操作されている間は、吊下軸262及びケース280がヘッドレール120の底面に近づく状態を維持させることができるため、操作中はアシスト装置240を作動させ続けることができる。
【0059】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、操作バトン230の操作中は板バネ270の付勢力に抗してアシスト装置240とヘッドレール120とが接近し、ローラ241がヘッドレール120に接触状態となり、操作バトン230の移動操作を止めると板バネ270によってアシスト装置240とヘッドレール120とが離間し、ローラ241がヘッドレール120に対して非接触状態となる。このため、移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置240が作動し続けて操作バトン230が移動してしまうことを防止できる。
【0060】
アシスト装置240は、マスターキャリア151に連結されているため、ルーバー110の左右方向への開閉操作と鉛直軸回りの回転操作が可能な従来の縦型ブラインドにアシスト装置240を後付けすることができる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、上記第1の実施形態では、アシスト装置140は、操作バトン130の移動操作に伴い入力される回転力により作動するはずみ車147を備える構成としたが、本発明はこの例に限定されない。アシスト装置は、ルーバーを左右方向(ヘッドレールの長手方向)に開閉操作する際の操作荷重を軽減することができすることができれば、任意に設計することができる。第2の実施形態も同様である。
【0063】
また、上記第1の実施形態では、ヘッドレール120の接触面と摩擦係合するようにローラ141の外周面をゴム系の材料で構成としたが、本発明はこの例に限定されない。ローラの空転を防止することができれば、任意に設計することができる。例えば、前記ローラはピニオンであり、ヘッドレールの長手方向に設けられたラックに噛み合って移動するようにしてもよい。かかる構成によれば、ローラの空転を防止することができる。第2の実施形態も同様である。
【0064】
また、上記第1の実施形態では、吊下軸162の回転を入力軸165に伝達可能な伝達ギヤを第1~第3伝達ギヤ166~168の3つとしたが、本発明はこの例に限定されない。吊下軸から入力軸に動力を伝達可能であれば、任意に設計することができる。例えば、伝達ギヤの数は、吊下軸から入力軸までの距離や伝達ギヤの構成によって、2つ以下、又は4つ以上とすることができる。また、動力を伝達する機構を、チェーンとスプロケットの組み合わせや、ベルトとプーリの組み合わせなどにしてもよい。第2の実施形態も同様である。
【0065】
また、上記第1の実施形態では、操作バトン130をヘッドレール120の端部に配置したが、本発明はこの例に限定されない。開閉操作が行われる端部に設けられていれば、任意に設計することができる。例えば、ヘッドレールの中央から両端部に向かって開閉する構成であれば、ヘッドレールの中央に操作バトン130を設ける構成としてもよい。第2の実施形態も同様である。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、遮蔽材としてルーバー110を備えた縦型ブラインド100としたが、本発明はこの例に限定されない。操作部材を用いて左右に開閉操作する開閉装置であれば任意に設計することができる。例えば、遮蔽材としてファブリックなどを用いた調光カーテン、ドレープカーテン、レースカーテン、又はプリーツスクリーンなどでもよい。第2の実施形態も同様である。
【0067】
また、上記第2の実施形態では、アシスト装置240の下部に、アシスト装置240とヘッドレール120とを離間させる板バネ270を設けたが、本発明はこの例に限定されない。移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置が作動し続けて操作部材が移動してしまうことを防止できれば適宜設計することができる。例えば、アシスト装置は、操作部材が操作状態となると、ローラとはずみ車との間で回転が伝達可能な第1状態に切り替え、操作部材が非操作状態となると、ローラとはずみ車との間で回転が伝達不能な第2状態に切り替えるワンウェイクラッチなどの切替手段を備えるようにしてもよい。かかる構成によれば、操作部材の移動操作を止めると、切替手段によってローラとはずみ車との間で回転が伝達不能となる。このため、移動操作を止めたにも拘わらずアシスト装置が作動し続けて操作部材が移動してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0068】
100、200 縦型ブラインド(開閉装置)
110 ルーバー(遮蔽材)
111 ルーバーフック
112 バランスウエイト
120 ヘッドレール
121 ブラケット
122 チルトロッド
130、230 操作バトン(操作部材)
131 フック
140、240 アシスト装置
141、241 ローラ
142 第1ギヤ
143 第2ギヤ
144 第3ギヤ
145 第4ギヤ
146 ギヤ部
147、247 はずみ車
148 アシスト装置ケース
148a 窪み部
148b ネジ穴
148c 吊下軸支持部
148d 第2伝達ギヤ支持軸
149 ローラ連結軸
150 キャリア
151 マスターキャリア
152 スペーサーリンク
153 スペーサー
154 キャリアフック
160、260 操作キャリア
161 連結部材
162、262 吊下軸
162a リング
163 挿入孔
164 ウォーム
165 入力軸
166 第1伝達ギヤ(伝達部)
167 第2伝達ギヤ(伝達部)
168 第3伝達ギヤ(伝達部)
169 操作キャリアケース
270 板バネ(付勢部材)
280 ケース