(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158540
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20241031BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073807
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉木 俊亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC38
5E021HA05
5E223AB26
5E223AC05
5E223BA07
5E223BB01
5E223CD01
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA02
5E223EA13
(57)【要約】
【課題】可動ハウジングが大きく振動することによる不具合を防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、端子部20と、ハウジング部30,40と、を備える。ハウジング部30,40は、可動ハウジング40を備える。ここで、コネクタ10は、支持部60を備える。支持部60は、一以上の支持部材60から構成される。支持部材60は、取付対象物90に対して移動しない固定側部61と、可動ハウジング40を支持する可動側部63と、固定側部61と可動側部63との間に位置する中間弾性部62と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に取り付けられると共に接続対象物と接続されるコネクタであって、
1以上の端子で構成される端子部と、
前記取付対象物に対して移動可能な可動ハウジングを備えるハウジング部と、
1以上の支持部材で構成される支持部と、
を備え、
前記端子は、前記取付対象物と前記接続対象物とを電気的に接続するものであり、
前記支持部材は、前記取付対象物と前記接続対象物とを電気的に接続するものではなく、
前記端子は、
前記取付対象物に対して移動しない固定側部と、
前記可動ハウジングを支持すると共に、前記接続対象物と電気的に接触する可動側部と、
前記固定側部と前記可動側部との間に位置する中間弾性部と、
を備え、
前記支持部材は、
前記取付対象物に対して移動しない固定側部と、
前記可動ハウジングを支持する可動側部と、
前記固定側部と前記可動側部との間に位置する中間弾性部と、
を備える、
コネクタ。
【請求項2】
前記支持部材の前記可動側部は、前記可動ハウジングに保持される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、
前記支持部材の前記固定側部は、前記固定ハウジングに保持され、前記取付対象物に保持されない、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、
前記支持部材の前記固定側部は、前記取付対象物に保持され、前記固定ハウジングに保持されない、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、
前記支持部材の前記固定側部は、前記取付対象物に保持され、かつ前記固定ハウジングに保持される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、
前記支持部は、前記支持部材として、一又は複数の第一支持部材を備え、
前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状である、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第一支持部材の数は、前記支持部が備える支持部材の数の過半数である、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記支持部は、前記支持部材として、
一又は複数の第一支持部材と、
一又は複数の第二支持部材と、を備え、
前記第一支持部材と前記第二支持部材とは構造が異なるか、構造が異ならないとしても配置される姿勢が異なる
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、
前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、
前記第一支持部材の数は、前記第二支持部材の数よりも多く、
前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、
前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記可動ハウジングは、前記端子の可動側部を保持する本体部を備え、
前記第二支持部材の可動側部と前記本体部との第二方向の距離は、前記第一支持部材の可動側部と前記本体部との第二方向の距離よりも大きい、
請求項9又は請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、
前記第一支持部材の数は、前記第二支持部材の数よりも多く、
前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、
前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記端子部は、第一方向に配列された複数の端子を備え、
前記支持部は、第一方向に配列された複数の第一支持部材を備え、
前記端子の可動側部は、前記第一支持部材の可動側部よりも第二方向一方側に位置する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記端子の固定側部は、前記端子の可動側部よりも第二方向一方側に位置し、
前記第一支持部材の固定側部は、前記第一支持部材の可動側部よりも第二方向他方側に位置する、
請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記ハウジング部は、追加部材を備え、
前記追加部材は、前記支持部材と前記取付対象物との間に介在する介在部を有する、
請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたコネクタは、端子及び可動ハウジングを備える。このコネクタでは、可動ハウジングは、端子によって支持される。また、コネクタと接続対象物との接続状態では、可動ハウジングは、接続対象物によっても支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタが使用される環境の振動数が、可動ハウジングの固有振動数と一致すると、共振が発生し、可動ハウジングが大きく振動する。可動ハウジングが大きく振動すると、様々な不具合が起こりやすくなる。様々な不具合としては、端子の破損や端子と接続対象物(例えば相手端子)との摺動摩耗等が考えられる。
【0005】
本開示は、可動ハウジングが大きく振動することによる不具合を防止できるコネクタを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るコネクタは、取付対象物に取り付けられると共に接続対象物と接続されるコネクタであって、1以上の端子で構成される端子部と、前記取付対象物に対して移動可能な可動ハウジングを備えるハウジング部と、1以上の支持部材で構成される支持部と、を備え、前記端子は、前記取付対象物と前記接続対象物とを電気的に接続するものであり、前記支持部材は、前記取付対象物と前記接続対象物とを電気的に接続するものではなく、前記端子は、前記取付対象物に対して移動しない固定側部と、前記可動ハウジングを支持すると共に、前記接続対象物と電気的に接触する可動側部と、前記固定側部と前記可動側部との間に位置する中間弾性部と、を備え、前記支持部材は、前記取付対象物に対して移動しない固定側部と、前記可動ハウジングを支持する可動側部と、前記固定側部と前記可動側部との間に位置する中間弾性部と、を備える。
【0007】
本態様では、コネクタは、端子部と、ハウジング部と、を備える。端子部は、1以上の端子で構成される。ハウジング部は、取付対象物に対して移動可能な可動ハウジングを備える。なお、端子は、取付対象物と接続対象物とを電気的に接続するものである。
【0008】
端子は、取付対象物に対して移動しない固定側部と、可動ハウジングを支持する可動側部と、固定側部と可動側部との間に位置する中間弾性部と、を備える。また、可動側部は、接続対象物と電気的に接触する。
このため、可動ハウジングは、端子によって支持される。また、コネクタと接続対象物との接続状態では、可動ハウジングは、端子の可動側部を介して接続対象物によっても支持される。
【0009】
ところで、コネクタが使用される環境の振動数が、可動ハウジングの固有振動数と一致すると、共振が発生し、可動ハウジングが大きく振動する。可動ハウジングが大きく振動すると、様々な不具合が起こりやすくなる。様々な不具合としては、端子の破損や端子と接続対象物(例えば相手端子)との摺動摩耗等が考えられる。
そこで、本態様では、コネクタは、支持部を備える。支持部は、一以上の支持部材から構成される。なお、支持部材は、取付対象物と接続対象物とを電気的に接続するものではない。そして、支持部材は、取付対象物に対して移動しない固定側部と、可動ハウジングを支持する可動側部と、固定側部と可動側部との間に位置する中間弾性部と、を備える。
このため、可動ハウジングが支持部によっても支持されるので、コネクタが支持部を備えない態様と比較して、可動ハウジングの固有振動数を高くすることができる。これにより、使用環境の振動数が、可動ハウジングの固有振動数と一致することを防止でき、共振の発生を抑制できる。その結果、可動ハウジングが大きく振動することによる不具合を防止できる。
【0010】
なお、後述の実施形態では、支持部材の可動側部が、可動ハウジングに保持されるが、本態様の支持部材の可動側部はこれに限定されない。本態様の支持部材の可動側部は、可動ハウジングを挟み込むようにして支持するものであってもよい。
なお、後述の実施形態では、コネクタが、ボトムエントリータイプであるが、本態様のコネクタはこれに限定されない。
【0011】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、前記支持部材の前記可動側部は、前記可動ハウジングに保持される。
【0012】
ところで、支持部材の可動側部が、可動ハウジングを挟み込むようにして支持するものであると、支持部材の可動側部と可動ハウジングとの摺動によって、可動ハウジングの削れ等の不具合が発生するおそれがある。
そこで、本態様では、支持部材の可動側部は、可動ハウジングに保持される。
このため、支持部材と可動ハウジングとの摺動による不具合を防止できる。
【0013】
なお、後述の実施形態では、支持部が備える全ての支持部材の可動側部が、可動ハウジングに保持されるが、本態様の支持部はこれに限定されない。本態様の支持部は、可動ハウジングに保持されない可動側部を備える支持部材を備えてもよい。
なお、後述の実施形態では、支持部材の可動側部が、可動ハウジングに圧入されることで可動ハウジングに保持されるが、本態様の支持部材の可動側部はこれに限定されない。本態様の支持部材の可動側部は、インサート成形されることで可動ハウジングに保持されてもよい。
【0014】
第3の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、前記支持部材の前記固定側部は、前記固定ハウジングに保持され、前記取付対象物に保持されない。
【0015】
本態様では、ハウジング部は、固定ハウジングを備える。固定ハウジングは、取付対象物に固定される。
ここで、支持部材の固定側部は、固定ハウジングに保持され、取付対象物に保持されない。
このため、支持部材を取付対象物に保持させる工程(例えば半田付け)が不要である。また、取付対象物に支持部材を保持する部分(例えばパッド)を設ける必要がない。
【0016】
第4の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、前記支持部材の前記固定側部は、前記取付対象物に保持され、前記固定ハウジングに保持されない。
【0017】
本態様では、ハウジング部は、固定ハウジングを備える。固定ハウジングは、取付対象物に固定される。
ここで、支持部材の固定側部は、取付対象物に保持され、固定ハウジングに保持されない。
このため、当該支持部材を保持する部分を固定ハウジングに設ける必要がなく、固定ハウジングを簡素化できる。
【0018】
第5の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記ハウジング部は、前記取付対象物に固定される固定ハウジングを備え、前記支持部材の前記固定側部は、前記取付対象物に保持され、かつ前記固定ハウジングに保持される。
【0019】
本態様では、ハウジング部は、固定ハウジングを備える。固定ハウジングは、取付対象物に固定される。
ここで、支持部材の固定側部は、取付対象物に保持され、かつ固定ハウジングに保持される。
このため、固定ハウジングの取付対象物に対する固定強度が向上する。また、固定ハウジングの振動を抑制することができる。
【0020】
第6の態様に係るコネクタは、第1~第5の何れかの態様において、前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、前記支持部は、前記支持部材として、一又は複数の第一支持部材を備え、前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状である。
【0021】
本態様では、端子の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、第一方向の可動性が低くなりやすい。なお、第一方向の可動性とは、可動ハウジングの第一方向への変位のしやすさを意味する。
そこで、本態様では、支持部は、支持部材として、一又は複数の第一支持部材を備える。第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状である。
このため、第一方向の可動性を確保しやすい。なぜなら、板厚方向を第一方向に向ける形状である中間弾性部は、第一方向の可動性を確保しやすいからである。
【0022】
なお、後述の実施形態では、第一方向が、取付対象物の面に平行な方向であるが、本態様の第一方向はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、第一方向が、コネクタに対する接続対象物の接続方向に垂直な方向であるが、本態様の第一方向はこれに限定されない。
【0023】
第7の態様に係るコネクタは、第6の態様において、前記第一支持部材の数は、前記支持部が備える支持部材の数の過半数である。
【0024】
本態様では、第一支持部材の数は、支持部が備える支持部材の数の過半数である。
このため、第一方向の可動性をより一層確保しやすい。
【0025】
第8の態様に係るコネクタは、第1~第7の何れかの態様において、前記支持部は、前記支持部材として、一又は複数の第一支持部材と、一又は複数の第二支持部材と、を備え、前記第一支持部材と前記第二支持部材とは構造が異なるか、構造が異ならないとしても配置される姿勢が異なる。
【0026】
本態様では、支持部は、支持部材として、一又は複数の第一支持部材と、一又は複数の第二支持部材と、を備える。そして、第一支持部材と第二支持部材とは構造が異なるか、構造が異ならないとしても配置される姿勢が異なる。
このため、バランスの取れた可動性を実現しやすい。
【0027】
第9の態様に係るコネクタは、第8の態様において、前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。
【0028】
本態様では、第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。
このため、バランスの取れた可動性を実現しやすい。なぜなら、板厚方向を第一方向に向ける形状である中間弾性部は、第一方向の可動性を確保しやすく、板厚方向を第二方向に向ける形状である中間弾性部は、第二方向の可動性を確保しやすいからである。
【0029】
なお、本明細書において、第二方向は、第一方向と垂直な特定の方向である。
なお、後述の実施形態では、第一方向及び第二方向が、共に、取付対象物の面に平行な方向であるが、本態様の第一方向及び第二方向はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、第一方向及び第二方向が、共に、コネクタに対する接続対象物の接続方向に垂直な方向であるが、本態様の第一方向及び第二方向はこれに限定されない。
【0030】
第10の態様に係るコネクタは、第8又は第9の態様において、前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、前記第一支持部材の数は、前記第二支持部材の数よりも多く、前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。
【0031】
本態様では、端子の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、第一方向の可動性が低くなりやすい。
そこで、本態様では、第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。そして、第一支持部材の数が、第二支持部材の数よりも多い。
このため、第一方向の可動性が過剰に低下することを抑制できる。
【0032】
なお、後述の実施形態では、端子部が、第一方向に配列された複数の端子を備える。しかし、本態様の端子部はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、第一支持部材が第一方向の中央領域に配置され、第二支持部材が第一方向の外側領域に配置される。しかし、本開示の第一支持部材及び第二支持部材はこれに限定されない。
【0033】
第11の態様に係るコネクタは、第9又は第10の態様において、前記可動ハウジングは、前記端子の可動側部を保持する本体部を備え、前記第二支持部材の可動側部と前記本体部との第二方向の距離は、前記第一支持部材の可動側部と前記本体部との第二方向の距離よりも大きい。
【0034】
本態様では、可動ハウジングは、端子の可動側部を保持する本体部を備える。
ところで、第二支持部材の中間弾性部が、板厚方向を第二方向に向ける形状であると、第二支持部材の中間弾性部は、第二方向に垂直な平面内を延びる形状になる。そのため、第二支持部材の可動側部が、可動ハウジングの本体部の近くに位置すると、第二支持部材の中間弾性部が可動ハウジングの本体部に干渉しやすくなる。
そこで、本態様では、第二支持部材の可動側部と本体部との第二方向の距離は、第一支持部材の可動側部と本体部との第二方向の距離よりも大きい。
このため、第二支持部材の中間弾性部と可動ハウジングの本体部との干渉を抑制できる。
【0035】
第12の態様に係るコネクタは、第8~第11の何れかの態様において、前記端子の前記中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状であり、前記第一支持部材の数は、前記第二支持部材の数よりも多く、前記第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、前記第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
【0036】
本態様では、端子の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、第一方向の可動性が低くなりやすい。
そこで、本態様では、第一支持部材の数は、第二支持部材の数よりも多い。そして、第一支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材の中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、第一方向の可動性が過剰に低下することを抑制できる。なぜなら、板厚方向を第一方向に向ける形状である中間弾性部は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である中間弾性部よりも、第一方向の可動性を確保しやすいからである。
【0037】
なお、後述の実施形態では、端子部が、第一方向に配列された複数の端子を備える。しかし、本態様の端子部はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、第一支持部材が第一方向の中央領域に配置され、第二支持部材が第一方向の外側領域に配置される。しかし、本開示の第一支持部材及び第二支持部材はこれに限定されない。
【0038】
第13の態様に係るコネクタは、第1~第12の何れかの態様において、前記端子部は、第一方向に配列された複数の端子を備え、前記支持部は、第一方向に配列された複数の第一支持部材を備え、前記端子の可動側部は、前記第一支持部材の可動側部よりも第二方向一方側に位置する。
【0039】
本態様では、端子部は、第一方向に配列された複数の端子を備える。支持部は、第一方向に配列された複数の第一支持部材を備える。
ここで、端子の可動側部は、第一支持部材の可動側部よりも第二方向一方側に位置する。
このため、第二方向のスペースを有効活用して、第一支持部材の可動側部を配置することできる。よって、第一方向においてコネクタを小型化できる。
【0040】
第14の態様に係るコネクタは、第13の態様において、前記端子の固定側部は、前記端子の可動側部よりも第二方向一方側に位置し、前記第一支持部材の固定側部は、前記第一支持部材の可動側部よりも第二方向他方側に位置する。
【0041】
本態様では、端子の固定側部は、端子の可動側部よりも第二方向一方側に位置する。第一支持部材の固定側部は、第一支持部材の可動側部よりも第二方向他方側に位置する。
このため、第二方向のスペースを有効活用して、端子の固定側部及び第一支持部材の固定側部を配置することできる。よって、第一方向においてコネクタを小型化できる。
【0042】
第15の態様に係るコネクタは、第1~第14の何れかの態様において、前記ハウジング部は、追加部材を備え、前記追加部材は、前記支持部材と前記取付対象物との間に介在する介在部を有する。
【0043】
ところで、支持部材が配置されている空間に異物が進入すると不具合が発生するおそれがある。不具合としては、支持部材の変形の阻害、支持部材と取付対象物との短絡等が考えられる。
そこで、本態様では、ハウジング部は、追加部材を備える。追加部材は、介在部を有する。介在部は、支持部材と取付対象物との間に介在する。
このため、支持部材が配置されている空間に異物が進入することが抑制され、異物の進入による不具合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】コネクタの断面図(X方向に垂直な断面)である。
【
図3】コネクタの断面図(X方向に垂直な断面)である。
【
図4】コネクタの断面図(Y方向に垂直な断面)である。
【
図5】コネクタのうち、固定ハウジング及び補強部を省略した斜視図である。
【
図6】変形例を示す斜視図(
図5に対応する図)である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本開示に係るコネクタの好適な実施形態について説明する。
【0046】
なお、各図に示す矢印X方向をコネクタ幅方向一方側、矢印Y方向をコネクタ前方向、矢印Z方向をコネクタ上方向として説明する。但し、コネクタの使用状態における姿勢を限定するものではない。
【0047】
(コネクタ10)
図1~
図5は、本実施形態に係るコネクタ10を示す。
【0048】
コネクタ10は、端子部20と、ハウジング部30,40と、補強部50と、支持部60と、追加部材70と、を備える。
【0049】
端子部20は、複数の端子20を備える。なお、簡単のため、端子部20と端子20には同じ符号を付す。
複数の端子20は、互いに同じ構造を有する。複数の端子20は、同じ姿勢で、第一方向(X方向)を配列方向として配列される(
図5参照)。
【0050】
ハウジング部30,40は、固定ハウジング30と、可動ハウジング40と、を備える。
固定ハウジング30は、複数の端子20及び補強部50を介して、取付対象物90に固定される。可動ハウジング40は、取付対象物90及び固定ハウジング30に対して移動可能に構成される。固定ハウジング30及び可動ハウジング40は、共に、合成樹脂の成型品である。
【0051】
補強部50は、取付対象物90に対する固定ハウジング30の固定を補強する。
図4に示すように、補強部50は、一対の補強部材51を備える。一対の補強部材51は、互いに同様の構造を有する。一対の補強部材51は、固定ハウジング30の幅方向外側部に形成された一対の補強部材保持部35に保持される。
【0052】
図1に示すように、補強部材51は、固定ハウジング30に保持される被保持部51aと、取付対象物90に接合される被接合部51bと、を有する。被保持部51aは、固定ハウジング30に対して上方向から圧入される。被接合部51bは、取付対象物90の取付面91に半田付け等で接合される。
【0053】
図5に示すように、支持部60は、複数の支持部材60A,60Bを備える。
複数の支持部材60A,60Bは、複数の第一支持部材60Aと、複数の第二支持部材60Bと、を備える。第一支持部材60Aと第二支持部材60Bとは、互いに同じ構造を有するが、配置される姿勢(向き)が異なる。以下、両者を区別しないときは、単に支持部材60という。なお、簡単のため、支持部60と支持部材60には同じ符号を付す。
【0054】
(端子部20)
端子20は、導電性の板材に対し、抜き加工及び曲げ加工等を施すことで作られる。
【0055】
図2に示すように、端子20は、固定側部21と、中間弾性部22と、可動側部23と、を有する。
複数の端子20は、いずれも、固定側部21を+Y方向側(第二方向一方側)、可動側部23を-Y方向側(第二方向他方側)に向けた姿勢で配置される。
【0056】
固定側部21は、取付対象物90に対して移動しない。
固定側部21は、接続部21aと、固定側被保持部21bと、を有する。
接続部21aは、取付対象物90に接続する。具体的には、接続部21aは、取付対象物90の取付面91に半田付けされる。
固定側被保持部21bは、固定ハウジング30に保持される。具体的には、固定側被保持部21bは、固定ハウジング30の前壁31に対し、下方向から圧入される(
図2参照)。
【0057】
可動側部23は、可動ハウジング40を支持する。
具体的には、可動側部23は、可動ハウジング40に保持される。可動側部23は、可動ハウジング40と共に移動するように構成される。
【0058】
図2に示すように、可動側部23は、接続対象物80と接触する。
具体的には、可動側部23は、接続対象物80と接触する接触部23a,23bを有する。
【0059】
接触部23a,23bは、接続対象物80を挟持するように構成される。接触部23a,23bが接続対象物80を挟持する方向は、第二方向(Y方向)である。
接触部23a,23bは、弾性接触部23aと、受部23bと、を有する。弾性接触部23aは、弾性的に変位可能に構成される。弾性接触部23aと受部23bとにより、接続対象物80は挟持される。弾性接触部23aと受部23bとのうち、弾性接触部23aが第二方向一方側(+Y方向側)に位置する。弾性接触部23aは、接続方向(Z方向)に並んで2つ形成される。
【0060】
中間弾性部22は、固定側部21と可動側部23との間に位置する。中間弾性部22は、弾性変形可能に形成される。これにより、中間弾性部22は、固定側部21に対して可動側部23が移動することを許容する。
【0061】
中間弾性部22は、板厚方向に曲げられた複数の曲部22aを有する。中間弾性部22が有する複数の曲部22aは、全て、板厚方向をYZ平面内で変更する曲部である。
このように、中間弾性部22は、板厚方向をX方向(第一方向)に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。このような中間弾性部22は、可動ハウジング40のY方向及びZ方向の可動性を確保しやすいが、X方向の可動性は低下させやすい。
【0062】
具体的には、中間弾性部22は、複数(3つ)の折返曲部22aを有する。折返曲部22aでは、中間弾性部22の伸長方向が上下方向で折り返される。
【0063】
(固定ハウジング30)
固定ハウジング30は、前壁31、後壁32、上壁33及び一対の側壁34を有する。
【0064】
図2に示すように、固定ハウジング30の前壁31は、端子20の固定側被保持部21bを保持する。以下、固定ハウジング30の前壁31を、端子保持部31ということがある。端子20の固定側被保持部21bは、端子保持部31に対し、下方向から圧入される。
【0065】
図3に示すように、固定ハウジング30の後壁32は、第一支持部材60Aの固定側部61を保持する。以下、固定ハウジング30の後壁32を、第一支持部材保持部32ということがある。第一支持部材60Aの固定側部61は、第一支持部材保持部32に対し、下方向から圧入される。
【0066】
図4に示すように、固定ハウジング30の一対の側壁34は、一対の第二支持部材60Bの固定側部61を保持する。以下、固定ハウジング30の側壁34を、第二支持部材保持部34ということがある。第二支持部材60Bの固定側部61は、第二支持部材保持部34に対し、下方向から圧入される。
【0067】
図1に示すように、固定ハウジング30の上壁33には、複数の確認孔33aが形成される。複数の確認孔33aは、複数の端子20と複数の相手端子との接続状態を上方向から確認可能にする。
【0068】
図1、
図4に示すように、固定ハウジング30は、一対の補強部材51を保持する一対の補強部材保持部35を有する。
一対の補強部材保持部35は、一対の側壁34から幅方向外側に突出する。補強部材51は、補強部材保持部35に上方向から圧入される。
【0069】
図1に示すように、固定ハウジング30は、一対のテール保護部36を有する。
一対のテール保護部36は、前壁31から前方向に突出する。一対のテール保護部36は、上方向から見て、複数の端子20の接続部21aを挟み込む位置に形成される。
【0070】
(可動ハウジング40)
図2、
図5に示すように、可動ハウジング40は、複数の端子20の可動側部23を保持する本体部41を有する。端子20の可動側部23は、本体部41に対し、上方向から圧入される。具体的には、本体部41は、上方向に開放された収容室を有する。端子20の可動側部23は、当該収容室に対し上方向から圧入される。また、本体部41は、収容室に対し下方向から接続対象物80(相手端子)を挿入可能に構成される。
【0071】
図3、
図5に示すように、可動ハウジング40は、本体部41から第二方向他方側(-Y方向側)に突出する突出部42を有する。突出部42は、複数の支持部材60の可動側部63を保持する。
【0072】
図5に示すように、突出部42は、第一部分42aと、一対の第二部分42bと、を有する。第一部分42aは、第一支持部材60Aの可動側部63に対応し、第二部分42bは、第二支持部材60Bの可動側部63に対応する。
一対の第二部分42bは、第一部分42aに対し幅方向外側に位置する。第二部分42bの突出量(-Y方向への突出量)は、第一部分42aの突出量よりも大きい。第二支持部材60Bの可動側部63は、第一支持部材60Aの可動側部63よりも-Y方向側の位置に保持される。
具体的には、第二支持部材60Bの可動側部63は、第二部分42bのうち第一部分42aよりも突出した部分に保持される。なお、一対の第二部分42bの間には、+Y方向に窪む凹部が形成されていると把握することもできる。この凹部は、複数の第一支持部材60Aの中間弾性部62と可動ハウジング40との干渉を防止する。第一支持部材60Aの中間弾性部62の一部は、この凹部内に配置される。
【0073】
突出部42の上端は、本体部41の上端よりも下側に位置し、突出部42の下端は、本体部41の下端よりも上側に位置する。
【0074】
図5に示すように、可動ハウジング40は、2つの被制限部43を有する。
2つの被制限部43は、本体部41から幅方向外側に突出する。被制限部43が他の部材に当接することで、可動ハウジング40の上下方向の移動範囲が制限される。具体的には、被制限部43が取付対象物90に当接することで、可動ハウジング40の下方向の移動範囲が制限される。また、被制限部43が固定ハウジング30に当接することで、可動ハウジング40の上方向の移動範囲が制限される。
【0075】
(支持部60)
支持部材60は、板材に対し、抜き加工等を施すことで作られる。支持部材60は、曲げ加工を施さずに作られる。支持部材60は、板厚方向に曲げられた曲部を有しない。
【0076】
図3に示すように、支持部材60は、固定側部61と、中間弾性部62と、可動側部63と、を有する。
【0077】
固定側部61は、固定ハウジング30に保持される。具体的には、固定側部61は、上方向を圧入方向として、固定ハウジング30に圧入される。
可動側部63は、可動ハウジング40に保持される。具体的には、可動側部63は、下方向を圧入方向として、可動ハウジング40に圧入される。
【0078】
中間弾性部62は、板厚方向に曲げられた曲部を有さず、板厚方向を一方向に向ける形状(抜き形状)である。
図3に示すように、中間弾性部62は、第一伸長部62aと、第二伸長部62bと、第三伸長部62cと、第四伸長部62dと、を有する。第一伸長部62a及び第三伸長部62cは、Z方向に垂直な方向(取付面91に垂直な方向)に伸長する。
【0079】
第一支持部材60Aと第二支持部材60Bとは、互いに異なる姿勢で配置される。
具体的には、第一支持部材60Aは、板厚方向を第一方向(X方向)に向けて配置される。第二支持部材60Bは、板厚方向を第二方向(Y方向)に向けて配置される。
【0080】
複数の第一支持部材60Aは、第一方向における中間領域に配置される。複数(2つ)の第二支持部材60Bは、第一方向における中間領域を挟む2つの外側領域のそれぞれに配置される。
【0081】
(追加部材70)
追加部材70は、合成樹脂の成型品である。
【0082】
図3、
図4に示すように、追加部材70は、介在部71を有する。
介在部71は、複数の支持部材60と取付対象物90との間に介在する。これにより、介在部71は、支持部材60と取付対象物90との短絡等を防止する。
介在部71は、固定ハウジング30の後壁32及び一対の側壁34の下側に配置される。また、介在部71は、複数の支持部材60のうち、中間弾性部62の第一伸長部62aの下側に配置される。
【0083】
追加部材70は、一対の挟持部72を有する(
図1参照)。図示は省略するが、一対の挟持部72は、固定ハウジング30を幅方向(第一方向)から挟持する。これにより、追加部材70は、固定ハウジング30に保持される。
一対の挟持部72は、介在部71の幅方向外側の端から上方向に延びる。
図1に示すように、固定ハウジング30の一対の側壁34には、凹部34aが形成されており、この凹部34aに挟持部72が配置される。このため、一対の挟持部72の幅方向外側の面は、固定ハウジング30の一対の側壁34の幅方向外側の面と面一の関係にある。
【0084】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0085】
本実施形態では、
図1、
図2に示すように、コネクタ10は、端子部20と、ハウジング部30,40と、を備える。端子部20は、1以上の端子20で構成される。ハウジング部30,40は、取付対象物90に対して移動可能な可動ハウジング40を備える。なお、端子20は、取付対象物90と接続対象物80とを電気的に接続するものである。
【0086】
また、本実施形態では、
図2に示すように、端子20は、取付対象物90に対して移動しない固定側部21と、可動ハウジング40を支持する可動側部23と、固定側部21と可動側部23との間に位置する中間弾性部22と、を備える。また、可動側部23は、接続対象物80と電気的に接触する。
このため、可動ハウジング40は、端子20によって支持される。また、コネクタ10と接続対象物80との接続状態では、可動ハウジング40は、端子20の可動側部23を介して接続対象物80によっても支持される。
【0087】
ところで、コネクタ10が使用される環境の振動数が、可動ハウジング40の固有振動数と一致すると、共振が発生し、可動ハウジング40が大きく振動する。可動ハウジング40が大きく振動すると、様々な不具合が起こりやすくなる。様々な不具合としては、端子20の破損や端子20と接続対象物80(例えば相手端子)との摺動摩耗等が考えられる。
そこで、本実施形態では、
図3~
図5に示すように、コネクタ10は、支持部60を備える。支持部60は、一以上の支持部材60から構成される。なお、支持部材60は、取付対象物90と接続対象物80とを電気的に接続するものではない。そして、支持部材60は、取付対象物90に対して移動しない固定側部61と、可動ハウジング40を支持する可動側部63と、固定側部61と可動側部63との間に位置する中間弾性部62と、を備える。
このため、可動ハウジング40が支持部60によっても支持されるので、コネクタ10が支持部60を備えない態様と比較して、可動ハウジング40の固有振動数を高くすることができる。これにより、使用環境の振動数が、可動ハウジング40の固有振動数と一致することを防止でき、共振の発生を抑制できる。その結果、可動ハウジング40が大きく振動することによる不具合を防止できる。
【0088】
ところで、仮に、支持部材60の可動側部63が、可動ハウジング40を挟み込むようにして支持するものであると、支持部材60の可動側部63と可動ハウジング40との摺動によって、可動ハウジング40の削れ等の不具合が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態では、
図3、
図4に示すように、支持部材60の可動側部63は、可動ハウジング40に保持される。
このため、支持部材60と可動ハウジング40との摺動による不具合を防止できる。
【0089】
また、本実施形態では、
図3、
図4に示すように、支持部材60の固定側部61は、固定ハウジング30に保持され、取付対象物90に保持されない。
このため、支持部材60を取付対象物90に保持させる工程(例えば半田付け)が不要である。また、取付対象物90に支持部材60を保持する部分(例えばパッド)を設ける必要がない。
【0090】
なお、上記とは異なり、支持部材60の固定側部61は、取付対象物90に保持され、固定ハウジング30に保持されなくてもよい。
この場合、当該支持部材60を保持する部分を固定ハウジングに設ける必要がなく、固定ハウジングを簡素化できる。
また、上記とは異なり、支持部材60の固定側部61は、取付対象物90に保持され、かつ固定ハウジング30に保持されてもよい。
この場合、固定ハウジング30の取付対象物90に対する固定強度が向上する。また、固定ハウジング30の振動を抑制することができる。
【0091】
また、本実施形態では、
図2、
図5に示すように、端子20の中間弾性部22は、板厚方向を第一方向(X方向)に垂直な平面内(YZ平面)で変化させる曲げ形状である。
このため、可動ハウジング40の第一方向の可動性が低くなりやすい。
そこで、本実施形態では、
図3、
図5に示すように、支持部60は、支持部材60として、一又は複数の第一支持部材60Aを備える。第一支持部材60Aの中間弾性部62は、板厚方向を第一方向に向ける形状である。
このため、第一方向の可動性を確保しやすい。なぜなら、板厚方向を第一方向に向ける形状である中間弾性部は、第一方向の可動性を確保しやすいからである。
【0092】
また、本実施形態では、
図5に示すように、第一支持部材60Aの数(6個)は、支持部60が備える支持部材60の数(8個)の過半数である。
このため、第一方向の可動性をより一層確保しやすい。
【0093】
また、本実施形態では、支持部60は、支持部材60として、一又は複数の第一支持部材60Aと、一又は複数の第二支持部材60Bと、を備える。そして、第一支持部材60Aと第二支持部材60Bとは、構造が異ならないが、配置される姿勢が異なる。
このため、バランスの取れた可動性を実現しやすい。
【0094】
また、本実施形態では、
図3~
図5に示すように、第一支持部材60Aの中間弾性部62は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材60Bの中間弾性部62は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。
このため、バランスの取れた可動性を実現しやすい。なぜなら、板厚方向を第一方向に向ける形状である中間弾性部62は、第一方向の可動性を確保しやすく、板厚方向を第二方向に向ける形状である中間弾性部62は、第二方向の可動性を確保しやすいからである。
【0095】
また、本実施形態では、
図2、
図5に示すように、端子20の中間弾性部22は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、可動ハウジング40の第一方向の可動性が低くなりやすい。
そこで、本実施形態では、
図3~
図5に示すように、第一支持部材60Aの中間弾性部62は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材60Bの中間弾性部62は、板厚方向を第二方向に向ける形状である。そして、第一支持部材60Aの数が、第二支持部材60Bの数よりも多い。
このため、第一方向の可動性が過剰に低下することを抑制できる。
【0096】
また、本実施形態では、
図2、
図5に示すように、可動ハウジング40は、端子20の可動側部23を保持する本体部41を備える。
ところで、
図4、
図5に示すように、第二支持部材60Bの中間弾性部62が、板厚方向を第二方向に向ける形状であると、第二支持部材60Bの中間弾性部62は、第二方向に垂直な平面内を延びる形状になる。そのため、第二支持部材60Bの可動側部63が、可動ハウジング40の本体部41の近くに位置すると、第二支持部材60Bの中間弾性部62が可動ハウジング40の本体部41に干渉しやすくなる。
そこで、本実施形態では、
図5に示すように、第二支持部材60Bの可動側部63と本体部41との第二方向の距離は、第一支持部材60Aの可動側部63と本体部41との第二方向の距離よりも大きい。
このため、第二支持部材60Bの中間弾性部62と可動ハウジング40の本体部41との干渉を抑制できる。
【0097】
また、本実施形態では、
図5に示すように、端子部20は、第一方向に配列された複数の端子20を備える。支持部60は、第一方向に配列された複数の第一支持部材60Aを備える。
ここで、端子20の可動側部23は、第一支持部材60Aの可動側部63よりも第二方向一方側に位置する。
このため、第二方向のスペースを有効活用して、第一支持部材60Aの可動側部63を配置することできる。よって、第一方向においてコネクタ10を小型化できる。
【0098】
また、本実施形態では、
図5に示すように、端子20の固定側部21は、端子20の可動側部23よりも第二方向一方側に位置する。第一支持部材60Aの固定側部61は、第一支持部材60Aの可動側部63よりも第二方向他方側に位置する。
このため、第二方向のスペースを有効活用して、端子20の固定側部21及び第一支持部材60Aの固定側部61を配置することできる。よって、第一方向においてコネクタ10を小型化できる。
【0099】
ところで、支持部材60が配置されている空間に異物が進入すると不具合が発生するおそれがある。不具合としては、支持部材60の変形の阻害、支持部材60と取付対象物90との短絡等が考えられる。
そこで、本実施形態では、
図3、
図4に示すように、コネクタ10は、追加部材70を備える。追加部材70は、介在部71を有する。介在部71は、支持部材60と取付対象物90との間に介在する。
このため、支持部材60が配置されている空間に異物が進入することが抑制され、異物の進入による不具合を回避できる。
【0100】
<変形例>
図6は、上記実施形態の変形例を示す図(
図5に対応する図)である。
【0101】
本変形例では、第二支持部材160Bが、上記実施形態の第二支持部材60Bと構造が異なる。第二支持部材60Bは、第一方向に垂直な平面内で板厚方向を変更する曲げ形状である。また、第二支持部材160Bの可動側部63は、第二方向において、第一支持部材60Aの可動側部63と同じ位置に位置する。これらの相違点に伴い、可動ハウジング40の突出部42の第二部分42bの構造も、上記実施形態と相違している。
【0102】
本変形例では、支持部60は、支持部材60として、一又は複数の第一支持部材60Aと、一又は複数の第二支持部材160Bと、を備える。そして、第一支持部材60Aと第二支持部材160Bとは構造が異なる。
このため、バランスの取れた可動性を実現しやすい。
【0103】
また、本変形例でも、端子20の中間弾性部22は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、可動ハウジング40の第一方向の可動性が低くなりやすい。
そこで、本変形例では、第一支持部材60Aの数は、第二支持部材160Bの数よりも多い。そして、第一支持部材60Aの中間弾性部62は、板厚方向を第一方向に向ける形状であり、第二支持部材160Bの中間弾性部62は、板厚方向を第一方向に垂直な平面内で変化させる曲げ形状である。
このため、第一方向の可動性が過剰に低下することを抑制できる。
【0104】
〔上記実施形態の補足説明〕
以上、本開示のコネクタの好適な実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。以下は念のための補足である。
【0105】
上記実施形態では、支持部材60が、導電性の部材であるが、本開示の支持部材はこれに限定されない。
【0106】
上記実施形態では、コネクタ10が、補強部50を備えるが、本開示のコネクタはこれに限定されない。
【0107】
上記実施形態では、支持部60が、第一支持部材60Aと第二支持部材60Bとを備えるが、本開示の支持部60はこれに限定されない。例えば、支持部は、第二支持部材を備えなくてもよい。
【0108】
上記実施形態では、端子部20が備える複数の端子20が、第一方向に一列に配列されるが、本開示の端子部はこれに限定されない。
【0109】
上記実施形態では、第一支持部材60Aの固定側部61が、第一支持部材60Aの可動側部63よりも第二方向他方側に位置するが、本開示はこれに限定されない。例えば、第一支持部材60Aの固定側部61は、第一支持部材60Aの可動側部63よりも第二方向一方側に位置してもよい。この場合、複数の第一支持部材60Aの固定側部61の各々は、第一方向に配列される複数の端子20の固定側部21のうち隣り合う2つの固定側部21の間に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 コネクタ
20 端子(端子部)
21 固定側部
22 中間弾性部
23 可動側部
30 固定ハウジング(ハウジング部)
40 可動ハウジング(ハウジング部)
41 本体部
42 突出部
60 支持部材(支持部)
60A,60B 支持部材
60A 第一支持部材
60B 第二支持部材
61 固定側部
62 中間弾性部
63 可動側部
70 追加部材
71 介在部
80 接続対象物
90 取付対象物