IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本写真印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図1
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図2
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図3
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図4
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図5
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図6
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図7
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図8
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図9
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図10
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図11
  • 特開-回路埋込基板の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158544
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】回路埋込基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H05B3/20 341
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073829
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000231361
【氏名又は名称】NISSHA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 寿文
(72)【発明者】
【氏名】横山 崇
【テーマコード(参考)】
3K034
【Fターム(参考)】
3K034AA02
3K034AA12
3K034AA22
3K034BA08
3K034BA17
3K034BB08
3K034BB13
3K034BC03
3K034BC12
3K034JA01
(57)【要約】
【課題】回路と電極パッドとの位置合わせ精度を上げることにより、良品率の向上を図ることができる回路埋込基板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】フィルム準備工程と、フィルム上に第1方向に沿って2つの電極パッドを配置する工程と、導電線からなり、任意パターンの機能部と、その両端から引き出された2つの配線部と、配線部から電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる2つの端部とを有する回路を、超音波溶着機を用いてフィルムに埋め込んで形成する工程と、電極パッドとその上の導電線とを接続する工程とを備え、2つの端部の各一端が平面視で2つの電極パッドに対して同じ側に配置され、超音波溶着機は、超音波振動でフィルムの導電線との接触面を溶融させて導電線をフィルムに埋め込むホーンと、その内部を通り引き出される導電線を有し、2つの端部は電極パッドと回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを準備する準備工程と、
前記フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド及び第2電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された導電線からなり、任意のパターンを有する機能部と、前記機能部の両端の一方から前記機能部の外に引き出された第1配線部と、前記機能部の両端の他方から前記機能部の外に引き出された第2配線部と、前記第1配線部から前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第1端部と、前記第2配線部から前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに一部が重なるように前記第1端部に沿って延びる第2端部とを有する回路を、前記機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部と、前記第1端部及び前記第2端部のうち前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する回路形成工程と、
前記第1電極パッドの上に位置する前記導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第2電極パッドの上に位置する前記導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程とを備え、
前記第1端部の両端のうち前記第1配線部と接続された一端と、前記第2端部の両端のうち前記第2配線部と接続された一端とが、平面視で前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに対して同じ側に配置され、
前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記導電線との接触面を溶融させるとともに前記導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込むホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記導電線とを有しており、
前記第1端部及び前記第2端部は、前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドと前記回路との前記第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法。
【請求項2】
フィルムを準備する準備工程と、
前記フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド及び第2電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された導電線からなり、任意のパターンを有する機能部と、前記機能部の両端の一方から前記機能部の外に引き出された第1配線部と、前記機能部の両端の他方から前記機能部の外に引き出された第2配線部と、前記第1配線部から前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第1端部と、前記第2配線部から前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに一部が重なるように前記第1端部に沿って延びる第2端部とを有する回路を、前記機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部と、前記第1端部及び前記第2端部のうち前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する回路形成工程と、
前記第1電極パッドの上に位置する前記導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第2電極パッドの上に位置する前記導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程とを備え、
前記第1端部の両端のうち前記第1配線部と接続された一端と、前記第2端部の両端のうち前記第2配線部と接続された一端とが、平面視で前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドを挟む位置に配置され、
前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記導電線との接触面を溶融させるとともに前記導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込むホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記導電線とを有しており、
前記第1端部及び前記第2端部は、前記第1電極パッド及び前記第2電極パッドと前記回路との前記第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法。
【請求項3】
フィルムを準備する準備工程と、
前記フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第1導電線からなり、任意のパターンを有する第1機能部と、前記第1機能部の両端の一方から前記第1機能部の外に引き出された第1配線部と、前記第1機能部の両端の他方から前記第1機能部の外に引き出された第2配線部と、前記第1配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第1端部と、前記第2配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1端部に沿って延びる第2端部とを有する第1回路を、前記第1機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部と、前記第1端部及び前記第2端部のうち前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する第1回路形成工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第2導電線からなり、任意のパターンを有する第2機能部と、前記第2機能部の両端の一方から前記第2機能部の外に引き出された第3配線部と、前記第2機能部の両端の他方から前記第2機能部の外に引き出された第4配線部と、前記第3配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第3端部と、前記第4配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第3端部に沿って延びる第4端部とを有する第2回路を、前記第2機能部と、前記第3配線部及び前記第4配線部と、前記第3端部及び第4端部のうち前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに重ならない部分とを前記超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する第2回路形成工程と、
前記第1電極パッドの上に位置する前記第1導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第2電極パッドの上に位置する前記第1導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程と、
前記第3電極パッドの上に位置する前記第2導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第3電極パッドとを電気的に接続する第3接続工程と、
前記第4電極パッドの上に位置する前記第2導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第4電極パッドとを電気的に接続する第4接続工程とを備え、
前記第1端部の両端のうち前記第1配線部と接続された一端と、前記第2端部の両端のうち前記第2配線部と接続された一端と、前記第3端部の両端のうち前記第3配線部と接続された一端と、前記第4端部の両端のうち前記第4配線部と接続された一端とが、平面視で前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
前記第1回路形成工程では、前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記第1導電線との接触面を溶融させるとともに前記第1導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込むホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記第1導電線とを有し、
前記第2回路形成工程では、前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記第2導電線との接触面を溶融させるとともに前記第2導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込む前記ホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記第2導電線とを有し、
前記第1端部、前記第2端部、前記第3端部及び前記第4端部は、前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドと、前記第1回路及び前記第2回路との前記第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法。
【請求項4】
フィルムを準備する準備工程と、
前記フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第1導電線からなり、任意のパターンを有する第1機能部と、前記第1機能部の両端の一方から前記第1機能部の外に引き出された第1配線部と、前記第1機能部の両端の他方から前記第1機能部の外に引き出された第2配線部と、前記第1配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第1端部と、前記第2配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1端部に沿って延びる第2端部とを有する第1回路を、前記第1機能部と、前記第1配線部及び前記第2配線部と、前記第1端部及び前記第2端部のうち前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する第1回路形成工程と、
前記フィルムの前記第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第2導電線からなり、任意のパターンを有する第2機能部と、前記第2機能部の両端の一方から前記第2機能部の外に引き出された第3配線部と、前記第2機能部の両端の他方から前記第2機能部の外に引き出された第4配線部と、前記第3配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第1方向に延びる第3端部と、前記第4配線部から前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに一部が重なるように前記第3端部に沿って延びる第4端部とを有する第2回路を、前記第2機能部と、前記第3配線部及び前記第4配線部と、前記第3端部及び第4端部のうち前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに重ならない部分とを前記超音波溶着機を用いて前記フィルムの前記第1主面に埋め込んで形成する第2回路形成工程と、
前記第1電極パッドの上に位置する前記第1導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
前記第2電極パッドの上に位置する前記第1導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程と、
前記第3電極パッドの上に位置する前記第2導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第3電極パッドとを電気的に接続する第3接続工程と、
前記第4電極パッドの上に位置する前記第2導電線の前記絶縁被覆を除去するとともに、露出した前記金属細線と前記第4電極パッドとを電気的に接続する第4接続工程とを備え、
前記第1端部の両端のうち前記第1配線部と接続された一端と、前記第2端部の両端のうち前記第2配線部と接続された一端とが、平面視で前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
前記第3端部の両端のうち前記第3配線部と接続された一端と、前記第4端部の両端のうち前記第4配線部と接続された一端とが、平面視で前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
前記第3端部及び前記第4端部のそれぞれの前記一端と、前記第1端部及び前記第2端部のそれぞれの前記一端とが、平面視で前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドを挟む位置に配置され、
前記第1回路形成工程では、前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記第1導電線との接触面を溶融させるとともに前記第1導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込むホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記第1導電線とを有し、
前記第2回路形成工程では、前記超音波溶着機は、超音波振動を与えることにより前記フィルムの前記第2導電線との接触面を溶融させるとともに前記第2導電線を前記フィルムの前記第1主面に埋め込む前記ホーンと、前記ホーンの内部を通り前記ホーンの先端から前記フィルムの前記第1主面上に連続的に引き出される前記第2導電線とを有し、
前記第1端部、前記第2端部、前記第3端部及び前記第4端部は、前記第1電極パッド、前記第2電極パッド、前記第3電極パッド及び前記第4電極パッドと前記第1回路及び前記第2回路との前記第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路埋込基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つの金属細線が任意のパターンでフィルムに埋め込まれた、フィルムヒータなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。図12を参照して、このようなフィルムヒータ100は、フィルム200と、フィルム200の周縁部に、Y方向に沿って間隔を空けて互いに平行に配置された四角形状の第1電極パッド500及び第2電極パッド600と、フィルム200に埋め込まれた1つの金属細線300からなる回路400とを備えている。
回路400は、任意のパターンを有するヒータ部450と、ヒータ部450の両端からそれぞれ引き出された第1配線部430及び第2配線部440と、第1配線部430及び第2配線部440からそれぞれヒータ部450とは反対側(図の+X方向)に延びて、第1電極パッド500及び第2電極パッド600にそれぞれ重なる第1端部410及び第2端部420とを有している。回路400は、超音波溶着機を用いて超音波振動を与えることにより、フィルム200の金属細線300との接触面を溶融させて埋め込まれている。例えば、第1端部410から、第1配線部430、ヒータ部450、第2配線部440、第2端部420の順で埋め込んでいくことができる。
【0003】
第1端部410及び第2端部420は、それぞれ第1電極パッド500及び第2電極パッド600をX方向に跨いでいる。第1電極パッド500及び第2電極パッド600の上面と、第1端部410及び第2端部420のうち上面に接する金属細線300とを電気的に接続する。第1電極パッド500及び第2電極パッド600に電圧を印加すると、回路400に電流が生じ、ヒータ部450が発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-066706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフィルムヒータ100の製造方法では、フィルム200上にまず電極パッド500,600を配置し、そのフィルム200の角を治具(図示せず)に当ててセットする。その後に、第1端部410及び第2端部420が電極パッド500,600に重なるように金属細線300をフィルム200に埋め込む。電極パッド500,600の配置と金属細線300の埋め込みとが別工程であるため、次のような位置ずれが生じる。すなわち、(1)電極パッドの位置ずれ(2)金属細線の埋め込みの位置ずれ(3)電極パッド及び金属細線埋め込みの位置ずれである。この製造方法において、例えば電極パッド500,600の配置箇所が図13(a)の+Y方向にずれてしまうと、相対的に金属細線300の埋め込み位置は図13(a)の-Y方向にずれてしまう。つまり、従来の製造方法では、電極パッド500,600と回路400との位置合わせが難しいため良品率が上がりにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、回路と電極パッドとの位置合わせ精度を上げることにより、良品率の向上を図ることができる回路埋込基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための第1の発明は、
フィルムを準備する準備工程と、
フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド及び第2電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された導電線からなり、任意のパターンを有する機能部と、機能部の両端の一方から機能部の外に引き出された第1配線部と、機能部の両端の他方から機能部の外に引き出された第2配線部と、第1配線部から第1電極パッド及び第2電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第1端部と、第2配線部から第1電極パッド及び第2電極パッドに一部が重なるように第1端部に沿って延びる第2端部とを有する回路を、機能部と、第1配線部及び第2配線部と、第1端部及び第2端部のうち第1電極パッド及び第2電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する回路形成工程と、
第1電極パッドの上に位置する導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
第2電極パッドの上に位置する導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程とを備え、
第1端部の両端のうち第1配線部と接続された一端と、第2端部の両端のうち第2配線部と接続された一端とが、平面視で第1電極パッド及び第2電極パッドに対して同じ側に配置され、
超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの導電線との接触面を溶融させるとともに導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される導電線とを有しており、
第1端部及び第2端部は、第1電極パッド及び第2電極パッドと回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法である。
【0008】
上記の目的を達成するための第2の発明は、
フィルムを準備する準備工程と、
フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド及び第2電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された導電線からなり、任意のパターンを有する機能部と、機能部の両端の一方から機能部の外に引き出された第1配線部と、機能部の両端の他方から機能部の外に引き出された第2配線部と、第1配線部から第1電極パッド及び第2電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第1端部と、第2配線部から第1電極パッド及び第2電極パッドに一部が重なるように第1端部に沿って延びる第2端部とを有する回路を、機能部と、第1配線部及び第2配線部と、第1端部及び第2端部のうち第1電極パッド及び第2電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する回路形成工程と、
第1電極パッドの上に位置する導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
第2電極パッドの上に位置する導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程とを備え、
第1端部の両端のうち第1配線部と接続された一端と、第2端部の両端のうち第2配線部と接続された一端とが、平面視で第1電極パッド及び第2電極パッドを挟む位置に配置され、
超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの導電線との接触面を溶融させるとともに導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される導電線とを有しており、
第1端部及び第2端部は、第1電極パッド及び第2電極パッドと回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法である。
【0009】
第1及び第2の発明のような製造方法によれば、第1電極パッド及び第2電極パッドと、第1端部及び第2端部の埋め込み位置とが相対的に第1方向にずれた場合であっても、第1端部及び第2端部が、2つの電極パッドと回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さをそれぞれ有しているため、第1端部及び第2端部はそれぞれ2つの電極パッドと重なる部分を有する。したがって、回路と2つの電極パッドとの位置合わせ精度が上がるため、良品率の向上を図ることができる。
【0010】
上記の目的を達成するための第3の発明は、
フィルムを準備する準備工程と、
フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第1導電線からなり、任意のパターンを有する第1機能部と、第1機能部の両端の一方から第1機能部の外に引き出された第1配線部と、第1機能部の両端の他方から第1機能部の外に引き出された第2配線部と、第1配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第1端部と、第2配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1端部に沿って延びる第2端部とを有する第1回路を、第1機能部と、第1配線部及び第2配線部と、第1端部及び第2端部のうち第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する第1回路形成工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第2導電線からなり、任意のパターンを有する第2機能部と、第2機能部の両端の一方から第2機能部の外に引き出された第3配線部と、第2機能部の両端の他方から第2機能部の外に引き出された第4配線部と、第3配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第3端部と、第4配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第3端部に沿って延びる第4端部とを有する第2回路を、第2機能部と、第3配線部及び第4配線部と、第3端部及び第4端部のうち第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する第2回路形成工程と、
第1電極パッドの上に位置する第1導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
第2電極パッドの上に位置する第1導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程と、
第3電極パッドの上に位置する第2導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第3電極パッドとを電気的に接続する第3接続工程と、
第4電極パッドの上に位置する第2導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第4電極パッドとを電気的に接続する第4接続工程とを備え、
第1端部の両端のうち第1配線部と接続された一端と、第2端部の両端のうち第2配線部と接続された一端と、第3端部の両端のうち第3配線部と接続された一端と、第4端部の両端のうち第4配線部と接続された一端とが、平面視で第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
第1回路形成工程では、超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの第1導電線との接触面を溶融させるとともに第1導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される第1導電線とを有し、
第2回路形成工程では、超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの第2導電線との接触面を溶融させるとともに第2導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される第2導電線とを有し、
第1端部、第2端部、第3端部及び第4端部は、第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドと、第1回路及び第2回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法である。
【0011】
上記の目的を達成するための第4の発明は、
フィルムを準備する準備工程と、
フィルムの第1主面上の周縁部に、第1方向に沿って第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドを間隔を空けて互いに平行に配置する配置工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第1導電線からなり、任意のパターンを有する第1機能部と、第1機能部の両端の一方から第1機能部の外に引き出された第1配線部と、第1機能部の両端の他方から第1機能部の外に引き出された第2配線部と、第1配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第1端部と、第2配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1端部に沿って延びる第2端部とを有する第1回路を、第1機能部と、第1配線部及び第2配線部と、第1端部及び第2端部のうち第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する第1回路形成工程と、
フィルムの第1主面上に配置され、金属細線が絶縁被覆された第2導電線からなり、任意のパターンを有する第2機能部と、第2機能部の両端の一方から第2機能部の外に引き出された第3配線部と、第2機能部の両端の他方から第2機能部の外に引き出された第4配線部と、第3配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第1方向に延びる第3端部と、第4配線部から第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに一部が重なるように第3端部に沿って延びる第4端部とを有する第2回路を、第2機能部と、第3配線部及び第4配線部と、第3端部及び第4端部のうち第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに重ならない部分とを超音波溶着機を用いてフィルムの第1主面に埋め込んで形成する第2回路形成工程と、
第1電極パッドの上に位置する第1導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第1電極パッドとを電気的に接続する第1接続工程と、
第2電極パッドの上に位置する第1導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第2電極パッドとを電気的に接続する第2接続工程と、
第3電極パッドの上に位置する第2導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第3電極パッドとを電気的に接続する第3接続工程と、
第4電極パッドの上に位置する第2導電線の絶縁被覆を除去するとともに、露出した金属細線と第4電極パッドとを電気的に接続する第4接続工程とを備え、
第1端部の両端のうち第1配線部と接続された一端と、第2端部の両端のうち第2配線部と接続された一端とが、平面視で第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
第3端部の両端のうち第3配線部と接続された一端と、第4端部の両端のうち第4配線部と接続された一端とが、平面視で第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドに対して同じ側に配置され、
第3端部及び第4端部のそれぞれの一端と、第1端部及び第2端部のそれぞれの一端とが、平面視で第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドを挟む位置に配置され、
第1回路形成工程では、超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの第1導電線との接触面を溶融させるとともに第1導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される第1導電線とを有し、
第2回路形成工程では、超音波溶着機は、超音波振動を与えることによりフィルムの第2導電線との接触面を溶融させるとともに第2導電線をフィルムの第1主面に埋め込むホーンと、ホーンの内部を通りホーンの先端からフィルムの第1主面上に連続的に引き出される第2導電線とを有し、
第1端部、第2端部、第3端部及び第4端部は、第1電極パッド、第2電極パッド、第3電極パッド及び第4電極パッドと第1回路及び第2回路との第1方向の位置ずれを吸収する長さを有する、回路埋込基板の製造方法である。
【0012】
第3及び第4の発明のような製造方法によれば、4つの電極パッドと4つの端部の埋め込み位置とが相対的に第1方向にずれた場合であっても、第1端部、第2端部、第3端部及び第4端部が、第1回路及び第2回路と4つの電極パッドとの第1方向の位置ずれを吸収する長さをそれぞれ有しているため、4つの端部はそれぞれ4つの電極パッドと重なる部分を有する。したがって、第1回路及び第2回路と4つの電極パッドとの位置合わせ精度が上がるため、良品率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の回路埋込基板の製造方法によれば、回路と電極パッドとの位置合わせ精度を上げて、良品率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】回路埋込基板の製造方法の第1実施形態を示す模式的な斜視図。
図2】(a)第1端部及び第2端部の一例を示す部分拡大図。(b)(a)のA-A断面図。
図3】電極パッドが+X方向に位置ずれした状態を示す拡大図。
図4】電極パッドが-X方向に位置ずれした状態を示す拡大図。
図5】導電線の模式的な断面図。
図6】回路埋込基板の製造方法の第2実施形態を示す模式的な斜視図。
図7】(a)第1端部及び第2端部の別の例を示す部分拡大図。(b)(a)のA-A断面図。
図8】電極パッドが+X方向に位置ずれした状態を示す拡大図。
図9】電極パッドが-X方向に位置ずれした状態を示す拡大図。
図10】回路埋込基板の製造方法の第3実施形態を示す模式的な斜視図。
図11】回路埋込基板の製造方法の第4実施形態を示す模式的な斜視図。
図12】(a)従来のフィルムヒータを示す模式的な平面図。(b)(a)のA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
(回路埋込基板の概要)
図1(f)を参照して、第1実施形態の回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置された導電線3からなる回路4と、第1電極パッド6と、第2電極パッド7とを備えている。
回路4は、機能部45と、第1配線部43と、第2配線部44と、第1端部41と、第2端部42とを有する。機能部45は、任意のパターンを有する。第1配線部43は、機能部45の両端の一方45aから引き出されている。第2配線部44は、機能部45の両端の他方45bから引き出されている。第1端部41は、第1配線部43から第1電極パッド6及び第2電極パッド7に一部が重なるように+X方向(第1方向)に延びている。第2端部42は、第2配線部44から第1電極パッド6及び第2電極パッド7に一部が重なるように第1端部に沿って延びている。そして、図2(a)を参照して、第1端部41の両端のうち第1配線部43と接続された一端41aと、第2端部42の両端のうち第2配線部44と接続された一端42aとが、平面視で第1電極パッド6及び第2電極パッド7に対して同じ側に配置されている。換言すれば、第1端部41及び第2端部42のそれぞれの一端41a,42aは、どちらも平面視で2つの電極パッド6,7より-X方向の位置に配置されている。
なお、機能部45の両端の他方45bと第2配線部44との境界は、図1(f)のように明確でなくてもよいし、機能部45の両端の一方45aのように明確であってもよい。
【0016】
機能部45、第1配線部43及び第2配線部44は、フィルム2の第1主面2aに埋め込まれている。図2を参照して、第1端部41及び第2端部42のうち電極パッド6,7に重なっている部分は第1主面2aに埋め込まれておらず、それ以外の部分は埋め込まれている。より詳細には、フィルム2に埋め込まれている部分は、例えば図2(b)のようにLで示された部分である。フィルム2に埋め込まれない部分は、電極パッド6,7の上面に接する部分、及び電極パッド6,7の上面と埋め込み部分(L)との間で斜めになっている部分である。導電線3は2つの電極パッド6,7を跨ぐ必要があるところ、電極パッド6,7の際まで埋め込んで電極パッド6,7を跨ぐのは困難なため、図2(b)に示すような斜めの部分(導電線3がフィルム2に埋め込まれていない部分)が生じる。
【0017】
本実施形態では、機能部45は発熱部であり、回路埋込基板1はフィルムヒータである。例えば第1電極パッド6にプラスの電圧を印加し、第2電極パッド7にマイナスの電圧を印加することにより、導電線3からなる回路4に電流が生じ、機能部45が発熱する。機能部45は、第1配線部43及び第2配線部44にそれぞれ接続された両端45a,45bを有し、ループ状のパターン形状を有する。より詳細には、機能部45は、第1配線部43との接続部45aから+X方向に延びた後、+Y方向、-X方向、-Y方向へと延びて第2配線部44との接続部45bに到達するパターン形状である。このように機能部45は、第1配線部43及び第2配線部44との接続部45a,45bを有し、接続部45a,45bからXY平面に広がる任意のパターンを有する。
【0018】
フィルム2は任意の形状とすることができ、本実施形態では矩形状である。フィルム2は透明、不透明又は着色透明のものを用いることができる。フィルム2の材料としては、例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。これらを2種以上含有するものであってもよい。フィルム2には無機微細粉末あるいは有機フィラー、分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、紫外線安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤などを適宜添加することができる。フィルム2の厚みは、例えば0.05mm~1mmである。
【0019】
図5を参照して、導電線3は、金属細線33が絶縁被覆層34により被覆されたものである。金属細線33には、例えば、銅、鉄、金、銅ニッケル、ニッケルクロム、鉄ニッケルクロムなど導電性を有する材料を用いることができる。電気抵抗や耐久性、コストの観点から、銅又は銅に亜鉛や鉛、錫、銀、アルミ、ニッケル、ベリリウム、ジルコニウムなどを単独もしくは複数組み合わせた銅合金を用いることが好ましい。金属細線33の直径は、例えば0.01mm~0.5mmである。
【0020】
絶縁被覆層34は絶縁性の樹脂であり、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等を用いることができる。導電線3の直径は、例えば0.05mm~0.3mmである。
【0021】
2つの電極パッド6,7は例えば、銅、リン青銅、黄銅、コルソン合金、ニッケル、モリブデンなど導電性を有する材料を用いることができる。これら材料を母材とし、母材にニッケル、スズ、金、銀、銅などをメッキしたものを用いてもよい。電極パッド6,7の大きさは、例えば5mm×10mmである。厚みは、例えば0.1mmである。
なお、本実施形態では電極パッド6,7は四角形状であるが、これに限定されない。例えば、四角形以外の多角形状、円形状、楕円形状、L字形状などでもよい。
【0022】
(回路埋込基板の製造方法)
このような回路埋込基板1の製造方法の一実施形態を、図1を参照して説明する。
回路埋込基板1の製造方法は、フィルム2を準備する準備工程(図示せず)と、第1電極パッド6及び第2電極パッド7をフィルム2の第1主面2a上の周縁部に配置する配置工程(図1(a))と、超音波溶着機8を用いて回路4を形成する回路形成工程(図1(b)~図1(e))と、回路4の第1端部41及び第2端部42と電極パッド6,7とをそれぞれ電気的に接続する第1及び第2接続工程(図1(f))とを備えている。
【0023】
準備工程では、フィルム2をステージ(図示せず)の上に固定するとよい。また、フィルム2の位置合わせを容易にするために治具(図示せず)を用いてもよい。配置工程では、第1電極パッド6及び第2電極パッド7を、フィルム2の第1主面2a上の周縁部に配置する。換言すれば、フィルム2のX方向(第1方向)に平行な一辺に沿って、X方向に並んで配置する。2つの電極パッド6,7は四角形状であり、X方向に沿って間隔を空けて互いに平行に配置する。2つの電極パッド6,7が、それぞれ回路埋込基板1の端子部となる。2つの電極パッド6,7は、例えば接着剤などを用いて第1主面2a上に固定することができる。
【0024】
図1(b)を参照して、回路形成工程で用いる超音波溶着機8は、超音波振動を発生させる発振器(図示せず)と、発振器からの超音波振動を伝播させるホーン81と、導電線3とを備えている。ホーン81は、超音波振動を与えることによりフィルム2の導電線3との接触面を溶融させるとともに、導電線3をフィルム2の第1主面2aに埋め込むことができる。導電線3は、ホーン81の内部を通り、ホーン81の先端81aからフィルム2の第1主面2a上に連続的に引き出される。
【0025】
回路形成工程は、まず、図1(b)に示すように、ホーン81から導電線3を所定長さだけ引き出しつつフィルム2の第1主面2aに埋め込み、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上を-X方向(第1方向)に跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第1端部41を形成する。このとき、第1電極パッド6及び第2電極パッド7に重なる導電線3は第1主面2aに埋め込まれず、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上面に接触する。
次に、図1(c)~(d)に示すように、第1端部41の埋め込み終端から+Y方向に向かって導電線3を所定長さだけ引き出しつつ第1主面2aに埋め込んで、第1配線部43を形成する。次に、第1配線部43の埋め込み終端43aから導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、XY平面に広がる任意のパターンで第1主面2aに埋め込んで機能部45を形成する。第1配線部43の埋め込み終端43aは、機能部45の始端となる。換言すると、第1配線部43の終端43aは、機能部45の両端の一方45aとなる(図1(d)参照)。
次に、図1(e)に示すように、ホーン81から導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、機能部45の終端45bから-Y方向に延びて第1主面2aに埋め込んで、第2配線部44を形成する。機能部45の終端は、第2配線部44の始端であり、機能部45の両端の他方45bとなる。第2配線部44の埋め込み終端44aから導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、第1端部41に沿って第1主面2aに埋め込み、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上を跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第2端部42を形成する。このとき、第1電極パッド6及び第2電極パッド7に重なる導電線3は第1主面2aに埋め込まれず、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上面に接触する。第2端部42を形成した後、第2端部42の埋め込み終端で導電線3を切断する。切断方法としては、例えば、カッターやニッパーを用いることができる。
最後に第1及び第2接続工程では、図1(f)の点Pに示すように、2つの電極パッド6,7と、2つの電極パッド6,7の上に位置する(上面に接触している)導電線3とをそれぞれ電気的に接続する。接続には、公知の金属接合技術である、溶接(抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接など)、半田付け、ロウ付けなどを用いることができる。これらの接続方法により、第1端部41及び第2端部42の絶縁被覆層34を熱により溶融して、金属細線33を露出させるとともに、露出した金属細線33と各電極パッド6,7の上面とを電気的に接続することができる。なお、第1接続工程と第2接続工程は別々に行ってもよいが、生産効率が向上するため同時に行う方が好ましい。
このようにして、回路埋込基板1を得ることができる。
【0026】
図2(a)を参照して、第1端部41及び第2端部42は、それぞれ長さL41及びL42を有する。ここで、図2(b)に示すように、第1端部41は各電極パッド6,7を跨いで、その両端がフィルム2に埋め込まれている。導電線3が埋め込まれる予定の箇所に各電極パッド6,7を配置することはできないため、埋め込み長さをLとすると、各電極パッド6,7の位置ずれ許容長さはL41-2Lとなる。つまり、この長さL41-2Lが、各電極パッド6,7と回路4とのX方向(第1方向)の位置ずれを吸収する、第1端部41の実質的な長さである。第2端部42の長さL42については、第2電極パッド7は第1端部41の一端41aを-X方向に越えて配置されることはできないため、実質的な位置ずれ許容長さはL41-2Lである。
なお、図2は、第1電極パッド6及び第2電極パッド7と、第1端部41及び第2端部42との位置ずれがない状態を示している。
【0027】
例えば、電極パッド6,7の幅W,Wがそれぞれ5mm、電極パッド6,7どうしの間隔Sが2mmのとき、第1端部41の長さL41は22mm、第2端部42の長さL42は27mmとすることができ、導電線間距離Sは5mmとすることができる。
【0028】
図3に示すように、電極パッド6,7の位置が+X方向にdだけずれて配置された場合であっても、第1端部41及び第2端部42がそれぞれdよりも大きい長さL41,L42を有しているため、電極パッド6,7の位置ずれを吸収することができる。なお、第1電極パッド6の位置ずれ量は、厳密にはdから埋め込み長さLを差し引いた値(d-L)である。図3では便宜上、位置ずれ後の第1電極パッド6のみを実線で示している。
また、図4に示すように、電極パッド6,7の位置が-X方向にdだけずれて配置された場合であっても、第1端部41及び第2端部42がそれぞれdよりも大きい長さL41,L42を有しているため、電極パッド6,7の位置ずれを吸収することができる。図4では便宜上、位置ずれ後の第2電極パッド7のみを実線で示している。
【0029】
このように、第1端部41及び第2端部42がそれぞれ長さL41,L42を有することにより、フィルム2に対する電極パッド6,7の位置がX方向にdだけずれたとしても、第1端部41及び第2端部42は電極パッド6,7に重なる。そのため、第1端部41及び第2端部42の埋め込み位置は、電極パッド6,7の位置ずれを考慮する必要がない。つまり、第1端部41及び第2端部42は、回路埋込基板1を製造する度に、毎回同じ位置に埋め込めば良い。電極パッド6,7の位置ずれを考慮せずとも、第1端部41及び第2端部42と電極パッド6,7との位置合わせが可能になるため、良品率を向上することができる。
【0030】
<第2実施形態>
(回路埋込基板の概要)
図6(f)を参照して、第2実施形態の回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置された導電線3からなる回路4と、第1電極パッド6と、第2電極パッド7とを備えている。第1実施形態と異なる点は、機能部45のパターン形状と、第1端部41の一端41a及び第2端部42の一端42aの位置である。それ以外の構成については、第1実施形態で説明した内容と同じであるため、説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2実施形態では、機能部45のパターン形状はミアンダ形状である。なお、機能部45の両端の一方45aと第1配線部43との境界、及び機能部45の両端の他方45bと第2配線部44との境界は、図6(d)のように明確でなくてもよいし、両端45a,45bを境に明確であってもよい。
【0031】
(回路埋込基板の製造方法)
このような回路埋込基板1の製造方法の一実施形態を、図6を参照して説明する。
回路埋込基板1の製造方法は、フィルム2を準備する準備工程(図示せず)と、第1電極パッド6及び第2電極パッド7をフィルム2の第1主面2a上の周縁部に配置する配置工程(図6(a))と、超音波溶着機8を用いて回路4を形成する回路形成工程(図6(b)~図6(e))と、回路4の第1端部41及び第2端部42と電極パッド6,7とをそれぞれ電気的に接続する第1及び第2接続工程(図6(f))とを備えている。なお、準備工程、配置工程、回路形成工程の一部(図6(b))、及び第1・第2接続工程(図6(f))は第1実施形態と同様であるため、説明を省略し、図6(c)から説明する。
【0032】
図6(c)~(d)に示すように、第1端部41の埋め込み終端41aから+Y方向に向かって導電線3を所定長さだけ引き出しつつ第1主面2aに埋め込んで、第1配線部43を形成する。次に、第1配線部43の埋め込み終端43aから導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、XY平面に広がるミアンダ形状で第1主面2aに埋め込んで機能部45を形成する。第1配線部43の埋め込み終端43aは、機能部45の始端となる。換言すると、第1配線部43の終端43aは、機能部45の両端の一方45aとなる(図6(d)参照)。
次に、図6(d)に示すように、ホーン81から導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、機能部45の終端45bから-Y方向に延びて第1主面2aに埋め込んで、第2配線部44を形成する。機能部45の終端は、第2配線部44の始端であり、機能部45の両端の他方45bとなる。
次に、図6(e)に示すように、第2配線部44の埋め込み終端44aから導電線3を所定長さだけ引き出しつつ、第1端部41に沿って第1主面2aに埋め込み、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上を跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第2端部42を形成する。このとき、第1電極パッド6及び第2電極パッド7に重なる導電線3は第1主面2aに埋め込まれず、第1電極パッド6及び第2電極パッド7の上面に接触する。第2端部42を形成した後、第2端部42の埋め込み終端で導電線3を切断する。
【0033】
図7(a)を参照して、第1端部41の両端のうち第1配線部43と接続された一端41aと、第2端部42の両端のうち第2配線部44と接続された一端42aとは、平面視で第1電極パッド6及び第2電極パッド7を挟む位置に配置されている。換言すれば、第1端部41の一端41aは平面視で各電極パッド6,7よりも+X方向の位置に配置され、第2端部42の一端42aは平面視で各電極パッド6,7よりも-X方向の位置に配置されている。
【0034】
第1端部41及び第2端部42は、それぞれ長さL41及びL42を有する(L41<L42)。ここで、図7(b)に示すように、第1端部41は各電極パッド6,7を跨いで、その両端がフィルム2に埋め込まれている。導電線3が埋め込まれる予定の箇所に各電極パッド6,7を配置することはできないため、埋め込み長さをLとすると、各電極パッド6,7の位置ずれ許容長さはL41-2Lとなる。つまり、この長さL41-2Lが、各電極パッド6,7と回路4とのX方向(第1方向)の位置ずれを吸収する、第1端部41の実質的な長さである。第2端部42の長さL42については、第2電極パッド7は第1端部41の他端41bを-X方向に越えて配置されることはできないため、実質的な位置ずれ許容長さはL41-2Lである。
なお、図7は、第1電極パッド6及び第2電極パッド7と、第1端部41及び第2端部42との位置ずれがない状態を示している。
【0035】
例えば、電極パッド6,7の幅W,Wがそれぞれ5mm、電極パッド6,7どうしの間隔Sが2mmのとき、第1端部41の長さL41は22mm、第2端部42の長さL42は27mmとすることができ、導電線間距離Sは5mmとすることができる。
【0036】
図8に示すように、電極パッド6,7の位置が+X方向にdだけずれて配置された場合であっても、第1端部41及び第2端部42がそれぞれdよりも大きい長さL41,L42を有しているため、電極パッド6,7の位置ずれを吸収することができる。図8では便宜上、位置ずれ後の第1電極パッド6のみを実線で示している。
また、図9に示すように、電極パッド6,7の位置が-X方向にdだけずれて配置された場合であっても、第1端部41及び第2端部42がそれぞれdよりも大きい長さL41,L42を有しているため、電極パッド6,7の位置ずれを吸収することができる。なお、このとき、第2電極パッド7の位置ずれ量は、厳密にはdから埋め込み長さLを差し引いた値(d-L)である。図9では便宜上、位置ずれ後の第2電極パッド7のみを実線で示している。
【0037】
このように、第1端部41及び第2端部42がそれぞれ長さL41,L42を有することにより、フィルム2に対する電極パッド6,7の位置がX方向にdだけずれたとしても、第1端部41及び第2端部42は電極パッド6,7に重なる。そのため、第1端部41及び第2端部42の埋め込み位置は、電極パッド6,7の位置ずれを考慮する必要がない。つまり、第1端部41及び第2端部42は、回路埋込基板1を製造する度に、毎回同じ位置に埋め込めば良い。電極パッド6,7の位置ずれを考慮せずとも、第1端部41及び第2端部42と電極パッド6,7との位置合わせが可能になるため、良品率を向上することができる。
【0038】
<第3実施形態>
(回路埋込基板の概要)
図10(f)を参照して、第3実施形態の回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置された、第1導電線31からなる第1回路4と、第2導電線32からなる第2回路5と、第1電極パッド6と、第2電極パッド7と、第3電極パッド9と、第4電極パッド10とを備えている。
第1回路4は、第1機能部45と、第1配線部43と、第2配線部44と、第1端部41と、第2端部42とを有する。第1機能部45は、任意のパターンを有する。第1配線部43は、第1機能部45の両端の一方45aから引き出されている。第2配線部44は、第1機能部45の両端の他方45bから引き出されている。第1端部41は、第1配線部43から4つの電極パッド6,7,9,10に一部が重なるように+X方向(第1方向)に延びている。第2端部42は、第2配線部44から4つの電極パッド6,7,9,10に一部が重なるように第1端部41に沿って延びている。
第2回路5は、第2機能部55と、第3配線部53と、第4配線部54と、第3端部51と、第4端部52とを有する。第2機能部55は、任意のパターンを有する。第3配線部53は、第2機能部55の両端の一方55aから引き出されている。第4配線部54は、機能部55の両端の他方55bから引き出されている。第3端部51は、第3配線部53から4つの電極パッド6,7,9,10に一部が重なるように+X方向(第1方向)に延びている。第4端部52は、第4配線部54から4つの電極パッド6,7,9,10に一部が重なるように第3端部51に沿って延びている。
そして、第1端部41の両端のうち第1配線部43と接続された一端41aと、第2端部42の両端のうち第2配線部44と接続された一端42aと、第3端部51の両端のうち第3配線部53と接続された一端51aと、第4端部52の両端のうち第4配線部54と接続された一端52aとが、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10に対して同じ側に配置されている。換言すれば、4つの端部41,42,51,52のそれぞれの一端41a,42a,51a,52aは、いずれも平面視で4つの電極パッド6,7,9,10より-X方向の位置に配置されている。
なお、第2機能部55の両端の他方55bと第4配線部54との境界は、図10(e)のように明確でなくてもよいし、第2機能部55の両端の一方55aのように明確であってもよい。
【0039】
(回路埋込基板の製造方法)
このような回路埋込基板1の製造方法の一実施形態を、図10を参照して説明する。
回路埋込基板1の製造方法は、フィルム2を準備する準備工程(図示せず)と、第1電極パッド6、第2電極パッド7、第3電極パッド9及び第4電極パッド10を、フィルム2の第1主面2a上の周縁部に配置する配置工程(図10(a))と、超音波溶着機8を用いて第1回路4を形成する第1回路形成工程(図10(b)~図10(c))と、超音波溶着機8を用いて第2回路5を形成する第2回路形成工程(図10(d)~図10(e))と、第1端部41、第2端部42、第3端部51及び第4端部52と、4つの電極パッド6,7,9,10とをそれぞれ電気的に接続する第1~第4接続工程(図10(f))とを備えている。なお、準備工程、配置工程、第1回路形成工程(図10(b)~図10(c))、及び第1~第4接続工程(図10(f))は第1実施形態と同様であるため、説明を省略し、第2回路形成工程(図10(d)~図10(e))を説明する。
【0040】
まず、ホーン81から第2導電線32を所定長さだけ引き出しつつフィルム2の第1主面2aに埋め込み、4つの電極パッド6,7,9,10の上を-X方向(第1方向)に跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第3端部51を形成する。第3端部51は、第1端部41及び第2端部42と平行に形成される。
次に、第3端部51の埋め込み終端から+Y方向に向かって第2導電線32を所定長さだけ引き出しつつ第1主面2aに埋め込んで、第3配線部53を形成する。次に、第3配線部53の埋め込み終端53aから第2導電線32を所定長さだけ引き出しつつ、XY平面に広がる任意のパターンで第1主面2aに埋め込んで第2機能部55を形成する。第3配線部53の埋め込み終端53aは、第2機能部55の始端となる。換言すると、第3配線部53の終端53aは、第2機能部55の両端の一方55aとなる(図10(e)参照)。
次に、図10(e)に示すように、ホーン81から第2導電線32を所定長さだけ引き出しつつ、第2機能部55の終端55bから-Y方向に延びて第1主面2aに埋め込んで、第4配線部54を形成する。第2機能部55の終端は、第4配線部54の始端であり、第2機能部55の両端の他方55bとなる。第4配線部54の埋め込み終端54aから第2導電線32を所定長さだけ引き出しつつ、第3端部51に沿って第1主面2aに埋め込み、4つの電極パッド6,7,9,10の上を+X方向に跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第4端部52を形成する。
【0041】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、4つの端部41,42,51,52のそれぞれの一端41a,42a,51a,52aが、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10に対して同じ側に配置されている。そのため、第1実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、4つの端部41,42,51,52は、回路埋込基板1を製造する度に、毎回同じ位置に埋め込めば良い。4つの電極パッド6,7,9,10の位置ずれを考慮せずとも、4つの端部41,42,51,52と4つの電極パッド6,7,9,10との位置合わせが可能になるため、良品率を向上することができる。
【0042】
<第4実施形態>
(回路埋込基板の概要)
図11(f)を参照して、第4実施形態の回路埋込基板1は、フィルム2と、フィルム2の第1主面2a上に配置された、第1導電線31からなる第1回路4と、第2導電線32からなる第2回路5と、第1電極パッド6と、第2電極パッド7と、第3電極パッド9と、第4電極パッド10とを備えている。第3実施形態と異なる点は、2つの端部41,42のそれぞれの一端41a,42aと、2つの端部51,52のそれぞれの一端51a,52aの位置である。それ以外の構成については、第3実施形態で説明した内容と同じであるため、説明を省略する。以下、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0043】
図11(c)を参照して、第1端部41の両端のうち第1配線部43と接続された一端41aと、第2端部42の両端のうち第2配線部44と接続された一端42aとは、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10よりも+X方向の位置に配置されている。そして、図11(f)を参照して、第3端部51の両端のうち第3配線部53と接続された一端51aと、第4端部52の両端のうち第4配線部54と接続された一端52aとは、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10よりも-X方向の位置に配置されている。つまり、第1端部41及び第2端部42のそれぞれの一端41a,42aと、第3端部51及び第4端部52のそれぞれの一端51a,52aとは、4つの電極パッド6,7,9,10を挟む位置に配置されている。
【0044】
(回路埋込基板の製造方法)
このような回路埋込基板1の製造方法の一実施形態を、図11を参照して説明する。
回路埋込基板1の製造方法は、第1電極パッド6、第2電極パッド7、第3電極パッド9及び第4電極パッド10を、フィルム2の第1主面2a上の周縁部に配置する配置工程(図11(a))と、超音波溶着機8を用いて第1回路4を形成する第1回路形成工程(図11(b)~図11(c))と、超音波溶着機8を用いて第2回路5を形成する第2回路形成工程(図11(d)~図11(e))と、第1端部41、第2端部42、第3端部51及び第4端部52と、4つの電極パッド6,7,9,10とをそれぞれ電気的に接続する第1~第4接続工程(図11(f))とを備えている。なお、準備工程、配置工程、第2回路形成工程(図11(d)~図11(e))、及び第1~第4接続工程(図11(f))は第3実施形態と同様であるため、説明を省略し、第1回路形成工程(図11(b)~図11(c))を説明する。
【0045】
まず、ホーン81から第1導電線31を所定長さだけ引き出しつつフィルム2の第1主面2aに埋め込み、4つの電極パッド6,7,9,10の上を+X方向(第1方向)に跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第1端部41を形成する。
次に、第1端部41の埋め込み終端から+Y方向に向かって第1導電線31を所定長さだけ引き出しつつ第1主面2aに埋め込んで、第1配線部43を形成する。次に、第1配線部43の埋め込み終端43aから第1導電線31を所定長さだけ引き出しつつ、XY平面に広がる任意のパターンで第1主面2aに埋め込んで第1機能部45を形成する。第1配線部43の埋め込み終端43aは、第1機能部45の始端となる。換言すると、第1配線部43の終端43aは、第1機能部45の両端の一方45aとなる(図11(b)参照)。
次に、図11(c)に示すように、ホーン81から第1導電線31を所定長さだけ引き出しつつ、第1機能部45の終端45bから-Y方向に延びて第1主面2aに埋め込んで、第2配線部44を形成する。第1機能部45の終端は、第2配線部44の始端であり、第1機能部45の両端の他方45bとなる。第2配線部44の埋め込み終端44aから第1導電線31を所定長さだけ引き出しつつ、第1端部41に沿って第1主面2aに埋め込み、4つの電極パッド6,7,9,10の上を-X方向に跨ぎ、跨ぎ終わりをフィルム2の第1主面2aに埋め込むことで、第2端部42を形成する。第2端部42は第1端部41に平行に形成される。
【0046】
第4実施形態では、第2実施形態と同様に、2つの端部41,42のそれぞれの一端41a,42aが、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10に対して同じ側(+X)に配置されている。また、2つの端部51,52のそれぞれの一端51a,52aが、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10に対して同じ側(-X)に配置されている。つまり、2組の一端(41a,42a及び51a,52a)が、平面視で4つの電極パッド6,7,9,10を挟む位置に配置されている。そのため、第2実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、4つの端部41,42,51,52は、回路埋込基板1を製造する度に、毎回同じ位置に埋め込めば良い。4つの電極パッド6,7,9,10の位置ずれを考慮せずとも、4つの端部41,42,51,52と4つの電極パッド6,7,9,10との位置合わせが可能になるため、良品率を向上することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 :回路埋込基板
2 :フィルム
2a :第1主面
3 :導電線
31 :第1導電線
32 :第2導電線
33 :金属細線
34 :絶縁被覆層
4 :(第1)回路
41 :第1端部
42 :第2端部
43 :第1配線部
44 :第2配線部
45 :(第1)機能部
5 :第2回路
51 :第3端部
52 :第4端部
53 :第3配線部
54 :第4配線部
55 :第2機能部
6 :第1電極パッド
7 :第2電極パッド
8 :超音波溶着機
81 :ホーン
9 :第3電極パッド
10 :第4電極パッド
100:フィルムヒータ
200:フィルム
300:金属細線
400:回路
410:第1端部
420:第2端部
430:第1配線部
440:第2配線部
450:ヒータ部
500:第1電極パッド
600:第2電極パッド
700:接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12