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  • 特開-空気入りタイヤ 図1
  • 特開-空気入りタイヤ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158547
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20241031BHJP
   B60C 3/06 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60C11/00 F
B60C3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073833
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 義典
(72)【発明者】
【氏名】小島 良太
(72)【発明者】
【氏名】真木 小太郎
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB09
3D131BC13
3D131CB06
3D131EA08X
(57)【要約】
【課題】本発明は、トレッド踏面に付着した、摩耗によって発生したゴムを飛散させることにより、空気入りタイヤの走行性能の低下を抑制した、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向一方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ1(°)とし、タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向他方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ2(°)とするとき、比θ1/θ2は、3以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気入りタイヤをリムに装着し、内圧180kPaを充填し、無負荷とした、基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、
タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向一方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ1(°)とし、タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向他方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ2(°)とするとき、
比θ1/θ2は、3以上であることを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、
トレッド外輪郭線のタイヤ径方向最外側点は、前記タイヤ幅方向他方の半部に位置し、
前記トレッド外輪郭線の一部は、前記タイヤ径方向最外側点から、前記タイヤ幅方向一方の半部における前記直進時接地端に向かう、滑らかな曲線である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記角度θ1は、12°以上である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤにおいては、走行時にトレッド表面に、摩耗によって発生したゴムが付着する現象が生じること(いわゆるピックアップ)が知られている。このような問題は、特に高速走行を長時間行うレース用タイヤにおいて顕著に生じ得る。
【0003】
トレッド表面に摩耗によって発生したゴムが付着すると、タイヤ性能が低下するおそれがある。これに対し、例えば、特許文献1では、トレッドゴム組成物の組成を所定のものとすることにより、ピックアップの発生を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-102506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では、ピックアップの発生を十分に抑制することは難しく、摩耗によって発生したゴムがトレッド踏面に付着することにより空気入りタイヤの走行性能が低下してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、トレッド踏面に付着した、摩耗によって発生したゴムを飛散させることにより、空気入りタイヤの走行性能の低下を抑制した、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)空気入りタイヤをリムに装着し、内圧180kPaを充填し、無負荷とした、基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、
タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向一方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ1(°)とし、タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向他方の半部における直進時接地端での接線のタイヤ幅方向に対する角度をθ2(°)とするとき、
比θ1/θ2は、3以上であることを特徴とする、空気入りタイヤ。
【0008】
ここで、「直進時接地端」とは、空気入りタイヤをリム組みし、内圧180kPaを充填し、荷重を7.5kN負荷し、キャンバー角を2°とした際に路面と接する接地面のタイヤ幅方向最外側点を意味する。また、「直進時接地端」は、上記の条件で直進走行させた際のタイヤをレーザ等の観察装置を用いてタイヤ外観を測定することにより特定することができる。
【0009】
(2)前記基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、
トレッド外輪郭線のタイヤ径方向最外側点は、前記タイヤ幅方向他方の半部に位置し、
前記トレッド外輪郭線の一部は、前記タイヤ径方向最外側点から、前記タイヤ幅方向一方の半部における前記直進時接地端に向かう、滑らかな曲線である、前記(1)に記載の空気入りタイヤ。
【0010】
(3)前記角度θ1は、12°以上である、前記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トレッド踏面に付着した、摩耗によって発生したゴムを飛散させることにより、空気入りタイヤの走行性能の低下を抑制した、空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向概略断面図である。
図2】旋回時での摩耗によって発生したゴムの飛散について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向概略断面図である。図1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)をリムに装着し、内圧180kPaを充填し、無負荷とした、基準状態におけるタイヤ幅方向断面を示している。
【0015】
図1に示すように、このタイヤ1は、一対のビード部2と、各ビード部に連なる一対のサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部間に連なるトレッド部4と、を備えている。
【0016】
本例では、一対のビード部2には、ビードコア2aが埋設されている。本例では、ビードコア2aのタイヤ径方向外側に、ビードフィラ2bが配置されている。
【0017】
また、図示は省略しているが、本実施形態のタイヤ1は、一対のビード部2間をトロイダル状に跨るカーカスと、カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に配置された1層以上のベルト層からなるベルトとを備える。
【0018】
図1に示すように、上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向一方の半部(車両装着時内側の半部)における直進時接地端E1での接線L1のタイヤ幅方向に対する角度をθ1(°)とし、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向他方の半部(車両装着時外側の半部)における直進時接地端E2での接線L2のタイヤ幅方向に対する角度をθ2(°)とするとき、比θ1/θ2は、3以上である。
【0019】
以下、本実施形態の空気入りタイヤについて、上記タイヤ幅方向一方の半部を車両装着時内側となるように車両に装着した際の作用効果について説明する。
トレッド踏面に付着した、摩耗によって発生したゴムは、旋回時のせん断力によりタイヤ幅方向内側から外側に移動する。本実施形態の空気入りタイヤでは、上記比θ1/θ2は、3以上であることから、旋回時においても、特に車両装着時内側にて、旋回時における接地端における接線と路面Sとのなす入射角(図2参照)を大きく確保することができ、ゴム(特にゴムの塊)が、タイヤと付着して飛散できなくなることを抑制することができる。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、トレッド踏面に付着した、摩耗によって発生したゴムを飛散しやすくして、走行性能の低下を抑制することができる。
【0020】
同様の理由により、より好適には上記比θ1/θ2は、3.5以上である。一方で、接地幅を確保する観点からは、比θ1/θ2は、6以下であることが好ましい。
【0021】
特には限定されないが、角度θ1は、例えば10~18°とすることが好ましく、12~18°とすることがさらに好ましく、角度θ2は、例えば1.5~5°とすることが好ましい。
【0022】
また、図1に示すように、上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、トレッド外輪郭線のタイヤ径方向最外側点Pは、タイヤ幅方向他方の半部(車両装着時外側の半部)に位置し、トレッド外輪郭線の一部は、タイヤ径方向最外側点Pから、タイヤ幅方向一方の半部(車両装着時内側の半部)における直進時接地端E1に向かう、滑らかな曲線であることが好ましい。車両装着時内側の落ち高(径差)を大きくしてせん断力を増大させることでゴムを車両装着時外側から内側へ移動させやすくなるからである。ここで、「トレッド外輪郭線」は、溝を有する場合には、溝が無いと仮定した仮想線を引いて考えるものとする。
【0023】
また、トレッド外輪郭線のタイヤ径方向最外側点Pは、上記基準状態において、直進時接地端E1、E2間のタイヤ幅方向領域を4等分した際の、タイヤ幅方向他方の半部(車両装着時外側の半部)の最も直進時接地端E2側のタイヤ幅方向領域内に位置することが好ましい。上記のせん断力を増大させる効果をより確実に得ることができるからである。
【0024】
本開示の空気入りタイヤは、レース用のタイヤとして特に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0025】
1:空気入りタイヤ、 2:ビード部、 3:サイドウォール部、
4:トレッド部
図1
図2