IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図1
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図2
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図3
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図4
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図5
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図6
  • 特開-ラベル、およびその製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158548
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ラベル、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20241031BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G09F3/02 C
G09F3/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073835
(22)【出願日】2023-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】表 沙帆梨
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(57)【要約】
【課題】表側から可変情報印刷層の可変情報を容易に認識することができる
【解決手段】ラベルは、透明な基材(32)と、半透明な遮蔽層(51)と、可変情報を示す可変情報印刷層(52)とがこの順序で積層されている部分を含み、基材(32)および遮蔽層(51)を通して、可変情報印刷層(52)が示す可変情報を読み取り可能である、
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基材と、
半透明な遮蔽層と、
可変情報を示す可変情報印刷層とがこの順序で積層されている部分を含み、
前記基材および前記遮蔽層を通して、前記可変情報印刷層が示す可変情報を読み取り可能なラベル。
【請求項2】
前記遮蔽層は、白色インキで構成されており、
平面視において前記可変情報印刷層と重畳する前記遮蔽層の部分における透過濃度は、0.08以上0.30以下である、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
デザインが表現されたデザイン印刷層と、
前記デザイン印刷層の背景となる背景印刷層とを備え、
前記遮蔽層におけるインキの印刷密度は、前記背景印刷層におけるインキの印刷密度よりも小さい、請求項1または2に記載のラベル。
【請求項4】
可変情報の読み取り可能なラベルの製造方法であって、
透明な基材の裏側に、表側から前記可変情報の読み取りが可能な半透明な遮蔽層を無版印刷法または有版印刷法で形成する工程と、
前記遮蔽層の裏側に、前記可変情報を示す可変情報印刷層を無版印刷法で形成する工程とを含む、ラベルの製造方法。
【請求項5】
前記基材の裏側に、デザインが表現されたデザイン印刷層を形成する工程と、
前記デザイン印刷層の裏側に、前記デザイン印刷層の背景となる背景印刷層を形成する工程とを含み、
前記遮蔽層を形成する工程において、前記基材の裏側かつ前記デザイン印刷層および前記背景印刷層とは異なる位置に前記遮蔽層を形成し、
前記可変情報印刷層を無版印刷法によって形成し、
前記背景印刷層および前記遮蔽層を、有版印刷法によって形成する、請求項4に記載のラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はラベル、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水などを収容したペットボトル等の容器には、その容器を含んだ商品の店頭での展示効果の向上などのために、当該商品に関する情報などのデザインが印刷されたデザイン印刷層を有するラベルが装着されている。このようなラベルには、上記商品についてのくじ引き用のくじあるいは商品についての期間限定の懸賞キャンペーンの応募要領や告知などの可変情報を示す可変情報印刷層が形成されたものも実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-34170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来のラベルでは、商品の輸送時等にインキが剥がれることを防止するために、ラベルの裏側に可変情報印刷層が形成されていた。例えば、懸賞キャンペーンの告知などの可変情報を示す可変情報印刷層をラベルの裏側に形成していた。このため、当該商品の購入者は上記可変情報を認識するために、容器からラベルを取り外す必要が生じた。その結果、ラベルに付与された可変情報の認識に時間及び手間を要して当該可変情報を容易に認識できないという問題があった。
【0005】
本開示の一態様は、表(オモテ)側から可変情報印刷層の可変情報を容易に認識することができるラベル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るラベルは、透明な基材と、半透明な遮蔽層と、可変情報を示す可変情報印刷層とがこの順序で積層されている部分を含み、前記基材および前記遮蔽層を通して、前記可変情報印刷層が示す可変情報を読み取り可能である。
【0007】
本開示の一態様に係る製造方法は、可変情報の読み取り可能なラベルの製造方法であって、透明な基材の裏側に、表側から前記可変情報の読み取りが可能な半透明な遮蔽層を無版印刷法または有版印刷法で形成する工程と、前記遮蔽層の裏側に、前記可変情報を示す可変情報印刷層を無版印刷法で形成する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、透明な基材の内面に可変情報印刷層が形成されているので、商品の輸送時等に可変印字のインキが剥がれるおそれを低減できるとともに、ラベルの表側から可変情報を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態1に係るラベル付き容器を示す斜視図である。
図2図1に示したラベルおよび可変情報印刷領域の構成を示す断面図である。
図3】ラベルの製造工程を示すフローチャートである
図4】可変情報印刷層の印刷時におけるUVインクジェットプリント装置の概略図である。
図5】本開示の実施形態2に係るラベルの構成を示す断面図である。
図6】本開示の実施形態3に係るラベルの構成を示す断面図である。
図7】本開示の実施形態4に係るラベルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について図1図2を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、ラベル付き容器1として、例えば、飲料水を収容したペットボトルを例示して説明する。
【0011】
〔ラベル付き容器1の構成〕
図1は、本開示の一実施形態に係るラベル付き容器1を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態のラベル付き容器1は、容器本体2と、容器本体2に装着されたラベル3と、キャップ4と、可変情報表示領域5を備える。
【0012】
可変情報表示領域5は、可変情報が印刷された領域である。可変情報とは、ラベル付き容器1毎に異ならせることができる情報である。例えば、可変情報は、飲料水の賞味期限や期間限定の懸賞キャンペーンの応募要領や告知など、ラベル付き容器1毎に変わり得る情報である。可変情報は、例えば、機械的に読取可能な記号である、QRコード(登録商標)などのマトリクス型二次元コード、スタック型二次元コード、またはバーコードや、機械的に読取可能な記号ではない文字、図柄などの可変印字によって表現される。
【0013】
容器本体2は、例えば、円筒形の胴体部と、当該胴体部の上方に連続的に設けられるとともに、胴体部の直径よりも縮径された直径を有する円筒状の首部とを具備する。また、容器本体2では、公知のように、首部に飲料水を流入出するための開口(不図示)が設けられており、キャップ4が上記開口を開閉可能となるように当該開口に取り付けられている。
【0014】
また、容器本体2は、例えば、ポリエステル系樹脂などの合成樹脂材を用いて構成されている。さらに、容器本体2では、例えば、上記胴体部の中央部分にラベル3が装着されている。なお、容器本体2において、ラベル3の装着領域にリブやパネル等の窪みが設けられていてもよい。また、この説明以外に、高密度ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の他の合成樹脂材を用いて容器本体2を構成してもよい。
【0015】
また、容器本体2は、無色透明であっても、有色透明であってもよく、不透明であってもよい。容器本体2が無色透明である場合、容器本体2に収容される液体等の内容物の色は容器本体2を通して視認できるが、内容物の色についても特に限定されない。
【0016】
ラベル3は、筒状のシュリンクラベル(熱収縮性ラベル)であってもよい。その場合、ラベル3は、熱収縮性を有しており、熱収縮によって容器本体2に密着することで装着される。ラベル3の容器本体2への装着方法として、公知の装着方法を利用することができる。本実施形態においてラベル3はシュリンクラベルとしているが、巻付きラベル、ストレッチラベル、タックラベル、インモールドラベルまたはグルーラベルであってもよい。但し、内面に接着剤層を設けないラベルが好ましい。
【0017】
〔ラベル3の構成〕
図2は、図1に示したラベル3、特に可変情報表示領域5の構成を示す断面図である。ラベル3は、表メジウム層31と、熱収縮フィルム層32(基材)と、デザイン印刷層33と、背景印刷層34と、裏メジウム層35と、可変情報表示領域5とを備える。ラベル3は、表メジウム層31と、熱収縮フィルム層32と、デザイン印刷層33と、背景印刷層34と、裏メジウム層35とがこの順序で積層されている部分を有している。図2では、ラベル3の積層構造を分かりやすく示すために、熱収縮フィルム層32と背景印刷層34と間に隙間があるように表現されているが、実際には、熱収縮フィルム層32と背景印刷層34とは接している。
【0018】
デザイン印刷層33は所望のデザインが印刷された層である。デザイン印刷層33は、所望の文字、図形、あるいは模様及びこれらの組み合わせなどの情報表示を行うためのものである。デザイン印刷層33は、所望の特定色のインキを用いて印刷されることにより表示されている。また、前記デザインを表現するために、1または複数種類の色のインキが特定色のインキとして用いることができる。本開示においては、「インキ」という表現を用いるが、これを「インク」と読み替えても構わない。
【0019】
表メジウム層31は、ラベル3の表面を保護するために、もしくはラベル3の表面に耐摩耗性を持たせるために用いられる。熱収縮フィルム層32は、熱収縮温度に加熱されると、熱収縮方向に収縮するフィルムの層である。表メジウム層31および熱収縮フィルム層32は、無色透明である。なお、ラベル3を保護する必要性またはラベル3に耐摩耗性を持たせる必要がなければ、表メジウム層31を省略しても構わない。
【0020】
熱収縮フィルム層32は、基材としての役割を果たす層であり、従来公知の種々のフィルム材を用いて構成されている。熱収縮フィルム層32は、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリスチレン系樹脂(スチレン・ブタジエン共重合体等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を採用することができる。さらに、1種、または2種以上の層によって形成される複層フィルムでもよい。複層フィルムとしては、例えば、ポリエステル系樹脂の層と、ポリスチレン系樹脂の層とが積層されたフィルムを用いることができる。
【0021】
熱収縮フィルム層32の横方向における熱収縮率は、特に限定されないが、例えば、90℃熱水および10秒浸漬での熱収縮率は40%以上であり、好ましくは50%以上である。横方向における熱収縮率は、大きいほど好ましいが、通常、85%以下である。
【0022】
熱収縮フィルム層32の縦方向における熱収縮率は、特に限定されないが、例えば、90℃熱水および10秒浸漬での熱収縮率は-5%以上15%以下であり、好ましくは-1%以上10%以下である。マイナスの値は熱によって膨脹したことを示している。
【0023】
また、ラベル3が巻付きラベルであった場合、基材として熱収縮フィルムに替えて、非熱収縮性フィルムを使用することができる。この非熱収縮性フィルムは、どの方向においても、例えば、90℃熱水、及び10秒浸漬での熱収縮率が5%未満、好ましくは3%未満である。
【0024】
背景印刷層34は、デザイン印刷層33の表示を明確にするとともに、ラベル3の裏面側を見えにくくするための印刷層である。背景印刷層34は、遮蔽性を有しているインキによって構成されているのが好ましく、白色インキまたは銀色インキによって構成されているのがより好ましく、色材に酸化チタンを用いた白色インキによって構成されているものがさらに好ましい。
【0025】
裏メジウム層35は背景印刷層34の裏側に形成される層であり、ラベル3の内面に滑り性を付与し、またはデザイン印刷層33や背景印刷層34を保護する層である。なお、図2に示す例において、裏メジウム層35は、可変情報表示領域5を除いた箇所に形成されているが、裏メジウム層35を省略しても構わない。
【0026】
〔可変情報表示領域5の構成〕
可変情報表示領域5は、熱収縮フィルム層32と、遮蔽層51と、可変情報印刷層52とを備える。可変情報表示領域5は、熱収縮フィルム層32と、遮蔽層51と、可変情報印刷層52とがこの順序で積層されることで形成される。可変情報表示領域5が形成される位置は、ラベル3の任意の位置でよい。また、可変情報表示領域5の形状も矩形に限定されず、任意の形状でよい。なお、必要に応じて熱収縮フィルム層32の表側に表メジウム層31を積層させてもよい。
【0027】
遮蔽層51は半透明な層である。つまり、遮蔽層51は、遮蔽層51を通してその奥が透けて見えないようにする遮蔽性と、遮蔽層51を通してその奥が透けて見えるようにする透明性との両方を有する層である。
【0028】
遮蔽層51は主に白色インキによって構成されている。より詳しくは、遮蔽層51は半透明の塗膜が得られるのであれば、任意のインキまたは遮蔽性を有しているインキによって構成されていてよく、好ましくは白色インキによって構成されていてよく、より好ましくは、色材に酸化チタンを用いた白色インキによって構成されていてもよい。遮蔽層51の組成としては、色材と、樹脂と、添加剤とを例示できる。例えば、色材は、遮蔽性を付与する成分、樹脂は透明性を付与する成分である。遮蔽層51は、層を構成する各成分のバランス(樹脂と色材とのバランス)を調整して、透明性と遮蔽性との調整が可能である。
【0029】
遮蔽層51は、背景印刷層34と同一のインキを用いて形成されるのが好ましい。ただし、背景印刷層34および遮蔽層51は、それぞれ異なるインキを用いて形成されていてもよい。例えば、背景印刷層34は比較的に遮蔽性の高いインキ(例えば、比較的に白色顔料の含有量が多いインキ)を用い、遮蔽層51は比較的に遮蔽性の低いインキ(例えば、比較的に白色顔料の含有量が少ないインキ)を用いて形成されていてもよい。
【0030】
可変情報印刷層52は、可変情報が印刷された層である。可変情報印刷層52は、遮蔽層51の裏側に形成される。遮蔽層51が半透明であるため、表メジウム層31、熱収縮フィルム層32および遮蔽層51を通して、可変情報印刷層52が示す可変情報を読み取ることが可能である。
【0031】
可変情報は、ラベル付き容器1毎に異なり得る情報であるため、可変情報印刷層52は、例えばレーザ印刷法またはインクジェット印刷法などの無版印刷法で印刷することが好ましい。図2において、可変情報印刷層52は遮蔽層51に直接印刷している。
【0032】
可変情報印刷層52は主に黒色のインキによって形成されるが、可変情報を読み取ることが可能であれば黒色以外でもよく、例えば青色でもよい。可変情報印刷層52の色は、特に限定されない。
【0033】
遮蔽層51を形成するインキの透明度を調整することにより、可変情報の読み取りやすさを調整することができる。平面視において可変情報印刷層52と重畳する遮蔽層51の部分の透過濃度は、0.08以上0.30以下であることが好ましい。透過濃度とは、入射光に対する透過光の比率として計測される光学濃度である。透過率Drは、式(1)で求められる。
Dr=-log10(I/I)・・・(1)
式(1)において、I=(入射光束)、I=(透過光束)を意味する。
【0034】
可変情報印刷層52は透明な熱収縮フィルム層32(基材)の内面に形成されているので、商品(ラベル付き容器1)の輸送時等に可変情報印刷層52のインキが剥がれるおそれを低減できるとともに、ラベル3の表側から可変情報を容易に認識することができる。
【0035】
白色インキからなる遮蔽層51の場合、層全体を100%として、白色顔料(好ましくは酸化チタン)は40~85重量%、樹脂は10~50重量%が好ましい。樹脂は熱可塑性樹脂が好ましく、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂が好ましい。また、滑剤の量は10重量%未満が好ましい。裏メジウム層35を設けられている場合、裏メジウム層35よりも滑剤成分の含有量が少ないことが好ましい。
【0036】
遮蔽層51が半透明であることにより遮蔽層51を通して可変情報印刷層52を視認することができるとともに、可変情報印刷層52の裏側に位置する容器本体2および内容物の色を見えにくくすることができる。遮蔽層51を透明にすれば、可変情報印刷層52の裏側に位置する容器本体2および内容物の色が十分視認できるようになり、これによって可変情報印刷層52が読み取りにくくなる。遮蔽層51を透明ではなく半透明にすることにより、可変情報印刷層52の裏側に位置する容器本体2または内容物の色が黒色であった場合でも、その黒色を遮蔽層51が、透けて見えないようにすることにより可変情報印刷層52を読み取りやすくすることができる。
【0037】
遮蔽層51と容器本体2とが接着剤により接着されている場合、遮蔽層51の遮蔽効果は低減し、容器本体2および内容物の色の視認性が向上する。その結果、可変情報印刷層52の読み取りが困難になりえる。そのため、ラベル3において、遮蔽層51の裏側には、接着剤の層を設けないことが好ましい。つまり、可変情報表示領域5と容器本体2とは非接着であることが好ましい。
【0038】
〔ラベル3の製造方法〕
次に、本開示における一実施形態の製造工程について図3を参照しつつ説明する。図3は、ラベル3の製造工程を示すフローチャートである。当該製造工程では、デザイン印刷層33および背景印刷層34の形成に有版印刷法を用い、遮蔽層51の形成に無版印刷法または有版印刷法を用い、可変情報印刷層52の形成に無版印刷法を用いる。有版印刷法は、版を用いてインキを被印刷物に塗布することで印刷する方法であり、大量生産に好適な印刷方法である。無版印刷法は、版を用いず印刷する方法であり、デザイン毎に版を作成する必要がないため、印刷デザインの変更が容易である。
【0039】
ラベル3の製造方法は、熱収縮フィルム層32(基材)の裏側にデザイン印刷層33を形成する工程(第1工程)と、デザイン印刷層33の裏側に背景印刷層34を形成する工程(第2工程)と、熱収縮フィルム層32の裏側に遮蔽層51を形成する工程(第3工程)と、遮蔽層51の裏側に可変情報印刷層52を形成する工程(第4工程)と、を含んでいる。
【0040】
〔第1工程〕
第1工程は、基材としての熱収縮フィルム層32の裏側かつ可変情報表示領域5とは異なる位置にデザイン印刷層33を印刷する工程である(S1)。つまりデザイン印刷層33は、少なくとも可変情報表示領域5の形成予定領域を除いた位置に形成される。デザイン印刷層33のデザインは、複数のラベル付き容器1のラベル3に共通したもの(固定デザイン)である。第1工程では、デザイン印刷層33は、例えば、水性インキまたは油性インキなどの所定のインキを用いて、フレキソ印刷などの凸版印刷またはグラビア印刷などの凹版印刷などの所定の印刷用版を用いた印刷用版によってラベル3単位に設けられる。
【0041】
デザイン印刷層33は、有版印刷(グラビア印刷、フレキソ印刷等)によって形成されるのが好ましく、グラビア印刷またはフレキソ印刷によって形成されるのがより好ましい。グラビア印刷は、フレキソ印刷よりも版の耐久性に優れ、同一のデザインのラベルを大量に印刷する場合に適した印刷方法であるためである。
【0042】
〔第2工程〕
第2工程は、基材としての熱収縮フィルム層32の裏側かつ可変情報表示領域5とは異なる位置に背景印刷層34を印刷する工程である(S2)。つまり背景印刷層34は、少なくとも可変情報表示領域5の形成予定領域を除いた位置に形成できる。背景印刷層34は、デザイン印刷層33と同様に、有版印刷によって形成されるのが好ましく、グラビア印刷またはフレキソ印刷によって形成されるのがより好ましい。
【0043】
〔第3工程〕
第3工程は、基材としての熱収縮フィルム層32および遮蔽層51を通して、可変情報印刷層52が示す可変情報を読み取り可能なように遮蔽層51を形成する工程である(S3)。遮蔽層51は、熱収縮フィルム層32の裏側かつ背景印刷層34とは異なる位置に形成されるのが好ましい。第3工程において、遮蔽層51は、有版印刷によって形成されるのが好ましく、グラビア印刷またはフレキソ印刷によって形成されるのがより好ましい。グラビア印刷およびフレキソ印刷は、インキの厚みまたは印刷密度を変えることでデザイン表示の濃淡を表現するのに優れ、遮蔽層51の透明度を調整することが容易だからである。
【0044】
遮蔽層51および背景印刷層34を同一の印刷方法、例えば、グラビア印刷またはフレキソ印刷で形成してもよい。この構成により、ラベルの生産コストを低減できるとともに、ラベルの生産性を高めることができる。当該製造方法において、遮蔽層51および背景印刷層34を一のインキを用いて、一の印刷ユニットで形成してもよいし、グラビア印刷またはフレキソ印刷を行う複数の印刷ユニットで遮蔽層51および背景印刷層34のそれぞれを形成してもよい。一の印刷ユニットで遮蔽層51および背景印刷層34を同時に形成する場合、第2工程と第3工程とは同一の工程となる。
【0045】
第2工程と第3工程とが同一の工程となる場合、遮蔽層51および背景印刷層34の形成に使用されるインキは、同じインキである。このため、背景印刷層34よりも遮蔽層51の透明性を高くしたい場合は、背景印刷層34よりも遮蔽層51の厚みや印刷濃度、またはその両方が小さくなるように(印刷版を調整して)印刷する。図2に示したラベル3の場合、第3工程の後に、グラビア又はフレキソ印刷による裏メジウム層35を形成する工程(可変情報印刷層52の形成予定領域を除く)があり、その後に、グラビア又はフレキソ印刷による表メジウム層31の印刷工程が行われる。
その後に第4工程がある。
【0046】
〔第4工程〕
第4工程は、可変情報印刷層52を印刷する工程である(S4)。第4工程において、可変情報印刷層52は無版印刷によって形成されるのが好ましい。無版印刷として、例えば、インクジェットプリント、レーザプリント、またはデジタルトナー印刷を用いることができる。その中でも可変情報印刷層52は、インクジェットプリントによって形成されるのが好ましく、エネルギー線硬化型インクジェットプリントによって形成されるのがより好ましく、UVインクジェットプリント(UVIJP)によって形成されるのが特に好ましい。可変印字は、デザイン印刷層33、背景印刷層34、および遮蔽層51よりも表示を変える頻度が高い。無版印刷は可変情報毎に版を作成する必要がないため、印刷コストを低減させることが可能である。なかでもインクジェットプリントは特に印刷コストを低減させることが可能である。さらにUVIJPは、印刷後のインキに紫外線を照射することで瞬時にインキを硬化させることができる。従って、UVIJPはインキの硬化時間を短縮することで、ラベルの生産性を向上させることができる。なお、上記エネルギー線硬化型インクジェットプリントに用いるインキは、例えば、紫外線硬化型インキや電子線硬化型インキなどのエネルギー線硬化型インキである。
【0047】
図4は、第4工程におけるUVIJP装置300の概略図である。UVIJP装置300は、ラベル3と、巻出機301と、UVIJP機302と、チラー303と、UV照射機304と、巻取機305を備える。巻出機301から巻出されたラベル3は、UVIJP機302と、チラー303と、UV照射機304とをこの順で通過し、巻取機305によって巻取られる。
【0048】
一般に、グラビア印刷工程(またはフレキソ印刷工程)からUVIJP工程へ遷移したときなど、ラベル3の印刷方法が異なる場合、印刷位置の位置合わせが必要となる。第4工程においてUVIJP機302は、遮蔽層51に合わせて可変情報印刷層52を印刷する。従って、第4工程が実行される時点において遮蔽層51は形成されている必要がある。
【0049】
仮に可変情報表示領域5において、表メジウム層31と、熱収縮フィルム層32と、デザイン印刷層33と、可変情報印刷層52と、背景印刷層34および遮蔽層51とをこの順で積層する場合、背景印刷層34および遮蔽層51の印刷時において、既に印刷されている可変情報印刷層52に対して、背景印刷層34および遮蔽層51の印刷位置を調整することは困難である。この点においても、先に印刷した遮蔽層51の裏側に可変情報印刷層52を印刷することが好ましい。
【0050】
さらに、本開示におけるラベル3の製造方法では、表メジウム層31、熱収縮フィルム層32および遮蔽層51(およびデザイン印刷層33)が形成されている製造途中のラベル3をストックしておき、ラベル3に対して、複数種類の可変情報を使い分けて印字することによりラベルのバリエーションを増やすことが容易にできる。その結果、ラベルの生産コストを低減できるとともに、ラベルの生産性を高めることができる。
【0051】
前記製造方法によれば、ラベルの過剰な生産およびデザイン変更による廃棄を抑えることが可能であり、このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」等の達成にも貢献するものである。
【0052】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。この点については、後述する他の実施形態においても同じ対応を行っている。
【0053】
図5は、本実施形態に係るラベル3Aの構成を示す断面図である。実施形態1と同様に、表メジウム層31および裏メジウム層35を省略しても構わない。この点については、後述する実施形態2~3も同様である。
【0054】
図5に示す通り、ラベル3Aが備える遮蔽層51における印刷密度、即ち、単位面積あたりのインキの付着面積は、ラベル3の遮蔽層51と比較して小さくなっている。ラベル3と同一のインキを用いてラベル3Aに示す遮蔽層51を形成した場合、単位面積あたりのインキの付着面積が小さいほど、遮蔽効果が低く、透明性が高い遮蔽層51が形成できる。このように、遮蔽層51の印刷密度を調整することにより、遮蔽層51のインキの透明度を調整しなくても、遮蔽層51の透明度を調整することができる。
【0055】
さらに、図5において、遮蔽層51は、背景印刷層34と同一のインキを用いて形成されており、かつ、背景印刷層34よりも印刷密度が小さい。従ってラベル3Aは、背景印刷層34と、遮蔽層51とが同一のインキによって形成されても、遮蔽層51の印刷密度を小さくすることで、背景印刷層34に比して遮蔽層51の透明度を高くすることができる。遮蔽層51の透明度が高くなるほど、遮蔽性は小さくなる。背景印刷層34と遮蔽層51とを同一のインキを用いて同時に形成する場合には、遮蔽層51の印刷密度を調整することにより遮蔽層51の透明度を調整することが好ましい。
【0056】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。図6は、本実施形態に係るラベル3Bの構成を示す断面図である。図6に示す通り、ラベル3Bの遮蔽層51の膜厚は、ラベル3の遮蔽層51の膜厚と比較して薄い。ラベル3と同一のインキを用いてラベル3Bに示す遮蔽層51を形成した場合、インキの膜厚が薄いほど、遮蔽効果が低く、透明性が高い遮蔽層51が形成できる。このように、遮蔽層51の膜厚を調整することにより、遮蔽層51のインキの透明度を調整しなくても、遮蔽層51の透明度を調整することができる。
【0057】
さらに、図6において、遮蔽層51は、背景印刷層34よりも膜厚が薄く、かつ背景印刷層34と同一のインキを用いて形成されている。従ってラベル3Bは、背景印刷層34と、遮蔽層51とを同一のインキによって形成する場合でも、遮蔽層51の膜厚を薄くすることで、背景印刷層34に比して遮蔽層51の透明度を高くすることができる。遮蔽層51の透明度が高くなるほど、遮蔽性は小さくなる。
【0058】
また、遮蔽層51の膜厚を調整するとともに、遮蔽層51における印刷密度を調整することで遮蔽層51の透明度を調整してもよい。例えば、遮蔽層51の膜厚を背景印刷層34の膜厚よりも薄くするとともに、遮蔽層51の印刷密度を背景印刷層34の印刷密度よりも小さくしてもよい。これらの組み合わせに加えて、さらに遮蔽層51のインキの色材の濃度の調整を行ってもよい。つまり、遮蔽層51のインキの印刷密度の調整、遮蔽層51の膜厚の調整、およびインキの色材の濃度の調整のいずれか、またはこれらの組み合わせを用いて遮蔽層51の透明度を調整してもよい。
【0059】
〔実施形態4〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。図7は、本実施形態に係るラベル3Cの構成を示す断面図である。図7に示す通り、ラベル3Cでは、遮蔽層51と可変情報印刷層52との間に、裏メジウム層35が配置されている。このとき、裏メジウム層35は無色透明でよい。
【0060】
裏メジウム層35は可変情報印刷層52の弾きや滲みを抑える効果を奏するため、可変情報印刷層52の表示をより明確にすることが可能である。なお、ラベル3Cにおける遮蔽層51の透明度を調整するために、上述の通り、インキの印刷密度を調整してもよく、遮蔽層51の膜厚を調整してもよく、インキの色材の濃度を調整してもよい。一定の面積あたりに付着するインキ(網点)の面積の大きさによって表現される色の濃淡を、面積階調という。以下において、版の単位面積あたりに付着するインキの面積の割合を、版の階調%と呼称する。
【0061】
〔透過濃度および可変情報の読み取り〕
遮蔽層51の透過濃度の測定、および可変情報印刷層52が示す可変情報の読み取り可否の判定は、以下の条件で行った。なお、可変情報はQRコード(登録商標)を用いた。以下に、測定に用いたサンプルの形成条件および測定方法を記載する。サンプルの読取結果および測定結果は表1にまとめた。
【0062】
熱収縮フィルム層32として使用したフィルム:グンゼ株式会社製:HST 40μm
遮蔽層51として使用したインキ:DICグラフィックス株式会社製 ファインラップNTV PET用ハイコンク白RD-2(以下、インキA)、大日精化工業株式会 NTハイラミック(NF)701白(以下、インキB)、サカタインクス株式会社製 XGS-013 N 白166 NT SL(以下、インキC)
インキA~インキCを20℃の環境下において粘度16秒となるように溶剤希釈をし、小型グラビア印刷機を用いて前記フィルムの裏面に印刷を行った。
【0063】
小型グラビア印刷機の印刷条件:一度塗り、線数70L/インチ、角度0の彫刻版
遮蔽層51は、表1に示されたインキ種類および版の階調%に従い、小型グラビア印刷機によって形成されている。例えば、サンプル番号1における遮蔽層51は、インキCおよび階調100%の階調版を用いて印刷された。同様にして、サンプル番号1~8における遮蔽層51の印刷条件は、表1に示されている。
【0064】
インクジェット印字装置:山崎産業株式会社製 MOBILEJET CUBE
QRコードサイズ:モデル2 ver.5
インクジェット印字装置を用いて、各サンプルの遮蔽層51の裏面にQRコードを印字した。このとき、QRコードは黒色の紫外線硬化型インクジェットインクを用いて形成されている。上述した各材料および各装置により、熱収縮フィルム層32/遮蔽層51/可変情報印刷層52を有するラベル3のサンプルは形成された。
【0065】
透過濃度測定装置:伊原電子株式会社製 Ihac-T5
遮蔽層51の白色印刷部分(クワイエットゾーン等)の透過濃度の測定は、可変情報印刷層52が設けられていない箇所において、サンプルの表面側から熱収縮フィルム層32/遮蔽層51の積層領域に対して透過濃度測定装置を用いて行った。
【0066】
バーコード品質検証機(QRコード読み取り評価およびコントラスト値の測定):Microscan Systems, Inc.製 LVS-9510
検証規格:GS-1総合仕様書
QRコードのコントラスト値の測定は、可変情報印刷層52が形成されている領域に対してサンプルの表面側からバーコード品質検証機を用いて行った。
【0067】
コントラスト値はPCS値(Print Contrast Signal)とも言われ、QRコードの表示部分(バー)と、空白部分(スペース)との光の反射率を用いて測定される。計算式は、式(2)によって表される。
PCS(%)=(R-R/R)×100・・・(2)
式(2)において、R=(スペースの反射率)、R=(バーの反射率)を意味する。
【0068】
QRコードの読み取り可否の判定にはスマートフォンを用いた。読み取り対象物(サンプル)の下に黒台紙を敷いて読み取りを行った。サンプルの表側から、QRコードをスマートフォンのカメラに認識させ、QRコードの読み取りに要した時間が2秒未満のサンプルにY、読み取りに要した時間が2秒以上もしくは読み取り不可であったサンプルにNを付した。透過濃度は遮蔽性(透明性)の程度の指標として測定した。QRコードを読み取れたサンプルは、サンプル番号2から6のサンプルであり、これらのサンプルに対応する透過濃度は、0.08以上、0.30以下であり、コントラスト値は、36%以上であった。
【0069】
これらの測定結果より、本開示における遮蔽層51は、透過濃度が0.08以上0.30以下であることが好ましく、コントラスト値が36%以上であることがより好ましい。ラベル3の表側から可変情報の読み取りを可能とする遮蔽層51の特性の指標として透過濃度のみを用いてもよく、コントラスト値のみを用いてもよい。さらに、当該指標として透過濃度とともにコントラスト値を用いてもよい。
【表1】
【0070】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0071】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るラベルは、透明な基材と、半透明な遮蔽層と、可変情報を示す可変情報印刷層とがこの順序で積層されている部分を含み、前記基材および前記遮蔽層を通して、前記可変情報印刷層が示す可変情報を読み取り可能なラベルであってよい。
【0072】
本開示の態様2に係るラベルは、態様1において、前記遮蔽層は、白色インキで構成されており、平面視において前記可変情報印刷層と重畳する前記遮蔽層の部分における透過濃度は、0.08以上0.30以下であってよい。
【0073】
本開示の態様3に係るラベルは、態様1および2において、デザインが表現されたデザイン印刷層と、前記デザイン印刷層の背景となる背景印刷層とを備え、前記遮蔽層におけるインキの印刷密度は、前記背景印刷層におけるインキの印刷密度よりも小さくてよい。
【0074】
本開示の態様4に係るラベルは、態様1から3の何れか1つにおいて、デザインが表現されたデザイン印刷層と、前記デザイン印刷層の背景となる背景印刷層とを備え、前記遮蔽層の厚さは、前記背景印刷層の厚さよりも小さくてよい。
【0075】
本開示の態様5に係るラベルの製造方法は、可変情報の読み取り可能なラベルの製造方法であって、透明な基材の裏側に、表側から前記可変情報の読み取りが可能な半透明な遮蔽層を無版印刷法または有版印刷法で形成する工程と、前記遮蔽層の裏側に、前記可変情報を示す可変情報印刷層を無版印刷法で形成する工程とを含んでもよい。
【0076】
本開示の態様6に係るラベルの製造方法は、態様5において、前記基材の裏側に、デザインが表現されたデザイン印刷層を形成する工程と、前記デザイン印刷層の裏側に、前記デザイン印刷層の背景となる背景印刷層を形成する工程とを含み、前記遮蔽層を形成する工程において、前記基材の裏側かつ前記デザイン印刷層および前記背景印刷層とは異なる位置に前記遮蔽層を形成し、前記可変情報印刷層を無版印刷法によって形成し、前記背景印刷層および前記遮蔽層を、有版印刷法によって形成してよい。
【0077】
本開示の態様7に係るラベルの製造方法は、態様6において、前記背景印刷層および前記遮蔽層は、同一の工程で形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ラベル付き容器
2 容器本体
3 ラベル
5 可変情報表示領域
31 表メジウム層
32 熱収縮フィルム層
33 デザイン印刷層
34 背景印刷層
35 裏メジウム層
51 遮蔽層
52 可変情報印刷層
300 UVIJP装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7