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  • 特開-食品加工装置 図1
  • 特開-食品加工装置 図2
  • 特開-食品加工装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001586
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】食品加工装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 30/30 20160101AFI20231227BHJP
   A23P 30/20 20160101ALI20231227BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20231227BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20231227BHJP
【FI】
A23P30/30
A23P30/20
A23L7/10 A
A23L5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100327
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
【テーマコード(参考)】
4B023
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B023LE30
4B023LG01
4B023LG03
4B023LG05
4B023LG10
4B023LT03
4B023LT11
4B023LT60
4B035LC01
4B035LC16
4B035LG33
4B035LG34
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP59
4B035LT05
4B048PE15
4B048PM03
4B048PM11
(57)【要約】
【課題】食品加工中の酸化を抑え、連続製造が可能な食品加工装置の提供を目的とする。
【解決手段】シリンダー部と、前記シリンダー内に回転可能に装着されたスクリュー部とを備え、前記シリンダー部は原材料の供給部と加工された食品の排出部を有し、前記原材料の供給部、シリンダー部及び食品の排出部が過熱蒸気により低酸素及び還元雰囲気に形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー部と、前記シリンダー内に回転可能に装着されたスクリュー部とを備え、
前記シリンダー部は原材料の供給部と加工された食品の排出部を有し、
前記原材料の供給部、シリンダー部及び食品の排出部が過熱蒸気により低酸素及び還元雰囲気に形成されていることを特徴とする食品加工装置。
【請求項2】
前記シリンダーの排出部には押出ダイが装着されたエクストルーダーであり、
膨化食品を製造するものであることを特徴とする請求項1記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記シリンダー部とスクリュー部との間であって、前記シリンダー部の上部内面と、前記スクリュー部との間に開口部を形成し、
前記開口部に過熱蒸気を供給し、
焙煎食品を製造するものであることを請求項1記載の食品加工装置。
【請求項4】
前記シリンダー部とスクリュー部とのセットが多段に、あるいは並列に複数セット配置されていることを特徴とする請求項3記載の食品加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダー内をスクリューにて搬送しながら原材料を加工する食品加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダー部とその内側に回転可能に装着されたスクリュー部にて食品を加工する技術として、例えば特許文献1には乾燥ひび割れ米をエクストルーダーに導入してパフ米(米膨化食品)を製造する技術を開示する。
この場合に、ホッパー部から原材料が投入される際に空気が原材料中に混入されるためにスクリューで加熱搬送中に、この空気中の酸素にて原材料が酸化され風味が損なわれる問題があった。
また、シリンダー部の先端側に取り付けたダイにて圧縮し、その先端部から膨化された食品が排出される際にも空気中の酸素により酸化され風味が損なわれる。
【0003】
また、特許文献2にはスクリュー型のコーヒー豆の焙煎ミル装置を開示する。
この場合にもコーヒー豆をスクリューの回転により移動させる際に空気中の酸素により、このコーヒー豆が酸化される問題がある。
また、穀類を大量に焙煎できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-150569号公報
【特許文献2】特開平4-304872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、食品加工中の酸化を抑え、連続製造が可能な食品加工装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る食品加工装置は、シリンダー部と、前記シリンダー内に回転可能に装着されたスクリュー部とを備え、前記シリンダー部は原材料の供給部と加工された食品の排出部を有し、前記原材料の供給部、シリンダー部及び食品の排出部が過熱蒸気により低酸素及び還元雰囲気に形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで原材料は、米,小麦,大麦,そば,大豆,小豆,アワ,ヒエ,菜種等のいわゆる穀物と総称されているものや、コーヒー豆等の植物の種子類、さらにはパフ米,ポン菓子,あられ,おかき,かりんとう等の膨化食品と総称されているものも含み、シリンダー内をスクリューにて移送されながら加熱処理される食品の加工をいう。
また、過熱蒸気は水蒸気を100℃を超える温度まで過熱したものをいい、本発明においては200~500℃の範囲が好ましい。
【0008】
例えば、前記シリンダーの排出部には押出ダイが装着されたエクストルーダーを用いて、膨化食品を製造するものや、前記シリンダー部とスクリュー部との間であって、前記シリンダー部の上部内面と、前記スクリュー部との間に開口部を形成し、前記開口部に過熱蒸気を供給し、焙煎食品を製造するものであってもよい。
【0009】
本発明において焙煎する場合に、前記シリンダー部とスクリュー部とのセットが多段に、あるいは並列に複数セット配置されていると、全体としてコンパクトで生産性の高い装置となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、原材料をシリンダー部に投入し、膨化処理や焙煎処理し、シリンダー部の先端側から加工された食品を排出するまでの全行程を全て過熱蒸気により低酸素で還元雰囲気中で進行するので、食材の酸化を抑えた無酸化状態になる。
これにより、食品の風味や味が食材そのままに維持される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膨化食品製造用の食品加工装置の例を示す。
図2】焙煎食品製造用の食品加工装置の例を示す。
図3】シリンダー部の構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る食品加工装置の構造例を以下、図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
図1にパフ米等の膨化食品を製造するための食品加工装置の例を示す。
シリンダー部11の内側にスクリュー部12が装着され、駆動モーター13にて回転制御されている。
シリンダー部11の一方の端部に原材料の投入部(ホッパー)11aを有し、他方の端部にダイ11bを備えた排出部を有する。
本実施例は、貯留タンク31に貯留されている原材料30を搬送スクリュー32にて搬送モーター33の回転制御により投入部11aに投入する例になっているが、投入部11aに直接、玄米等の原材料を投入してもよい。
本発明においては、この原材料の投入部11aに過熱蒸気発生器20にて発生させた過熱蒸気を配管接続24により供給することで、投入部11a及びその後のスクリュー部12にてシリンダー部11内を原材料が移送される段階も過熱蒸気雰囲気になる点に特徴がある。
【0014】
シリンダー部11からの排出部にはダイ11bが取り付けられ、エクストルーダーにより押し出された食材は内部圧が開放されることで膨化し、モーター駆動15aにて回転されているカッター15にて切断されながら収容容器16に排出される。
シリンダー部11の排出付近にはヒーター14が設けられていて、シリンダー部の温度を制御している。
本発明においては、食材が押し出される排出部をカバー11C等で覆い、内部に過熱蒸気を接続配管23等にて噴霧供給した点にも特徴がある。
過熱蒸気発生器20は、原水1を浄水器や水素水発生装置2等を経由して水蒸気発生部21に注入し、過熱ヒーターで水蒸気を発生させ、さらに過熱コイル22にて200~500℃に過熱した蒸気を接続配管23,24にて、それぞれ過熱蒸気を供給する例になっている。
【0015】
図2,3は食材を焙煎するのに用いる食品加工装置の例を示す。
本実施例はシリンダー部と、その内側のスクリュー部を(11A,12A),(11B,12B),(11C,12C)の3組(セット)を三段に配置した例になっているが、さらに横方向に複数列に配置してもよい。
ここで図3に示すようにスクリューの軸心dがシリンダーの軸心Dよりも下側にオフセットされ、シリンダー部11A,11B,11Cの上部内側に開口部11dが形成され、この開口部に過熱蒸気が供給されている。
【0016】
図2に示すように貯留部31に貯留されている原材料30は、コンベア35をモーター33にてチェーン駆動34し、投入部111aに投入される。
3段に配置したスクリュー部12A,12B,12Cは、それぞれのスプロケット12d,12d,12dと張設スプロケット12dをチェーン40にて連結することでスクリュー部12Bが他のスクリュー部12A,12Cと逆回転するようになっている。
これにより、食材は搬入部111aから1段目のシリンダー部11A内を、図2では左側に進行し、中間排出部111Cから2段目のシリンダー部11B移動し、今後は右方向に進行し、中間排出部111dを介して3段目のシリンダー部11Cを左側に順次移動し、排出部111bから収容容器16に排出される。
過熱蒸気は図2にて矢印で示すように、シリンダー部の開口部11d及びその周辺部を経由して上方に排出されることで、装置全体が過熱蒸気雰囲気になっていて、食材の焙煎が連続的に行われる。
【符号の説明】
【0017】
1 原水
11 シリンダー水
11a 挿入部(ホッパー)
11b ダイ
11C カバー
12 スクリュー部
13 駆動モーター
20 過熱蒸気発生器
30 原材料
図1
図2
図3