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  • 特開-交通情報管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158603
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】交通情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073938
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 智治
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 真典
(72)【発明者】
【氏名】宮本 寛史
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 大志
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL08
5H181MB08
5H181MC17
5H181MC25
(57)【要約】
【課題】より確実性の高い情報を後続車に送信する。
【解決手段】路側機は、車両から故障情報または事故情報を受信したときには故障情報または事故情報を車両の後方側の他の車両と道路管理センターとに送信すると共に故障情報または事故情報と初期値に設定したカウント値を車両の後方側の路側機に送信する。また、路側機は、車両から所定環境情報を受信したときには所定数の他の車両から同一の所定環境情報を受信するのを待って所定環境情報を車両の後方側の他の車両と道路管理センターとに送信すると共に所定環境情報と初期値に設定したカウント値を車両の後方側の路側機に送信する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の故障を検出する故障検出センサと自車両の事故を検出する事故検出センサと路面状態と天候とを含む自車両の環境状態を検出する環境状態検出センサとを有すると共に所定距離内での通信が可能な車両用通信装置を有する複数の車両と、前記所定距離内の車両と通信が可能な路側機用通信装置を有し、道路の路側帯に前記所定距離の2倍未満の距離毎に設置された複数の路側機と、道路管理センターに設置されて前記複数の路側機と通信が可能な管理装置と、を備える交通情報管理システムであって、
前記車両は、前記故障検出センサにより故障を検出したときには故障情報を前記車両の後方側の他の車両と近傍の路側機に送信し、前記事故検出センサにより事故を検出したときには事故情報を前記車両の後方側の他の車両と近傍の路側機に送信し、前記環境状態検出センサにより所定の環境状態を検出したときには所定環境情報を近傍の路側機に送信し、
前記路側機は、
車両から前記故障情報または前記事故情報を受信したときには前記故障情報または前記事故情報を前記車両の後方側の他の車両と前記道路管理センターとに送信すると共に前記故障情報または前記事故情報と初期値に設定したカウント値を前記車両の後方側の路側機に送信し、車両から前記所定環境情報を受信したときには所定数の他の車両から同一の前記所定環境情報を受信するのを待って前記所定環境情報を前記車両の後方側の他の車両と前記道路管理センターとに送信すると共に前記所定環境情報と初期値に設定したカウント値を前記車両の後方側の路側機に送信し、
近隣の路側機から前記故障情報、前記事故情報、前記所定環境情報のいずれかの情報を前記カウント値と共に受信したときには、前記カウント値が所定値以下のときには受信した情報を他の車両に送信すると共に受信した情報とカウントアップしたカウント値を情報を送信した路側機とは反対側の路側機に送信する、
交通情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交通情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の交通情報管理システムとしては、車載機と路側機とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、車載機は、取得した車車間情報が特定車車間情報であった場合には、路側機用情報を付加して特定車車間情報を送信する。路側機は、特定車車間情報を受信した場合には、配信方向に基づいて定まる他の路側機にその特定車車間情報を転送すると共に、特定車車間情報をブロードキャストする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-246572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のシステムでは、車車間情報は路側機によってブロードキャストされるから、車車間情報が僅かな路面の凍結や僅かな小雨などの確実性の低い情報のときでもブロードキャストされてしまう。このため、後続車によっては、不必要な制御が行なわれる場合も生じる。本開示の交通情報管理システムは、より確実性の高い情報を後続車に送信することを主目的とする。本開示の交通情報管理システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の交通情報管理システムは、自車両の故障を検出する故障検出センサと自車両の事故を検出する事故検出センサと路面状態と天候とを含む自車両の環境状態を検出する環境状態検出センサとを有すると共に所定距離内での通信が可能な車両用通信装置を有する複数の車両と、前記所定距離内の車両と通信が可能な路側機用通信装置を有し、道路の路側帯に前記所定距離の2倍未満の距離毎に設置された複数の路側機と、道路管理センターに設置されて前記複数の路側機と通信が可能な管理装置と、を備える交通情報管理システムであって、前記車両は、前記故障検出センサにより故障を検出したときには故障情報を前記車両の後方側の他の車両と近傍の路側機に送信し、前記事故検出センサにより事故を検出したときには事故情報を前記車両の後方側の他の車両と近傍の路側機に送信し、前記環境状態検出センサにより所定の環境状態を検出したときには所定環境情報を近傍の路側機に送信し、前記路側機は、車両から前記故障情報または前記事故情報を受信したときには前記故障情報または前記事故情報を前記車両の後方側の他の車両と前記道路管理センターとに送信すると共に前記故障情報または前記事故情報と初期値に設定したカウント値を前記車両の後方側の路側機に送信し、車両から前記所定環境情報を受信したときには所定数の他の車両から同一の前記所定環境情報を受信するのを待って前記所定環境情報を前記車両の後方側の他の車両と前記道路管理センターとに送信すると共に前記所定環境情報と初期値に設定したカウント値を前記車両の後方側の路側機に送信し、近隣の路側機から前記故障情報、前記事故情報、前記所定環境情報のいずれかの情報を前記カウント値と共に受信したときには、前記カウント値が所定値以下のときには受信した情報を他の車両に送信すると共に受信した情報とカウントアップしたカウント値を情報を送信した路側機とは反対側の路側機に送信する、ことを特徴とする。
【0006】
本開示の交通情報管理システムでは、故障情報や事故情報については車両単体で検出可能であるため、確実性が高い情報として後方の車両や後方の路側機に情報を伝搬する。一方、天候や路面状態などの所定環境情報については、所定数の車両により検出されたときに、確実性の高い情報として後方の車両や後方の路側機に情報を伝搬する。これにより、より確実性の高い情報を後続車に送信することができる。また、路側機は、カウント値が所定値を超えたときには受信した情報やカウント値を近隣の路側機や他の車両に送信しないから、故障情報や事故情報、所定環境情報の送信範囲を一定の範囲内とすることができる。なお、所定環境情報としては、強雨や凍結などを挙げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】交通情報管理システム10の概略を説明する説明図。
図2】交通情報管理システム10の概略を説明する説明図。
図3】車両側検出送信処理の一例を示すフローチャート。
図4】路側機側受信時処理の一例を示すフローチャート。
図5】車両側受信時処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の実施形態について説明する。図1および図2は、本開示の実施形態としての交通情報管理システム10の概略を説明する説明図である。実施形態の交通情報システム10は、図1および図2に示すように、道路を走行する複数の車両20と、道路の路側帯に設置された複数の路側機30と、交通情報を管理する管理センター40とにより構成されている。管理センター40は、管理装置42が設置されており、各路側機30と通信可能に構成されており、収集した交通情報を管理する。
【0009】
車両20は、電子制御ユニット22と、他の車両20や路側機30と通信可能な通信装置24と、を備える。電子制御ユニット22は、マイクロコンピュータにより構成されている。電子制御ユニット22は、車両走行制御に必要な情報を各種センサから入力している。また、電子制御ユニット22は、衝突を検出する事故検出センサ26からの事故情報や、車両20が搭載する各機器の故障を検出する故障検出センサ27からの故障情報、路面状態や天候などの車両20の環境状態を検出する環境状態検出センサ28からの環境情報なども入力している。電子制御ユニット22は、車両走行制御に必要な制御信号を走行用駆動装置やブレーキ装置などに出力している。また、電子制御ユニット22は、事故情報や故障情報、所定環境情報を検出したときには、この情報を後続の他の車両20や近傍の路側機30に送信するよう通信装置24を制御する。通信装置24は、所定距離内の他の車両20との通信(いわゆる車車間通信)や所定距離内の路側機30との通信が可能な通信装置として構成されている。
【0010】
複数の路側機30は、所定距離の2倍未満の距離毎に道路の路側帯に設置されており、電子制御ユニット32と通信装置34とを備える。電子制御ユニット22は、マイクロコンピュータにより構成されている。電子制御ユニット22は、車両20や近隣の路側機30から事故情報や故障情報、所定環境情報を受信したときには、この情報を管理センター40や後続の他の車両20、後方側に隣接する路側機30に送信するよう通信装置34を制御する。
【0011】
次に、こうして構成された交通情報管理システム10における各種処理について説明する。図3は各車両20の電子制御ユニット22により実行される車両側検出送信処理の一例を示すフローチャートであり、図4は各路側機30の電子制御ユニット32により実行される路側機側受信時処理の一例を示すフローチャートであり、図5は各車両20の電子制御ユニット22により実行される車両側受信時処理の一例を示すフローチャートである。
【0012】
図3に例示する車両側検出送信処理は、事故検出センサ26により事故が検出されたときや故障検出センサ27により故障が検出されたとき、環境状態検出センサ28により所定環境状態が検出されたときに実行される。所定環境状態としては、車両20の走行に比較的大きな影響を与える環境状態であり、例えば路面凍結状態や強雨状態などを挙げることができる。車両側検出送信処理が実行されると、車両20の電子制御ユニット22は、各センサから事故情報や故障情報、所定環境状態情報を入力し(ステップS100)、情報が故障情報または事故情報であるか、或いは、所定環境状態情報であるかを判定する(ステップS110)。故障情報または事故情報であると判定したときには、近傍の路側機30と後続の車両20に故障情報と事故情報とを送信して(ステップS120)、本処理を終了する。一方、所定環境状態情報であると判定したときには、近傍の路側機30に所定環境状態情報を送信し(ステップS130)、本処理を終了する。なお、図1では、右端の2台の車両20が衝突事故を生じたときを示し、図2では、右端の2台の車両20が強雨の状態にいることを示している。
【0013】
図4に例示する路側機側受信時処理は、事故情報や故障情報、所定環境状態情報などの情報を受信したときに実行される。路側機側受信時処理が実行されると、路側機30の電子制御ユニット32は、受信した情報を入力し(ステップS200)、受信した情報が車両20から受信したものであるか近隣の路側機30から受信したものであるかを判定する(ステップS210)。受信した情報が車両20から受信したものであると判定したときには、情報が故障情報または事故情報であるか、或いは、所定環境状態情報であるかを判定する(ステップS220)。情報が故障情報または事故情報であると判定したときには、管理センター40と後続の車両に故障情報または事故情報を送信し(ステップS240)、カウンタC1に初期値として値1を設定し(ステップS250)、故障情報または事故情報にカウンタC1を含めて故障情報または事故情報を送信した車両20より後方側の路側機30に送信して(ステップS260)、本処理を終了する。即ち、故障情報や事故情報は、故障が生じた車両20や事故を生じた車両20が単体で確定することができるから、確実性の高い情報として管理センター40や後続の車両20、後方側の路側機30に送信するのである。
【0014】
ステップS220で所定環境状態情報であるかを判定したときには、他の車両20から同一の所定環境状態情報を所定数だけ受信したか否かを判定し(ステップS230)、他の車両20から同一の所定環境状態情報を所定数だけ受信していないと判定したときには、本処理を終了する。ステップS230で他の車両20から同一の所定環境状態情報を所定数だけ受信したと判定したときには、管理センター40と後続の車両に所定環境状態情報を送信し(ステップS240)、カウンタC1に初期値として値1を設定し(ステップS250)、所定環境状態情報にカウンタC1を含めて所定環境状態情報を送信した車両20より後方側の路側機30に送信して(ステップS260)、本処理を終了する。即ち、所定環境状態情報については、所定数の異なる車両20から受信したときに所定環境状態にあると確定して管理センター40や後続の車両20、後方側の路側機30に情報を送信するのである。これにより、より確実性の高い情報を高速の車両20に送信することができる。
【0015】
ステップS210で受信した情報が近隣の路側機30から受信したものであると判定したときには、カウンタC1が閾値C1ref未満であるか否かを判定する(ステップS270)、閾値C1refは、情報を伝搬する範囲を定めるための閾値であり、情報を伝搬させる範囲に含まれる路側機30の数として定めることができる。カウンタC1が閾値C1ref未満であると判定したときには、情報を伝搬させるべきと判断し、カウンタC1を値1だけカウントアップし(ステップS280)、故障情報や事故情報、所定環境状態情報をカウンタC1と共に後方側の近隣の路側機30(情報を送信した路側機30とは反対側の近隣の路側機30)に送信して(ステップS290)、本処理を終了する。一方、カウンタC1が閾値C1refであると判定したときには、情報を送信することなく本処理を終了する。
【0016】
図5に例示する車両側受信時処理は、他の車両20や路側機30から事故情報や故障情報、所定環境状態情報などの情報を受信したときに実行される。車両側受信時処理が実行されると、車両20の電子制御ユニット22は、情報を入力し(ステップS300)、運転席前方のインストールパネルに組み込まれた図示しない表示装置に入力した情報を表示することにより報知する(ステップS110)。そして、必要に応じて車両20の走行制御を行なって(ステップS220)、本処理を終了する。
【0017】
以上、本開示を実施形態を用いて説明したが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得る。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本開示は、交通情報管理システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
10 交通情報管理システム、20 車両、30 路側機、40 管理センター。
図1
図2
図3
図4
図5