(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158612
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】自転車の愛玩動物用前籠カバー
(51)【国際特許分類】
B62J 9/21 20200101AFI20241031BHJP
B62J 9/27 20200101ALI20241031BHJP
【FI】
B62J9/21
B62J9/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073961
(22)【出願日】2023-04-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】大井 恭子
(57)【要約】
【課題】愛玩動物を収容することができる前籠カバーを提供する。
【解決手段】上面に開閉自在の蓋部16を有し、自転車の前籠の略全体を上方から被覆して自転車の前籠に装着できる。この前籠カバー10は前籠の内側を被覆する内側被覆部12と、前籠の外側を被覆する外側被覆部11と、前籠の四方の上縁部から上方に延長する左右の両上方側面部13、上方背面部14、上方前面部15、及び開閉自在の上面蓋部16とから成る。内側被覆部12と外側被覆部11は前籠の四方の上縁枠部の部位で接続する。当該接続部位の前方と左右の両側の中間部位に少なくとも1つの係止具11kを設ける。当該係止具11kが前籠の上縁部前方及び左右両側の枠部に係止されてカバー10が装着される。内側被覆部12の底面部に着脱自在のクッション部材を設ける。両上方側面部13及び蓋部16の全部又は一部をメッシュ生地から形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開閉自在の蓋部を有し、自転車の前籠の略全体を上方から被覆して自転車の前籠に装着できる前籠カバーにおいて、
この前籠カバーは、前籠の内側を被覆する内側被覆部と、前籠の外側を被覆する外側被覆部と、前籠の四方の上縁部から上方に延長する左右の両上方側面部、上方背面部、上方前面部、及び開閉自在の上面蓋部とから成り、
前記内側被覆部と外側被覆部は前籠の四方の上縁枠部の部位で接続しており、
当該接続部位の前方と左右の両側の適宜位置には少なくとも1つの係止具をそれぞれに設け、当該係止具が前籠の上縁部前方及び左右両側の枠部に係止されてカバーが装着されることを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバー。
【請求項2】
前記上面蓋部が上面部から上方前面部に架けて連続して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自転車の愛玩動物用前籠カバー。
【請求項3】
前記内側被覆部の底面部にクッション材が配設され、且つ、当該クッション材が着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車の愛玩動物用前籠カバー。
【請求項4】
前記両上方側面部及び前記蓋部の全部又は一部がメッシュ生地から形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車の愛玩動物用前籠カバー。
【請求項5】
前記内側被覆部の底面部の一部に排水用の複数の穴部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自転車の愛玩動物用前籠カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部に固定された前籠の略全体を被覆できる前籠カバーに関し、とりわけ内部に愛玩動物(ペット)を収容することができるペット用前籠カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の前籠カバーとしては、本願出願人が先に提案した下記特許文献に記載のものを挙げることができる。
特許文献1に記載の発明にあっては、カバー本体部の略四辺形の上面開口部の3辺が上方に延長し、蓋部が水平状態から斜めに傾斜した状態にまで変更でき、内容積が拡張するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の荷籠カバーには、上面部に蓋部が設けられ、底面部には底面開口部が設けられ、当該底面開口部を下に向けて、前籠又は荷籠の上からすっぽりとその全体を被覆することができる。
【0005】
本願発明においても、このタイプのカバーと同様に、本体部の底面部に開口部を設け、当該底面開口部を下に向けて、前籠の上からその全体を被覆することができる前籠カバーを提案することを目的とするが、この前籠カバーは、その内部に愛玩動物(以下「ペット」という。)を収容することを目的として開発したものである。
【0006】
即ち、従来の前籠カバーとして内部に荷物を収納できることは勿論、その第一の課題としてはペットを内部に収容し、ペットを運搬するのに相応しい前籠カバーを提案することをその課題としている。
その他、ペットを内部に収容するために便宜となる各種の対策を施すこともその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、上面に開閉自在の蓋部を有し、自転車の前籠の略全体を上方から被覆して自転車の前籠に装着できる前籠カバーにおいて、この前籠カバーは、前籠の内側を被覆する内側被覆部と、前籠の外側を被覆する外側被覆部と、前籠の四方の上縁部から上方に延長する左右の両上方側面部、上方背面部、上方前面部、及び開閉自在の上面蓋部とから成り、前記内側被覆部と外側被覆部は前籠の四方の上縁枠部の部位で接続しており、当該接続部位の前方と左右の両側の適宜位置には少なくとも1つの係止具をそれぞれに設け、当該係止具が前籠の上縁部前方及び左右両側の枠部に係止されてカバーが装着されることを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバーである。
ここで、上記「前面部」の「前面」の方向は、カバーを前籠に装着した際に自転車の進行方向を前面という。
【0008】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記上面蓋部が上面部から上方前面部に架けて連続して設けられていることを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバーである。
【0009】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記内側被覆部の底面部にクッション材が配設され、且つ、当該クッション材が着脱自在に設けられていることを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバーである。
【0010】
本発明の第4のものは、上記第1又は第2の発明において、前記両上方側面部及び前記蓋部の全部又は一部がメッシュ生地から形成されていることを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバーである。
【0011】
本発明の第5のものは、上記第1又は第2の発明において、前記内側被覆部の底面部の一部に排水用の複数の穴部を形成したことを特徴とする自転車の愛玩動物用前籠カバーである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1のものにおいては、上面に開閉自在の蓋部を有し、自転車の前籠の略全体を上方から被覆して自転車の前籠に装着できる前籠カバーであり、自転車の前籠のその底面部を除き、そのほぼ全体を容易に被覆することができる。
【0013】
そして、この前籠カバーは、前籠の内側を被覆する内側被覆部と、前籠の外側を被覆する外側被覆部と、前籠の四方の上縁部から上方に延長する左右の両上方側面部、上方背面部、上方前面部、及び開閉自在の上面蓋部とから構成されている。
そのために先ず前籠の底面部内側にも内側被覆部が存在し、ペットは前籠の格子状又は網状のフレーム底面に直接触れることなく、シート状の当該内側被覆部の上に収容されることとなる。
換言すれば、前籠のフレーム上に直接ペットが収容されると、当該フレームの格子状の枠体の上に腰掛け又は寝ることとなりペットにとっては非常に不安定な状態に置かれることとなり、この問題が解消される。
【0014】
更に、この前籠カバーは、前籠の四方の上縁部から上方に延長する左右の両上方側面部、上方背面部、上方前面部、及び開閉自在の上面蓋部とから構成されており、前籠の上縁部から上方に延長する内部空間を有することとなる。
従って、前籠の上縁部から上方に頭が突出する大きさのペットであってもその内部に収容することができることとなる。
【0015】
また、前記内側被覆部と外側被覆部は前籠の四方の上縁枠部の部位で接続しており、当該接続部位の前方と左右の両側の適宜位置には少なくとも1つの係止具をそれぞれに設け、当該係止具が前籠の上縁部前方及び左右両側の枠部に係止されてカバーが装着される構成を採用したため、内側被覆部と外側被覆部を有する本発明に係る前籠カバーは確実に前籠に装着・固定され、ズレてしまう恐れが無くなるのである。
【0016】
本発明の第2のものにおいては、前記上面蓋部が上面部から上方前面部に架けて連続して設けられていることを特定したものであるが、このような構成を採用することにより、上面蓋部の前後方向の長さを大きく取ることができ、その出入口部をより大きく形成することができ、ペットの出し入れに便利となる。
【0017】
本発明の第3のものにおいては、前記内側被覆部の底面部にクッション材が配設され、且つ、当該クッション材が着脱自在に設けられていることを特定した。
これにより、ペットを収容する底面部のクッション性がより向上され、前籠カバーの居住性がより向上する。
【0018】
本発明の第4のものにおいては、前記両上方側面部及び前記蓋部の全部又は一部をメッシュ生地から形成し、これにより前籠カバー内の通気性が高まり、カバー内部の温度上昇を防止できることとなる。
【0019】
本発明の第5のものにおいては、前記内側被覆部の底面部の一部に排水用の複数の穴部を形成したものであり、これによりカバー内部に雨水等が侵入した際にも容易にそれを外部に排水することが出来ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のペット用前籠カバーに係る一実施形態示す全体説明図であり、上面の蓋部を閉じた状態を示している。
【
図2】上記実施形態において蓋部を開放した状態を示す説明図である。
【
図3】上記実施形態に係る前籠カバーの内面を示す説明図である。
【
図4】上記実施形態に係る外側被覆部を上方に捲り上げた状態を図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下添付の図面と共に、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明のペット用前籠カバーに係る一実施形態示す全体説明図であり、上面の蓋部を閉じた状態を示している。
図2は、上記実施形態において蓋部を開放した状態を示す説明図である。
これらの図においては、自転車のハンドル部やフレーム部等の記載は省略した。
【0022】
本発明に係る愛玩動物用前籠カバーは、自転車のハンドル部及びハンドルポストに固定された前籠を被覆し装着されるものである。
図では、当該ハンドル部及びハンドルポストの図示は省略して、当該前籠カバー10が前籠に装着された状態として図示している。
【0023】
この前籠カバー10は、図には現れていない前籠の外側を被覆する外側被覆部11と、この外側被覆部11の内側に位置する内側被覆部12と、前籠の四方の上縁部から上方に延長し起立する左右両側の上方側面部13、13と、後方の上方背面部14と、前方の上方前面部15と、上面の蓋部16とから成る。
【0024】
上記外側被覆部11と内側被覆部12との間に前籠の枠部が位置することとなる。
蓋部16は、この実施形態では、前籠カバー10の上面部から上方前面部15に掛けて設けられている。
【0025】
蓋部16、両上方側面部13、13、上方背面部14のそれぞれはメッシュ生地で形成されている。
これら前籠の上方部分を被覆する前籠カバーの部分を良好に起立させるために、両上方側面部13、13の周縁部に可撓性を有する合成樹脂製の線条材を配設させてもよい。
この線条材としては例えばPOM等を挙げることができる。
【0026】
上面の蓋部16は、上面部から上方前面部15に掛けて形成され、その周囲にスライドファスナー16fを設けて、両上方側面部13、13及び上方背面部14の周縁部に設けられているスライドファスナーとスライダー16sにより相互に係合又は歯合され、開閉自在に形成されている。
図2において蓋部16の前端に設けた留めホック16tは、蓋部16を開放した際に、外側被覆部11の前面部の上方に設けた留めホック11tと相互に係止でき、固定される。
【0027】
更に、この実施形態においては、外側被覆部11と内側被覆部12との接続縁部、即ち、前籠の四方の上縁部で前方縁部及び両側方縁部の略中央部に係止具11kをそれぞれ設けている。
この係止具11kは後に説明するが、プラスチック製のフック部材からなり、その開閉口を下に向けて外側被覆部11と内側被覆部12の接続縁部に固着され、前記下向きの開閉口を前籠の上縁部のフレームに係止してカバーを前籠に装着することができる。
【0028】
以上の構成から成る前籠カバー10を前籠に被覆し装着した後、上面の蓋部16を開放して内部にペットを収容し、その後蓋部16を閉鎖するが、両側の上方側面部13、13、上方背面部14、蓋部16がメッシュ生地で形成されているために、内部の温度上昇は防止され、外気の流通も保持されるためにペットの居住性は良好に確保される。
【0029】
また、次に
図3にて更に説明するが、前籠は外側被覆部11と内側被覆12とでその四方の四面が被覆されており、ペット自身は直接前籠の枠体やフレームに直接接触することがなく、内側被覆部12の内側に居住することとなるために、その居住性は良好に維持されることとなる。
【0030】
図3は、上記実施形態に係る前籠カバーの内面を示す説明図である。
内側被覆部12は、前籠の枠部の内側の全てに配設されるため、背面側の背面部12h、両側面側の側面部12s、12s及び前方側の前面部12f、そして、底面の底面部12bとから成り、前籠の内側の全てを内側から被覆している。
【0031】
この実施形態では、上記底面部12bの上に略矩形形状のクッション部材20を着脱自在に内装するように載置しており、内側被覆部12の底面部12bのクッション性を向上させている。
また、底面部12bの背面側の一側縁には縦横に並列された複数の穴部22を形成して、雨水等が外部に排水できる構造を採用している。
【0032】
図中符号25は、ペットのリードを連結するための連結環であって、内側被覆部12の背面部12hの上縁部に固定されたベルト部材25bの先端に連結されている。
【0033】
図4は、上記実施形態に係る外側被覆部を上方に捲り上げた状態を図示した説明図である。
この図では、右側が自転車の進行方向となる前方となる。
【0034】
自転車の前籠Bは、横フレームと縦フレームとで格子状に形成された略直方体で、上方が少し拡開された形態を有しており、この前籠Bの内側を内側被覆部12が被覆し、その外側を外側被覆部11が被覆する。
この
図4では、外側被覆部11が上方に捲り上げられた状態である。
【0035】
そして、内側被覆部12の側面部12sの上縁部で、外側被覆部11との接続縁部の略中央部にはフック部材30が設けられている。
【0036】
このフック部材30は、
図4には明確に表れていないが、内側被覆部12の前面部12fの上縁部で外側被覆部11との接続縁部の略中央部にも設けられており、更に、内側被覆部12の図中向こう側の側面部の上縁部で外側被覆部11との接続縁部の略中央部にも設けられている。
【0037】
従って、上記フック部材30は、前籠Bの両側面部と前方部のそれぞれの中間部の位置に1個ずつ、合計3個設けられている。
【0038】
上記フック部材30は、プラスチック製の鉤型形態のもので、先端の開閉部30tを下に向けて、内側被覆部12と外側被覆部11との接続縁部で、両側方と前方の略中間部の3箇所に設けられている。
【0039】
上記3個のフック部材30と、図には現れていないが、外側被覆部11の下端縁部に挿通している紐状部材を収束することによって本発明に係る前籠カバーが前籠にしっかりと装着されるのである。
上記フック部材30は、前籠Bの後方側の上縁部中央部位に更に設けても良い。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においては以下の通りその実施形態を種々設計変更することができる。
まず、本発明に係る前籠カバーの大きさ、サイズ、及び材質等は、適宜設計変更することが可能である。
カバーの外表面には撥水剤や防水剤を塗布したものが好ましい。
【0041】
カバーの保形性を維持させるために、両上方側面部の周縁部(上方背面部、蓋部及び上方前面部との接合縁部)に沿うように、可撓性を有する合成樹脂製の線条材を配設することも望ましい。
【0042】
また、保形性を向上させるために、上面の蓋部の周縁部にも可撓性を有する合成樹脂製の線条材を配設することも可能である。
【0043】
上記実施形態においては、内側被覆部と外側被覆部との接続縁部には係止具としてフック部材を、その前面部と両側面部にそれぞれ1個ずつ、合計3個設けたが、これらの数は全く自由に設計変更することができる。
【0044】
最後に、本発明に係る前籠カバーの下端周縁部の収束手段としては、従来の各種の方法を採用することができ、当該下端周縁部の全体又は一部に挿通部を設け、当該挿通部内に収束用の紐部材を配設して収束できるように構成することができる。当該紐部材は伸縮性を有するゴム紐等を使用することもできる。
【0045】
以上、本発明においては、自転車の前籠カバーとして前籠の内側被覆部と外側被覆部により前籠の表裏面を被覆することができ、且つ、両者の接続縁部に係止具を設けて良好に前籠に装着することができ、これにより愛玩動物を収容するのに適した前籠カバーを提供することができたものである。
【符号の説明】
【0046】
10 自転車の愛玩動物用前籠カバー
11 外側被覆部
11t 留めホック
11k 係止具
12 内側被覆部
12b 底面部
12h 背面部
12s 側面部
12f 前面部
13 上方側面部
14 上方背面部
15 上方前面部
16 蓋部
16f スライドファスナー
16s スライダー
16t 留めホック
20 クッション部材
22 穴部
25 連結環
30 フック部材
30t 開閉部
B 前籠