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  • 特開-熱交換器コアの補強部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158614
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱交換器コアの補強部材
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/013 20060101AFI20241031BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28F9/013 Z
F28D1/053 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073964
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】間中 洋一
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA08
3L103AA10
3L103BB39
3L103CC02
3L103CC22
3L103DD08
3L103DD34
(57)【要約】
【課題】偏平チューブに対する挿入部の挿入深さを一定に管理することができる熱交換器コアの補強部材を提供する。
【解決手段】
補強部材6は、熱交換器コア1の偏平チューブ2に挿入される。偏平チューブ2は、その対向する偏平面の内側同士をつなぐ柱部2Cを有する。補強部材6は、偏平チューブ2の長軸方向に延設される連結部10と、連結部10の長軸方向の両端から前記偏平チューブ2に向けて延設され、偏平チューブ2の長軸方向の両端部に挿入される一対の挿入部11と、一対の挿入部11の間において連結部10から偏平チューブ2に向けて突設されるストッパー部12と、を備え、連結部10と一対の挿入部11とストッパー部12とで囲まれた領域には、偏平チューブに連通する流通開口部15が形成され、挿入部11を偏平チューブ2に嵌合させた状態で、ストッパー部12は柱部2Cに接触する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器コア(1)の偏平チューブ(2)に挿入される補強部材(6)であって、
前記偏平チューブ(2)は、その対向する偏平面の内側同士をつなぐ柱部(2C)を有し、
前記補強部材(6)は、
前記偏平チューブ(2)の長軸方向に延設される連結部(10)と、
前記連結部(10)の長軸方向の両端から前記偏平チューブ(2)に向けて延設され、前記偏平チューブ(2)の長軸方向の両端部に挿入される一対の挿入部(11)と、
一対の前記挿入部(11)の間において前記連結部(10)から前記偏平チューブ(2)に向けて突設されるストッパー部(12)と、を備え、
前記連結部(10)と一対の前記挿入部(11)と前記ストッパー部(12)とで囲まれた領域には、前記偏平チューブ(2)に連通する流通開口部(15)が形成され、
前記挿入部(11)を前記偏平チューブ(2)に嵌合させた状態で、前記ストッパー部(12)は前記柱部(2C)に接触することを特徴とする熱交換器コアの補強部材。
【請求項2】
前記補強部材(6)を前記偏平チューブ(2)に組み合わせた状態において、前記ストッパー部(12)と前記柱部(2C)との接触部(16)は、目視可能となる外部に露出する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器コアの補強部材。
【請求項3】
前記挿入部(11)の先端側には、前記偏平チューブ(2)の短軸寸法(L2)よりも薄くなるようにテーパー面(13)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器コアの補強部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器コアの補強部材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の偏平チューブが並列された熱交換器コアを有する熱交換器では、熱交換器内部の温度差によって、特に偏平チューブの短辺部に大きな熱歪みが生じ、偏平チューブに亀裂が生じることがある。この問題に対し、偏平チューブに嵌め込まれて接合される補強部材が知られている(特許文献1)。この補強部材は、連結部の両端部に形成されたT字状部から延在する4つの挿入部を有している。4つの挿入部は、4つの偏平チューブに挿入されてロウ付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―38655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した技術では、T字状部と挿入部との曲げ部分(R形状)が偏平チューブの開口縁に接触するため、当該開口縁に対する曲げ部分の接触位置の微小なずれによって、偏平チューブに対する挿入部の嵌め込み深さ(挿入深さ)が一定にならないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、偏平チューブに対する挿入部の挿入深さを一定に管理することができる熱交換器コアの補強部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱交換器コア(1)の偏平チューブ(2)に挿入される補強部材(6)であって、前記偏平チューブ(2)は、その対向する偏平面の内側同士をつなぐ柱部(2C)を有し、前記補強部材(6)は、前記偏平チューブ(2)の長軸方向に延設される連結部(10)と、前記連結部(10)の長軸方向の両端から前記偏平チューブ(2)に向けて延設され、前記偏平チューブ(2)の長軸方向の両端部に挿入される一対の挿入部(11)と、一対の前記挿入部(11)の間において前記連結部(10)から前記偏平チューブ(2)に向けて突設されるストッパー部(12)と、を備え、前記連結部(10)と一対の前記挿入部(11)と前記ストッパー部(12)とで囲まれた領域には、前記偏平チューブ(2)に連通する流通開口部(15)が形成され、前記挿入部(11)を前記偏平チューブ(2)に嵌合させた状態で、前記ストッパー部(12)は前記柱部(2C)に接触する。
【0007】
この場合、前記補強部材(6)を前記偏平チューブ(2)に組み合わせた状態において、前記ストッパー部(12)と前記柱部(2C)との接触部(16)は、目視可能となる外部に露出する位置に設けられているとよい。
【0008】
この場合、前記挿入部(11)の先端側には、前記偏平チューブ(2)の短軸寸法(L2)よりも薄くなるようにテーパー面(13)が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偏平チューブに対する挿入部の挿入深さを一定に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る補強部材および熱交換器コアを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る補強部材および熱交換器コアを示す側面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る補強部材を示す平面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る補強部材を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る補強部材を熱交換器コアに取り付ける工程を説明する断面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6】本発明の一実施形態の変型例に係る補強部材および熱交換器コアを示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態の変型例に係る熱交換器コアの偏平チューブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[熱交換器コア]
図1および図2を参照して、熱交換器コア1について説明する。図1は補強部材6および熱交換器コア1を示す斜視図である。図2は補強部材6および熱交換器コア1を示す側面図である。
【0013】
熱交換器コア1は、例えば、自動車のエンジンを冷却するためのラジエータ(熱交換器)に用いられる。図1に示すように、熱交換器コア1は、複数の偏平チューブ2と、複数のフィン3と、一対のヘッダープレート4と、を備えている。なお、図1等では、熱交換器コア1の左方の一部を示している。
【0014】
複数の偏平チューブ2と複数のフィン3とは、左右方向に延在した姿勢で、上下方向に交互に配置されている。各ヘッダープレート4には、複数のチューブ挿通孔4Aが穿設され、各チューブ挿通孔4Aの縁部にはバーリング加工が施されている。各偏平チューブ2の両端部は、一対のヘッダープレート4のチューブ挿通孔4Aに差し込まれている。偏平チューブ2とフィン3の上下方向(並列方向)の両端面は、一対のサポート材5によって覆われている。各サポート材5の両端部は、一対のヘッダープレート4に固定されている。
【0015】
<偏平チューブ>
偏平チューブ2は、前後方向に細長い略楕円形断面を有する筒状に形成されている。図2に示すように、偏平チューブ2は、上下方向に略平行に対向する一対の長面部2A(偏平面)と、一対の長面部2Aの両縁間を連結する略半円筒状の一対の短面部2Bと、を有している。例えば、偏平チューブ2の開口の長軸寸法L1は約27mmであり、偏平チューブ2の開口の短軸寸法L2は約1.6mmである。偏平チューブ2は、その対向する長面部2A(偏平面)の内側同士をつなぐ柱部2Cを有している。柱部2Cは、偏平チューブ2の前後方向(長軸方向)の略中央に設けられている。偏平チューブ2の内部は、柱部2Cによって前後方向(長軸方向)に略二等分にされている。柱部2Cの先端面(露出した面)は、平坦な面となっている。熱交換器コア1では、側面から見て上下方向の端に対応する偏平チューブ2に補強部材6が接合(ロウ付)されている。なお、本実施形態に係る補強部材6は、側面から見て上下方向の端に位置する偏平チューブ2に取り付けられているが、これに限らず、複数の偏平チューブ2のうち、熱歪みや亀裂が生じる可能性のある偏平チューブ2に取り付けられていればよい。
【0016】
[補強部材]
図1図2図3Aおよび図3Bを参照して、熱交換器コア1の偏平チューブ2に挿入される補強部材6について説明する。図3Aは補強部材6を示す平面図である。図3Bは補強部材6を示す正面図である。
【0017】
図3Aおよび図3Bに示すように、補強部材6は、連結部10と、一対の挿入部11と、ストッパー部12と、を備えている。連結部10、挿入部11およびストッパー部12は、偏平チューブ2の開口の短軸寸法L2(図2参照)に整合する板厚T(図3B参照)となる一枚の金属板で形成されている。板厚Tは、短軸寸法L2よりも僅かに小さくなるように設定されている。
【0018】
(連結部)
連結部10は、前後方向(偏平チューブ2の長軸方向)に延設されている。詳細には、連結部10は、偏平チューブ2から離れる方向に膨らむ略アーチ状に形成され、一対の挿入部11の間に架け渡されている(図1も参照)。連結部10が一対の挿入部11を連結することで、補強部材6は全体として門型に形成されている。連結部10と一対の挿入部11とストッパー部12とで囲まれた領域には、(偏平チューブ2に挿入した状態で)偏平チューブ2に連通する流通開口部15が形成されている(図3A参照)。
【0019】
(挿入部)
一対の挿入部11は、連結部10の前後方向(長軸方向)の両端から偏平チューブ2に向けて延設されている(図1も参照)。各々の挿入部11は、偏平チューブ2の長軸寸法L1未満の幅となる略平板状に形成されている。詳細には、各挿入部11の幅W1(例えば、約4mm(図3A参照))は、偏平チューブ2の長軸寸法L1(図2参照)の1/4未満に設定されている。挿入部11の先端側(両面)には、偏平チューブ2の短軸寸法L2よりも薄くなるように一対のテーパー面13が形成されている。また、挿入部11の先端側の前後方向の外側には、幅W1を狭くするように面取り部14が形成されている。なお、挿入部11の先端側の前後方向の内側も僅かに面取りされている。詳細は後述するが、一対の挿入部11は、偏平チューブ2の前後方向(長軸方向)の両端部に挿入される(図1および図2参照)。
【0020】
一対の挿入部11の全体の前後幅、換言すれば、補強部材6の全幅W2(例えば、約26mm(図3A参照))は、偏平チューブ2の長軸寸法L1(例えば、約27mm(図2参照))よりも僅かに狭く設定されている。なお、補強部材6全体の挿入方向の寸法H1(図3A参照)は、例えば、約21mmに設定されている。
【0021】
(ストッパー部)
図3Aに示すように、ストッパー部12は、一対の挿入部11の間において連結部10から偏平チューブ2に向けて突設されている。詳細には、ストッパー部12は、連結部10の長手方向の中央から、挿入部11と同一方向に突出している。ストッパー部12の先端縁は一直線状に形成され、ストッパー部12の先端面は平坦な面となっている。ストッパー部12の突出寸法H2(例えば、2.5mm)は、挿入部11の延出寸法よりも十分に短く設定されている。ストッパー部12の先端から挿入部11の先端までの寸法、つまり、挿入部11の挿入寸法H3は、例えば、約14.5mmに設定されている。
【0022】
[補強部材の取付工程]
次に、図4および図5を参照して、熱交換器コア1への補強部材6の取付工程について説明する。図4は補強部材6を熱交換器コア1に取り付ける工程を説明する断面図である。図5は、図2のV-V断面図である。
【0023】
本実施形態に係る補強部材6は、挿入機20を用いて自動で偏平チューブ2(熱交換器コア1)に取り付けられる。なお、補強部材6は、挿入機20によらず、作業者の手作業で偏平チューブ2に取り付けられてもよい。
【0024】
<挿入機>
図4に示すように、挿入機20は、補強部材6をスライド可能に内包するシリンダー部21と、シリンダー部21の内部を往復移動するピストン部22と、を備えている。シリンダー部21はヘッダープレート4に対向配置され、シリンダー部21の開口は偏平チューブ2の開口に向けられている。ピストン部22は、電動モーター等の駆動源(図示せず)から駆動力を受け、シリンダー部21内に挿入された補強部材6を偏平チューブ2に向かって押し出す。なお、ピストン部22は、駆動源によらず、手動で往復移動されてもよい。
【0025】
<取付工程>
補強部材6がシリンダー部21に挿入され、ピストン部22に駆動力が伝達されると、補強部材6は偏平チューブ2に接近する方向にシリンダー部21内をスライドする(図4の矢印参照)。補強部材6のスライド(押し出し)が進むと、補強部材6の一対の挿入部11は偏平チューブ2内に差し込まれて行く。この際、挿入部11の先端部は、一対のテーパー面13によって薄く、面取り部14によって幅狭くなっているため、偏平チューブ2の開口に円滑に挿入される。仮に、挿入部11の先端部が偏平チューブ2の開口縁に干渉したとしても、挿入部11の先端部は、一対のテーパー面13および面取り部14をガイドにしながら偏平チューブ2の開口に円滑に挿入される。
【0026】
図5に示すように、偏平チューブ2に挿入された一対の挿入部11は、柱部2Cから前後方向(長軸方向)の外側に離れた位置で偏平チューブ2に嵌合する。詳細には、一対の挿入部11は、その両外端面を偏平チューブ2の両外側の短面部2Bに近接(または接触)させた位置で、偏平チューブ2に嵌合する。また、挿入部11を偏平チューブ2に嵌合させた状態で、ストッパー部12は柱部2C(の先端)に接触している。換言すれば、ストッパー部12の先端が柱部2Cの先端に突き当たることで、偏平チューブ2に対する挿入部11の挿入が規制される。ストッパー部12の先端面と柱部2Cの先端面とは略平面となっているため、両者の先端面同士は面接触した接触部16を構成する。なお、ストッパー部12が柱部2Cに突き当たると、ピストン部22の押出動作(駆動源)が停止する。その後、挿入機20が除去される。
【0027】
以上によって、補強部材6が偏平チューブ2に取り付けられる。流通開口部15は、柱部2Cとストッパー部12とによって2つに仕切られている。詳細には、補強部材6の連結部10が偏平チューブ2の開口縁から離れるようなアーチ状に形成されているため、流通開口部15は、熱交換器コア1を平面(または底面)から見て、連結部10からストッパー部12にかけての内縁と、偏平チューブ2の開口縁との間において開口(露出部分15A)している。流通開口部15の一対の露出部分15Aは、ストッパー部12を挟んで対称に形成され、偏平チューブ2を流通する冷却水の流れを阻害しないように開口している。また、ストッパー部12と柱部2Cとの接触部16は、熱交換器コア1を平面(または底面)から見て、一対の露出部分15Aに挟まれた位置に配置されている(露出している)。このように、ストッパー部12と柱部2Cとの接触部16は、目視で確認できるような外部に露出する位置に設けられている。詳細には、接触部16は、ロウ付のために、ヘッダープレート4、偏平チューブ2および補強部材6を仮組みした状態(組み合わせた状態)において、接触部16は、目視可能となる外部に露出する位置に設けられている。
【0028】
補強部材6が偏平チューブ2に取り付けられた熱交換器コア1では、互いに接触する部品(例えば、偏平チューブ2と補強部材6等)の少なくとも一方にロウ材(図示せず)が被覆または配置される。熱交換器コア1全体が高温の炉内に入れられて、互いに接触する部品が一体的にロウ付固定される。以上によって、熱交換器コア1が完成する。
【0029】
以上説明した本実施形態に係る熱交換器コア1の補強部材6によれば、ストッパー部12が、偏平チューブ2の柱部2Cに接触することで、偏平チューブ2内への挿入部11の過度な挿入を規制することができる。これにより、偏平チューブ2に対する挿入部11の挿入深さDP(概ね挿入寸法H3と同値(図5参照))を一定に管理することができる。また、ストッパー部12を柱部2Cに接触させるだけで、挿入部11の挿入深さDPが一定に決まるため、挿入機20を用いて補強部材6の自動挿入を行うことができる。さらに、挿入機20を用いて正確かつ迅速に補強部材6を偏平チューブ2に自動挿入できるため、熱交換器の製造コストの低減を図ることができる。なお、本明細書において、「一定」とは、完全に定められた状態であることのみを意味するものではなく、僅かな誤差は許容する意味である。
【0030】
また、本実施形態に係る熱交換器コア1の補強部材6によれば、ストッパー部12と柱部2Cとの接触部16は、面接触した部位であり、補強部材6を偏平チューブ2に組み合わせた状態で、目視可能となる外部に露出する位置に設けられているため、作業者が挿入部11の挿入深さDPを目視によって確認することができる。これにより、挿入部11の挿入深さDPの管理を適正かつ容易に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態に係る熱交換器コア1の補強部材6によれば、挿入部11の先端側に、偏平チューブ2の短軸長さよりも薄くなるようにテーパー面13が形成されているため、挿入部11を偏平チューブ2に円滑に挿入することができる。これにより、挿入作業時に挿入部11が偏平チューブ2の開口縁や内周面に引っ掛かる等の不具合が抑制され、ストッパー部12を確りと柱部2Cに当接させることができる。その結果、偏平チューブ2に対する挿入部11の挿入深さDPを一定にすることができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る補強部材6では、連結部10が湾曲したアーチ状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結部10は、山型に屈曲した形状であってもよい(図示せず)。
【0033】
また、本実施形態に係る補強部材6では、挿入部11の先端側の両面には一対のテーパー面13が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、テーパー面13は、挿入部11の先端側の両面の何れか一面に形成されていればよい(図示せず)。また、テーパー面13は省略されてもよい(図示せず)。これと同様に、面取り部14は省略されてもよい(図示せず)。
【0034】
また、本実施形態に係る補強部材6は、偏平チューブ2の前後方向(長軸方向)の略中央に柱部2Cが設けられた熱交換器コア1に適用されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示すように、補強部材6は、偏平チューブ2の内部を前後方向(長軸方向)に略3等分にするように柱部2Cが設けられた熱交換器コア1に適用されてもよい。この場合でも、補強部材6の一対の挿入部11は、偏平チューブ2の長軸方向の両端部に挿入される。また、この場合、2つの柱部2Cが設けられることになるため、ストッパー部12も2つ形成される。また、上記と同様に、補強部材6は、偏平チューブ2の内部を前後方向(長軸方向)に略4等分以上にするように柱部2Cが設けられた熱交換器コア1に適用することもできる(図示せず)。
【0035】
また、本実施形態に係る熱交換器コア1では、柱部2Cが偏平チューブ2の対向する偏平面の内側と一体になるように架設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図7に示すように、1枚の平板がB字状断面を有するように折り曲げられて偏平チューブ2および柱部2Cが構成されてもよい。また、一対の偏平なチューブを前後方向に並べて突き合せ、1つの偏平チューブ2としてしてもよい(図示せず)。この場合には、一対の偏平なチューブの突き合わせ部分が柱部2Cとなる(図示せず)。
【0036】
また、本実施形態に係る熱交換器コア1および補強部材6における各部の寸法は、適宜変更することができる。
【0037】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る熱交換器コアの補強部材における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施態様に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0038】
1 熱交換器コア
2 偏平チューブ
2C 柱部
6 補強部材
10 連結部
11 挿入部
12 ストッパー部
13 テーパー面
15 流通開口部
16 接触部
L1 長軸寸法
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7