(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015863
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】売上計上装置、売上計上方法、および、売上計上プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240130BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240130BHJP
【FI】
G06Q40/00 400
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118218
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 遼平
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA09
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】工事進行基準の売上データを元に、生産部門単位の進行基準売上高と契約単位進行基準売上高との差額調整分の売上仕訳を作成することができる売上計上装置、売上計上方法、および、売上計上プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高と、プロジェクトに従事する部門単位の工事進行基準の部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた売上計上装置であって、
前記記憶部は、
プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成手段、
を備えたことを特徴とする売上計上装置。
【請求項2】
前記差額調整仕訳データは、
更に、前記各部門の前記部門別進行基準売上高が前記貸方に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の売上計上装置。
【請求項3】
前記プロジェクト記憶手段は、
更に、前記契約における前記部門単位の部門別実行予算金額を記憶し、
前記制御部は、
前記部門別実行予算金額の前記契約単位の合計である契約別見積総原価を計算する原価計算手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の売上計上装置。
【請求項4】
前記プロジェクト記憶手段は、
更に、所定時点の前記契約における前記部門単位の部門別累計原価実績金額、および、前記部門別累計原価実績金額の合計である前記所定時点の前記契約単位の契約別累計原価実績金額を記憶し、
前記原価計算手段は、
更に、前記部門別実行予算金額と前記部門別累計原価実績金額との比率から部門別進捗率を計算し、前記契約別累計原価実績金額と前記契約別見積総原価との比率から契約別進捗率を計算することを特徴とする請求項3に記載の売上計上装置。
【請求項5】
前記プロジェクト記憶手段は、
更に、所定時点の前記契約における前記部門単位の部門別累計原価実績金額を記憶し、
前記仕訳作成手段は、
更に、前記部門別進行基準売上高、および、前記部門別累計原価実績金額に基づいて、前記部門毎の部門別利益率を計算し、前記部門別進行基準売上高、および、前記部門別利益率を紐付けて設定したプロジェクト収支管理データを取得することを特徴とする請求項3に記載の売上計上装置。
【請求項6】
前記プロジェクト記憶手段は、
更に、前記プロジェクトの契約金額、および、前記契約金額の前記部門単位の部門別分配金額を記憶し、
前記制御部は、
前記部門別分配金額と前記部門別進捗率とを乗算した前記部門別進行基準売上高を取得し、前記契約金額と前記契約別進捗率とを乗算した前記契約別進行基準売上高を取得する売上計算手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の売上計上装置。
【請求項7】
前記原価計算手段は、
前記部門別累計原価実績金額が前記部門別実行予算金額より高額である場合、前記部門別進捗率を1として取得し、前記部門別累計原価実績金額が前記部門別実行予算金額以下である場合、前記部門別累計原価実績金額を被除数とし前記部門別実行予算金額を除数とした場合の商を前記部門別進捗率として取得し、前記契約別累計原価実績金額が前記契約別見積総原価より高額である場合、前記契約別進捗率を1として取得し、前記契約別累計原価実績金額が前記契約別見積総原価以下である場合、前記契約別累計原価実績金額を被除数とし前記契約別見積総原価を除数とした場合の商を前記契約別進捗率として取得することを特徴とする請求項4に記載の売上計上装置。
【請求項8】
記憶部と制御部とを備えた売上計上装置に実行させるための売上計上方法であって、
前記記憶部は、
プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行させる、
前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成ステップ、
を含むことを特徴とする売上計上方法。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた売上計上装置に実行させるための売上計上プログラムであって、
前記記憶部は、
プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成ステップ、
を実行させるための売上計上プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上計上装置、売上計上方法、および、売上計上プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プロジェクトの各月の工事進行基準の進行基準売上を算出し、各月の進行基準売上に関する仕訳データを作成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、工事進行基準での売上を捉えるにあたり、財務目線と管理会計目線とのそれぞれで把握することが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、工事進行基準の売上データを元に、生産部門単位の進行基準売上高と契約単位進行基準売上高との差額調整分の売上仕訳を作成することができる売上計上装置、売上計上方法、および、売上計上プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る売上計上装置は、記憶部と制御部とを備えた売上計上装置であって、前記記憶部は、プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、を備え、前記制御部は、前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成手段、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記差額調整仕訳データは、更に、前記各部門の前記部門別進行基準売上高が前記貸方に設定されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記プロジェクト記憶手段は、更に、前記契約における前記部門単位の部門別実行予算金額を記憶し、前記制御部は、前記部門別実行予算金額の前記契約単位の合計である契約別見積総原価を計算する原価計算手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記プロジェクト記憶手段は、更に、所定時点の前記契約における前記部門単位の部門別累計原価実績金額、および、前記部門別累計原価実績金額の合計である前記所定時点の前記契約単位の契約別累計原価実績金額を記憶し、前記原価計算手段は、更に、前記部門別実行予算金額と前記部門別累計原価実績金額との比率から部門別進捗率を計算し、前記契約別累計原価実績金額と前記契約別見積総原価との比率から契約別進捗率を計算することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記プロジェクト記憶手段は、更に、所定時点の前記契約における前記部門単位の部門別累計原価実績金額を記憶し、前記仕訳作成手段は、更に、前記部門別進行基準売上高、および、前記部門別累計原価実績金額に基づいて、前記部門毎の部門別利益率を計算し、前記部門別進行基準売上高、および、前記部門別利益率を紐付けて設定したプロジェクト収支管理データを取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記プロジェクト記憶手段は、更に、前記プロジェクトの契約金額、および、前記契約金額の前記部門単位の部門別分配金額を記憶し、前記制御部は、前記部門別分配金額と前記部門別進捗率とを乗算した前記部門別進行基準売上高を取得し、前記契約金額と前記契約別進捗率とを乗算した前記契約別進行基準売上高を取得する売上計算手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る売上計上装置において、前記原価計算手段は、前記部門別累計原価実績金額が前記部門別実行予算金額より高額である場合、前記部門別進捗率を1として取得し、前記部門別累計原価実績金額が前記部門別実行予算金額以下である場合、前記部門別累計原価実績金額を被除数とし前記部門別実行予算金額を除数とした場合の商を前記部門別進捗率として取得し、前記契約別累計原価実績金額が前記契約別見積総原価より高額である場合、前記契約別進捗率を1として取得し、前記契約別累計原価実績金額が前記契約別見積総原価以下である場合、前記契約別累計原価実績金額を被除数とし前記契約別見積総原価を除数とした場合の商を前記契約別進捗率として取得することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る売上計上方法は、記憶部と制御部とを備えた売上計上装置に実行させるための売上計上方法であって、前記記憶部は、プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成ステップ、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る売上計上プログラムは、記憶部と制御部とを備えた売上計上装置に実行させるための売上計上プログラムであって、前記記憶部は、プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、前記プロジェクトに従事する部門単位の前記工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶するプロジェクト記憶手段、を備え、前記制御部において、前記契約別進行基準売上高と、前記部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成する仕訳作成ステップ、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、会計上の売上高の計上と適切なプロジェクト収支管理とを両立させることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、契約単位および生産部門単位の2つの単位の進行基準売上高を計算し、その差分を算出することで会計上の売上計上およびプロジェクト収支管理上の売上高計算を両立することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ひとつの契約に対して複数の技術部門を組み合わせ、履行業務を果たすケースの多い建設コンサルタント業界やIT業界のソフトウェア受託などに有効であるという効果を奏する。また、本発明によれば、進行基準での売上を捉えるにあたり、契約単位と契約部門単位とでの差額を処理するために有効であるという効果を奏する。また、本発明によれば、進行基準での売上を捉えるにあたり、財務目線と管理会計目線とのそれぞれで把握が可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、契約単位の見積総原価が生産部門単位の実行予算額の合計であることに着目し、契約単位と生産部門単位との進行基準売上計算の差額を計算することで、会計で計上されるべき売上高と生産部門単位の売上高との計算を両立させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、1契約複数生産部門の業務体系の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における売上計上装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における売上計上装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態における売上計上処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における売上計上処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、従来の計算方法の本実施形態との比較の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、従来の計算方法の本実施形態との比較の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、1契約複数生産部門の業務体系の一例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、従来から、工事進行基準が適用される契約に対して複数の生産部門が従事することがあり、特に、建設コンサルタント業界においては、ひとつの契約に対して複数の技術分野を組み合わせて履行義務を果たすケースが多く、1契約複数生産部門の業務体系をとることがほとんどである。この場合、その合理性を担保するために各生産部門単位で実行予算を策定した上で、その合計値を見積総原価として工事進捗度を計算し、契約金額に掛け合わせ会計上の進行基準売上高を計算することが求められる。一方で、従来は、プロジェクト収支管理および部門業績評価の観点で、生産部門毎に管理担当者を配置し、契約金額を各部門に分配したうえで、各担当者が自部門の進捗率、売上実績、および、原価実績を管理する運用となっていた。
【0020】
ここで、従来から、生産部門毎の売上高を計算する手法としては、(1)分配した金額に生産部門毎に計算した進捗率をかけ合わせて売上高とする方法、および、(2)契約単位で計算した会計上の売上高を何らかの比率(例えば、分配比率等)で各生産部門に按分する方法が採用されている。但し、(1)の方法については、各生産部門への分配金額が適切でないと、会計上の売上高と生産部門毎に計算した売上高の合計が不一致となるため、合計額をそのまま会計上の売上高として扱うことができず、(2)の方法については、管理担当者の目線から、自部門へ按分される金額は他部門の進捗状況等に影響を受けるため、適切な実績管理を行うことができないという課題があった。
【0021】
そこで、本実施形態においては、「進捗率計算処理」として、生産部門単位の実行予算を積算し、原価比例法によって契約単位の進捗率、および、生産部門単位の進捗率を計算し、「進行基準売上データ作成処理」として、契約金額と進捗率とを掛け合わせた契約単位の進行基準売上高(A)、および、生産部門毎の分配金額に生産部門単位の進捗率を掛け合わせた進行基準売上高(B)を計上し、「仕訳データ作成処理」として、(B)をもとにした売上仕訳、および、(A)と(B)との差額をもとにした差額調整売上仕訳を作成する仕組みを提供している。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る売上計上装置100の構成の一例について、
図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態における売上計上装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、売上計上装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、売上計上装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
売上計上装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。売上計上装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、売上計上装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、売上計上装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、プロジェクトデータベース106aを備えている。
【0028】
プロジェクトデータベース106aは、プロジェクトのプロジェクトデータを記憶する。ここで、プロジェクトデータベース106aは、プロジェクトの契約単位の工事進行基準の契約別進行基準売上高、および、プロジェクトに従事する部門単位の工事進行基準の部門別進行基準売上高を記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106aは、契約における部門単位の部門別実行予算金額を記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106aは、所定時点の契約における部門単位の部門別累計原価実績金額、および、部門別累計原価実績金額の合計である所定時点の契約単位の契約別累計原価実績金額を記憶していてもよい。また、プロジェクトデータベース106aは、所定時点の契約における部門単位の部門別累計原価実績金額を記憶していてもよい。ここで、所定時点は、現時点であってもよい。また、プロジェクトデータベース106aは、プロジェクトの契約金額、および、契約金額の部門単位の部門別分配金額を記憶していてもよい。また、プロジェクトデータは、プロジェクトの契約データ、原価データ、売上データ、仕訳データ、実行予算データ、契約別見積総原価データ、累計原価実績データ、進捗率データ、進行基準売上データ、および、プロジェクト収支管理データを含んでいてもよい。
【0029】
制御部102は、売上計上装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、原価計算部102aと売上計算部102bと仕訳作成部102cとを備えている。
【0030】
原価計算部102aは、プロジェクトの原価データを取得する。ここで、原価計算部102aは、部門別実行予算金額の契約単位の合計である契約別見積総原価を計算してもよい。また、原価計算部102aは、部門別実行予算金額と部門別累計原価実績金額との比率から部門別進捗率を計算し、契約別累計原価実績金額と契約別見積総原価との比率から契約別進捗率を計算してもよい。また、原価計算部102aは、部門別累計原価実績金額が部門別実行予算金額より高額である場合、部門別進捗率を1として取得し、部門別累計原価実績金額が部門別実行予算金額以下である場合、部門別累計原価実績金額を被除数とし部門別実行予算金額を除数とした場合の商を部門別進捗率として取得し、契約別累計原価実績金額が契約別見積総原価より高額である場合、契約別進捗率を1として取得し、契約別累計原価実績金額が契約別見積総原価以下である場合、契約別累計原価実績金額を被除数とし契約別見積総原価を除数とした場合の商を契約別進捗率として取得してもよい。
【0031】
売上計算部102bは、プロジェクトの売上データを取得する。ここで、売上計算部102bは、部門別分配金額と部門別進捗率とを乗算した部門別進行基準売上高を取得し、契約金額と契約別進捗率とを乗算した契約別進行基準売上高を取得してもよい。
【0032】
仕訳作成部102cは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102cは、契約別進行基準売上高と、部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成してもよい。ここで、差額調整仕訳データは、各部門の部門別進行基準売上高が貸方に設定されていてもよい。また、仕訳作成部102cは、部門別進行基準売上高、および、部門別累計原価実績金額に基づいて、部門毎の部門別利益率を計算し、部門別進行基準売上高、および、部門別利益率を紐付けて設定したプロジェクト収支管理データを取得してもよい。
【0033】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図3から
図7を参照して説明する。
【0034】
[売上計上処理]
ここで、
図3を参照して、本実施形態における売上計上処理の一例について説明する。
図3は、本実施形態における売上計上装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図3に示すように、原価計算部102aは、プロジェクトデータベース106aに記憶されたプロジェクトの契約における部門単位の部門別実行予算金額の契約単位の合計である契約別見積総原価を計算する(ステップSA-1)。
【0036】
そして、原価計算部102aは、部門別累計原価実績金額が部門別実行予算金額より高額である場合、部門別進捗率を1として取得し、部門別累計原価実績金額が部門別実行予算金額以下である場合、部門別累計原価実績金額を被除数とし部門別実行予算金額を除数とした場合の商を部門別進捗率として取得し、契約別累計原価実績金額が契約別見積総原価より高額である場合、契約別進捗率を1として取得し、契約別累計原価実績金額が契約別見積総原価以下である場合、契約別累計原価実績金額を被除数とし契約別見積総原価を除数とした場合の商を契約別進捗率として取得する(ステップSA-2)。
【0037】
そして、売上計算部102bは、部門別分配金額と部門別進捗率とを乗算した部門別進行基準売上高を取得し、契約金額と契約別進捗率とを乗算した契約別進行基準売上高を取得する(ステップSA-3)。
【0038】
そして、仕訳作成部102cは、契約別進行基準売上高と、部門別進行基準売上高の合計額との差額である差額調整売上高、および、各部門の部門別進行基準売上高を貸方に設定した差額調整仕訳データを作成し、部門別進行基準売上高、および、部門別累計原価実績金額に基づいて、部門毎の部門別利益率を計算し、部門別進行基準売上高、および、部門別利益率を紐付けて設定したプロジェクト収支管理データを取得し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0039】
ここで、
図4および
図5を参照して、本実施形態における売上計上処理の一例について説明する。
図4および
図5は、本実施形態における売上計上処理の一例を示す図である。
【0040】
図4に示すように、本実施形態における進捗率計算処理においては、見積総原価計算として生産部門単位の実行予算金額が集計され、進捗率計算として原価比例法により契約単位および生産部門単位の進捗率(=当月迄累計発生原価/総予算額)が計算される。そして、
図4に示すように、本実施形態における進行基準売上データ作成処理においては、計算された進捗率と、生産部門単位に対して分配金額および契約単位に対して契約金額とを元に、進行基準売上高が計算される。
【0041】
そして、
図5に示すように、本実施形態における仕訳データ作成処理においては、作成された進行基準売上データを元に、生産部門単位の進行基準売上高と契約単位の進行基準売上高との差額調整分の売上仕訳が作成される。
【0042】
また、
図6および
図7を参照して、従来の計算方法の本実施形態との比較の一例について説明する。
図6および
図7は、従来の計算方法の本実施形態との比較の一例を示す図である。
【0043】
図6に示すように、受注金額を生産部門毎に分配して、生産部門毎に計算した進捗率をかけ合わせて売上高とする従来の方法における、会計上の売上高と生産部門毎に計算された売上高の合計とが不一致となり、プロジェクト収支管理上の合計額をそのまま会計上の売上高として扱うことができないという問題点を、本実施形態においては、解消している。
【0044】
また、
図7に示すように、契約単位で計算した会計上の売上高を何らかの分配比率で各生産部門に按分する従来の方法における、各部門の進捗率を用いた理論売上高と異なり、他部門の進捗に影響を受けた売上高が計算され、適切な実績管理を行うことができないという問題点を、本実施形態においては、解消している。
【0045】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0046】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0048】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0049】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0050】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0051】
また、売上計上装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0052】
例えば、売上計上装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて売上計上装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0053】
また、このコンピュータプログラムは、売上計上装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0054】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0055】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0056】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0057】
また、売上計上装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、売上計上装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0058】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、航空系コンサルタント業を含むコンサルタント業界、建設コンサルタント業を含む建設業界、および、IT業界等の工事進行基準を採用する業界において有用である。
【符号の説明】
【0060】
100 売上計上装置
102 制御部
102a 原価計算部
102b 売上計算部
102c 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a プロジェクトデータベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク