(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158655
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装用筒および梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 85/08 20060101AFI20241031BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D85/08
A61M25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074019
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 紘太
【テーマコード(参考)】
3E068
4C267
【Fターム(参考)】
3E068AA31
3E068AB03
3E068AC02
3E068BB01
3E068CC14
3E068CE03
3E068DD40
3E068DE14
3E068EE11
4C267AA34
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB19
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】輸送時の包装資材の使用量を削減可能な包装用筒を提供する。
【解決手段】包装用筒1は、長尺な医療器具90を包装する筒状の包装用筒であって、医療器具が挿入され、軸方向に延在する筒部10と、筒部の軸方向の両端に設けられ、エチレンオキサイドガスが通過可能かつバクテリアが通過不能なシート材20と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な医療器具を包装する筒状の包装用筒であって、
前記医療器具が挿入され、軸方向に延在する筒部と、
前記筒部の前記軸方向の両端に設けられ、滅菌ガスが通過可能かつバクテリアが通過不能なシート材と、を有する包装用筒。
【請求項2】
前記筒部は、
前記軸方向に延在する本体部と、
前記本体部および前記シート材の間に設けられ、前記本体部より径方向に幅広な幅広部と、を有する、請求項1に記載の包装用筒。
【請求項3】
前記筒部は、
前記軸方向の先端側および基端側に一対設けられ、内周に向けて突出する突起部を有する、請求項1または2に記載の包装用筒。
【請求項4】
前記シート材のうち基端側のシート材は、前記シート材を前記筒部から剥がす際に把持可能な把持部を有する、請求項1または2に記載の包装用筒。
【請求項5】
請求項1または2に記載の複数本の包装用筒を、出荷箱に梱包する梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用筒および梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、カテーテルのような可撓性を有する長尺な医療用具は、滅菌され、密封した袋状の包装体(個装袋)に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、個装袋に収納した医療器具は、医療器具一つに対して個装用の単位箱に収納し、更に複数の単位箱を出荷用の出荷箱に梱包して出荷される。このため、一つの医療器具を輸送するには、医療器具毎に個包袋と単位箱が必要となり、包装資材の使用量が多いという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、輸送時の包装資材の使用量を低減可能な包装用筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)
長尺な医療器具を包装する筒状の包装用筒であって、
前記医療器具が挿入され、軸方向に延在する筒部と、
前記筒部の前記軸方向の両端に設けられ、滅菌ガスが通過可能かつバクテリアが通過不能なシート材と、を有する包装用筒。
【0008】
(2)
前記筒部は、
前記軸方向に延在する本体部と、
前記本体部および前記シート材の間に設けられ、前記本体部より径方向に幅広な幅広部と、を有する、(1)に記載の包装用筒。
【0009】
(3)
前記筒部は、
前記軸方向の先端側および基端側に一対設けられ、内周に向けて突出する突起部を有する、(1)または(2)に記載の包装用筒。
【0010】
(4)
前記シート材のうち基端側のシート材は、前記シート材を前記筒部から剥がす際に把持可能な把持部を有する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の包装用筒。
【0011】
(5)
(1)~(4)のいずれか1つに記載の複数本の包装用筒を、出荷箱に梱包する梱包方法。
【発明の効果】
【0012】
上述のように構成した包装用筒によれば、医療器具が包装された包装用筒をそのまま出荷箱に梱包することができる。したがって、包装用筒が個装袋および単位箱の役割を担うため、梱包資材の使用量を低減することができる。以上から、輸送時の包装資材の使用量を低減可能な包装用筒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る包装用筒を示す概略一部断面図である。
【
図2】本実施形態に係る包装用筒が出荷箱に梱包される一の例を示す概略一部断面図である。
【
図3A】本実施形態に係る包装用筒が出荷箱に梱包される二の例を示す左側面図である。
【
図3B】本実施形態に係る包装用筒が出荷箱に梱包される二の例を示す右側面図である。
【
図4A】本実施形態に係る包装用筒が出荷箱に梱包される三の例を示す左側面図である。
【
図4B】本実施形態に係る包装用筒が出荷箱に梱包される三の例を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0015】
以下、
図1を参照して、本実施形態に係る包装用筒1の構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る包装用筒1を示す概略正面図である。
図1において、医療器具90を実線によって示す。
【0016】
包装用筒1は、
図1に示すように、長尺な医療器具90を包装するように筒状に構成される。
【0017】
包装用筒1に包装される医療器具90は、直線状であれば特に制限されず、血管造影・治療用カテーテル等の長尺な器具であればよい。具体的には、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、血管内超音波診断カテーテル、ガイディングシース等が挙げられ、ガイドワイヤでもよい。医療器具90は、軸方向に延在する本体部91と、基端に設けられるハブ92と、本体部91およびハブ92の間に設けられる耐キンクプロテクタ93と、を有する。医療器具90の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0018】
包装用筒1は、
図1に示すように、軸方向に延在する筒部10と、筒部10の両端に設けられるシート材20と、を有する。
【0019】
筒部10は、滅菌用ガスであるエチレンオキサイドガス等および、バクテリア等が通過不能となるように構成されている。筒部10は、
図1に示すように、軸方向に延在する本体部11と、本体部11およびシート材20の間に設けられる幅広部12と、内周に向けて突出する一対の突起部13、14と、を有する。
【0020】
本体部11は、医療器具90が挿入されるルーメン11Lを備える。本体部11の基端部11Eは、
図1に示すように、耐キンクプロテクタ93およびハブ92の形状に対応して、基端側に連れて拡径するテーパ状に構成されている。
【0021】
幅広部12は、本体部11の両端に設けられる。幅広部12は、本体部11より径方向に幅広となるように構成される。幅広部12を形成する方法は特に限定されないが、本体部11をチューブ状に形成した後に、幅広部12が形成される分の空洞を備えるドーナツ状の型に、チューブ状の本体部11を挿入した状態で成型することによって製造することができる。このとき、幅広部12は本体部11と別体である。このように本体部11の両端に本体部11よりも径方向に幅広部12が形成されることによって、幅広部12およびシート材20を熱融着させる際に、互いの接触面積が増加するため、好適に本体部11およびシート材20を熱融着させることができる。幅広部12を形成する方法としては、上述の方法に限定されず、本体部11をチューブ状に形成した後に、幅広部12の形状を備える金型に押し当てて形成する方法や、本体部11および幅広部12が形成される分の空洞を備える金型を用いて成型する方法等が挙げられる。
【0022】
一対の突起部13、14は、筒部10の内周側に突出するように、筒部10の内周側に設けられる。一対の突起部13、14は、先端側に設けられる第1突起部13と、基端側に設けられる第2突起部14と、を有する。本実施形態において、第1突起部13は、医療器具90の本体部91を固定する箇所に形成され、第2突起部14は、医療器具90の耐キンクプロテクタ93を固定する箇所に形成される。なお、第1突起部13および第2突起部14が形成される箇所は上述した箇所に限定されるものではない。さらに突起部は1つでもよいし、3つ以上でもよいし、設けられなくてもよい。
【0023】
突起部13、14の径方向の内方に突出する量は特に限定されないが、例えば0.5~3.0mmである。このように突起部13、14が設けられることによって、医療器具90を包装用筒1に挿入した際に、突起部13、14によって医療機器90を固定することができ、例えば搬送中における軸方向への移動を規制することができる。
【0024】
本体部11の軸方向に沿う長さは、特に限定されないが、450~4500mmであり、1500mm未満であればまっすぐの状態でもよく、1500mmを超えるものは巻回させてもよい。
【0025】
筒部10を構成する材料としては、特に限定されないが、例えばポリエチレンを用いることができる。
【0026】
シート材20は、エチレンオキサイドガス等の滅菌ガスを透過可能な滅菌ガス透過性を有する一方、バクテリアが通過不能に構成されている。シート材20は、筒部10の軸方向の両端に設けられる。シート材20は、筒部10の軸方向の左端に熱融着される第1シート材21と、筒部10の軸方向の右端に熱融着される第2シート材22と、を有する。
【0027】
第1シート材21は、筒部10の左側の幅広部12に融着される。第1シート材21の外径は、筒部10の左側の幅広部12の外径に対してわずかに大きくなるように構成されている。すなわち、第1シート材21は、本体部11のルーメン11Lを封止するようにルーメン11Lを覆って配置される。
【0028】
第2シート材22は、筒部10の右側の幅広部12に融着される。第2シート材22は、本体部11のルーメン11Aを封止するようにルーメン11Aを覆って配置される。第2シート材22は、
図1に示すように、第2シート材22を筒部10から剥がす際に把持可能な把持部23を有する。この構成によれば、容易に第2シート材22を筒部10から剥がすことができる。
【0029】
シート材20を構成する材料としては、例えば紙材、織布、タイベック(登録商標)等の不織布等の比較的硬質で、かつガス透過性を有する多孔質体を用いることができる。
【0030】
<梱包方法>
次に、
図2~
図4Bを参照して、上述した実施形態に係る複数本の包装用筒1を、出荷箱50に梱包する梱包方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る包装用筒1が出荷箱50に梱包される一の例を示す概略上面図である。
図3Aは、本実施形態に係る包装用筒1が出荷箱50に梱包される二の例を示す左側面図である。
図3Bは、本実施形態に係る包装用筒1が出荷箱50に梱包される二の例を示す右側面図である。
図4Aは、本実施形態に係る包装用筒1が出荷箱50に梱包される三の例を示す左側面図である。
図4Bは、本実施形態に係る包装用筒1が出荷箱50に梱包される三の例を示す右側面図である。
【0031】
まず、
図2を参照して、梱包方法の一の例について説明する。
【0032】
梱包方法の一の例では、
図2に示すように、医療器具90がそれぞれ収納された4本の包装用筒1が出荷箱50に梱包される。このとき、隣り合う包装用筒1は、
図2に示すように向きが逆となる、言い換えると
図2の上下方向の中心線に対して線対称となるように、互い違いに配置されることが好ましい。この梱包方法によれば、外径の小さい箇所および外径の大きい箇所を互い違いに配置することになるため、少ない容積で多くの包装用筒1を梱包することができる。なお、
図2では、高さ方向は1段のみ梱包される。
【0033】
次に、
図3Aおよび
図3Bを参照して、梱包方法の二の例について説明する。
【0034】
梱包方法の二の例では、
図3A、
図3Bに示すように、出荷箱50の最下段に6本の包装用筒1を配置する。このとき、梱包方法の一の例とは異なり、包装用筒1の向きが同じである。言い換えると中心線に対して互い違いとならないように配置する。そして、2段目において、6本の包装用筒1の間の5か所に、包装用筒1を配置する。そして、3段目において、5本の包装用筒1の間の4か所、および両サイドの6か所に、包装用筒1を配置する。これにより、常に同じ側から取り出すことができる。
【0035】
次に、
図4Aおよび
図4Bを参照して、梱包方法の三の例について説明する。
【0036】
梱包方法の三の例では、
図4A、
図4Bに示すように、出荷箱50の最下段に8本の包装用筒1を配置する。このとき、梱包方法の一の例と同様に、隣り合う包装用筒1は、
図2に示すように向きが逆となる、言い換えると中心線に対して互い違いとなるように配置する。そして、2段目において、8本の包装用筒1のうち、外径が大きい側の包装用筒1の上方には外径が小さい側の包装用筒1が、一方外径が小さい側の包装用筒1の上方には外径が大きい側の包装用筒1がそれぞれくるように、中心線に対して互い違いとなるように配置する。そして、3段目において、8本の包装用筒1のうち、外径が大きい側の包装用筒1の上方には外径が小さい側の包装用筒1が、一方外径が小さい側の包装用筒1の上方には外径が大きい側の包装用筒1がそれぞれくるように、中心線に対して互い違いとなるように配置する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る包装用筒1は、長尺な医療器具90を包装する筒状の包装用筒1である。包装用筒1は、医療器具90が挿入され、軸方向に延在する筒部10と、筒部10の軸方向の両端に設けられ、滅菌ガスが通過可能かつバクテリアが通過不能なシート材20と、を有する。このように構成された包装用筒1によれば、医療器具90が包装された包装用筒1をそのまま出荷箱に梱包することができる。したがって、包装用筒1が個装袋および単位箱の役割を担うため、梱包資材の使用量を低減することができる。以上から、輸送時の包装資材の使用量を低減可能な包装用筒1を提供することができる。
【0038】
また、上述の包装用筒1によれば、シート材20が両端にのみ設けられるため、従来の構成と比較して、シート材(タイベック)20の使用量も低減することができる。さらに包装用筒1は、医療器具90の構成に対応した細長い形状を備えているため、従来の直方体の単位箱と比較して小さくすることができ、出荷箱50に入れる単位箱の本数を増やすことができる。
【0039】
また、筒部10は、軸方向に延在する本体部11と、本体部11およびシート材20の間に設けられ、本体部11より径方向に幅広な幅広部12と、を有する。このように構成された包装用筒1によれば、幅広部12およびシート材20を熱融着させる際に、互いの接触面積が増加するため、好適に本体部11およびシート材20を熱融着させることができる。
【0040】
また、筒部10は、筒部10の内周の、軸方向の先端側および基端側に一対設けられるとともに、内周に向けて突出する突起部13、14を有する。このように構成された包装用筒1によれば、医療器具90を包装用筒1に挿入した際に、突起部13、14によって固定することができ、例えば搬送中に軸方向への移動を規制することができる。
【0041】
また、シート材20のうち基端側の第2シート材22は、第2シート材22を筒部10から剥がす際に把持可能な把持部23を有する。このように構成された包装用筒1によれば、容易に第2シート材22を筒部10から剥がすことができる。
【0042】
また、以上説明したように本実施形態に係る梱包方法は、複数本の包装用筒1を、出荷箱50に梱包する方法である。この方法によれば、多くの包装用筒1を、出荷箱50に梱包することができる。
【0043】
以上、実施形態を通じて本発明に係る包装用筒1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、幅広部12は、本体部11をチューブ状に形成した後に、幅広部12が形成される分の空洞を備えるドーナツ状の型に、チューブ状の本体部11を挿入した状態で成型することによって製造した。幅広部12は、この製造方法に限定されず、本体部11をチューブ状に形成した後に、シート材20に対して押し付けながら熱融着することによって、幅広部をラッパ状に拡径することによって製造してもよい。このとき、幅広部および本体部は一体的に構成される。
【0045】
また、上述した実施形態では、包装用筒1は幅広部12を有したが、幅広部が設けられなくてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、包装用筒1は把持部23を有したが、把持部が設けられなくてもよい。
【0047】
また、梱包方法は上述した方法に限定されず、複数本の包装用筒1を、出荷箱50に梱包する形態であれば、任意の方法を採用し得る。
【符号の説明】
【0048】
1 包装用筒、
10 筒部、
11 本体部、
12 幅広部、
13 第1突起部(突起部)、
14 第2突起部(突起部)、
20 シート材、
21 第1シート材、
22 第2シート材、
23 把持部、
50 出荷箱、
90 医療器具。