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  • 特開-包装体および固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158667
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装体および固定方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/16 20060101AFI20241031BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61M25/16
A61M25/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074033
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】本田 紘太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA34
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267CC29
4C267GG46
4C267HH07
(57)【要約】
【課題】医療器具が損傷することなく医療器具を取り出すことのできる包装体を提供する。
【解決手段】包装体1は、滅菌ガスが通過不能なフィルム材10、および滅菌ガスが通過可能な多孔質体20を接合して形成され、長尺な医療器具90が包装される包装体であって、包装される医療器具の周囲を囲うように、フィルム材および多孔質体が接合された第1接合部30と、医療器具を挟むように、フィルム材および多孔質体が接合された第2接合部40と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌ガスが通過不能なフィルム材、および前記滅菌ガスが通過可能な多孔質体を接合して形成され、長尺な医療器具が包装される包装体であって、
包装される前記医療器具の周囲を囲うように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合された第1接合部と、
前記医療器具を挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合された第2接合部と、を有する包装体。
【請求項2】
前記第2接合部は、前記医療器具のハブまたは耐キンクプロテクタを挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合されて構成される、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記第2接合部は、隣り合う2点が前記医療器具を挟むように3点において、前記フィルム材および前記多孔質体が接合されて構成される、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記多孔質体は、前記フィルム材から離間する向きに突出し、前記医療器具が載置可能な突出部を有する、請求項1または2に記載の包装体。
【請求項5】
滅菌ガスが通過不能なフィルム材、および前記滅菌ガスが通過可能な多孔質体の3辺が接合して形成される袋状の包装体に対して、医療器具を挿入する工程と、
残りの1辺を接合して、前記医療器具を封止する工程と、
前記医療器具を挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体を接合する工程と、を有する固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体および固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、カテーテルのような可撓性を有する長尺な医療用具は、タブ(爪)によって台紙に固定された状態で、密封した袋状の包装体(個装袋)に収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007-527295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている構成では、医療器具をタブによって台紙に固定しているため、医療器具を取り出す際に、医療器具が損傷してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、医療器具が損傷することなく医療器具を取り出すことのできる包装体、および固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)
滅菌ガスが通過不能なフィルム材、および前記滅菌ガスが通過可能な多孔質体を接合して形成され、長尺な医療器具が包装される包装体であって、
包装される前記医療器具の周囲を囲うように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合された第1接合部と、
前記医療器具を挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合された第2接合部と、を有する包装体。
【0008】
(2)
前記第2接合部は、前記医療器具のハブまたは耐キンクプロテクタを挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体が接合されて構成される、(1)に記載の包装体。
【0009】
(3)
前記第2接合部は、隣り合う2点が前記医療器具を挟むように3点において、前記フィルム材および前記多孔質体が接合されて構成される、(1)または(2)に記載の包装体。
【0010】
(4)
前記多孔質体は、前記多孔質体から離間する向きに突出し、前記医療器具が載置可能な突出部を有する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の包装体。
【0011】
(5)
滅菌ガスが通過不能なフィルム材、および前記滅菌ガスが通過可能な多孔質体を3辺が接合して形成される袋状の包装体に対して、医療器具を挿入する工程と、
残りの1辺を接合して、前記医療器具を封止する工程と、
前記医療器具を挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体を接合する工程と、を有する固定方法。
【発明の効果】
【0012】
上述のように構成した包装体によれば、第2接合部によって医療器具を挟むように、フィルム材および多孔質体が接合されているため、フィルム材および多孔質体を剥がして医療器具を取り出すことができる。したがって、医療器具を取り出す際に、医療器具が損傷することなく医療器具を取り出すことができる。
【0013】
また、上述の固定方法によれば、医療器具を挟むように、前記フィルム材および前記多孔質体を接合しているため、フィルム材および多孔質体を剥がして医療器具を取り出すことができる。したがって、医療器具を取り出す際に、医療器具が損傷することなく医療器具を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る包装体を示す概略上面図である。
図2】本実施形態に係る包装体の基端部を示す拡大した概略上面図である。
図3図1の3-3線に沿う断面図である。
図4】本実施形態に係る包装体から医療器具を取り出す際の状態を示す、図1に対応する図である。
図5】本実施形態に係る包装体から医療器具を取り出す際の状態を示す、拡大した概略上面図である。
図6】変形例1に係る包装体を示す拡大した概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0016】
以下、図1図3を参照して、本実施形態に係る包装体1の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る包装体1を示す概略上面図である。図2は、本実施形態に係る包装体1の基端部を示す拡大した概略上面図である。図3は、図1の3-3線に沿う断面図である。図1において、医療器具90は実線によって示す。また、各図においてドット柄の箇所は、フィルム材10と多孔質体20が接合されている領域を示す。
【0017】
包装体1は、図1図3に示すように、内部に医療器具90が包装された状態で、フィルム材10および多孔質体20を接合して形成される。図1図2において、紙面の手前側にフィルム材10が配置され、紙面の奥側に多孔質体20が配置されている。
【0018】
包装体1に包装される医療器具90は、特に制限されず、血管造影・治療用カテーテル等の長尺な器具であればよい。具体的には、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、血管内超音波診断カテーテル、ガイディングシース等が挙げられ、ガイドワイヤでもよい。医療器具90は、軸方向に延在する本体部91と、基端に設けられるハブ92と、本体部91およびハブ92の間に設けられる耐キンクプロテクタ93と、を有する。医療器具90の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0019】
フィルム材10は、可撓性とガスバリア性を有し、内部の視認性を確保するために実質的に透明な軟質樹脂製である。
【0020】
多孔質体20は、例えば紙材、織布、タイベック(登録商標)等の不織布等の比較的硬質で、かつガス透過性と遮菌性を有する。
【0021】
多孔質体20は、図3に示すように、フィルム材10から離間する向きに突出し、かつ医療器具90が載置可能な突出部21を有する。このように突出部21が設けられることによって、医療器具90の位置ずれを防止することができる。
【0022】
フィルム材10および多孔質体20からなる包装体1は、例えばエチレンオキサイドガス等の滅菌ガスを透過可能な気体透過性を有する。
【0023】
以下、図1図3を参照して、本実施形態に係る包装体1の第1接合部30および第2接合部40について説明する。
【0024】
第1接合部30は、包装される医療器具90の周囲を囲むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成される。フィルム材10および多孔質体20の接合方法は、術者等により器具取り出し時に両者が剥離可能な程度の接着力で接合可能な方法であれば特に限定されない。接合方法としては、例えば熱融着や超音波融着等の融着により接合する方法や、接着剤を用いて接着する方法が挙げられる。
【0025】
第1接合部30は、図1に示すように、先端側に形成される先端接合部31と、基端側に形成される基端接合部32と、先端接合部31および基端接合部32を連結するように形成される一対の連結接合部33、34と、を有する。
【0026】
本実施形態において、先端接合部31は、図1の右側に向けて屈曲するように形成されている。また、基端接合部32は、図1の上下方向に向けて直線状に構成されている。また、連結接合部33、34は、図1の左右方向に向けて直線状に構成されている。なお、第1接合部30は、医療器具90の周囲を囲むように構成されている限りにおいて、上述の構成に限定されない。
【0027】
第2接合部40は、図1図2に示すように、医療器具90を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成される。
【0028】
第2接合部40の形成方法は、第1接合部30の形成方法と同様である。
【0029】
第2接合部40は、図1図2に示すように、医療器具90の耐キンクプロテクタ93を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成される第3接合部41と、3点からなる第4接合部42と、を有する。
【0030】
第3接合部41は、直線状かつ包装体1の長軸に直交するように構成されている。
【0031】
第4接合部42は、図1図2に示すように円状に構成されている。3点の第4接合部42は、軸方向に隣り合う2点が医療器具90を挟むように構成されている。なお、第2接合部40は、医療器具90を挟むように構成されている限りにおいて、上述の構成に限定されない。
【0032】
次に、医療器具90を、包装体1に包装して固定する固定方法について説明する。
【0033】
まず、先端接合部31および連結接合部33、34が形成された袋状の包装体1の基端側から、医療器具90の先端を挿入する。
【0034】
次に、基端接合部32を形成して、包装される医療器具90の周囲が、第1接合部30によって封止される。
【0035】
次に、第2接合部40の第3接合部41および第4接合部42を形成して、医療器具90の固定が完了する。
【0036】
次に、包装体1に包装された医療器具90の取り出し方法について、図4を参照して説明する。
【0037】
医療器具90を取り出す際は、使用者は、図4に示すように、基端接合部32、連結接合部33、34のすくなくとも基端側の一部、第3接合部41、第4接合部42の接合を剥がした後に、医療器具90を包装体1から取り出す。このため、医療器具90の損傷を防止しつつ、医療器具90を取り出すことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る包装体1は、滅菌ガスが通過不能なフィルム材10、および滅菌ガスが通過可能な多孔質体20を接合して形成され、長尺な医療器具90が包装される包装体1である。包装体1は、包装される医療器具90の周囲を囲うように、フィルム材10および多孔質体20が接合された第1接合部30と、医療器具90を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合された第2接合部40と、を有する。このように構成された包装体1によれば、第2接合部40によって医療器具90を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されているため、フィルム材10および多孔質体20を剥がして医療器具90を取り出すことができる。したがって、医療器具90を取り出す際に、医療器具90が損傷することなく医療器具90を取り出すことができる。
【0039】
また、上述の包装体1を用いることによって、台紙が不要となることで、輸送時の包装資材の使用量を低減できる。また、台紙を破棄する作業や台紙から医療器具90を取り出す作業が不要となるため、作業性が向上する。
【0040】
また、第2接合部40の第3接合部41は、医療器具90の耐キンクプロテクタ93を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成される。このように構成された包装体1によれば、より好適に、医療器具90を固定することができる。
【0041】
また、第2接合部40の第4接合部42は、隣り合う2点が医療器具90を挟むように3点において、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成される。このように構成された包装体1によれば、より好適に、医療器具90を固定することができる。
【0042】
また、多孔質体20は、フィルム材10から離間する向きに突出し、かつ医療器具90が載置可能な突出部21を有する。このように構成された包装体1によれば、医療器具90の位置ずれを防止することができる。
【0043】
また、以上説明したように本実施形態に係る固定方法は、滅菌ガスが通過不能なフィルム材10、および滅菌ガスが通過可能な多孔質体20の3辺が接合して形成される袋状の包装体1に対して、医療器具90を挿入する工程と、残りの1辺を接合して、医療器具90を封止する工程と、医療器具90を挟むように、フィルム材10および多孔質体20を接合する工程と、を有する。この固定方法によれば、医療器具90を挟むように、フィルム材10および多孔質体20を接合しているため、フィルム材10および多孔質体20を剥がして医療器具90を取り出すことができる。したがって、医療器具90を取り出す際に、医療器具90が損傷することなく医療器具90を取り出すことができる。
【0044】
以上、実施形態を通じて本発明に係る包装体1を説明したが、本発明は実施形態において説明した構成に限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、第2接合部40の第3接合部41は、医療器具90の耐キンクプロテクタ93を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成された。しかしながら、第2接合部の第3接合部は、医療器具90のハブ92を挟むように、フィルム材10および多孔質体20が接合されて構成されてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、第2接合部40は第3接合部41および第4接合部42を有したが、第2接合部は、第3接合部41および第4接合部42のどちらのみであってもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、第2接合部40は第3接合部41および第4接合部42を有したが、第2接合部140は、図6に示すように、先端側に開口したU字状に構成されてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、第4接合部42は、3点から構成された。しかしながら、第4接合部は、2点または4点以上から構成されてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、多孔質体20は突出部21を有したが、多孔質体は突出部が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 包装体、
10 フィルム材、
20 多孔質体、
21 突出部、
30 第1接合部、
40、140 第2接合部、
90 医療器具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6