(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158673
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高圧散水機
(51)【国際特許分類】
B05B 9/03 20060101AFI20241031BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20241031BHJP
E04G 23/08 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
B05B9/03
F04D29/44 D
E04G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074059
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】523168836
【氏名又は名称】株式会社ワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敬友
【テーマコード(参考)】
2E176
3H130
4F033
【Fターム(参考)】
2E176DD64
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB22
3H130AB42
3H130AB63
3H130AB69
3H130AC01
3H130BA61J
3H130CA06
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DG03X
3H130EA02J
3H130EA08J
3H130EB02J
4F033AA09
4F033BA04
4F033EA04
4F033RA14
4F033RA20
4F033RD02
4F033RD07
4F033RD10
4F033RE01
4F033RE07
4F033RE08
4F033RE11
4F033RE17
(57)【要約】
【課題】複数口設置されている吐出口接続した全てのホースで同時に遠くの散水対象物に散水可能な可搬式の高圧散水機を提供する。
【解決手段】高圧散水機1は、トラックの荷台に搭載可能な接地面積を有するフレーム2と、内部に貯水可能でフレーム2上に固定された給水タンク3と、高圧で送水可能なポンプ本体41、ポンプ本体41の上流側に取り付けられた取水配管42、及び、散水用ホースを着脱可能な吐出口44が複数口設置されてポンプ本体41の下流側に取り付けられた出水配管43を含み、取水配管42を給水タンク3と連通させてフレーム2上に固定されたポンプ装置4と、ポンプ本体41の駆動電源として、フレーム2上に固定された発電機と、を備え、ポンプ本体41は、内蔵するインペラを回転させる電動機を備え、出力値をP(kW)、吐出口44の設置口数をn(口)としたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台に搭載可能な接地面積を有するフレームと、
内部に貯水可能で前記フレーム上に固定された給水タンクと、
高圧で送水可能なポンプ本体、当該ポンプ本体の上流側に取り付けられた取水配管、及び、散水用ホースを着脱可能な吐出口が複数口設置されて当該ポンプ本体の下流側に取り付けられた出水配管を含み、当該取水配管を前記給水タンクと連通させて前記フレーム上に固定されたポンプ装置と、
前記ポンプ本体の駆動電源として、前記フレーム上に固定された発電機と、
を備え、
前記ポンプ本体は、内蔵するインペラを回転させる電動機を備え、出力値をP(kW)、前記吐出口の設置口数をn(口)としたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有する、ことを特徴とする高圧散水機。
【請求項2】
前記ポンプ本体は、複数のインペラが多段で設けられている多段渦巻ポンプである、ことを特徴とする請求項1に記載の高圧散水機。
【請求項3】
前記ポンプ本体は、インペラ段数をD(段)、前記吐出口の設置口数をn(口)としたときに、D≧2.5nの関係式が成り立つインペラ段数を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の高圧散水機。
【請求項4】
前記吐出口の設置口数は、4口である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の高圧散水機。
【請求項5】
前記給水タンクは、上部にクレーンのフックで玉掛け可能な吊り手を有し、
前記ポンプ装置及び前記発電機が、前記給水タンクを間に挟み設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の高圧散水機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧散水機に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや家屋の解体等を行う解体工事現場等において、粉塵の拡散防止等を目的として散水が行われる。このような散水を行うための装置として、給水タンク、ポンプ装置、発電機、制御盤等がフレーム上に一体的に搭載された高圧散水機が知られている(例えば、特許文献1)。高圧散水機の本体には吐出口が設けられており、吐出口にホースを接続することにより本体から離れた対象物に散水を行うことができる。また、建造物内の給水先へ給水するためのポンプ装置として、例えば多段渦巻ポンプが知られている(例えば、特許文献2)。
【0003】
特許文献1に記載の散水機は、高圧散水用の吐出口と低圧散水用の吐出口とを備えるとともに、高水圧の水を低水圧に減圧するための減圧弁を備え、水を切り替えレバーで選択的に高圧散水経路と低圧散水経路とに流通させる。これにより、高層建造物や低層建造物といったさまざまな解体工事に対応しやすい散水機となっている。
【0004】
特許文献2に記載の給水用のポンプ装置は、複数のインペラがポンプケーシング内に多段で設けられており、軸受のスラスト荷重を支持可能であって、潤滑剤の飛散を防止可能に構成された多段渦巻ポンプである。このような多段渦巻ポンプは、インペラの数を複数設けることで水を高揚程まで用水することができるとともに、縦置きとすることで接地面積を小さくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-007068号公報
【特許文献2】特開2016-108951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解体工事現場では、同時に別々の散水対象物に散水したいが、高圧散水機の台数を増やしたくなく、高圧散水機には吐出口を複数口設置して欲しいという要求がある。そのうえ、高圧散水機に設置されている吐出口全てにホースを接続して全てのホースで同時に遠くの散水対象物に散水したいという要求がある。なお、高圧散水機は、クレーンでトラックの荷台に搭載可能な可搬式であることが要求されており、サイズ・重量に制約がある。
【0007】
本発明は、かかる要求に鑑みなされたものであり、複数口設置されている吐出口全てにホースを接続したとしても全てのホースで同時に遠くの散水対象物に散水可能な可搬式の高圧散水機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記課題を解決すべく、本発明に係る高圧散水機は、トラックの荷台に搭載可能な接地面積を有するフレームと、内部に貯水可能でフレーム上に固定された給水タンクと、高圧で送水可能なポンプ本体、ポンプ本体の上流側に取り付けられた取水配管、及び、散水用ホースを着脱可能な吐出口が複数口設置されてポンプ本体の下流側に取り付けられた出水配管を含み、取水配管を給水タンクと連通させてフレーム上に固定されたポンプ装置と、前記ポンプ本体の駆動電源として、前記フレーム上に固定された発電機と、を備え、ポンプ本体が、内蔵するインペラを回転させる電動機を備え、出力値をP(kW)、吐出口の設置口数をn(口)としたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有することを特徴とする。
【0009】
[2]本発明に係る高圧散水機においては、ポンプ本体は、複数のインペラが多段で設けられている多段渦巻ポンプである、ことが好ましい。
【0010】
[3]本発明に係る高圧散水機においては、ポンプ本体は、インペラ段数をD(段)、吐出口の設置口数をn(口)としたときに、D≧2.5nの関係式が成り立つインペラ段数を有することが好ましい。
【0011】
[4]本発明に係る高圧散水機においては、吐出口の設置口数は4口である、ことが好ましい。
【0012】
[5]本発明に係る高圧散水機においては、給水タンクは、上部にクレーンのフックで玉掛け可能な吊り手を有し、ポンプ装置及び発電機が、給水タンクを間に挟み設置されている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数口設置されている吐出口全てにホースを接続したとしても全てのホースで同時に遠くの散水対象物に散水可能な可搬式の高圧散水機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】
図1の高圧散水機に搭載されているポンプ装置の側面図である。
【
図5】
図1の高圧散水機に搭載されているポンプ装置の特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態である高圧散水機を説明する。なお、各図面は必ずしも全ての構成・形状を示したものでも実際の寸法を厳密に反映したものでもない。
【0016】
(1.実施形態に係る高圧散水機の構成)
図1~
図3は、それぞれ、実施形態に係る高圧散水機1の正面図、上面図、及び側面図である。
図4は、実施形態に係る高圧散水機1に搭載されているポンプ装置4の側面図である。
図5は、実施形態に係る高圧散水機1に搭載されているポンプ装置4の特性図である。
【0017】
高圧散水機1は、例えば、ビルや家屋の解体等を行う解体工事現場等において、粉塵の拡散防止等を目的として散水する際に用いられる。高圧散水機1は、
図1~
図3に示すように、土台となるフレーム2、大量の水を貯水可能な給水タンク3、高圧で送水可能なポンプ装置4、ポンプ装置4の駆動電源を含む電気を発電可能な発電機5、ポンプ装置4の作動制御等を行うための操作盤6を備えている。
【0018】
フレーム2は、平面的に広がり、その上面に重量物が搭載可能なように強固に枠組みされたスチール構造体である。フレーム2の側面にはフォークリフトによって運搬しやすいように、フォーク差し込み穴が設けられている。フレーム2は、一般的な中型トラックの荷台幅(平ボディの荷台幅寸法)に整合して搭載可能な接地面積を有する。具体的には、フレーム2は、幅約1900mm、長さ約3350mmで、平面視略矩形状に形成されている。
【0019】
給水タンク3は、内部に貯水可能なタンク本体31と、タンク本体31の側面に取り付けられた給水配管32と、給水配管32に複数口設置された給水口33と、タンク本体31の上部に設けられた吊り手34と、タンク本体31の上面に設けられたハッチ35とを含み構成されている。給水タンク3は、
図1に示すように、フレーム上に固定されている。また、給水タンク3は、
図2に示すように、中央部に配置されている。
【0020】
タンク本体31は、鉄板を用いた略直方体形状の箱体として形成されており、貯水可能な内部空間を有する。具体的には、タンク本体31は、一例として6m3の内部空間容量を有するような箱体として形成されている。タンク本体31の上面には内部の保守点検用に人が通れる程度の開口が形成されている。
【0021】
給水配管32は、タンク本体31の側方上部に取り付けられており、タンク本体31内部と連通している。
【0022】
給水口33は、全開から停止まで流量を変更可能な調整バルブ及びそれを操作するための調整レバー、並びに、給水用ホースの先端プラグを着脱可能なニップル形状を有し、給水配管32の管側面に2口並んで設置されている。この給水口33に給水用ホースを接続し、給水配管32を介して給水タンク3に水を注入することができる。なお、給水口33は、本実施形態では2口設置されているが、注入スピードやコスト等を考慮して必要に応じて設置口数が設定されればよい。
【0023】
吊り手34は、例えば、
図2及び
図3に示すように、タンク本体31の上部4か所に接合された貫通孔を有する強度のある鉄のプレートである。使用者は、吊り手34に設けられた貫通孔にクレーンのフックで玉掛けして高圧散水機1全体を持ち上げることができる。吊り手34は、高圧散水機1を持ち上げた際の重量バランスが考慮されて位置決めされている。
【0024】
ハッチ35は、タンク本体31の上面に内部の保守点検用に人が通れる程度に形成された開口を覆う板状の蓋である。使用者は、ハッチ35を開いてタンク本体31の内部を点検することができる。
【0025】
ポンプ装置4は、取水した水を高圧で送水することが可能なポンプ本体41と、ポンプ本体41内に水を導入するための取水配管42と、ポンプ本体41の力で高圧で送り出される水が流れるための出水配管43と、出水配管43に複数口設置された吐出口44と、圧力を計測するための圧力計45と、を含み構成されている。ポンプ装置4は、取水配管42を給水タンク3内部と連通させてフレーム2上に固定されている。ポンプ装置4は、給水タンク3の一方の側面に沿って配置されている。
【0026】
ポンプ本体41は、
図4に示すように、土台となるポンプベース41aと、取水配管42を取り付けるための取り付け用フランジを含む取水配管取付部41bと、出水配管43を取り付けるための取り付け用フランジを含む出水配管取付部41cと、内部にインペラ(羽根車)が多段で配置されたインペラハウジング41dと、インバータ(図示せず)の駆動指令を受けてインペラを回転させるポンプモータ(三相誘導電動機)41eと、インペラハウジング41d内のインペラ回転軸とポンプモータ41eの回転軸とを接続するためのカップリング41fとを含み構成されている。ポンプ本体41は、モータ回転軸を鉛直方向に設けた縦置きの多段渦巻ポンプである。ポンプベース41a、取水配管取付部41b、出水配管取付部41c、インペラハウジング41d、ポンプモータ41e、及びカップリング41fを含み構成される多段渦巻ポンプについては、既知であるため、その基本構造についての説明を省略する。高圧散水機においては、散水する目的に応じた流量のポンプ本体が適宜選択されればよいが、実施形態に係る高層ビルの解体工事現場でも用いることができる高圧散水機1には、後述するように4口設置された吐出口44それぞれから十分な量で散水可能であることが望ましく、標準流量20(m
3/h)のポンプ本体41が採用されている。
【0027】
ポンプ本体41についてさらに説明すると、ポンプ本体41は、出力値(電動機出力の値)をP(kW)、吐出口44の設置口数をn(口)としたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有している。具体的には、ポンプ装置4には後述するように4口の吐出口44が設置されていることから、ポンプ本体41としては、10kW以上の出力値を有するポンプが採用されている。
【0028】
また、ポンプ本体41についてさらに説明すると、ポンプ本体41としての多段渦巻ポンプは、インペラ段数をD(段)、吐出口44の設置口数をn(口)としたときに、D≧2.5nの関係式が成り立つインペラ段数を有している。具体的には、ポンプ装置4には後述するように4口の吐出口44が設置されていることから、ポンプ本体41としては、インペラハウジング41d内にインペラが10段以上重なって配置された渦巻ポンプが採用されている。ポンプ本体41は、例えば、インペラを10段配置した出力11kW型として、
図5に示すようなポンプ特性のものを採用することができる。
図5は、ポンプ本体41の全揚程-吐出し量の特性図(H-Q特性図)であって、縦軸に全揚程(m) 、横軸に吐出し量(m
3/min) をとり、ポンプモータ41eの回転速度に対応した「高圧」と「低圧」とからなる2本の右下がりの曲線が表されている。
【0029】
取水配管42は、全開から停止まで流量を変更可能な調整バルブ及びそれを操作するための調整レバー、及び両端に取付用のフランジを有し、ポンプ本体41の上流側に取り付けられている。取水配管42は、上流側のフランジが給水タンク3、下流側のフランジがポンプ本体41の取水配管取付部41bに接続されており、給水タンク3内の水をポンプ本体41に導いている。
【0030】
出水配管43は、全開から停止まで流量を変更可能な調整バルブ及びそれを操作するための調整レバー、及び一端に取付用のフランジを有し、ポンプ本体41の下流側に取り付けられている。出水配管43は、フランジがポンプ本体41の出水配管取付部41cに接続されており、ポンプ本体41によって高圧で送り出された水を後述の吐出口44に接続される散水用ホースに導いている。
【0031】
吐出口44は、全開から停止まで流量を変更可能な調整バルブ及びそれを調整するための調整レバー、並びに、散水用ホースの先端プラグを着脱可能なニップル形状を有し、出水配管43の管側面に4口並んで設置されている。この吐出口44に散水用ホースを接続し、出水配管43を介して散水対象に対し散水することができる。なお、吐出口44は、本実施形態では4口設置されているが、散水量や対象物までの距離を考慮して必要に応じて設置口数が設定されればよい。
【0032】
圧力計45は、出水配管43に設置され、出水配管内の圧力、すなわち吐出のための圧力を表示することができる。
【0033】
発電機5は、比較的小型で機動性に優れた出力25kVAクラスのエンジン発電機であって、
図1及び
図2に示すように、防音性のケーシングに収められた状態で、フレーム2上に固定されている。発電機5は、給水タンク3の他方(ポンプ装置4が配置されている側とは反対側の方向)の側面に沿って配置されている。すなわち、高圧散水機1においては、ポンプ装置4及び発電機5が、給水タンク3を間に挟み互いに離して設置されている。発電機5は、前述したようにポンプ装置4の駆動電源を含む電気を発電可能であり、例えば、AC3相/200V/50Hzの電源装置となる。
【0034】
操作盤6は、操作性を考慮して、給水タンク3の一方(発電機5が配置されている側とは反対側の方向)の側面に、ポンプ装置4と横並びで配置されている。操作盤6は、ポンプ装置4の作動操作や作動状態の確認等を行うことができる。
【0035】
(2.実施形態に係る高圧散水機1の搬送及び使用方法)
以下に高圧散水機1の使用例として、ビルの解体現場での散水方法について説明する。ビルの解体現場においては、例えば、散水対象が遠くにあり、高圧散水機1の設置場所から100m程度ホースを延ばして散水を行う場合がある。したがって、散水用ホースとして指定される耐圧ホースについては、遠隔場所で使用するのに十分な長さのものが選定される。
【0036】
まず、使用者は、現場移動の際やストック施設から搬出する際に、高圧散水機1を給水タンク3に設けられた吊り手34にクレーンで玉掛けしてトラックの荷台に搭載する。その後、高圧散水機1が搭載されたトラックをビルの解体現場に移動させ、高圧散水機1をトラックの荷台から散水に適した場所に降ろすことで、散水のために配置する。
【0037】
使用者は、散水のために配置された高圧散水機1に対し、給水口33に給水用ホースを接続し、給水配管32を介してタンク本体31に水を注入する。使用者は、タンク本体31に貯水した後、給水用ホースを散水状況に応じて適宜外してもよいし、散水中にも給水タンク3に水を供給し続けるために接続したままにしてもよい。
【0038】
使用者は、給水タンク3に貯水された高圧散水機1に対し、散水対象の箇所数に応じて吐出口44に散水用ホースを接続した後、発電機5を駆動し、操作盤6の切替スイッチを「高圧」に設定した状態で、始動ボタンを操作してポンプ装置4を作動させる。なお、実施形態の高圧散水機1は、4口全ての吐出口44に散水用ホースを接続した状態で、100m程度離れた散水地点までホースを延ばしても、各ホースの散水ノズルから一定量以上の水を勢いよく噴射することが可能な散水能力を有し、接続される散水用ホースの数が減れば、その接続された散水用ホースをさらに遠くまで延ばして散水可能な能力を有する。
【0039】
使用者は、手持ちの散水ノズルを操作して、散水対象物に向けて散水を開始する。使用者は、連続散水時間が長時間の場合には、給水口33から給水を続けながら散水を行ってもよい。なお、使用者は、高圧散水機1の設置場所から散水対象物が近い場合には、操作盤6を操作してポンプ装置4の設定圧力を「低圧」に調整したり、各所に設けられた調整バルブを調整して必要な流量や勢いを調整したりすればよい。
【0040】
(3.実施形態に係る効果)
高圧散水機1は、給水タンク3及びポンプ装置4が固定されるフレーム2がトラックの荷台に搭載可能な接地面積を有するため、コンパクトな可搬式の高圧散水機として構成できている。また、高圧散水機1は、高圧で送水可能なポンプ本体41、及び散水用ホースを着脱可能な吐出口44が複数口設置されてポンプ本体41の下流側に取り付けられた出水配管43を含むポンプ装置4を備えている。そして、高圧散水機1は、ポンプ本体41が、出力値(kW)をP、吐出口44の設置口数(口)をnとしたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有している。高圧散水機1によれば、少なくとも1吐出口44あたり2.5kWの出力値から生じる圧力での高圧散水機能が確保できるため、複数口設置されている吐出口44全てにホースを接続したとしても、高圧散水機1から遠くに配備した各散水ノズルで同時に十分な量の散水を行うことができる。
【0041】
その結果、高圧散水機1は、複数口設置されている吐出口44全てにホースを接続したとしても全てのホースで同時に遠くの位置まで散水可能な可搬式の高圧散水機となる。
【0042】
高圧散水機1においては、ポンプ本体41は多段渦巻ポンプである。高圧散水機1のように多段渦巻ポンプを採用することで、ポンプ本体41を縦置きで配管路に組み込むことが可能となり、高出力値を確保したうえで輸送性にも優れたコンパクトな可搬式の高圧散水機を構成できる。
【0043】
さらに具体的には、高圧散水機1においては、ポンプ本体41としての多段渦巻ポンプがインペラ段数(段)をD、吐出口44の設置口数(口)をnとしたときに、D≧2.5nの関係式が成り立つインペラ段数を有している。高圧散水機1のように、このような関係式を満たす多段渦巻ポンプを採用することで、高出力値を確保したうえで接地面積を小さくできるため、複数口設置されている吐出口全てにホースを接続したとしても全てのホースで同時に遠くの散水対象物に散水することができ、コンパクトな可搬式の高圧散水機を構成できる。
【0044】
高圧散水機1においては、吐出口44の設置口数は4口である。高圧散水機1のように吐出口44の設置口数を4口とすることで、散水できる距離・範囲性能が飛躍的に向上した高圧散水機を構成できる。
【0045】
高圧散水機1においては、フレーム2上に固定され、ポンプ装置4の駆動電源を含む電気を発電可能な発電機5をさらに備えている。また、高圧散水機1においては、給水タンク3は、上部にクレーンのフックで玉掛け可能な吊り手34を有している。さらに、高圧散水機1においては、ポンプ装置4及び発電機5が、給水タンク3を間に挟み互いに離して設置されている。高圧散水機1のようにポンプ装置4及び発電機5が、給水タンク3を間に挟み設置されることで、フレーム2上の重量バランスをとることが可能となり、吊り上げ動作の安定化に寄与し、トラックの荷台に搭載しやすい高圧散水機を構成できる。
【0046】
以上、本発明を上記の実施形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0047】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、形状、位置、大きさ、容量、向き、設置箇所、等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0048】
(2)上記した実施形態の高圧散水機1においては、1つの給水タンク3に対し1機のポンプ装置4を用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。可搬式として構成できれば、1つの給水タンクに対し、ポンプ本体の出力値をP(kW)、吐出口の設置口数をn(口)としたときに、P≧2.5nの関係式が成り立つ出力値を有するポンプ装置を2機用いても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…高圧散水機、2…フレーム、3…給水タンク、4…ポンプ装置、5…発電機、6…操作盤、31…タンク本体、32…給水配管、33…給水口、34…吊り手、35…ハッチ、41…ポンプ本体、41a…ポンプベース、41b…取水配管取付部、41c…出水配管取付部、41d…インペラハウジング、41e…ポンプモータ、41f…カップリング、42…取水配管、43…出水配管、44…吐出口、45…圧力計