(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158689
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】木質化粧板及びこれを製造する木質化粧板製造方法
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B27M3/00 C
B27M3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074090
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 薫
(72)【発明者】
【氏名】守屋 覚
(72)【発明者】
【氏名】安井 森平
(72)【発明者】
【氏名】枡野 充伸
【テーマコード(参考)】
2B250
【Fターム(参考)】
2B250AA05
2B250AA13
2B250CA11
2B250DA04
2B250EA02
2B250EA13
2B250FA21
(57)【要約】
【課題】薄型化を図りながらも、反りを抑制し、かつ軽量化を図り得る木質化粧板及びこれを製造する木質化粧板製造方法を提供する。
【解決手段】第1方向に長尺な木質化粧板1であって、繊維方向が第1方向とされ化粧層を構成する厚さが0.6mm以下の化粧単板10と、それぞれに厚さが0.6mm以下で基材層11を構成する複数枚の基材単板12,14と、が積層接着されて総厚さが3.0mm以下とされており、前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向に直交する第2方向とされた複数本の木材3を第1方向に並列状に集成した集成材2から形成された集成クロス単板12である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に長尺な木質化粧板であって、
繊維方向が第1方向とされ化粧層を構成する厚さが0.6mm以下の化粧単板と、それぞれに厚さが0.6mm以下で基材層を構成する複数枚の基材単板と、が積層接着されて総厚さが3.0mm以下とされており、
前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向に直交する第2方向とされた複数本の木材を第1方向に並列状に集成した集成材から形成された集成クロス単板であることを特徴とする木質化粧板。
【請求項2】
請求項1において、
前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向とされた複数本の木材を集成した集成材から形成された集成ロング単板であることを特徴とする木質化粧板。
【請求項3】
請求項2において、
前記基材層には、同厚さとされた複数枚の前記集成クロス単板及び同厚さとされた複数枚の前記集成ロング単板のうちの一方または両方が設けられていることを特徴とする木質化粧板。
【請求項4】
請求項1において、
前記化粧単板及び前記基材単板のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する前記基材単板のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板の厚さ比率が30%~70%であることを特徴とする木質化粧板。
【請求項5】
請求項4において、
前記基材層は、2枚または3枚の前記基材単板から構成され、当該木質化粧板の総厚さが1.8mm以下とされており、
前記化粧単板及び前記基材単板のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する前記基材単板のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板の厚さ比率が48%~70%であることを特徴とする木質化粧板。
【請求項6】
請求項4において、
前記基材層は、4枚~6枚の前記基材単板から構成され、当該木質化粧板の総厚さが2.6mm以下であることを特徴とする木質化粧板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の木質化粧板を製造する木質化粧板製造方法であって、
乾燥された前記化粧単板及び乾燥された前記複数枚の基材単板を、固形分100%の接着剤によって100℃以下でプレスして積層接着することを特徴とする木質化粧板製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、木質化粧板及びこれを製造する木質化粧板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物の内装を構成する床材や壁材、天井材等として用いられたり、家具表面材等として用いられる化粧板が知られている。
例えば、下記特許文献1には、木材・プラスチック複合材から形成された中間基材層の表面側及び裏面側のそれぞれにガラス繊維シートを介して突板を積層し厚さが1.5mm~3.0mmとされた化粧板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された化粧板では、木材・プラスチック複合材から形成された中間基材層が化粧板の総厚さの大半を占めることから、比重が大きくなる傾向がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、薄型化を図りながらも、反りを抑制し、かつ軽量化を図り得る木質化粧板及びこのような木質化粧板を効率的に製造し得る木質化粧板製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る木質化粧板は、第1方向に長尺な木質化粧板であって、繊維方向が第1方向とされ化粧層を構成する厚さが0.6mm以下の化粧単板と、それぞれに厚さが0.6mm以下で基材層を構成する複数枚の基材単板と、が積層接着されて総厚さが3.0mm以下とされており、前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向に直交する第2方向とされた複数本の木材を第1方向に並列状に集成した集成材から形成された集成クロス単板であることを特徴とする。
【0007】
本開示に係る木質化粧板製造方法は、本開示に係る木質化粧板を製造する木質化粧板製造方法であって、乾燥された前記化粧単板及び乾燥された前記複数枚の基材単板を、固形分100%の接着剤によって100℃以下でプレスして積層接着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る木質化粧板は、上述のような構成としたことで、薄型化を図りながらも、反りを抑制し、かつ軽量化を図ることができる。本開示に係る木質化粧板製造方法は、このような木質化粧板を効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)、(b)は、本開示の一実施形態に係る木質化粧板を製造する木質化粧板製造方法の一例を模式的に示す概略斜視図、(c)は、同木質化粧板の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【
図2】(a)~(c)は、同木質化粧板製造方法の一例を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本開示の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1及び
図2は、本実施形態に係る木質化粧板の一例及び同木質化粧板を製造する木質化粧板製造方法の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る木質化粧板1は、
図1(c)に示すように、第1方向に長尺な構成とされている。この木質化粧板1は、繊維方向が第1方向とされ化粧層を構成する厚さが0.6mm以下の化粧単板10と、それぞれに厚さが0.6mm以下で基材層11を構成する複数枚の基材単板(12,14)と、が積層接着されて総厚さが3.0mm以下とされている。ここに、化粧単板10及び基材単板(12,14)の厚さは、積層前(プレス前)の厚さを指し、木質化粧板1の総厚さは、製造後(プレス後)の厚さを指す。
【0011】
上記のような構成とすれば、表面の化粧層が木質化粧板1の長手方向に沿う木目模様となり、意匠性を向上させることができる。また、薄型化を図りながらも、基材層が木材・プラスチック複合材等から形成されたものと比べて、軽量化を図ることができる。また、各層を単板で構成しているので、基材層を構成する木材・プラスチック複合材の熱膨張を抑制するガラス繊維シート等の補強層を設ける必要がない。また、化粧単板10を含め、それぞれの単板の厚さが0.6mm以下であるので、例えば、1mm~3mm程度の厚さの単板を積層した一般的な合板に化粧単板を積層した構成と比べて、薄型化を図りながらも積層枚数(プライ数)を増やすことができ、均質化や寸法安定化の効果が得られる。
【0012】
基材単板のうちの少なくとも一枚は、
図2(a)に示すように、それぞれの繊維方向が第1方向に直交する第2方向とされた複数本の木材(クロス木材)3を第1方向に並列状に集成した集成材(クロス集成材)2から形成された集成クロス単板12である。このような構成とすれば、繊維方向が当該木質化粧板1の長手方向とされた化粧単板10の反り等の変形を、基材単板を構成する集成クロス単板12によって抑え込むようにして抑制することができる。また、集成クロス単板12であるので、非集成の単板を積層した構成と比べて、均質化が図れ、環境変化時等における集成クロス単板12自体の変形を小さくすることができ、また、端材を有効活用することができ、環境負荷を軽減することができる。
本実施形態では、
図2(b)に示すように、基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向とされた複数本の木材(ロング木材)5を集成した集成材(ロング集成材)4から形成された集成ロング単板14である。このような構成とすれば、非集成の単板を積層した構成と比べて、均質化が図れ、環境変化時等における集成ロング単板14自体の変形を小さくすることができ、また、端材を有効活用することができ、環境負荷を軽減することができる。
【0013】
上記したような繊維方向が第2方向とされた集成クロス単板12のようなクロス単板の厚さ比率が木質化粧板1を構成する全ての単板10,12,14の厚さを足し合わせた厚さに対して小さ過ぎたり、大き過ぎたりすれば、反り等の変形が生じ易くなる傾向がある。そのため、化粧単板10及び基材単板12,14のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する基材単板12,14のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板(12)の厚さ比率が30%~70%となるように構成してもよい。クロス単板(12)の厚さを含み、化粧単板10及び基材単板12,14のそれぞれの厚さは、積層前(プレス前)の厚さを指すものとしているが、製造後(プレス後)の厚さ比率についても概ね同様となる。
【0014】
具体的には、木質化粧板1は、平面視(厚さ方向に見て)方形状とされている。この木質化粧板1は、床材や壁材、天井材等として用いられたり、家具表面材等として用いられてもよい。この木質化粧板1は、住宅に限られず、非住宅の床下地上に置敷床的に施工されてもよい。この木質化粧板1は、床下地等の施工下地に対して適宜の固着具や粘着材、接着剤等によって施工されてもよい。
この木質化粧板1の第1方向に沿う寸法(長さ寸法)や第2方向に沿う寸法(幅寸法)は、当該木質化粧板1の用途等にもよるが、例えば、600mm~2000mm程度の長さ寸法でもよく、また、100mm~400mm程度の幅寸法でもよい。
この木質化粧板1の第1方向両端部及び第2方向両端部のうちの一方または両方に、適宜の実部が設けられていてもよい。この木質化粧板1の表面側の四周縁部に適宜の面取部が設けられていてもよい。
【0015】
化粧単板10は、種々の天然木材(銘木)を薄くスライスして形成されたスライス単板(突板)でもよい。この化粧単板10を構成する原料木材としては、例えば、ナラ、バーチ(カバ)、ブナ、タモ、メープル、ウォールナット等の広葉樹木材でもよく、その他、種々の針葉樹木材でもよい。この化粧単板10は、天然乾燥または人工乾燥された乾燥単板でもよい。この化粧単板10の含水率は、25%以下(いわゆるD25程度)でもよく、好ましくは、20%以下(いわゆるD20程度)でもよく、より好ましくは、15%以下(いわゆるD15程度)でもよい。この化粧単板10は、熱板プレスによって加圧乾燥されたものでもよい。
この化粧単板10の厚さ寸法は、0.1mm以上でもよく、0.2mm~0.5mm程度でもよい。
この化粧単板10の表面には、塗装等によって適宜の保護層が形成されていてもよい。
【0016】
化粧単板10の繊維方向が第1方向、つまり、当該木質化粧板1の長手方向であるとは、天然木材であるため、概ね第1方向であればよく、また、節等によって部分的に第2方向の部分があるようなものも含む。
この化粧単板10は、後記する基材単板とは異なり、非集成の単板とされている。つまり、化粧単板10は、第1方向及び第2方向に沿う寸法が木質化粧板1の第1方向及び第2方向に沿う寸法以上の木材から形成されている。なお、このような態様に代えて、化粧単板10は、後記する集成ロング単板14と同様の集成単板でもよい。また、図例では、木目模様が板目状の化粧単板10を例示しているが、柾目状でもよい。
【0017】
基材層11は、
図1(a)の例では、2枚の基材単板から構成されている。この基材層11は、化粧単板10の裏面側の集成クロス単板12と、この集成クロス単板12の裏面側の集成ロング単板14と、を備えている。
集成クロス単板12は、
図2(a)に示すように、クロス集成材2をスライスして形成されている。
クロス集成材2は、それぞれの長手方向が第2方向となるように配された複数本の四角柱状のクロス木材(フリッチ)3を、第1方向に突き合わせて集成接着されている。図例では、第2方向に沿う寸法が木質化粧板1の第2方向に沿う寸法以上とされた複数本のクロス木材3を集成した例を示しているが、このような例に限られない。また、これらクロス木材3の第1方向に沿う寸法は、例えば、20mm~100mm程度でもよい。
これらクロス木材3の繊維方向が第2方向であるとは、上記同様、概ね第2方向であればよく、また、節等によって部分的に第1方向の部分があるようなものも含む。
【0018】
これらクロス木材3は、化粧単板10を構成する原料木材と同一の樹種でもよく、異なる樹種でもよい。また、クロス木材3は、上記のような広葉樹木材でもよく、その他、種々の針葉樹木材でもよい。
上記のようなクロス集成材2から形成された集成クロス単板12は、各クロス木材3に対応する複数のクロス片部13から構成される。
この集成クロス単板12は、化粧単板10と同様、天然乾燥または人工乾燥された乾燥単板でもよく、上記同様の含水率とされていてもよい。この集成クロス単板12は、熱板プレスによって加圧乾燥されたものでもよい。
この集成クロス単板12の厚さ寸法は、0.1mm以上でもよく、0.2mm~0.5mm程度でもよい。
【0019】
集成ロング単板14は、
図2(b)に示すように、ロング集成材4をスライスして形成されている。
ロング集成材4は、それぞれの長手方向が第1方向となるように配された複数本の四角柱状のロング木材(フリッチ)5を、第1方向及び第2方向に突き合わせて集成接着されている。これらロング木材5は、第1方向及び第2方向に沿う寸法が木質化粧板1の第1方向及び第2方向に沿う寸法よりも小とされている。図例では、ロング集成材4は、集成ロング単板14の幅方向(第2方向)に2列状に複数本のロング木材5を突き合わせ、また、集成ロング単板14の厚さ方向に見て乱貼り状となるように各列のロング木材5同士を長手方向にずらして集成した例を示している。なお、ロング集成材4の集成態様は、図例のような態様に限られず、例えば、3列状でもよく、その他、種々の集成態様でもよい。これらロング木材5の第1方向に沿う寸法は、木質化粧板1の第1方向に沿う寸法の1/5~4/5程度でもよい。これらロング木材5の第2方向に沿う寸法は、例えば、20mm~200mm程度でもよい。
【0020】
また、これらロング木材5の繊維方向が第1方向であるとは、上記同様、概ね第1方向であればよく、また、節等によって部分的に第2方向の部分があるようなものも含む。
これらロング木材5は、化粧単板10を構成する原料木材と同一の樹種でもよく、異なる樹種でもよい。また、ロング木材5は、上記のような広葉樹木材でもよく、その他、種々の針葉樹木材でもよい。
上記のようなロング集成材4から形成された集成ロング単板14は、各ロング木材5に対応する複数のロング片部15から構成される。
この集成ロング単板14は、化粧単板10と同様、天然乾燥または人工乾燥された乾燥単板でもよく、上記同様の含水率とされていてもよい。この集成ロング単板14は、熱板プレスによって加圧乾燥されたものでもよい。
この集成ロング単板14の厚さ寸法は、0.1mm以上でもよく、0.2mm~0.5mm程度でもよい。
この集成ロング単板14は、化粧単板10を製造する際に生じる不良品でもよい。つまりは、化粧単板10を製造する際に生じた不良品が基材層11を構成する基材単板として用いられていてもよい。
【0021】
上記した化粧単板10、集成クロス単板12及び集成ロング単板14を積層接着する接着剤7(
図2(c)参照)としては、種々の接着剤の採用が可能であるが、好ましくは、固形分100%の接着剤7でもよい。このような構成とすれば、各単板10,12,14への接着剤7からの水分移行を抑制することができ、パンクや反りを効果的に抑制することができる。
このような接着剤7としては、例えば、2液硬化型のウレタン系接着剤等の熱硬化系樹脂接着剤でもよく、ホットメルト接着剤等の熱可塑系樹脂接着剤でもよく、その他の非水系の接着剤でもよい。また、この接着剤7は、
図2(c)に示すように、適宜の塗布装置6によって塗布対象となる各基材単板12,14上にビード状(筋状)に塗布されてもよい。図例では、塗布対象として集成ロング単板14のみを例示しているが、集成クロス単板12にも同様に塗布される。
塗布装置6としては、第2方向に間隔を空けて複数の吐出口が設けられた吐出ノズルを、各基材単板12,14に対して相対的に第1方向に移動させながら接着剤7を吐出させて塗布する構成とされていてもよい。接着剤7の塗布態様としては、このような態様に限られず、適宜の塗布ローラーやスプレー等によって塗布する態様でもよい。また、塗布に代えて、接着剤7を構成するホットメルトシートや、接着剤7を構成する樹脂を含浸させた樹脂含浸紙を各基材単板12,14上に積層することで接着剤7を供給する態様でもよい。
また、単板同士を接着する接着剤7の供給量(塗布量)は、上記のような接着剤7の塗布態様や供給態様にもよるが、単板同士が積層されてプレスされた際に概ね全面に亘って広がるように、また、単板同士の接着が可能なように適宜の量とすればよい。単板同士を接着する接着剤7の供給量(塗布量)は、例えば、10g/m
2~150g/m
2程度でもよく、100g/m
2以下でもよい。
【0022】
次に、木質化粧板1の製造方法の一例について説明する。
本例の木質化粧板製造方法は、乾燥された化粧単板10及び乾燥された複数枚の基材単板12,14を、固形分100%の接着剤7によって100℃以下でプレスして積層接着する。このような構成とすれば、プレス前後における各単板10,12,14の含水率変化を小さくすることができ、また、接着剤7からの水分移行や単板10,12,14同士の水分移動を抑制することができ、パンクや反りを効果的に抑制することができる。
【0023】
具体的には、
図2(c)に示すように、上記のように乾燥された集成ロング単板14上に上記のように接着剤7を塗布(供給)し、同様に、乾燥された集成クロス単板12上に上記のように接着剤7を塗布(供給)する。そして、
図1(a)、(b)に示すように、これら集成ロング単板14、集成クロス単板12及び化粧単板10を積層した積層体9を、上下のプレス型を有したプレス機8に導入し、プレスする。この際のプレス温度は、60℃~100℃でもよく、好ましくは、70℃~90℃でもよい。このプレス温度が低過ぎれば、接着剤7の硬化時間が長期化する傾向があり、プレス温度が高過ぎれば、各単板10,12,14に含まれる水分が移動や蒸発して反り等が生じ易くなる傾向がある。また、この際のプレス圧は、例えば、4kgf/cm
2(約0.39MPa)~10kgf/cm
2(約0.98MPa)程度としてもよい。また、この際のプレス時間は、例えば、1分~10分程度としてもよく、2分~5分程度としてもよい。
【0024】
なお、上記のように木質化粧板1を構成する全ての単板10,12,14を積層した状態でプレス機8に導入してプレスする態様に限られない。例えば、最下層の基材単板(木質化粧板1自体の最も裏面側となる単板)上に、最下層から二枚目の基材単板を積層してプレス機8に導入し、以降、同様、一枚を積層する毎にプレス機8に導入するような態様等としてもよい。
また、プレスした後の積層体9の四周端部を、所望する木質化粧板1の寸法となるように切断するようにしてもよい。また、必要に応じて上記したような実部や面取部等を加工したり、表面に塗装等を施してもよい。
上記した木質化粧板1の製造方法は、一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。
【0025】
本実施形態に係る木質化粧板1は、上記のような態様に限られず、後記する各実施例のように、種々の態様とされていてもよく、また、その他の態様とされていてもよい。
例えば、基材層11には、同厚さとされた複数枚の集成クロス単板12及び同厚さとされた複数枚の集成ロング単板14のうちの一方または両方が設けられていてもよい。このような構成とすれば、複数枚の集成クロス単板12及び複数枚の集成ロング単板14のうちの一方または両方が同厚さであるので、基材層11を構成する基材単板12,14のうちの複数枚を同一材料によって構成することができ、製造効率を向上させることができる。つまり、例えば、基材層11は、互いに同厚さとされた2枚以上の集成クロス単板12を備えていてもよく、これに代えて、または加えて、互いに同厚さとされた2枚以上の集成ロング単板14を備えていてもよい。
【0026】
また、基材層11は、2枚または3枚の基材単板(12,14)から構成され、当該木質化粧板1の総厚さが1.8mm以下とされていてもよい。このような構成とすれば、より薄型化を図ることができる。
この構成においては、化粧単板10及び基材単板(12,14)のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する基材単板(12,14)のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板(12)の厚さ比率が48%~70%でもよい。このような構成とすれば、上記のように薄型化を図りながらも、クロス単板(12)の厚さ比率が小さ過ぎる構成と比べて、後記する各実施例においても示されるように、反り等の変形を効果的に抑制することができる。
または、基材層11は、4枚~6枚の基材単板(12,14)から構成され、当該木質化粧板1の総厚さが2.6mm以下でもよい。このような構成とすれば、それぞれに厚さが0.6mm以下とされた単板10,12,14による複数層化によって、薄型化を図りながらも反り等の変形を効果的に抑制することができる。基材層11が4枚~6枚の基材単板(12,14)から構成されている場合における当該木質化粧板1の総厚さは、より薄型化を図る観点から、2.0mm以下でもよい。
【0027】
次に、本開示に係る木質化粧板の実施例の一例について表1を参照し説明する。
各実施例1~30では、いずれも、化粧層となる化粧単板を、広葉樹木材から形成され、繊維方向が第1方向とされ、厚さが0.23mmの突板とした。各実施例1~30では、いずれも、単板同士を接着する固形分100%の接着剤を、2液硬化型ウレタン接着剤とし、塗布量を、75g/m2とした。各実施例1~30では、いずれも、積層体のプレス条件を、プレス温度80℃、プレス圧7kgf/cm2(約0.69MPa)、プレス時間3分とした。また、表1において、基材単板の「L」は、集成ロング単板を指し、「C」は、集成クロス単板を指す。また、表1におけるクロス比率は、積層前(プレス前)の各単板の厚さを足し合わせた厚さに対する積層前(プレス前)の集成クロス単板の厚さの比率を示している。また、表1における総厚さは、成形後(プレス後)の木質化粧板の厚さを示している。
【0028】
実施例1~3では、基材層を、化粧単板の裏面側に設けられ基材層の第1層となる第1単板と、これの裏面側に設けられ基材層の第2層となる第2単板と、を含む2枚の基材単板から構成した。
実施例1では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が48%の木質化粧板とした。この実施例1の木質化粧板の総厚さは、0.82mmであった。
実施例2では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が48%の木質化粧板とした。この実施例2の木質化粧板の総厚さは、0.80mmであった。
実施例3では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が74%の木質化粧板とした。この実施例3の木質化粧板の総厚さは、0.83mmであった。
【0029】
実施例4~15では、基材層を、第1単板及び第2単板に加え、第2単板の裏面側に設けられ基材層の第3層となる第3単板を含む3枚の基材単板から構成した。
実施例4では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が17%の木質化粧板とした。この実施例4の木質化粧板の総厚さは、1.25mmであった。
実施例5では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が33%の木質化粧板とした。この実施例5の木質化粧板の総厚さは、1.21mmであった。
実施例6では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、クロス比率が33%の木質化粧板とした。この実施例6の木質化粧板の総厚さは、1.21mmであった。
実施例7では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が50%の木質化粧板とした。この実施例7の木質化粧板の総厚さは、1.22mmであった。
【0030】
実施例8では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が50%の木質化粧板とした。この実施例8の木質化粧板の総厚さは、0.85mmであった。
実施例9では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が65%の木質化粧板とした。この実施例9の木質化粧板の総厚さは、1.21mmであった。
実施例10では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、クロス比率が68%の木質化粧板とした。この実施例10の木質化粧板の総厚さは、1.27mmであった。
実施例11では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が68%の木質化粧板とした。この実施例11の木質化粧板の総厚さは、1.25mmであった。
【0031】
実施例12では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、クロス比率が70%の木質化粧板とした。この実施例12の木質化粧板の総厚さは、1.36mmであった。
実施例13では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、クロス比率が62%の木質化粧板とした。この実施例13の木質化粧板の総厚さは、1.57mmであった。
実施例14では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、クロス比率が62%の木質化粧板とした。この実施例14の木質化粧板の総厚さは、1.59mmであった。
実施例15では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が85%の木質化粧板とした。この実施例15の木質化粧板の総厚さは、1.43mmであった。
【0032】
実施例16~26では、基材層を、第1単板、第2単板及び第3単板に加え、第3単板の裏面側に設けられ基材層の第4層となる第4単板を含む4枚の基材単板から構成した。
実施例16では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が32%の木質化粧板とした。この実施例16の木質化粧板の総厚さは、1.24mmであった。
実施例17では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第4単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が49%の木質化粧板とした。この実施例17の木質化粧板の総厚さは、1.61mmであった。
実施例18では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、クロス比率が43%の木質化粧板とした。この実施例18の木質化粧板の総厚さは、1.43mmであった。
【0033】
実施例19では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が49%の木質化粧板とした。この実施例19の木質化粧板の総厚さは、1.26mmであった。
実施例20では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が40%の木質化粧板とした。この実施例20の木質化粧板の総厚さは、1.05mmであった。
実施例21では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が55%の木質化粧板とした。この実施例21の木質化粧板の総厚さは、1.40mmであった。
実施例22では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が61%の木質化粧板とした。この実施例22の木質化粧板の総厚さは、1.61mmであった。
【0034】
実施例23では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が54%の木質化粧板とした。この実施例23の木質化粧板の総厚さは、1.76mmであった。
実施例24では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が70%の木質化粧板とした。この実施例24の木質化粧板の総厚さは、1.43mmであった。
実施例25では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、クロス比率が57%の木質化粧板とした。この実施例25の木質化粧板の総厚さは、1.46mmであった。
実施例26では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が70%の木質化粧板とした。この実施例26の木質化粧板の総厚さは、1.44mmであった。
【0035】
実施例27,28では、基材層を、第1単板~第4単板に加え、第4単板の裏面側に設けられ基材層の第5層となる第5単板を含む5枚の基材単板から構成した。
実施例27では、第1単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第3単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第4単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第5単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、クロス比率が43%の木質化粧板とした。この実施例27の木質化粧板の総厚さは、1.82mmであった。
実施例28では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第5単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、クロス比率が65%の木質化粧板とした。この実施例28の木質化粧板の総厚さは、1.82mmであった。
【0036】
実施例29,30では、基材層を、第1単板~第5単板に加え、第5単板の裏面側に設けられ基材層の第6層となる第6単板を含む6枚の基材単板から構成した。
実施例29では、第1単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、第5単板を、厚さが0.43mmの集成クロス単板とし、第6単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が58%の木質化粧板とした。この実施例29の木質化粧板の総厚さは、1.97mmであった。
実施例30では、第1単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第2単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第3単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第4単板を、厚さが0.43mmの集成ロング単板とし、第5単板を、厚さが0.53mmの集成クロス単板とし、第6単板を、厚さが0.23mmの集成ロング単板とし、クロス比率が55%の木質化粧板とした。この実施例30の木質化粧板の総厚さは、2.52mmであった。
【0037】
上記構成とされた各実施例1~30の木質化粧板の試験体(100mm×100mm)に対して、以下のような2種類の反り評価試験を行った。以下の各反り評価では、反り量は、水平面に載置した試験体の端部の水平面からの垂直方向への変位量とした。また、反り量が、5.0mm以下を、優(◎)とし、5.0mm超かつ10.0mm以下を、良(〇)とし、10.0mm超かつ20.0mm以下を、可(△)とし、20.0mm超を不可(×)とした。総合評価では、各反り評価の両方が優(◎)のものを、優(◎)とし、各反り評価の一方が優(◎)または良(〇)で他方が良(〇)または可(△)のものを、良(〇)とし、各反り評価の一方が優(◎)または良(〇)で他方が不可(×)のものを、可(△)とした。
【0038】
<反り評価試験:常態>
各実施例1~30の試験体を、平常状態(常態)の雰囲気に近似させた温度25℃、湿度50%の雰囲気下に72時間放置し、反り量を測定した。
結果は、表1に示すように、実施例1,2,6~14,16~30では、反り量が5.0mm以下となり、良好な結果となった。また、実施例3~5,15では、反り量が10.0mm以下であるものの、他の実施例よりも反り量が大となった。
【0039】
<反り評価試験:加湿負荷>
各実施例1~30の試験体を、温度40℃、湿度90%の高温多湿の雰囲気下に24時間放置し、上記同様、反り量を測定した。
結果は、表1に示すように、実施例8,10~14,16~30では、反り量が5.0mm以下となり、良好な結果となった。また、実施例1,2,7,9では、反り量が10.0mm以下であるものの、上記各実施例よりも反り量が大となった。また、実施例5,6では、反り量が20.0mm以下であるものの、上記各実施例よりも反り量が更に大となった。また、実施例3,4,15では、反り量が20.0mm超となり、特に実施例4では、丸まるように変形し、測定不能となった。
【表1】
以上の結果から、平常状態においては、実施例1~30のいずれも概ね良好な結果となり、薄型化を図りながらも、反りを抑制可能であることが示された。また、実施例1~15の結果から、基材単板の枚数が2枚または3枚である場合において、クロス比率が30%~70%の範囲内であれば、平常状態及び加湿負荷のいずれの場合にも、範囲外のものと比べて反り量が小さいことが示された。この場合、特に、クロス比率が48%~70%の実施例1,2,7~14の反り量がより小さくなることが示された。また、基材単板の枚数が4枚~6枚で、クロス比率が30%~70%の範囲内とされた実施例16~30は、平常状態及び加湿負荷のいずれの場合においても反り量が小さくなることが示された。
また、実施例1,3と実施例2との比較、実施例4~7,15と実施例8~14との比較から、化粧単板を含んでロング単板とクロス単板とが交互または厚さ方向中央を対称軸として線対称状に配置されているものは、基材単板の枚数が少ない場合にも、反り量が小さくなることが示された。
【0040】
<付記>
以上の実施の形態の記載により、以下の技術が開示される。
<技術1>
第1方向に長尺な木質化粧板であって、繊維方向が第1方向とされ化粧層を構成する厚さが0.6mm以下の化粧単板と、それぞれに厚さが0.6mm以下で基材層を構成する複数枚の基材単板と、が積層接着されて総厚さが3.0mm以下とされている。
<技術2>
前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向に直交する第2方向とされた複数本の木材を第1方向に並列状に集成した集成材から形成された集成クロス単板である技術1に記載の木質化粧板。
<技術3>
前記基材層には、同厚さとされた複数枚の前記集成クロス単板が設けられている技術2に記載の木質化粧板。
<技術4>
前記基材単板のうちの少なくとも一枚は、それぞれの繊維方向が第1方向とされた複数本の木材を集成した集成材から形成された集成ロング単板である技術1~技術3のいずれか1項に記載の木質化粧板。
<技術5>
前記基材層には、同厚さとされた複数枚の前記集成ロング単板が設けられている技術4に記載の木質化粧板。
<技術6>
前記化粧単板及び前記基材単板のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する前記基材単板のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板の厚さ比率が30%~70%である技術1~技術5のいずれか1項に記載の木質化粧板。
<技術7>
前記基材層は、2枚または3枚の前記基材単板から構成され、当該木質化粧板の総厚さが1.8mm以下とされている技術1~技術6のいずれか1項に記載の木質化粧板。
<技術8>
前記化粧単板及び前記基材単板のそれぞれの厚さを足し合わせた厚さに対する前記基材単板のうちの繊維方向が第2方向とされたクロス単板の厚さ比率が48%~70%である技術7に記載の木質化粧板。
<技術9>
前記基材層は、4枚~6枚の前記基材単板から構成され、当該木質化粧板の総厚さが2.6mm以下である技術1~技術6のいずれか1項に記載の木質化粧板。
<技術10>
技術1~技術9のいずれか1項に記載の木質化粧板を製造する木質化粧板製造方法であって、乾燥された前記化粧単板及び乾燥された前記複数枚の基材単板を、固形分100%の接着剤によって100℃以下でプレスして積層接着する。
【符号の説明】
【0041】
1 木質化粧板
10 化粧単板
11 基材層
12 集成クロス単板(基材単板、クロス単板)
14 集成ロング単板(基材単板)
2 クロス集成材(集成材)
3 クロス木材(木材)
4 ロング集成材(集成材)
5 ロング木材(木材)
7 接着剤