(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015869
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240130BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240130BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H05K3/46 L
H05K1/03 610T
H05K3/46 N
H05K3/46 T
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022118227
(22)【出願日】2022-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA38
5E316AA43
5E316BB13
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC12
5E316CC13
5E316CC14
5E316CC32
5E316CC33
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5E316DD23
5E316DD24
5E316EE34
5E316FF07
5E316FF10
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG25
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ01
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、交互に積層された複数の絶縁層および導体層と導体層同士を接続するビア導体とをそれぞれ含む第1ビルドアップ部10および第2ビルドアップ部20を含む、第1面1Fおよび第2面1Bを有する配線基板であり、第1ビルドアップ部10は、第2ビルドアップ部20の上に積層されていて第2ビルドアップ部20よりも第1面1F側に位置しており、第1ビルドアップ部10の第1導体層12における配線の配線幅および配線間の間隔は、第2ビルドアップ部20の第2導体層22における配線の配線幅および配線間の間隔よりも小さく、第1導体層12における配線のアスペクト比は2.0以上、4.0以下であり、第1導体層12における配線の配線幅は3μm以下であり、第1導体層12における配線間の間隔は3μm以下であり、第1導体層12の第2面1B側の表面は研磨面である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に積層された複数の絶縁層および導体層と、
前記絶縁層に設けられ前記絶縁層を挟んで対向する前記導体層同士を接続するビア導体と、
をそれぞれ含む第1ビルドアップ部および第2ビルドアップ部を含む、
第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する配線基板であって、
前記第1ビルドアップ部は、前記第2ビルドアップ部の上に積層されていて前記第2ビルドアップ部よりも前記第1面側に位置しており、
前記第1ビルドアップ部に含まれる第1導体層における配線の配線幅および配線間の間隔は、前記第2ビルドアップ部に含まれる第2導体層における配線の配線幅および配線間の間隔よりも小さく、
前記第1導体層における配線のアスペクト比は2.0以上、4.0以下であって、
前記第1導体層における配線の配線幅は3μm以下であり、
前記第1導体層における配線間の間隔は3μm以下であって、
前記第1導体層の前記第2面側の表面は研磨面である。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記第2ビルドアップ部の前記第2面側に、第3絶縁層および第3導体層と前記第3絶縁層に設けられ前記第3絶縁層を挟んで対向する前記第3導体層および前記第2ビルドアップ部の前記第2面側の導体層を接続するビア導体とを含む第3ビルドアップ部を有する。
【請求項3】
請求項2記載の配線基板であって、前記第3絶縁層が、芯材を含む。
【請求項4】
請求項3記載の配線基板であって、前記芯材が、ガラス繊維である。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体層における配線の厚みが、7μm以下であり、前記第2導体層における配線の厚みが、10μm以上である。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記ビア導体が、前記第2面から前記第1面に向かって縮径している形状を有する。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ部に含まれる第1ビア導体のアスペクト比が、0.5以上、1.0以下である。
【請求項8】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体層および前記第2導体層は、金属膜層およびめっき膜層を有する2層構造で構成されており、前記第1導体層の金属膜層がスパッタリング膜層であり、前記第2導体層の金属膜層が無電解めっき膜層である。
【請求項9】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1導体層は、前記複数の絶縁層のうちの前記第1導体層よりも前記第1面側で前記第1導体層に接している絶縁層内に埋め込まれている。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板であって、前記第1ビルドアップ層は、前記第1面を構成する絶縁層内に埋め込まれて一面を前記第1面に露出する導体パッドを含み、前記導体パッドは、部品搭載領域を有する部品搭載面を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルドアップ配線層からなる第二配線基板と、第二配線基板に接合された第一配線基板を備える配線基板が開示されている。第一配線基板は、第二配線基板よりも微細な配線で構成される配線層およびより狭ピッチの接続パッドを備える最外層を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の配線基板では、第一配線基板と第二配線基板とは、それぞれの表面から突出した端子を介して接合され、第一配線基板と第二配線基板との間に絶縁樹脂が充填されている。両配線基板間の接合箇所の存在が品質に影響を及ぼす虞や、配線基板製造における歩留まりが低くなる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、交互に積層された複数の絶縁層および導体層と、前記絶縁層に設けられ前記絶縁層を挟んで対向する前記導体層同士を接続するビア導体と、をそれぞれ含む第1ビルドアップ部および第2ビルドアップ部を含む、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する配線基板である。そして、前記第1ビルドアップ部は、前記第2ビルドアップ部の上に積層されていて前記第2ビルドアップ部よりも前記第1面側に位置しており、前記第1ビルドアップ部に含まれる第1導体層における配線の配線幅および配線間の間隔は、前記第2ビルドアップ部に含まれる第2導体層における配線の配線幅および配線間の間隔よりも小さく、前記第1導体層における配線のアスペクト比は2.0以上、4.0以下であって、前記第1導体層における配線の配線幅は3μm以下であり、前記第1導体層における配線間の間隔は3μm以下であって、前記第1導体層の前記第2面側の表面は研磨面である。
【0006】
本発明の実施形態によれば、配線密度の異なる複数の導体層を含む、品質の向上された配線基板が歩留まりよく提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を示す断面図。
【
図2A】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2B】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2C】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2D】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2E】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2F】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2G】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2H】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2I】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2J】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2K】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2L】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2M】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図2N】本発明の一実施形態である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3A】本発明の一実施形態の他の例である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3B】本発明の一実施形態の他の例である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3C】本発明の一実施形態の他の例である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3D】本発明の一実施形態の他の例である配線基板の製造方法の一例を示す図。
【
図3E】本発明の一実施形態の配線基板の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。
図1は、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1を示す断面図である。なお、配線基板1は本実施形態の配線基板の一例に過ぎない。本実施形態の配線基板の積層構造、並びに、導体層および絶縁層それぞれの数は、
図1の配線基板1の積層構造、並びに配線基板1に含まれる導体層および絶縁層それぞれの数に限定されない。また、参照される図面においては、各構成要素の正確な比率を示すことは意図されておらず、本発明の特徴が理解され易いように描かれている。
【0009】
実施形態の配線基板1は、交互に積層された複数の導体層および絶縁層によってそれぞれ構成される第1ビルドアップ部10および第2ビルドアップ部20を含む積層構造を有している。配線基板1は、その厚さ方向と直交する2つの表面(第1面1Fおよび第1面1Fと反対側の第2面1B)を有している。
図1に示されるように、第1ビルドアップ部10の表面(第1面10F)が第1面1Fを構成している。第2面1Bは、第2ビルドアップ部20の表面(第2面20B)により構成され得る。
図1に示されるように、配線基板1は、第2ビルドアップ部20の第1ビルドアップ部10側と反対側に、絶縁層およびその上に積層された導体層から構成される第3ビルドアップ部30をさらに含んでいてもよい。配線基板1が第3ビルドアップ部30を有する場合、第2面1Bは、第3ビルドアップ部30の表面(第2面30B)により構成され得る。本実施形態の配線基板1は、好ましくはコア層を含まないコアレス配線基板である。
【0010】
第1ビルドアップ部10は比較的微細な配線を含んでおり、比較的密度の高い回路配線を有し得る。
図1の例では、第1ビルドアップ部10は、交互に積層される絶縁層11と導体層12(第1導体層12)とを有している。一層の絶縁層11を挟んで対向する導体層12同士はビア導体13(第1ビア導体13)によって接続されている。
図1の第1ビルドアップ部10は、さらに、最も第2ビルドアップ部20側に形成されている絶縁層111を含んでいる。各導体層12は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。
図1に示されているように、本実施形態の第1ビルドアップ部10は、コア層を含まない。第1ビルドアップ部10の第1面10Fは、導体層12の表面(上面)および導体層12のパターンから露出する絶縁層11の表面(上面)によって構成されている。図示の例では、第1面10Fを構成する導体層12は複数の導体パッド12pを有するパターンに形成されている。
【0011】
なお、
図1に示される本実施形態の配線基板1の説明においては、第1ビルドアップ部10の第1面10F、すなわち配線基板1の第1面1F側を、「上」、または「上側」と称し、配線基板1の第2面1B側を、「下」、または「下側」と称する。また、各構成要素において、配線基板1の第1面1F側を向く表面は「上面」とも称され、配線基板1の第2面1B側を向く表面は「下面」とも称される。
【0012】
導体パッド12pは、第1ビルドアップ部10の最上面すなわち配線基板1の最外面であって、配線基板1における外部の電子部品が接続され得る部品搭載面を構成している。配線基板1の部品搭載面は、複数の部品搭載領域を有していてもよい。例えば、
図1の例に示されるように、電子部品E1、E2が搭載されるべき領域に対応して、2つの部品搭載領域(EA1、EA2)が形成されてもよい。
【0013】
図示される例の配線基板1への外部の電子部品の搭載において、露出している導体パッド12pの上面は、例えば、はんだなどの導電性の接合材(図示せず)を外部の電子部品の接続パッドとの間に介して、外部の電子部品と電気的および機械的に接続され得る。この際、導体パッド12pの上面に、予め、例えばニッケル層および錫層を含むめっき層(図示せず)などが形成されていてもよい。
【0014】
複数の部品搭載領域が形成される場合、第1ビルドアップ部10内の導体層12において、隣り合う部品搭載領域内に位置している導体パッド12p同士が電気的に接続され得るような導体パターンが形成されていてもよい。配線基板1の使用において搭載される複数の電子部品同士が第1ビルドアップ部10を介して短い経路で電気的に接続される。また、これにより、配線基板1の使用において搭載され得る複数の電子部品を介する回路設計の自由度が向上する場合がある。
【0015】
配線基板1に搭載され得る電子部品E1、E2としては、例えば、半導体集積回路装置やトランジスタなどの能動部品のような電子部品が例示される。具体的には例えば、論理回路を組み込んだロジックチップなどの集積回路、または、MPU(Micro Processor Unit)などの処理装置や、HBM(High Bandwidth Memory)などのメモリ素子などであり得る。
【0016】
図1の例において、第1ビルドアップ部10の第1面10Fと反対側の第2面10Bは、絶縁層11の表面(下面)により構成されている。第1ビルドアップ部10は、その第2面10Bが、第2ビルドアップ部20の第2面20Bと反対側の第1面20Fと対向するように積層されている。
【0017】
第1ビルドアップ部10の絶縁層11は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂を用いて形成され得る。絶縁層11は、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、変性ポリイミド樹脂(MPI)のうちのいずれかを含んでもよい。導体層12、および、ビア導体13を構成する導体としては、銅やニッケルなどが例示され、好ましくは、銅が用いられる。
図1に示される例では、導体層12およびビア導体13は単層で示されているが、導体層12およびビア導体13は、多層構造で構成されていてもよい。例えば、導体層12およびビア導体13は、金属膜層(好ましくはスパッタリング膜層または無電解めっき膜層)121(
図2H参照)、およびめっき膜層(好ましくは電解めっき膜層)122(
図2H参照)を含む2層構造を有し得る。
【0018】
絶縁層11を挟んで対向する導体層12同士を接続するビア導体13は、絶縁層11を貫く、貫通孔11aを導電体で埋めることによって形成されている。
図1の例では、ビア導体13は、その下側に設けられている導体層12と一体的に形成されている。このため、ビア導体13と導体層12とは、同一の金属膜層121およびめっき膜層122によって形成され得る。絶縁層11の下側の表面には導体層12が形成されている。すなわち絶縁層11は、上方の絶縁層11の下面のうち導体層12に覆われていない表面ならびに上方の導体層12の下面および導体層12に含まれている導体パターンの側面を覆っている。ビア導体13形成用の貫通孔11aは、絶縁層11のビア導体13が形成される位置に、例えば、各絶縁層11の下側の表面側からレーザー光を照射することにより形成され得る。形成される貫通孔11aの径は、レーザー光の照射側で大きく、レーザー光の照射側と反対側(奥側)では小さくなる。したがって、貫通孔11aは、下側の径(幅)が大きく、上側の径(幅)が小さくなるように形成され得る。
図1に示されるように、第1ビルドアップ部10に含まれる各ビア導体13は、いずれも、第1ビルドアップ部10の第2面10Bから第1面10Fに向かって縮径するテーパー形状に形成されている。なお、ここで、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体13の形状は、必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、ビア導体13の水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。例えば、貫通孔11aは、例えば、ビア導体13のアスペクト比(ビア導体13が接続する下側の導体層12の上面から上側の導体層の下面までの高さ/下側の導体層12の上面におけるビア導体13の直径)が、約0.5以上、約1.0以下となるように形成される。なお、ビア導体13のビア径(ビア導体13が接続する下側の導体層12の上面におけるビア導体13の直径)は、約10μm程度である。
【0019】
上述されているように、配線基板1の導体層12は2層構造で形成されている。例えば、導体層12は、絶縁層11の下面の表面上に形成されている第1層121(すなわち導体層12における上層)と、その下に形成されている第2層122(すなわち導体層12における下層)と、を含んでいる。導体層12の形成においては、まず、導体層12の第1層121を形成するために、貫通孔11aの内壁および絶縁層11の表面上に、導体層12の第1層121(
図2H参照)を構成する金属膜121a(
図2D参照)が例えばスパッタリングなどによって形成される。
【0020】
次いで、導体層12の第2層122を形成するために、形成された金属膜121a上に、導体層12に含まれる導体パターンに応じた開口R11を有するめっきレジストR1(
図2Eおよび2F参照)が、例えばドライフィルムレジストの積層ならびに露光および現像などによって設けられる。金属膜121aをシード層としてめっきレジストR1の開口R11を電解めっき膜で充填することにより、導体層12の第2層122が形成される。
【0021】
具体的には、金属膜121aを給電層とする電解めっきにより形成される電解めっき膜122aが、めっきレジストR1の厚みより厚く形成される(
図2F参照)。例えば、電解めっき膜122aは、めっきレジストR1の厚みより1μm以上厚く形成され得る。なお、電解めっき膜122aは、絶縁層11の貫通孔11aを完全に充填する。その結果、ビア導体13が導体層12と一体的に形成される。
【0022】
その後、電解めっき膜122aの厚さ方向の一部が、研磨によって除去される。例えば、化学機械研磨(CMP)やサンドブラストなどによって、電解めっき膜122aの一部が除去される(
図2G参照)。この研磨によって、めっきレジストR1の厚さ方向の一部も除去される。具体的には、電解めっき膜122aは、導体層12の第2層122に求められる所定の厚さになるまで、めっきレジストR1と共に研磨される。したがって、電解めっき膜122aの形成後に例えば
図2Fに示されるように表面に凹凸が生じていても、研磨を経た導体層12の第2層122の表面(
図2Hに示される第2層122の上面)は平らに均されている。すなわち、配線基板1の第1ビルドアップ部10の導体層12の表面(下面)は、平坦度の高い研磨面であり得る。
【0023】
導体層12の表面(下面)がこのような凹凸の少ない研磨面であると、第1ビルドアップ部10内での良好な高周波伝送特性が得られることがある。導体層12に接続されるビア導体13の形成時における位置ずれなどの問題も起きにくいと考えられる。さらに、導体層12の表面(下面)全体が研磨されるため、導体層12における導体パターンの粗密等に関わらず第1ビルドアップ部10内の導体層12がうねり等のない高平坦性で形成され得る。第1ビルドアップ部10の平坦性が向上され、高品質な配線基板1が得られると考えられる。
【0024】
配線基板1の導体層12は、比較的パターン幅およびパターン間距離の小さい高密度配線である微細配線FWを有し得る。微細配線FWは配線基板1を構成する配線において最も小さいパターン幅およびパターン間距離を有し得る。
【0025】
なお、図示される例では、第1ビルドアップ部10に含まれる複数の導体層12のうち、4層の導体層12が高密度配線である微細配線FWを備えている。しかしながら、4層の導体層12のうちのいくつかの層が微細配線FWを備えていてもよい。第1ビルドアップ部10が有する微細配線FWを備える導体層12の数は限定されない。
【0026】
第1ビルドアップ部10に含まれる微細配線FWは、後述される第2ビルドアップ部20内の導体層22(第1導体層12)に含まれる配線のパターン幅およびパターン間距離よりも、小さいパターン幅およびパターン間距離を有する。具体的には、例えば、微細配線FWの配線幅は、3μm以下程度であり、配線間の間隔は3μm以下程度である。第1ビルドアップ部10が微細配線FWを有することで、第1ビルドアップ部10内の配線によって搬送され得る電気信号に対応した、より適切な特性を有する配線が提供される場合がある。また、第1ビルドアップ部10内における配線の密度が向上し、配線設計の自由度が向上する場合があると考えられる。なお、同様の観点から、微細配線FWを有する導体層12のアスペクト比は、例えば、2.0以上、かつ、4.0以下である。
【0027】
導体層12が上述のような微細なピッチおよびアスペクト比で形成されている微細配線FWを含むように形成されている場合、対向する導体層12同士を接続するビア導体13も微細なピッチで形成されることが好ましい場合がある。絶縁層11に小径のビア導体13用貫通孔11aが形成される必要がある。したがって、絶縁層11は、シリカ(SiO2)、アルミナ、またはムライトなどからなる微粒子などの無機フィラーを含み得るが、小径の貫通孔11aが形成され易いように、絶縁層11が無機フィラーを含まないことが好ましいことがある。
【0028】
微細配線FWを含む導体層12を含む第1ビルドアップ部10においては、絶縁層11の厚さは、例えば7.5~10μm程度である。また、この場合、絶縁層11は、好ましくは、ガラス繊維やアラミド繊維などからなる芯材(補強材)を含まない。
【0029】
導体層12の厚さは7μm以下程度である。導体層12が微細配線FWを含む場合、導体層12およびビア導体13を構成している2層構造のうちの金属膜層121(
図2H参照)は、好ましくは、スパッタリングによって形成されるスパッタリング膜層であり得る。
【0030】
図1に示されるように、第1ビルドアップ部10は第2ビルドアップ部20上に積層されている。すなわち、第1ビルドアップ部10の最下層の絶縁層111の下面で構成される第1ビルドアップ部10の第2面10Bは、第2ビルドアップ部20の第1面20Fと対向している。
【0031】
第2ビルドアップ部20は、第1ビルドアップ部10と同様に、交互に積層される絶縁層21と導体層22(第2導体層)とを有している。絶縁層21には、各絶縁層を貫通し、各絶縁層を介して隣接する導体層同士を接続するビア導体23が形成されている。各導体層22は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。
図1に示されているように、本実施形態の第2ビルドアップ部20は、コア層を含まない。
【0032】
第1ビルドアップ部10の絶縁層111は、絶縁層111を貫通する貫通孔111aを導電体で埋めることによって形成されているビア導体113を含む。絶縁層111の下側の表面上には導体層112が形成されている。導体層112は、所定の導体パターンを有するようにパターニングされている。ビア導体113は、導体層112と、導体層112と絶縁層111を挟んで対向する第1ビルドアップ部10内の導体層12とを接続している。
【0033】
第2ビルドアップ部20の導体層22は、絶縁層21の下面の表面上に形成されている。導体層22に覆われていない絶縁層21の下面の表面および導体層22が下方の絶縁層21に覆われている。第2ビルドアップ部20の第1面20Fを構成する最上層の絶縁層21は、導体層112および導体層112に覆われていない第1ビルドアップ部10の絶縁層111の下面を覆っている。
【0034】
図1に示されるように、配線基板1において、第2ビルドアップ部20は第3ビルドアップ部30上に積層されていてもよい。第2ビルドアップ部20の最下層の絶縁層21の下面で構成される第2ビルドアップ部20の第2面20Bは、第3ビルドアップ部30の第1面30Fと対向している。第3ビルドアップ部30は、絶縁層211およびその下側の表面上に形成されている導体層212を含む。絶縁層211は、第2ビルドアップ部20の最下層の導体層22(導体層221)および導体層221に覆われていない第2ビルドアップ部20の最下層の絶縁層21の下面を覆っている。絶縁層211には、絶縁層211を貫通して、導体層212と第2ビルドアップ部20の導体層221とを接続するビア導体33が形成されている。
【0035】
第2ビルドアップ部20を構成する絶縁層21は、絶縁層11と同様な絶縁性樹脂を用いて形成され得る。各絶縁層11、21は、各ビルドアップ部内でそれぞれが同じ絶縁性樹脂を含んでいてもよく、互いに異なる絶縁性樹脂を含んでいてもよい。各絶縁層21は、ガラス繊維やアラミド繊維からなる芯材(補強材)を含んでいてもよい。第3ビルドアップ部30の絶縁層211は、ガラス繊維からなる芯材21bを含んでいる。各絶縁層21、211はさらに、シリカ(SiO2)、アルミナ、またはムライトなどの微粒子からなる無機フィラー(図示せず)を含み得る。
【0036】
第2ビルドアップ部20の導体層22および第3ビルドアップ部30の導体層212ならびに各ビア導体23、33は、導体層12およびビア導体13と同様に、銅またはニッケルなどの任意の金属を用いて形成され得る。
図1に示されるように、第2ビルドアップ部20に含まれる各ビア導体23および第3ビルドアップ部30に含まれる各ビア導体33は、いずれも、第1ビルドアップ部10のビア導体13と同様に、配線基板1の第2面1B側から第1面1F側に向かって縮径するテーパー形状に形成されている。
【0037】
上述されるように、第2ビルドアップ部20の導体層22および第3ビルドアップ部30の導体層212に含まれる配線のパターン幅およびパターン間距離は、第1ビルドアップ部10の導体層12に含まれる配線のパターン幅およびパターン間距離よりも大きい。導体層22の厚さは、導体層12の厚さと比較して厚く形成されており、例えば、10μm以上程度である。第2ビルドアップ部20の導体層22は、第1ビルドアップ部10の微細配線FWと同程度の微細なピッチで配線が配置され得る配線パターンを含まない。例えば、導体層22に含まれる配線の配線幅は、その最小値が4μm程度であり、配線間の間隔の最小値は6μm程度である。導体層22に含まれる配線のアスペクト比は、導体層12の微細配線FWのアスペクト比とほぼ同等であり、例えば、2.0以上、かつ、4.0以下程度である。ビア導体23のビア径(ビア導体23が接続する下側の導体層22の上面におけるビア導体23の直径)は、約50μm程度である。
【0038】
本実施形態の配線基板1では、例えば、
図1の例に示されるように、第3ビルドアップ部30の絶縁層211および導体層212は共に、第2ビルドアップ部20内の絶縁層21および導体層22と比較して厚く形成されている。例えば、絶縁層211の厚さは、100μm以上、かつ、200μm以下程度である。また、導体層212の厚さは、20μm程度である。絶縁層211に形成されているビア導体33のビア径(導体層212の上面におけるビア導体33の直径)は、約100μm程度である。
【0039】
導体層12およびビア導体13と同様に、導体層22、212およびビア導体23、33は、多層構造で構成されていてもよく、例えば、金属膜層(好ましくはスパッタリング膜層または無電解めっき膜層)とめっき膜層(好ましくは電解めっき膜層)を含む2層構造を有し得る。第2ビルドアップ部20および第3ビルドアップ部30は、第1ビルドアップ部10の微細配線FWのような微細な配線パターンを含んでいない。このような場合、導体層22およびビア導体23ならびに導体層212およびビア導体33を構成している2層構造のうちの金属膜層は、無電解めっき膜によって形成される無電解めっき膜層、特には無電解銅めっき膜層であり得、めっき膜層は、電解めっき膜によって形成される電解めっき膜層、特には電解銅めっき膜層であり得る。
である。
【0040】
図1の例では、配線基板1は、さらに、絶縁層211および導体層212の表面上に形成されたソルダーレジスト層31を備えている。ソルダーレジスト層31は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂を用いて形成されている。ソルダーレジスト層31には開口31aが形成され、開口31aからは第3ビルドアップ部30の導体層212が有する導体パッド32pが露出している。
【0041】
なお、配線基板1における、配線基板1の部品搭載面と反対側の第2面1Bは、外部の配線基板(例えば任意の電気機器のマザーボード)などの外部要素に配線基板1自体が実装される場合に、外部要素に接続される接続面であり得る。導体パッド32pは、任意の基板、電気部品、または機構部品などと接続され得る。
【0042】
実施形態の配線基板は、第1ビルドアップ部に埋込配線の形態を有する配線層を有していてもよい。この例の配線基板3が、
図3Eに示されている。
【0043】
配線基板3の第1ビルドアップ部50は、
図1に示されている配線基板1の第1ビルドアップ部10と同様に、比較的微細な配線を含んでいる。第1ビルドアップ部50は、交互に積層される絶縁層51と導体層52とを有している。絶縁層51を挟んで対向する導体層52同士または導体層52と導体層12とを接続するビア導体53は、絶縁層51を貫く、貫通孔51aを導電体で埋めることによって形成されている。
図3Eの例では、ビア導体53は、その下側に設けられている導体層52と一体的に、同一の絶縁層51に埋め込まれて形成されている。ビア導体53と導体層52とは、同一の金属膜層(好ましくはスパッタリング膜層または無電解めっき膜層)521(
図3B参照)およびめっき膜層(好ましくは電解めっき膜層)522(
図3B参照)によって形成されている。ビア導体53形成用の貫通孔51aは、配線基板1の貫通孔11aと同様に、各絶縁層51の下側表面から、上方すなわち絶縁層51を挟んで上側に形成されている導体層(導体層12または導体層52)に向けてレーザー光を照射することにより形成され得る。したがって、貫通孔51aは、下側の径(幅)が大きく、上側の径(幅)が小さくなるように形成され得る。各ビア導体53は、いずれも、第1ビルドアップ部50の第2面50Bから第1面50Fに向かって縮径するテーパー形状に形成されている。
【0044】
埋込配線とは、上述されるような、ビア導体53とその下側に設けられている導体層52とが同一の絶縁層51に埋め込まれて形成された場合の導体層52の形状である。具体的には、複数の導体層52のうち任意の導体層52が、上側の絶縁層51内で、
図3Aに示されるような絶縁層51に形成された溝を導体で充填することにより形成される、絶縁層に埋没する埋込配線の形態を有し得る。好ましくは、配線基板3の第1ビルドアップ部50の複数の導体層のうち、第1面50Fを構成する導体層12以外の全ての導体層(導体層52)が、上側の絶縁層51に埋没している埋込配線で形成され得る。埋込配線の形態を有する導体層52は、比較的パターン幅およびパターン間距離の小さい高密度配線である微細配線FWを有し得る。微細配線FWは配線基板3を構成する配線において最も小さいパターン幅およびパターン間距離を有し得る。
【0045】
配線基板3の第1ビルドアップ部50に含まれる微細配線FWは、配線基板1の第1ビルドアップ部10に含まれる微細配線FWとほぼ同等の配線幅および配線間の間隔を有する。微細配線FWを有する導体層52のアスペクト比もまた、微細配線FWを有する導体層12のアスペクト比と同程度に形成され得る。ビア導体53もまた、ビア導体13とほぼ同等のアスペクト比およびビア径を有し得る。
【0046】
なお、図示される例では、第1ビルドアップ部50に含まれる複数の導体層のうち、4層の導体層52が埋込配線の形態を有し、4層全てが高密度配線である微細配線FWを備えている。しかしながら、4層の導体層52のうちのいくつかの層が微細配線FWを備えていてもよい。第1ビルドアップ部50が有する微細配線FWを備える導体層52の数は限定されない。
【0047】
後述されるように、実施形態の配線基板3の製造方法においては、埋込配線の形態を有する導体層52は、導体層52を構成する金属膜層521(好ましくはスパッタリング膜層)およびめっき膜層522の厚さ方向の一部を研磨により除去することによって、導体層52の表面(下面)と絶縁層51の表面(下面)とが面一となるように形成されている。この研磨プロセスによって同時に、絶縁層51から露出する導体層52の表面(下面)が平坦化され得る。したがって、配線基板1の導体層12の表面と同様に、第1ビルドアップ部50に含まれる埋込配線の形態を有する導体層52の絶縁層51から露出している表面(下面)は、平坦度の高い研磨面である。
【0048】
好ましくは、配線基板3に含まれる第2ビルドアップ部20および第3ビルドアップ部30は、配線基板1の第2ビルドアップ部20および第3ビルドアップ部30と同様の形態で構成され得る。すなわち、
図3Eの例において、第2ビルドアップ部20内の導体層22および第3ビルドアップ部30内の導体層212は、埋込配線の形態を有していない。
【0049】
続いて、
図2A~
図2Nを参照して、
図1に示される配線基板1が製造される場合を例に、実施形態の配線基板の製造方法が説明される。なお、以下に説明される製造方法において形成される各構成要素は、特に異なる記載が無い限り、
図1の配線基板1の説明において対応する構成要素の材料として例示された材料を用いて形成され得る。なお、以降の配線基板1の製造の説明においては、支持基板GSに近い側は「下」または「下側」と称され、支持基板GSから遠い側は「上」または「上側」と称される。したがって、配線基板1を構成する各要素における支持基板GS側を向く面は「下面」と称され、支持基板GSと反対側と向く面は「上面」とも称される。
【0050】
配線基板1は、支持基板GS上に第1ビルドアップ部10を製造し、第1ビルドアップ部10上に第2ビルドアップ部20、および第2ビルドアップ部20上に第3ビルドアップ部30を製造することによって形成され得る(
図1参照)。このように第1ビルドアップ部10を先に支持基板GS上で製造し、第1ビルドアップ部10上に第2ビルドアップ部20および第3ビルドアップ部30を形成した後に支持基板GSを取り外すことにより、配線基板1の製造における歩留まりが向上すると考えられる。さらに、実施形態の製造方法によれば、配線基板1の部品搭載面は、支持基板GSを取り外した後の露出面であるため、部品搭載面における表面の平坦性が高い配線基板1が得られ得ると考えられる。例えば、実施形態の配線基板1では、部品搭載面表面におけるその厚さ方向の高低差が、約±10μm程度で形成され得る。
【0051】
先ず、
図2Aに示されるように、例えばガラス基板である、表面の平坦性が良好な支持基板GSが用意される。支持基板GSの両側の表面には、金属膜層121が、例えば光照射により着脱が可能なアゾベンゼン系高分子接着剤を含む接着層ALを介して形成される。金属膜層121は、例えば、無電解めっきまたはスパッタリングなどによって形成される金属膜(好ましくは銅膜)層である。金属膜層121は比較的薄い金属箔により構成されてもよい。
【0052】
次いで、
図2Bに示されるように、支持基板GS上に、接着層ALを介して、金属膜層121とめっき膜層122とを含む複数の導体パッド12pを有する導体層12が形成される。
【0053】
導体層12の形成においては、例えばめっきレジストが金属膜層121上に形成され、めっきレジストに導体パッド12pのパターンの形成領域に応じた開口が例えばフォトリソグラフィ技術により形成される。次いで、金属膜層121をシード層とする電解めっきにより開口内にめっき膜層122が形成される。めっき膜層122の形成後、めっきレジストが除去され、めっきレジストの除去により露出する金属膜層121はエッチングされて、
図2Bに示される状態が形成される。
【0054】
次いで、
図2Cに示されるように、導体層12を覆う絶縁層11が積層される。絶縁層11としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの絶縁性樹脂が用いられ得る。フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリエステル樹脂(PE)、変性ポリイミド樹脂(MPI)が用いられてもよい。フィルム状に成形されたこれらの樹脂を熱圧着することにより絶縁層11が形成される。次いで、絶縁層11におけるビア導体13(
図1参照)の形成位置に、例えば炭酸ガスレーザー光やエキシマレーザー光等の照射によって貫通孔11aが形成される。
【0055】
図示されていないが、炭酸ガスレーザー光等のレーザーの照射による貫通孔11aの形成は、絶縁層11の表面をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の保護膜で覆うことにより保護しながら、レーザーを照射することにより行われ得る。保護膜および絶縁層11を貫く貫通孔11aが形成される。また、貫通孔11aの形成後に、貫通孔11の底に発生している加工変性物による導体層12の形成時における密着力の低下や抵抗成分の増加等を防止するために、デスミア処理が行われてもよい。デスミア処理は好ましくは、プラズマガスを用いたドライデスミア処理であり得る。デスミア処理もまた、絶縁層11の表面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の保護膜が形成された状態で、絶縁層11の表面を保護しながら行われてもよい。
【0056】
なお、
図2C、ならびに以下で参照する
図2D~
図2Nおよび
図3A~
図3Dでは、支持基板GSの一方の表面上に形成される積層体が示されており、反対側の表面に形成され得る積層体の図示は省略されている。しかしながら、反対側の表面にも、同様の態様や数の積層体や、または一方の表面上とは異なる態様および数の導体層および絶縁層が形成されてもよく、そのような導体層および絶縁層が形成されなくてもよい。
【0057】
図2Dに示されるように、貫通孔11aの内壁および絶縁層11の表面上に導体層12の第1層121(
図2H参照)を構成する金属膜(シード層)121aが無電解めっきまたはスパッタリングなどによって形成される。好ましくは、金属膜121aはスパッタリングによって形成されるスパッタリング膜であり得る。なお、貫通孔11aの形成時および/またはデスミア処理時において絶縁層11の表面に保護膜が設けられている場合、保護膜は、金属膜121aの形成前に、剥離除去され得る。
【0058】
図2Eに示されるように、金属膜121a上に、導体層12に含まれる導体パターンに応じた開口R11を有するめっきレジストR1が設けられる。
【0059】
図2Fに示されるように、金属膜121aを給電層とした電解めっきにより、電解めっき膜122aがめっきレジストR1の開口R11の開口内に、めっきレジストR1の高さより高く形成される。電解めっき膜122aは、開口R11の高さより高く、盛り上がるように、例えば凸球面状を形成するように形成され得る。例えば、開口R11内に充填された電解めっき膜122aは、めっきレジストR1の厚さより、1μm以上程度高く形成され得る。
【0060】
次いで、
図2Gに示されるように、電解めっき膜122aおよびめっきレジストR1の一部が、研磨によって除去される。研磨は、電解めっき膜122aの厚さが、導体層12の第2層122に求められる所定の厚さとなるまで行われ得る。第2層122の厚さの調整が容易であると考えられる。例えば、導体層21の厚さは、7μm以下程度であり得る。そして導体層21の2層構造のうちの第2層122の厚さは、例えば6.5μm以下程度で形成され得る。
【0061】
図2Hに示されるように、めっきレジストR1が除去された後、金属膜121aのうちの上層211に覆われていない部分がエッチングなどで除去される。その結果、微細配線FWを有する、第1層121および第2層122からなる2層構造を有する導体層12が形成される。また、貫通孔11aの内部が電解めっき膜122aで完全に充填されることにより、ビア導体13が形成されている。
【0062】
続いて、
図2Iに示されるように、上述の絶縁層11、導体層12およびビア導体113の形成方法と同様の方法で、導体層12および絶縁層11の上に、所望の層数の絶縁層11および導体層12、ならびに、各絶縁層を貫通するビア導体13が、形成される。
【0063】
次いで、
図2Jに示されるように、導体層12の上側に、第1ビルドアップ部10の絶縁層11のうちの最外層の絶縁層111が形成される。その後、ビア導体113(
図1参照)の形成場所に対応する位置の絶縁層111に、レーザー加工によってビア導体113形成用の貫通孔111aが形成される。
【0064】
続いて、
図2Kに示されるように、導体層112が、貫通孔111aを充填するビア導体113と同時に、セミアディティブ法などの任意の導体パターンの形成方法を用いて形成される。
【0065】
続いて、
図2Lに示されるように、絶縁層111、導体層112およびビア導体113の形成方法と同様の方法で、導体層112および絶縁層111の上に、所望の層数の絶縁層21および導体層22、ならびに、各絶縁層を貫通するビア導体23が形成される。第1ビルドアップ部10上に第2ビルドアップ部20が形成される。
【0066】
図2Mに示されるように、第2ビルドアップ部20の第2面20B側の最外層の絶縁層21および導体層22(導体層221)の上に、第3ビルドアップ部30の絶縁層211、導体層212および絶縁層211を貫通するビア導体33が、絶縁層111、導体層112およびビア導体113の形成方法と同様の方法で、形成される。絶縁層211を形成する絶縁性樹脂としては、ガラス繊維で構成される補強材(芯材)21bに含侵されたエポキシ樹脂やBT樹脂などの絶縁性樹脂を含むプリプレグが用いられる。
【0067】
次いで、ソルダーレジスト層31が、絶縁層211および導体層212の表面上への感光性のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂層の形成によって形成される。そして、フォトリソグラフィ技術により、導体パッド32pを画定する開口31aがそれぞれ形成される。
【0068】
次いで、
図2Nに示されるように、支持基板GSが取り外される。導体パッド12pの下面および絶縁層11の下面が露出する。支持基板GSの取り外しにおいては、接着層ALに例えばレーザー光が照射され軟化された後、支持基板GSが導体パッド12pおよび絶縁層11から剥離される。なお、導体パッド12pおよび絶縁層11の表面上に残留し得る接着層ALは洗浄により除去され得る。
図1に示される配線基板1が完成する。
【0069】
第1ビルドアップ部に埋込配線の形態を有する配線層を有する配線基板3(
図3E参照)が製造される場合、例えば、
図2Bに示される例と同様に、支持基板GS上に、接着層ALを介して複数の導体パッド12pを有する導体層12が形成された後、
図3Aに示されるように、導体層12を覆う絶縁層51が積層される。絶縁層51には溝T1、T2が形成される。溝T1はビア導体が形成されるべき位置に形成され、絶縁層51を貫通して絶縁層51直下の導体層12を露出させる。溝T2は埋込配線の形態を有する導体層52の導体パターンに対応する位置に形成される。溝T1、T2の形成には、例えばエキシマレーザーを使用したレーザー加工が用いられる。
【0070】
次いで、絶縁層51および溝T1から露出する導体層12の上面全体を被覆するように金属膜層521が形成される。好ましくは、金属膜層521はスパッタリングによって形成されるスパッタリング膜層であり得る。この金属膜層521をシード層として電解めっきを施すことより、めっき膜層522が形成される。
図3Aに示される状態が形成される。
【0071】
次いで、
図3Bに示されるように、めっき膜層522および金属膜層521の一部が研磨により除去される。めっき膜層522および金属膜層521の研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により実施され得る。金属膜層521およびめっき膜層522からなる2層構造を有する導体層52が形成される。溝T1の内部がめっき膜層522で完全に充填されることにより、ビア導体53が形成されている。一体的に形成された導体層52およびビア導体53が同一の絶縁層51に埋め込まれている埋込配線の形態が形成される。絶縁層51から露出する導体層52の表面は、平坦度の高い研磨面である。露出する絶縁層51および導体層52の上面において、同様の方法で、絶縁層51の積層および導体層52の形成が繰り返される。所望の層数の絶縁層51および微細配線FWを有する導体層52、ならびに、各絶縁層を貫通するビア導体53が、形成される。
【0072】
次いで、
図3Cに示されるように、導体層52の上側に、第1ビルドアップ部50の絶縁層51のうちの最外層の絶縁層511が、絶縁層111(
図2J参照)の形成方法と同様の方法で、形成される。その後、ビア導体53形成用の貫通孔511aが、貫通孔111a(
図2J参照)の形成方法と同様の方法で、形成される。
【0073】
続いて、
図3Dに示されるように、導体層512が、貫通孔511aを充填するビア導体513と同時に、導体層112およびビア導体113(
図2K参照)の形成方法と同様の方法で、形成される。埋込配線の形態を有する導体層52を有する第1ビルドアップ部50が完成する。
【0074】
その後、第1ビルドアップ部50上に、配線基板1の第2ビルドアップ部20および第3ビルドアップ部30と同様のビルドアップ部が積層され、支持基板GS(
図3A参照)から取り外されることにより、
図3Eに示されるように、配線基板3が完成する。
【0075】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造、ならびに、本明細書において例示される構造、形状、および材料を備えるものに限定されない。実施形態の配線基板に含まれる各ビルドアップ部は、上述のように、任意の数の絶縁層および導体層を有し得る。例えば、配線基板の部品搭載面と反対側の最外層の絶縁層および導体層が、第2ビルドアップ部内の絶縁層21および導体層22より厚く形成されなくてもよいし、配線基板の部品搭載面と反対側の最外層の絶縁層が芯材を含んでいなくてもよい。また、実施形態の配線基板の製造方法は、
図2A~
図2Nおよび
図3A~
図3Dを参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序などは任意に変更され得る。また、特定の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。例えば、支持基板GSの取り外し後に露出する導体パッド12pの表面上に、ニッケル層および錫層を含むめっき層などが形成されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、3 配線基板
10、50 第1ビルドアップ部
20 第2ビルドアップ部
11、51、111、511、21、211 絶縁層
12、52、112、522、22、212 導体層
13、113、23、33、53 ビア導体
121、521 金属膜層
122、522 めっき膜層
12p 導体パッド(第1面側導体パッド)
32p 導体パッド(第2面側導体パッド)
FW 微細配線
E1、E2 電子部品
GS 支持基板
EA1、EA2 部品搭載領域