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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158698
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】衝突試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20241031BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01M7/08 A
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074101
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】北村 政裕
(57)【要約】
【課題】車両の牽引精度を高めることが可能な衝突試験装置を提供することを目的とする。
【解決手段】衝突試験装置100において、第1ドーリー70に連結された第1の無端ワイヤW11,W12は、衝突領域よりも第1方向D1での外側に配置された第1引き込みシーブ20と、衝突領域よりも第2方向D2での外側に配置された第1端部シーブ25とに掛け渡されている。第2ドーリー71に連結された第2の無端ワイヤW21,W22は、衝突領域よりも第2方向D2での外側に配置された第2引き込みシーブ30と、衝突領域よりも第1方向D1での外側に配置された第2端部シーブ35とに掛け渡されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両を走路の延びる方向に沿う第1方向に牽引し、第2車両を前記走路の延びる方向に沿う、前記第1方向と反対の第2方向に沿って牽引することで、前記第1車両と前記第2車両とを、前記走路上の衝突領域で衝突させる衝突試験装置であって、
前記走路に沿って敷設され、前記第1車両を牽引するために使用される第1の無端ワイヤと、
前記走路に沿って敷設され、前記第2車両を牽引するために使用される第2の無端ワイヤと、
前記第1車両が、前記第1方向に走行するように前記第1の無端ワイヤを牽引し、前記第2車両が、前記第2方向に走行するように前記第2の無端ワイヤを牽引するワイヤ牽引装置と、
前記第1の無端ワイヤに連結され、前記第1車両を牽引する第1ドーリーと、
前記第2の無端ワイヤに連結され、前記第2車両を牽引する第2ドーリーと、
前記衝突領域よりも前記第1方向での外側に配置され、前記ワイヤ牽引装置により牽引された前記第1の無端ワイヤを下方に向けてガイドする第1引き込みシーブと、
前記衝突領域よりも前記第2方向での外側に配置され、前記ワイヤ牽引装置により牽引された前記第2の無端ワイヤを下方に向けてガイドする第2引き込みシーブと、
前記衝突領域よりも前記第2方向での外側に配置され、前記第1の無端ワイヤが掛け渡された第1端部シーブと、
前記衝突領域よりも前記第1方向での外側に配置され、前記第2の無端ワイヤが掛け渡された第2端部シーブと、
を備え、
前記第1ドーリーの前記第1車両の切り離し位置は、前記第2引き込みシーブから、前記衝突領域までの間であり、
前記第2ドーリーの前記第2車両の切り離し位置は、前記第1引き込みシーブから、前記衝突領域までの間である、ことを特徴とする衝突試験装置。
【請求項2】
前記衝突領域の下方に設けられた空間であるピットを備え、
前記第1引き込みシーブは、前記第1の無端ワイヤを、前記ピットを避けるように下方に向けてガイドし、
前記第2引き込みシーブは、前記第2の無端ワイヤを、前記ピットを避けるように下方に向けてガイドする、ことを特徴とする請求項1に記載の衝突試験装置。
【請求項3】
前記ワイヤ牽引装置は、
前記第1の無端ワイヤが掛け渡される第1ドラム部と、
前記第2の無端ワイヤが掛け渡される第2ドラム部と、
を有し、
前記第1引き込みシーブは、前記第1の無端ワイヤにおいて、前記第1ドラム部に向けて引き込まれる部位を下方に向けてガイドし、
前記第2引き込みシーブは、前記第2の無端ワイヤにおいて、前記第2ドラム部に向けて引き込まれる部位を下方に向けてガイドし、
前記衝突領域よりも前記第1方向での外側に配置され、前記第1の無端ワイヤにおいて、前記第1ドラム部から前記第1端部シーブに向けて引き戻される部位を、ガイドする第1引き戻しシーブと、
前記衝突領域よりも前記第2方向での外側に配置され、前記第2の無端ワイヤにおいて、前記第2ドラム部から前記第2端部シーブに向けて引き戻される部位を、ガイドする第2引き戻しシーブと、を備えており、
前記第1の無端ワイヤにおいて、前記第1引き込みシーブと前記第1端部シーブとの間の部位と、前記第1引き戻しシーブと前記第1端部シーブとの間の部位とは、前記走路に沿って敷設されており、
前記第2の無端ワイヤにおいて、前記第2引き込みシーブと前記第2端部シーブとの間の部位と、前記第2引き戻しシーブと前記第2端部シーブとの間の部位とは、前記走路に沿って敷設されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の衝突試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両同士を衝突させて衝突試験を行う衝突試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両を、ワイヤにより牽引し、所定速度で他の車両に衝突させることで、車両の破損状況や、乗員へのダメージなどを調べる実験を行う衝突試験装置が記載されている。衝突試験装置では、車両を、ドーリーに連結し、このドーリーをワイヤにより牽引することで車両を衝突位置に向けて牽引する。そして、車両が衝突位置まで牽引される前に、車両をドーリーから切り離すことにより、車両を衝突位置に向けて惰性走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-132777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
衝突試験装置には、ドーリーを牽引するワイヤを引き込みシーブにより下方に向けて引き込むものがある。このような構成の衝突試験装置では、引き込みシーブの手前でドーリーから車両が切り離されており、衝突位置までの間は、車両は惰性走行する。そのため、衝突試験において、車両間の衝突位置や、衝突速度といった牽引精度が悪くなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、車両の牽引精度を高めることが可能な衝突試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本実施形態で開始された衝突試験装置は、第1車両を走路の延びる方向に沿う第1方向に牽引し、第2車両を走路の延びる方向に沿う、第1方向と反対の第2方向に沿って牽引することで、第1車両と第2車両とを、走路上の衝突領域で衝突させる。衝突試験装置は、走路に沿って敷設され、第1車両を牽引するために使用される第1の無端ワイヤと、走路に沿って敷設され、第2車両を牽引するために使用される第2の無端ワイヤと、第1車両が、第1方向に走行するように第1の無端ワイヤを牽引し、第2車両が、第2方向に走行するように第2の無端ワイヤを牽引するワイヤ牽引装置と、第1の無端ワイヤに連結され、第1車両を牽引する第1ドーリーと、第2の無端ワイヤに連結され、第2車両を牽引する第2ドーリーと、衝突領域よりも第1方向での外側に配置され、ワイヤ牽引装置により牽引された第1の無端ワイヤを下方に向けてガイドする第1引き込みシーブと、衝突領域よりも第2方向での外側に配置され、ワイヤ牽引装置により牽引された第2の無端ワイヤを下方に向けてガイドする第2引き込みシーブと、衝突領域よりも第2方向での外側に配置され、第1の無端ワイヤが掛け渡された第1端部シーブと、衝突領域よりも第1方向での外側に配置され、第2の無端ワイヤが掛け渡された第2端部シーブと、を備えている。第1ドーリーの第1車両の切り離し位置は、第2引き込みシーブから、衝突領域までの間であり、第2ドーリーの第2車両の切り離し位置は、第1引き込みシーブから、衝突領域までの間である、ことを特徴とする。
【0007】
上記構成では、第1ドーリーに連結された第1の無端ワイヤは、衝突領域よりも第1方向での外側に配置された第1引き込みシーブと、衝突領域よりも第2方向での外側に配置された第1端部シーブとに掛け渡されている。第2ドーリーに連結された第2の無端ワイヤは、衝突領域よりも第2方向での外側に配置された第2引き込みシーブと、衝突領域よりも第1方向での外側に配置された第2端部シーブとに掛け渡されている。第1車両と第2車両とを衝突させる場合、第1ドーリーは、第2引き込みシーブから、衝突領域までの間で、第1車両を切り離し、第2ドーリーは、第1引き込みシーブから、衝突領域までの間で、第1車両を切り離す。これにより、一方の車両を、他方の車両の牽引に用いられる引き込みシーブを超えた位置で切り離すことができるため、引き込みシーブを超えるよりも前で車両を切り離す場合よりも、車両が惰性走行する距離が短くなり、車両の牽引精度を高めることができる。
【0008】
衝突領域の下方に設けられた空間であるピットを備え、第1引き込みシーブは、第1の無端ワイヤを、ピットを避けるように下方に向けてガイドし、第2引き込みシーブは、第2の無端ワイヤを、ピットを避けるように下方に向けてガイドする、ことを特徴とする。衝突試験装置が、衝突領域の下方にピットを備える構成では、各引き込みシーブは、ピットを避けるように、無端ワイヤを下方に向けて引き込む必要がある。上記構成では、このような構成の衝突試験装置においても、一方の車両を、他方の車両の牽引に用いられる引き込みシーブを超えた位置で切り離すことができるため、車両の牽引精度を高めることができる。更に、引き回された各無端ワイヤによらず、ピットを所望のサイズとすることができるため、ピットを有効活用することができる。
【0009】
ワイヤ牽引装置は、第1の無端ワイヤが掛け渡される第1ドラム部と、第2の無端ワイヤが掛け渡される第2ドラム部と、を有している。第1引き込みシーブは、第1の無端ワイヤにおいて、第1ドラム部に向けて引き込まれる部位を下方に向けてガイドし、第2引き込みシーブは、第2の無端ワイヤにおいて、第2ドラム部に向けて引き込まれる部位を下方に向けてガイドする。衝突領域よりも第1方向での外側に配置され、第1の無端ワイヤにおいて、第1ドラム部から第1端部シーブに向けて引き戻される部位を、ガイドする第1引き戻しシーブと、衝突領域よりも第2方向での外側に配置され、第2の無端ワイヤにおいて、第2ドラム部から第2端部シーブに向けて引き戻される部位を、ガイドする第2引き戻しシーブと、を備えている。第1の無端ワイヤにおいて、第1引き込みシーブと第1端部シーブとの間の部位と、第1引き戻しシーブと第1端部シーブとの間の部位とは、走路に沿って敷設されており、第2の無端ワイヤにおいて、第2引き込みシーブと第2端部シーブとの間の部位と、第2引き戻しシーブと第2端部シーブとの間の部位とは、走路に沿って敷設されている、ことを特徴とする。上記構成では、第1,第2の無端ワイヤにおける引き込み側の部位と引き戻し側の部位とが、走路に沿って敷設されることで、衝突領域において、第1,第2の無端ワイヤにおける走路に沿った部位の引き回しをコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1車両と第2車両と対向させて衝突させる衝突試験を行う場合に、車両の牽引精度を高めることができる衝突試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】衝突試験装置の概略構成図である。
図2】衝突試験装置の平面図である。
図3】衝突試験装置の側面図である。
図4図2のA矢視での断面図を走行レールで拡大して示す拡大断面図である。
図5図2のB矢視での断面図を走行レールで拡大して示す拡大断面図である。
図6図2のC矢視での断面図を走行レールで拡大して示す拡大断面図である。
図7】衝突試験を説明する図である。
図8】衝突試験を説明する図である。
図9】比較例としての衝突試験を説明する図である。
図10】比較例としての衝突試験を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態に係る衝突試験装置を、図面を参照しつつ説明する。図1は、衝突試験装置の概略図である。図2は、衝突試験装置の平面図である。図3は、衝突試験装置の側面図である。なお、図2図3では、説明の便宜のため、後述する走行レール11A(0度走路)と、走行レール11B(180度走路)とのみを記載し、走行レール11C(45度走路)と走行レール11D(90度走路)を図示していない。衝突試験装置100は、自動車等の試験車両T1,T2を試験走路(以下、走路と記載する)上で衝突させ、その衝突状況を、下方側からカメラで撮影することが可能な装置である。
【0013】
図1で示す衝突試験装置100は、試験車両T1,T2が走行する走路(後述する、走行レール11A,11B,11C,11D)と、ピットカバー15と、無端ワイヤ(引っ張り側ワイヤW11,W21、引き戻し側ワイヤW12,W22)と、ドーリー70,71と、第1引き込みシーブ20と、第2引き込みシーブ30と、第1端部シーブ25と、第2端部シーブ35と、ワイヤ牽引装置60と、を主に備えている。
【0014】
衝突試験装置100では、後述するピット90上の衝突位置を中心に、所定の角度をおいて、放射状に複数本の走路(0度走路、45度走路、90度走路、180度走路)が配設されている。各走路は、この走路の延びる方向に延設された複数の走行レール11A,11B,11C,11Dが配設されている。各走行レール11A~11Dは、試験車両T1,T2を牽引するドーリー70,71を走路に沿ってガイドする部材である。
【0015】
走行レール11Aは、衝突領域(後述するピットカバー15の領域AR1)に向けて延設され、0度走路を形成するレールである。走行レール11Bは、走行レール11Aに対して180度(即ち、対向)した状態で衝突領域に向けて延設されることで、180度走路を形成するレールである。走行レール11Cは、走行レール11Aに対して、45度だけ水平方向に傾いた状態で衝突領域に向けて延設されることで、45度走路を形成するレールである。走行レール11Dは、走行レール11A又は走行レール11Bに対して、90度だけ水平方向に傾いた状態で衝突領域に向けて延設されることで、90度走路を形成するレールである。
【0016】
衝突試験において、走行レール11A(0度走路)と走行レール11B(180度走路)とが選択されることで、相対向して試験車両T1、T2が設置され、各試験車両T1、T2が後述するピット90上の衝突位置に向かって所定速度で牽引走行され、衝突位置において正面衝突する試験が行われる。また、走行レール11A(0度走路)と走行レール11C(45度走路)が選択されることで、試験車両T1、T2が、衝突位置において斜めから衝突する斜め衝突試験が行われる。更に、走行レール(0度走路)と走行レール11D(90度走路)、又は走行レール11B(180度走路)と走行レール11D(90度走路)が選択されることで、試験車両T1、T2のうち一方の試験車両に他方の試験車両が、衝突位置において、90度の角度で側方から衝突する側面衝突試験が行われる。
【0017】
次に、走行レール11Aの構成を説明する。なお、走行レール11B,11C,11Dについては、走行レール11Aと同様の構成であるため、説明を省略する。図4は、図2におけるA矢視での断面図を走行レール11Aで拡大して示す拡大断面図である。走行レール11Aは、水平方向に対向する一対のガイドレール12,13を有している。図4では、1対のガイドレール12,13は、断面視においてチャンネル形状(溝形状)であり、互いの溝部を水平方向において、走路の延設方向DAと交差する方向(後述する走路幅方向DB)に向けて対向させた状態で配置されている。走行レール11Aにおいて、一対のガイドレール12,13の間には、無端ワイヤやシーブを収容可能な空間が形成されている。
【0018】
各走行レール11A~11Dが交わる位置の下方には、図3で示されるようにピット90が設けられている。ピット90は、走行レール11よりも下方に位置する空間である。ピット90の内部には、このピット90の上下方向DCにおいて上方で衝突する試験車両T1,T2の状況を撮影するカメラが設置されている。ピット90には、不図示の作業通路が繋がっており、ピット90内におけるカメラの設置作業やメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0019】
ピット90の上方には、ピット90を上方から覆うピットカバー15が設けられている。ピットカバー15は、透明又は半透明の板状部材であり、例えばアクリル製である。ピットカバー15は、上面が走路面に対して面一になっており、試験車両T1,T2が走行することが可能である。
【0020】
以下では、0度走路(走行レール11A)において、ピットカバー15に向かう方向を第1方向D1と記載し、180度走路(走行レール11B)において、走路に沿ってピットカバー15に向かう方向を第2方向D2と記載する。また、0度走路と180度走路とが延びる方向を延設方向DAとも記載する。走行レール11A,11Bの幅方向を走路幅方向DBと記載する。上下の方向を、上下方向DCとも記載する。
【0021】
走行レール11A,11Bには、第1,第2ドーリー70,71と、試験車両T1,T2との連結を解除する不図示の連結解除機構が設けられている。試験車両T1を連結する第1ドーリー70が走行レール11A上の連結解除機構まで到達すると、連結解除機構は、第1ドーリー70と試験車両T1との連結を解除する。試験車両T2を連結する第2ドーリー71が走行レール11B上の連結解除機構まで到達すると、連結解除機構は、第2ドーリー71と試験車両T2との連結を解除する。
【0022】
図2に示すように、ピットカバー15において、延設方向DAで中央の位置には、試験車両T1,T2同士を衝突させる位置として想定される衝突位置P1が定められている。ピットカバー15が位置する領域のうち、衝突位置P1を含み延設方向DAにおいて所定距離だけ広がる領域を衝突領域AR1とする。ピットカバー15が位置する領域のうち、延設方向DAにおいて衝突領域AR1の両側で所定距離だけ広がる領域を切り離し領域AR2,AR3とする。第1切り離し領域AR2は、試験車両T1がドーリー70から切り離される第1切り離し位置P2を含む領域である。第1切り離し位置P2は、走行レール11Aにおいて、上述した連結解除機構が配置される位置である。第2切り離し領域AR3は、試験車両T2がドーリー71から切り離される第2切り離し位置P3を含む領域である。第2切り離し位置P3は、走行レール11Bにおいて、上述した連結解除機構が配置される位置である。
【0023】
図1に示されるように、試験車両T1を牽引するために用いられる第1の無端ワイヤ(第1の引っ張り側ワイヤW11、第1の引き戻し側ワイヤW12)は、ワイヤ牽引装置60、第1端部シーブ25、第1ガイドシーブ40A,40B、第1引き込みシーブ20、中間シーブ41A,41B,41C,41D、第1引き戻しシーブ21に掛け渡された状態で敷設されている。試験車両T2を牽引するために用いられる第2の無端ワイヤ(第2の引っ張り側ワイヤW21、第2の引き戻し側ワイヤW22)は、ワイヤ牽引装置60、第2端部シーブ35、第2ガイドシーブ42A,42B、第2引き込みシーブ30、中間シーブ43A,43B,43C,43D、第2引き戻しシーブ31に掛け渡された状態で敷設されている。以下では、衝突試験装置100において、第1の無端ワイヤが敷設された経路を第1ワイヤ経路と記載し、第2の無端ワイヤが敷設された経路を第2ワイヤ経路と記載する。
【0024】
第1の無端ワイヤと、第2の無端ワイヤとは、走行レール11A,11Bの内部に敷設されている。図4に示されるように、第1の無端ワイヤは、走行レール11A,11Bの内部で、第1の引っ張り側ワイヤW11、及び第1の引き戻し側ワイヤW12が、走路幅方向DBで並んで敷設されている。第1の引っ張り側ワイヤW11は、第1の無端ワイヤにおいて、ワイヤ牽引装置60により牽引されることで、走行レール11A内で、第1方向D1へ引っ張られる側の部位である。第1の引き戻し側ワイヤW12は、第1の無端ワイヤにおいて、走行レール11A内で、第2方向D2に引き戻される部位である。
【0025】
以下では、第1の無端ワイヤ(第1の引っ張り側ワイヤW11、第1の引き戻し側ワイヤW12)の記載を、第1の無端ワイヤ(W11,W12)と略称する。第1の無端ワイヤにおいて、第1の引っ張り側ワイヤW11、又は第1の引き戻し側ワイヤW12を個別に記載する場合は、第1の無端ワイヤを記載することなく、それぞれ「第1の引っ張り側ワイヤW11」、「第1の引き戻し側ワイヤW12」を用いて記載する場合がある。第1の無端ワイヤが、ワイヤ牽引装置60により「引っ張られる」、「送り出される」ことを、この第1の無端ワイヤの一部である、「第1の引っ張り側ワイヤW11」及び「第1の引き戻し側ワイヤW12」を用いて記載する場合がある。即ち、「第1の引っ張り側ワイヤW11が引っ張られる」とは、「第1の無端ワイヤにおいて、第1の引っ張り側ワイヤW11側が引っ張られる」という意味である。「第1の引き戻し側ワイヤW12が送り出される」とは、「第1の無端ワイヤにおいて、第1の引き戻し側ワイヤW12側が送り出される」という意味である。「引き戻される」、「ガイドされる」についても同様である。また、第1の無端ワイヤが、各シーブに掛け渡されることを、この第1の引っ張り側ワイヤW11及び第1の引き戻し側ワイヤW12を用いて記載する場合がある。即ち、「第1の引っ張り側ワイヤW11が掛け渡される」とは、「第1の無端ワイヤにおいて、第1の引っ張り側ワイヤW11側が掛け渡される」という意味である。「第1の引き戻し側ワイヤW12が掛け渡される」とは、「第1の無端ワイヤにおいて、第1の引き戻し側ワイヤW12側が掛け渡される」という意味である。後述する、第2の無端ワイヤにおいても同様である。
【0026】
図4に示されるように、第2の無端ワイヤは、走行レール11A,11Bの内部で、第2の引っ張り側ワイヤW21と、第2の引き戻し側ワイヤW22とが、走路幅方向DBで並んで敷設されている。第2の引っ張り側ワイヤW21は、第2の無端ワイヤにおいて、ワイヤ牽引装置60により牽引されることで、走行レール11B内で、第2方向D2へ引っ張られる部位である。第2の引き戻し側ワイヤW22は、第2の無端ワイヤにおいて、ワイヤ牽引装置60により牽引されることで、走行レール11B内で、第1方向D1に引き戻される部位である。
【0027】
ワイヤ牽引装置60は、回転ドラム部61と、変速機64と、回転駆動部65とを有している。回転ドラム部61は、第1,第2の無端ワイヤのそれぞれが掛け渡される複数のドラム部62,63を有している。具体的には、第1ドラム部62には、第1の無端ワイヤ(W11,W12)が掛け渡されている。第2ドラム部63には、第2の無端ワイヤ(W21,W22)が掛け渡されている。
【0028】
回転ドラム部61は、変速機64を介して回転駆動部65に連結されている。回転駆動部65は、例えば、モータである。変速機64は、回転駆動部65による回転を変速し、回転ドラム部61に伝達する装置である。なお、ワイヤ牽引装置60は、2つの回転駆動部65を有しており、一方の回転駆動部からの回転のみを変速機64により変速することで、第1ドラム部62と第2ドラム部63との回転速度を異ならせることができる。
【0029】
図1に示されるように、延設方向DAにおいて、ピットカバー15よりも第2方向D2での外側には、第1端部シーブ25が設けられている。第1端部シーブ25は、従動シーブであり、ワイヤ牽引装置60による第1の無端ワイヤ(W11,W12)の駆動に応じて、従動回転する。第1端部シーブ25における、延設方向DAでのピットカバー15までの距離は、0度走路の長さに応じて定められればよい。
【0030】
延設方向DAにおいて、ピットカバー15より、第1方向D1で外側には、第1引き込みシーブ20と、第1引き戻しシーブ21とが設けられている。第1引き込みシーブ20は、ワイヤ牽引装置60の第1ドラム部62により引き込まれた第1の引っ張り側ワイヤW11を、ワイヤ牽引装置60に向けて下方に向けてガイドするシーブである。第1引き戻しシーブ21は、ワイヤ牽引装置60の第1ドラム部62により送り出された第1の引き戻し側ワイヤW12を、第1端部シーブ25に向けてガイドするシーブである。
【0031】
図5は、図2におけるB矢視での断面図を走行レール11Aで拡大して示す拡大断面図である。第1引き込みシーブ20には、第1の引っ張り側ワイヤW11が掛け渡されている。第1引き戻しシーブ21には、第1の引き戻し側ワイヤW12が掛け渡されている。第1引き込みシーブ20と、第1引き戻しシーブ21とは、回転軸の延びる向きを走路幅方向DBに向けた状態で、支持ブラケットを介してピット90を区画する壁面に取り付けられている。第1引き込みシーブ20と、第1引き戻しシーブ21とは、従動シーブであり、ワイヤ牽引装置60による第1の無端ワイヤ(W11,W12)の駆動に応じて、従動回転する。
【0032】
なお、第1引き込みシーブ20の走路幅方向DBで隣には、第2の引き戻し側ワイヤW22を第2端部シーブ35に向けてガイドするガイドシーブ42Bと、第2の引っ張り側ワイヤW21をワイヤ牽引装置60に向けてガイドするガイドシーブ42Aが取り付けられている。本実施形態では、ガイドシーブ42A,42Bは、第1引き込みシーブ20及び第1引き戻しシーブ21と回転軸が共通である。即ち、ガイドシーブ42A,42Bは、回転軸の延びる向きを走路幅方向DBに向けた状態で、支持ブラケットを介してピット90を区画する壁面に取り付けられている。
【0033】
図1に戻り、第1ワイヤ経路において、第1引き込みシーブ20及び第1引き戻しシーブ21と、ワイヤ牽引装置60との間には、中間シーブ41A,41B,41C,41Dが設けられている。中間シーブ41A,41Bは、第1の引っ張り側ワイヤW11が掛け渡されるシーブである。中間シーブ41C,41Dは、第1の引き戻し側ワイヤW12が掛け渡されるシーブである。
【0034】
図1に示されるように、延設方向DAにおいて、ピットカバー15よりも第1方向D1での外側には、第2端部シーブ35が設けられている。第2端部シーブ35は、従動シーブであり、ワイヤ牽引装置60による第2の引っ張り側ワイヤW21の牽引に応じて、従動回転する。第2端部シーブ35における、延設方向DAでのピットカバー15までの距離は、180度走路の長さに応じて定められればよい。
【0035】
延設方向DAにおいて、ピットカバー15より、第2方向D2で外側には、第2引き込みシーブ30と第2引き戻しシーブ31とが設けられている。第2引き込みシーブ30は、ワイヤ牽引装置60の第2ドラム部63により引き込まれた第2の引っ張り側ワイヤW21を、ワイヤ牽引装置60に向けて下方にガイドするシーブである。第2引き戻しシーブ31は、ワイヤ牽引装置60の第2ドラム部63により送り出された第2の引き戻し側ワイヤW22を、第2端部シーブ35に向けてガイドするシーブである。
【0036】
図6は、図2におけるC矢視での断面図を走行レール11Aで拡大して示す拡大断面図である。第2引き込みシーブ30には、第2の引っ張り側ワイヤW21が掛け渡されている。第2引き戻しシーブ31には、第2の引き戻し側ワイヤW22が掛け渡されている。第2引き込みシーブ30と、第2引き戻しシーブ31とは、回転軸の延びる向きを走路幅方向DBに向けた状態で、支持ブラケットを介してピット90を区画する壁面に取り付けられている。第2引き込みシーブ30と、第2引き戻しシーブ31とは、従動シーブであり、ワイヤ牽引装置60による第2の無端ワイヤ(W21,W22)の駆動に応じて従動回転する。
【0037】
なお、第2引き戻しシーブ31の走路幅方向DBで隣には、第1の引っ張り側ワイヤW11をワイヤ牽引装置60に向けてガイドするガイドシーブ40Aと、第1の引き戻し側ワイヤW12を第1端部シーブ25に向けてガイドするガイドシーブ40Bが取り付けられている。本実施形態では、ガイドシーブ40A,40Bは、第2引き込みシーブ30及び第2引き戻しシーブ31と回転軸が共通である。即ち、ガイドシーブ40A,40Bは、回転軸の延びる向きを水平方向で走路幅方向DBに向けた状態で、支持ブラケットを介してピット90を区画する壁面に取り付けられている。
【0038】
図1に戻り、第2ワイヤ経路において、第2引き込みシーブ30及び第2引き戻しシーブ31と、ワイヤ牽引装置60との間には、中間シーブ43A,43B,43C,43Dが設けられている。中間シーブ43A,43Bは、第2の引っ張り側ワイヤW21が掛け渡されるシーブである。中間シーブ43C,43Dは、第2の引き戻し側ワイヤW22が掛け渡されるシーブである。
【0039】
上記構成の衝突試験装置100では、第1の引っ張り側ワイヤW11は、第1端部シーブ25と、第1引き込みシーブ20との間に掛け渡され、第1の引き戻し側ワイヤW12は、第1端部シーブ25と、第1引き戻しシーブ21との間に掛け渡されることで、ピットカバー15が位置する領域で、走路幅方向DBで隣り合っている。また、第2の引っ張り側ワイヤW21は、第2端部シーブ35と、第2引き込みシーブ30との間に掛け渡され、第2の引き戻し側ワイヤW22は、第2端部シーブ35と、第2引き戻しシーブ31との間に掛け渡されることで、ピットカバー15が位置する領域で、走路幅方向DBで隣り合っている。
【0040】
次に、図7図8を用いて、0度走路において試験車両T1を第1方向D1に向けて走行させ、180度走路において試験車両T2を第2方向D2に向けて走行させることで、試験車両T1,T2同士を衝突領域で衝突させる衝突試験を説明する。本実施形態では、試験車両T1が第1車両の一例であり、試験車両T2が第2車両の一例である。
【0041】
まず、試験車両T1を、第1ドーリー70に連結し、試験車両T2を、第2ドーリー71に連結する。次に、ワイヤ牽引装置60の回転を開始する。ワイヤ牽引装置60の回転ドラム部61が回転することで、第1の引っ張り側ワイヤW11に連結された第1ドーリー70が、試験車両T1を、第1方向D1に向けて牽引し、第2の引っ張り側ワイヤW21に連結された第2ドーリー71が、試験車両T2を、第2方向D2に向けて牽引する。このとき、引っ張り側ワイヤW11は、第1引き込みシーブ20によりガイドされた状態で、第1ドラム部62に向けて、引き込まれる。具体的には、第1の引っ張り側ワイヤW11における、第1引き込みシーブ20と第1ドラム部62との間の部位W111(図1)は、第1ドラム部62の回転に応じて、下方に引き込まれる。また、引っ張り側ワイヤW21は、第2引き込みシーブ30によりガイドされた状態で、第2ドラム部63に向けて引き込まれる。具体的には、第2の引っ張り側ワイヤW21における、第2引き込みシーブ30と第2ドラム部63との間の部位W211(図1)は、第2ドラム63の回転に応じて、下方に引き込まれる。
【0042】
回転ドラム部61の回転が継続することで、時刻t1よりも前に、第1ドーリー70が、ピットカバー15上の第1切り離し領域AR2に侵入し、第2ドーリー71が、ピットカバー15上の第2切り離し領域AR3に侵入する。図7に示すように、時刻t1で、第1ドーリー70が第1切り離し位置P2に到達することで、連結解除機構は、試験車両T1と第1ドーリー70との連結を解除し、試験車両T1を第1ドーリー70から切り離す。また、時刻t1で、第2ドーリー71が第2切り離し位置P3に到達することで、連結解除機構は、試験車両T2と第2ドーリー71との連結を解除し、試験車両T2を第2ドーリー71から切り離す。時刻t1では、試験車両T1は、第2方向D2側からピットカバー15の第1切り離し領域AR2に侵入しており、試験車両T2は、第1方向D1側からピットカバー15の第2切り離し領域AR3に侵入している。なお、この例では、試験車両T1が第1ドーリー70から切り離される時刻と、試験車両T2が第2ドーリー71から切り離される時刻とは同じであるが、これに限らず、試験車両T1と試験車両T2とは、各ドーリー70,71から切り離される時刻が異なっていてもよい。
【0043】
図8に示すように、時刻t2で、第1ドーリー70から切り離された試験車両T1は、ピットカバー15上を、衝突領域AR1に向けて惰性走行する。同様に、時刻t2で、第2ドーリー71から切り離された試験車両T2は、ピットカバー15上を、衝突領域AR1に向けて惰性走行する。その後、試験車両T1と試験車両T2とは、惰性走行により衝突領域AR1に侵入し、衝突位置P1で衝突する。
【0044】
図9図10は、比較例としての衝突試験を説明する図である。図9図10で示す比較例では、第1の無端ワイヤ(W11,W12)と、第2の無端ワイヤ(W21,W22)とは、ピットカバー15上に敷設されておらず、延設方向DAにおいて、ピットカバー15の手前で、引き込みシーブにより下方に向けて引き込まれている。そのため、比較例では、試験車両T1が第1ドーリー70から切り離される切り離し位置P12と、試験車両T2が第2ドーリー71から切り離される切り離し位置P13とは、延設方向DAにおいてピットカバー15より外側、即ち、図7図8で示した切り離し領域AR2,AR3よりも外側の位置である。
【0045】
比較例では、図9で示す時刻t3よりも前に、試験車両T1は、連結解除機構により切り離し位置P12で第1ドーリー70から切り離される。同様に、時刻t3よりも前に、試験車両T2は、連結解除機構により切り離し位置P13で第2ドーリー71から切り離される。このとき、試験車両T1,T2のいずれも、ピットカバー15に侵入していない。第1ドーリー70から切り離された試験車両T1、及び第2ドーリー71から切り離された試験車両T2は、ピットカバー15に向けて惰性走行する。
【0046】
図9で示す時刻t3で、第1ドーリー70から切り離された試験車両T1は、惰性走行により、第2方向D2側からピットカバー15に侵入する。同様に、時刻t3で、第2ドーリー71から切り離された試験車両T2は、惰性走行により、第1方向D1側からピットカバー15に侵入する。図10で示す時刻t4で、ピットカバー15に侵入した試験車両T1,T2は、衝突位置P11に向けて、惰性走行を継続する。その後、試験車両T1と試験車両T2とのそれぞれは、衝突位置P11で衝突する。
【0047】
比較例では、切り離し位置P12,P13から、衝突位置P11までの距離は、図7図8で示す本実施形態に係る衝突試験装置100よりも長くなる。そのため、試験車両T1,T2が惰性走行する距離や、期間が、本実施形態に係る衝突試験装置100と比べて長くなる。その結果、試験車両T1,T2がドーリー70,71から切り離されてから、衝突位置P11に到達するまでの間での走行速度や、実際の衝突位置P11にばらつきが生じ、試験車両の牽引精度を低下させる。
【0048】
これに対して、本実施形態に係る衝突試験装置100では、切り離し位置P2,P3から衝突位置P1までの距離を、比較例で示す距離よりも短くすることができる。そのため、試験車両T1,T2が惰性走行する距離や、期間を、比較例と比べて短くすることができ、衝突位置P1に到達するまでの間での走行速度や、衝突位置のばらつきを抑制することができ、ひいては、試験車両T1,T2の牽引精度の低下を抑制することができる。
【0049】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
衝突試験装置100において、試験車両T1,T2を衝突させる場合、第1ドーリー70は、ピットカバー15上の第2引き込みシーブ30から、衝突領域AR1までの間で、試験車両T1を切り離し、第2ドーリー71は、ピットカバー15上の第1引き込みシーブ20から、衝突領域AR1までの間で、試験車両T2を切り離す。これにより、試験車両T1,T2を、他方の試験車両の牽引に用いられる引き込みシーブ20,30を超えた位置で切り離すことができるため、引き込みシーブ20,30を超えるよりも前で切り離す構成と比べて、試験車両T1,T2の牽引精度を高めることができる。
【0050】
第1引き込みシーブ20は、第1の無端ワイヤ(W11,W12)を、ピット90を避けるように下方に向けて引き込み、第2引き込みシーブ30は、第2の無端ワイヤ(W21,W22)を、ピット90を避けるように下方に向けて引き込む。これにより、ピット90を備える衝突試験装置100においても、試験車両T1,T2を、他方の試験車両の牽引に用いられる引き込みシーブ20,30を超えた位置で切り離すことができるため、各試験車両T1,T2の牽引精度を高めることができる。更に、引き回された各無端ワイヤによらず、ピット90を所望のサイズで定めることができるため、ピット90を有効活用することができる。
【0051】
衝突試験装置100では、第1の無端ワイヤ(W11,W12)において、第1引き込みシーブ20と第1端部シーブ25との間の部位と、第1引き戻しシーブ21と第1端部シーブ25との間の部位とは、走行レール11A内で走路に沿って敷設されている。第2の無端ワイヤ(W21,W22)において、第2引き込みシーブ30と第2端部シーブ35との間の部位と、第2引き戻しシーブ31と第2端部シーブ35との間の部位とは、走行レール11B内で走路に沿って敷設されている。これにより、第1の無端ワイヤ(W11,W12)と、第2の無端ワイヤ(W21,W22)とが、ピットカバー15上で、走路に沿って敷設されることで、第1の無端ワイヤ(W11,W12)と、第2の無端ワイヤ(W21,W22)における、走路に沿った部位での引き回しをコンパクトにすることができる。
【0052】
(その他の実施形態) 本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述の実施形態では、ワイヤ牽引装置60は、走路(走行レール11A,11B,11C,11D)よりも下方に位置しており、第1引き込みシーブ20と第2引き込みシーブ30とは、第1,第2の引っ張り側ワイヤW11,W21をワイヤ牽引装置60に向けてガイドした。これに代えて、ワイヤ牽引装置60は、第1,第2端部シーブ25,35が位置する各端に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
20…第1引き込みシーブ、25…第1端部シーブ、30…第2引き込みシーブ、35…第2端部シーブ、60…ワイヤ牽引装置、70…第1ドーリー、71…第2ドーリー、100…衝突試験装置、W11…第1の引っ張り側ワイヤ、W12…第1の引き戻し側ワイヤ、W21…第2の引っ張り側ワイヤ、W22…第2の引き戻し側ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10