(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158701
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半導体試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241031BHJP
【FI】
G01R31/26 A
G01R31/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074105
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 優史
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA01
2G003AA02
2G003AB09
2G003AE09
2G003AG00
2G003AH05
2G003AH07
(57)【要約】
【課題】高耐圧かつ高速遮断が可能な遮断回路を備えた半導体試験装置を提供する。
【解決手段】半導体試験装置は、高電圧電源と試験用パワー半導体素子との間の電流経路5に過電流が流れた場合に、電流経路5を遮断する遮断回路12を備える。遮断回路12は、電流経路5上に直列に接続されたn個(nは2以上の整数)のパワー半導体素子1と、n個のパワー半導体素子1にそれぞれ対応するn個の駆動回路3とを含む。n個の駆動回路3の各々は、過電流検出部104によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子1をオン状態からオフ状態にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験用パワー半導体素子の電気特性を試験するための半導体試験装置であって、
前記試験用パワー半導体素子に高電圧を印加する高電圧電源と、
前記高電圧電源と前記試験用パワー半導体素子との間の電流経路に過電流が流れた場合に、前記電流経路を遮断する遮断回路とを備え、
前記遮断回路は、
前記電流経路に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出電流に基づいて前記電流経路に過電流が流れているか否かを判定する過電流検出部と、
前記電流経路上に直列に接続されたn個のパワー半導体素子(nは2以上の整数)と、
前記n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個の駆動回路とを含み、
前記n個の駆動回路の各々は、前記過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、半導体試験装置。
【請求項2】
前記電流検出部は、前記n個の駆動回路にそれぞれ対応し、各々が前記電流経路に流れる電流を検出するn個の電流センサを含み、
前記過電流検出部は、前記n個の駆動回路にそれぞれ対応するn個の過電流検出回路を含み、
前記n個の駆動回路の各々は、対応する電流センサの電流検出値に基づいて、対応する過電流検出回路が過電流を検出した場合に、対応するパワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項3】
前記n個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続されたn個のスナバ回路をさらに備える、請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項4】
前記n個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続され、各々が並列接続されたパワー半導体素子に印加される電圧を耐圧未満に制限するn個のツェナーダイオードをさらに備える、請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項5】
前記n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個の遅延回路をさらに備え、
前記n個の遅延回路の各々は、ターンオフのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項6】
前記n個のパワー半導体素子の各々に対して並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子がさらに設けられ、
前記n個の駆動回路の各々は、前記過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子および対応するパワー半導体素子に並列に接続された1個以上の付加パワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項7】
前記n個のパワー半導体素子の各々に対応して、さらに前記n個のパワー半導体素子の各々と並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子の各々に対応して、遅延回路が前記遮断回路に設けられ、
前記遮断回路に設けられた前記遅延回路は、ターンオフのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、請求項6に記載の半導体試験装置。
【請求項8】
前記電流経路に過電流が流れた場合に前記電流経路の一部と並列の迂回経路に電流を流す迂回回路をさらに備え、
前記迂回回路は、
前記電流経路に流れる電流を検出する第2の電流検出部と、
前記第2の電流検出部の検出電流に基づいて前記電流経路に過電流が流れているか否かを判定する第2の過電流検出部と、
前記迂回経路上に直列に接続されたp個のパワー半導体素子(pは2以上の整数)と、
前記p個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するp個の駆動回路とを含み、
前記p個の駆動回路の各々は、前記第2の過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【請求項9】
前記第2の電流検出部は、前記p個の駆動回路にそれぞれ対応し、各々が前記電流経路に流れる電流を検出するp個の電流センサを含み、
前記第2の過電流検出部は、前記p個の駆動回路にそれぞれ対応するp個の過電流検出回路を含み、
前記p個の駆動回路の各々は、対応する電流センサの電流検出値に基づいて、対応する過電流検出回路が過電流を検出した場合に、対応するパワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、請求項8に記載の半導体試験装置。
【請求項10】
前記p個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続されたp個のスナバ回路をさらに備える、請求項8に記載の半導体試験装置。
【請求項11】
前記p個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続され、各々が並列接続されたパワー半導体素子に印加される電圧を耐圧未満に制限するp個のツェナーダイオードをさらに備える、請求項8に記載の半導体試験装置。
【請求項12】
前記p個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するp個の遅延回路をさらに備え、
前記p個の遅延回路の各々は、ターンオンのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、請求項8に記載の半導体試験装置。
【請求項13】
前記p個のパワー半導体素子の各々に対して並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子がさらに設けられ、
前記p個の駆動回路の各々は、前記第2の過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子および対応するパワー半導体素子に並列に接続された1個以上の付加パワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、請求項8に記載の半導体試験装置。
【請求項14】
前記p個のパワー半導体素子の各々に対応して、さらに前記p個のパワー半導体素子の各々と並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子の各々に対応して、遅延回路が前記迂回回路に設けられ、
前記迂回回路に設けられた前記遅延回路は、ターンオンのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、請求項13に記載の半導体試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子の出荷前にその品質と性能を確認するために電気特性試験が行われる。パワー半導体素子の電気特性試験において、試験中の製品(DUT:Device Under Test)が不良のために破壊することがある。このとき、大きな破壊電流が流れるため、試験装置および治具がダメージを受ける。この破壊電流から試験装置および治具を保護するために遮断回路が用いられる。
【0003】
遮断回路では高電圧かつ大電流を高速に遮断する必要があるので、遮断用スイッチにはメカニカルリレーではなく高速応答が可能なパワー半導体素子が用いられる。この遮断用パワー半導体素子の定格電圧および定格電流は試験対象のパワー半導体素子に印加される試験電圧および試験電流よりも大きい必要がある。試験電流が不足する場合には先行文献1(特開2016-011953号公報)のように電流供給用のコンデンサを並列に接続して電流量を確保する場合がある。この場合、遮断用のパワー半導体素子も並列に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DUTが破壊した場合、試験条件、電圧、電流、遮断回路の構成などによって破壊電流を遮断するまでの時間は異なる。試験回路および治具に対するダメージを小さくするためには遮断時間が短いほど望ましいので、いずれにしてもパワー半導体素子を高速に遮断させることが重要である。
【0006】
通常、遮断用パワー半導体素子の耐電圧は試験電圧よりも高電圧である必要があるので、高耐圧なパワー半導体モジュールが用いられる。しかしながら、一般に高耐圧なパワー半導体モジュールはディスクリートタイプのパワー半導体素子よりも応答速度が遅いために破壊電流の遮断に時間がかかるという問題がある。一方で、ディスクリートタイプのパワー半導体素子はパワー半導体モジュールよりも耐圧が低いために試験電圧によっては遮断用として用いることができない。
【0007】
本開示は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、その目的の一つは、高耐圧かつ高速遮断が可能な遮断回路を備えた半導体試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、試験用パワー半導体素子の電気特性を試験するための半導体試験装置が提供される。半導体試験装置は、試験用パワー半導体素子に高電圧を印加する高電圧電源と、高電圧電源と試験用パワー半導体素子との間の電流経路に過電流が流れた場合に、電流経路を遮断する遮断回路とを備える。遮断回路は、電流経路に流れる電流を検出する電流検出部と、電流検出部の検出電流に基づいて電流経路に過電流が流れているか否かを判定する過電流検出部と、電流経路上に直列に接続されたn個(nは2以上の整数)のパワー半導体素子と、n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個の駆動回路とを含む。n個の駆動回路の各々は、過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする。
【発明の効果】
【0009】
上記の実施形態によれば、遮断回路には電流経路上に直列に接続されたn個(nは2以上の整数)のパワー半導体素子が設けられるので、高耐圧かつ高速遮断が可能な遮断回路を備えた半導体試験装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】半導体試験装置の基本的構成例を示す回路図である。
【
図2】
図1の遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図3】実施の形態2の半導体試験装置において、遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図4】実施の形態3の半導体試験装置において、遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】実施の形態4の半導体試験装置において、遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図6】実施の形態5の半導体試験装置において、遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図7】実施の形態5の半導体試験装置において、他の遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図8】実施の形態6の半導体試験装置において、遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図9】実施の形態6の半導体試験装置において、他の遮断回路の構成例を示す回路図である。
【
図10】実施の形態7の半導体試験装置の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
[半導体試験装置の基本的構成例]
図1は、半導体試験装置の基本的構成例を示す回路図である。半導体試験装置20は、試験対象のパワー半導体素子11の電気特性の試験を行う。半導体試験装置20の一例として
図1にアバランシェ耐量試験のための回路構成を示すが、アバランシェ耐量試験以外の試験項目でも以下に述べる遮断回路12の動作は同様である。
図1に示すように、半導体試験装置20は、高電圧電源21と、コンデンサ22と、試験用パワー半導体素子11を駆動する駆動回路23と、遮断回路12と、インダクタ25とを備える。
【0013】
図1では、試験用パワー半導体素子11としてNチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)が示されているがこれに限定されない。たとえば、試験用パワー半導体素子11は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であってもよい。
【0014】
高電圧電源21は、パワー半導体素子11に高電圧を印加する。コンデンサ22は、高電圧電源21と並列に接続され、パワー半導体素子11へ試験電流を放出する。インダクタ25は、高電圧電源21およびコンデンサ22とパワー半導体素子11との間の電流経路5上に設けられる。駆動回路23は、試験用パワー半導体素子11のオンおよびオフを制御するために、ゲート駆動信号をパワー半導体素子11のゲート端子に出力する。上記の高電圧電源21および駆動回路23は、図示しないコントローラによって制御される。
【0015】
遮断回路12は、高電圧電源21およびコンデンサ22とパワー半導体素子11との間の電流経路5に、インダクタ25と直列に設けられる。遮断回路12は、試験用パワー半導体素子11の故障によって電流経路5に過電流が流れた場合に、電流経路5を遮断することにより半導体試験装置20を保護する。
【0016】
[遮断回路の基本構成と動作]
図2は、
図1の遮断回路の構成例を示す回路図である。
図2に示すように、遮断回路12は、電流経路5上に直列接続された遮断用のn個(nは2以上の整数)のパワー半導体素子1(1a,1b)と、n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個のゲート駆動回路3(3a,3b)と、電流検出部102と、過電流検出部104とを備える。
図2では、n=2の場合が示されている。
【0017】
図1では、遮断用パワー半導体素子1としてNチャネルMOSFETが示されているがこれに限定されない。たとえば、遮断用パワー半導体素子1はIGBTであってもよい。
【0018】
電流検出部102は、高電圧電源21およびコンデンサ22と試験対象のパワー半導体素子11との間の電流経路5に流れる電流を検出する。
図1の場合、電流検出部102は、n個の遮断用パワー半導体素子1(1a,1b)にそれぞれ対応するn個の電流センサ2(2a,2b)を含む。また、
図1の場合、電流センサ2としてカレントトランスを図示しているが、電流センサ2の電流検知方式には、巻線方式、ホール素子方式、フラックスゲート方式などがあり、特に限定されない。
【0019】
過電流検出部104は、電流検出部102の検出電流に基づいて、電流経路5に過電流が流れているか否かを判定する。
図2の場合、過電流検出部104は、n個の遮断用パワー半導体素子1(1a,1b)にそれぞれ対応するn個の過電流検出回路4を含む。たとえば、過電流検出回路4は、電流センサ2の出力電圧を参照電圧と比較する比較器と、比較器の比較結果を保持するためのラッチ回路とを有する。
【0020】
各ゲート駆動回路3は、対応する過電流検出回路4によって過電流が検出されていない通常時に、対応する遮断用パワー半導体素子1をオン状態にするためのゲート駆動信号を出力する。各ゲート駆動回路3は、対応する過電流検出回路4によって過電流が検出された場合に、対応する遮断用パワー半導体素子1をオフ状態にするためのゲート駆動信号を出力する。これにより、電流経路5に破壊電流が流れた場合に、その破壊電流が遮断される。
【0021】
なお、電流検出部102はn個の遮断用パワー半導体素子1で共通の1個の電流センサ2を備え、過電流検出部104はn個の遮断用パワー半導体素子1で共通の1個の過電流検出回路4を備える構成であってもよい。この場合、各ゲート駆動回路3は、過電流検出部104に備えられた共通の過電流検出回路4によって過電流が検出された場合に、対応する遮断用パワー半導体素子1をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0022】
[実施の形態1の効果]
過電流発生時に高速応答できることを優先するとディスクリートタイプのような耐電圧の比較的低い素子を用いる必要がある。そこで、不足する耐電圧を補うためにn個(nは2以上の整数)の遮断用パワー半導体素子1が直列に接続される。
【0023】
上記の構成のため、n個の遮断用パワー半導体素子1をオフするタイミングがずれると特定の遮断用パワー半導体素子1に印加される電圧が絶対最大定格を超えることになる。この結果、その特定の遮断用パワー半導体素子1が破損してしまう。各遮断用パワー半導体素子1を破損しないために直列接続しているn個の遮断用パワー半導体素子1を同時にオフする必要がある。実施の形態1の半導体試験装置20ではn個の遮断用パワー半導体素子1にそれぞれ対応するn個のカレントトランス方式の電流センサ2を用いて同一の破壊電流を検出するように構成される。このため、破壊電流の検出タイミングはほぼ同期しており、過電流検出時にほぼ同時にn個の遮断用パワー半導体素子1をオフできる。
【0024】
なお、絶縁のために過電流検出回路4とゲート駆動回路3との間の接続に光信号を用いてもよい。しかしながら、電気信号と光信号との間の変換に遅延時間が生じることになるので、信号変換のための遅延時間を削減するために電流センサ2、過電流検出回路4、ゲート駆動回路3のすべてを電気信号のみで直結するほうが望ましい。
【0025】
実施の形態2.
図2に示す実施の形態1の半導体試験装置20の遮断回路12の構成の場合、n個の過電流検出回路4、n個のゲート駆動回路3、およびn個のパワー半導体素子1の各々に個別に使われている部品の電気特性のばらつきに起因して、直列に接続したn個のパワー半導体素子1が厳密に同時にオフしない場合がある。この場合、特定のパワー半導体素子1に電圧が集中してその特定のパワー半導体素子1が破壊してしまう可能性がある。そこで、ターンオフのタイミングのズレを吸収するために直列に接続したn個の遮断用パワー半導体素子1のそれぞれについてスナバ回路30が並列に接続される。以下、図面を参照して説明する。
【0026】
[遮断回路の構成例と動作]
図3は、実施の形態2の半導体試験装置20において、遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図3の遮断回路12は、各遮断用パワー半導体素子1(1a,1b)と並列に接続されたスナバ回路30(30a,30b)をさらに備える点で
図2の遮断回路12と異なる。
【0027】
図3のスナバ回路30は、抵抗器6、ダイオード7、およびコンデンサ8を備える。順方向のダイオード7およびコンデンサ8は、遮断用パワー半導体素子1としてのNチャネルMOSFETのドレインとソースとの間に直列に接続される。抵抗器6は、コンデンサ8と並列に接続される。
図3のその他の構成は
図2の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0028】
次に、
図3の遮断回路12の動作について説明する。以下、遮断用パワー半導体素子1をMOSFETとして説明するがこれに限定されない。たとえば、遮断用パワー半導体素子1はIGBTであってもよい。
【0029】
試験用パワー半導体素子11の故障によって生じた破壊電流を遮断するために、遮断用パワー半導体素子1がオフすると、遮断用パワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧が大きくなる。このとき、遮断用パワー半導体素子1と並列に接続されているスナバ回路30のダイオード7に破壊電流が流れ、破壊電流によってコンデンサ8が充電される。
図1の高電圧電源21によって供給される試験電圧をVCCとし、パワー半導体素子1の直列数をnとすると、コンデンサ8はその両端間の電圧がVCC/nになるまで破壊電流で充電される。コンデンサ8が充電されるために、遮断用パワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧の立上りが遅くなる。この結果、遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングがずれたとしてもドレイン・ソース間電圧のサージが抑制されるため遮断用パワー半導体素子1の破壊を防止できる。
【0030】
[実施の形態2の効果]
上記のとおり、実施の形態2の半導体試験装置20の遮断回路12によれば、直列接続されたn個の遮断用パワー半導体素子1の各々と並列にスナバ回路30が設けられる。これにより、電流センサ2、ゲート駆動回路3、および過電流検出回路4を構成する個々の電子部品の特性ばらつきによって、破壊電流の発生時にn個の遮断用パワー半導体素子1がターンオフするタイミングがずれたとしても、ドレイン・ソース間電圧のサージが抑制されるため、遮断用パワー半導体素子1の破壊を防止できる。
【0031】
なお、上記のスナバ回路30の構成においてコンデンサ8の容量が大きいほど遮断用パワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧の立上りが遅くなり、遮断時間が長くなってしまう。したがって、コンデンサ8の容量は遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングのズレを吸収する程度の必要最低限にすることが望ましい。
【0032】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態2と同様の理由で直列接続された遮断用パワー半導体素子1が同時にターンオフしない場合の対策について説明する。実施の形態3では実施の形態2とは別の対策が示される。
【0033】
[遮断回路の構成例と動作]
図4は、実施の形態3の半導体試験装置20において、遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図4の遮断回路12は、各遮断用パワー半導体素子1(1a,1b)と並列に接続されたツェナーダイオード9(9a,9b)をさらに備える点で
図2の遮断回路12と異なる。各ツェナーダイオード9のアノードは、対応する遮断用パワー半導体素子1としてのNチャネルMOSFETのソースに接続される。各ツェナーダイオード9のカソードは、対応する遮断用パワー半導体素子1としてのNチャネルMOSFETのドレインに接続される。
図4のその他の構成は
図2の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0034】
次に、
図4の遮断回路12の動作について説明する。
図1の高電圧電源21によって供給される試験電圧をVCCとし、遮断用パワー半導体素子1の直列数をnとし、遮断用パワー半導体素子1の耐圧をVmaxとする。この場合、ツェナーダイオード9のツェナー電圧Vzは、
Vmax>Vz>VCC/n …(1)
を満たすように選択される。
【0035】
直列に接続したn個のパワー半導体素子1のそれぞれのオフタイミングがずれた場合、先にターンオフしたパワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧が他のパワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧よりも先に立ち上がる。しかしながら、ドレイン・ソース間電圧がVzまで立ち上がったところでツェナーダイオード9によってドレイン・ソース間電圧がクランプされてそれ以上立ち上がらなくなる。この動作により、それぞれのパワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧は耐圧Vmax以上にならないため、パワー半導体素子1の破壊を防止できる。
【0036】
ツェナーダイオード9のツェナー電圧VzがVCC/nに満たない場合はツェナーダイオード9を複数直列に接続する構成としてもよい。
【0037】
[実施の形態3の効果]
以上のとおり、実施の形態3の半導体試験装置20の遮断回路12によれば、直列接続されたn個の遮断用パワー半導体素子1の各々と並列にツェナーダイオード9が設けられる。これにより、破壊電流の発生時にn個の遮断用パワー半導体素子1がターンオフするタイミングがずれたとしても、各遮断用パワー半導体素子1のドレイン・ソース間電圧はツェナーダイオード9によってクランプされるため、耐圧Vmax以上になることを防止できる。
【0038】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4の半導体試験装置20において、遮断回路12の構成例を示す回路図である。実施の形態4は、実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせたものである。
【0039】
すなわち、
図5の遮断回路12は、直列接続されたn個の遮断用パワー半導体素子1(1a,1b)の各々と並列にスナバ回路30(30a,30b)およびツェナーダイオード9(9a,9b)を有する点で
図2の遮断回路12と異なる。各遮断用パワー半導体素子1に対して、対応するスナバ回路30とツェナーダイオード9とは互いに並列に接続される。
【0040】
スナバ回路30の構成および接続は
図3の場合と同様であり、ツェナーダイオード9の接続は
図4の場合と同様である。また、
図5のスナバ回路30は
図3の場合と同様に動作し、
図5のツェナーダイオード9は
図4の場合と同様に動作する。
【0041】
スナバ回路30のみまたはツェナーダイオード9のみの構成では遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングのズレに起因するドレイン・ソース間電圧のサージを吸収できない場合には、
図5に示すようにスナバ回路30とツェナーダイオード9とを組み合わせることが望ましい。
【0042】
実施の形態5.
図1の高電圧電源21およびコンデンサ22によって生成される試験電流に対して、各遮断用パワー半導体素子1の定格電流が不足する場合には、直列接続されたn個の遮断用パワー半導体素子1の各々に対して並列に、遮断用パワー半導体素子1をさらに接続してもよい。並列接続される遮断用パワー半導体素子1の個数m(元の遮断用パワー半導体素子1と付加された遮断用パワー半導体素子1との総個数)は、各遮断用パワー半導体素子1の定格電流のm倍が試験電流を超えるように定められる。実施の形態5は、実施の形態1~4のいずれとも組み合わせることができる。以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0043】
図6は、実施の形態5の半導体試験装置20において、遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図6の遮断回路12は、
図2の遮断回路12を変形した回路であり、遮断用パワー半導体素子1a,1bとそれぞれ並列に接続された遮断用パワー半導体素子1a_p,1b_pをさらに備える。ゲート駆動回路3は、対応する並列接続された複数の遮断用パワー半導体素子1に対して共通のゲート駆動信号を供給する。
【0044】
図7は、実施の形態5の半導体試験装置20において、他の遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図7の遮断回路12は、
図5の遮断回路12を変形した回路であり、遮断用パワー半導体素子1a,1bとそれぞれ並列に接続された遮断用パワー半導体素子1a_p,1b_pをさらに備える。ゲート駆動回路3は、対応する並列接続された複数の遮断用パワー半導体素子1に対して共通のゲート駆動信号を供給する。
【0045】
図6の遮断回路12のように、スナバ回路30およびツェナーダイオード9が両方とも設けられていない場合、互いに並列接続された遮断用パワー半導体素子1,1_pのターンオフタイミングにずれが生じると、特定の遮断用パワー半導体素子1に破壊電流が集中する可能性がある。この場合、上記の特定の遮断用パワー半導体素子1に絶対最大定格電流以上の電流が流れるとこの遮断用パワー半導体素子1が破壊する可能性がある。この問題は、直列接続されたいずれかの遮断用パワー半導体素子1のドレイン・ソース間に電圧が集中する問題とはまた別の問題である。
【0046】
図7のようにスナバ回路30およびツェナーダイオード9の両方、またはいずれか一方を、並列接続されたm個の遮断用パワー半導体素子1,1_pと並列に設けることにより、スナバ回路30および/またはツェナーダイオード9が電流の迂回路になる。これにより、電流集中による遮断用パワー半導体素子1の破壊を抑制できる。
【0047】
実施の形態6.
実施の形態1~5において、直列および並列接続された遮断用パワー半導体素子1は、試験用パワー半導体素子11の故障時に生じる破壊電流の検出をトリガにしてターンオフ動作を開始する。したがって、各遮断用パワー半導体素子1の電気特性が一致していれば、基本的には各遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングは一致する。しかしながら、個々の遮断用パワー半導体素子1の電気特性(たとえば、閾値電圧)のばらつきに起因してターンオフのタイミングがずれる場合がある。ターンオフのタイミングのズレ量が大きすぎる場合は実施の形態2~5に示す対策を行ってもなお遮断用パワー半導体素子1を破壊してしまう可能性がある。もしくは、遮断用パワー半導体素子1を破壊しないようにマージンを大きくする必要があり、結果として破壊電流の遮断速度が遅くなり、目標の遮断時間を達成できない可能性がある。
【0048】
そこで、実施の形態6の半導体試験装置20の遮断回路12では、各遮断用パワー半導体素子1に対して、対応するゲート駆動回路3から当該遮断用パワー半導体素子1のゲート端子までの間にタイミング調整用の遅延回路10が設けられる。遅延回路10によってゲート駆動信号のタイミングを調整することによって、各遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングを一致させる。遅延回路10として抵抗器とコンデンサとを用いたCR遅延回路を利用してもよいし、直列接続された複数のバッファ回路を利用してもよい。実施の形態6は、実施の形態1~5のいずれとも組み合わせることができる。以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0049】
図8は、実施の形態6の半導体試験装置20において、遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図8の遮断回路12は、
図2の遮断回路12を変形した回路であり、ゲート駆動回路3aと対応する遮断用パワー半導体素子1aのゲート端子との間に遅延回路10aが設けられ、ゲート駆動回路3bと対応する遮断用パワー半導体素子1bのゲート端子との間に遅延回路10bが設けられる。
【0050】
図9は、実施の形態6の半導体試験装置20において、他の遮断回路12の構成例を示す回路図である。
図9の遮断回路12は、
図7の遮断回路12を変形した回路である。具体的に、ゲート駆動回路3aと対応する並列接続された遮断用パワー半導体素子1a,1a_pのゲート端子との間に遅延回路10a,10a_pがそれぞれ設けられ、ゲート駆動回路3bと対応する並列接続された遮断用パワー半導体素子1b,1b_pのゲート端子との間に遅延回路10b,10b_pがそれぞれ設けられる。
【0051】
図8に示すように、タイミング調整用の遅延回路10a,10bを設けただけでは、各遮断用パワー半導体素子1のターンオフのタイミングを一致することができない場合には、
図9に示すように、遅延回路10にさらにスナバ回路30およびツェナーダイオード9を組み合わせることにより、各遮断用パワー半導体素子1の破壊を防止できる。
【0052】
実施の形態7.
実施の形態7の半導体試験装置20では、過電流検出時に破壊電流を迂回させるための迂回回路13をさらに備える点で、
図1の半導体試験装置20と異なる。これにより、試験装置の治具などを破壊電流による破壊から防止できる。実施の形態7は、実施の形態1~6のいずれとも組み合わせることができる。以下、図面を参照して具体的に説明する。
【0053】
図10は、実施の形態7の半導体試験装置20の構成例を示す回路図である。
図10に示すように、半導体試験装置20は、高電圧電源21と、コンデンサ22と、インダクタ25と、試験用パワー半導体素子11を駆動する駆動回路23と、遮断回路12と、迂回回路13と、ダイオード26とを備える。
図10では、
図1の場合と同様にインダクタ25を用いたアバランシェモードの動特性試験回路の例が示されている。
【0054】
高電圧電源21は、パワー半導体素子11に高電圧を印加する。コンデンサ22は、高電圧電源21と並列に接続され、パワー半導体素子11へ試験電流を放出する。駆動回路23は、試験用パワー半導体素子11のオンおよびオフを制御するためのゲート駆動信号をパワー半導体素子11のゲート端子に出力する。
【0055】
インダクタ25は、試験用パワー半導体素子11の負荷として、高電圧電源21およびコンデンサ22と試験用パワー半導体素子11との間を接続する電流経路5上に設けられる。
【0056】
遮断回路12は、上記の電流経路5上においてインダクタ25と直列に設けられ、電流経路5での過電流検出時に電流経路5を流れる電流を遮断する。
図10では、遮断回路12の一例として
図6に示す構成が示されているが、
図2~
図9のいずれの遮断回路12の構成であっても構わない。
【0057】
迂回回路13は、電流経路5での過電流検出時に電流経路5の一部と並列の迂回経路27を導通させる。
図10の場合には、迂回経路27はインダクタ25と並列に設けられる。迂回回路13はインダクタ25の電流を迂回経路27にバイパスさせる。ダイオード26は、迂回経路27上においてカソードが高電圧電源21側でアノードが試験用パワー半導体素子11側になるように接続される。
【0058】
具体的には
図10に示すように、迂回回路13は、迂回経路27上に直列接続されたp個(pは2以上の整数)のパワー半導体素子31(31a,31b)と、p個のパワー半導体素子31にそれぞれ対応するp個のゲート駆動回路33(33a,33b)と、電流検出部132(第2の電流検出部とも称する)と、過電流検出部134(第2の過電流検出部とも称する)とを備える。
図10では、p=2の場合が示されている。
【0059】
さらに、
図10に示すように、p個のパワー半導体素子31(31a,31b)の各々に1個以上のパワー半導体素子31_p(31a_p,31b_p)が並列に接続されていてもよい。
【0060】
電流検出部132は、電流経路5に流れる電流を検出する。
図10の場合、電流検出部132は、p個のパワー半導体素子31(31a,31b)にそれぞれ対応するp個の電流センサ32(32a,32b)を含む。また、
図10の場合、電流センサ32としてカレントランスを図示しているが、電流検出方式は巻き線方式に限定しない。
【0061】
過電流検出部134は、電流検出部132の検出電流に基づいて、電流経路5に過電流が流れているか否かを判定する。
図10の場合、過電流検出部134は、p個のパワー半導体素子31(31a,31b)にそれぞれ対応するp個の過電流検出回路34(34a,34b)を含む。
【0062】
各ゲート駆動回路33は、対応する過電流検出回路34によって過電流が検出されていない通常時に、対応するパワー半導体素子31,31_pをオフ状態にするためのゲート駆動信号を出力する。各ゲート駆動回路33は、対応する過電流検出回路4によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子31,31_pをオン状態にするためのゲート駆動信号を出力する。
【0063】
なお、電流検出部132はp個のパワー半導体素子31で共通の1個の電流センサ32を備え、過電流検出部134はp個のパワー半導体素子31で共通の1個の過電流検出回路34を備える構成であってもよい。この場合、各ゲート駆動回路33は、過電流検出部134に備えられた共通の過電流検出回路34によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子31をオフ状態からオン状態に切り替える。
【0064】
上記の構成により、半導体試験装置20は、試験用パワー半導体素子11の故障により電流経路5に破壊電流が流れた場合に、遮断回路12を遮断することにより試験用パワー半導体素子11および治具などに流れる破壊電流を遮断し、同時に迂回回路13を導通させることにより試験用パワー半導体素子11および治具等に破壊電流が流れることを防止する。
【0065】
なお、迂回回路13は、各パワー半導体素子31と並列に
図3、
図5、
図7、
図9に示されているスナバ回路30をさらに備えていてもよい。また、迂回回路13は、各パワー半導体素子31と並列に
図4、
図5、
図7、
図9に示されているツェナーダイオード9をさらに備えていてもよい。また、迂回回路13は、各ゲート駆動回路33と対応するパワー半導体素子31,31_pのゲート端子との間に、
図8および
図9に示されている遅延回路10をさらに備えていてもよい。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この出願の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0068】
(付記1)
試験用パワー半導体素子の電気特性を試験するための半導体試験装置であって、
前記試験用パワー半導体素子に高電圧を印加する高電圧電源と、
前記高電圧電源と前記試験用パワー半導体素子との間の電流経路に過電流が流れた場合に、前記電流経路を遮断する遮断回路とを備え、
前記遮断回路は、
前記電流経路に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部の検出電流に基づいて前記電流経路に過電流が流れているか否かを判定する過電流検出部と、
前記電流経路上に直列に接続されたn個のパワー半導体素子(nは2以上の整数)と、
前記n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個の駆動回路とを含み、
前記n個の駆動回路の各々は、前記過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、半導体試験装置。
【0069】
(付記2)
前記電流検出部は、前記n個の駆動回路にそれぞれ対応し、各々が前記電流経路に流れる電流を検出するn個の電流センサを含み、
前記過電流検出部は、前記n個の駆動回路にそれぞれ対応するn個の過電流検出回路を含み、
前記n個の駆動回路の各々は、対応する電流センサの電流検出値に基づいて、対応する過電流検出回路が過電流を検出した場合に、対応するパワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、付記1に記載の半導体試験装置。
【0070】
(付記3)
前記n個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続されたn個のスナバ回路をさらに備える、付記1または2に記載の半導体試験装置。
【0071】
(付記4)
前記n個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続され、各々が並列接続されたパワー半導体素子に印加される電圧を耐圧未満に制限するn個のツェナーダイオードをさらに備える、付記1~3のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0072】
(付記5)
前記n個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するn個の遅延回路をさらに備え、
前記n個の遅延回路の各々は、ターンオフのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、付記1~4のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0073】
(付記6)
前記n個のパワー半導体素子の各々に対して並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子がさらに設けられ、
前記n個の駆動回路の各々は、前記過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子および対応するパワー半導体素子に並列に接続された1個以上の付加パワー半導体素子をオン状態からオフ状態にする、付記1~4のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0074】
(付記7)
前記n個のパワー半導体素子の各々に対応して、さらに前記n個のパワー半導体素子の各々と並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子の各々に対応して、遅延回路が前記遮断回路に設けられ、
前記遮断回路に設けられた前記遅延回路は、ターンオフのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、付記6に記載の半導体試験装置。
【0075】
(付記8)
前記電流経路に過電流が流れた場合に前記電流経路の一部と並列の迂回経路に電流を流す迂回回路をさらに備え、
前記迂回回路は、
前記電流経路に流れる電流を検出する第2の電流検出部と、
前記第2の電流検出部の検出電流に基づいて前記電流経路に過電流が流れているか否かを判定する第2の過電流検出部と、
前記迂回経路上に直列に接続されたp個のパワー半導体素子(pは2以上の整数)と、
前記p個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するp個の駆動回路とを含み、
前記p個の駆動回路の各々は、前記第2の過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、付記1~7のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0076】
(付記9)
前記第2の電流検出部は、前記p個の駆動回路にそれぞれ対応し、各々が前記電流経路に流れる電流を検出するp個の電流センサを含み、
前記第2の過電流検出部は、前記p個の駆動回路にそれぞれ対応するp個の過電流検出回路を含み、
前記p個の駆動回路の各々は、対応する電流センサの電流検出値に基づいて、対応する過電流検出回路が過電流を検出した場合に、対応するパワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、付記8に記載の半導体試験装置。
【0077】
(付記10)
前記p個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続されたp個のスナバ回路をさらに備える、付記8または9に記載の半導体試験装置。
【0078】
(付記11)
前記p個のパワー半導体素子とそれぞれ並列に接続され、各々が並列接続されたパワー半導体素子に印加される電圧を耐圧未満に制限するp個のツェナーダイオードをさらに備える、付記8~10のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0079】
(付記12)
前記p個のパワー半導体素子にそれぞれ対応するp個の遅延回路をさらに備え、
前記p個の遅延回路の各々は、ターンオンのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、付記8~11のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0080】
(付記13)
前記p個のパワー半導体素子の各々に対して並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子がさらに設けられ、
前記p個の駆動回路の各々は、前記第2の過電流検出部によって過電流が検出された場合に、対応するパワー半導体素子および対応するパワー半導体素子に並列に接続された1個以上の付加パワー半導体素子をオフ状態からオン状態にする、付記8~11のいずれか1項に記載の半導体試験装置。
【0081】
(付記14)
前記p個のパワー半導体素子の各々に対応して、さらに前記p個のパワー半導体素子の各々と並列接続された1個以上の付加パワー半導体素子の各々に対応して、遅延回路が前記迂回回路に設けられ、
前記迂回回路に設けられた前記遅延回路は、ターンオンのタイミングを揃えるように、対応する駆動回路から対応するパワー半導体素子に出力される駆動信号を遅延させる、付記13に記載の半導体試験装置。
【符号の説明】
【0082】
1 遮断用パワー半導体素子、2,32 電流センサ、3,33 ゲート駆動回路、4,34 過電流検出回路、5 電流経路、6 抵抗器、7,26 ダイオード、8,22 コンデンサ、9 ツェナーダイオード、10 遅延回路、11 試験用パワー半導体素子、12 遮断回路、13 迂回回路、20 半導体試験装置、21 高電圧電源、23 駆動回路、25 インダクタ、27 迂回経路、30 スナバ回路、102,132 電流検出部、104,134 過電流検出部。