(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158705
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】後処理装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20241031BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074115
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】立石 嘉信
(72)【発明者】
【氏名】高田 聡一
【テーマコード(参考)】
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB01
3F054BB07
3F054BE03
3F054BE09
3F054BF08
3F054BG11
3F054BH05
3F054BH14
3F054CA07
3F054CA34
3F054CA35
3F054DA01
3F054DA11
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】用紙をスムーズに導入できる後処理装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】後処理装置は、搬送部が画像形成装置から印刷済み用紙を受け取って搬送する。搬送部の排出ローラから排出される用紙は、一旦排紙トレイに着地し、その後、処理部に設けられた後処理トレイ上に戻されて、1対の整合板(126)で幅方向両端が整合される。位置制御部は、搬送部から1枚目の用紙を排出するとき、用紙の先端が排紙トレイに着地するまで、1対の整合板の間隔を用紙の幅方向両端より内側になるように、位置制御する。そのとき、整合板を前傾させ、整合板の傾斜辺(126a)に1枚目の用紙の先端が引っ掛かるのを抑制できる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置から排出された印刷済みの用紙を後処理する後処理装置であって、
前記用紙を受け取って搬送する搬送部、
前記搬送部で搬送された用紙を受け取って前記用紙に後処理を施す処理部、
前記処理部に設けられて前記後処理のための用紙を載置する後処理トレイ、
前記後処理トレイから後処理済みの用紙を排出するための排紙トレイ、および
前記後処理トレイ上において前記用紙の幅方向に移動可能に設けられ、前記用紙の幅方向両端を整合するための1対の整合板を備え、
前記1対の整合板はそれぞれ支軸によって回動可能に設けられ、さらに
前記搬送部から1枚目の用紙を排出するとき、前記用紙の先端が前記排紙トレイに着地するまで、前記1対の整合板の間隔を前記用紙の幅方向両端より内側である初期位置に設定する位置制御部、および
前記初期位置において前記1対の整合板を前記支軸を中心にして回動させる回動部を備える、後処理装置。
【請求項2】
前記回動部は前記整合板に作用して前記整合板の一部を下降させる下降手段を含む、請求項1記載の後処理装置。
【請求項3】
前記整合板で前記後処理トレイ上の用紙の幅方向を整合する前に、前記の整合板の姿勢を定常位置に戻す戻し部をさらに備える、請求項1記載の後処理装置。
【請求項4】
前記戻し部は前記整合板に作用して前記整合板の一部を上昇させる上昇手段を含む、請求項3記載の後処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の後処理装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、後処理装置および画像形成装置に関し、特にたとえば、後処理のために用紙を後処理トレイ上で整合する、後処理装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術では、ステープルトレイに折り用紙を排紙して整合する際に、折り部が引っ掛かるのを防止するために、整合部材上に用紙を着地させて整合部材で折り部を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、折り用紙には対応できるものの、用紙の先端が後処理装置の排紙トレイに引っ掛かるという問題を解決することはできない。
【0005】
それゆえに、本開示の主たる目的は、新規な、後処理装置および画像形成装置を提供することである。
【0006】
本開示の他の目的は、用紙の先端が排紙トレイに引っ掛かるのを防止できる、後処理装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本開示の理解を助けるために記述する実施形態との対応関係を示したものであって、本開示を何ら限定するものではない。
【0008】
第1の実施例は、画像形成装置から排出された印刷済みの用紙を後処理する後処理装置であって、用紙を受け取って搬送する搬送部、搬送部で搬送された用紙を受け取って用紙に後処理を施す処理部、処理部に設けられて後処理のための用紙を載置する後処理トレイ、後処理トレイから後処理済みの用紙を排出するための排紙トレイ、および後処理トレイ上において用紙の幅方向に移動可能に設けられ、後処理トレイ上において用紙の幅方向両端を整合するための1対の整合板を備え、1対の整合板はそれぞれ支軸によって回動可能に設けられ、さらに搬送部から1枚目の用紙を排出するとき、用紙の先端が排紙トレイに着地するまで、1対の整合板の間隔を用紙の幅方向両端より内側である初期位置に設定する位置制御部、および初期位置において1対の整合板を支軸を中心にして回動させる回動部を備える、後処理装置である。
【0009】
第1の実施例では、後処理装置(100:実施例で相当する部分を例示する参照符号。ただし、限定する意図はない。以下、同様。)は、画像形成装置(10)から排出された印刷済みの用紙(PP)に、たとえばステープル処理などの後処理を施すものであって、搬送部(106)がその用紙を取り込んで搬送する。処理部(112)は、搬送部(106)で搬送された用紙(PP)を受け取って、後処理トレイ(118)上で用紙に後処理を施す。排紙トレイ(104)には処理部(112)から後処理済みの用紙(PP)が排出される。1対の整合板(126)は、支軸(170)によって前後方向に回転可能に設けられるともに、たとえば後処理トレイ(118)上において、用紙の幅方向に移動可能に設けられ、後処理トレイ(118)上において用紙(PP)の幅方向両端を整合する。位置制御部(134、S5)は、1対の整合板(126)の用紙の幅方向の位置を制御することができ、搬送部(106)から1枚目の用紙(PP)を排出するとき、用紙の先端が排紙トレイ(104)に着地するまで、2つの1対の整合板(126)の間隔を用紙の幅方向両端より内側の初期位置になるように、位置制御する。回動部(134、S6)は、その初期位置において、整合板(126)を支軸(170)を中心として回動(たとえば、前傾)させる。したがって、1枚目の用紙は、1対の整合板(126)の上縁によって支持されて移送されるので、用紙の両端の撓みを抑制することができ、用紙の先端の垂れ下がりを抑制する。それとともに、各整合板を回動することによって、1枚目の用紙の先端と整合板(126)の傾斜辺(126a)との接触角を小さくすることによって、1枚目の用紙の先端が整合板に引っ掛かるのが抑制される。
【0010】
第1の実施例によれば、1枚目の用紙がスムーズに後処理装置へ導入され得る。
【0011】
第2の実施例は、第1の実施例に従属する後処理装置であって、回動部は整合板に作用して整合板の一部を下降させる下降手段を含む。
【0012】
第2の実施例では、下降手段(134、154、188)が整合板(126)作用して各整合板の一部(たとえば、前方部分)を下降させることによって、整合板(126)を回動させる。
【0013】
第2の実施例によれば、整合板を確実に前傾させることができる。
【0014】
第3の実施例は、第1の実施例に従属する後処理装置であって、整合板で前記後処理トレイ上の用紙の幅方向を整合する前に、1対の整合板の姿勢を定常位置に戻す戻し部をさらに備える。
【0015】
第3の実施例では、戻し部(134、154、178、188)は、整合板(126)で整合するまでに、整合板の回動を解除して、整合板の姿勢を定常位置に戻す。
【0016】
第3の実施例によれば、整合板の姿勢を定常状態に戻すので、用紙を確実に整合することができる。
【0017】
第4の実施例は、第3の実施例に従属する後処理装置であって、戻し部は整合板に作用して整合板の一部を上昇させる上昇手段を含む。
【0018】
第4の実施例では、上昇手段(134、154、178、188)が整合板(126)に作用して整合板の一部(たとえば、前方部分)を上昇させることによって、整合板(126)を定常位置に戻す。
【0019】
第4の実施例によれば、整合板を確実に定常位置に戻すことができる。
【0020】
第5の実施例は、第1実施例ないし第4実施例のいずれかの後処理装置を備える、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、1枚目の用紙がスムーズに後処理装置へ導入され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本開示の一実施例に係る画像形成装置を示す図解図である。
【
図2】
図2はこの実施例の後処理装置の一例を示す図解図である。
【
図3】
図3は
図2に示す後処理装置の内部構造を簡略化して示す断面図解図である。
【
図4】
図4は
図3に示す後処理装置の処理部の要部を示す図解図である。
【
図5】
図5は処理部における整合板に関連する部分を取り出して示す図解図である。
【
図6】
図6は処理部に用紙を搬送する第1段階における整合板の制御の一例を示す図解図であり、
図6(A)は後処理装置の搬送部から用紙が送られてくる状態を示し、
図6(B)は整合板の初期状態を示し、
図6(C)は整合板が用紙を下から支えている状態を示す。
【
図7】
図7は処理部に用紙を搬送する第2段階における整合板の制御の一例を示す図解図であり、
図7(A)は後処理装置の搬送部から用紙が送られてくる状態を示し、
図7(B)は整合板を広げて用紙が排紙トレイ上に着陸した状態を示す。
【
図8】
図8は処理部に用紙を搬送する第3段階における整合板の制御の一例を示す図解図であり、
図8(A)は排紙トレイから後処理トレイへ用紙を戻した状態を示し、
図8(B)はそのときの整合板の状態を示す。
【
図9】
図9は後処理トレイ上で用紙の両側端を整合するときの整合板の制御の一例を示す図解図であり、
図9(A)は後処理トレイへ複数枚の用紙が積層されている状態を示し、
図9(B)はそのときの整合板の状態を示す。
【
図10】
図10は後処理装置を含むこの実施例の画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は画像形成装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【
図12】
図12は後処理装置のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
【
図13】
図13は実施例における後処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
【0023】
【
図14】
図14は第1実施例における整合板と用紙先端との接触状態の一例を示す図解図である。
【
図15】
図15は第2実施例における整合板と用紙先端との接触状態の一例を示す図解図である。
【
図16】
図16は第2実施例に係る後処理装置の内部構造を簡略化して示す図解図である。
【
図18】
図18は
図16に示す後処理装置に後処理トレイを組み込んだ構造を簡略化して示す図解図である。
【
図19】
図19は第2実施例におけるソレノイドがオンされていない定常状態の一例を示す図解図である。
【
図20】
図20は第2実施例において1枚目の用紙が後処理装置へ送られるときのソレノイドをオンした状態の一例を示す図解図である。
【
図21】
図21は第2実施例の画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】
図22は第2実施例における後処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施例>
図1を参照して、本開示の一実施例である画像形成装置10は、一例として複合機(MFP)であり、コピー機能、イメージスキャナ機能、プリンタ機能、ファクス機能などの複数の機能を備える。ただし、本開示は、用紙に画像を形成するプリンタ機能を備えた、画像形成装置に適用できるのであり、プリンタ機能のみを備える画像形成装置であってもよい。
【0025】
画像形成装置10の本体12の上部には、画像読取部14が設けられる。この画像読取部14は、原稿(図示せず)の画像を読み取って、原稿画像データを出力する。原稿台(図示せず)に載置された原稿は、原稿載置台カバー16によって、押えられる。
【0026】
本体12の上部であって、画像読取部14の前には、たとえば、タッチパネル付きのディスプレイ(タッチディスプレイを備える操作部18が設けられる。
【0027】
本体12内の画像読取部14の下方に、画像形成手段の一例としての画像形成部20が設けられる。画像形成部20は、たとえば原稿画像を、記録媒体としての用紙に印刷する。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部20は、既によく知られているように、感光体ドラム等の画像形成用のコンポーネントを備える。
【0028】
画像形成部20の下方に、給紙部22が設けられる。この給紙部22には、所定のサイズの用紙が所定の方向で収容される。給紙部22からは、画像形成部20へ用紙を1枚単位で供給する。
【0029】
給紙部22から送られて、画像形成部20によって画像の印刷が行われた後の用紙は、必要に応じて、後処理装置(フィニッシャ)100によって、ステープル処理などの後処理を行うためのインナー型の後処理装置100が胴内空間に設けられる
この後処理装置100は、
図2に示すように、画像形成装置10の洞内に収まる形状、サイズのハウジング102を含み、このハウジング102内に、後に詳細に説明する搬送部106や処理部112(ともに
図3)が設けられる。画像形成装置10から送られる用紙PPは、一旦、排紙トレイ104上に送出され、その後、処理部の戻し機構によって処理部内の後処理トレイ118上に戻され、その処理部で後処理、たとえばステープル処理される。後処理された用紙束が処理部から押し出されて、排紙トレイ104上に排出される。
【0030】
図3‐
図5を参照して、後処理装置100のハウジング102内には、画像形成装置10から送られてきた記録済みの用紙PPをこの後処理装置100に導入するための搬送部106が設けられる。搬送部106は、
図3に示すように、入口ローラ108を含み、この入口ローラ108で取り込まれた用紙PPは、さらに搬送され、排出ローラ110に至り、排出ローラ110から処理部112に排出される。これら入口ローラ108および排出ローラ110は、搬送モータ156(
図6)によって駆動される。
【0031】
搬送部106において、入口ローラ108と排出ローラ110の間の搬送路を覆うように、搬送カバー114が設けられ、さらにその搬送路のほぼ中間辺りには、たとえば反射型または透過型の光センサを含む通紙センサ116が設けられる。この通紙センサ116は、その位置に用紙PPの先端が到達したことを検知して、用紙検知信号を出力する。
【0032】
上述のように、搬送部106から処理部112へ送り出された用紙は一旦排紙トレイ104上に排出されるのであるが、後処理のために、後処理トレイ118上に戻される。
【0033】
図4に示すように、処理部112の後処理トレイ118の上方にパドル120(
図3)が回転自在に設けられる。このパドル120は、パドルモータ(図示せず)によって矢印方向に回転されて、排出ローラ110から排出された用紙PPを後処理トレイ118上に搬送する。
【0034】
戻しベルト122は、パドル120の下方に、回転可能に設けられ、戻しベルトモータ158(
図10)によって矢印方向に回転され、用紙を後処理トレイ118の後方(最深部)に搬送し、ストッパ124に突き当てる。
【0035】
このストッパ124は後処理トレイ118の後端(最深部)近傍に設けられ、後処理トレイ118上に積層された用紙の搬送方向端を整合する。
【0036】
後処理トレイ118上でパドル120を挟む両側には、後処理トレイ118上に積層された用紙の幅方向両端を整合するための整合板126が設けられる。両方の整合板126の構成は左右の方向の違いはあるものの、同じなので、1つの整合板126について説明する。
【0037】
整合板126は、
図5に示すように、スライダ128に固着されていて、このスライダ128は、後処理トレイ118に形成された横長のスライド孔130にスライド可能に保持される。つまり、スライド孔130の周縁を規定する後処理トレイ118によってスライダ128が矢印方向にスライド(移動または変位)可能に支持されている。スライダ128はさらにタイミングベルト132に固着され、タイミングベルト132は整合板モータ134の回転軸に形成されたタイミング歯車(図示せず)と噛合する。したがって、整合板モータ134を矢印方向(時計方向または反時計方向)に回転駆動することによって、整合板126が、後処理トレイ118の幅方向(外側方向または内側方向)に変位される。
【0038】
つまり、整合板126は、整合板モータ134によって、後処理トレイ118の幅方向において、整合板126どうしの間隔が最狭となる位置(最狭位置)から最も広くなる位置(最広位置)まで、連続的に変位(移動)可能とされている。そのため、整合板モータ134およびそれを制御する副制御部146のCPU148(
図10)は、用紙の幅方向において1対の整合板の間隔を最狭位置から最広位置までの任意の位置に移動させることができる位置制御部として機能する。
【0039】
図4に戻って、後処理トレイ118の後端近傍であって幅方向のほぼ中央にはアシストガイド136およびアシスト爪138が設けられる。これらのアシストガイド136およびアシスト爪138は、アシストモータ160(
図12)によって駆動されて、後処理の終わった用紙束を排紙トレイ104の方向へ押し出す。つまり、後処理トレイ118上に積載された用紙束の後端をアシストガイド136が支え、アシスト爪138で排紙トレイ104上に押し出して、排紙する。
【0040】
ステープルユニット140および針なしステープルユニット142は、後処理の一例としての、ステープル処理または針なしステープル処理を実行する。
【0041】
パドル120と整合板126との間の後処理トレイ118の上方には、用紙押え144が回動可能に設けられる。用紙押え144は、用紙押えモータ(図示せず)によって矢印方向に回動されることによって、排紙トレイ104上の用紙を押さえる。
【0042】
後処理装置100において、搬送部106から用紙PPを処理部112へ送出するとき、特に1枚目の用紙の先端が排紙トレイ104上に着地するとき、用紙が撓んで排紙トレイ104の上面に引っ掛かるという問題があるが、この実施例は、その問題を、整合板126を利用して解決しようとするものである。このことを、
図6‐
図9を参照して、説明する。
【0043】
搬送部106の通紙センサ116が最初の用紙PPの先端を検知したときから搬送カウンタ166b(
図12)が用紙PPの搬送時間をカウントする。たとえば、搬送部106の搬送速度とこの搬送時間とに基づいて、後処理装置100のCPU148(
図12)が搬送部106による用紙PPの搬送量を推定(予測)することができる。
【0044】
そして、用紙PPの先端が
図6(A)での第1位置(△記号の中に数字の「1」を表示している、位置)すなわち用紙PPの先端が整合板126の位置に達する直前の位置に到達するまで、たとえば
図6(B)で示す最狭位置に設定する。ただし、必ずしも最狭位置である必要はなく、整合板126の間隔をそのときの用紙の幅より狭くおけばよい。一例として、用紙PPの排出ローラ110から出るときには、整合板126の位置は用紙PPの幅方向の中央付近に設定する。
【0045】
ただし、そのままの状態で用紙PPが搬送されると、
図6(B)で示すように、用紙PPの幅方向両端が垂れ下がってしまう。
【0046】
そこで、この実施例では、用紙PPがさらに搬送され、用紙PPの先端が
図6(A)での第2位置(△記号の中に数字の「2」を表示している、位置)すなわち排紙トレイ104の平坦部104aと傾斜部104bとの接続部またはその近傍の位置に達するまで、整合板126どうしの間隔を徐々に広げるように、整合板モータ134(
図5、
図10)を制御する。ただし、用紙PPの先端が第2位置に達するまでは、つまり、用紙PPの先端が排紙トレイ104に着地するまでは、整合板126どうしの間隔は用紙PPの幅を越えないようにする。具体的には、整合板126の位置は、用紙PPの幅方向両端より内側であって、
図6(C)に示すように用紙PPの幅方向両端が垂れ下がらないように整合板126で支持できる位置に設定される。たとえば、両方の整合板126の位置がそれぞれ用紙PPの幅方向両端の内側10ミリぐらいになるまで、徐々に整合板126を移動する。
【0047】
このように、整合板126の間隔を徐々に広くする理由は、搬送部106から排出される用紙PPの排出距離(排出ローラ110から先端までの距離)が段々大きくなり、より多くの用紙を支える力が必要だからである。つまり、整合板126の間隔が狭いままでは、用紙の幅方向両端と整合板126との距離が大きいので、用紙の排出距離が大きくなると、用紙の先端側の重さが段々大きくなって用紙の幅方向両端が撓んでしまう。そうすると、用紙PPの先端が垂れ下がり、排紙トレイ104に引っ掛かってしまう。この実施例では、そのため、用紙の排出距離が大きくなるに従って整合板126の間隔を段々大きくすることによって、用紙の幅方向のたわみを抑制するようにしている。
【0048】
用紙PPが第1位置から第2位置に至るまでは整合板126どうしの間隔は、用紙PPの幅より小さいのであるから、用紙PPは、
図6(C)に示すように、1対の整合板126の上縁によって支持された状態で搬送される。この整合板126の上縁の幅はあまり大きくないので、整合板126と用紙PPの間の摩擦は大きくなく、用紙PPはスムーズに搬送される。そして、用紙PPの先端が第2位置に達するまで、つまり用紙PPの先端が排紙トレイ104に着地するまで、用紙PPが整合板126によって支持されているので、用紙PPの幅方向の撓みを抑制することができ、結果的にその撓みによる用紙先端の垂れ下がりを抑制する。そのため、用紙PPの先端が排紙トレイ104に引っ掛かってしまうという不都合が解消される。
【0049】
その後、
図7(A)で示す第3位置(△記号の中に数字の「3」を表示している、位置)で整合板126どうしの間隔を
図7(B)で示すように最広位置にするように、整合板モータ134(
図5、
図10)を制御する。そうすると、用紙PPの後端が整合板126に掛かることなくそのまま排紙トレイ104上に落ちる。
【0050】
その後、戻しベルトモータ158(
図12)を制御して、排紙トレイ104上の用紙を戻しベルト122(
図4)によって、
図8(A)に示すように、後処理トレイ118上まで戻す。そして、用紙PPの後端がストッパ124に当たると、戻しベルトモータ158を止める。つまり、用紙PPの後端がストッパ124に当接するまで、戻しベルト122で用紙PPを後処理トレイ118に戻す。このとき、整合板126の位置は
図8(B)で示すように、
図7(B)で示す最広位置のままとする。
【0051】
そして、
図9(A)に示すように、後処理トレイ118上で、積層された用紙PPの幅方向両端を整合板126で整合する。つまり、
図9(B)に示すように、整合板126を用紙PPの幅方向両端に当てて、用紙PPの幅方向両端の不揃いを整合する。
【0052】
図8(A)で示すように2枚目の用紙が処理部112に送られてくるときは、整合板126は、
図8(B)で先に説明したように最広位置に開いたままとされる。なぜなら、後処理トレイ118上に既に用紙があるときには、次の用紙は下層の用紙に沿って排紙トレイ104へ着地するので、整合板126でガイドする必要はないからである。逆に、もし後処理トレイ118上に既に用紙があるとき、次の用紙のために整合板126の幅を狭めると、既に積層されている用紙が両側から押されてしまい、皺になったり、湾曲したりする恐れがある。
【0053】
その後、所要枚数の記録済み用紙が後処理トレイ118上に積層され、整合され、ステープル処理などの後処理を施される。
【0054】
このような動作は、
図13のフロー図を参照して後に説明する。
【0055】
図10を参照して、画像形成装置10は上述のように、画像読取部14、操作部18、画像形成部20および給紙部22を備え、さらに主制御部24、通信部32、外部メモリI/F34、用紙サイズセンサ36、および排紙センサ38を備える。これらは共通のバス28によって接続される。
【0056】
主制御部24は、実質的にコンピュータであって、CPU26およびメモリ30を含む。メモリ30は、詳細は図示しないが、RAM、ROM、HDD(ハードデイスクドラブ)等を含む。CPU26には、バス28が接続されており、このバス28には、メモリ30のRAM、ROM、HDD等が電気的に接続される。CPU26は、操作部18等からの指示に応じて各種コンピュータプログラムを実行することによって、画像形成装置10の各部の動作を実行する。上記の各種コンピュータプログラムは、ROMまたはHDDに予め記憶されていて、必要に応じてRAMに展開して実行される。
【0057】
外部メモリI/F34は、たとえばUSBメモリ等の外部メモリに対して、情報の読取りおよび書込みを行なう。
【0058】
通信部32は、ネットワーク(図示せず)を介して、画像形成装置10とネットワーク上の情報処理装置等との間の、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を制御する。さらに、画像形成装置10は、この通信部32を介して、後処理装置100とシリアル通信を実行して、操作部18からのユーザの指示データを後処理装置100に送信するとともに、後処理装置100からのセンサやスイッチの情報(データ)を受信する。
【0059】
外部メモリI/F34は、たとえばUSBメモリ等の外部メモリに対して、情報の読取りおよび書込みを行なう。
【0060】
画像読取部14は、前述のように、原稿載置台(図示せず)に載置される原稿から画像情報を読取り、画像データとして画像形成部20に対して出力する。
【0061】
画像形成部20は、上述したように画像データによって示される画像を用紙に印刷するものであって、周知のように、感光体ドラム、帯電装置、レーザースキャンユニット(LSU)、現像装置、転写装置、クリーニング装置、定着装置、除電装置等を備える。
【0062】
給紙部22は、この実施例では、給紙カセット(
図1)として示されているが、この給紙部22には、用紙サイズセンサ36が設けられる。用紙サイズセンサ36は、この給紙部22から取り出された用紙のサイズを検出して、検知信号を出力する。CPU26はこのサイズ検知信号を受けて、用紙サイズデータとしてメモリ30の設定データ記憶領域46d(
図11)に記憶させる。
【0063】
排紙センサ38は、たとえば画像形成部20に含まれる定着装置によってトナー像を定着させた用紙の排紙経路に設けられ、その排紙経路を通る記録済み用紙を検知して検知信号をバス28を介して主制御部24に送る。主制御部24では、画像形成部20から排紙されたことを、通信部32から、後処理装置100に通知する。
【0064】
後処理装置100には、後処理装置100の制御中枢を司る副制御部146が設けられ、この副制御部146は、CPU148を含み、このCPU148は、バス150を介してメモリ152等に接続される。メモリ152は、詳細は図示しないが、RAM、ROM等を含む。
【0065】
副制御部146にはバス150を通して、通紙センサ116(
図3)が接続され、通紙センサ116の検知信号がCPU148に通知される。
【0066】
副制御部146はさらに、バス150を通してモータドライバ154に対して、所要のモータ制御信号、たとえばモータのオン/オフや、モータの回転速度を制御するための制御データ等を与える。
【0067】
モータドライバ154は、先に説明した搬送モータ156、戻しベルトモータ158、整合板モータ134、アシストモータ160等を、上記制御データに従って、制御する。
【0068】
図11は
図10実施例のメモリ30のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図11に示すように、RAMは、プログラム記憶領域40およびデータ記憶領域42を含む。プログラム記憶領域40には、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。
【0069】
画像形成装置10の制御プログラムは、表示制御プログラム44a、操作検出プログラム44b、画像読取プログラム44c、画像形成プログラム44d、通信プログラム44eおよび後処理プログラム44f等を含む。
【0070】
表示制御プログラム44aは、タッチディスプレイの画面に各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを後述の表示画像生成データ記憶領域46aの表示画像生成データなどに基づいて生成し、その表示画面データを用いて、タッチディスプレイに画像を表示させるプログラムである。
【0071】
操作検出プログラム44bは、操作部18への操作に対応する操作データを検出して、後述の操作データ記憶領域46bへ記憶するためのプログラムである。たとえば、タッチパネルがタッチされた場合には、主制御部(コンピュータ)24は、操作検出プログラム44bに従って、タッチパネルから出力されたタッチ座標データを操作データとして取得して操作データ記憶領域46bに記憶する。また、操作部18が備えるハードウェアのボタンないしキー(図示せず)が押圧または操作された場合には、主制御部24は、操作検出プログラム44bに従って、ボタンないしキーの押圧または操作による操作データを取得して操作データ記憶領域46bに記憶する。
【0072】
画像読取プログラム44cは、自動原稿送り装置(図示せず)や画像読取部14を制御して、原稿載置トレイや原稿載置台に載置された原稿を読取り、読取った原稿画像のデータを一時記憶領域46cに記憶する。
【0073】
画像形成プログラム44dは、画像形成部20を制御して、画像データを、給紙部22から供給される記録用紙に印刷するプログラムである。
【0074】
通信プログラム44eは、種々の通信を実行するために通信部32(
図10)を制御するプログラムである。
【0075】
後処理プログラム44fは、操作部18によるユーザ操作に応じて、後処理装置100で後処理を実行させるために、後処理に必要なデータ(後処理データ)、たとえば後処理の種類やそのための記録紙の枚数等を後処理装置100に伝えるためのプログラムである。
【0076】
図示は省略するが、プログラム記憶領域40には、画像形成装置10の制御に必要な他のプログラムなども記憶される。
【0077】
データ記憶領域42には、表示画像生成データ記憶領域46a、操作データ記憶領域46b、一時記憶領域46cおよび設定データ記憶領域46d等が設定される。
【0078】
表示画像生成データ記憶領域46aの表示画像生成データは、表示画像を生成するためのポリゴンデータおよびテクスチャデータ等を含むデータである。また、表示画像生成データには、ソフトウエアキーに対応する画像データや、各画面を表示するための画像生成データ等も含まれる。
【0079】
操作データ記憶領域46bの操作データは、操作検出プログラム44bに従って検出した操作データであり、時系列に従って記憶される。
【0080】
一時記憶領域46cは、画像読取部14で読取った画像データ等を、たとえば画像処理などのために一時的に記憶する。この一時記憶領域46cには、上述の用紙サイズセンサ36によって検出された用紙サイズのデータが記憶される。
【0081】
設定データ記憶領域46dには、操作部18を使ってユーザが設定した各種パラメータ、たとえばコピー濃度、拡大縮小など設定データを記憶する。この設定データとしては、さらに、用紙サイズセンサ36に基づいてCPU26が設定する用紙サイズデータを記憶し、その他に、上述の後処理データ、たとえば後処理の種類やそのための記録紙の枚数等を記憶しておく。
【0082】
なお、データ記憶領域42には、画像形成装置10の制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されるとともに、制御プログラムの実行に必要なフラグや他のカウンタ(タイマ)も設けられる。
【0083】
図12は
図10実施例の副制御部146に含まれるメモリ152のRAMのメモリマップの一例を示す図解図である。
図12に示すように、RAMは、プログラム記憶領域162およびデータ記憶領域164を含む。プログラム記憶領域162には、後処理装置100の制御プログラムが記憶される。
【0084】
後処理装置100の制御プログラムとしては、後処理プログラム164a、通信プログラム164b等を含む。後処理プログラム164aは、画像形成装置10のCPU26から送信される後処理に必要なデータ、たとえば後処理の種類やそのための記録紙の枚数等に従って後処理を実行するためプログラムである。通信プログラム164bは、画像形成装置10の通信部32との間でCPU148がシリアル通信を実行するためのプログラムである。
【0085】
図示は省略するが、プログラム記憶領域162には、後処理装置100の制御に必要な他のプログラムなども記憶される。
【0086】
データ記憶領域164には、一時記憶領域168a、枚数カウンタ168b、搬送カウンタ168c等が形成される。一時記憶領域168aは、画像形成装置10から送られてきた、用紙サイズデータや後処理データを一時的に記憶する。枚数カウンタ168bは、後処理装置100の搬送部106で処理部112に送り込まれた用紙が何枚目かをカウントする。この枚数カウンタ168bは、通紙センサ116で用紙PPを検知したとき、インクリメント(歩進)される。このデータ記憶領域164には、さらに搬送カウンタ168cが形成される。搬送カウンタ168cは、先に説明したように、後処理装置100の搬送部106に設けられた通紙センサ116による用紙PPの検知信号に応答してカウントを開始し、用紙PPの搬送時間をカウントする。
【0087】
なお、データ記憶領域164には、後処理装置100の制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されるとともに、制御プログラムの実行に必要なフラグや他のカウンタ(タイマ)も設けられる。
【0088】
次に、
図13を参照して、主として後処理装置100の後処理プログラム158a等に従って実行される実施例の動作を説明する。
【0089】
この動作は、ステップS1で、後処理装置100の通紙センサ116(
図6‐
図9)が用紙PP(の先端)を検知したとき開始される。
【0090】
次のステップS3で、副制御部146のCPU148(
図10)は、枚数カウンタ168bのカウント値を参照して、今搬送中の用紙が1枚目かどうか判断する。
【0091】
ステップS3で“YES”を判断したとき、CPU148は、モータドライバ154に指令して、整合板モータ134を制御して、整合板126(
図6‐
図9)を最狭位置のような初期位置に移動させる。
【0092】
さらに、整合板126の初期位置としては、整合板126どうしの間隔が異なる複数の初期位置が設定可能であり、副制御部146のCPU148は、用紙の幅方向のサイズに応じて、その複数の初期位置のうちいずれかに設定するようにすればよい。そうすることによって、サイズに応じた最適の位置で整合板がその上縁で用紙を受け取ることができる。
【0093】
ただし、複数の初期位置は、好ましくは、排紙される用紙が小サイズに設定されている場合は間隔が小さくなる位置に設定され、排紙される用紙が大サイズに設定されている場合は間隔が広くなる位置に設定されている。
【0094】
なお、先に説明したように、初期位置は、整合板126の上縁で用紙PPの搬送を支持することができる位置であれば、必ずしも最狭位置でなくともよい。
【0095】
その後、ステップS7で、CPU148は、用紙PPの先端が
図6に示す第1位置に到達したかどうか、判断する。先に説明したように、搬送カウンタ168cが、搬送部106の通紙センサ116の用紙PPの先端を検知したときから用紙PPの搬送時間をカウントする。そして、搬送部106の搬送速度とこの搬送時間とに基づいて、後処理装置100のCPU148が搬送部106による用紙PPの搬送量を推定(予測)することができる。その推定搬送量と画像形成装置10のCPU26から送信された用紙サイズデータとに基づいて、用紙PPの先端の位置を計算によって求めることができる。
【0096】
したがって、ステップS7では、この計算した用紙先端位置に基づいて、用紙先端が第1位置に達したかどうか判断することができる。このことは、ステップS11において用紙の先端が
図6に示す第2位置に到達したかどうか判断する際にも適用できる。
【0097】
先に説明したように、ステップS7で“YES”を判断したら、CPU148は整合板126の間隔を徐々に広げて、
図6(C)に示すように用紙PPの幅方向両端が垂れ下がらないように整合板126で支持できる位置、たとえば、用紙PPの幅方向両端の内側10ミリぐらいになるまで、整合板126を移動させる。その結果、用紙PPの先端が第1位置から第2位置に至るまでは整合板126どうしの間隔は、用紙PPの幅より小さいのであるから、用紙PPは、
図6(C)に示すように、1対の整合板126の上縁によって支持された状態で搬送される。
【0098】
その後、ステップS11で、ステップS7と同様の手法で、用紙の先端が第2位置に達したかどうか判断する。
【0099】
ステップS11で“YES”を判断すると、CPU148は、整合板126の間隔が
図7(B)に示す最広位置になるように、整合板モータ134を制御する。
【0100】
そして、ステップS15で、CPU148は、1枚目の用紙が処理部112に排出されたかどうか判断する。その際にも、搬送カウンタ168cのカウント値と搬送速度に基づいて用紙の搬送量(移送量)を計算し、さらにその搬送量と用紙サイズデータに基づいて計算して、用紙の後端が排紙トレイ104(
図2)上に排出されたかどうか判断する。
【0101】
ステップS15で“YES”を判断した後、
図8を参照して先に説明したように、CPU148は、次のステップS17で、戻しベルトモータ158を制御して、排紙トレイ104上に排出された用紙を、後処理トレイ118上に戻す。
【0102】
なお、用紙が2枚目以降のものであるとき、ステップS3で“NO”が判断され、ステップS19では、2枚目以降の用紙を排紙トレイ104上に排出させる。ただし、
図8を参照して説明したとおり、このとき2枚目以降の用紙であるから、整合板126の位置は、ステップS13で移動させた位置から動かす必要はない。
【0103】
そして、ステップS21で
図9に示すように整合板126で整合し、ステップS22で、CPU148は、後処理を実行するかどうか判断する。後処理がたとえばステープルだとした場合、ステープルする枚数の用紙が全て排紙されて後処理トレイ118上で整合されていれば、後処理の実行が可能になるので、そのときは、このステップS22で“YES”が判断され、ステップS23に進む。しかしながら、ステープルする枚数の用紙が揃っていないなら、ステップS22で“NO”となり、ステップS1に戻る。
【0104】
ステップS22を経てステップS23で後処理を実行した後、CPU148は、ステップS25で、アシストモータ160を制御して、後処理の済んだ用紙束を排紙トレイ104に向けて押し出す。
【0105】
このように、この実施例では、用紙PPの先端が
図6に示す第1位置から第2位置に至るまでは、用紙の両側端距離の内側で、整合板126の間隔を徐々に広げるように整合板126の位置を制御することによって、1枚目の用紙の先端が排紙トレイ104に引っ掛かるという問題が解消できる。
【0106】
なお、上述の実施例では、整合板126の位置制御を後処理装置100のCPU148で実行するようにしたが、これは画像形成装置10のCPU26で制御するようにしてもよい。この場合、通紙センサ116の用紙先端検知信号をCPU26に送る必要がある外、
図12に示す後処理プログラム164aをメモリ30に設定したり、枚数カウンタ168bや搬送カウンタ168cのデータをCPU148からCPU26へ送ったりするなどの処理が必要である。
<第2実施例>
上述のように、第1実施例によれば、1枚目の用紙を後処理装置100へ送るとき1対の整合板126の相互間間隔を狭めることによって、その1枚目の用紙が排紙トレイに引っ掛かるという問題を解決することができる。つまり、1枚目の用紙を1対の整合板126の上縁上を移送するようにしたので、1枚目の用紙の幅方向両端の撓みを抑制することができる、という効果が期待できるのであるが、
しかしながら、そのように1対の整合板126の相互間間隔を狭めるという制御をした場合、別の問題が発生する可能性のあることが、発明者等の実験で明らかになった。
【0107】
たとえば
図14に示すように、後処理装置100へ送り込まれる1枚目の用紙PPの先端が下カールしているとき、その用紙先端が、間隔を狭めた整合板126が整合板126の傾斜辺126aに接触し、紙ジャム、先端の角折れ、用紙搬送の乱れが発生することがある。この原因は、用紙PPの下カールしている先端が傾斜辺126aに接触したときの角度(便宜上、「接触角」と呼ぶ)Aaが大きく、用紙先端を前進させる力の成分(ベクトル)が小さくなるためである。
【0108】
そこで、第2実施例では、
図15に示すように、1対の整合板126を支軸170によって前後方向に回転可能に支持する構造を採用し、1枚目の用紙PPを後処理装置100へ送り込むとき、整合板126どうしの間隔を狭めるとともに、整合板126を矢印172に示すように前傾(回動)させ、それによって用紙PPが下カールしていたとしても、接触角Abを小さくできるようにした(Aa>Ab)。その結果、用紙先端を前進させる力の成分(ベクトル)が小さくなるのを抑制でき、1枚目の用紙の先端が下カールしている場合でも、紙ジャムや、先端の角折れ、用紙搬送の乱れを可及的抑制することとした。
【0109】
ただし、2枚目以降においては、第1実施例で説明したように、整合板126どうしの間隔を用紙幅まで広げるために、用紙の先端が整合板126の傾斜辺126aに接触することはないので、
図15に示す前傾制御は、1枚目の用紙を後処理装置100へ送出するときだけに実行することになる。
【0110】
すなわち、1枚目の用紙先端が後処理装置100に送り込まれるときと用紙を整合するときとによって整合板の位置を変化させ、さらに整合板126を支軸170で回転可能に支持し、1枚目の用紙の先端が整合板126の傾斜辺126aに接触するときに整合板126を前傾させることで、1枚目の用紙と整合板126の傾斜辺126aとの接触角が小さくなり、用紙PPと傾斜辺126aとの接触がなめらかになり、後処理装置100への用紙搬送がスムーズになる。
【0111】
続いて、第2実施例について詳細に説明するが、1枚目の用紙を後処理装置100へ送出するときに、1対の整合板126の間隔を狭くするための構成および動作はそのまま利用されるので、以下の第2実施例では、主として、第1実施例との相違部分を説明する。
【0112】
図16‐
図18を参照して、整合板126は、支軸170によって、スライダ128で矢印172の方向に回転(回動)可能に支持される。つまり、第1実施例で説明したタイミングベルト132によって
図5の矢印で示すように移動されるスライダ128に立ち上り128aを形成し、その立ち上り128aに支軸170を設け、その支軸170で整合板126を回動可能に支持している。
【0113】
また、整合板126の後端下部に一体的に後方取付け片174が形成される。その後方取付け片174には透孔が形成され、透孔に後方案内バー176が緩挿される。つまり、後方案内バー176によって、1対の整合板126の後方部分が一体的に変位可能に連結される。
【0114】
そして、後方案内バー176の両端には、コイルばねである戻しばね178の一方端が係止される。戻しばね178の他方端(基端)は、ハウジング102(
図3)内の適宜の位置に固定される。
【0115】
さらに、整合板126の前端下部に一体的に前方取付け片180が形成される。その前方取付け片180に形成された透孔に前方案内バー182が緩挿される。つまり、前方案内バー182によって、1対の整合板126の前方部分が一体的に変位可能に連結される。
【0116】
前方案内バー182とスライダ128との間の、整合板126の下方に、固定バー184が、後方案内バー176および前方案内バー182と平行に延びて設置される。固定バー184は、ハウジング102の適宜の位置に固定的に設置される。
【0117】
固定バー184と前方案内バー182は連結杆186で連結される。連結杆186は、2つの連結部186aおよび186bを有し、一方の連結部186aに固定バー184が連結される。したがって、連結杆186は固定バー184を中心として変位(回転)可能とさる。他方の連結部186bに前方案内バー182が前方案内バー182を中心として変位(回転)可能に連結される。この連結杆186が、連結部186bの下方に一体的に形成された取付け部186cによって、ソレノイド188のプランジャ190に取り付けられる。
【0118】
ソレノイド188がオン(付勢または通電)されると、プランジャ190が矢印DWNで示すように、ソレノイド188に引き込まれて下方へ変位する。連結杆186も下方へ変位する。連結部186aは固定バー184に連結されているので、連結部186bが下方へ変位し、したがって、前方案内バー182が下方へ変位する。
【0119】
前方案内バー182が下がるということは、前方取付け片180で前方案内バー182に取り付けられた、整合板126が支軸170を中心として回転し、整合板126の前方部分が下降するので、整合板126、
図15に示すように、前傾することになる。
【0120】
つまり、ソレノイド188等が、整合板126の前方部分に作用して下降させる下降手段として機能する。
【0121】
このとき、整合板126の後端が取付けられている後方案内バー176が戻しばね178によって下方に拘引されているので、前方案内バー182の下方への変位が妨げられる可能性があるが、ソレノイド188によるプランジャ190を下方に変位させる力が戻しばね178による拘引力を超えるように設計しているので、整合板126の前傾が可能になる。
【0122】
このようにして、ソレノイド188によって、整合板126を前傾せることができる。
【0123】
ただし、定常状態、つまり2枚目以降の用紙を後処理装置100へ送り込む場合、および後処理トレイ118上で用紙を整合する場合には、整合板126を前傾させる必要がないので、ソレノイド188はオフ(消勢または非通電)される。ソレノイド188をオフすると、プランジャ190に対する吸引力がなくなるので、戻しばね178の拘引力が有効に働くことになり、後方案内バー176を矢印RTN方向(下方)へ戻す。応じて、整合板126が支軸170を中心に回転し、整合板126の前傾が解除され、整合板126の姿勢が定常位置に戻る。したがって、整合板126による本来の整合動作に支障を及ぼすことはない。
【0124】
上述のように、後方案内バー176が下がるということは、後方取付け片174で後方案内バー176に取り付けられた、整合板126が支軸170を中心として回転し、整合板126の後方部分が下降して整合板126の前方部分が上昇するので、整合板126の姿勢は定常位置に戻される。
【0125】
つまり、戻しばね178等が、整合板126の後方部分に作用して下降させる下降手段として機能する。
【0126】
なお、実施例では、ソレノイド188は案内バー176、182の長さ方向の一方端側にのみ設けたが、必要なら両端側に設けるようにしてもよい。
【0127】
また、戻しばねが内蔵されているソレノイド188を用いるときは、後方案内バー176を定常位置に戻すための戻しばね178を省略することができる。
【0128】
さらに、発明者が行なった実験では、
図19および
図20に示すように、プランジャ190のストロークが2.3mmのソレノイド188を用いたとき、ソレノイド188をオンすると、整合板126は、定常状態に比べて5°、前傾することが確認された。したがって、同じ条件で下カールしている用紙に対しても、接触角Abを定常状態の接触角Aaより少なくも5°小さくすることができ、後処理装置100での用紙の搬送を円滑に行うことができる。
【0129】
第2実施例のブロック図の一例が
図21に示される。
図21に示すブロック図は後処理装置100の、
図10に示すモータドライバ154をモータ/ソレノイドドライバ154aに変更して、主制御部24のCPU26の命令に従って、モータ134、156、158および160だけでなく、ソレノイド188をオン/オフできるようにした。
【0130】
その他のコンポーネントは
図10のものと変わらない。
【0131】
そして、第2実施例でも後処理装置100のメモリ152に後処理プログラム166aを設定するが、第2実施例では、この後処理プログラム166aに、1枚目の用紙を受け入れるとき、整合板126の間隔を狭める制御だけでなく、
図15で示すように整合板126を前傾させる制御を組み込む。
【0132】
次に、
図22を参照して、主として後処理装置100の後処理プログラム166a等に従って実行される実施例の動作を説明する。
【0133】
この動作は、ステップS1で、後処理装置100の通紙センサ116(
図6‐
図9)が用紙PP(の先端)を検知したとき開始される。
【0134】
続くステップS3およびS5で、CPU148(
図10)は、
図13を参照して先に説明したステップS3およびS5と同様に、整合板126を初期位置に設定する。
【0135】
次のステップS6でCPU148は、モータ/ソレノイドドライバ154に命令を与え、ソレノイド188をオン(付勢)する。したがって、このステップS6で、整合板126は、ステップS5で最狭位置(初期位置)に設定されたままで
図20に示すように、前傾される。したがって、
図15に示すように、1枚目の用紙PPの先端が整合板126の傾斜辺126aに引っ掛かる(突っかかる)のを抑制できる。
【0136】
その後、先の
図13で説明したと同様の動作(制御)が、ステップS7‐S13で実行される。したがって、整合板126は、最広位置に移動されている。
【0137】
そして、ステップS14で、CPU148は、モータ/ソレノイドドライバ154に命令を与え、ソレノイド188をオフ(消勢)する。したがって、戻しばね178の拘引力によって、ステップS6で前傾されていた整合板126が、
図19に示す元の位置すなわち定常位置に戻される。したがって、その後のステップS21で実行されることになる、整合板126による後処理トレイ118上での整合動作に不都合を生じることはない。たとえば、整合板126が前傾したままだとすると、用紙の種類(紙質など)によっては、用紙の幅方向端部が整合板126を越えてしまって、十分整合されない可能性があるが、そのような不都合が発生することはない。
【0138】
ただし、ステップS15以降の動作は、
図13で説明したと同様の動作であるから、重複する説明は省略する。
【0139】
なお、
図22では、整合板126を定常位置に戻すために、ステップS13の後のステップS14で実行したが、このステップS14は、遅くともステップS21で整合動作を実行するまでに実行しておればよく、ステップS9とステップS11との間、あるいはステップS15の後などで実行されるようにしてもよい。
【0140】
上述の第2実施例では、整合板126を前傾するために整合板126の前方を下降させる構成として、ソレノイド188によって前方案内バー182を下降させた。この場合、ソレノイド188としては、オンしたとき、つまり通電したときプランジャ190が引き込まれるタイプのソレノイドを用いる。
【0141】
整合板126を前傾するために整合板126の前方を下降さするための方法としては、逆に整合板126の後方に作用して後方を上昇させる構成を採用することも考えられる。つまり、ソレノイド188として、オンしたとき、つまり通電したときプランジャ190が押し出されるタイプのソレノイドを用いて、後方案内バー176を上昇させることによって、整合板126を前傾するようにしてもよい。
【0142】
ソレノイド188で整合板126の前方に作用して前方を上昇させる前者の構成の場合、整合板126の姿勢を定常状態に戻すために、整合板126の後方に作用して後方を下降させた。しかしながら、ソレノイド188で整合板126の後方に作用して後方を上昇させる後者の構成の場合、整合板126の姿勢を定常状態に戻すために、整合板126の前方に作用して前方を上昇させればよい。たとえば、前者の場合、既に説明したように、戻しばね178で後方案内バー176を下方に拘引したが、後者の場合であれば、戻しばね178で前方案内バー182を上方へ拘引すればよい。
【0143】
さらに、後方案内バー176または前方案内バー182を上昇させるためにはソレノイドを用いたが、モータのような別の手段を用いることもできるし、後方案内バー176または前方案内バー182を下降させるためにはコイルばねを用いたが、別のソレノイドのような他の手段を用いることもできる。
【0144】
なお、用紙のカールは用紙特性に起因するので、第2実施例の構成は、低速機、中速機、高速機、カラー、モノクロ機の機種カテゴリに拘わらず有効である。
【0145】
なお、上述のいずれの実施例においても、整合板126の位置制御を後処理装置100のCPU148で実行するようにしたが、これは画像形成装置10のCPU26で制御するようにしてもよい。この場合、通紙センサ116の用紙先端検知信号をCPU26に送る必要がある外、
図12に示す後処理プログラム164aをメモリ30に設定したり、枚数カウンタ168bや搬送カウンタ168cのデータをCPU148からCPU26へ送ったりするなどの処理が必要である。
【0146】
なお、先のステップS5を実行するCPU148(またはCPU26)は、整合板モータ134などと協働して、整合板126どうしの間隔を用紙の幅方向両端より内側である初期位置に設定する位置制御部として機能する。
【0147】
先のステップS6を実行するCPU148(またはCPU26)は、ソレノイド188などと協働して、整合板126を前傾させる前傾部を構成する。
【0148】
同様に、先のステップS14を実行するCPU148(またはCPU26)は、戻しばね178やソレノイド188などと協働して、整合板126を定常位置に戻す、戻し部を構成する。
【0149】
さらに、上述の実施例は、後処理装置100をインナータイプのものとして説明したが、アウタータイプの後処理装置にも本開示は適用できることはもちろんである。
【0150】
なお、上述の実施例で挙げた数値、画面および具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0151】
10 …画像形成装置
24 …主制御部
26 …CPU
36 …用紙サイズセンサ
100 …後処理装置
104 …排紙トレイ
106 …搬送部
112 …処理部
116 …通紙センサ
126 …整合板
146 …副制御部
148 …CPU
168b …枚数カウンタ
168c …搬送カウンタ
170 …支軸
176 …後方案内バー
182 …前方案内バー
184 …固定バー
186 …連結杆
188 …ソレノイド
190 …プランジャ