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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158732
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241031BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241031BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241031BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20241031BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H02G3/04 018
H01B7/00 301
F16L57/00 A
B60R16/02 623V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074212
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】飯田 巧
(72)【発明者】
【氏名】義村 克也
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 慶恭
(72)【発明者】
【氏名】中野 祐甫
【テーマコード(参考)】
3H024
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB02
3H024AC03
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE10
(57)【要約】
【課題】組付方向に対するガタつきを抑制することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】プロテクタ1は、配索材Wが挿通方向Xに沿って挿通されるベース部材10と、ベース部材10に対して組付方向Z1に沿って組み付けられるカバー部材20と、挿通方向Xに沿って間隔をあけて設けられ、組付方向Z1に対してベース係止面31aとカバー係止32aとが相互に係止される一対のロック機構30と、挿通方向Xに対して一対のロック機構30の間に設けられ、カバー部材20の内面に形成される当てリブ40とを含んで構成される。また、当てリブ40は、ベース係止面31aとカバー係止面32aとが相互に係止された状態で、ベース部材10の端部壁部10Kcと当接することで、組付方向Z1に沿ってカバー係止面32aをベース係止面31aに押し付ける力を発生させる当接部41を有することを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する配索材が挿通方向に沿って挿通されるベース部材と、
前記ベース部材に対して前記挿通方向と交差する組付方向に沿って組み付けられるカバー部材と、
前記挿通方向に沿って間隔をあけて設けられ、それぞれ、前記ベース部材に設けられるベース係止面と、当該ベース係止面と対応して前記カバー部材に設けられるカバー係止面とを含んで構成され、前記組付方向に対して当該ベース係止面と当該カバー係止面とが相互に係止されることで前記ベース部材と前記カバー部材とを固定する一対のロック機構と、
前記挿通方向に対して前記一対のロック機構の間に設けられ、前記カバー部材の内面から前記組付方向に沿って前記ベース部材側に突出して形成される当てリブとを備え、
前記当てリブは、前記ベース部材に対して前記カバー部材が組み付けられて前記ベース係止面と前記カバー係止面とが相互に係止された状態で、前記ベース部材の前記カバー部材側の端部壁部と当接することで前記組付方向に沿って前記カバー係止面を前記ベース係止面に押し付ける力を発生させる当接部を有することを特徴とする、
プロテクタ。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記カバー係止面を前記ベース係止面で係止する際に、前記端部壁部に当接し乗り上げた前記当てリブを支点として、前記組付方向に対して撓んで弾性変形し、前記カバー係止面と前記ベース係止面とが係止された状態で、当該カバー部材の弾性復元力によって前記カバー係止面を前記ベース係止面に押し付ける、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記ベース部材は、内部に前記配索材が挿通される収納空間部を有し、
前記当てリブは、前記当接部と連結して形成され、前記組付方向に沿って前記ベース部材側に向かって先細り形状に形成される誘導部を含んで構成され、
前記誘導部は、前記当接部から連続する外側傾斜面と、前記組付方向と交差する幅方向に対して前記収納空間部の内方側で当該外側傾斜面と向かい合って位置する内側傾斜面とによって前記先細り形状が形成される、
請求項1または2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記誘導部は、前記外側傾斜面と前記内側傾斜面との間に形成される面取り部分を含んで構成され、
前記面取り部分は、連続した曲面によって構成される、
請求項3に記載のプロテクタ。
【請求項5】
導電性を有する配索材と、
前記配索材が挿通方向に沿って挿通されるベース部材と、前記ベース部材に対して前記挿通方向と交差する組付方向に沿って組み付けられるカバー部材と、前記挿通方向に沿って間隔をあけて設けられ、それぞれ、前記ベース部材に設けられるベース係止面と、当該ベース係止面と対応して前記カバー部材に設けられるカバー係止面とを含んで構成され、前記組付方向に対して当該ベース係止面と当該カバー係止面とが相互に係止されることで前記ベース部材と前記カバー部材とを固定する一対のロック機構と、前記挿通方向に対して前記一対のロック機構の間に設けられ、前記カバー部材の内面から前記組付方向に沿って前記ベース部材側に突出して形成される当てリブとを有するプロテクタとを備え、
前記当てリブは、前記ベース部材に対して前記カバー部材が組み付けられて前記ベース係止面と前記カバー係止面とが相互に係止された状態で、前記ベース部材の前記カバー部材側の端部壁部と当接することで前記組付方向に沿って前記カバー係止面を前記ベース係止面に押し付ける力を発生させる当接部を有することを特徴とする、
ワイヤハーネス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電線などの配索材が挿通される下カバー(ベース部材)と、下カバーに組み付けられる上カバー(カバー部材)とを備えるプロテクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-186131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のプロテクタは、ベース部材に設けられた爪部とカバー部材に設けられた孔部とが嵌合することで、ベース部材とカバー部材とを組み付けることができる。しかし、このような係合機構(ロック機構)は、爪部のストロークを考慮して設計され、爪部と孔部とが嵌合した際に、爪部の係止面と孔部の係止面との間に隙間が生じるように構成されている。そのため、プロテクタは、ロック機構を介してベース部材とカバー部材とが組み付けられると、ベース部材に対するカバー部材の組付方向に沿ってガタつきが発生する。これにより、プロテクタは、例えば、車両振動に伴って異音等が発生する虞があり、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、組付方向に対するガタつきを抑制することができるプロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るプロテクタは、導電性を有する配索材が挿通方向に沿って挿通されるベース部材と、前記ベース部材に対して前記挿通方向と交差する組付方向に沿って組み付けられるカバー部材と、前記挿通方向に沿って間隔をあけて設けられ、それぞれ、前記ベース部材に設けられるベース係止面と、当該ベース係止面と対応して前記カバー部材に設けられるカバー係止面とを含んで構成され、前記組付方向に対して当該ベース係止面と当該カバー係止面とが相互に係止されることで前記ベース部材と前記カバー部材とを固定する一対のロック機構と、前記挿通方向に対して前記一対のロック機構の間に設けられ、前記カバー部材の内面から前記組付方向に沿って前記ベース部材側に突出して形成される当てリブとを備え、前記当てリブは、前記ベース部材に対して前記カバー部材が組み付けられて前記ベース係止面と前記カバー係止面とが相互に係止された状態で、前記ベース部材の前記カバー部材側の端部壁部と当接することで前記組付方向に沿って前記カバー係止面を前記ベース係止面に押し付ける力を発生させる当接部を有することを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材が挿通方向に沿って挿通されるベース部材と、前記ベース部材に対して前記挿通方向と交差する組付方向に沿って組み付けられるカバー部材と、前記挿通方向に沿って間隔をあけて設けられ、それぞれ、前記ベース部材に設けられるベース係止面と、当該ベース係止面と対応して前記カバー部材に設けられるカバー係止面とを含んで構成され、前記組付方向に対して当該ベース係止面と当該カバー係止面とが相互に係止されることで前記ベース部材と前記カバー部材とを固定する一対のロック機構と、前記挿通方向に対して前記一対のロック機構の間に設けられ、前記カバー部材の内面から前記組付方向に沿って前記ベース部材側に突出して形成される当てリブとを有するプロテクタとを備え、前記当てリブは、前記ベース部材に対して前記カバー部材が組み付けられて前記ベース係止面と前記カバー係止面とが相互に係止された状態で、前記ベース部材の前記カバー部材側の端部壁部と当接することで前記組付方向に沿って前記カバー係止面を前記ベース係止面に押し付ける力を発生させる当接部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るプロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、組付方向に対するガタつきを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの概略構成を表す側面図である。
図3図3は、実施形態に係るプロテクタの概略構成を表す分解斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るプロテクタの概略構成を表す平面図である。
図5図5は、図4に示すA-A断面図である。
図6図6は、図4に示すB-B断面図である。
図7図7は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの組み付け動作を表す断面図である。
図8図8は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの組み付け動作を表す断面図である。
図9図9は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの組み付け動作を表す側面図であり、カバー部材の組み付け動作を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの組み付け動作を表す側面図であり、カバー部材の組み付け動作を説明するための部分拡大図である。
図11図11は、実施形態に係るプロテクタが適用されるワイヤハーネスの組み付け動作を表す側面図であり、カバー部材の組み付け動作を説明するための部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1に示すワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0012】
ワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、プロテクタ1とを備える。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、グロメット、固定具、コネクタ等を含んで構成されてもよい。
【0013】
配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を、絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。なお、配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。
【0014】
プロテクタ1は、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成され、配索材Wを収納することで当該配索材Wを保護するものである。プロテクタ1は、車両に固定されることで、配索材Wの配索経路を規制する部材として使用される。図1に示すように、プロテクタ1は、内部に配索材Wが挿通されるベース部材10と、当該ベース部材10に対して組み付けられるカバー部材20と、一対のロック機構30とを備え、ベース部材10とカバー部材20は、ロック機構30を介して組み付けられる。
【0015】
そして、本実施形態のプロテクタ1は、カバー部材20の内面に設けられた当てリブ40をベース部材10に当接させた状態でロック機構30を嵌め合わせることで、組付方向Z1に対するガタつきを抑制することができる構成を実現したものである。以下、図1図6を参照してプロテクタ1の各構成について詳細に説明する。
【0016】
なお、以下の説明では、互いに第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「長さ方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。長さ方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。長さ方向Xは、典型的には、プロテクタ1に対する配索材Wの挿通方向等に相当する。また、高さ方向Zは、ベース部材10に対するカバー部材20の組付方向Z1、ロック機構30の嵌合方向、ベース部材10の開口部11の開口方向等に相当する。また、ここでいう組付方向Z1とは、ベース部材10に対してカバー部材20が積層される方向に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態での方向として説明する。
【0017】
また、高さ方向Zにおいて上側とは、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態でカバー部材20が位置する側等に相当し、高さ方向Zにおいて下側とは、プロテクタ1の各部が組み付けられた状態でベース部材10が位置する側等に相当する。
【0018】
[ベース部材]
ベース部材10は、図1図3に示すように、ベース壁部10Kによって構成される部材である。ベース部材10は、ベース壁部10Kとして、底壁部10Kaと一対の側壁部10Kbとを含んで構成され、各壁部が一体となって形成されることで、高さ方向Zに沿った断面形状がU字状に形成される。また、ベース部材10は、内部空間としての収納空間部10Sと、高さ方向Zに開口する開口部11と、長さ方向Xに開口する一対の挿通開口部12とを含んで構成される。
【0019】
底壁部10Kaは、図3に示すように、長さ方向X、及び、幅方向Yに沿って延在し、高さ方向Zが板厚方向となる壁部であり、高さ方向Zに沿って開口部11と間隔をあけて配置され、当該開口部11と対向して位置している。また、一対の側壁部10Kbは、図3に示すように、長さ方向X、及び、高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる壁部であり、幅方向Yに沿って間隔をあけて配置され、相互に対向して位置している。また、一対の側壁部10Kbは、底壁部10Kaの幅方向Yの両端部にそれぞれ接続されている。そのため、本実施形態のベース部材10は、一方の側壁部10Kbが、底壁部10Kaの幅方向Yの一方の端部から高さ方向Zに沿って立設し、他方の側壁部10Kbが、底壁部10Kaの幅方向Yの他方の端部から高さ方向Zに沿って立設することで、U字状に形成される。なお、ここでいう底壁部10Ka、及び、側壁部10Kbは、それぞれが屈曲部位等を含む様々な形状をなしており、長さ方向Xに沿って間隔をあけて配置された複数のリブを含んで構成される。
【0020】
収納空間部10Sは、底壁部10Kaと、一対の側壁部10Kbとによって区画、形成される部分である。図1図3に示すように、プロテクタ1は、長さ方向Xの端部に位置する一対の挿通開口部12を介して、収納空間部10Sに配索材Wを挿通させることで、配索材Wを長さ方向Xに沿って配索することができる。
【0021】
開口部11は、図3に示すように、一対の側壁部10Kbによって区画、形成される部分であり、各側壁部10Kbの高さ方向Zにおいて上側に位置する端部(端部壁部10Kcに相当する)によって挟まれる部分である。そのため、本実施形態のプロテクタ1は、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられると、カバー部材20によって開口部11が塞がれ、当該開口部11に対応して位置する収納空間部10Sが覆われる(図1図2を参照)。
【0022】
挿通開口部12は、図1図3に示すように、一対の側壁部10Kbによって区画、形成される部分であり、各側壁部10Kbの長さ方向Xの端部によって挟まれる部分である。そのため、プロテクタ1は、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられると、全体として長さ方向Xの両端部が挿通開口部12によって開口した略矩形筒状に形成される(図1等を参照)。そのため、プロテクタ1は、収納空間部10Sに配索材Wを挿通させることで、当該配索材Wをプロテクタ1の長さ方向Xに沿って配索させることができる。
【0023】
[カバー部材]
カバー部材20は、図1図3に示すように、カバー壁部20Kによって構成される部材である。カバー部材20は、カバー壁部20Kとして、蓋壁部20Kaを含んで構成され、ベース部材10の開口部11を閉塞可能な形状に形成される。なお、ここでいうカバー壁部20Kは、ベース壁部10Kと同様に、屈曲部位等を含む様々な形状をなしており、蓋壁部20Kaは、高さ方向Zに沿った断面形状が平板状(図6図7を参照)やU字状(図5図8を参照)に形成される。また、カバー壁部20Kは、長さ方向Xに沿って間隔をあけて配置された複数のリブを含んで構成される。
【0024】
また、カバー部材20は、図3図4に示すように、蓋壁部20Kaの内面に形成された、一対の当てリブ40を含んで構成される。なお、当てリブ40については、後で詳細に説明するが、当てリブ40をベース部材10の端部壁部10Kcに当接させた状態でロック機構30を嵌め合わせることで、カバー部材20に外力を与えながらベース部材10に組み付けることができる。
【0025】
[ロック機構]
ロック機構30は、図1図3に示すように、長さ方向Xに沿って間隔をあけて設けられる係止部である。本実施形態のロック機構30は、プロテクタ1において複数、ここでは合計4つ設けられており、幅方向Yの両側にそれぞれ2つずつ設けられている。また、図3に示すように、ロック機構30は、それぞれ、ベース部材10に設けられるベース係止部31と、各ベース係止部31に対応するようにカバー部材20に設けられるカバー係止部32とを含んで構成される。
【0026】
ベース係止部31は、側壁部10Kbに設けられる爪部である。ベース係止部31は、図1図3に示すように、側壁部10Kbの高さ方向Zにおいて上側に設けられ、幅方向Yに対して外方に突出して形成される。また、ベース係止部31は、高さ方向Zにおいて下側に向けて露出しているベース係止面31a(図3を参照)を含んで構成され、当該ベース係止面31aを介してカバー係止部32を係止することができる。本実施形態のベース係止部31は、一対の側壁部10Kbのそれぞれに2つずつ、合計4つが設けられるとともに、各側壁部10Kbに設けられた一対の爪部が幅方向Yに沿って間隔をあけて対向して位置するように設けられている。
【0027】
カバー係止部32は、蓋壁部20Kaから組付方向Z1に沿ってベース部材10側に突出して形成される突起片20Kbに設けられる孔部である。突起片20Kbは、図1図3に示すように、長さ方向X及び高さ方向Zに沿って延在し、幅方向Yが板厚方向となる壁部であり、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられた状態で、側壁部10Kbに沿って位置し、幅方向Yに対して側壁部10Kbの外方に位置する。また、突起片20Kbは、カバー係止部32として幅方向Yに沿って貫通する孔部が形成され、当該孔部は、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられた際に、ベース係止部31が挿入可能な大きさに形成されている。また、カバー係止部32は、高さ方向Zにおいて上側に向けて露出しているカバー係止面32a(図3図5を参照)を含んで構成され、カバー係止部32としての孔部にベース係止部31としての爪部が嵌め合わされると、ベース係止面31aとカバー係止面32aとが対向して位置することで、当該カバー係止面32aを介してベース係止部31を係止することができる。
【0028】
次に、カバー部材20に設けられている当てリブ40の構成について、より具体的に説明する。
【0029】
[当てリブ]
当てリブ40は、図3に示すように、蓋壁部20Kaの内面から組付方向Z1に沿ってベース部材10側に突出して形成される突起片である。当てリブ40は、図4に示すように、長さ方向Xに対して一対のロック機構30の間に設けられ、一方のロック機構30までの距離と、反対側に位置する他方のロック機構30までの距離とが略同一となる位置に設けられている。また、当てリブ40は、図6に示すように、蓋壁部20Kaの幅方向Yの両端部に対してそれぞれに1つずつ、合計2つ設けられている。また、当てリブ40は、ベース部材10とカバー部材20とが組み付けられた状態で、ベース部材10の端部壁部10Kcに当接する当接部41と、当該当接部41と連結して形成される誘導部42とを含んで構成される(図8を参照)。
【0030】
当接部41は、幅方向Yに沿って延在する平面によって構成される部分である。図6に示すように、当接部41は、幅方向Yの長さが端部壁部10Kcの幅方向Yの長さより大きくなるように構成されている。ベース部材10にカバー部材20が組み付けられると、当接部41は、端部壁部10Kcと向かい合って位置し、当該端部壁部10Kcの端面が接触することで、ベース部材10に当接する。
【0031】
誘導部42は、当接部41と連結して形成され、組付方向Z1に対して傾斜する傾斜面によって構成される部分である。図6に示すように、誘導部42は、当接部41から連続して形成される外側傾斜面42aと、幅方向Yに対して外側傾斜面42aの内方側に形成される内側傾斜面42bとによって構成される。また、外側傾斜面42aは、収納空間部10S側に向かって倒れる方向に傾斜し、内側傾斜面42bは、外側傾斜面42aの傾斜方向と反対側の方向、すなわち端部壁部10Kcに向かって倒れる方向に傾斜している。そのため、誘導部42は、外側傾斜面42aと内側傾斜面42bとが向かい合って位置しており、先細り形状に形成される。また、誘導部42は、ベース部材10にカバー部材20が組み付けられると、幅方向Yに対して当該端部壁部10Kcの内方に位置し、ベース部材10の開口部11の内縁に沿って位置することで、当該開口部11が狭められる。
【0032】
また、誘導部42は、外側傾斜面42aと内側傾斜面42bとが連続して形成され、当該外側傾斜面42aと前記内側傾斜面42bとの間に形成される面取り部分42Rを含んで構成される。
【0033】
面取り部分42Rは、連続した曲面によって構成される部分である。本実施形態の面取り部分42Rは、外側傾斜面42aと内側傾斜面42bのそれぞれに接するR形状の曲面によって構成される。
【0034】
次に、図7図11を参照して、上記で説明したプロテクタ1が適用されるワイヤハーネスWHの組み付け動作について説明する。
【0035】
[ワイヤハーネスの組み付け動作]
まず、作業者は、配索材Wをベース部材10に組み付ける。そして、作業者は、ベース部材10の収納空間部10Sに配索材Wを挿通させた状態で、当該ベース部材10にカバー部材20を組み付ける。
【0036】
このとき、作業者は、例えば、長さ方向Xに沿って設けられる一対のロック機構30のうち、長さ方向Xの一方側に位置するカバー係止部32とベース係止部31とを嵌め合わす(図7を参照)。そして、作業者は、反対側(長さ方向Xの他方側)に位置するカバー係止部32とベース係止部31とを嵌め合わすことで、ベース部材10にカバー部材20を組み付ける。
【0037】
より詳しく言えば、カバー部材20は、長さ方向Xの一方側に位置するベース係止部31のベース係止面31aと、カバー係止部32のカバー係止面32aとが相互に係止された状態で、長さ方向Xの他方側の端部がベース部材10に対して近づけられる。
【0038】
そして、カバー部材20は、長さ方向Xの他方側に位置するカバー係止部32とベース係止部31とが嵌め合わされる前に、当てリブ40の当接部41がベース部材10の端部壁部10Kcに当接した状態となる(図8を参照)。そして同時に、カバー部材20は、当てリブ40の誘導部42がベース部材10の開口部11の内側に配置された状態となる。そのため、カバー部材20は、当てリブ40がベース部材10に常に当たっている状態で、カバー係止部32がベース係止部31に対して嵌め合わされる。
【0039】
そして、当てリブ40がベース部材10に当たっている状態で、カバー係止部32がベース係止部31に対して近づけられると、カバー部材20は、組み付け時に作業員から付与されることで作用される組み付け嵌合力F1(図9を参照)によって、当てリブ40を支点として撓んで弾性変形する。つまりこのとき、カバー部材20は、組み付け嵌合力F1によって、高さ方向Zの一方側(本実施形態では組付方向Z1側)に対して撓んだ状態となる。そして、カバー係止部32は、当てリブ40からの距離に比例して、長さ方向Xの端部に向かう程、組付方向Z1に対する撓み量が大きくなり、高さ方向Zに対して下側に向かって押し下げられる。そして、カバー係止部32がベース係止部31に対して嵌め合わされることで、当該ベース係止部31のベース係止面31aと、当該カバー係止部32のカバー係止面32aとが相互に係止された状態となる。そして、ベース部材10、及び、カバー部材20は、組み付け嵌合力F1が作用している状態で、ベース係止部31のベース係止面31aと、カバー係止部32のカバー係止面32aとの間に隙間が生じている状態で組み付けられる(図10を参照)。
【0040】
そして、カバー部材20は、ベース係止部31とカバー係止部32とがそれぞれ嵌め合わされた状態で組み付け嵌合力F1が解放されると、弾性復元力F2(図11を参照)によって、撓み方向と反対側に復帰する。このとき、カバー部材20の長さ方向Xの両端部にそれぞれ設けられているカバー係止部32は、撓んだ状態からまっすぐに延びた状態に戻る方向、言い換えれば、当てリブ40を支点として長さ方向Xの両端部がベース部材10から離間する方向に変形することで、高さ方向Zに対して上側に向かって押し上げられる。そして、ベース係止面31aとカバー係止面32aとが相互に係止された状態で、ベース係止面31aに対してカバー係止面32aが近づくことで、当該ベース係止面31aと当該カバー係止面32aとが接触する。そのため、カバー部材20は、弾性復元力F2によってカバー係止面32aをベース係止面31aに押し付けることが可能となり、当該ベース係止面31aと当該カバー係止面32aとの間に生じる隙間を無くすことができる。
【0041】
以上で説明したワイヤハーネスWHは、導電性を有する配索材Wと、プロテクタ1とを備える。また、プロテクタ1は、配索材Wが挿通方向Xに沿って挿通されるベース部材10と、当該ベース部材10に対して挿通方向Xと交差する組付方向Z1に沿って組み付けられるカバー部材20とを含んで構成される。また、プロテクタ1は、挿通方向Xに沿って間隔をあけて設けられ、それぞれ、ベース部材10に設けられるベース係止面31aと、当該ベース係止面31aと対応してカバー部材20に設けられるカバー係止面32aとを含んで構成され、組付方向Z1に対して当該ベース係止面31aと当該カバー係止32aとが相互に係止されることでベース部材10とカバー部材20とを固定する一対のロック機構30と、挿通方向Xに対して一対のロック機構30の間に設けられ、カバー部材20の内面から組付方向Z1に沿ってベース部材10側に突出して形成される当てリブ40とを含んで構成される。また、当てリブ40は、ベース部材10に対してカバー部材20が組み付けられてベース係止面31aとカバー係止面32aとが相互に係止された状態で、ベース部材10のカバー部材20側の端部壁部10Kcと当接することで、組付方向Z1に沿ってカバー係止面32aをベース係止面31aに押し付ける力F3を発生させる当接部41を有する。
【0042】
このような構成によれば、カバー部材20の内面に設けられた当てリブ40をベース部材10に当接させた状態で、ロック機構30を嵌め合わせることができる。そのため、カバー部材20に例えば組み付け嵌合力F1等の外力を与え、これに伴って、ベース係止面31aと当該カバー係止面32aとを接触させることで、高さ方向Zの上側に向かって、カバー係止面32aをベース係止面31aに押し付ける力F3(図11を参照)を発生させることができる。したがって、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、ベース係止面31aと当該カバー係止面32aとの間に生じる隙間(組み付けガタ)を無くすことができ、組付方向Z1に対するガタつきを抑制することができる。
【0043】
また、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、組付方向Z1に対するガタつきが抑制されることで、ベース部材10に対するカバー部材20の組み付け作業をより効率化し、作業性を向上させることができる。また、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、ワイヤハーネスWHがアンカー等の固定部によって車両内の固定対象部位に固定された状態で、例えば車両振動が発生した際に、各部が擦れることによって異音等が発生することを防止することができる。
【0044】
また、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、組付方向Z1に対するガタつきを抑制するための固定部材(例えば、プロテクタ1に巻き付けられるテープ部材等)を新たに用意する必要がなく、既存の部品に構造を追加することによって対応することができる。そのため、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、新たに部材を用意する場合と比べて、1個製造あたりの部品費用や作業工程数を低減させることができる。また、既存の部品の構成面のうち外観面に影響しない面に構造を追加することで、体格が大型化することを抑制するともに、質量を低減させることができる。
【0045】
より具体的には、以上で説明したカバー部材20は、カバー係止面32aをベース係止面31aで係止する際に、端部壁部10Kcに当接し乗り上げた当てリブ40を支点として、組付方向Z1に対して撓んで弾性変形し、カバー係止面32aとベース係止面31aとが係止された状態で、当該カバー部材20の弾性復元力F2によってカバー係止面32aをベース係止面31aに押し付ける。このような構成により、カバー係止面32aをベース係止面31aに押し付ける力F3としてカバー部材20の弾性復元力F2を用いることができ、当該弾性復元力F2によってベース係止面31aに対するカバー係止面32aの組み付けガタを吸収することができる。したがって、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、ベース係止面31aと当該カバー係止面32aとの間に生じる隙間(組み付けガタ)を無くすことができ、組付方向Z1に対するガタつきを抑制することができる。
【0046】
さらに、以上で説明したベース部材10は、内部に配索材Wが挿通される収納空間部10Sを有し、当てリブ40は、当接部41と連結して形成され、組付方向Z1に沿ってベース部材10側に向かって先細り形状に形成される誘導部42を含んで構成される。また、誘導部42は、当接部41から連続する外側傾斜面42aと、組付方向Z1と交差する幅方向Yに対して収納空間部10Sの内方側で当該外側傾斜面42aと向かい合って位置する内側傾斜面42bとによって先細り形状が形成される。このような構成によれば、カバー部材20は、誘導部42を介して、収納空間部10Sに収納された配索材Wを幅方向Yに対して内方側(言い換えれば、プロテクタ1を長さ方向Xから視た際の幅方向Yに対する中央側)へ寄せることで、当該配索材Wの位置を矯正することができる。そのため、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、収納空間部10Sに収納された配索材Wが開口部11から外部へ飛び出すことを防止することができ、配索材Wを収納空間部10S内の適正な位置で保持して収納することができる。
【0047】
さらに、以上で説明した誘導部42は、外側傾斜面42aと内側傾斜面42bとの間に形成される面取り部分42Rを含んで構成され、面取り部分42Rは、連続した曲面によって構成される。このような構成によれば、先細り形状に形成される誘導部42の端部を曲面で構成することで、収納空間部10Sに収納された配索材Wが誘導部42に当たった際に、当該誘導部42の端部が配索材Wに刺さることを防止することができる。そのため、プロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、配索材Wの被覆が傷つくことを防止し、配索材Wを適正な状態で保持して収納することができる。
【0048】
なお、上述した本発明の実施形態に係るプロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、ベース部材10とカバー部材20とを組み付ける方法は、当てリブ40がベース部材10に当接した状態で組み付けられる方法である限り、特に限定されない。例えば、ベース部材10とカバー部材20は、当てリブ40をベース部材10に当接させてから、長さ方向Xに沿って設けられる一対のロック機構30を嵌め合わすことによって組み付けられていてもよい。
【0050】
また、ロック機構30は、幅方向Yの両側にそれぞれ2つずつ設けられていると説明したが、幅方向Yの片側のみに設けられてもよい。
【0051】
また、ベース係止部31は爪部によって構成され、カバー係止部32は孔部によって構成されるものとして説明したが、ベース係止部31が孔部によって構成され、カバー係止部32が爪部によって構成されていてもよい。
【0052】
また、当てリブ40は、誘導部42を備えてなくてもよい。
【0053】
また、外側傾斜面42aと内側傾斜面誘導部42bによって形成される誘導部42の先端部の形状は、特に限定されない。
【0054】
本実施形態に係るプロテクタ1、及び、ワイヤハーネスWHは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 プロテクタ
10 ベース部材
10Kc 端部壁部
10S 収納空間部
20 カバー部材
30 ロック機構
31a ベース係止面
32a カバー係止面
40 当てリブ
41 当接部
42 誘導部
42a 外側傾斜面
42b 内側傾斜面
42R 面取り部分
F3 組付方向に沿ってカバー係止面をベース係止面に押し付ける力
W 配索材
X 長さ方向(配索材の挿通方向)
Y 幅方向
Z 高さ方向
Z1 組付方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11