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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158735
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20241031BHJP
   H01R 13/64 20060101ALI20241031BHJP
   H01R 13/635 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/64
H01R13/635
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074222
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 克哉
(72)【発明者】
【氏名】蔦川 友佑
(72)【発明者】
【氏名】徳本 光希
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰弘
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC31
5E021FC38
5E021HB04
5E021HB05
5E021JA05
5E021KA05
(57)【要約】
【課題】大型化することを抑制しつつ嵌合状態を保持できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、相手方コネクタ90と嵌合するハウジング2と、ハウジング2に対し回動可能に取り付けられカム溝34を形成するレバー3と、ハウジング2に設けられレバー3を相手方コネクタ90と反対側へ付勢するバネ部4と、を備え、カム溝34は相手方コネクタ90に設けられるカムフォロア91を挿入可能に設けられ、半嵌合領域343と正規嵌合領域344を連ねて形成し、半嵌合領域343は入口位置P1から正規嵌合領域344との境界位置P2へ向けてレバー3の回動中心位置Cに近づくように形成され、正規嵌合領域344は境界位置P2から嵌合終了位置P3へ向けて回動中心位置Cから遠ざかるように形成され、カムフォロア91は正規嵌合状態においてバネ部4の付勢によりカム溝34に押圧され嵌合終了位置P3に保持されるように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を保持し、相手方コネクタと嵌合するハウジングと、
前記ハウジングに対し回動可能に取り付けられ、回動方向に対し傾いて延在するカム溝を形成するレバーと、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングを介し前記レバーを前記相手方コネクタと反対側へ付勢する付勢部と、を備え、
前記カム溝は、前記相手方コネクタに設けられるカムフォロアを挿入可能に設けられ、半嵌合領域と正規嵌合領域を連ねて形成し、
前記半嵌合領域は、前記相手方コネクタと半嵌合状態である場合に前記カムフォロアが位置している領域であって、前記半嵌合領域の入口位置から前記正規嵌合領域との境界位置へ向けて前記レバーの回動中心位置に近づくように形成され、
前記正規嵌合領域は、前記相手方コネクタと正規嵌合状態である場合に前記カムフォロアが位置している領域であって、前記境界位置から嵌合終了位置へ向けて前記回動中心位置から遠ざかるように形成され、
前記カムフォロアは、前記正規嵌合状態において、前記付勢部の付勢により前記カム溝の内側面から前記相手方コネクタと反対側へ押圧され前記嵌合終了位置に保持される、
コネクタ。
【請求項2】
前記カム溝は、前記半嵌合領域と前記正規嵌合領域の前記境界位置における側面において前記回動中心位置へ向けて突出する突起部を形成している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記端子を保持するインナハウジングと、前記インナハウジングの外側に設けられるアウタハウジングと、を有し、
前記アウタハウジングは、前記インナハウジングに対し前記相手方コネクタとの接続方向に沿って移動可能に取り付けられ、
前記付勢部は、前記インナハウジングと前記アウタハウジングの間に設けられ、前記インナハウジングに反力をとって前記アウタハウジング及び前記レバーを前記相手方コネクタと反対側へ付勢する、
請求項1又は2に記載のコネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとして、例えば、特許文献1に記載されるように、雄ハウジングと雌ハウジングを接続するレバー式コネクタであって、雌ハウジングにレバー及びばねを設けたものが知られている。ばねは、スライダを介し、雄ハウジングと雌ハウジングを離間させる方向へ付勢している。レバーは、カム溝を形成しており、カム溝内に雄ハウジングのフォロアピンを挿入させて回動することにより、雄ハウジングと雌ハウジングの嵌合を行わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-250635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このコネクタにあっては、コネクタが大型なものとなる点で改善の余地がある。例えば、上述したコネクタは、レバーを回動させて雄ハウジングと雌ハウジングを嵌合させ、この嵌合状態を保持するために、雌ハウジングと雄ハウジングを係止する係止機構を設けている。このため、コネクタは、嵌合状態を保持するするために係止機構が必要となり、大型なものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、大型化することを抑制しつつ嵌合状態を保持できるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係るコネクタは、端子を保持し、相手方コネクタと嵌合するハウジングと、前記ハウジングに対し回動可能に取り付けられ、回動方向に対し傾いて延在するカム溝を形成するレバーと、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングを介し前記レバーを前記相手方コネクタと反対側へ付勢する付勢部と、を備え、前記カム溝は、前記相手方コネクタに設けられるカムフォロアを挿入可能に設けられ、半嵌合領域と正規嵌合領域を連ねて形成し、前記半嵌合領域は、前記相手方コネクタと半嵌合状態である場合に前記カムフォロアが位置している領域であって、前記半嵌合領域の入口位置から前記正規嵌合領域との境界位置へ向けて前記レバーの回動中心位置に近づくように形成され、前記正規嵌合領域は、前記相手方コネクタと正規嵌合状態である場合に前記カムフォロアが位置している領域であって、前記境界位置から嵌合終了位置へ向けて前記回動中心位置から遠ざかるように形成され、前記カムフォロアは、前記正規嵌合状態において、前記付勢部の付勢により前記カム溝の内側面から前記相手方コネクタと反対側へ押圧され前記嵌合終了位置に保持されるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコネクタによれば、大型化することを抑制しつつ嵌合状態を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るコネクタを示す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るコネクタの側面図である。
図4図4は、実施形態に係るコネクタにおけるカム溝の説明図である。
図5図5は、実施形態に係るコネクタにおけるバネ部の説明図である。
図6図6は、実施形態に係るコネクタのバネ部の分解斜視図である。
図7図7は、実施形態に係るコネクタにおける接続の説明図である。
図8図8は、実施形態に係るコネクタにおける接続の説明図である。
図9図9は、実施形態に係るコネクタにおける接続の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態は、コネクタに関する。以下の説明では、互いに交差する第一方向、第二方向、及び、第三方向のうち、第一方向を「接続方向X」といい、第二方向を「幅方向Y」といい、第三方向を「高さ方向Z」という。ここでは、接続方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。接続方向Xは、コネクタと相手方コネクタの接続方向、嵌合方向及び離間方向に相当する。幅方向Yと高さ方向Zとは、接続方向Xと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。なお、ここでいう直交は、ほぼ直交を含む。
【0011】
図1、2に示すように、コネクタ1は、相手方コネクタ90との接続に用いられるレバー式コネクタであり、ハウジング2、レバー3及びバネ部4を備えている。コネクタ1は、例えば、車両に搭載され、ワイヤハーネスWHの構成部品として用いられる。例えば、コネクタ1はオスコネクタであり、相手方コネクタ90はメスコネクタである。
【0012】
ハウジング2は、端子5を収容して保持する部材であり、例えば、インナハウジング21及びアウタハウジング22を有している。インナハウジング21は、端子5を保持する部材であり、コネクタ1の内部に設けられている。アウタハウジング22は、インナハウジング21の外側に設けられ、端子5の先端の周囲を覆うように形成されている。アウタハウジング22は、筒形を呈し、相手方コネクタ90に対し開口する開口部221を形成している。アウタハウジング22は、コネクタ1においてカバー又はケーシングとして機能するものであってもよい。
【0013】
インナハウジング21は、相手方コネクタ90へ向けて突出する端子収容部211を形成している。端子収容部211は、前端を開放した筒型の部位であり、内部に端子5を収容する。端子収容部211は、端子5の設置数に合わせて形成され、例えば、三つの端子5に対し三つ形成される。端子5は、電線Wと接続されており、電線Wにはリング状のシール部材51が取り付けられている。
【0014】
インナハウジング21は、相手方コネクタ90側の先端部に筒部212を形成している。筒部212は、断面楕円又は断面長円とした筒状の部位であり、端子収容部211の周囲を覆い、端子収容部211の設置空間を画成している。筒部212の外周部分には、フランジ部213が形成されている。フランジ部213は、相手方コネクタ90との接続方向Xに対し交差する向きに形成される板部材であり、例えば、矩形又はほぼ矩形を呈し、筒部212の外側に張り出して設けられている。筒部212の先端部分の外周には、パッキン61が取り付けられている。パッキン61は、インナハウジング21と相手方コネクタ90との間の止水を行う止水部材である。また、筒部212の内側には、小筒部214が形成されている。小筒部214は、筒部212の内側で端子収容部211の基端部分の周囲を覆う部位である。小筒部214の外周には、パッキン62が取り付けられている。パッキン62は、インナハウジング21と相手方コネクタ90との間の止水を行う止水部材である。
【0015】
インナハウジング21には、シールド部材63及びリアホルダ64が収容されている。シールド部材63は、インナハウジング21内で電線Wを覆う筒体であり、例えば、金属材料などによって形成される。リアホルダ64は、インナハウジング21に取り付けられ、シール部材51を保持している。例えば、リアホルダ64は、電線Wを貫通させて設けられ、シール部材51を保持しつつインナハウジング21に取り付けられる。リアホルダ64は、複数の電線Wを貫通させやすくするため、例えば、接続方向Xに沿って分割可能に構成される。
【0016】
インナハウジング21の後端部分には、リアシールド65及びグロメット68が取り付けられている。リアシールド65は、コネクタ1の後端部分を覆ってシールドする部材であり、例えば、金属材料などにより形成される。リアシールド65は、例えば、接続方向Xに沿って分割して構成され、ネジ651の螺合により一体にされインナハウジング21の後端部分に組み付けられる。また、リアシールド65の後端には、リング部材66が取り付けられている。リアシールド65は、電線Wを覆う不図示のシールド部材としての編組体の端末がリング部材66を介して加締められ導通される部分として機能する。グロメット68は、リアシールド65の後端に取り付けられるカバー部材である。グロメット68は、後端へ向けて先細りとなるように形成され、インナハウジング21の後部及びリアシールド65を覆って取り付けられる。グロメット68は、バンド部材67によりインナハウジング21に対し締め付けられて組み付けられる。
【0017】
図3に示すように、アウタハウジング22は、インナハウジング21に対し相手方コネクタ90との接続方向Xに沿って移動可能に取り付けられている。アウタハウジング22は、筒形を呈し、インナハウジング21の胴部215に外装されて接続方向Xに対し移動可能となっている。アウタハウジング22の移動範囲は、例えば、フランジ部213に対向する対向面225がフランジ部213へ当接する位置から後端226がグロメット68の先端部681が当接する位置までとされる。
【0018】
図1に示すように、レバー3は、ハウジング2に対し回動可能に取り付けられている。レバー3は、相手方コネクタ90との接続時においてコネクタ1と相手方コネクタ90を嵌合させ、その嵌合を保持するための部材である。例えば、レバー3は、アーム部31及び操作部32を有し、アウタハウジング22に対し回動可能に取り付けられる。アーム部31は、アウタハウジング22の側部222に形成される軸部材223に対し回動可能に取り付けられている。アーム部31は、二つ形成され、アウタハウジング22を挟むように、両側の側部222に対し一つずつ設けられている。アーム部31は、軸部材223を挿入する孔33を形成している。アーム部31は、例えば、孔33を形成している基端位置から先端位置に向けて後方へ屈曲して形成されている。ここで、後方とは、コネクタ1において相手方コネクタ90と反対側の方向である。操作部32は、アーム部31、31の先端に架設される部位であり、幅方向Yに沿って延在している。レバー3は、二つのアーム部31及び操作部32により逆U型を呈し、回動中心位置Cを中心として回動可能とされる。
【0019】
レバー3には、カム溝34が形成されている。カム溝34は、相手方コネクタ90に形成されるカムフォロア91を挿入させ、レバー3の回動によってコネクタ1と相手方コネクタ90を嵌合方向又は離脱方向へ移動させるための溝である。ここで、嵌合方向は、接続方向Xに沿った方向であり、コネクタ1において相手方コネクタ90へ近づく方向であり、相手方コネクタ90においてコネクタ1へ近づく方向である。離脱方向は、嵌合方向と反対側の方向であって、コネクタ1において相手方コネクタ90から遠ざかる方向であり、相手方コネクタ90においてコネクタ1から遠ざかる方向である。
【0020】
図3に示すように、カム溝34は、アーム部31に形成され、カムフォロア91を挿通可能に形成されている。例えば、カムフォロア91は円柱状又は円筒状の突起として形成され、カム溝34はカムフォロア91の外径より大きい幅を有する溝とされる。カムフォロア91は、先端の頭部911が胴部912に対し拡径されており、カム溝34から抜けにくい構造となっている。すなわち、カム溝34は、カムフォロア91の頭部911が通る部分の幅を大きく形成され、段付きの溝とされる。これにより、カムフォロア91は、カム溝34に挿入された場合にカム溝34から容易には抜け出さない構造となっている。カム溝34は、アーム部31における相手方コネクタ90との対向面311まで形成されており、図3のようにレバー3が嵌合開始位置にある場合に接続方向Xに沿うように形成されている。このため、コネクタ1が相手方コネクタ90に嵌合する場合に、カムフォロア91がカム溝34へ円滑に挿入される。
【0021】
図4に示すように、カム溝34は、アーム部31において、回動中心位置Cに対し相手方コネクタ90側に形成され、レバー3の回動方向Rに対し傾いて延在している。すなわち、カム溝34は、レバー3の回動方向Rに対し傾いて延びる半嵌合領域343及び正規嵌合領域344を含んで形成されている。例えば、カム溝34は、入口領域342、半嵌合領域343及び正規嵌合領域344を連ねて形成される。入口領域342は、カムフォロア91がカム溝34に入り始めの領域であり、挿入入口位置342Aを有している。この入口領域342は、例えば、レバー3が嵌合開始位置にある場合、接続方向Xに沿って直線状に形成される。挿入入口位置342Aは、入口領域342の入口の位置である。
【0022】
半嵌合領域343は、コネクタ1と相手方コネクタ90が半嵌合状態である場合にカムフォロア91が位置している領域であって、半嵌合領域343の入口位置P1から正規嵌合領域344との境界位置P2へ向けてレバー3の回動中心位置Cに近づくように形成されている。例えば、カムフォロア91が入口位置P1にある場合にレバー3が嵌合回動されることにより、カムフォロア91がレバー3の回動中心位置Cに近づいて行き、コネクタ1と相手方コネクタ90の嵌合度合が高められる。ここで、嵌合回動は、コネクタ1と相手方コネクタ90を接近させ又は嵌合させるためのレバー3の回動である。図4において、嵌合回動は、レバー3の反時計回りの回動である。回動中心位置Cは、軸部材223の中心位置であって中心軸線の位置である。
【0023】
正規嵌合領域344は、コネクタ1と相手方コネクタ90と正規嵌合状態である場合にカムフォロア91が位置している領域であって、半嵌合領域343との境界位置P2から嵌合終了位置P3へ向けて回動中心位置Cから遠ざかるように形成されている。例えば、カムフォロア91が境界位置P2にある場合にレバー3が嵌合回動されることにより、カムフォロア91が突起部346を乗り越えて正規嵌合領域344へ入り込み、レバー3の回動中心位置Cから遠ざかる。そして、カムフォロア91は、嵌合終了位置P3に移動し、コネクタ1と相手方コネクタ90が正規嵌合状態となる。嵌合終了位置P3は、カム溝34の奥側の位置であって、コネクタ1と相手方コネクタ90の嵌合が終了した場合にカムフォロア91が位置する位置である。カム溝34は、半嵌合領域343と正規嵌合領域344の境界で屈曲しており、カム溝34の側面に突起部346が形成されている。突起部346は、カム溝34の両脇にある二つの側面のうち回動中心位置Cに対し遠い側面に形成され、回動中心位置Cへ向けて突出して形成されている。カムフォロア91は、コネクタ1と相手方コネクタ90の正規嵌合状態において、バネ部4の付勢によりカム溝34の内側面347から相手方コネクタ90と反対側へ押圧され嵌合終了位置P3に保持される。これにより、カムフォロア91は正規嵌合領域344から外れにくくなり、レバー3がロックされる。
【0024】
図5、6に示すように、バネ部4は、レバー3を相手方コネクタ90と反対側へ付勢する付勢部であり、ハウジング2に設けられている。図5は、バネ部4の説明のためにコネクタ1の斜視図を示しているが、図1のV-Vで断面をとりコネクタ1の一部を切り欠いて示している。バネ部4は、例えば、インナハウジング21とアウタハウジング22の間に設けられ、インナハウジング21に反力をとってアウタハウジング22及びレバー3を相手方コネクタ90と反対側へ付勢する。より詳細には、バネ部4は、アウタハウジング22の収容室224に設けられ、インナハウジング21のフランジ部213に反力をとってアウタハウジング22及びレバー3を相手方コネクタ90と反対側の方向(図5では、右斜め上の方向)へ付勢する。
【0025】
バネ部4は、バネ41、バネカバー42及びパッキン43を有している。バネ41は、例えば、コイルバネであり、縮設されることにより伸長する方向へ付勢力を発生させる。バネ41は、アウタハウジング22に形成される収容室224に収容されている。収容室224は、フランジ部213の背部に形成される断面円形の穴であり、例えば、フランジ部213と対向する対向面225から接続方向Xに沿って窪ませて形成されている。収容室224には、中心位置に棒状の軸部224Aが設けられている。軸部224Aは、底面224Bから接続方向Xに沿って形成されている。バネ41は、軸部224Aに外装され、軸部224Aを挿通させた状態で配置される。バネカバー42は、バネ41を覆うカバーであり、一方の端部を閉塞し他方の端部を開放した筒体である。バネカバー42は、開放端部421を奥側に向けバネ41を覆うように収容室224に収容されている。パッキン43は、リング状の弾性部材であり、バネカバー42の外周と収容室224の内容の間を止水する。パッキン43は、バネカバー42の外周に取り付けられている。このように、バネ41は、収容室224内に収容され、バネカバー42に覆われているため、バネ41の配置位置に水が浸入することが抑制される。例えば、バネ部4の設置位置に水が浸入したとしても、バネ41は止水機能のあるバネカバー42によって覆われているため、バネ41の位置に水が浸入することが抑制される。バネ部4は、フランジ部213の背部に設けられており、相手方コネクタ90と接触しない構造となっている。このため、バネ部4の設置位置に水が浸入しにくい構造となっている。
【0026】
バネ部4は、ハウジング2の中心位置Pから所定の距離を隔てて複数設置されている。中心位置Pは、ハウジング2における接続方向Xに沿った中心軸線の位置である。例えば、バネ部4は、四つ設けられ、接続方向Xに交差する断面を矩形又はほぼ矩形としたアウタハウジング22の四隅の位置に設置されている。コネクタ1は、このように複数のバネ部4を設けることにより、アウタハウジング22及びレバー3を接続方向Xに沿って付勢することができる。
【0027】
次に、本実施形態に係るコネクタ1の接続について説明する。
【0028】
図1に示すように、コネクタ1と相手方コネクタ90の接続は、まず、相手方コネクタ90に対しコネクタ1が対峙するように配置される。このとき、コネクタ1のレバー3は、上方へ上げた嵌合開始位置とされる。また、図3に示すように、相手方コネクタ90に対しコネクタ1の位置及び姿勢が合わされ、カム溝34の入口領域342が相手方コネクタ90のカムフォロア91に対峙するように合わせられる。
【0029】
この状態において、相手方コネクタ90に対しコネクタ1が接近させられ、カムフォロア91がカム溝34へ挿入される。そして、図7に示すように、カムフォロア91がカム溝34の半嵌合領域343に到達したら、レバー3が嵌合回動させられる。すなわち、レバー3が嵌合方向(図7では、反時計回りの方向)へ回動させられる。レバー3の回動により、カムフォロア91がカム溝34の形状に応じて移動させられ、カムフォロア91がレバー3の回動中心位置Cに接近する。このとき、カムフォロア91は、カム溝34の半嵌合領域343を正規嵌合領域344に向けて移動する。これにより、コネクタ1と相手方コネクタ90は、半嵌合状態から正規嵌合状態へ向けて嵌合度合が進んでいく。
【0030】
そして、図8に示すように、レバー3の嵌合回動により、カムフォロア91は、レバー3の回動中心位置Cに近づき、カム溝34の半嵌合領域343と正規嵌合領域344の境界位置に達する。この状態において、更にレバー3が嵌合回動させられることにより、図9に示すように、カムフォロア91は、突起部346を乗り越えて正規嵌合領域344へ進み、レバー3は、正規嵌合位置となる。これにより、コネクタ1と相手方コネクタ90は、半嵌合状態から正規嵌合状態となり、適切に嵌合されて接続される。
【0031】
この状態において、バネ部4の付勢により、カムフォロア91が正規嵌合領域344から外れにくくなり、レバー3が正規嵌合位置でロックされ、コネクタ1と相手方コネクタ90が嵌合状態でロックされる。すなわち、バネ部4は、インナハウジング21に反力をとってアウタハウジング22及びレバー3を嵌合方向(図9では、右側の方向)へ付勢している。このため、カムフォロア91はカム溝34の正規嵌合領域344から半嵌合領域343へ移動しにくくなり、レバー3が正規嵌合位置でロックされる。言い換えれば、レバー3を正規嵌合位置から離脱方向(図9では、時計回りの方向)へ回動させるには、バネ部4の付勢力に抗して回動させる必要がある。また、レバー3を正規嵌合位置から離脱方向へ回動させるには、カム溝34においてカムフォロア91が突起部346を乗り越えて半嵌合領域343へ移動する必要があり、強い力が必要となる。このため、レバー3は、バネ部4の付勢力により、正規嵌合位置で保持される。
【0032】
このように、コネクタ1は、カム溝34及びバネ部4により、レバー3のロック機構を構成することができる。このため、別途、レバー3をロックする機構を設ける必要がなく、嵌合状態を保持することができる。従って、コネクタ1は、大型化することを抑制しつつ、相手方コネクタ90との嵌合状態を保持することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るコネクタ1は、カム溝34及びバネ部4を備えることにより、大型化を抑制しつつ相手方コネクタ90との嵌合状態を保持することができる。
【0034】
また、本実施形態に係るコネクタ1は、カム溝34に突起部346を形成することにより、正規嵌合領域344からカムフォロア91が移動することを抑制することができる。このため、相手方コネクタ90との嵌合状態をしっかりとロックすることができる。
【0035】
また、本実施形態に係るコネクタ1は、インナハウジング21に対しアウタハウジング22を接続方向Xへ移動可能とすることにより、バネ部4によりアウタハウジング22及びレバー3を相手方コネクタ90と反対側へ付勢することができる。このバネ部4の付勢により、正規嵌合状態においてレバー3をロックすることができる。
【0036】
なお、本発明に係るコネクタは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係るコネクタ1は、以上で説明した各実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0037】
例えば、上述した実施形態に係るコネクタ1は、車両に搭載される場合について説明したが、車両に搭載せずに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:コネクタ
2:ハウジング
3:レバー
4:バネ部(付勢部)
5:端子
21:インナハウジング
22:アウタハウジング
34:カム溝
342A:挿入入口位置
343:半嵌合領域
344:正規嵌合領域
346:突起部
347:内側面
90:相手方コネクタ
91:カムフォロア
C:回動中心位置
P1:入口位置
P2:境界位置
P3:嵌合終了位置
R:回動方向
X:接続方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9