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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158746
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】電子ペン及び電子機器システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G06F3/03 400D
G06F3/03 400A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074242
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 雄貴
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上する。
【解決手段】電子ペン3は、電子ペン3のペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルL1と、所定の静電容量を有する第1コンデンサCと、圧力に対応してコンデンサの容量が変化する第2コンデンサCSW1と、静電容量が異なる複数の第3コンデンサC,C,Cと、複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、複数の第3コンデンサC,C,Cのうち、1つの第3コンデンサC,C,Cに接続するスイッチSW2と、を備え、スイッチSW2が第3コンデンサC,C,Cに接続すると、コイルL1と、第1コンデンサCと、第2コンデンサCSW1と、第3コンデンサC,C,Cと、が並列に接続し、共振回路の共振周波数の変化に基づいて、ペン先に印加された圧力を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボタンと、共振回路と、を備える電磁誘導方式の電子ペンであって、
前記共振回路は、
前記電子ペンのペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルと、
所定の静電容量を有する第1コンデンサと、
前記圧力に対応してコンデンサの容量が変化する第2コンデンサと、
静電容量が異なる複数の第3コンデンサと、
前記複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサに接続するスイッチと、を備え、
前記スイッチが前記第3コンデンサに接続すると、前記コイルと、前記第1コンデンサと、前記第2コンデンサと、前記第3コンデンサと、が並列に接続し、
前記共振回路の共振周波数の変化に基づいて、前記ペン先に印加された圧力を出力する、電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンと、ディスプレイを有する電子機器と、を含む電子機器システムであって、
前記電子ペンが出力する前記圧力に基づいて、前記ディスプレイにおける前記電子ペンの筆圧情報を取得するペン検出部と、
前記ペン検出部が取得した前記筆圧情報に対応した、前記電子ペンに設定された入力情報を前記ディスプレイに出力する表示制御部と、
を備える電子機器システム。
【請求項3】
前記筆圧情報は、前記第2コンデンサの容量値と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサの容量値と、を加算した加算容量値である、
請求項2に記載の電子機器システム。
【請求項4】
前記入力情報は、少なくとも前記電子ペンに設定された色情報を含む、
請求項2に記載の電子機器システム。
【請求項5】
前記色情報は、前記電子ペンに割り当てた色設定に対応する基準周波数と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサと、の組み合わせで決定される、
請求項4に記載の電子機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子ペン及び電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、電子ペーパー、パーソナルコンピュータ等の電子機器においては、タッチパネルの表面に指で触れる指タッチを検出し、入力操作を実現するタッチ入力機能が搭載される場合がある。また、これらの電子機器は、タッチ機能に加えて、ペン型の入力デバイス(以下、電子ペンと記載する。)を用いて手書き文字の入力操作を実現するペン入力機能が搭載される場合もある。
【0003】
ペン入力の一例として、EMR(Electro-Magnetic.Resonance:電磁誘導授受)(登録商標)方式を用いた入力方式がある。EMR(登録商標)方式は、電磁誘導を用いて電子ペンと端末間とで基準周波数でやり取りを行う方式である。電子ペン側には、プロセッサやバッテリ等の搭載が不要であり、簡易な回路構成で実現可能であるため、多くの電子端末で採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-026553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EMR(登録商標)方式において、1つの基準周波数に割り当てられる色は1色であり、電子ペンに搭載する基準周波数に応じて、色を切り換えることができる。しかしながら、例えば、色を多用する用途であるイラストレーションにおいては、必ずしも操作性が良いとは言えず、ペン入力機能における色変更についてはユーザの利便性の観点から改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題の一つは、上記に鑑みてなされたものであって、ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子ペンは、複数のボタンと、共振回路を備える電磁誘導方式の電子ペンであって、前記共振回路は、前記電子ペンのペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルと、所定の静電容量を有する第1コンデンサと、前記圧力に対応してコンデンサの容量が変化する第2コンデンサと、静電容量が異なる複数の第3コンデンサと、前記複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサに接続するスイッチと、を備え、前記スイッチが前記第3コンデンサに接続すると、前記コイルと、前記第1コンデンサと、前記第2コンデンサと、前記第3コンデンサと、が並列に接続し、前記共振回路の共振周波数の変化に基づいて、前記ペン先に印加された圧力を出力する、電子ペンである。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器システムは、電子ペンと、ディスプレイを有する電子機器と、を含む電子機器システムであって、前記電子ペンが出力する前記圧力に基づいて、前記ディスプレイにおける前記電子ペンの筆圧情報を取得するペン検出部と、前記ペン検出部が取得した前記筆圧情報に対応した、前記電子ペンに設定された入力情報を前記ディスプレイに出力する表示制御部と、を備える電子機器システムである。
【0009】
また、前記筆圧情報は、前記第2コンデンサの容量値と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサの容量値と、を加算した加算容量値であっても良い。さらに、入力情報は、少なくとも前記電子ペンに設定された色情報を含んでも良い。また、前記色情報は、前記電子ペンに割り当てた色設定に対応する基準周波数と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサと、の組み合わせで決定されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る電子機器システムの外観の一例を示す図である。
図2図2は、図1の表示装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1の電子ペンの共振回路の一例を示す図である。
図4図4は、図1の電子ペンの設定一例を示す図である。
図5図5は、変形例1に係る電子ペンに設定する多色の一例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに、当該構成によってもたらされる作用、結果及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される他の構成によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0013】
図1は、実施形態に係る電子機器システム5の外観の一例を示す図である。電子機器システム5は、図1に示すように、表示装置1及び電子ペン3を含む。
【0014】
表示装置1は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話、電子ペーパー、PC(Personal Computer)等の電子機器である。表示装置1は、電子機器の一例である。図1は、表示装置1は、ペン入力機能を搭載する電子機器の一例として、携帯型のタブレット端末を例示する。
【0015】
表示装置1は、ディスプレイ12及びEMR(Electro-Magnetic.Resonance:電磁誘導授受)(登録商標)センサ14を有する。表示装置1は、電子ペン3のペン先のディスプレイ12の表示面121上での移動をEMRセンサ14により検出することにより、コンテンツに対する手書きでの情報の入力等が可能に構成されている。
【0016】
表示装置1の筐体110の側面等には、図示を省略した電源スイッチや音量調整等の各種機能を実現するスイッチ類や音声データを出力するスピーカ等が配置されている。また、筐体110の表示面121側の一部や表示面121の裏面側(筐体110の裏面側、図1ではZ-側)の一部等には、カメラが配置されていてもよい。カメラは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。
【0017】
なお、表示装置1は、静電容量方式のタッチパネルをさらに有していてもよい。つまり、表示装置1は、電子ペン3に加えて、ユーザの指先等の生体や静電容量方式のペン型入力デバイス(例えばタッチペン)をタッチパネル上で移動させることにより、コンテンツに対する手書きでの情報の入力等が可能に構成されていてもよい。当該タッチパネルは、例えばディスプレイ12の表示面121上(図1ではZ+側)に設けられる。
【0018】
ディスプレイ12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OLED(Organic Light Emitting Diode)等である。ディスプレイ12の表示面121は、例えば、表示装置1の薄い矩形形状の筐体110の一面側(図1ではZ+側)の略全面に亘って設けられる。
【0019】
EMRセンサ14は、例えば、垂直/水平(図1ではX方向/Y方向)交互の格子状に配置された複数のループコイル141を有する。複数のループコイル141は、例えばディスプレイ12の裏面側(図1ではZ方向の-側)に表示面121に沿って配置される。EMRセンサ14は、複数のループコイル141のそれぞれから微弱な電磁信号を発することにより、ディスプレイ12を介して、ディスプレイ12の表示面121上の空間に磁界を発生する。
【0020】
一例として、EMRセンサ14は、表示面121又は表示面121上のガラス板からZ+側に5mm程度の範囲に磁界を発生する。また、EMRセンサ14は、複数のループコイル141のそれぞれにより磁束密度(電磁波強度)又はその変化を検出し、検出した磁束密度(電磁波強度)又はその変化に応じた検出信号を出力する。
【0021】
電子ペン3は、複数のボタンを有する電磁誘導方式の電子ペンである。複数のボタンは、1つの基準周波数に対して、複数の色のそれぞれに対応するボタンを割り当てる。電子ペン3は、EMR(登録商標)方式のペン型入力デバイスである。電子ペン3は、共振回路31、第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34を有する。共振回路31は、電子ペン3の先端部側に設けられる。共振回路31は、図示を省略したコイル及びコンデンサを有する。電子ペン3は、EMRセンサ14により発生された磁界を受けて共振回路31が共振することにより磁界を発生する。
【0022】
第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34は、ユーザ操作を受け付ける。電子ペン3は、ユーザにより第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34が押下されたことに応じて共振回路31により磁界を発生する周波数を変更可能である。第1ボタン32は、例えば、電子ペン3のペン先の一端に位置する。第2ボタン33は、例えば、電子ペン3の筐体110の側部に位置する。第3ボタン34は、例えば、電子ペン3のペン先の一端に対して、対向する他端に位置する。
【0023】
第1ボタン32は、電子インクの赤色に対応するボタンである。第2ボタン33は、電子インクの緑色に対応するボタンである。第3ボタン34は、電子インクの青色に対応するボタンである。以下、第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34を総称して、色変更ボタンとも言う。なお、第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34に対応する、電子インクの色はこれに限定されない。
【0024】
図2は、図1の表示装置1の構成の一例を示す図である。表示装置1は、一般的なPCと同様のハードウェア構成を有している。表示装置1は、図2に示すように、処理回路11、メモリ15及びスピーカ16をさらに有する。また、表示装置1は、図示を省略した通信インタフェースや入出力インタフェース等をさらに有する。
【0025】
処理回路11は、表示装置1の全体を制御するように構成された回路である。一例として、処理回路11は、内部メモリやメモリ15に格納されている情報処理プログラムをロードして実行することにより、表示制御部111及びペン検出部112を含む表示装置1の各機能を実現する。一例として、処理回路11は、表示制御部111及びペン検出部112を含む表示装置1の各機能を実現可能に構成された少なくとも1つの専用回路であってもよい。
【0026】
表示制御部111は、ディスプレイ12による表示を制御する。例えば、表示制御部111は、後述するペン検出部112が取得した筆圧情報に対応した、電子ペン3に設定された入力情報をディスプレイ12に出力する。入力情報は、少なくとも電子ペン3に設定される色情報を含む。
【0027】
一例として、表示制御部111は、電子ペン3における色変更メニュー用の表示面121(図4参照)をディスプレイ12により表示する。表示制御部111は、後述するペン検出部112が取得した筆圧情報に対応した、電子ペン3に設定された色を出力する。筆圧情報及び電子ペン3に設定される色については後述する。
【0028】
ペン検出部112は、ディスプレイ12の表示面121又はその近傍における、電子ペン3の位置又は位置の変化を検出する。一例として、ペン検出部112は、表示面121に対する位置指示体の接近状況を静電容量の変化として捉え、静電容量分布を座標情報に変換して位置指示体の位置を検出する。
【0029】
また、ペン検出部112は、位置指示体が表示面121に接近した場合の静電容量の分布態様に基づき、共振回路31の発生器によって静電気を発生している入力機器としての電子ペン3であるかを識別することができる。さらに、ペン検出部112は、検出されたペン先位置を用いて、電子ペン3による筆記用途のペン入力及びタップ操作のペン入力に応じた制御を行う。
【0030】
また、ペン検出部112は、ユーザが操作する電子ペン3の筆圧情報を取得する。具体的には、ペン検出部112は、電子ペン3が出力する圧力に基づく、EMRセンサ14の出力に応じて、表示装置1におけるユーザが操作する電子ペン3の筆圧情報を取得する。
【0031】
なお、処理回路11としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)、Mux(Multiplex)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の各種のプロセッサが適宜利用可能である。また、処理回路11は、2種類以上の回路要素の組み合わせであってもよい。
【0032】
なお、上記の各種プログラムは、必ずしもメモリ15に記録されている必要はない。例えば、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを、表示装置1が読み出して実行するようにしてもよい。表示装置1が読み取り可能な記録媒体は、例えば、CD-ROMやDVDディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリやSSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリ(半導体メモリ)、HDD(Hard Disc Drive)等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置に各種のプログラムを記憶させておき、表示装置1がこれらから各種のプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0033】
メモリ15は、処理回路11が実行する各プログラムや各プログラムのパラメータを記憶する。また、メモリ15は、処理回路11が演算処理を実行する際に処理中のデータを一時的に記憶する。メモリ15は、例えば、電子ペン3の設定に対応するペン設定パネル及び電子ペン3の色変更ボタンに対応する色設定情報を保持する。
【0034】
なお、メモリ15としては、ROM(Read Only Memory)やHDD、SSD等の各種のメモリが適宜利用可能である。また、メモリ15としては、不揮発性メモリに加えて、ワーキングメモリとして利用されるRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリがさらに利用され得る。また、メモリ15は、2種類以上の回路要素の組み合わせであってもよい。
【0035】
スピーカ16は、処理回路11の制御に従い音声等の音を出力する。
【0036】
次に、実施形態に係る電子ペン3の動作原理について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係る電子ペン3の共振回路31の一例を示す図である。図3には、共振回路31は、コイルL1、コンデンサC、コンデンサCSW1、コンデンサC、コンデンサC、コンデンサC及びスイッチSW2を備える。
【0037】
コイルL1は、EMRセンサ14のアンテナコイルと電磁波を授受するコイルである。コイルL1は、電子ペン3のペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルである。コンデンサCは、コイルL1と共振回路31を構成するためのコンデンサであり、所定の静電容量を有する。コンデンサCは、第1コンデンサの一例である。コンデンサCSW1は、電子ペン3に印加された圧力に対応してコンデンサの容量が変化する可変コンデンサである。コンデンサCSW1は、第2コンデンサの一例である。
【0038】
コンデンサC、コンデンサC及びコンデンサCは、スイッチSW2によって共振周波数を変えるための固定コンデンサである。コンデンサC、コンデンサC及びコンデンサCは、静電容量が異なる複数の第3コンデンサの一例である。コンデンサCは、例えば、筆圧レベルを512となるようにコンデンサの容量を設定する。また、コンデンサCは、例えば、筆圧レベルを1536となるようにコンデンサの容量を設定する。さらに、コンデンサCは、筆圧レベルを2560となるようにコンデンサの容量を設定する。
【0039】
なお、本実施形態では、コンデンサCに対応するボタンを第1ボタン32とする。また、コンデンサCに対応するボタンを第2ボタン33とする。さらに、コンデンサCに対応するボタンを第3ボタン34とする。
【0040】
スイッチSW2は、複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、複数の固定コンデンサのうち、1つの固定コンデンサに接続する。具体的には、スイッチSW2は、電子ペン3が備える第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34を切り換え、第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34に対応する固定コンデンサに接続する。
【0041】
例えば、スイッチSW2は、ユーザの操作により、第1ボタン32を押下された場合、コンデンサCに接続する。また、スイッチSW2は、ユーザの操作により、第2ボタン33を押下された場合、コンデンサCに接続する。さらに、スイッチSW2は、ユーザの操作により、第3ボタン34を押下された場合、コンデンサCに接続する。
【0042】
共振回路31は、ユーザにより第1ボタン32を押下された場合、例えば、コンデンサCSW1とコンデンサCを加算した筆圧情報を512から1024の間になるように段階を設定する。この場合、コンデンサCSW1は、筆圧レベルを0から512の間で可変するようにコンデンサの容量を設定する。
【0043】
また、共振回路31は、ユーザにより第2ボタン33を押下された場合、例えば、コンデンサCSW1とコンデンサCを加算した筆圧情報を1536から2048の間になるように段階を設定する。この場合、コンデンサCSW1は、筆圧レベルを0から512の間で可変するようにコンデンサの容量を設定する。
【0044】
さらに、共振回路31は、ユーザにより第3ボタン34を押下された場合、例えば、コンデンサCSW1とコンデンサCを加算した筆圧情報を2560から3584の間になるように段階を設定する。本実施形態の電子ペン3は、スイッチSW2が固定コンデンサに接続すると、コイルL1と、コンデンサCと、コンデンサCSW1と、固定コンデンサと、が並列に接続し、共振回路31の共振周波数の変化に基づいて、ペン先に印加された圧力を出力する。なお、共振回路31が設定する筆圧レベルはこれに限定されない。この場合、コンデンサCSW1は、筆圧レベルを0から1024の間で可変するようにコンデンサの容量を設定する。
【0045】
続いて、本実施形態の電子ペン3を表示装置1で使用する形態について、図4を用いて説明する。図4は、表示装置1が表示面121に出力する電子ペン3の設定の一例を示す図である。図4には、表示装置1で設定するツールバー41、電子ペン3の設定に対応するペン設定パネル42及び電子ペン3の色変更ボタンに対応する色設定情報43を示す。また、色設定情報43は、色変更ボタンに対応する色を合わせて示す。
【0046】
例えば、ユーザは、本実施形態の電子ペン3が備える多色機能を使用する際に、色設定情報43を選択する。表示装置1は、ユーザの操作により色設定情報43が選択されると、電子ペン3が備える多色機能を使用できる状態にする。
【0047】
例えば、表示装置1は、ユーザが選択した色として、電子インクが「赤」の場合、筆圧情報が640から1024の時に赤で筆記させるように設定する。また、例えば、表示装置1は、ユーザが選択した色として、電子インクが「緑」の場合、筆圧情報が1664から2048の時に緑で筆記させるように設定する。さらに、例えば、表示装置1は、ユーザが選択した色として、電子インクが「青」の場合、筆圧情報が2668から3584の時に緑で筆記させるように設定する。
【0048】
ここで、電子ペン3が設定する筆圧情報と、表示装置1が設定する筆圧情報とは、異なるレベルを設定している。これは、電子ペン3と表示装置1都が設定する筆圧情報を同じにした場合、例えば、表示装置1の表示面121に電子ペン3を触れることなく近づけた場合、表示装置1のEMRセンサ14が反応し、固定コンデンサである、コンデンサC、コンデンサC及びコンデンサCを検出してしまう場合がある。このような誤検出を抑制するために、電子ペン3が設定する筆圧情報と、表示装置1が設定する筆圧情報とは、異なるレベルを設定している。
【0049】
以上説明したように、本発明の一態様に係る電子ペン3は、複数のボタンと、共振回路31と、を備える電磁誘導方式の電子ペン3であって、電子ペン3のペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルL1と、所定の静電容量を有するコンデンサCと、圧力に対応してコンデンサの容量が変化するコンデンサCSW1と、複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、複数の固定コンデンサのうち、1つの固定コンデンサに接続するスイッチSW2と、を備え、スイッチSW2が固定コンデンサに接続すると、コイルL1と、コンデンサCと、コンデンサCSW1と、固定コンデンサと、が並列に接続し、共振回路31の共振周波数の変化に基づいて、ペン先に印加された圧力を出力する。
【0050】
これにより、本実施形態によれば、複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、複数の固定コンデンサのうち、1つの固定コンデンサに接続することで、例えば、ユーザは、多色ペンのように、電子ペン3を使用することができる。そのため、電子ペン3は、ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【0051】
また、本発明の一態様に係る電子機器システム5は電子ペン3と、ディスプレイ12を有する電子機器と、を含む電子機器システム5であって、電子ペン3が出力する圧力に基づいて、ディスプレイ12における電子ペン3の筆圧情報を取得し、取得した筆圧情報に対応した、電子ペン3に設定された入力情報をディスプレイ12に出力する。
【0052】
これにより、本実施形態によれば、ユーザは、電子ペン3に設定された入力情報を確認することで、電子ペン3の入力方法を切り換えることができる。
【0053】
また、筆圧情報は、コンデンサCSW1(可変コンデンサ)の容量値と、スイッチング回路に接続された固定コンデンサの容量値と、を加算した加算容量値である。これにより、本実施形態によれば、電子ペン3の筆圧情報を複数設定することができる。
【0054】
さらに、入力情報は、少なくとも電子ペン3に設定された色情報を含む。これにより、ユーザは、電子ペン3に設定したい色を設定することができる。
【0055】
上述した実施形態では、電子ペン3は、多色機能の一例として、1つの基準周波数に対して、電子ペン3が備える第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34について、それぞれ1色ずつ設定し、電子ペン3が備える色として、3色の場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子ペン3が有する色として、3色以上設定する形態について、図5を用いて説明する。
【0056】
(変形例1)
図5は、変形例1に係る電子ペン3に対して設定する多色の一例を示すテーブルである。変形例1に係る基準周波数は複数存在する。図5に示したように設定された電子ペン3は、例えば、それぞれ、第1ボタン32に対して、基準周波数F1を割り当て、第2ボタン33に対して、基準周波数F2を割り当て、第3ボタン34に対して、基準周波数F3を割り当てる。
【0057】
また、電子ペン3は、電子ペン3に接続する固定コンデンサとして、固定コンデンサC11、固定コンデンサC12、固定コンデンサC13の3種類を接続させる。図5に示したように設定された電子ペン3は、例えば、第1ボタン32に対して、固定コンデンサC11、第2ボタン33に対して、固定コンデンサC12、第3ボタン34に対して、固定コンデンサC13をそれぞれ割り当てる。固定コンデンサは、上述した実施形態と同様に、第3コンデンサの一例である。
【0058】
ユーザは、図5に示す「赤」を電子ペン3に割り当てたい場合、電子ペン3に対して、使用する基準周波数F1及び接続する固定コンデンサC12とする必要がある。この場合、例えば、ユーザは、使用する基準周波数F1を設定するために、電子ペン3の第1ボタン32を表示面121に当てて押下し、その後、電子ペン3の第2ボタン33をユーザの指により押下することで、電子ペン3に対して、基準周波数F1及び接続する固定コンデンサC12を設定し、その結果、赤色を設定することができる。
【0059】
さらに、ユーザは、上述した方法で、基準周波数及び接続する固定コンデンサを割り当てることで、例えば、電子ペン3は、割り当てる色として、図5に示すように(使用する基準周波数)×(接続する固定コンデンサ)を乗算して、合計9色を割り上げることができる。
【0060】
以上説明したように、変形例に係る色情報は、電子ペン3に割り当てた色設定に対応する基準周波数と、複数の固定コンデンサのうち、1つの固定コンデンサと、の組み合わせで決定される。これにより、電子ペン3に対して、ユーザの好みに応じて、多色を設定することができる。したがって、例えば、ユーザは、多色ペンのように、電子ペン3を使用することができるため、ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【0061】
(変形例2)
上述した変形例1において、電子ペン3は、第1ボタン32に対して、基準周波数F1及び固定コンデンサC11を割り当て、第2ボタン33に対して、基準周波数F2及び固定コンデンサC12を割り当て、第3ボタン34に対して、基準周波数F3及び固定コンデンサC13を割り当てる形態について説明した。つまり、電子ペン3は、1つのボタンに対して、基準周波数及び固定コンデンサを割り当てる形態について説明したが、これに限定されない。
【0062】
例えば、変形例2に係る電子ペン3は、基準周波数に割り当てるボタンとは別に、固定コンデンサを割り当てるボタンを電子ペン3に別途備えても良い。例えば、色が3色の場合、固定コンデンサに割り当てるボタンを、第1ボタン32、第2ボタン33及び第3ボタン34とは別に3つのボタンを電子ペン3に備えてもよい。
【0063】
具体的には、電子ペン3に備える3つのボタンを第4ボタン、第5ボタン及び第6ボタンとした場合、電子ペン3は、第4ボタンに対して、固定コンデンサC11を割り当て、第5ボタンに対して、固定コンデンサC12を割り当て、第6ボタンに対して、固定コンデンサC13を割り当てる。これにより、電子ペン3に対して、ユーザの好みに応じて、多色を設定することができる。
【0064】
なお、本実施形態の表示装置1のプロセッサで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0065】
さらに、本実施形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0066】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ペン入力機能における色変更について、ユーザの入力操作に係る利便性を向上することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、この実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 表示装置
5 電子機器システム
11 処理回路
12 ディスプレイ
14 EMRセンサ
31 共振回路
111 表示制御部
112 ペン検出部
121 表示面
141 複数のループコイル
L1 コイル
SW2 スイッチ
、CSW1、C、C、C コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの基準周波数に対して、複数の色のそれぞれに対応するボタンを割り当てる複数のボタンと、共振回路と、を備える電磁誘導方式の電子ペンであって、
前記共振回路は、
前記電子ペンのペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルと、
所定の静電容量を有する第1コンデンサと、
前記圧力に対応してコンデンサの容量が変化する第2コンデンサと、
静電容量が異なる複数の第3コンデンサと、
前記複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサに接続するスイッチと、を備え、
前記スイッチが前記第3コンデンサに接続すると、前記コイルと、前記第1コンデンサと、前記第2コンデンサと、前記第3コンデンサと、が並列に接続し、
前記共振回路の共振周波数の変化に基づいて、前記ペン先に印加された圧力を出力する、電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンと、ディスプレイを有する電子機器と、を含む電子機器システムであって、
前記電子ペンが出力する前記圧力に基づいて、前記ディスプレイにおける前記電子ペンの筆圧情報を取得するペン検出部と、
前記ペン検出部が取得した前記筆圧情報に対応した、前記電子ペンに設定された入力情報を前記ディスプレイに出力する表示制御部と、
を備える電子機器システム。
【請求項3】
前記筆圧情報は、前記第2コンデンサの容量値と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサの容量値と、を加算した加算容量値である、
請求項2に記載の電子機器システム。
【請求項4】
前記入力情報は、少なくとも前記電子ペンに設定された色情報を含む、
請求項2に記載の電子機器システム。
【請求項5】
前記色情報は、前記電子ペンに割り当てた色設定に対応する基準周波数と、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサと、の組み合わせで決定される、
請求項4に記載の電子機器システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子ペンは、1つの基準周波数に対して、複数の色のそれぞれに対応するボタンを割り当てる複数のボタンと、共振回路を備える電磁誘導方式の電子ペンであって、前記共振回路は、前記電子ペンのペン先に印加された圧力に対応してインダクタンスが変化するコイルと、所定の静電容量を有する第1コンデンサと、前記圧力に対応してコンデンサの容量が変化する第2コンデンサと、静電容量が異なる複数の第3コンデンサと、前記複数のボタンのうち、少なくとも1つのボタンを押下することで、前記複数の第3コンデンサのうち、1つの前記第3コンデンサに接続するスイッチと、を備え、前記スイッチが前記第3コンデンサに接続すると、前記コイルと、前記第1コンデンサと、前記第2コンデンサと、前記第3コンデンサと、が並列に接続し、前記共振回路の共振周波数の変化に基づいて、前記ペン先に印加された圧力を出力する、電子ペンである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
ここで、電子ペン3が設定する筆圧情報と、表示装置1が設定する筆圧情報とは、異なるレベルを設定している。これは、電子ペン3と表示装置1が設定する筆圧情報を同じにした場合、例えば、表示装置1の表示面121に電子ペン3を触れることなく近づけた場合、表示装置1のEMRセンサ14が反応し、固定コンデンサである、コンデンサC、コンデンサC及びコンデンサCを検出してしまう場合がある。このような誤検出を抑制するために、電子ペン3が設定する筆圧情報と、表示装置1が設定する筆圧情報とは、異なるレベルを設定している。