(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158754
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】オーバーヘッドコンソール
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074256
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 将裕
(72)【発明者】
【氏名】塩野 智幸
(72)【発明者】
【氏名】松村 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小原 怜真
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CC16
3D022CD13
3D022CD17
(57)【要約】
【課題】蓋部材を自重により開けたままの状態にしておいても、車室内における乗員の移動に差し支えることなく、さらに物品の出し入れを阻害することがないオーバーヘッドコンソールを提供すること。
【解決手段】オーバーヘッドコンソール6は、開口11が形成されたパネル部材10と、開口11を塞ぐ閉位置と、開口11を開放する開位置との間を回動可能にパネル部材10に支持される蓋部材20を備える。パネル部材10は、蓋部材20に当接可能な弾性部63を備える。弾性部63は、蓋部材20が第1操作荷重による開動作により閉位置から中間位置に到達すると、到達した蓋部材20が弾性部63自身に当接することで蓋部材20の開動作を規制する。その後、開動作が規制された状態の蓋部材20が第1操作荷重より大きな第2操作荷重を受けると、第2操作荷重を受けた蓋部材20からの押当力により弾性部63自身が弾性変形することで開動作の規制を解消する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の天井に配置されるオーバーヘッドコンソールであって、
開口が形成されたパネル部材と、
前記開口を塞ぐように水平状態の閉位置と、前記開口を開放するように鉛直状態の開位置との間を回動可能に前記パネル部材に支持される蓋部材と、を備え、
前記パネル部材は、前記蓋部材に形成された当接部に当接可能な第1弾性部を有する弾性部材を備え、
前記第1弾性部は、前記蓋部材が第1操作荷重による開動作により前記閉位置から前記閉位置と前記開位置の中間位置に到達すると、到達した前記蓋部材の前記当接部が第1弾性部自身に当接することで前記蓋部材の前記開動作を規制し、その後、前記開動作が規制された状態の前記蓋部材が前記第1操作荷重より大きな第2操作荷重を受けると、前記第2操作荷重を受けた前記蓋部材の前記当接部からの押当力により前記第1弾性部自身が弾性変形することで前記開動作の規制を解消するオーバーヘッドコンソール。
【請求項2】
請求項1に記載のオーバーヘッドコンソールであって、
前記弾性部材は、前記第1弾性部から延設され、且つ前記中間位置を超えて前記開動作する前記蓋部材の前記当接部が当接可能な第2弾性部を備え、
前記第2弾性部は、前記中間位置を超えて前記開動作する前記蓋部材を任意の回動位置に保持する反力を前記当接部に付与するオーバーヘッドコンソール。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかに記載のオーバーヘッドコンソールであって、
前記蓋部材は、前記パネル部材に着脱可能に組み付けられた中間部材に回動可能に支持されるオーバーヘッドコンソール。
【請求項4】
請求項3に記載のオーバーヘッドコンソールであって、
前記中間部材は、前記パネル部材に鉛直方向に沿ってクリップを介して着脱可能に組み付けられ、
前記開位置にある前記蓋部材に下方に向けて前記クリップの保持荷重に抗した大荷重を掛けると、前記パネル部材から前記クリップが離脱するオーバーヘッドコンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーバーヘッドコンソールに関し、詳しくは、車室内の天井に配置されるオーバーヘッドコンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の室内である車室内の天井には、オーバーヘッドコンソールが配置されている(特許文献1参照)。オーバーヘッドコンソールは、蓋部材が閉位置(蓋部材の面方向が水平状態)にあるとき、蓋部材のロックを解除すると、蓋部材が自重により回動して開位置(蓋部材の面方向が鉛直状態)に切り替わる。蓋部材の内部は、物品を入れ可能な収納部を備えている。そのため、蓋部材を開閉する(開位置と閉位置に切り替える)ことで、収納部に物品を収納(出し入れ)できる。車両が、例えば、3列シートを有するミニバンタイプの自動車である場合、オーバーヘッドコンソールは、1列目シートの乗員の上方位置だけでなく、2列目シートの乗員の上方位置、3列目シートの乗員の上方位置にも配置されている。そのため、1列目シートの乗員だけでなく、2列目シートの乗員、3列目シートの乗員もそれぞれのオーバーヘッドコンソールに物品を収納できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーヘッドコンソールから物品を取り出す場合、自重により開けた蓋部材を開けたままの状態にしておくことがある。その場合、例えば、3列目シートの乗員の乗降の際、2列目シートと3列目シートの間の車室内で乗員の移動を要すると、開けたままの状態にある蓋部材に対して車室内を移動する乗員が干渉する恐れがあった。したがって、車室内における乗員の移動に差し支える恐れがあった。そこで、オーバーヘッドコンソールの蓋部材を自重により開けたままの状態にしておいても、車室内における乗員の移動に差し支えることなく、さらに物品の出し入れを阻害することがないオーバーヘッドコンソールを提供することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、車室内の天井に配置されるオーバーヘッドコンソールは、開口が形成されたパネル部材と、開口を塞ぐように水平状態の閉位置と、開口を開放するように鉛直状態の開位置との間を回動可能にパネル部材に支持される蓋部材を備える。パネル部材は、蓋部材に形成された当接部に当接可能な第1弾性部を有する弾性部材を備える。第1弾性部は、蓋部材が第1操作荷重による開動作により閉位置から閉位置と前記開位置の中間位置に到達すると、到達した蓋部材の当接部が第1弾性部自身に当接することで蓋部材の開動作を規制する。その後、開動作が規制された状態の蓋部材が第1操作荷重より大きな第2操作荷重を受けると、第2操作荷重を受けた蓋部材の当接部からの押当力により第1弾性部自身が変形することで開動作の規制を解消する。
【0006】
そのため、蓋部材を閉位置から自重により開動作すると、開動作した蓋部材が中間位置で一旦停止する。この蓋部材が中間位置で一旦停止した状態では、蓋部材は斜め下を向くため下方に張り出すことがない。したがって、車室内における乗員の移動に差し支えることがない。また、この蓋部材が中間位置で一旦停止した状態において、パネル部材の開口は開放された状態である。そのため、蓋部材の内部に物品を出し入れできる。また、この一旦停止した状態から、蓋部材を開位置に切り替えることもできる。この開位置では、蓋部材は下方を向くため、パネル部材の開口は十分に開放された状態である。そのため、蓋部材の内部に大きな物品を出し入れできる。したがって、必要に応じて開口を十分に開放できるため、物品の出し入れを阻害することもない。
【0007】
本開示の他の特徴によると、弾性部材は、第1弾性部から延設され、且つ中間位置を超えて開動作する蓋部材の当接部が当接可能な第2弾性部を備える。第2弾性部は、中間位置を超えて開動作する蓋部材を任意の回動位置に保持する反力を当接部に付与する。
【0008】
そのため、中間位置と開位置の間で、蓋部材が中間部材に対してフリーストップ状態となる。したがって、パネル部材に対して蓋部材を任意の回動位置に保持できる。
【0009】
また、本開示の他の特徴によると、蓋部材は、パネル部材に着脱可能に組み付けられた中間部材に回動可能に支持される。
【0010】
そのため、蓋部材が直にパネル部材に組み付くことなく、中間部材に組み付いている。したがって、パネル部材から中間部材を取り外すことで、パネル部材から蓋部材を簡便に取り外すことができる。
【0011】
また、本開示の他の特徴によると、中間部材は、パネル部材に鉛直方向に沿ってクリップを介して着脱可能に組み付けられる。開位置にある蓋部材に下方に向けてクリップの保持荷重に抗した大荷重を掛けると、パネル部材からクリップが離脱する。
【0012】
そのため、側面視において、開位置にある蓋部材に掛ける大荷重の延長線上にクリップが位置するため、蓋部材に掛ける大荷重を効率よくクリップに伝達できる。したがって、パネル部材から簡便にクリップを離脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図1のオーバーヘッドコンソール装置を下から見た斜視図である。
【
図5】
図4のV-V線断面図であり、蓋部材の開動作の説明図である。
【
図9】
図4のIX-IX線断面図であり、蓋部材の脱落動作の説明図であり、蓋部材が開位置に切り替わった状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態を、
図1~10を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上下、前後、左右は、各図に記した向き、すなわち、車両の上下、前後、左右の向きのことである。以下の説明にあたって、車両の例として、3列シートを有するミニバンタイプの自動車1を説明する。
【0015】
図1に示すように、オーバーヘッドコンソール装置5は、自動車1の室内である車室1a内の天井1bに左右方向の中央に配置される。自動車1は、1列目シート2と、2列目シート3と、3列目シート4を備える。オーバーヘッドコンソール装置5は、2列目シート3の乗員3aの上方位置に2列目オーバーヘッドコンソール6と、3列目シート4の乗員4aの上方位置に3列目オーバーヘッドコンソール7を備える。これら2列目オーバーヘッドコンソール6と3列目オーバーヘッドコンソール7は、同一の構成である。そのため、2列目オーバーヘッドコンソール6を説明することで3列目オーバーヘッドコンソール7の説明を省略する。
【0016】
図2~3に示すように、2列目オーバーヘッドコンソール6は、パネル部材10と、蓋部材20と、中間部材50を備える。以下に、これらパネル部材10と、蓋部材20と、中間部材50を個別に説明する。
【0017】
はじめに、パネル部材10を説明する。
図2に示すように、パネル部材10は、前後方向が長手方向を成す矩形のパネル状に形成されている。パネル部材10は、2列目シート3の乗員3aの上方位置に矩形の開口11を備える。矩形の開口11の後縁は、後述するロック部材80を配置させる凹部12を備える。
【0018】
図3に示すように、ロック部材80は、パネル部材10の凹部12に配置されるロック部材本体81と、ロック部材本体81に対して上方に押し込み操作可能なノブ82と、ノブ82の押し込み操作にともなって退行する挿込片83を備える。挿込片83は、内部ばね(図示しない)による付勢力によりロック部材本体81から進出した状態となっている。パネル部材10は、上下方向において開口11と対向し、且つ後述する蓋部材20の収納部31を収納する収納スペース17が確保されるように上側に向けて膨らむ膨らみ部13を備える。
【0019】
図9に示すように、膨らみ部13の前部は、後述するクリップ71を挿し込むための挿込孔15を有する挿込座14を備える。
図4に示すように、挿込孔15は、挿込座14の幅方向(左右方向)に沿って3箇所形成されている。
図2に示すように、パネル部材10の上面は、上側に向けて突出する複数の係合爪16を備える。複数の係合爪16は、自動車1の天井1bに形成された複数の係合孔(図示しない)にそれぞれ係合可能である。パネル部材10は、このように構成されている。
【0020】
次に、蓋部材20を説明する。
図3に示すように、蓋部材20は、その基材となり開口11を塞ぎ可能なインナパネル30と、その意匠材となるアウタパネル40を備える。インナパネル30の外面と、アウタパネル40の内面は、溶着、接着等で接合されている。インナパネル30の内面の先端部は、物品(図示しない)を収納可能な収納部31を備える。収納部31は、ロック部材80の挿込片83を挿し込み可能な挿込孔32を備える。
【0021】
図3に示すように、インナパネル30の基端部35(前部)は、幅方向(左右方向)の外側から内側に向けて形成された左右一対のビス穴33を備える。基端部35が、特許請求の範囲に記載の当接部に相当する。ビス穴33は、後述する段付きビス70を螺合可能に形成されている。また、インナパネル30の基端部35は、扇状に形成された左右一対の固定ギヤ34を備える。
図5に示すように、基端部35の先端の縁は、後述する板ばね60に対応する位置に凹部36を備える。
図3に示すように、収納部31の後部は、ロック部材80の挿込片83に対応するように下り傾斜する傾斜片37を備える。蓋部材20は、このように構成されている。
【0022】
最後に、中間部材50を説明する。
図3に示すように、中間部材50の左右の側部は、円形の開口を有する左右一対のダンパ取付部51を備える。左右一対のダンパ取付部51には、ロータリーダンパ52がそれぞれ取り付けられる。ロータリーダンパ52は、公知のものであって、ダンパ取付部51に取り付けられるダンパ本体53と、ダンパ本体53に対して左右方向を軸方向とする軸回りに回動可能な回転ギヤ54を備える。ダンパ本体53と回転ギヤ54の間には、シリコン等の潤滑材が介装されている。そのため、ダンパ本体53に対して回転ギヤ54が所定の摺動抵抗を有した状態で回動する。この記載を、後述するダンパ機能とする。
【0023】
図3に示すように、中間部材50の左右の側部は、円形の開口を有する左右一対の挿込孔55を備える。挿込孔55は、段付きビス70を挿し込み可能に形成されている。
図5に示すように、中間部材50の前部は、板ばね60を取り付けるための係合爪57を有するばね取付座56を備える。
図4に示すように、ばね取付座56は、中間部材50の幅方向(左右方向)に沿って2箇所形成されている。
【0024】
図3、5に示すように、弾性部材である板ばね60は、略U字状の取付部61と、取付部61の一端から下方に延出する直線状の第1弾性部63と、第1弾性部63の一端から屈曲部65を介して屈曲して延出する円弧状の第2弾性部64を備える。
図5に示すように、第2弾性部64は、段付きビス70の軸中心から遠ざかる方向に円弧を描くように湾曲している。
【0025】
図5に示すように、取付部61は、ばね取付座56の係合爪57を係合可能な係合孔62を備える。板ばね60は、取付部61からの反力が中間部材50のばね取付座56に作用するようにばね取付座56に弾性装着されている。その際、取付部61の係合孔62にばね取付座56の係合爪57が係合する。そのため、装着した板ばね60がばね取付座56から脱落することを抑制できる。
【0026】
図9に示すように、中間部材50の前部は、クリップ71を装着するためのリブ59を有するクリップ取付座58を備える。クリップ取付座58は、中間部材50の幅方向(左右方向)に沿って3箇所形成されている。クリップ取付座58のリブ59には、クリップ71がそれぞれ装着されている。中間部材50は、このように構成されている。
【0027】
次に、上述したパネル部材10と、蓋部材20と、中間部材50から成る2列目オーバーヘッドコンソール6の組み立ての手順の一例を説明する。
図3に示すように、まず、中間部材50の左右の挿込孔55に左右の段付きビス70をそれぞれ挿し込んだ状態で、このそれぞれ挿し込んだ左右の段付きビス70を蓋部材20の左右のビス穴33にそれぞれ螺合させる作業を行う。これにより、中間部材50に段付きビス70の軸回りに回動可能に蓋部材20が組み付けられる(支持される)。そのため、中間部材50に段付きビス70の軸回りに蓋部材20を回動させることができる。
【0028】
このとき、中間部材50の左右のロータリーダンパ52の各回転ギヤ54に蓋部材20の左右の固定ギヤ34がそれぞれ噛み合い状態となる。そのため、ロータリーダンパ52のダンパ機能により、蓋部材20の急な回動を抑制できる。次に、
図9に示すように、蓋部材20を組み付けた中間部材50の各クリップ71をパネル部材10の挿込座14の各挿込孔15にそれぞれ挿し込んで装着する作業を行う。この挿し込んで装着する方向は、オーバーヘッドコンソール装置5を自動車1の天井1bに配置した状態において、鉛直方向となる。これにより、パネル部材10に蓋部材20が組み付けられる。
【0029】
なお、組み付けられた蓋部材20は、パネル部材10の開口11を塞ぐように面方向が水平状態の閉位置(
図1において、蓋部材20が(1)の状態)と、パネル部材10の開口11を開放するように面方向が鉛直状態の開位置(
図1において、蓋部材20が(2)の状態)との間を回動可能である。そして、この蓋部材20の回動の範囲が、閉位置と開位置の間になるように、この蓋部材20の回動が開閉のストッパ(図示しない)で規制されている。また、蓋部材20が閉位置にあると、ロック部材80の挿込片83が蓋部材20の挿込孔32に挿し込まれた状態となっている。そのため、自重に抗して蓋部材20の閉位置が保持される。2列目オーバーヘッドコンソール6は、このようにして組み立てられる。
【0030】
これら2列目オーバーヘッドコンソール6と説明を省略した3列目オーバーヘッドコンソール7からオーバーヘッドコンソール装置5が組み立てられる。オーバーヘッドコンソール装置5は、パネル部材10の複数の係合爪16が自動車1の車室1aの天井1bに形成された複数の係合孔にそれぞれ係合された状態で天井1bに左右方向の中央に配置される。
【0031】
続いて、2列目オーバーヘッドコンソール6の動作を説明する。この動作の説明として、蓋部材20の開動作と閉動作を個別に説明する。まず、蓋部材20の開動作を説明する。この開動作の説明は、
図2、5に示すように、蓋部材20が閉位置にあるときから説明する。この閉位置では、既に説明したように、蓋部材20の挿込孔32にロック部材80の挿込片83が挿し込まれた状態となっている。そのため、蓋部材20が自重で開くことがなく、蓋部材20の閉位置が保持されている。
【0032】
まず、ロック部材80のノブ82を上方に押し込む作業を行う。すると、ロック部材80の挿込片83が蓋部材20の挿込孔32から退行する。これにより、蓋部材20が蓋部材20の自重に相当する第1操作荷重により段付きビス70の軸回りに開動作する。その際、ロータリーダンパ52のダンパ機能により、蓋部材20の急な開動作を抑制できる。この開動作した蓋部材20が中間位置(閉位置と開位置の間の位置であり、蓋部材20が閉位置から約45°回動した位置)に到達すると、インナパネル30の基端部35が中間部材50の板ばね60の第1弾性部63に当接する(
図6参照)。
【0033】
これにより、これ以上の蓋部材20の開動作が規制される。すなわち、中間位置において、一旦、蓋部材20の開動作が停止する(
図1において、蓋部材20が(3)の状態に切り替わる)。この中間位置において、蓋部材20の基端部35の凹部36に板ばね60の屈曲部65が入り込んだ状態となっている。そのため、蓋部材20の開動作の停止がガタつくことなく安定した状態となっている。この中間位置において、パネル部材10の開口11は開放された状態である。そのため、蓋部材20の収納部31に物品を出し入れ(収納)できる。
【0034】
蓋部材20が中間位置に到達した状態(
図1において、蓋部材20が(3)の状態)から、乗員3aが蓋部材20を手で開け操作する、すなわち、蓋部材20が自重より大きな第2操作荷重を乗員3aの手から受ける。すると、
図7に示すように、開け操作を受けた蓋部材20の基端部35からの押当力により板ばね60の第1弾性部63が弾性変形し、この弾性変形した第1弾性部63を基端部35が乗り越える。
【0035】
これにより、蓋部材20の開動作の規制が解消する。そのため、引き続き、乗員3aが蓋部材20を手で開けることができる。やがて、
図8に示すように、蓋部材20が開位置(
図1において、蓋部材20が(2)の状態)に到達すると、開ストッパに蓋部材20が当接する。これにより、蓋部材20の開動作が停止して、蓋部材20を開位置に切り替えることができる。この開位置において、パネル部材10の開口11は十分に開放された状態である。そのため、蓋部材20の収納部31に大きな物品を出し入れ(収納)できる。
【0036】
なお、上記の説明において、蓋部材20の基端部35が第1弾性部63を乗り越えると(蓋部材20が中間位置を超えると)、乗り越えた基端部35が第2弾性部64を撓ませる。これにより、第2弾性部64は、中間位置を超えて開動作する蓋部材20を任意の回動位置に保持する反力を基端部35に付与する。そのため、中間位置と開位置の間で、蓋部材20が中間部材50に対してフリーストップ状態となる。したがって、パネル部材10に対して蓋部材20を任意の回動位置に保持できる。
【0037】
次に、蓋部材20の閉動作を説明する。
図8に示す状態から、蓋部材20を戻していき(逆方向に回動させていき)、蓋部材20が約90度回動した状態に到達すると、蓋部材20の傾斜片37がロック部材80の挿込片83に当接する。すると、ロック部材80の挿込片83が内部ばねの付勢力に抗して、一旦、ロック部材本体81の内部に退行する。
【0038】
その後、直ぐに、蓋部材20の傾斜片37がロック部材80の挿込片83を乗り越え、閉ストッパに蓋部材20が当接すると同時に、再度、ロック部材80の挿込片83が進出する。これにより、蓋部材20の閉動作が停止して、蓋部材20を閉位置に切り替える(戻す)ことができる。なお、進出した挿込片83は、蓋部材20の挿込孔32に挿し込まれた状態となる。そのため、蓋部材20が自重で開くことがなく、蓋部材20の閉位置が保持される。
【0039】
また、
図9に示すように、蓋部材20を開位置に切り替えた状態において、蓋部材20に下方に向けてクリップ71の保持荷重に抗した大荷重を掛ける。すると、
図10に示すように、パネル部材10の挿込孔15からクリップ71が離脱する。このようにして、パネル部材10に組み付けてある蓋部材20を取り外すことができる。
【0040】
以上のような2列目オーバーヘッドコンソール6によれば、開口11が形成されたパネル部材10と、開口11を塞ぐように水平状態の閉位置と、開口11を開放するように鉛直状態の開位置との間を回動可能にパネル部材10に支持される蓋部材20を備える。パネル部材10は、蓋部材20に形成された基端部35に当接可能な第1弾性部63を有する弾性部材60を備える。第1弾性部63は、蓋部材20が自重に相当する第1操作荷重による開動作により閉位置から閉位置と開位置の中間位置に到達すると、到達した蓋部材20の基端部35が第1弾性部63自身に当接することで蓋部材20の開動作を規制する。その後、開動作が規制された状態の蓋部材20が第1操作荷重より大きな第2操作荷重を受けると、第2操作荷重を受けた蓋部材20の基端部35からの押当力により第1弾性部63自身が弾性変形することで開動作の規制を解消する。そのため、蓋部材20を閉位置から自重により開動作すると、開動作した蓋部材20が中間位置で一旦停止する。この蓋部材20が中間位置で一旦停止した状態(
図1において、蓋部材20が(3)の状態)では、蓋部材20は下斜め後方を向くため下方に張り出すことがない。したがって、車室1a内における乗員4aの移動に差し支えることがない。また、この蓋部材20が中間位置で一旦停止した状態において、パネル部材10の開口11は開放された状態である。そのため、蓋部材20の収納部31に物品を出し入れできる。また、この一旦停止した状態から、蓋部材20を開位置に切り替えることもできる。この開位置では、蓋部材20は下方を向くため、パネル部材10の開口11は十分に開放された状態である。そのため、蓋部材20の収納部31に大きな物品を出し入れできる。したがって、必要に応じて開口11を十分に開放できるため、物品の出し入れを阻害する(使用性能を失う)こともない。また、蓋部材20が中間位置から開位置まで回動することで、蓋部材20が開いているという意識付けを乗員3a、4aにできる。そのため、乗員3a、4aに対して頭や顔が蓋部材20に干渉する等の危害意識を向上させることもできる。
【0041】
さらに、板ばね60は、第1弾性部63から延設され、且つ中間位置を超えて開動作する蓋部材20の基端部35が当接可能な第2弾性部64を備える。第2弾性部64は、中間位置を超えて開動作する蓋部材20を任意の回動位置に保持する反力を基端部35に付与する。そのため、中間位置と開位置の間で、蓋部材20が中間部材50に対してフリーストップ状態となる。したがって、パネル部材10に対して蓋部材20を任意の回動位置に保持できる。
【0042】
さらに、蓋部材20は、パネル部材10に着脱可能に組み付けられた中間部材50に回動可能に支持される。そのため、蓋部材20が直にパネル部材10に組み付くことなく、中間部材50に組み付いている。したがって、パネル部材10から中間部材50を取り外すことで、パネル部材10から蓋部材20を簡便に取り外すことができる。
【0043】
さらに、中間部材50は、パネル部材10に鉛直方向に沿ってクリップ71を介して着脱可能に組み付けられている。開位置にある蓋部材20に下方に向けてクリップ71の保持荷重に抗した大荷重を掛けると、パネル部材10からクリップ71が離脱する。そのため、
図9に示すように側面視において、開位置にある蓋部材20に掛ける大荷重の延長線上にクリップ71が位置するため、蓋部材20に掛ける大荷重を効率よくクリップ71に伝達できる。したがって、パネル部材10から簡便にクリップ71を離脱できる。
【0044】
以上、実施形態について説明したが、この実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。実施形態では、閉位置にある蓋部材20を自重により開動作する形態を説明した。すなわち、第1操作荷重が蓋部材20の自重である形態を説明した。これに替えて、第1操作荷重が乗員3aの手の開動作による荷重(蓋部材20の自重相当の荷重)でも構わない。
【0045】
また、実施形態では、蓋部材20はパネル部材10に対して中間部材50を介して組み付けられる形態を説明した。これに替えて、蓋部材20はパネル部材10に対して直に組み付けられる形態でも構わない。その場合、中間部材50は不要となる。また、実施形態では、蓋部材20の中間位置として、蓋部材20が閉位置から約45°回動した位置を説明した。この約45°に限ることなく、約30°~約60°の範囲内であれば何度でも構わない。
【0046】
また、実施形態では、車両の例として自動車1を説明した。これに替えて、車両がトラック、バス等でも構わない。また、実施形態では、蓋部材20の基端部35が板ばね60の第1弾性部63に当接する形態を説明した。これに替えて、蓋部材20の何処の部位が板ばね60の第1弾性部63に当接しても構わない。
【符号の説明】
【0047】
1a 車室
1b 天井
6 2列目オーバーヘッドコンソール(オーバーヘッドコンソール)
10 パネル部材
11 開口
20 蓋部材
35 基端部(当接部)
60 板ばね(弾性部材)
63 第1弾性部