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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158758
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】撮像装置、及び撮像方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241031BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20241031BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241031BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N23/55
G03B15/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074264
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】尾川 英明
(72)【発明者】
【氏名】松岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】松本 栄治
(72)【発明者】
【氏名】倉重 規夫
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA10
5C122EA12
5C122FB16
5C122FB17
5C122FC07
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH12
5C122FH15
5C122HA79
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB06
5C122HB09
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】鮮明な画像を得ることができる撮像装置、及び撮像方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る撮像装置は、複数の波長域ごとに分光して撮像された画像データを取得する取得部と、複数の波長域ごとに前記画像データの評価値を算出する評価部と、複数の波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行する較正部と、所定の場合に該当するときに、前記較正波長域を更新する更新部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを取得する取得部と、
複数の波長域ごとの画像データの評価値を算出する評価部と、
複数の波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行する較正部と、
所定の場合に該当するときに、前記較正波長域を更新する更新部と、
を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記更新部は、前記キャリブレーション処理の後に撮像された画像データにおける前記較正波長域の評価値を示す第二評価値について、前記第一評価値と前記第二評価値との比が第一しきい値を超えた場合に、前記キャリブレーション処理を実行して前記較正波長域を更新する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像データに基づいて、画像認識処理を実行して検出されたオブジェクトの動きベクトルの大きさを求める画像処理部と、をさらに備え、
前記更新部は、前記オブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部に基づく動き度合いが第三しきい値より大きい場合、前記キャリブレーション処理を実行して前記較正波長域を更新する、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
画面を所定の領域に分割し、分割された領域ごとに算出された波長域ごとの評価値に基づいて、前記領域ごとに前記評価値が最大となる波長域を較正波長域として選択する分割較正部と、をさらに備え、
前記取得部は、分割された領域ごとに設定された前記較正波長域によって撮像された画像データを取得し、
前記更新部は、前記オブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部に基づく動き度合いが第四しきい値より大きい場合、前記オブジェクトが含まれる領域を前記オブジェクトの動きに応じて移動させて、前記オブジェクトが含まれる領域に対して選択された波長域を、移動後の領域における較正波長域として選択する、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを取得するステップと、
複数の波長域ごとに画像データの評価値を算出するステップと、
撮像可能なすべての波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行するステップと、
所定の場合に該当するときに、前記較正波長域を更新するステップと、
を含む、撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
濁水中での撮影は、濁りの原因となる粒子による光の錯乱や、反射により鮮明な画像を得ることが困難となる。このような環境下では赤外線カメラを用いることが有効とされ、濁水中の撮影を目的とした赤外線カメラも商品化されている。ただし、赤外線カメラを用いればどのような濁水でも鮮明な画像が得られるわけではなかった。このように、水中に存在する物体などを認識可能な状態で撮像することが難しいという問題があった。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、水中粒子による反射の影響を取り除くキャリブレーション処理を容易に実行できる処理装置であって、カメラを備えるキャリブレーション装置を、キャリブレーション装置がカメラの視野に入らない第1状態から、キャリブレーション装置がカメラの視野に入る第2状態へと変位させるように制御し、キャリブレーション装置が第2状態にある時にカメラが撮像した撮像画像に基づいて、キャリブレーション処理を行う処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-124250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の処理装置は、キャリブレーション処理によって水中粒子の影響を除去することができるものの、濁水中で光が透過しやすい波長が水中粒子の大きさに依存して、撮影に適した波長が一つではなく各々異なる場合に、最適な波長を選択することができなかった。
【0006】
本開示は上記課題を鑑み、鮮明な画像を得ることができる撮像装置、及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る撮像装置は、複数の波長域ごとに分光して撮像された画像データを取得する取得部と、複数の波長域ごとに前記画像データの評価値を算出する評価部と、撮像可能なすべての波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行する較正部と、所定の場合に該当するときに、前記較正波長域を更新する更新部と、を備える。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る撮像方法は、複数の波長域ごとに分光して撮像された画像データを取得するステップと、複数の波長域ごとに前記画像データの評価値を算出するステップと、撮像可能なすべての波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行するステップと、所定の場合に該当するときに、前記較正波長域を更新するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、鮮明な画像を得ることができる撮像装置、及び撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示に係る撮像装置の使用場面の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、本開示に係る撮像装置の第一実施形態の構成例を示す図である。
図3図3は、本開示に係る撮像装置の評価値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図4図4は、本開示に係る撮像装置の撮像部の構成例を示す図である。
図5図5は、本開示に係る撮像方法の第一態様のフローを示すフローチャートである。
図6図6は、本開示に係るキャリブレーション処理のフローを示すフローチャートである。
図7図7は、本開示に係る撮像方法の第二態様のフローを示すフローチャートである。
図8図8は、本開示に係る撮像方法の第二態様の処理を説明する図である。
図9図9は、本開示に係る撮像装置の第二実施形態の構成例を示す図である。
図10図10は、本開示に係る撮像装置の更新部の処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0012】
(撮像装置の概要)
まず、本開示に係る撮像装置100の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本開示に係る撮像装置の使用場面の一例を模式的に示す図である。図1に示すように、本開示に係る撮像装置100は、例えば、ユーザUが水中UWに入って、水中UWの様子を撮像する際に用いることができる。図1に示すように、ユーザUは、水中UWの水底BWに所在する岩Rを撮像するために撮像装置100を用いている。このような場合、水中UWに濁りの原因となる粒子が存在すると、粒子により光の散乱や、反射などが発生し、鮮明な画像を得ることが困難であった。
【0013】
なお、光の錯乱、反射に影響を与える粒子の大きさが、撮影に最適な波長の長さに影響を与えることが知られている。具体的には、濁水中で光が透過しやすい撮影に適した波長は、粒子の大きさに依存することが知られている。つまり、濁水といっても撮影に適した波長は一つではなく各々異なる。そのため、撮影に適した波長を設定して、画像を撮像することが求められていた。
【0014】
(撮像装置の構成)
(第一実施形態)
次に、本開示に係る撮像装置100の第一実施形態の構成について、図2を用いて説明する。図2は、本開示に係る撮像装置の第一実施形態の構成例を示す図である。図2に示すように、本開示に係る撮像装置100は、コネクタ部Cと、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、撮像部140と、を備える。
【0015】
コネクタ部Cは、外部の装置を撮像装置100に接続するための接続部(端子)である。コネクタ部Cは、ビデオ信号ラインとコントロール信号ラインを含む。コントロール信号ラインは、例えばUSB(Universal Serial Bus)接続端子などであってよいし、さらに大きな伝送速度が必要な場合はそれに応じた接続端子を選択すればよい。ビデオ信号ラインは、例えばSDI(Serial Digital Interface)であってよい。
【0016】
通信部110は、例えば、撮像装置100が画像処理装置などの外部の装置と通信を行う通信モジュールである。通信部110は、無線通信、又は、有線通信によって外部の装置とデータを通信する。無線通信の場合は、通信アンテナ、RF(Radio Frequency)回路、あるいは、その他の通信処理用回路を備えてよい。有線通信の場合は、例えば、LAN(Local Area Network)端子、伝送回路、その他の通信処理用の回路を備えてよい。
【0017】
記憶部120は、各種の情報を記憶する記憶装置である。記憶部120は、主記憶装置と補助記憶装置とを備える。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のような半導体メモリ素子によって実現されてよい。また、補助記憶装置は、例えばハードディスクやSSD(Solid State Drive)、光ディスク等によって実現されてよい。
【0018】
図2に示すように、記憶部120は、評価値記憶部121と、フレームバッファ部122と、を備える。以下、これらが記憶する情報の一例について説明する。
【0019】
評価値記憶部121は、画像データの評価値に関係する情報を記憶する。図3は、本開示に係る撮像装置の評価値記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【0020】
図3に示す例において、評価値記憶部121は、「フレーム番号」、「波長域」、「評価値」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0021】
「フレーム番号」は、ハイパースペクトルデータのフレーム番号を示す。ここで、ハイパースペクトルデータとは、複数の波長域ごとに分光して撮像された画像データを示し、詳細は後述する。例えば、フレームレートが30fps(frame per second)である場合であれば、1秒間の間に撮像された30枚の画像のうちの最初の一枚目から数えた番号を示す。「波長域」は、ハイパースペクトルデータを構成する分光されて撮像された画像の波長域を示し、例えば、400nmから1000nmまで撮像可能であり、波長分解能が6nmの場合であれば、400nmから406nmなどである。「評価値」は、「フレーム番号」が示す撮像データの「波長域」が示す波長域の画像の評価値(コントラスト)を示す。なお、評価値の計算方法については、後述して説明する。
【0022】
すなわち、図3においては、フレーム番号「F1」における撮像データの波長域「λ1-1」の画像について算出された評価値「V1-1」が記憶されている例が示されている。
【0023】
なお、評価値記憶部121は、「フレーム番号」、「波長域」、「評価値」という項目に係る情報に限定されることなく、その他の任意の評価値に関係する情報が記憶されてよい。
【0024】
フレームバッファ部122は、撮像部140が生成した画像データが一次的に保存される記憶領域である。フレームバッファ部122は、主記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)の一部に専用の領域を確保してもよいし、主記憶装置とは別の専用の記憶装置を使用してもよい。なお、制御部130の取得部131は、撮像部140に撮像させながら、フレームバッファ部122に画像データを順次保存させる。
【0025】
制御部130は、撮像装置100を司り、制御するコントローラである。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部120に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0026】
図2に示すように、制御部130は、取得部131と、評価部132と、較正部133と、更新部134と、を備える。制御部130は、記憶部120からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、これらの機能を実現して、これらの処理を実行する。なお、制御部130は、電子回路によって実現されてもよい。また、制御部130は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。以下、これらの構成について順に説明する。
【0027】
取得部131は、撮像装置100の内部、又は外部から各種の情報を取得する。例えば、取得部131は、複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを取得する。取得部131は、後述して説明する撮像部140によって撮像されたハイパースペクトルデータを取得する。
【0028】
評価部132は、複数の波長域ごとに画像データの評価値を算出する。すなわち、評価部132は、波長域ごとに画像データの評価値を順次算出して、算出された評価値を波長域に対応付けて評価値記憶部121に記憶する。具体的には、評価部132は、評価値として以下の式(1)により算出されるコントラストを算出する。画面内の画素の光強度の最大値をImax、光強度の最小値をIminとすると、コントラストCTRは以下の式(1)により表される。
【0029】
【数1】
【0030】
較正部133は、複数の波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行する。このような較正部133の処理について具体的に説明する。まず、較正部133は、1フレームのハイパースペクトルデータを取得する。この時、内部カウンタiを0にセットする。iは分割された波長域の番号を表し、例えば400nmから1,000nmまで撮影可能で、波長分解能が6nmの場合、分割数は100となる。iは、0から99の値をとり、i=0の時に使用する波長域は400nmから406nmとなる。i=99の時は、994nmから1,000nmの波長域で撮影された画像データとなる。iをインクリメントしながら、全ての帯域の画像の評価値を順次比較する。そして、較正部133は、評価値の最大値である第一評価値と、その時の波長域を較正波長域とする。較正部133は、複数の波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行してもよい。
【0031】
更新部134は、所定の場合に該当するときに、較正波長域を更新する。ここで、所定の場合とは、次に述べるような場合のことを指している。以下に、更新部134が較正波長域を更新する所定の場合について具体的に説明する。
【0032】
更新部134は、キャリブレーション処理の後に撮像された画像データにおける較正波長域の評価値を示す第二評価値について、第一評価値と第二評価値との比が第一しきい値を超えた場合に、キャリブレーション処理を実行して較正波長域を更新する。このような更新部134の処理について具体的に説明する。まず、較正部133によって、キャリブレーション処理が実行され、較正波長域λcと、その評価値Vcが得られているとする。更新部134は、1フレームのハイパースペクトルデータを取得し、その中から較正波長域λcの画像データを抽出する。そして、更新部134は、当該の画像データの評価値Vxを算出し、キャリブレーション処理によって得られた評価値Vcと比較する。そして、更新部134は、差分(Vc-Vx)、又は商(Vc/Vx)が予め設定された第一しきい値を超えたら、環境の変化により現状の波長が最適でなくなったと判断し、再度キャリブレーション処理を行う。なお、差を用いるか商を用いるかは評価に使用するパラメータにより決まり、どちらか一方あるいは両方を用いることもできる。使用するパラメータには1フレームのコントラスト積算値や高域成分の積算値等がある。また、前述した第一しきい値は、任意に設定されてよい。例えば、第一しきい値を設定した後に、取得された画像データを目視にて確認して鮮明さを判定する試行錯誤によって設定してよい。
【0033】
また、更新部134は、キャリブレーション処理の後に撮像された画像データにおける較正波長域の評価値を示す第二評価値について、較正波長域に隣接する波長域の評価値との差が所定のしきい値を超えた場合に、第二評価値を超えた隣接する波長域を較正波長域として設定してもよい。このような更新部134の処理について具体的に説明する。まず、前述した場合と同様に、較正部133によって、キャリブレーション処理が実行され、較正波長域λcと、その評価値Vcが得られているとする。更新部134は、1フレームのハイパースペクトルデータを取得し、その中から較正波長域λcの画像データを抽出する。そして、この画像データの評価値と、隣接する波長域(λxl、λxr)の評価値(Vxl、Vxr)を取得する。ここで、λxlは較正波長域λxに隣接するλxより小さな波長域であり、λxrは較正波長域λxに隣接するλxより大きな波長域である。そして、更新部134は、Vxと、Vxlと、Vxrを比較して、そのうちのいずれが最大値であるかを判定する。Vxが最大値である場合、現在の波長が最適と判断し次フレームの撮影を開始する。Vxlが最大値の場合、Vxl-Vxの値が所定のしきい値を超えた場合に、Vxlが最適な波長と判断し、λxlを新たに較正波長域として選択する。所定のしきい値を超えない場合は次フレームもλxを、較正波長域として選択する。Vxrが最大値の場合、Vxr-Vxの最大値が所定のしきい値を超えた場合に、λxrが最適な波長と判断し、λxrを新たに較正波長域として選択する。所定のしきい値を超えない場合は、次フレームもλxを採用する。なお、上記は評価値の差分にて評価を行ったが、評価値の比にて判定してもよい。また、前述した所定のしきい値は、任意に設定されてよい。例えば、所定のしきい値を設定した後に、取得された画像データを目視にて確認して鮮明さを判定する試行錯誤によって設定してよい。なお、λxl、及びλxrは、較正波長域λxに隣接する波長域でなくても良く、λxから所定の波長域だけ離れた波長域であってもよい。
【0034】
前述したように、更新部134は、所定の場合に該当するときに、較正波長域を更新する。更新部134は、所定の場合に該当するか否かを判断し、較正部133にキャリブレーション処理をさせて、較正波長域を更新してもよい。
【0035】
撮像部140は、複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを生成する。図4は、本開示に係る撮像装置の撮像部の構成例を示す図である。図4に示すように、撮像部140は、対物レンズ141と、光学系142と、撮像素子143と、画像生成部144と、を備える。以下、これらの構成について、順を追って説明する。
【0036】
対物レンズ141は、被写体からの光が入射され、入射された光を光学系142に照射する。対物レンズ141は、フォーカス駆動部によって駆動される。フォーカス駆動部は、例えばアクチュエータであり、対物レンズ141を駆動させる。フォーカス駆動部は、光学系142によって分光された光が撮像素子143の面上で合焦しているかを判断し、撮像素子143の面上で合焦するように対物レンズ141を駆動させる。
【0037】
光学系142は、例えば、スリット部、回折格子、及びレンズを有する。スリット部は、被写体からの光をX軸方向(第一の方向)に延びる線状の光として透過して、回折格子に入射させる。スリット部は、微細な幅を有する開口によって、対物レンズ141を通過した光を絞って、回折格子に絞られた光を照射する。なお、スリット部は、強誘電性液晶によって実現される電子スリットであってよい。これにより、スリット位置の高速な切り替えによる被写体の高速なスキャンが可能となる。
【0038】
回折格子は、スリットを透過した光を複数の波長領域にY方向に分光してレンズに入射させる。回折格子は、例えば多数の溝が平行に等間隔で形成された基板であり、スリット部を通過したX軸方向に平行なラインの光を複数の波長領域に分光する。回折格子には、例えば、透過型回折格子を用いることができる。なお、回折格子には、機械刻線回折格子やホログラフィック回折格子などの反射型回折格子を用いてもよい。
【0039】
撮像素子143は、光学系142を通して入射した光を電気信号である画像信号に変換する素子である。撮像素子143は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどであってよい。
【0040】
画像生成部144は、撮像素子143が生成した画像信号から、1フレーム毎のハイパースペクトルデータ(HSD:HyperSpectral Data)を生成する。ハイパースペクトルデータは、例えば1つのフレームにおけるX方向、及びY方向の各画素に対して光の強度が対応付けられた画像が、分光された波長帯域ごとに層を成したデータである。例えば、400nmから1,000nmまで撮影可能で、波長分解能が6nmの場合、100枚の画像が層を成して連なったデータとなる。画像生成部144は、ソフトウェアとしてプログラムによって実現されてもよいし、ハードウェアとしてデジタル回路によって実現されてもよい。また、ハードウェアとしてFPGAによって実現されてもよい。ハイパースペクトルデータは、撮影可能なすべての波長のデータを含んでもよいし、複数の波長のデータを含んでもよいし、1つの波長のデータを含んでもよい。
【0041】
以上説明した撮像装置100の第一実施形態によれば、波長域ごとに評価値を算出して、評価値が最大値となる波長域を較正波長域として選択し、撮像することができる。このことから、粒子による散乱などの影響がある濁水中などの環境下であっても、最適な波長で撮影することで、鮮明な画像を得ることができる。そのため、ユーザは最適な波長を意識することなく自動的に最適な波長で撮影することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0042】
(撮像方法について)
次に、本開示に係る撮像方法について、図5から図8を用いて説明する。図5は、本開示に係る撮像方法の第一態様のフローを示すフローチャートである。図5に示すように、撮像方法の第一態様は、例えば、ステップS101からステップS106によって構成される。以下、本開示に係る撮像方法の第一態様について、図5に示すフローに沿って説明する。
【0043】
まず、撮像装置100は、キャリブレーション処理を実行する(ステップS101)。なお、ここにおけるキャリブレーション処理は、前述した較正部133が実行するキャリブレーション処理のことを指している。キャリブレーション処理については後述して、さらに詳細に説明する。次に、撮像装置100は、キャリブレーション処理によって選択された使用する波長域(λc)と評価値(Vc)を記憶する(ステップS102)。次に、撮像装置100は、1フレームのハイパースペクトルデータを取り込む(ステップS103)。次に、撮像装置100は、ハイパースペクトルデータから波長域(λc)で構成された画像データを抽出する(ステップS104)。次に、撮像装置100は、波長域(λc)の画像データの評価値(Vx)を算出する(ステップS105)。次に、撮像装置100は、VcとVxの差、又はVc/Vxの値が第一しきい値を超えたか否かを判定する(ステップS106)。VcとVxの差、又はVc/Vxの値が第一しきい値を超えた場合(ステップS106:Yes)、撮像装置100は、ステップS101に戻って以降の処理を実行する。
【0044】
なお、VcとVxの差、又はVc/Vxの値が第一しきい値を超えていない場合(ステップS106:No)、撮像装置100は、ステップS103に戻って以降の処理を実行する。
【0045】
また、ステップS103においては、ハイパースペクトルデータを取り込まずに、λcで撮影された画像データを取り込んで、ステップS104をスキップして、ステップS105で評価値を算出してもよい。
【0046】
ステップS104からS106の処理は、フレームごとに処理してもよいし、数フレームに1回処理してもよいし、所定の時間単位で1回処理してもよい。ステップS105では、λc以外の波長での評価値を算出してもよいし、複数の波長での評価値を算出してもよい。
【0047】
これによれば、キャリブレーション処理を実行した後の較正波長域における画像の評価値と、キャリブレーション処理の時の較正波長域における画像の評価値の差、又は商の値が第一しきい値を超えた場合に、キャリブレーション処理を再実行して、較正波長域を更新することができる。そのため、鮮明な画像、すなわち、コントラストが高い画像を取得することができる。
【0048】
次に、本開示に係るキャリブレーション処理について、図6を用いて説明する。図6は、本開示に係るキャリブレーション処理のフローを示すフローチャートである。図6に示すように、キャリブレーション処理は、例えば、ステップS201からステップS208によって構成される。以下、本開示に係るキャリブレーション処理について、図6に示すフローに沿って説明する。
【0049】
まず、撮像装置100は、1フレームのハイパースペクトルデータを取り込む(ステップS201)。次に、撮像装置100は、内部カウンタi=0にセットする(ステップS202)。次に、撮像装置100は、iが波長分割数未満であるか否かを判定する(ステップS203)。iが波長分割数未満である場合(ステップS203:Yes)、撮像装置100は、i番目の波長域λiで構成された画像から評価値Viを算出する(ステップS204)。次に、撮像装置100は、ViがVtよりも大きいか否かを判定する(ステップS205)。ここで、Vtはi番目までの波長域の画像の評価値の最大値を指しており、i=0の場合は0の値に設定される。ViがVtよりも大きい場合(ステップS205:Yes)、撮像装置100は、Vt=Vi、λt=λiに設定する(ステップS206)。ここで、Vtはi番目までの波長域における画像の評価値の最大値となる波長域を指している。次に、撮像装置100は、内部カウンタi=i+1にセットする(ステップS207)。次に、撮像装置100は、ステップS203に戻って以降の処理を実行する。
【0050】
なお、ステップS203において、iが波長分割数未満ではない場合(ステップS203:No)、撮像装置100は、Vc=Vt、λc=λtに設定する(ステップS208)。ここで、Vcは、キャリブレーション処理によって得られた評価値の最大値を指しており、λcは、キャリブレーション処理によって得られた評価値が最大となる波長域を指している。
【0051】
これによれば、分光された複数の波長域のうち画像の評価値が最大値となる波長域を較正波長域として設定するキャリブレーション処理を実行することができる。
【0052】
次に、本開示に係る撮像方法の第二態様について、図7を用いて説明する。図7は、本開示に係る撮像方法の第二態様のフローを示すフローチャートである。図7に示すように、撮像方法の第二態様は、例えば、ステップS301からステップS310によって構成される。以下、本開示に係る撮像方法の第二態様について、図7に示すフローに沿って説明する。
【0053】
まず、撮像装置100は、キャリブレーション処理を実行する(ステップS301)。次に、撮像装置100は、使用する波長域(λx)にλcをセットする(ステップS302)。次に、撮像装置100は、1フレームのハイパースペクトルデータを取り込む(ステップS303)。次に、撮像装置100は、波長域(λx)で構成された画像データを抽出する(ステップS304)。次に、撮像装置100は、波長域(λx)と隣接する波長域(λxl,λxr)の画像データの評価値(Vx,Vxl,Vxr)を算出する(ステップS305)。次に、撮像装置100は、評価値(Vx,Vxl,Vxr)のうちのどれが最大であるかを判定する(ステップS306)。ステップS306において、Vxが最大である場合、撮像装置100は、ステップS303に戻って以降の処理を実行する。
【0054】
ステップS306において、Vxlが最大である場合、撮像装置100は、Vxl、Vxの差が所定のしきい値を超えたか否かを判定する(ステップS307)。Vxl、Vxの差が所定のしきい値を超えた場合(ステップS307:Yes)、撮像装置100は、λxにλxlをセットする(ステップS308)。そして、撮像装置100は、ステップS303に戻って以降の処理を実行する。なお、ステップS307において、Vxl、Vxの差が所定のしきい値を超えていない場合も(ステップS307:No)、撮像装置100は、ステップS303に戻って以降の処理を実行する。なお、この場合におけるしきい値は、任意に設定してよい。
【0055】
ステップS306において、Vxrが最大である場合、撮像装置100は、Vxr、Vxの差が所定のしきい値を超えたか否かを判定する(ステップS309)。Vxr、Vxの差が所定のしきい値を超えた場合(ステップS309:Yes)、撮像装置100は、λxにλxrをセットする(ステップS310)。そして、撮像装置100は、ステップS303に戻って以降の処理を実行する。なお、ステップS309において、Vxr、Vxの差が所定のしきい値を超えていない場合も(ステップS309:No)、撮像装置100は、ステップS303に戻って以降の処理を実行する。なお、この場合におけるしきい値は、任意に設定してよい。
【0056】
ここで、本開示に係る撮像方法の第二態様の処理について、図8を用いて説明する。図8は、本開示に係る撮像方法の第二態様の処理を説明する図である。図8に示すように、キャリブレーション処理によって設定された較正波長域の評価値Vxが最大値となる場合であれば、較正波長域を変更しないで、次のフレームのハイパースペクトルデータを取得する。一方、較正波長域に隣接する波長域λxlにおける評価値Vxl、又は波長域λxrにおける評価値Vxrと、較正波長域λxにおける評価値Vxの差が所定のしきい値を超えた場合は、較正波長域をそれぞれλxl、λxrに設定し直して、次のフレームのハイパースペクトルデータを取得する。
【0057】
これによれば、1フレームごとにキャリブレーション処理を実行して、全ての波長域における評価値を算出する必要が無くなることから、撮像処理を迅速に実行することができる。そのため、鮮明な画像を得ることができる撮像方法を提供することができる。
【0058】
(撮像装置の構成)
(第二実施形態)
次に、本開示に係る撮像装置100の第二実施形態の構成について、図9を用いて説明する。図9は、本開示に係る撮像装置の第二実施形態の構成例を示す図である。図9に示すように、本開示に係る撮像装置100の第二実施形態は、コネクタ部Cと、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、撮像部140と、慣性センサ部150と、を備える。本開示に係る撮像装置100の第二実施形態は、撮像装置100の第一実施形態に対して、取得部131と、更新部134の処理が異なり、画像処理部135と、分割較正部136と、慣性センサ部150と、が加えられた以外は、撮像装置100の第一実施形態の構成と同じである。そのため、本開示に係る撮像装置100の第二実施形態の構成のうち、撮像装置100の第一実施形態の構成と異なる構成について説明する。
【0059】
取得部131は、分割された領域ごとに設定された較正波長域によって撮像された画像データを取得する。例えば、画面を分割された領域ごとに評価値を算出して、評価値が最大となる波長域が異なる場合は、評価値が最大となる波長域を較正波長域として設定して撮像された画像データを撮像部140から取得する。この場合の画面の分割は、任意の方法によって分割されてよいが、例えば、画面を上下に三分割してよい。
【0060】
更新部134は、撮影されたオブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが第三しきい値より大きい場合、キャリブレーション処理を実行して較正波長域を更新する。すなわち、更新部134は、後述して説明する画像処理部135によって検出されたオブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または後述して説明する慣性センサ部150に基づく動き度合いが第三しきい値より大きい場合に、キャリブレーション処理の後に撮像された画像データに基づいて、キャリブレーション処理を実行して較正波長域を更新する。なお、前述した第三しきい値は、任意に設定されてよい。例えば、第三しきい値を設定した後に、取得された画像データを目視にて確認して鮮明さを判定する試行錯誤によって設定してよい。これにより、オブジェクトの動きが大きい、または撮像装置100の動きが大きい場合に、適切な波長域を較正波長域として設定することができる。
【0061】
更新部134は、撮影されたオブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが第三しきい値より大きいか否かを判断し、較正部133にキャリブレーション処理をさせて、較正波長域を更新してもよい。
【0062】
あるいは、更新部134は、撮影されたオブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが第四しきい値より大きい場合、オブジェクトが含まれる領域をオブジェクトの動きに応じて移動させて、オブジェクトが含まれる領域に対して選択された波長域を、移動後の領域における較正波長域として選択する。すなわち、更新部134は、後述して説明する画像処理部135によって検出されたオブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または後述して説明する慣性センサ部150に基づく動き度合いが第四しきい値より大きい場合に、オブジェクトが含まれる領域をオブジェクトの動きに応じて移動させて、オブジェクトが含まれる領域に対して選択された波長域を、移動後の領域における較正波長域として選択する。なお、前述した第四しきい値は、任意に設定されてよい。例えば、第四しきい値を設定した後に、取得された画像データを目視にて確認して鮮明さを判定する試行錯誤によって設定してよい。
【0063】
このような更新部134の処理について、図10を用いて説明する。図10は、本開示に係る撮像装置の更新部の処理を説明する図である。図10に示すように、フレーム番号F1の画像データIMG1は、較正波長域λ1の領域D1と、較正波長域λ2の領域D2と、較正波長域λ3の領域D3と、に分割されている。そして、画像データIMG1の領域D2には、オブジェクト(例えば、リンゴ)が検出されている。これに対して、撮像装置の移動にともなって、フレーム番号F2の画像データIMG2ではリンゴが下方に移動したとする。このような場合、更新部134は、リンゴの移動に対応して、各領域の較正波長域の領域を、図10に示すように、下方に移動させる。つまり、リンゴが含まれる領域D2に対して選択された較正波長域λ2を、移動後の領域D2における較正波長域として選択する。
【0064】
画像処理部135は、画像データに基づいて、画像認識処理を実行して検出されたオブジェクトの動きベクトルの大きさを求める。例えば、画像処理部135は、画像データの画素を、どの物体クラスに属するかにより分類する手法であるセマンティック・セグメンテーション(Semantic Segmentation)などを用いることにより、オブジェクトを検出して、検出されたオブジェクトを分類する。そして、画像処理部135は、検出されたオブジェクトのフレーム間の移動量から動きベクトルの大きさを求める。動きベクトルの大きさを求める方法には、例えば、オプティカルフロー(Optical Flow)などを用いてよい。オプティカルフローは、勾配法やブロックマッチング法などによって動きベクトルを推定する。
【0065】
分割較正部136は、画面を所定の領域に分割し、分割された領域ごとに算出された波長域ごとの評価値に基づいて、領域ごとに評価値が最大となる波長域を較正波長域として選択する。例えば、分割較正部136は、画面を上下の三領域に分割する。これは、例えば、撮像装置100を海中で用いて撮像した場合に、下方の領域が海底に対応し、中央の領域が海水に対応し、上方の領域が海上に対応する。そして、分割較正部136は、分割された領域ごとに評価部132によって算出された評価値に基づいて、領域ごとに評価値が最大となる波長域を較正波長域として選択する。すなわち、前述の画面を上下の三領域に分割する例であれば、上方の領域と、中央の領域と、下方の領域と、に対して算出された評価値に基づいて、評価値が最大値となる波長域を較正波長域として選択する。
【0066】
慣性センサ部150は、撮像装置100の動き度合いの情報を計測する。慣性センサ部150は、例えば、三軸ジャイロセンサと、三軸加速度センサと、を組み合わせたIMU(Inertial Measurement Unit)であってよい。ジャイロセンサは、可動電極に一方向に振動する一次振動を発生させておき、可動電極に回転が加わると振動方向と90°の方向にコリオリの力が働くことにより二次振動が発生し、静電容量の変化が生じるため、これを検出する静電容量型MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロセンサにより実現されてよい。加速度センサは、例えば、MEMSにより可動電極と固定電極を作り、可動電力が動くことによる静電容量の変化と加速度の関係を用いて加速度を計測する静電容量式の加速度センサであってよい。
【0067】
慣性センサ部150は、三軸ジャイロセンサと三軸加速度センサが計測した三軸の角速度、及び三軸の加速度に基づいて、動き度合いを算出する。なお、動き度合いは、動きの大きさを示すものであってよく、例えば、三軸の加速度の二乗の合計値の平方根と、三軸の角速度の二乗の合計値の平方根を足し合わせたものであってよい。
【0068】
以上説明した撮像装置100の第二実施形態によれば、オブジェクトを検出して、オブジェクトの動きベクトルや動き度合いに応じて、較正波長域を更新することや、画面を分割して、分割された領域ごとに較正波長域を設定することができる。そのため、撮像する環境の変化に応じて、適切な波長域を較正波長域として設定することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0069】
(構成と効果)
本開示に係る撮像装置100は、複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを取得する取得部131と、複数の波長域ごとに画像データの評価値を算出する評価部132と、複数の波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行する較正部133と、所定の場合に該当するときに、較正波長域を更新する更新部134と、を備える。
【0070】
この構成によれば、波長域ごとに評価値を算出して、評価値が最大値となる波長域を較正波長域として選択し、撮像することができる。このことから、粒子による散乱などの影響がある濁水中などの環境下であっても、最適な波長で撮影することで、鮮明な画像を得ることができる。そのため、ユーザは最適な波長の長さを意識することなく自動的に最適な波長で撮影することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0071】
本開示に係る撮像装置100の更新部134は、キャリブレーション処理の後に撮像された画像データにおける較正波長域の評価値を示す第二評価値について、第一評価値と第二評価値との比が第一しきい値を超えた場合に、キャリブレーション処理を実行して較正波長域を更新する。
【0072】
この構成によれば、キャリブレーション処理の後に撮像された画像データの較正波長域の第二評価値と、第一評価値との比が第一しきい値を超えた場合に、キャリブレーション処理を再実行することで、較正波長域を更新することができる。そのため、環境変化によりキャリブレーション処理の後の画像データの較正波長域の第二評価値がキャリブレーション処理のときの第一評価値から乖離した場合に、キャリブレーション処理を再実行することにより較正波長域を更新することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0073】
本開示に係る撮像装置100は、画像データに基づいて、画像認識処理を実行して検出されたオブジェクトの動きベクトルの大きさを求める画像処理部135と、をさらに備え、更新部134は、オブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが第三しきい値より大きい場合、キャリブレーション処理を実行して較正波長域を更新する。
【0074】
この構成によれば、画像データの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または動き度合いが第三しきい値より大きい場合に、キャリブレーション処理を再実行して、較正波長域を更新することができる。そのため、水中においてオブジェクトの動きが大きい、または撮像装置100の動きが大きいという透明度の悪化が懸念される場合に、キャリブレーション処理を再実行して、最適な波長域による撮像を行うことが可能となる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0075】
本開示に係る撮像装置100は、画面を所定の領域に分割し、分割された領域ごとに算出された波長域ごとの評価値に基づいて、領域ごとに評価値が最大となる波長域を較正波長域として選択する分割較正部136と、をさらに備え、取得部131は、分割された領域ごとに設定された較正波長域によって撮像された画像データを取得し、更新部134は、オブジェクトの動きベクトルの大きさが第二しきい値より大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが第四しきい値より大きい場合、オブジェクトが含まれる領域をオブジェクトの動きに応じて移動させて、オブジェクトが含まれる領域に対して選択された波長域を、移動後の領域における較正波長域として選択する。
【0076】
この構成によれば、画面を分割して、分割された領域ごとに較正波長域を設定して、分割された領域のオブジェクトの動きが大きい、または慣性センサ部150に基づく動き度合いが大きい場合に、オブジェクトが含まれる領域をオブジェクトの動きに応じて移動させて、当該の領域に設定された波長域を、較正波長域として選択することができる。そのため、オブジェクトの動きが大きい、または撮像装置100の動きが大きい場合に、オブジェクトの動きに応じて、適切な波長域を較正波長域として設定することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像装置100を提供することができる。
【0077】
本開示に係る撮像方法は、複数の波長域ごとに分光して画像データが撮像されたハイパースペクトルデータを取得するステップと、複数の波長域ごとに画像データの評価値を算出するステップと、撮像可能なすべての波長帯域における評価値の最大値を示す第一評価値の波長域を較正波長域として選択するキャリブレーション処理を実行するステップと、所定の場合に該当するときに、較正波長域を更新するステップと、を含む。
【0078】
この構成によれば、波長域ごとに評価値を算出して、評価値が最大値となる波長域を較正波長域として選択し、撮像することができる。このことから、粒子による散乱などの影響がある濁水中などの環境下であっても、最適な波長で撮影することで、鮮明な画像を得ることができる。そのため、ユーザは最適な波長の長さを意識することなく自動的に最適な波長で撮影することができる。したがって、鮮明な画像を得ることができる撮像方法を提供することができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
100 撮像装置
110 通信部
120 記憶部
121 評価値記憶部
122 フレームバッファ部
130 制御部
131 取得部
132 評価部
133 較正部
134 更新部
135 画像処理部
136 分割較正部
140 撮像部
141 対物レンズ
142 光学系
143 撮像素子
144 画像生成部
150 慣性センサ部
C コネクタ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10