(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158761
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】表示装置、光学モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20241031BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241031BHJP
H04N 5/70 20060101ALI20241031BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20241031BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G09G3/3233
G02B27/02 Z
H04N5/70 B
G09G3/20 612U
G09G3/20 611A
G09G3/20 631V
G09G3/20 680A
G09G3/20 680C
G09G3/20 642J
G09G3/20 650M
G09G5/02 B
G09G5/00 550X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074268
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西沢 和夫
【テーマコード(参考)】
2H199
5C058
5C080
5C182
5C380
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA06
2H199CA12
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2H199CA75
2H199CA77
2H199CA87
5C058AA12
5C058AB02
5C058BA26
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5C080AA06
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5C080KK47
5C182AA02
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5C182AB08
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5C380AA01
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5C380FA03
5C380FA09
5C380FA21
5C380FA24
5C380GA18
(57)【要約】
【課題】表示装置の小型化を実現する。
【解決手段】表示装置は、複数の画素を有するパネルと、複数の画素の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示す第1テーブルを記憶する記憶部と、第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって複数の画素の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、パネルに表示される出力画像を示す出力画像データを生成する信号処理部と、を備え、信号処理部は、入力画像データに含まれる第2色情報を、1画素単位で第1色情報に変換し、1画素単位で得られた第1色情報と、第1テーブルとに基づいて、パネルの総消費電流を算出する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有するパネルと、
前記複数の画素の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示す第1テーブルを記憶する記憶部と、
前記第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって前記複数の画素の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、前記パネルに表示される出力画像を示す出力画像データを生成する信号処理部と、
を備え、
前記信号処理部は、
前記入力画像データに含まれる前記第2色情報を、1画素単位で前記第1色情報に変換し、
前記1画素単位で得られた前記第1色情報と、前記第1テーブルとに基づいて、前記パネルの総消費電流を算出する、
表示装置。
【請求項2】
前記第1色空間は、HSV色空間であり、
前記第1色情報は、色相、彩度、及び明度の3つの成分を含み、
前記記憶部は、前記明度が変更される割合を示す明度変更率と、前記色相との関係を示す第2テーブルをさらに記憶し、
前記信号処理部は、前記パネルの前記総消費電流が閾値以上の場合に、
前記入力画像データに含まれる前記第2色情報を、前記1画素単位で前記第1色情報に変換し、
前記1画素単位で、前記第1色情報に含まれる前記色相に対応する前記明度変更率を前記第2テーブルから取得し、
前記1画素単位で、前記明度変更率に基づいて前記第1色情報に含まれる前記明度を変更し、
前記1画素単位で、前記明度が変更された前記第1色情報を、前記第2色情報に変換することにより、前記出力画像データを生成する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、120°の色相に対応する明度変更率が最大値に設定され、300°の色相に対応する明度変更率が最小値に設定される、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、
前記入力画像データに基づいて入力画像のエッジ強度を算出し、
前記出力画像データに基づいて前記出力画像のエッジ強度を算出し、
前記出力画像の前記エッジ強度が、前記入力画像の前記エッジ強度より大きい場合に、前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第1所定量だけ上げ、
前記出力画像の前記エッジ強度が、前記入力画像の前記エッジ強度より小さい場合に、前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、前記300°の色相に対応する明度変更率を第2所定量だけ下げる、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2色空間は、RGB色空間であり、
前記第2色情報は、赤色画素値、緑色画素値、及び青色画素値の3つの成分を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置と、
前記表示装置の前記パネルから出射される画像光を投射する投射光学系と、
前記投射光学系から投射される前記画像光を所定の位置まで導き、前記所定の位置から虚像光として出射する導光装置と、
を備える光学モジュール。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置を備える電子機器。
【請求項8】
請求項6に記載の光学モジュールを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、光学モジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自発光型の表示パネルとして、OLED(Organic Light-Emitting Diode)パネルが知られている。特許文献1には、OLEDパネルに流れる電流を検出する電流センサーを、OLEDパネルまたは電源基板上に設け、電流センサーから得られる電流値に基づいて、パネル駆動電圧を制御する表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、表示パネルの負荷を推定するために、表示パネルに流れる電流を検出する電流センサーを設ける必要があるため、表示装置の小型化が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様の表示装置は、複数の画素を有するパネルと、前記複数の画素の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示す第1テーブルを記憶する記憶部と、前記第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって前記複数の画素の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、前記パネルに表示される出力画像を示す出力画像データを生成する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、前記入力画像データに含まれる前記第2色情報を、1画素単位で前記第1色情報に変換し、前記1画素単位で得られた前記第1色情報と、前記第1テーブルとに基づいて、前記パネルの総消費電流を算出する。
【0006】
本発明の一つの態様の光学モジュールは、上記態様の表示装置と、前記表示装置の前記表示パネルから出射される画像光を投射する投射光学系と、前記投射光学系から投射される前記画像光を所定の位置まで導き、前記所定の位置から虚像光として出射する導光装置と、を備える。
【0007】
本発明の一つの態様の電子機器は、上記態様の表示装置を備える。
【0008】
本発明の一つの態様の電子機器は、上記態様の光学モジュールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ヘッドマウントディスプレイがユーザーに装着された状態を示す図である。
【
図2】ヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【
図3】第1光学モジュールの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図4】表示装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】表示パネルの概略構成の一例を示す平面図である。
【
図6】赤色画素が有する画素回路の概略構成の一例を示す等価回路図である。
【
図7】信号処理部が実行する第1テーブル生成処理を示すフローチャートである。
【
図8】信号処理部が実行する消費電流算出処理を示すフローチャートである。
【
図9】信号処理部が実行する明度変更処理を示すフローチャートである。
【
図10】明度変更率テーブルの一例を示す図である。
【
図11】信号処理部が実行する第2テーブル調整処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている場合がある。
【0011】
1.電子機器
本実施形態では、本開示の電子機器として、映像と目前の景色との両方を見ることができるシースルー型のヘッドマウントディスプレイ100を例示する。以下の説明では、ヘッドマウントディスプレイ100を「HMD100」と略称する場合がある。
【0012】
図1は、HMD100がユーザーMに装着された状態を示す図である。
図1に示すように、HMD100は、眼鏡のようにユーザーMの頭部に装着される。HMD100は、通信ケーブル150を介して、不図示の映像供給装置と通信する。例えば、映像供給装置として、パーソナルコンピューター、DVD(Digital Versatile Disc)プレイヤー、スマートフォン、及びタブレット端末等が挙げられる。
【0013】
HMD100は、通信ケーブル150を介して、映像供給装置から映像信号を受信する。例えば、通信ケーブル150は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface:登録商標)規格に従って映像信号を伝送するHDMIケーブルである。または、通信ケーブル150は、USB(Universal Serial Bus)Type-C規格に従って映像信号を伝送するUSBケーブルでもよい。上記のように、映像信号の伝送と共に直流電圧の給電が可能な通信ケーブル150を用いることにより、HMD100にバッテリーを内蔵する必要がないため、HMD100の軽量化を実現できる。
【0014】
HMD100は、映像供給装置から通信ケーブル150を介して供給される映像信号に基づいて、ユーザーMに映像として認識される虚像を形成する。また、HMD100は、外界光をユーザーMの眼球に導くことにより、ユーザーMに目前の景色も視認させる。
【0015】
図2は、HMD100の斜視図である。
図2に示すように、HMD100は、眼鏡のような形状を有するフレーム120と、フレーム120の内部に組み込まれる光学モジュール111と、を備える。光学モジュール111は、光学エンジンモジュールと呼ばれる場合がある。
【0016】
フレーム120は、ユーザーMの耳にHMD100を掛けるための一対のテンプル部122A及び122Bを備える。光学モジュール111は、左眼用の第1光学モジュール111Aと、右眼用の第2光学モジュール111Bと、を備える。通信ケーブル150は、第1光学モジュール111Aに接続される。第1光学モジュール111Aは、映像供給装置から通信ケーブル150を介して供給される映像信号に基づいて、ユーザーMに映像として認識される左眼用の虚像を形成する。
【0017】
例えば、第1光学モジュール111Aは、不図示のFPC(Flexible Printed Circuit)ケーブルを介して、第2光学モジュール111Bと通信可能に接続される。第1光学モジュール111Aは、左眼用の虚像と同期して右眼用の虚像が形成されるように、第2光学モジュール111Bに制御信号を送信する。第2光学モジュール111Bは、第1光学モジュール111Aから送信される制御信号に基づいて、ユーザーMに映像として認識される右眼用の虚像を形成する。
【0018】
第1光学モジュール111Aと第2光学モジュール111Bとは、ほぼ同じ構成を有しており、双方の各構成要素は左右対称に配置されている。そのため、以下では、第1光学モジュール111Aを代表的に用いて、光学モジュール111の構成について説明する。
【0019】
2.光学モジュール
図3は、第1光学モジュール111Aの概略構成の一例を示す平面図である。
図3において、相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、軸に沿った各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。
【0020】
X方向は、HMD100を装着するユーザーMの前後方向に相当する。Y方向は、ユーザーMの左右方向に相当する。Z方向は、ユーザーMの上下方向に相当する。本実施形態において、-Y方向を左側、+Y方向を右側、+X方向を前側、-X方向を後側ということがある。さらに、+Z方向から見ることを平面視あるいは平面的という。
【0021】
図3に示すように、第1光学モジュール111Aは、表示装置10と、投射光学系15と、導光装置20と、を備える。表示装置10は、映像供給装置から通信ケーブル150を介して供給される映像信号に基づいて画像を表示する。表示装置10は、画像に対応する画像光Gを投射光学系15に出射する。すなわち、画像を表示するとは、画像光Gを出射することである。表示装置10は、表示パネル11と、制御基板12と、を備える。
【0022】
例えば、表示パネル11は、不図示のFPCケーブルを介して制御基板12と電気的に接続される。また、制御基板12に配置された不図示のコネクターに通信ケーブル150が接続される。
図3において、制御基板12から表示パネル11に向かう矢印は、制御基板12から表示パネル11に出力される電気信号を表している。
【0023】
例えば、表示パネル11は、自発光型の電気光学装置である。自発光型の電気光学装置とは、バックライトなどの光源を必要とせずに、外部から与えられた電気的エネルギーによって自ら光を発生する装置である。一例として、表示パネル11は、OLEDを発光素子として備えるOLEDパネルである。
【0024】
詳細は後述するが、制御基板12は、映像供給装置から供給される映像信号に基づいて、表示パネル11に画像を表示させるのに必要な電気信号を生成して表示パネル11に出力する。表示パネル11は、制御基板12から供給される電気信号に基づいて画像を表示し、画像に対応する画像光Gを投射光学系15に出射する。
【0025】
なお、
図3において、表示パネル11及び制御基板12は、XY平面に対して直立する状態で配置されているが、この配置はあくまで一例であり、第1光学モジュール111Aにおいて表示パネル11及び制御基板12をどのように配置するかは、第1光学モジュール111Aの構造上の制約に応じて適宜決定され得る。表示装置10の詳細については後述する。
【0026】
投射光学系15は、表示パネル11から出射される画像光Gを導光装置20の入射部22に投射する。
図3では、1枚のレンズから構成される投射光学系15を例示しているが、投射光学系15は、レンズ及びミラー等の複数の光学素子から構成されてもよい。
【0027】
導光装置20は、投射光学系15から投射される画像光Gを所定の位置まで導き、所定の位置から虚像光として出射する。後述するように、例えば、所定の位置とは、光取出しユニット31が配置された位置である。導光装置20は、投射光学系15から投射される画像光Gを虚像光としてユーザーMの左眼MEに向けて出射するとともに、外界から入射される外界光SLを透過させる。導光装置20は、導光体21と、入射部22と、光取出しユニット31と、を備える。
【0028】
導光体21は、光透過性を有する板状の導光部材から構成される。入射部22は、光透過性を有する三角プリズム状の部材から構成される。例えば、導光体21及び入射部22は、ガラス又はプラスチック等から構成される。本実施形態において、導光体21及び入射部22の屈折率は、ほぼ等しい。
【0029】
入射部22は、投射光学系15から投射される画像光Gを取り込む光入射面22aと、取り込んだ画像光Gを反射して導光体21の内部に導く反射面22bと、を有する。例えば、反射面22bは、プリズム形状の表面にアルミ蒸着膜を形成したものであり、入射した画像光Gを反射し、その光路を導光体21の内部に向けて折り曲げる。これにより、画像光Gは、入射部22から導光体21へと入射する。
【0030】
導光体21は、ユーザーMの左右方向、すなわちY方向に延びる。導光体21は、射出瞳SMの中心を通る光軸AXに対して傾斜するように配置されている。具体的には、導光体21の左側端部が、導光体21の右側端部よりも後側に位置するように、導光体21は傾斜している。言い換えれば、導光体21は、ユーザーMの左側に向かうに従ってユーザーMの顔に近づくように傾斜している。射出瞳SMの位置は、ユーザーMの左眼MEの位置に対応する。
【0031】
導光体21は、互いに平行な一対の第1面21a及び第2面21bを有する。第1面21a及び第2面21bは、互いに平行な平面であるため、外界光SLに関して拡大またはフォーカスズレを生じさせない。第1面21a及び第2面21bは、導光体21の内部を伝播する画像光Gを全反射させる全反射面として機能し、画像光Gを少ない損失で光取出しユニット31に導く。
【0032】
導光体21に入射した画像光Gは、第1面21aに入射することで全反射される。そして、画像光Gは、第2面21bに入射して全反射される。画像光Gは、第1面21aと第2面21bとの間で1回以上全反射されることにより、導光体21の内部において左側から右側に向かって伝播し、光取出しユニット31に到達する。
【0033】
光取出しユニット31は、導光体21の第1面21aに配置され、導光体21から画像光Gを射出瞳SMに向けて取り出す。光取出しユニット31は、導光体21の第1面21aに沿って延びる板状の部材から構成される。光取出しユニット31は、透明部材31aと、透明部材31aの内部に埋め込まれた複数のハーフミラー31bと、を有する。透明部材31aの屈折率は、導光体21の屈折率とほぼ等しい。これにより、光取出しユニット31と導光体21との境界面で画像光Gが反射されることが抑制される。
【0034】
各ハーフミラー31bは、Z方向に延び、透明部材31aの内部において所定のピッチで配置されている。各ハーフミラー31bは、光軸AXに対して傾斜するように配置されている。具体的には、ハーフミラー31bの後側端部31b1が、ハーフミラー31bの前側端部31b2よりも右側に位置するように、ハーフミラー31bは傾斜している。光取出しユニット31の両端に位置する第1エッジ33及び第2エッジ34は、ハーフミラー31bに対して平行となるように形成されている。
【0035】
導光体21の内部を伝播する画像光Gは、ハーフミラー31bによって所定の角度で反射されることにより、光取出しユニット31から射出瞳SMに向かう平行光束として出射される。光取出しユニット31から出射された画像光Gは、虚像光としてユーザーMの左眼MEに入射し、左眼MEの網膜で結像する。このように、画像光Gが左眼MEの網膜で結像することにより、第1光学モジュール111Aによって形成された虚像が、映像としてユーザーMに認識される。
【0036】
また、導光体21の第2面21bに入射した外界光SLは、導光体21の内部を通過し、導光体21の第1面21aから射出瞳SMに向かって出射される。導光体21の第1面21aから出射された外界光SLは、ユーザーMの左眼MEに入射し、左眼MEの網膜で結像する。このように、外界光SLが左眼MEの網膜で結像することにより、ユーザーMは、外界、すなわち目前の景色をシースルーで視認できる。
【0037】
以上のように、光学モジュール111を備えるHMD100を装着したユーザーMは、映像供給装置から供給される映像信号に基づく映像と、目前の景色との両方を見ることができる。なお、本実施形態で説明した導光装置20の構成は、あくまで一例であり、例えば、特開2015-72438号公報に記載された構成を導光装置20の構成として採用してもよい。
【0038】
3.表示装置
以下、
図4から
図11を参照しながら表示装置10について詳細に説明する。
図4は、表示装置10の概略構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、表示装置10は、表示パネル11と、制御基板12と、を備える。既に説明したように、例えば、表示パネル11は、OLEDパネルであり、不図示のFPCケーブルを介して制御基板12と電気的に接続される。
【0039】
図5は、表示パネル11の概略構成の一例を示す平面図である。
図5に示すように、表示パネル11は、複数の画素40と、2つの駆動回路50と、複数の実装端子60と、を備える。画素40及び駆動回路50は、回路領域W1に配置され、実装端子60は、実装領域W2に配置される。
【0040】
複数の画素40は、回路領域W1に含まれる表示領域W3においてマトリクス状に配置される。複数の画素40は、それぞれ、赤色画素40Rと、緑色画素40Gと、青色画素40Bと、を副画素として含む。赤色画素40Rは、赤色の光を出射する。緑色画素40Gは、緑色の光を出射する。青色画素40Bは、青色の光を出射する。
【0041】
2つの駆動回路50は、回路領域W1において表示領域W3の外側に配置される。以下の説明では、2つの駆動回路50の一方を「第1駆動回路51」と呼称し、2つの駆動回路50の他方を「第2駆動回路52」と呼称する場合がある。第1駆動回路51は、表示領域W3の左側に配置される。第2駆動回路52は、表示領域W3の下側に配置される。
【0042】
回路領域W1には、表示パネル11の水平方向に延在する複数の走査線71と、各走査線71に対応して水平方向に延在する複数の制御線72と、表示パネル11の垂直方向に延在する複数のデータ線73と、が配置される。第1駆動回路51は、各走査線71及び各制御線72と電気的に接続される。第2駆動回路52は、各データ線73と電気的に接続される。
【0043】
各実装端子60は、不図示のFPCケーブルを介して制御基板12と電気的に接続される。制御基板12から出力される第1制御信号、第2制御信号、電源電圧、及びコモン電圧は、それぞれに対応する実装端子60を介して表示パネル11に入力される。第1制御信号は、第1駆動回路51の動作を制御するための信号である。第2制御信号は、第2駆動回路52の動作を制御するための信号である。電源電圧及びコモン電圧は、後述の発光素子44に駆動電流を流すために使用される電圧である。
【0044】
第1駆動回路51は、実装端子60を介して制御基板12から供給される第1制御信号に従って動作することにより、各走査線71及び各制御線72に所定のタイミングで所定の電圧を印加する。第2駆動回路52は、実装端子60を介して制御基板12から供給される第2制御信号に従って動作することにより、各データ線73に所定のタイミングで所定の電圧を印加する。
【0045】
図6は、赤色画素40Rが有する画素回路の概略構成の一例を示す等価回路図である。なお、緑色画素40G及び青色画素40Bが有する画素回路の構成は、
図6に示される回路構成と同じである。
【0046】
図6に示すように、赤色画素40Rの画素回路は、選択トランジスター41と、駆動トランジスター42と、発光制御トランジスター43と、発光素子44と、保持容量45と、を有する。例えば、選択トランジスター41、駆動トランジスター42及び発光制御トランジスター43は、それぞれ、Pチャネル型TFT(Thin Film Transistor)である。
【0047】
選択トランジスター41のゲート電極は、走査線71と電気的に接続される。駆動トランジスター42のゲート電極は、選択トランジスター41のソース領域及びドレイン領域を介して、データ線73と電気的に接続される。発光制御トランジスター43のゲート電極は、制御線72と電気的に接続される。
【0048】
発光素子44は、赤色の光を出射する発光素子である。例えば、発光素子44は、発光層がアノードとカソードとによって挟持される構成を有するOLEDである。緑色画素40Gの画素回路は、緑色の光を出射する発光素子44を有する。青色画素40Bの画素回路は、青色の光を出射する発光素子44を有する。
【0049】
発光素子44のアノードは、駆動トランジスター42のソース領域及びドレイン領域と、発光制御トランジスター43のソース領域及びドレイン領域とを介して、電源配線81と電気的に接続される。発光素子44のカソードは、コモン配線82と電気的に接続される。電源配線81には、実装端子60を介して制御基板12から供給される電源電圧が印加される。コモン配線82には、実装端子60を介して制御基板12から供給されるコモン電圧が印加される。
【0050】
保持容量45は、駆動トランジスター42のゲート電圧を保持するためのコンデンサーである。保持容量45の一方の電極は、駆動トランジスター42のゲート電極と電気的に接続される。保持容量45の他方の電極は、電源配線81と電気的に接続される。なお、保持容量45として、駆動トランジスター42のゲート電極に寄生する容量を用いてもよい。または、保持容量45として、表示パネル11を構成するシリコン基板において互いに異なる導電層で絶縁層を挟持することによって形成される容量を用いてもよい。
【0051】
上記のように構成された画素回路において、走査線71に印加される電圧がハイレベルのとき、選択トランジスター41はオフ状態である。一方、走査線71に印加される電圧がローレベルのとき、選択トランジスター41はオン状態となる。選択トランジスター41がオン状態にあるとき、データ線73と電源配線81との間の電位差によって保持容量45が充電される。
【0052】
制御線72に印加される電圧がハイレベルのとき、発光制御トランジスター43はオフ状態である。発光制御トランジスター43がオフ状態にあるとき、発光素子44のアノードは、駆動トランジスター42と電気的に切断された状態にあるため、発光素子44に駆動電流は流れない。すなわち、発光制御トランジスター43がオフ状態にあるとき、発光素子44は発光しない。
【0053】
一方、制御線72に印加される電圧がローレベルのとき、発光制御トランジスター43はオン状態となる。発光制御トランジスター43がオン状態にあるとき、駆動トランジスター42を介して発光素子44に駆動電流が流れるため、発光素子44は発光する。発光素子44が発光することにより、赤色画素40Rが発光し、赤色画素40Rから赤色の光が出射される。
【0054】
発光素子44に流れる駆動電流は、駆動トランジスター42のゲート電圧に依存する。駆動トランジスター42のゲート電圧は、保持容量45によって保持される電圧と等しい。従って、保持容量45によって保持される電圧に応じた電流値を有する駆動電流が、発光素子44に流れる。
【0055】
発光素子44の発光輝度は、駆動電流の値と、発光素子44の発光期間とに依存する。駆動電流の値は、データ線73に印加される電圧を調整することによって制御できる。発光素子44の発光期間は、発光制御トランジスター43がオン状態である期間、すなわち制御線72に印加される電圧がローレベルである期間を調整することによって制御できる。言い換えれば、赤色画素40Rの明るさは、データ線73に印加される電圧と、制御線72に印加される電圧がローレベルである期間とを調整することによって制御できる。緑色画素40G及び青色画素40Bの明るさについても同様である。
【0056】
以下、
図4に戻って説明を続ける。
図4に示すように、制御基板12は、フレームメモリー210と、信号処理部220と、記憶部230と、パネル駆動部240と、を備える。
【0057】
制御基板12に供給される映像信号は、フレームメモリー210に入力される。フレームメモリー210は、映像信号に含まれる画像データを1フレーム単位で記憶する。例えば、フレームメモリー210は、DDR(Double Data Rate)メモリーである。以下の説明では、映像信号に含まれる画像データを入力画像データと呼称する場合がある。すなわち、フレームメモリー210は、入力画像データを1フレーム単位で記憶する。
【0058】
信号処理部220は、記憶部230に予め記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する。例えば、信号処理部220は、CPU(Central Processing Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサーである。
【0059】
信号処理部220の機能の一部または全部は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路によって構成されてもよい。信号処理部220は、各種の処理を並列的または逐次的に実行する。
【0060】
記憶部230は、信号処理部220に各種処理を実行させるのに必要なプログラム及び各種設定データなどを記憶する不揮発性メモリーと、信号処理部220が各種処理を実行する際にデータの一時保存先として使用される揮発性メモリーとを含む。例えば、記憶部230は、不揮発性メモリーとしてフラッシュメモリー等を含み、揮発性メモリーとしてRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0061】
記憶部230は、消費電流テーブルと、明度変更率テーブルと、を予め記憶する。消費電流テーブルは、複数の画素40の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示すテーブルデータである。本実施形態において、第1色空間は、HSV色空間であり、第1色情報は、色相(H:Hue)、彩度(S:Saturation)、及び明度(V:Value)の3つの成分を含む。すなわち、本実施形態において、消費電流テーブルは、色相、彩度、及び明度と、1画素当たりの消費電流との関係を示すテーブルデータである。消費電流テーブルは、第1テーブルの一例である。
【0062】
明度変更率テーブルは、明度が変更される割合を示す明度変更率と、色相との関係を示すテーブルデータである。明度変更率テーブルは、第2テーブルの一例である。明度変更率テーブルの具体例については後述する。
【0063】
信号処理部220は、第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって複数の画素40の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、表示パネル11に表示される出力画像を示す出力画像データを生成する。すなわち、映像信号に含まれる1フレーム分の入力画像データは、複数の画素40のそれぞれの色を指定する第2色情報を含む。
【0064】
本実施形態において、第2色空間は、RGB色空間であり、第2色情報は、赤色画素値、緑色画素値、及び青色画素値の3つの成分を含む。赤色画素値とは、赤色画素40Rの明るさを指定する値である。緑色画素値とは、緑色画素40Gの明るさを指定する値である。青色画素値とは、青色画素40Bの明るさを指定する値である。各画素値は、階調値と呼ばれる場合もある。以下の説明では、入力画像データに含まれる1画素分の第2色情報をRGBデータと呼称する場合がある。
【0065】
パネル駆動部240は、信号処理部220から出力される出力画像データに基づく出力画像が表示パネル11に表示されるように、第1制御信号及び第2制御信号を生成して表示パネル11に出力する。また、
図4では図示していないが、パネル駆動部240は、通信ケーブル150を介して給電される直流電圧から電源電圧及びコモン電圧を生成して表示パネル11に出力する機能も有する。
【0066】
以下、
図7を参照しながら、消費電流テーブルを生成する方法の一例を説明する。
図7は、信号処理部220が実行する第1テーブル生成処理を示すフローチャートである。例えば、信号処理部220は、HMD100の製造工程において、HMD100が完成した状態、すなわちHMD100に表示装置10が組み込まれた状態で、第1テーブル生成処理を実行する。また、信号処理部220が第1テーブル生成処理を実行するとき、表示パネル11に流れる電流を検出する電流センサーが、表示パネル11、またはパネル駆動部240に設置される。
【0067】
図7に示すように、信号処理部220は、まず、色相が0°、明度が0%、彩度が100%である第1色情報によって全ての画素40の色を指定するHSV画像データを生成する(ステップS1)。
【0068】
続いて、信号処理部220は、HSV画像データをRGB画像データに変換する(ステップS2)。ステップS2において、信号処理部220は、HSV画像データに含まれる第1色情報を、RGB色空間における第2色情報に変換することにより、RGB画像データを生成する。HSV色空間における第1色情報を、RGB色空間における第2色情報に変換する方法は公知であるので、説明は省略する。
【0069】
続いて、信号処理部220は、RGB画像データに基づくRGB画像を表示パネル11に表示しながら、表示パネル11の消費電流を測定する(ステップS3)。具体的には、信号処理部220は、ステップS2で得られたRGB画像データを、出力画像データとしてパネル駆動部240に出力する。
【0070】
パネル駆動部240は、出力画像データに基づく出力画像が表示パネル11に表示されるように、第1制御信号及び第2制御信号を生成して表示パネル11に出力する。これにより、ステップS2で得られたRGB画像データに基づくRGB画像が、表示パネル11に表示される。信号処理部220は、表示パネル11にRGB画像が表示される期間に、電流センサーによって検出された電流値を、表示パネル11の消費電流として取得する。信号処理部220は、上記のように消費電流を取得すると、消費電流を画素40の総数で除算することにより、1画素当たりの消費電流を算出する。
【0071】
信号処理部220は、上記のように1画素当たりの消費電流を取得すると、色相、明度及び彩度と、1画素当たりの消費電流との関係を示すデータを記憶部230に保存する(ステップS4)。1回目のステップS4が実行されたとき、0°の色相、0%の明度、及び100%の彩度の組み合わせと、1画素当たりの消費電流との関係を示すデータが記憶部230に保存される。
【0072】
続いて、信号処理部220は、HSV画像データの明度を1%増やす(ステップS5)。そして、信号処理部220は、HSV画像データの明度が100%以下か否かを判定する(ステップS6)。
【0073】
信号処理部220は、HSV画像データの明度が100%以下である場合(ステップS6:YES)、ステップS2に戻って、明度が1%増えたHSV画像データをRGB画像データに変換した後、再び、ステップS3及びステップS4を実行する。これにより、2回目のステップS4が実行されたとき、0°の色相、1%の明度、及び100%の彩度の組み合わせと、1画素当たりの消費電流との関係を示すデータが記憶部230に保存される。信号処理部220は、上記のようなステップS2からステップS6の処理を、HSV画像データの明度が100%となるまで繰り返す。
【0074】
信号処理部220は、HSV画像データの明度が100%を越えた場合(ステップS6:NO)、HSV画像データの明度を0%にリセットし(ステップS7)、HSV画像データの色相を2°増やす(ステップS8)。つまり、1回目のステップS8が実行されたとき、色相が2°、明度が0%、彩度が100%であるHSV画像データが生成される。
【0075】
続いて、信号処理部220は、HSV画像データの色相が360°以下か否かを判定する(ステップS9)。信号処理部220は、HSV画像データの色相が360°以下である場合(ステップS9:YES)、ステップS2に戻って、明度が0%にリセットされ、且つ色相が2°増えたHSV画像データをRGB画像データに変換した後、再び、HSV画像データの明度が100%となるまで、ステップS2からステップS6の処理を繰り返す。
【0076】
信号処理部220は、HSV画像データの明度が100%を越えると、再び、HSV画像データの明度を0%にリセットすると共に、HSV画像データの色相を2°増やす(ステップS7及びS8)。信号処理部220は、上記のようなステップS2からステップS9の処理を、HSV画像データの色相が360°となるまで繰り返す。
【0077】
信号処理部220は、HSV画像データの色相が360°を越えた場合(ステップS9:NO)、HSV画像データの色相を0°にリセットし(ステップS10)、HSV画像データの彩度を1%減らす(ステップS11)。つまり、1回目のステップS11が実行されたとき、色相が0°、明度が0%、彩度が99%のHSV画像データが生成される。
【0078】
続いて、信号処理部220は、HSV画像データの彩度が0%以上か否かを判定する(ステップS12)。信号処理部220は、HSV画像データの彩度が0%以上である場合(ステップS12:YES)、ステップS2に戻って、色相が0°にリセットされ、明度が0%にリセットされ、且つ彩度が1%減ったHSV画像データをRGB画像データに変換した後、再び、HSV画像データの明度が100%となるまで、ステップS2からステップS6の処理を繰り返す。
【0079】
信号処理部220は、HSV画像データの明度が100%を越えると、再び、HSV画像データの明度を0%にリセットすると共に、HSV画像データの色相を2°増やす(ステップS7及びS8)。信号処理部220は、上記のようなステップS2からステップS9の処理を、HSV画像データの色相が360°となるまで繰り返す。
【0080】
そして、信号処理部220は、HSV画像データの色相が360°を越えると、再び、HSV画像データの色相を0°にリセットすると共に、HSV画像データの彩度を1%減らす(ステップS10及びS11)。信号処理部220は、上記のようなステップS2からステップS12の処理を、HSV画像データの彩度が0%となるまで繰り返す。
【0081】
信号処理部220は、HSV画像データの彩度が0%未満となった場合(ステップS12:NO)、第1テーブル生成処理を終了する。信号処理部220が第1テーブル生成処理を終了したとき、記憶部230において、色相、明度及び彩度の全組み合わせと、1画素当たり消費電流との関係を示す消費電流テーブルが完成する。
なお、上記の説明では、信号処理部220が自らHSV画像データを生成する例を説明したが、外部装置によってHSV画像データを表示装置10に供給してもよい。
【0082】
次に、
図8を参照しながら、HMD100がユーザーMによって使用されているときに、信号処理部220が実行する消費電流算出処理について説明する。
図8は、信号処理部220が実行する消費電流算出処理を示すフローチャートである。信号処理部220は、
図8に示される消費電流算出処理を1フレーム単位で実行する。
【0083】
信号処理部220は、HMD100がユーザーMによって使用されているとき、すなわち表示装置10が通常動作状態にあるときに、
図8に示される消費電流算出処理を1フレーム単位で実行することにより、表示パネル11の総消費電流を算出する。また、後述するように、信号処理部220は、算出した総消費電流に基づいて、表示パネル11の消費電力を下げるための明度変更処理を実行するか否かを判定する。
【0084】
図8に示すように、信号処理部220は、フレームメモリー210に格納される1フレーム分の入力画像データから1画素分のRGBデータを取得する(ステップS21)。既に説明したように、RGBデータは、赤色画素値、緑色画素値及び青色画素値を含む第2色情報である。
【0085】
信号処理部220は、ステップS21で取得した1画素分のRGBデータをHSVデータに変換する(ステップS22)。HSVデータは、1画素分の第2色情報に対応する第1色情報である。そして、信号処理部220は、記憶部230に保存されている消費電流テーブルを参照することにより、HSVデータに含まれる色相、明度及び彩度の組み合わせに対応する1画素当たりの消費電流を取得する(ステップS23)。
【0086】
信号処理部220は、1フレーム分の消費電流を取得したか否かを判定する(ステップS24)。信号処理部220は、1フレーム分の消費電流を取得していないと判定した場合(ステップS24:NO)、ステップS21に戻って、フレームメモリー210に格納される1フレーム分の入力画像データから別の1画素分のRGBデータを取得する。そして、信号処理部220は、再び、ステップS22及びステップS23を実行することにより、別の1画素分のRGBデータから変換されたHSVデータに対応する1画素当たりの消費電流を取得する。
【0087】
信号処理部220は、上記のステップS21からステップS24までの処理を、1フレーム分の消費電流を取得するまで繰り返す。これにより、1フレーム分の入力画像データに含まれる全画素のRGBデータから変換されたHSVデータに対応する1画素当たりの消費電流が得られる。
【0088】
信号処理部220は、1フレーム分の消費電流を取得したと判定した場合(ステップS24:YES)、ステップS21からステップS24までの処理を繰り返すことで得られた1画素当たりの消費電流の総和を、表示パネル11の総消費電流として算出する(ステップS25)。
【0089】
そして、信号処理部220は、1画素当たりの消費電流の総和、すなわち表示パネル11の総消費電流が閾値以上か否かを判定する(ステップS26)。総消費電流と比較される閾値は、ユーザーMが任意の値に設定できる構成としてもよい。信号処理部220は、総消費電流が閾値未満である場合(ステップS26:NO)、
図8の消費電流算出処理を終了する。
【0090】
一方、信号処理部220は、総消費電流が閾値以上である場合(ステップS26:YES)、総消費電流が閾値以上となる状態が所定期間継続したか否かを判定する(ステップS27)。例えば、所定期間とは、5フレームに相当する期間である。この所定期間は、ユーザーMが任意の値に設定できる構成としてもよい。
【0091】
信号処理部220は、総消費電流が閾値以上となる状態が所定期間継続していないと判定した場合(ステップS27:NO)、
図8の消費電流算出処理を終了する。
【0092】
一方、信号処理部220は、総消費電流が閾値以上となる状態が所定期間継続したと判定した場合(ステップS27:YES)、次フレームから明度変更処理を開始することを決定する(ステップS28)。
【0093】
上記の説明から理解されるように、信号処理部220は、入力画像データに含まれるRGBデータ(第2色情報)を、1画素単位でHSVデータ(第1色情報)に変換し、1画素単位で得られたHSVデータと、消費電流テーブルとに基づいて、表示パネル11の総消費電流を算出する。
【0094】
表示パネル11の総消費電流が閾値以上となる状態が所定期間継続した場合、表示パネル11の消費電力が高い状態が所定期間継続したことを意味する。信号処理部220は、上記のように、表示パネル11の消費電力が高い状態が所定期間継続した場合に、次フレームから、表示パネル11の消費電力を下げるための明度変更処理を実行する。
【0095】
図9は、信号処理部220が実行する明度変更処理を示すフローチャートである。信号処理部220は、1フレーム単位で、
図9に示される明度変更処理を実行する。
【0096】
図9に示すように、信号処理部220は、明度変更処理を開始すると、まず、フレームメモリー210に格納される1フレーム分の入力画像データから1画素分のRGBデータを取得する(ステップS31)。そして、信号処理部220は、ステップS31で取得した1画素分のRGBデータをHSVデータに変換する(ステップS32)。
【0097】
続いて、信号処理部220は、記憶部230に記憶されている明度変更率テーブルを参照することにより、HSVデータに含まれる色相の値に対応する明度変更率を取得する(ステップS33)。
【0098】
図10は、明度変更率テーブルの一例を示す図である。
図10において、横軸は色相を示し、縦軸は明度変更率を示す。
図10に示すように、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、120°の色相に対応する明度変更率が最大値100%に設定され、300°の色相に対応する明度変更率が最小値に設定される。120°の色相は、緑色に対応する。すなわち、明度変更率テーブルにおいて、色相が緑色から離れるほど、明度を低下させるように明度変更率が設定される。
【0099】
人間の眼の明るさの感度特性は、緑色に敏感である。従って、上記のように、色相が緑色から離れるほど、明度を低下させるように明度変更率が設定されることにより、ユーザーMが体感する輝度低下感を抑制しながら、表示パネル11の消費電力を下げることができる。
【0100】
300°の色相に対応する明度変更率の最小値は、特に限定されないが、表示品質と消費電力とのバランスを考慮した値に設定することが好ましく、また、ユーザーMが自由に設定できる構成としてもよい。120°の色相から300°の色相までの区間における明度変更率の設定値についても、特に限定されないが、表示品質と消費電力とのバランスを考慮して、この区間における明度変更率の設定値を決定することが好ましく、また、ユーザーMが自由に設定できる構成としてもよい。
【0101】
例えば、
図10に示すように、120°の色相から180°の色相までの区間では、色が緑色に固定されるため、この区間では明度変更率を100%に設定してもよい。また、
図10に示すように、180°の色相から240°の色相までの区間では、緑色がゼロに向かって徐々に減少するため、この区間では明度変更率を100%から徐々に下げてもよい。また、
図10に示すように、240°の色相から300°の色相までの区間では、緑色がゼロになるため、この区間では明度変更率を最小値に設定してもよい。
【0102】
以下、
図9に戻って説明を続ける。
信号処理部220は、上記のように、HSVデータに含まれる色相の値に対応する明度変更率を取得した後、明度変更率に基づいて、HSVデータに含まれる明度を変更する(ステップS34)。具体的には、信号処理部220は、HSVデータに含まれる明度の値に明度変更率を乗算することにより、HSVデータに含まれる明度を変更する。
【0103】
続いて、信号処理部220は、ステップS34の処理によって変更された明度の値と、オリジナルの色相及び彩度の値を含むHSVデータをRGBデータに変換する(ステップS35)。そして、信号処理部220は、ステップS35の処理によって得られたRGBデータをパネル駆動部240に転送する(ステップS36)。
【0104】
信号処理部220は、1フレーム分の明度変更が完了したか否かを判定する(ステップS37)。信号処理部220は、1フレーム分の明度変更が完了したと判定した場合(ステップS37:YES)、今回フレームでの明度変更処理を終了する。
【0105】
一方、信号処理部220は、1フレーム分の明度変更が完了していないと判定した場合(ステップS37:NO)、ステップS31に戻って、フレームメモリー210に格納される1フレーム分の入力画像データから別の1画素分のRGBデータを取得する。
【0106】
そして、信号処理部220は、再び、ステップS32からステップS34を実行することにより、別の1画素分のRGBデータから変換されたHSVデータに含まれる明度を変更する。そして、信号処理部220は、再び、ステップS34の処理によって変更された明度の値と、オリジナルの色相及び彩度の値を含むHSVデータをRGBデータに変換して、パネル駆動部240に転送する。
【0107】
信号処理部220は、上記のステップS31からステップS37までの処理を、1フレーム分の明度変更が完了するまで繰り返す。これにより、1フレーム分の入力画像データに含まれる全画素分のRGBデータが、HSV色空間において明度が変更されたRGBデータに変換されて、パネル駆動部240に転送される。言い換えれば、信号処理部220は、上記の明度変更処理を実行することにより、入力画像データに基づいて、HSV色空間において明度が変更された出力画像データを生成してパネル駆動部240に出力する。
【0108】
パネル駆動部240は、信号処理部220から出力される出力画像データに基づく出力画像が表示パネル11に表示されるように、第1制御信号及び第2制御信号を生成して表示パネル11に出力する。これにより、表示パネル11には、入力画像データが示す入力画像と比較して、明度、すなわち輝度が低い出力画像が表示される。
【0109】
上記の説明から理解されるように、信号処理部220は、表示パネル11の総消費電流が閾値以上の場合に、以下の処理を実行する。
すなわち、信号処理部220は、入力画像データに含まれるRGBデータ(第2色情報)を、1画素単位でHSVデータ(第1色情報)に変換する。
信号処理部220は、1画素単位で、HSVデータに含まれる色相に対応する明度変更率を明度変更率テーブルから取得する。
信号処理部220は、1画素単位で、取得した明度変更率に基づいてHSVデータに含まれる明度を変更する。
信号処理部220は、1画素単位で、明度が変更されたHSVデータを、RGBデータに変換することにより、出力画像データを生成する。
【0110】
上記のように、信号処理部220が明度変更処理を実行することにより、表示パネル11の消費電力を下げることができる。しかしながら、入力画像データに含まれるRGBデータによっては、明度変更率テーブルによって規定される色相と明度変更率との関係が、RGBデータから変換されたHSVデータに適合せず、表示パネル11に表示される出力画像に対して、ユーザーMが違和感を持つ可能性がある。
【0111】
この問題に対処するために、信号処理部220は、明度変更率テーブルの内容をリアルタイムで調整する第2テーブル調整処理を実行する。
図11は、信号処理部220が実行する第2テーブル調整処理を示すフローチャートである。信号処理部220は、1フレーム単位で、明度変更処理と並行して第2テーブル調整処理を実行する。
【0112】
図11に示すように、信号処理部220は、入力画像データに基づいて、入力画像のエッジ強度を算出する(ステップS41)。そして、信号処理部220は、明度変更処理によって得られた出力画像データに基づいて、出力画像のエッジ強度を算出する(ステップS42)。
【0113】
信号処理部220は、出力画像のエッジ強度が、入力画像のエッジ強度より大きいか否かを判定する(ステップS43)。信号処理部220は、出力画像のエッジ強度が、入力画像のエッジ強度より大きい場合(ステップS43:YES)、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第1所定量だけ上げる(ステップS44)。第1所定量は、特に限定されないが、ユーザーMによって自由に設定できる構成としてもよい。
【0114】
一方、信号処理部220は、出力画像のエッジ強度が、入力画像のエッジ強度より小さい場合(ステップS43:NO)、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第2所定量だけ下げる(ステップS45)。第2所定量は、特に限定されないが、ユーザーMによって自由に設定できる構成としてもよい。
【0115】
信号処理部220が上記の第2テーブル調整処理を、明度変更処理と並行して1フレーム単位で実行することにより、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率が、入力画像及び出力画像のそれぞれのエッジ強度に応じてリアルタイムに調整される。これにより、表示パネル11に表示される出力画像に対して、ユーザーMが違和感を持つことを抑制できる。
【0116】
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の表示装置10は、複数の画素40を有する表示パネル11と、複数の画素11の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示す消費電流テーブルを記憶する記憶部230と、第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって複数の画素40の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、表示パネル11に表示される出力画像を示す出力画像データを生成する信号処理部220と、を備える。
信号処理部220は、入力画像データに含まれる第2色情報を、1画素単位で第1色情報に変換し、1画素単位で得られた第1色情報と、消費電流テーブルとに基づいて、表示パネル11の総消費電流を算出する。
【0117】
上記のように本実施形態の表示装置10では、入力画像データに含まれる第2色情報を、1画素単位で第1色情報に変換し、1画素単位で得られた第1色情報と、消費電流テーブルとに基づいて、表示パネル11の総消費電流を算出する。従って、本実施形態の表示装置10によれば、従来技術のように、表示パネル11の負荷を推定するために、表示パネル11に流れる電流を検出する電流センサーを設ける必要がないため、表示装置10の小型化を実現できる。
【0118】
本実施形態の表示装置10において、第1色空間は、HSV色空間であり、第1色情報は、色相、彩度、及び明度の3つの成分を含む。
記憶部230は、明度が変更される割合を示す明度変更率と、色相との関係を示す明度変更率テーブルをさらに記憶する。
信号処理部220は、表示パネル11の総消費電流が閾値以上の場合に、以下の処理を実行する。
すなわち、信号処理部220は、入力画像データに含まれるRGBデータ(第2色情報)を、1画素単位でHSVデータ(第1色情報)に変換する。
信号処理部220は、1画素単位で、HSVデータに含まれる色相に対応する明度変更率を明度変更率テーブルから取得する。
信号処理部220は、1画素単位で、取得した明度変更率に基づいてHSVデータに含まれる明度を変更する。
信号処理部220は、1画素単位で、明度が変更されたHSVデータを、RGBデータに変換することにより、出力画像データを生成する。
【0119】
上記のような本実施形態の表示装置10によれば、表示パネル11の総消費電流が閾値以上の場合、すなわち、表示パネル11の消費電力が高い場合に、出力画像データに基づいて表示パネル11に表示される出力画像の明度が、明度変更率テーブルに従って変更されるため、表示パネル11の消費電力を下げることができる。
【0120】
本実施形態の表示装置10において、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、120°の色相に対応する明度変更率が最大値に設定され、300°の色相に対応する明度変更率が最小値に設定される。
【0121】
120°の色相は、緑色に対応する。人間の眼の明るさの感度特性は、緑色に敏感である。従って、上記のように、色相が緑色から離れるほど、明度を低下させるように明度変更率が設定されることにより、ユーザーMが体感する輝度低下感を抑制しながら、表示パネル11の消費電力を下げることができる。
【0122】
本実施形態の表示装置10において、信号処理部220は、以下の処理を実行する。すなわち、信号処理部220は、入力画像データに基づいて入力画像のエッジ強度を算出する。信号処理部220は、出力画像データに基づいて出力画像のエッジ強度を算出する。信号処理部220は、出力画像のエッジ強度が、入力画像のエッジ強度より大きい場合に、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第1所定量だけ上げる。信号処理部220は、出力画像のエッジ強度が、入力画像のエッジ強度より小さい場合に、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第2所定量だけ下げる。
【0123】
信号処理部220が上記の処理を実行することにより、明度変更率テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率が、入力画像及び出力画像のそれぞれのエッジ強度に応じてリアルタイムに調整される。これにより、表示パネル11に表示される出力画像に対して、ユーザーMが違和感を持つことを抑制できる。
【0124】
本実施形態の表示装置10において、第2色空間は、RGB色空間であり、第2色情報は、赤色画素値、緑色画素値、及び青色画素値の3つの成分を含む。
一般的に、表示装置10に供給される映像信号に含まれる入力画像データは、RGB色空間における第2色情報によって各画素40の色を指定するデータであることが多いため、第2色空間をRGB色空間とすることにより、表示装置10の汎用性を高めることができる。
【0125】
本実施形態の光学モジュール111は、表示装置10と、表示装置10の表示パネル11から出射される画像光Gを投射する投射光学系15と、投射光学系15から投射される画像光Gを所定の位置まで導き、所定の位置から虚像光として出射する導光装置20と、を備える。
上記のように、本実施形態の光学モジュール111は、小型化を実現できる表示装置10を備える。つまり、本実施形態によれば、光学モジュール111の小型化を実現できる。
【0126】
本実施形態の電子機器の一例であるHMD100は、光学モジュール111を備える。
上記のように、HMD100は、小型化を実現できる光学モジュール111を備える。従って、本実施形態によれば、HMD100の小型化を実現できる。
【0127】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、以下のような変形例が考えられる。
【0128】
(1)上記実施形態では、1枚の表示パネル11を備える表示装置10を例示した。本開示はこれに限定されず、複数の表示パネルを備える表示装置を、光学モジュール111の表示装置として採用してもよい。この場合、例えば、表示装置は、赤色画素のみを有する第1表示パネルと、緑色画素のみを有する第2表示パネルと、青色画素のみを有する第3表示パネルとの3つの表示パネルを備える。また、この場合、表示装置は、第1表示パネルから出射される赤色の画像光と、第2表示パネルから出射される緑色の画像光と、第3表示パネルから出射される青色の画像光とを合成して、カラーの画像光を生成するダイクロイックプリズムを備える。ダイクロイックプリズムから出射されるカラーの画像光が、投射光学系15に入射される。
【0129】
(2)上記実施形態では、光学モジュール111が、左眼用の第1光学モジュール111Aと、右眼用の第2光学モジュール111Bと、を備える形態を例示した。本開示はこれに限定されず、光学モジュール111は、第1光学モジュール111Aと第2光学モジュール111Bとのいずれか一方のみを備えてもよい。
【0130】
(3)上記実施形態では、光学モジュール111を備える電子機器、すなわち表示装置10を備える電子機器として、HMD100を例示した。本開示はこれに限定されず、表示装置10を備える電子機器として、パーソナルコンピューター用のディスプレイ装置、プロジェクター、スマートフォン、及びタブレット端末などが挙げられる。
【0131】
〔本開示のまとめ〕
以下、本開示のまとめを付記する。
【0132】
(付記1)複数の画素を有するパネルと、前記複数の画素の各々が表示する色に関する第1色空間における第1色情報と、1画素当たりの消費電流との関係を示す第1テーブルを記憶する記憶部と、前記第1色空間とは異なる第2色空間における第2色情報によって前記複数の画素の各々が表示する色を指定する入力画像データに基づいて、前記パネルに表示される出力画像を示す出力画像データを生成する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、前記入力画像データに含まれる前記第2色情報を、1画素単位で前記第1色情報に変換し、前記1画素単位で得られた前記第1色情報と、前記第1テーブルとに基づいて、前記パネルの総消費電流を算出する、表示装置。
【0133】
付記1に記載の表示装置では、入力画像データに含まれる第2色情報を、1画素単位で第1色情報に変換し、1画素単位で得られた第1色情報と、第1テーブルとに基づいて、パネルの総消費電流を算出する。従って、付記1に記載の表示装置によれば、パネルの負荷を推定するために、パネルに流れる電流を検出する電流センサーを設ける必要がないため、表示装置の小型化を実現できる。
【0134】
(付記2)前記第1色空間は、HSV色空間であり、前記第1色情報は、色相、彩度、及び明度の3つの成分を含み、前記記憶部は、前記明度が変更される割合を示す明度変更率と、前記色相との関係を示す第2テーブルをさらに記憶し、前記信号処理部は、前記パネルの前記総消費電流が閾値以上の場合に、前記入力画像データに含まれる前記第2色情報を、前記1画素単位で前記第1色情報に変換し、前記1画素単位で、前記第1色情報に含まれる前記色相に対応する前記明度変更率を前記第2テーブルから取得し、前記1画素単位で、前記明度変更率に基づいて前記第1色情報に含まれる前記明度を変更し、前記1画素単位で、前記明度が変更された前記第1色情報を、前記第2色情報に変換することにより、前記出力画像データを生成する、付記1に記載の表示装置。
【0135】
付記2に記載の表示装置によれば、パネルの総消費電流が閾値以上の場合、すなわち、パネルの消費電力が高い場合に、出力画像データに基づいてパネルに表示される出力画像の明度が、第2テーブルに従って変更されるため、パネルの消費電力を下げることができる。
【0136】
(付記3)前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、120°の色相に対応する明度変更率が最大値に設定され、300°の色相に対応する明度変更率が最小値に設定される、付記2に記載の表示装置。
【0137】
120°の色相は、緑色に対応する。人間の眼の明るさの感度特性は、緑色に敏感である。従って、付記3のように、色相が緑色から離れるほど、明度を低下させるように明度変更率が設定されることにより、表示装置を利用するユーザーが体感する輝度低下感を抑制しながら、パネルの消費電力を下げることができる。
【0138】
(付記4)前記信号処理部は、前記入力画像データに基づいて入力画像のエッジ強度を算出し、前記出力画像データに基づいて前記出力画像のエッジ強度を算出し、前記出力画像の前記エッジ強度が、前記入力画像の前記エッジ強度より大きい場合に、前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率を第1所定量だけ上げ、前記出力画像の前記エッジ強度が、前記入力画像の前記エッジ強度より小さい場合に、前記第2テーブルに含まれる前記明度変更率のうち、前記300°の色相に対応する明度変更率を第2所定量だけ下げる、付記2または3に記載の表示装置。
【0139】
付記4に記載の表示装置によれば、信号処理部が上記の処理を実行することにより、第2テーブルに含まれる明度変更率のうち、300°の色相に対応する明度変更率が、入力画像及び出力画像のそれぞれのエッジ強度に応じてリアルタイムに調整される。これにより、パネルに表示される出力画像に対して、ユーザーが違和感を持つことを抑制できる。
【0140】
(付記5)記第2色空間は、RGB色空間であり、前記第2色情報は、赤色画素値、緑色画素値、及び青色画素値の3つの成分を含む、付記1から4のいずれか一項に記載の表示装置。
【0141】
一般的に、表示装置に供給される映像信号に含まれる入力画像データは、RGB色空間における第2色情報によって各画素の色を指定するデータであることが多いため、第2色空間をRGB色空間とすることにより、表示装置の汎用性を高めることができる。
【0142】
(付記6)付記1から5のいずれか一項に記載の表示装置と、前記表示装置の前記パネルから出射される画像光を投射する投射光学系と、前記投射光学系から投射される前記画像光を所定の位置まで導き、前記所定の位置から虚像光として出射する導光装置と、を備える光学モジュール。
【0143】
付記6に記載の光学モジュールは、小型化を実現できる表示装置を備える。つまり、付記6によれば、光学モジュールの小型化を実現できる。
【0144】
(付記7)付記1から5のいずれか一項に記載の表示装置を備える電子機器。
【0145】
付記7に記載の電子機器は、小型化を実現できる表示装置を備える。つまり、付記7によれば、電子機器の小型化を実現できる。
【0146】
(付記8)請求項6に記載の光学モジュールを備える電子機器。
【0147】
付記8に記載の電子機器は、小型化を実現できる光学モジュールを備える。従って、付記8によれば、電子機器の小型化を実現できる。
【符号の説明】
【0148】
100…ヘッドマウントディスプレイ(電子機器)、111…光学モジュール、111A…第1光学モジュール、111B…第2光学モジュール、120…フレーム、10…表示装置、11…表示パネル、12…制御基板、15…投射光学系、20…導光装置、40…画素、40R…赤色画素、40G…緑色画素、40B…青色画素、210…フレームメモリー、220…信号処理部、230…記憶部、240…パネル駆動部、150…通信ケーブル、M…ユーザー