(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158766
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074274
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】永渕 尚之
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223BA04
3C223CC04
3C223FF09
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH28
(57)【要約】
【課題】発電プラントの起動を効率的に行う。
【解決手段】発電プラントデータ処理装置は、発電プラントデータ処理装置は、発電プラントが備える複数の機器について重要度が機器毎に登録された機器データベースと、起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように機器を制御する起動シーケンス制御部と、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される機器を表す機器情報を入力する機器情報入力部と、機器データベースに登録されている重要度を機器情報に基づいて更新する重要度更新部と、を備え、機器情報および重要度に基づき当該起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す作業情報を提示する作業情報提示部と、機器情報と重要度に基づき制御目標を変更する制御目標変更部と、の少なくとも一方を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースと、
前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御する起動シーケンス制御部と、
発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力する機器情報入力部と、
前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新する重要度更新部と、
を備えるとともに、
前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示する作業情報提示部と、
前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更する制御目標変更部と、
の少なくとも一方を備える
発電プラントデータ処理装置。
【請求項2】
前記発電プラントデータ処理装置が前記作業情報提示部を備える場合に、
前記作業情報提示部は、前記機器情報に含まれる各前記機器に関する作業情報と、前記重要度が所定の第1閾値より大きい各前記機器に関する作業情報とを提示する
請求項1に記載の発電プラントデータ処理装置。
【請求項3】
前記発電プラントデータ処理装置が前記制御目標変更部を備える場合に、
前記制御目標変更部は、前記次回の起動シーケンス前に実施された起動シーケンスにおいて不具合が発生せず、かつ、前記重要度が所定の第2閾値より小さい前記機器に関する前記制御目標を緩和するように変更する
請求項1又は2に記載の発電プラントデータ処理装置。
【請求項4】
前記発電プラントデータ処理装置が前記作業情報提示部を備える場合に、
前記作業情報提示部は、起動シーケンスを実施しているときに、当該起動シーケンスのそれぞれの段階において、当該段階に応じた前記機器に対する作業情報を提示する
請求項1又は2に記載の発電プラントデータ処理装置。
【請求項5】
前記発電プラントデータ処理装置が前記作業情報提示部を備える場合に、
前記作業情報提示部は、起動シーケンスを実施してるときに、当該起動シーケンスのそれぞれの段階において、当該段階に応じた前記機器に対する作業情報を提示する
請求項3に記載の発電プラントデータ処理装置。
【請求項6】
前記起動シーケンスは、予め定められた順序または手順に従って発電プラントの停止制御の各段階を複数の制御目標を設定して逐次進める制御を示す
請求項1に記載の発電プラントデータ処理装置。
【請求項7】
発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースを用いて、
前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御するステップと、
発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力するステップと、
前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新するステップと、
を含むとともに、
前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示するステップと、
前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更するステップと、
の少なくとも一方を含む
を含む発電プラントデータ処理方法。
【請求項8】
発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースを用いて、
前記起動シーケンスは予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御するステップと、
発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力するステップと、
前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新するステップと、
をコンピュータに実行させるとともに、
前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示するステップと、
前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更するステップと、
の少なくとも一方を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、火力発電プラントの通常運転中のプラントデータ仕様を用いた火力発電プラントの制御および故障分析方法の一例が記載されている。特許文献1に記載されている方法では、火力発電所における1または複数の制御ループを制御する際のギャップを特定し、需要を満たすために少なくとも1つの設定点を繰り返し操作することで、プラントデータ仕様が更新される。特許文献1に記載されている方法によれば、プラントデータ仕様を定期的に更新することでプラントを効率的に制御することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は通常運転における制御ループの設定点を更新するものであるため、例えば、発電プラントの起動を効率的に行うのには適していないという課題があった。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、発電プラントの起動を効率的に行うことができる発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る発電プラントデータ処理装置は、発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースと、前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御する起動シーケンス制御部と、発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力する機器情報入力部と、前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新する重要度更新部と、を備えるとともに、前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示する作業情報提示部と、前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更する制御目標変更部と、の少なくとも一方を備える。
【0007】
本開示に係る発電プラントデータ処理方法は、発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースを用いて、前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御するステップと、発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力するステップと、前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新するステップと、を含むとともに、前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示するステップと、前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更するステップと、の少なくとも一方を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、発電プラントが備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベースを用いて、前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御するステップと、発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力するステップと、前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新するステップと、をコンピュータに実行させるとともに、前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスを開始する前に行うべき作業を表す情報である作業情報を提示するステップと、前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更するステップと、の少なくとも一方を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムによれば、発電プラントの起動を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る発電プラントの構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るプラント統括制御装置の構成例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る起動シーケンスの例を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に係る機器データベースの構成例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係るプラント統括制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本開示の実施形態に係るプラント統括制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示に係る発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムの実施形態について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る発電プラントの構成例を示す図である。
図2は、本開示の実施形態に係るプラント統括制御装置の構成例を示す図である。
図3は、本開示の実施形態に係る起動シーケンスの例を示すフローチャートである。
図4は、本開示の実施形態に係る機器データベースの構成例を示す図である。
図5および
図6は、本開示の実施形態に係るプラント統括制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0012】
本開示に係る発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムは、停止状態(発電していない状態)の発電プラント100を起動する際に、所定のシーケンスに従って起動した場合に、発電状態に至らなかったとき、再度の起動に要する時間、手間等を削減することで、次回の発電プラントの起動を効率的に行うことを一つの特徴としている。
【0013】
(発電プラントの構成)
図1は、本開示の実施形態に係る発電プラントの構成例を示す。
図1に示す発電プラント100は、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電プラントであり、ガスタービン10と、排熱回収ボイラ20と、発電機30と、蒸気タービン40と、LNG(Liquefied Natural Gas)タンク61と、クラッチA62と、クラッチB63と、復水器64と、蒸気弁65および66と、バイパス弁67および68と、変圧器71と、遮断器A72と、発電プラント制御装置80と、プラント統括制御装置301とを備える。遮断器A72は、変圧器71を介して、発電機30と系統(電力系統)73とを接続または遮断する。なお、本実施形態では、各図や各図の説明において、遮断器A72の「接続」を「閉」、「遮断」を「開」とも表記する。また、クラッチの「嵌合(=伝達)」を「閉」、「離脱(=遮断)」を「開」とも表記する。また、プラント統括制御装置301は、本開示に係る「発電プラントデータ処理装置」の一構成例である。
【0014】
ガスタービン10は、空気圧縮機13と、燃焼器12と、タービン11と、タービン11および空気圧縮機13の回転軸14とを備える。ガスタービン10は、燃焼器12で、空気圧縮機13で圧縮した空気と燃料の天然ガス201とを混合して燃焼させ、流体である燃焼ガスをタービン11内の回転翼にあてて、流体の運動エネルギーを回転運動に変換して回転動力を得る原動機である。
【0015】
排熱回収ボイラ20は、ガスタービン10から排出されたガスタービン排気ガス202の排熱を回収して蒸気205および206を発生する。また、排熱回収ボイラ20は、ガスタービン排気ガス202から排熱を回収するとともに、脱硫処理等をした後、排熱回収ボイラ排気ガス203として排気し、図示していない煙突等から大気中に排出する。
【0016】
発電機30は、同期電機機械であり、同軸の回転軸31と回転軸32とを備える。回転軸31は、クラッチA62を介してガスタービン10の回転軸に離脱自在に嵌合される。回転軸32は、クラッチB63を介して蒸気タービン40の回転軸44に離脱自在に嵌合される。クラッチA62およびクラッチB63は、例えば、湿式多板クラッチである。発電機30は、クラッチA62およびクラッチB63をともに嵌合した状態で、ガスタービン10および蒸気タービン40の動力を電力に変換する同期発電機として動作し、系統運用者側から要求された有効電力を目標として、系統73に対して有効電力を供給する。本実施形態では、この動作モードを有効電力運転という。また、発電機30は、クラッチA62およびクラッチB63をともに離脱した状態で、同期調相機(Synchronous Condenser)として運転され、系統運用者側から要求された無効電力を目標として、系統73に対して無効電力を供給する。本実施形態では、この動作モードを同期調相運転という。また、明細書または図面では、ガスタービンをGT、蒸気タービンをSTと略記することがある。
【0017】
蒸気タービン40は、低圧タービン41と、高圧タービン42と、低圧タービン41および高圧タービン42の回転軸43と回転軸44とを備える。蒸気タービン40は、排熱回収ボイラ20が発生した蒸気205、206等を利用する。低圧タービン41は、排熱回収ボイラ20で生成された蒸気206を蒸気弁65を介して流入させて回転翼にあてて回転動力を得る原動機である。高圧タービン42は、排熱回収ボイラ20で生成された蒸気205を蒸気弁66を介して流入させて回転翼にあてて回転動力を得る原動機である。
【0018】
復水器64は、蒸気タービン40を通過した蒸気とバイパス弁67または68を通過した蒸気を復水する。復水器64で復水された水は、ポンプ等を介して排熱回収ボイラ20へ給水204として戻される。
【0019】
発電プラント制御装置80は、1または複数のコンピュータとそのコンピュータの周辺装置や周辺回路等のハードウェアを用いて構成することができる。発電プラント制御装置80は、例えば、発電プラント100に設置されている複数のセンサ(不図示)が計測した蒸気温度、蒸気圧力、蒸気流量、軸回転数、給水流量、GT排気温度、クラッチ状態等の各情報を、直接あるいはプラント統括制御装置301や他の制御装置(不図示)を介して取得する。なお、蒸気温度は、例えば、蒸気205、206等の排熱回収ボイラ20で発生した1または複数種類の蒸気の温度である。軸回転数は、回転軸14の回転数である。給水流量は、給水204の流量である。GT排気温度は、ガスタービン10の排気202の温度である。クラッチ状態は、クラッチA62の嵌合または離脱の状態を示す情報である。また、発電プラント制御装置80は、クラッチA62、クラッチB63、蒸気弁65および66、バイパス弁67および68、遮断器A72等の各機器を、直接あるいはプラント統括制御装置301や他の制御装置(不図示)を介して制御する。
【0020】
また、プラント統括制御装置301は、例えばサーバ等のコンピュータであり、発電プラント100を備えるプラント全体を統括的に制御する。プラント統括制御装置301は、例えば、系統運用者管理装置302から有効電力発電要求や無効電力発電要求を受けて発電プラント制御装置80へ所定の指示を出力したり、発電プラント制御装置80から系統運用者管理装置302への応答を伝達したりする。
【0021】
また、系統運用者管理装置302は、系統73の運用管理者が運用するサーバ等のコンピュータであり、例えば運用管理者の指示の下、プラント統括制御装置301に対して有効電力発電要求や無効電力発電要求を送信する。
【0022】
(プラント統括制御装置の機能的構成)
図2に示すように、
図1に示すプラント統括制御装置301は、コンピュータ等のハードウェアと、そのコンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせ等から構成される機能的構成として、起動シーケンス制御部3011と、機器データベース3012と、機器情報入力部3013と、重要度更新部3014と、作業情報提示部3015と、制御目標変更部3016とを備える。
【0023】
起動シーケンス制御部3011は、所定の起動シーケンスによって、例えば発電プラント制御装置80と連携して発電プラント100が備える各機器を制御し、停止状態の発電プラント100を起動し、発電機30による発電を開始し、系統73に電力を供給する。なお、本実施形態において起動シーケンスとは、
図3に模式的に示すように、予め定められた順序または手順に従って発電プラント100の起動制御の各段階A、段階B1、段階B2、段階C、段階Dを、複数の制御目標A1、A2、A3、…、B21、B22、B23、…等を設定して逐次進める制御である。各段階A、段階B1、段階B2、段階C、段階Dは、例えば、復水クリーンアップ、低圧クリーンアップ、高圧クリーンアップ、ボイラ点火、タービン起動等である。制御目標A1、A2、A3、…、B21、B22、B23、…は、例えば、温度、圧力、流量、回転数等に関する各段階における目標値であり、各機器等の計測値が、この目標値に対する所定の条件を満たさない場合に不具合が生じていることが推定される。また、各機器は、例えば、弁、ポンプ、センサ、サイリスタ制御装置等であるが、限定はない。また、各機器は、例えば、GT、ST、発電機等の主機と、主機以外の機器である補機の両方を含んでもよいし、補機のみを含んでもよい。この場合、起動シーケンス制御部3011は、起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラント100の起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように機器を制御する。
【0024】
機器データベース3012は、発電プラント100が備える複数の機器について発電プラント100の起動シーケンスにおける監視の重要度が機器毎に登録されたデータベースである。機器データベース3012は、例えば
図4に示すように、機器毎に、機器名称、系統番号、段階、制御目標、運用形態、重要度、不具合発生の有無、および、制御目標の緩和を対応付けるデータを含んでいる。機器名称は各機器の識別情報である。系統番号は発電プラント100内の複数の系統の識別情報である。ここで、発電プラント100内の複数の系統は、例えば、蒸気系統、排気系統、電気系統、油圧系統、冷却水系統、潤滑油系統、送気系統等の管やケーブルによって他の系統と分離して移送される要素の流れである。段階は、前述の通り、発電プラント100の起動制御における各段階を示し、制御目標も前述の通り、各段階における機器の制御に係る目標値を示している。運用形態は、起動、停止、負荷運転、無負荷運転等の運転モードである。なお、
図4に示す例は、1回目の起動シーケンスを実行し、当該起動シーケンスが完了せず、機器名称BBの機器(以下、機器BB等ともいう)に不具合が推定(あるいは確認)された場合の例を示している。
【0025】
重要度は、起動シーケンスあるいは起動シーケンスの準備段階における監視の重要度である。本実施形態では一例として重要度を5段階として重要度5が最も重要度が高く、重要度1が最も重要度が低い。重要度は、例えば機器不具合発生による運用への影響が大きい場合に大きく設定することができる。
【0026】
重要度が大きい場合(例えば閾値を4として4以上の場合)、例えば発電プラント100を起動する場合には必ず事前の点検や起動途中の作業を要することと設定することができる。必ず事前の点検や起動途中の作業を要するとは、1回目の起動シーケンスを開始する前に点検を行うことや起動シーケンスに従った起動途中の段階で作業を行うことを示す。また、1回目の起動シーケンスを開始したが中断して起動シーケンスが完了しなかったという場合にその後再度(2回目の)起動シーケンスを行うとき、1回目の起動シーケンスで当該機器に不具合が発生しなかったとしても、2回目の起動シーケンスを開始する前に1回目と同じ点検を行うことや2回目の起動シーケンスに従った起動途中の段階で作業を行うということである。一方、重要度が小さい場合(例えば閾値を4として4未満の場合)、1回目の起動シーケンスで当該機器に不具合が発生しなかったときには、2回目の起動シーケンスを開始する前に1回目の前と同じ点検は行わないようにすると設定することや2回目の起動シーケンスに従った起動途中の段階で、1回目の起動シーケンスに従った起動途中の段階の作業と同じ作業を行わないようにすると設定することができる。
【0027】
また、重要度が小さい場合(例えば閾値を2として2以下の場合)、1回目の起動シーケンスで当該機器に問題がなかったとき、例えば1回目の起動シーケンスで採用した当該機器に係る制御目標を、2回目の起動シーケンスでは緩和する方向に変更するようにと設定することができる。制御目標の緩和とは、例えば、温度、圧力、流量、回転数等の目標値の許容範囲を広げたり、上限値や下限値を上昇あるいは下降させたりすることで、当該制御目標に到達するための時間を短縮することが見込まれるよう制御目標を変更するということを意味する。一方、重要度が大きい場合(例えば閾値を2として2より大きい場合)、1回目の起動シーケンスで当該機器に問題がなかったとしても、2回目の起動シーケンスでは1回目と同じ通常の制御目標を使用するよう設定することができる。
【0028】
不具合発生の有無は、1回目の起動シーケンスで当該機器に不具合が発生したか否か(あるいは不具合の発生が推定されるか否か)を示す情報である。
【0029】
また、制御目標の緩和は、当該機器に係る制御目標を緩和した場合の制御目標を示す情報である。制御目標の緩和は、すべての機器に設定されていなくてもよい。
【0030】
機器情報入力部3013は、発電プラント100の停止後、起動シーケンスを1回目に実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の機器を表す情報である「機器情報」を入力する。また、機器情報入力部3013は、発電プラント制御装置80を介して発電プラント100内の1または複数のセンサの計測値に基づいて不具合が発生した機器を推定し、当該機器を中断の原因として推定される機器として機器データベース3012に登録する。あるいは、機器情報入力部3013は、オペレータの入力操作に応じて指示された機器を、中断の原因として推定される機器として機器データベース3012に登録する。本実施形態において「機器情報」は機器データベース3012に「不具合発生の有無」が「有り」として登録されている機器を示す情報(「機器名称」等)である。この場合、 機器情報入力部3013は、発電プラント100の停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の機器を表す機器情報を入力する。
【0031】
重要度更新部3014は、機器データベース3012に登録されている重要度を「機器情報」に基づいて更新する。重要度更新部3014は、例えば、起動シーケンスにおいて正常動作した機器の重要度を低下させたり、不具合が発生した機器の重要度を上昇させたりする。その際、重要度更新部3014は、不具合が発生した機器と同一系統に属する他の機器の重要度を上昇させたり、機器間の関連性を示すデータを記録している他データベース(不図示)等を参照し、不具合が発生した機器と関連する他の機器の重要度を上昇させたりしてもよい。例えば
図4に示す例の場合、重要度更新部3014は、1回目で不具合が発生した機器BBの現在の重要度3を1だけ増やして4に更新する。
【0032】
作業情報提示部3015は、「機器情報」および重要度に基づき2回目の起動シーケンスを開始する前や2回目の起動シーケンスに従った起動途中の段階に行うべき作業を表す情報である作業情報を、所定の表示部に表示したり、所定の印刷装置に印刷したりすることで、オペレータ等に対して提示する。作業情報提示部3015は、「機器情報」に含まれる各機器(1回目で不具合が発生した機器)に関する作業情報と、重要度が所定の第1閾値(例えば5段階の3)より大きい各機器に関する作業情報とを提示する。例えば、
図4に示す例の場合、作業情報提示部3015は、1回目で不具合が発生した機器BBと、重要度が4の機器DDについて作業情報を提示する。作業情報は、例えば、当該機器の識別情報と、当該機器の配置情報、他の機器との接続情報、分解および組み立て要領を示す情報、点検の要領を示す情報等を含むことができる。この場合、作業情報提示部3015は、機器情報および重要度に基づき、実施された起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示する。その際、作業情報提示部3015は、例えば、機器情報に含まれる各機器(不具合発生有りの各機器)に関する作業情報と、重要度が所定の第1閾値より大きい各機器に関する作業情報とを提示してもよい。また、作業情報提示部3015は、例えば、起動シーケンスを実施しているときに、当該起動シーケンスのそれぞれの段階において、当該段階に応じた機器に対する作業情報を提示するようにしてもよい。
【0033】
制御目標変更部3016は、「機器情報」と重要度に基づき制御目標を変更する。制御目標変更部3016は、1回目の起動シーケンスにおいて不具合が発生せず、かつ、重要度が所定の第2閾値(例えば5段階の3)より小さい機器に関する制御目標を緩和するように変更する。例えば、
図4に示す例の場合、制御目標変更部3016は、1回目で不具合が発生せず、重要度が2の機器ZZについての制御目標を制御目標の緩和に登録された制御目標へ変更する。この場合、制御目標変更部3016は、次回の起動シーケンス前に実施された起動シーケンスにおいて不具合が発生せず、かつ、重要度が所定の第2閾値より小さい機器に関する制御目標を緩和するように変更する。
【0034】
(プラント統括制御装置の動作例)
図5及び
図6を参照してプラント統括制御装置301の動作例について説明する。
図5に示すフローチャートは、起動シーケンスに従った起動迄の処理を示しており、プロセッサ91(詳細後述)の制御の下、実行されるものである。ステップS11では、起動シーケンス制御部3011は、オペレータの指示を受け付けた後、発電プラント100を起動する処理を開始する。ステップS12では、起動シーケンス制御部3011は、各段階における機器の制御目標及び制御目標の緩和に関する情報を機器データベース3012から取得する。ステップS13では、起動シーケンス制御部3011は、現在の処理対象としている段階の前の段階における制御動作完了信号あるいは次段階の動作開始許可信号を検知すると、当該現在の処理対象としている段階に対応する作業情報を機器データベース3012から取得する。ステップS14では、作業情報提示部3015は、ステップS13で取得した作業情報を提示する。尚、作業情報の提示を行うにあたり、1回目の起動シーケンスでは、全ての機器に関する作業情報が提示されるが、前述したように、2回目の起動シーケンスでは、例えば、1回目の起動シーケンスにおいて不具合が発生した機器及び/又は重要度が所定の条件を満たす機器等を提示する。ステップS15では、起動シーケンス制御部3011は、現在の処理対象としている段階に対応する制御目標及び制御目標の緩和に関する情報をステップS12で取得した機器の制御目標及び制御目標の緩和に関する情報から取得する。取得した情報に制御目標の緩和に関する情報が存在しなければ制御目標に関する情報を用いて該当の機器を制御し、取得した情報に制御目標の緩和に関する情報が存在すれば制御目標の緩和に関する情報を用いて該当の機器を制御する。ステップS16では、機器情報入力部3013は、起動シーケンスが中断した場合、その中断の原因として推定される機器に関して機器情報を機器データベース3012へ登録する(不具合発生の有無に有りを登録する)。ステップS17では、起動シーケンス制御部3011は、起動シーケンスが終了したと判定した場合は、本処理を終了し、起動シーケンスが終了していないと判定した場合は、ステップS13へ処理を進め、次の段階に関して処理を継続する。
【0035】
図6に示すフローチャートは、制御目標を緩和する処理を示しており、プロセッサ91(詳細後述)の制御の下、実行されるものである。ステップS21では、重要度更新部3014が、機器データベース3012に登録されている重要度を機器情報に基づいて更新する。ステップS22では、制御目標変更部3016が、機器情報と重要度に基づき制御目標を変更する場合は、機器データベース3012の制御目標の緩和へ制御目標に関する情報を登録し、機器情報と重要度に基づき制御目標を変更しない場合は、機器データベース3012の制御目標の緩和へ無し(あるいは、登録しない)を登録して、
図6に示す処理を終了する。尚、
図6に示す処理は、起動シーケンスが中断したことを検知した後に開始しても良いし、ステップS16の処理が完了したタイミングで開始しても良いし(つまり各段階で処理を開始する)、1回目の起動シーケンスが中断した場合にオペレータの指示に基づいて開始しても良い。
【0036】
また、
図5のステップS16の処理は、
図5に示すフローチャートで行わずに、1回目の起動シーケンスが中断した場合に、前述したように機器情報入力部3013が、オペレータの入力操作に応じて指示された機器を、中断の原因として推定される機器として機器情報を機器データベース3012に登録してもよく、この場合、オペレータが機器情報を登録した後、
図6に示す処理を続けて処理することも可能である。
尚、本実施形態では、1回目の起動シーケンスと2回目の起動シーケンスとを例として説明を行ったが、1回目、2回目に限らず、〇回目の起動シーケンスと○回目の次回の起動シーケンスも対象とすることができることは言うまでもない。
【0037】
(作用・効果・変形例等)
本実施形態の発電プラントデータ処理装置、発電プラントデータ処理方法およびプログラムによれば、機器情報および重要度に基づき次回の起動シーケンスを開始する前に行うべき作業を表す情報である作業情報が提示され、また、機器情報と重要度に基づき制御目標が変更されるので、発電プラントの次回の起動を効率的に行うことができる。
また、このように特定の作業情報を表示することにより、例えば、1回目の起動シーケンスにおいて潤滑油ポンプの起動が成立した場合、2回目の起動シーケンスでは、潤滑油ポンプの起動信号がONとなったことを確認後、潤滑油の供給先としている軸受けの油温が正常であれば、ローカル制御系でのインターロック機能で保護されることから、起動シーケンスの途中過程において必要となる潤滑油ポンプの状態を確認する等の作業を省くことができる。
さらに、このように特定の作業情報を表示することにより、例えば、1回目の起動シーケンスにおいて制御用空気ポンプの空気圧制御操作端の信号偏差に関して異常がない場合は、2回目の起動シーケンスでは、制御用空気ポンプの起動信号がONとなったことを確認後、吐出空気圧が正常であれば、制御用空気ポンプの状態を確認する等の作業を省くことができる。
したがって、起動シーケンスの途中過程においても、本来なら実施すべき監視や作業等を省くことができるため、発電プラント100の起動を効率的に行うことが可能となる。
【0038】
なお、上述した監視の重要度は、プラントの利用形態により、任意に設定可能である。例えば、発電専用と蒸気供給を併用するプラントでは、発電と供給蒸気の重要度に応じて、機器の重要度も変わる場合がある。前者は発電が主目的であり、発電に関する機器および系統の重要度が大きい。後者では、蒸気供給が主目的であり、送気系統に配置される機器及び系統の重要度が相対的に大きくなる。
【0039】
また、不具合発生系統と機器が一致した機器の重要度を上昇させ、起動シーケンス上不具合発生機器使用前に作動する正常動作の機器は、次回の起動時の監視重要度を低くすることができる。また、不具合発生機器よりも重要度が高い機器については、作業情報の提示対象としてもよい。
【0040】
また、作業情報提示部3015は、例えば、プラントの3DおよびP&ID(Piping and Instruments Diagram)情報から、補機、主要弁、主要配管等の接続および配置情報をもとに、不具合発生機器情報(分解要領書、取り合い点等)の提示と、特定異常部位、分解・組立要領、および、復旧に必要な治具/工具情報を提示してもよい。また、作業情報提示部3015は、対象部位の不具合発生履歴と前回交換時納期と価格情報を提示してもよい。また、作業情報提示部3015は、P&ID-CAD(コンピュータ支援設計)には、センサ番号と取付位置および機器との接続系統情報(機器位置、接続寸法および取合い圧力/温度、センサ取付位置情報等)を線図化した情報と不具合発生履歴情報を提示するようにしてもよい。なお、不具合発生履歴は、同製品を使用している他プラントでの情報を共有する機能を有してもよい。また、作業情報提示部3015は、分解・組立要領をもとに、機器3D-CAD情報を活用し、予め機器構成部品を分解しておき、機器据付箇所までの搬入/搬出ルート及び吊下げ手順、分解/手順の3次元情報を提示してもよい。なお、吊下げ手順については、予め分解部位CADに過重点情報を付加してもよい。
【0041】
本実施形態によれば、以上の機能により、起動失敗後の再起動時間を、短縮することができる。さらにプラント起動時に機器不具合発生した場合において、機器修復後の復旧時間短縮支援に必要な情報を提示することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、以下の効果により、発電機会を逸する場合が低減できる。仮に補機不具合が生じた場合、分解/復旧支援により、計画外停止時間を短縮することができる。補機復旧手順支援により、補修担当者の作業熟練度の平均値を、向上することができる。
【0043】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。なお、上記実施形態ではガスタービンと蒸気タービンが同一軸で連結される一軸型のガスタービンコンバインドサイクル発電プラントとしたが、多軸型の構成であってもよい。また、発電プラントは、例えば、太陽光熱等、自然エネルギーを利用した発電プラントであってもよい。
また、本開示の実施形態では、起動シーケンスを対象に説明を行ったが、例えば発電プラント制御装置80と連携して発電プラント100が備える各機器を制御し、起動状態の発電プラント100を停止するための停止シーケンスを対象としても良い。
また、作業情報提示部3015と制御目標変更部3016のいずれか一方は省略してもよい。
【0044】
(コンピュータ構成)
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述のプラント統括制御装置301は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0045】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0046】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0047】
<付記>
本実施形態に記載のプラント統括制御装置301(発電プラントデータ処理装置)は、例えば以下のように把握される。
【0048】
(1)第1の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、発電プラント100が備える複数の機器について前記発電プラントの起動シーケンスにおける監視の重要度が前記機器毎に登録された機器データベース3012と、前記起動シーケンスにより予め定められた順序または手順に従って発電プラントの起動制御の各段階を複数の制御目標を満たすように前記機器を制御する起動シーケンス制御部3011と、発電プラントの停止後、起動シーケンスを実施した場合に当該起動シーケンスが中断したとき、中断の原因として推定される1または複数の前記機器を表す情報である機器情報を入力する機器情報入力部3013と、前記機器データベースに登録されている前記重要度を前記機器情報に基づいて更新する重要度更新部3014と、を備えるとともに、前記機器情報および前記重要度に基づき前記起動シーケンスに対する次回の起動シーケンスの実施に関して行うべき作業を表す情報である作業情報を提示する作業情報提示部3015と、前記機器情報と前記重要度に基づき前記制御目標を変更する制御目標変更部3016と、の少なくとも一方を備える。本態様および以下の態様によれば、発電プラントの起動を効率的に行うことができる。
【0049】
(2)第2の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、(1)の発電プラントデータ処理装置であって、前記作業情報提示部は、前記機器情報に含まれる各前記機器に関する作業情報と、前記重要度が所定の第1閾値より大きい各前記機器に関する作業情報とを提示する。本態様によれば、中断の原因として推定される機器に関する作業情報と、監視の重要度が相対的に高い機器に関する作業情報とを提示することができる。
【0050】
(3)第3の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、(1)または(2)の発電プラントデータ処理装置であって、前記制御目標変更部は、前記次回の起動シーケンス前に実施された起動シーケンスにおいて不具合が発生せず、かつ、前記重要度が所定の第2閾値より小さい前記機器に関する前記制御目標を緩和するように変更する。本態様によれば、1回目の起動シーケンスにおいて不具合が発生せず、かつ、重要度が所定の第2閾値より小さい機器に関する制御目標を緩和することができる。
【0051】
(4)第4の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、(1)または(2)の発電プラントデータ処理装置であって、前記作業情報提示部は、起動シーケンスを実施しているときに、当該起動シーケンスのそれぞれの段階において、当該段階に応じた前記機器に対する作業情報を提示することができる。
【0052】
(5)第5の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、(3)の発電プラントデータ処理装置であって、前記作業情報提示部は、起動シーケンスを実施しているときに、当該起動シーケンスのそれぞれの段階において、当該段階に応じた前記機器に対する作業情報を提示することができる。
【0053】
(6)第6の態様に係る発電プラントデータ処理装置(プラント統括制御装置301)は、(1)~(5)の発電プラントデータ処理装置であって、前記起動シーケンスは、予め定められた順序または手順に従って発電プラントの停止制御の各段階を複数の制御目標を設定して逐次進める制御を示すことができる。
【符号の説明】
【0054】
100…発電プラント、10…ガスタービン、20…排熱回収ボイラ、30…発電機、40…蒸気タービン、62…クラッチA、63…クラッチB、72…遮断器A、73…系統、80…発電プラント制御装置、301…プラント統括制御装置、3011…起動シーケンス制御部、3012…機器データベース、3013…機器情報入力部、3014…重要度更新部、3015…作業情報提示部、3016…制御目標変更部