(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158767
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241031BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20241031BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
B41J2/01 451
B41J2/01 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074275
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】中村 直行
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
(72)【発明者】
【氏名】次村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖大
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EB27
2C056EB41
2C056EC26
2C056EC72
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061HK07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】記録媒体及び記録材が無駄に消費されないようにする。
【解決手段】プリンタの制御部は、記録指令に基づいて、記録時に使用されるインクの量を少なくする方向及び多くする方向のいずれかの方向に調整する調整処理(S3)と、調整処理(S3)で調整された量のインクによりヘッドに記録を行わせる記録処理(S13)とを実行する。制御部は、調整処理(S3)の後かつ記録処理(S13)の前に、調整処理で調整されたインクの量が上限値以上という第1条件及び調整処理で調整されたインクの量が下限値以下という第2条件のいずれかが満たされるか否かを、記録指令に含まれる画像データに基づいて判断する判断処理(S5,S7)と、判断処理において第1条件及び第2条件のいずれかが満たされると判断した場合、インクの量の再調整に係る報知を行う報知処理(S6,S8)と、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録材により画像の記録を行う記録部と、
記録指令に基づいて、前記記録時に使用される単位画素当たりの前記記録材の量を少なくする方向及び多くする方向のいずれかの方向に調整する調整処理と、前記調整処理で調整された量の前記記録材により前記記録部に前記記録を行わせる記録処理と、を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記調整処理の後かつ前記記録処理の前に、
前記調整処理で調整された前記記録材の量が上限値以上という第1条件及び前記調整処理で調整された前記記録材の量が下限値以下という第2条件のいずれかが満たされるか否かを、前記記録指令に含まれる画像データに基づいて判断する判断処理と、
前記判断処理において前記第1条件及び前記第2条件のいずれかが満たされると判断した場合、前記記録材の量の再調整に係る報知を行う報知処理と、
を実行することを特徴とする、記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記判断処理において、
前記画像データに含まれる第1画素値であって、値が小さいほど単位画素当たりの前記記録材の量が多いことを示す第1画素値が、第1閾値以下の場合、前記第1条件が満たされると判断し、
前記第1画素値が第2閾値以上の場合、前記第2条件が満たされると判断することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記判断処理において、
前記画像データに含まれる第2画素値であって、値が大きいほど単位画素当たりの前記記録材の量が多いことを示す第2画素値が、第3閾値以上の場合、前記第1条件が満たされると判断し、
前記第2画素値が第4閾値以下の場合、前記第2条件が満たされると判断することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録指令は、前記画像の記録品質に関する情報を含み、
前記記録品質は、第1品質及び第2品質を含み、
前記上限値及び前記下限値の少なくとも一方は、前記第1品質と前記第2品質とで互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録指令は、文書記録及び写真記録のいずれかを含み、
前記上限値及び前記下限値の少なくとも一方は、前記文書記録と前記写真記録とで互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録指令は、記録媒体の種類に関する情報を含み、
前記種類は、第1種及び第2種を含み、
前記上限値及び前記下限値の少なくとも一方は、前記第1種と前記第2種とで互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録指令は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する記録媒体の、前記第1面及び前記第2面の一方に画像を記録する片面記録と、前記第1面及び前記第2面の両方に画像を記録する両面記録と、のいずれを含み、
前記上限値及び前記下限値の少なくとも一方は、前記片面記録と前記両面記録とで互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記判断処理において前記第1条件が満たされると判断した場合、前記報知処理において、前記記録材の量を少なくする方向の再調整を誘導し、
前記判断処理において前記第2条件が満たされると判断した場合、前記報知処理において、前記記録材の量を多くする方向の再調整を誘導することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材の量を調整可能な記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの入力に応じて調整値を設定し、調整値に応じて画像データの濃度(記録材の量)を調整することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、記録媒体への画像の記録前に、ユーザの入力に応じて記録材の量が調整されるが、記録された画像の濃度がユーザ所望の濃度ではなく、濃度が高すぎる又は低すぎる場合、新たな記録媒体を用いて記録処理を再度実行する必要が生じる。この場合、記録媒体及び記録材が無駄に消費されてしまう。
【0005】
本発明の目的は、記録媒体及び記録材が無駄に消費されない記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、記録媒体に対して記録材により画像の記録を行う記録部と、記録指令に基づいて、前記記録時に使用される単位画素当たりの前記記録材の量を少なくする方向及び多くする方向のいずれかの方向に調整する調整処理と、前記調整処理で調整された量の前記記録材により前記記録部に前記記録を行わせる記録処理と、を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記調整処理の後かつ前記記録処理の前に、前記調整処理で調整された前記記録材の量が上限値以上という第1条件及び前記調整処理で調整された前記記録材の量が下限値以下という第2条件のいずれかが満たされるか否かを、前記記録指令に含まれる画像データに基づいて判断する判断処理と、前記判断処理において前記第1条件及び前記第2条件のいずれかが満たされると判断した場合、前記記録材の量の再調整に係る報知を行う報知処理と、を実行することを特徴とする、記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタ1の平面図である。
【
図2】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】プリンタ1のディスプレイ71に表示されるインク量の調整値入力画面を示す模式図である。
【
図4】プリンタ1のCPU91が実行する記録プログラムを示すフロー図である。
【
図5】ディスプレイ71に表示される再調整要否の入力画面を示す模式図である。
【
図6】(a)は、記録品質、文書記録及び写真記録と、第1閾値x1及び第2閾値x2との関係を示すテーブルである。(b)は、用紙種、片面記録及び両面記録と、第1閾値x1及び第2閾値x2との関係を示すテーブルである。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るプリンタのCPUが実行する記録プログラムを示すフロー図である。
【
図8】第2実施形態においてディスプレイ71に表示される再調整要否の入力画面を示す模式図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るプリンタのCPUが実行する記録プログラムを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るプリンタ1は、
図1に示すように、筐体1aと、筐体1aの内部に配置されたヘッド10、キャリッジ2、走査部3、プラテン4、搬送部5及び制御装置9とを備えている。
【0009】
ヘッド10は、下面に複数のノズル11を有する。キャリッジ2は、ヘッド10を保持する。
【0010】
走査部3は、キャリッジ2を支持する一対のガイド3a,3bと、キャリッジ2に連結されたベルト3cとを含む。ガイド3a,3b及びベルト3cは、紙幅方向に延びている。制御装置9の制御によりキャリッジモータ3M(
図2参照)が駆動されると、ベルト3cが走行し、ガイド3a,3bに沿ってキャリッジ2が紙幅方向に移動する。
【0011】
プラテン4は、キャリッジ2及びヘッド10の下方に配置されている。プラテン4の上面に、用紙Pが載置される。
【0012】
搬送部5は、2つのローラ対5a,5bを有する。搬送方向においてローラ対5aとローラ対5bとの間に、ヘッド10、キャリッジ2及びプラテン4が配置されている。制御装置9の制御により搬送モータ5M(
図2参照)が駆動されると、給紙トレイ(図示略)に配置された用紙Pは、ローラ対5a,5bにより搬送方向に搬送され、ヘッド10の下方を通過し、排紙トレイ(図示略)に受容される。
【0013】
紙幅方向及び搬送方向は、鉛直方向と直交すると共に、互いに直交する。
【0014】
制御装置9は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93及びI/F(Interface)94を有する。ROM92には、CPU91が各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAM93は、CPU91がプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。I/F94は、外部とのデータの送受信を行う。
【0015】
CPU91は、I/F94が受信した記録指令(画像を示す画像データを含む。)に基づいて、ROM92及びRAM93に記憶されているデータにしたがい、記録プログラムを実行する。
【0016】
記録プログラムは、用紙Pへの画像の記録に係る記録処理を含む。記録処理は、搬送モータ5M(
図2参照)の駆動により用紙Pを搬送方向に所定量搬送させる搬送処理と、キャリッジモータ3M及びドライバIC10D(
図2参照)の駆動によりヘッド10を紙幅方向に移動させながらノズル11から用紙Pに対してインクを吐出させる走査処理とを含む。これにより、用紙P上に、インクのドットが形成され、画像が記録される。
【0017】
記録プログラムは、さらに、記録時に使用される単位画素当たりのインクの量を少なくする方向及び多くする方向のいずれかの方向に調整する調整処理を含む。具体的には、タッチパネル式のディスプレイ71に表示されたインク量の調整値入力画面(
図3参照)においてユーザが指示した調整値が、RAM93に記憶される。CPU91は、RAM93に記憶された調整値に基づいて、記録時に使用される単位画素当たりのインクの量を調整する。
【0018】
用紙Pが本発明の「記録媒体」に該当する。ヘッド10が本発明の「記録部」に該当する。プリンタ1が本発明の「記録装置」に該当する。インクが本発明の「記録材」に該当する。CPU91が本発明の「制御部」に該当する。
【0019】
次いで、
図4を参照し、CPU91が実行する記録プログラムについて具体的に説明する。
【0020】
CPU91は、先ず、外部装置100から記録指令を受信したか否かを判断する(S1
:YES)。
【0021】
外部装置100から記録指令を受信していないと判断した場合(S1:NO)、CPU91は、S1の処理を繰り返す。
【0022】
外部装置100から記録指令を受信したと判断した場合(S1:YES)、CPU91は、RAM93に記憶された情報に基づいて、インク量の調整を行うか否かを判断する(S2)。
【0023】
インク量の調整を行わないと判断した場合(S2:NO)、CPU91は、処理をS11に進める。
【0024】
インク量の調整を行うと判断した場合(S2:YES)、CPU91は、記録指令に含まれる画像データが示す画像の色に対応したRGB(レッド、グリーン、ブルー)値を、RAM93に記憶された調整値に基づいて調整する(S3:調整処理)。
【0025】
S3の後、CPU91は、要求機能がONであるか否かを判断する(S4)。要求機能とは、インク量の再調整を行うか否かの入力をユーザに要求する機能をいう。例えば、ユーザは、操作ボタン72(
図2参照)を押下することで、要求機能のONとOFFとを切り換えることができる。CPU91は、操作ボタン72の押下に応じた信号に基づいて、要求機能がONであるか否かを判断する。
【0026】
要求機能がONでないと判断した場合(S4:NO)、CPU91は、処理をS11に進める。
【0027】
要求機能がONであると判断した場合(S4:YES)、CPU91は、S3で調整されたRGB値が第1閾値x1以下であるか否かを判断する(S5:判断処理)。RGB値(0~255の階調値)は、本発明の「第1画素値」に該当し、値が小さいほど単位画素当たりのインク量が多いことを示す。S5では、RGB値の平均値が第1閾値x1以下であるか否かが判断されてよい。或いは、RGBの各値で第1閾値x1以下のものがあるか否かが判断されてよい。第1閾値x1は、RGBのそれぞれに対して個別に設定されてもよい。
【0028】
RGB値が第1閾値x1以下であると判断した場合(S5:YES)、CPU91は、インク量の再調整要否の入力画面(
図5(a)参照)をディスプレイ71に表示させる(S6:報知処理)。
【0029】
RGB値が第1閾値x1以下であることは、インク量が上限値以上という第1条件が満たされることを意味する。この場合、インク量が多すぎるため、CPU91は、S6において、インク量を少なくする方向の再調整を誘導する(
図5(a)参照)。
【0030】
RGB値が第1閾値x1以下でないと判断した場合(S5:NO)、CPU91は、RGB値が第2閾値x2以上であるか否かを判断する(S7:判断処理)。S7では、RGB値の平均値が第2閾値x2以上であるか否かが判断されてよい。或いは、RGBの各値で第2閾値x2以上のものがあるか否かが判断されてよい。第2閾値x2は、RGBのそれぞれに対して個別に設定されてもよい。
【0031】
RGB値が第2閾値x2以上であると判断した場合(S7:YES)、CPU91は、インク量の再調整要否の入力画面(
図5(b)参照)をディスプレイ71に表示させる(S8:報知処理)。
【0032】
RGB値が第2閾値x2以上であることは、インク量が下限値以下という第2条件が満たされることを意味する。この場合、インク量が少なすぎるため、CPU91は、S8において、インク量を多くする方向の再調整を誘導する(
図5(b)参照)。
【0033】
S6又はS8の後、CPU91は、入力画面(
図5(a),(b)参照)へのユーザの入力に基づいて、インク量の再調整を行うか否かを判断する(S9)。ユーザが入力画面(
図5(a),(b)参照)において「YES」をタップすると、CPU91は、再調整を行うと判断する。ユーザが入力画面(
図5(a),(b)参照)において「NO」をタップすると、CPU91は、再調整を行わないと判断する。
【0034】
インク量の再調整を行うと判断した場合(S9:YES)、CPU91は、インク量の調整値入力画面(
図3参照)をディスプレイ71に表示させる(S10)。
【0035】
S10の後、CPU91は、処理をS3に戻し、入力画面(
図3参照)へのユーザの入力に基づいて、RGB値の調整を行う。
【0036】
インク量の再調整を行わないと判断した場合(S9:NO)、CPU91は、処理をS11に進める。
【0037】
S11において、CPU91は、RGB値を、インクの色に対応したCMYK値に変換する。
【0038】
S11の後、CPU91は、CMYK値を吐出データに変換する(S12)。吐出データは、1記録周期(用紙P上に形成される画像の解像度に対応する単位距離だけ用紙Pがヘッド10に対して相対移動するのに要する時間)毎の、各ノズル11から吐出されるべきインクの体積(大滴、中滴、小滴、ゼロのいずれか)を示す。
【0039】
インク量を少なくする方向の調整が行われた場合、インクの体積が大滴から中滴に変更され、或いは、インクの体積が中滴から小滴に変更されてよい。また、インク量を多くする方向の調整が行われた場合、インクの体積が中滴から大滴に変更され、或いは、インクの体積が小滴から中滴に変更されてよい。
【0040】
S12の後、CPU91は、記録処理を実行する(S13)。記録処理において、CPU91は、搬送モータ5M(
図2参照)を駆動させることで、給紙トレイ(図示略)から用紙Pを搬送させる。用紙Pの先端(搬送方向の下流端)がヘッド10の下方に至った後、CPU91は、搬送モータ5M(
図2参照)の駆動により用紙Pを搬送方向に所定量搬送させる搬送処理と、キャリッジモータ3M及びドライバIC10D(
図2参照)の駆動によりヘッド10を紙幅方向に移動させながらノズル11から用紙Pに対してインクを吐出させる走査処理と、を繰り返し実行する。
【0041】
S13の後、CPU91は、当該記録プログラムを終了する。
【0042】
第1閾値x1及び第2閾値x2は、画像の記録品質(Draft, Normal, Fine, Best)、及び、片面記録と両面記録とのいずれであるか、に応じて決定される。記録品質に関する情報、及び、片面記録と両面記録とのいずれであるかは、記録指令に含まれている。CPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(
図6(a)参照)と、記録指令に含まれる情報とに基づいて、第1閾値x1及び第2閾値x2を決定し、当該値をS5,S7で使用する。例えば、記録品質の「Draft(第1品質)」と「Normal(第2品質)」とでは、同じ片面記録であっても、第1閾値x1の値が異なる。また、同じ記録品質「Normal」であっても、片面記録と両面記録とでは、第1閾値x1の値が異なる。第2閾値x2についても同様である。
【0043】
或いは、第1閾値x1及び第2閾値x2は、用紙種(普通紙、インクジェット紙、光沢紙)、及び、文書記録(Document)と写真記録(Photo)とのいずれであるかに応じて、決定される。用紙種に関する情報、及び、文書記録(Document)と写真記録(Photo)とのいずれであるかは、記録指令に含まれている。CPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(
図6(b)参照)と、記録指令に含まれる情報とに基づいて、第1閾値x1及び第2閾値x2を決定し、当該値をS5,S7で使用する。例えば、用紙種の「普通紙(第1種)」と「インクジェット紙(第2種)」とでは、同じ文書記録(Document)であっても、第1閾値x1の値が異なる。また、同じ用紙種「普通紙」であっても、文書記録(Document)と写真記録(Photo)とでは、第1閾値x1の値が異なる。第2閾値x2についても同様である。
【0044】
片面記録は、用紙Pの表面(第1面)に画像を記録することをいう。両面記録は、用紙Pの表面(第1面)及び裏面(第2面)の両方に画像を記録することをいう。
【0045】
以上に述べたように、本実施形態において、CPU91は、記録指令に基づいて、記録時に使用されるインクの量を少なくする方向及び多くする方向のいずれかの方向に調整する調整処理(S3)と、調整処理(S3)で調整された量のインクによりヘッド10に記録を行わせる記録処理(S13)とを実行する。CPU91は、調整処理(S3)の後かつ記録処理(S13)の前に、調整処理で調整されたインクの量が上限値以上という第1条件及び調整処理で調整されたインクの量が下限値以下という第2条件のいずれかが満たされるか否かを、記録指令に含まれる画像データに基づいて判断する判断処理(S5,S7)と、判断処理において第1条件及び第2条件のいずれかが満たされると判断した場合、インクの量の再調整に係る報知を行う報知処理(S6,S8)と、を実行する。これにより、報知処理(S6,S8)に応じてユーザが適宜の対応をとることができ、用紙P及びインクが無駄に消費されない。
【0046】
CPU91は、画像データに含まれるRGB値に基づいて判断処理(S5,S7)を行う。この場合、適切な判断処理を行うことができる。
【0047】
第1閾値x1及び第2閾値x2の少なくとも一方(本発明の「上限値」及び「下限値」の少なくとも一方)は、記録品質に応じて異なる(
図6(a)参照)。この場合、記録品質に応じて適切な判断処理を行うことができる。
【0048】
第1閾値x1及び第2閾値x2の少なくとも一方(本発明の「上限値」及び「下限値」の少なくとも一方)は、文書記録か写真記録かに応じて異なる(
図6(a)参照)。この場合、文書記録か写真記録かに応じて適切な判断処理を行うことができる。
【0049】
第1閾値x1及び第2閾値x2の少なくとも一方(本発明の「上限値」及び「下限値」の少なくとも一方)は、用紙種に応じて異なる(
図6(b)参照)。この場合、用紙種に応じて適切な判断処理を行うことができる。
【0050】
第1閾値x1及び第2閾値x2の少なくとも一方(本発明の「上限値」及び「下限値」の少なくとも一方)は、両面記録か片面記録かに応じて異なる(
図6(b)参照)。この場合、両面記録か片面記録かに応じて適切な判断処理を行うことができる。
【0051】
CPU91は、RGB値が第1閾値x1以下である(調整処理で調整されたインクの量が上限値以上という第1条件が満たされる)と判断した場合(S5:YES)、インク量を少なくする方向の再調整を誘導する(S6:
図5(a)参照)。また、CPU91は、RGB値が第2閾値x2以上である(調整処理で調整されたインクの量が下限値以下という第2条件が満たされる)と判断した場合(S7:YES)、インク量を多くする方向の再調整を誘導する(S8:
図5(b)参照)。この場合、報知処理(S6,S8)に応じてユーザが適切な対応をとることができ、用紙P及びインクが無駄に消費されない。
【0052】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0053】
第1実施形態(
図4参照)では、インク量の再調整を行うと判断された場合(S9:YES)、ユーザが入力した調整値に基づいてインク量が調整される(S10,S3)。これに対し、第2実施形態(
図7参照)では、インク量の再調整を行うと判断された場合(S9:YES)、CPU91がインク量の再調整を行う(S20)。
【0054】
図7を参照し、第2実施形態のCPU91が実行する記録プログラムについて具体的に説明する。
【0055】
CPU91は、先ず、第1実施形態(
図4参照)と同様の処理S1~S9を行う。ただし、本実施形態では、上記のとおりインク量の再調整をCPU91が行うため、S6,S8においてディスプレイ71に表示される入力画面は、
図8(a),(b)に示すように、CPU91がインク量の再調整を行うことについてユーザに許可を求める内容となっている。S6では、インク量が多すぎるため、CPU91は、インク量を少なくする方向の再調整を誘導する(
図8(a)参照)。S8では、インク量が少なすぎるため、CPU91は、インク量を多くする方向の再調整を誘導する(
図8(b)参照)。
【0056】
S6又はS8の後、CPU91は、入力画面(
図8(a),(b)参照)へのユーザの入力に基づいて、インク量の再調整を行うか否かを判断する(S9)。ユーザが入力画面(
図8(a),(b)参照)において「YES」をタップすると、CPU91は、再調整を行うと判断する。ユーザが入力画面(
図8(a),(b)参照)において「NO」をタップすると、CPU91は、再調整を行わないと判断する。
【0057】
インク量の再調整を行うと判断した場合(S9:YES)、CPU91は、インク量の再調整を行う(S20)。S20において、CPU91は、RGB値を、第1閾値x1を超えかつ第2閾値x2未満の値に調整する。
【0058】
S20の後、CPU91は、処理をS11に進める。S11以降の処理は、第1実施形態(
図4参照)と同様である。
【0059】
以上に述べたように、本実施形態では、S6,S8(報知処理)においてディスプレイに表示される内容と、CPU91がインク量の再調整を行う(S20)点とが、第1実施形態と異なるものの、第1実施形態と同様、報知処理(S6,S8)に応じてユーザが適宜の対応をとることができ、用紙P及びインクが無駄に消費されない。
【0060】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
【0061】
第1実施形態(
図4参照)では、調整処理(S3)において、RGB値が調整される。これに対し、第3実施形態(
図9参照)では、調整処理(S32)において、CMYK値が調整される。
【0062】
図9を参照し、第3実施形態のCPU91が実行する記録プログラムについて具体的に説明する。
【0063】
CPU91は、先ず、外部装置100から記録指令を受信したか否かを判断する(S1
:YES)。
【0064】
外部装置100から記録指令を受信していないと判断した場合(S1:NO)、CPU91は、S1の処理を繰り返す。
【0065】
外部装置100から記録指令を受信したと判断した場合(S1:YES)、CPU91は、記録指令に含まれる画像データが示す画像の色に対応したRGB(レッド、グリーン、ブルー)値を、インクの色に対応したCMYK値に変換する(S31)。
【0066】
S31の後、CPU91は、RAM93に記憶された情報に基づいて、インク量の調整を行うか否かを判断する(S2)。
【0067】
インク量の調整を行わないと判断した場合(S2:NO)、CPU91は、処理をS12に進める。
【0068】
インク量の調整を行うと判断した場合(S2:YES)、CPU91は、S31で得られたCMYK値を、RAM93に記憶された調整値に基づいて調整する(S32:調整処理)。
【0069】
S32の後、CPU91は、要求機能がONであるか否かを判断する(S4)。
【0070】
要求機能がONでないと判断した場合(S4:NO)、CPU91は、処理をS12に進める。
【0071】
要求機能がONであると判断した場合(S4:YES)、CPU91は、S32で調整されたCMYK値が第3閾値x3以上であるか否かを判断する(S33:判断処理)。CMYK値(0~100%)は、本発明の「第2画素値」に該当し、値が大きいほど単位画素当たりのインク量が多いことを示す。S33では、CMYK値の平均値が第3閾値x3以上であるか否かが判断されてよい。或いは、CMYKの各値で第3閾値x3以上のものがあるか否かが判断されてよい。第3閾値x3は、CMYKのそれぞれに対して個別に設定されてもよい。
【0072】
CMYK値が第3閾値x3以上であると判断した場合(S33:YES)、CPU91は、インク量の再調整要否の入力画面(
図5(a)参照)をディスプレイ71に表示させる(S6:報知処理)。
【0073】
CMYK値が第3閾値x3以上であることは、インク量が上限値以上という第1条件が満たされることを意味する。この場合、インク量が多すぎるため、CPU91は、S6において、インク量を少なくする方向の再調整を誘導する(
図5(a)参照)。
【0074】
CMYK値が第3閾値x3以上でないと判断した場合(S33:NO)、CPU91は、CMYK値が第4閾値x4以下であるか否かを判断する(S34:判断処理)。S34では、CMYK値の平均値が第4閾値x4以下であるか否かが判断されてよい。或いは、CMYKの各値で第4閾値x4以下のものがあるか否かが判断されてよい。第4閾値x4は、CMYKのそれぞれに対して個別に設定されてもよい。
【0075】
CMYK値が第4閾値x4以下であると判断した場合(S34:YES)、CPU91は、インク量の再調整要否の入力画面(
図5(b)参照)をディスプレイ71に表示させる(S8:報知処理)。
【0076】
CMYK値が第4閾値x4以下であることは、インク量が下限値以下という第2条件が満たされることを意味する。この場合、インク量が少なすぎるため、CPU91は、S8において、インク量を多くする方向の再調整を誘導する(
図5(b)参照)。
【0077】
S6又はS8の後、CPU91は、入力画面(
図5(a),(b)参照)へのユーザの入力に基づいて、インク量の再調整を行うか否かを判断する(S9)。
【0078】
インク量の再調整を行うと判断された場合(S9:YES)の処理は、第1実施形態と同様である。
【0079】
インク量の再調整を行わないと判断した場合(S9:NO)、CPU91は、処理をS12に進める。
【0080】
S12において、CPU91は、CMYK値を吐出データに変換する。S12の後、CPU91は、記録処理を実行する(S13)。S13の後、CPU91は、当該記録プログラムを終了する。
【0081】
第3閾値x3及び第4閾値x4(本発明の「上限値」及び「下限値」)は、第1閾値x1及び第2閾値x2と同様、画像の記録品質(Draft, Normal, Fine, Best)、及び、文書記録(Document)と写真記録(Photo)とのいずれであるか、に応じて決定される。CPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(
図6(a)において、「第1閾値x1」を「第3閾値x3」、「第2閾値x2」を「第4閾値x4」と読み替えたもの)と、記録指令に含まれる情報とに基づいて、第3閾値x3及び第4閾値x4を決定し、当該値をS33,S34で使用する。例えば、記録品質の「Draft(第1品質)」と「Normal(第2品質)」とでは、同じ文書記録であっても、第3閾値x3の値が異なる。また、同じ記録品質「Normal」であっても、文書記録(Document)と写真記録(Photo)とでは、第3閾値x3の値が異なる。第4閾値x4についても同様である。
【0082】
或いは、第3閾値x3及び第4閾値x4は、用紙種(普通紙、インクジェット紙、光沢紙)、及び、片面記録か両面記録かに応じて、決定される。CPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(
図6(b)において、「第1閾値x1」を「第3閾値x3」、「第2閾値x2」を「第4閾値x4」と読み替えたもの)と、記録指令に含まれる情報とに基づいて、第3閾値x3及び第4閾値x4を決定し、当該値をS33,S34で使用する。例えば、用紙種の「普通紙(第1種)」と「インクジェット紙(第2種)」とでは、同じ片面記録であっても、第3閾値x3の値が異なる。また、同じ用紙種「普通紙」であっても、片面記録と両面記録とでは、第3閾値x3の値が異なる。第4閾値x4についても同様である。
【0083】
以上に述べたように、本実施形態では、調整処理においてRBG値ではなくCMYK値が調整されるものの、第1実施形態と同様、報知処理(S6,S8)に応じてユーザが適宜の対応をとることができ、用紙P及びインクが無駄に消費されない。
【0084】
RGB値と同様、CMYK値も画像データに含まれる情報であり、CMYK値に基づいて判断処理(S33,S34)を行うことで、適切な判断処理を行うことができる。
【0085】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0086】
上述の実施形態では、第1閾値x1及び第2閾値x2(本発明の「上限値」及び「下限値」)について、画像の記録品質及び文書記録と写真記録とのいずれであるかの組み合わせによる決定方法(
図6(a)参照)と、用紙種及び片面記録と両面記録とのいずれであるかの組み合わせによる決定方法(
図6(b)参照)とを別々に例示したが、これに限定されない。上限値及び下限値の少なくとも一方は、画像の記録品質、文書記録と写真記録とのいずれであるか、用紙種、及び、片面記録と両面記録とのいずれであるか、の少なくとも1つの要素に基づいて、或いは、上記複数の要素の任意の組み合わせに基づいて、決定されてよい。
【0087】
上述の実施形態において、制御部は、報知処理(S6,S8)で、再調整に係る入力画面をディスプレイに表示させるが、これに限定されない。例えば、制御部は、報知処理(S6,S8)で、再調整に係る音声を出力してもよい。
【0088】
上述の実施形態において、制御部は、調整処理で、RGB値又はCMYK値を調整するが、吐出データを調整してもよい。
【0089】
第2実施形態(
図7参照)において、CPU91は、再調整(S20)後に処理をS11に進めるが、これに限定されない。例えば、CPU91は、再調整(S20)後、当該再調整に係る調整値についてユーザに許可を求め、ユーザの許可が得られた場合に、処理をS11に進めてもよい。
【0090】
記録材は、上述の実施形態ではインクであるが、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってもよい。また、記録材は、インク等の液体に限定されず、トナー等であってもよい。
【0091】
記録部は、上述の実施形態ではシリアル式であるが、ライン式であってもよい。また、記録部は、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0092】
記録媒体は、用紙に限定されず、例えば、布、基板、プラスチック部材等であってもよい。
【0093】
本発明に係る記録装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 プリンタ(記録装置)
10 ヘッド(記録部)
91 CPU(制御部)
P 用紙(記録媒体)