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特開2024-158770位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム
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  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図1
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図2
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図3
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図4
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図5
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図6
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図7
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図8
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図9
  • 特開-位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158770
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/02 20060101AFI20241031BHJP
   F16M 11/14 20060101ALI20241031BHJP
   H01Q 1/18 20060101ALI20241031BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H02K41/02 Z
F16M11/14 Z
H01Q1/18
H02K33/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074284
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】馬場 郁加
【テーマコード(参考)】
5H633
5H641
5J047
【Fターム(参考)】
5H633BB07
5H633GG02
5H633GG16
5H633HH03
5H633HH13
5H641BB01
5H641GG02
5H641GG26
5H641HH03
5H641JA07
5J047AA02
5J047AA07
5J047AB03
5J047AB05
5J047DA00
(57)【要約】
【課題】省スペース化しやすい位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】位置制御機構は、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部を備える固定台と、可動部に固定されている第一磁石と、受け部に固定され、第一磁石を引き付けて凸曲面を凹曲面に沿って移動させることが可能な第二磁石と、移動台と固定台との間に設けられ、凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、固定台に固定されている第三磁石と、第三磁石に対向して板に固定され、固定台に対し、移動台を浮かすことが可能な第四磁石と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸曲面を有する可動部を備える移動台と、
前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部を備える固定台と、
前記可動部に固定されている第一磁石と、
前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付けて前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させることが可能な第二磁石と、
前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、
前記固定台に固定されている第三磁石と、
前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定され、前記固定台に対し、前記移動台を浮かすことが可能な第四磁石と、
を備える
位置制御機構。
【請求項2】
前記第二磁石が前記移動台を傾ける
請求項1に記載の位置制御機構。
【請求項3】
前記第一磁石は、前記凸曲面に埋め込まれ、
前記第二磁石は、前記凹曲面に埋め込まれている
請求項1又は2に記載の位置制御機構。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の位置制御機構と、
前記移動台に載せられている筐体と、
を備える
固定装置。
【請求項5】
前記筐体は、
前記移動台と一体に形成されている
請求項4に記載の固定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の固定装置と、
前記第一磁石、前記第二磁石、前記第三磁石、及び前記第四磁石のうち、少なくともいずれか一つを制御する制御装置と、
前記筐体の傾きを取得するセンサと、
を備える
固定システム。
【請求項7】
請求項6に記載の固定システムと、
前記筐体に固定されているアンテナと、
を備える
通信システム。
【請求項8】
凸曲面を有する可動部を備える移動台と、
前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、
前記可動部に固定されている第一磁石と、
前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、
前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、
前記固定台に固定されている第三磁石と、
前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、
を備える固定装置の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御する浮上制御部と、
前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御する移動制御部と、
を備える
制御装置。
【請求項9】
凸曲面を有する可動部を備える移動台と、
前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、
前記可動部に固定されている第一磁石と、
前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、
前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、
前記固定台に固定されている第三磁石と、
前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、
を備える位置制御機構の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御するステップと、
前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御するステップと、
を含む
制御方法。
【請求項10】
凸曲面を有する可動部を備える移動台と、
前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、
前記可動部に固定されている第一磁石と、
前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、
前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌まる穴を有する嵌合部材と、
前記固定台に固定されている第三磁石と、
前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、
を備える位置制御機構の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御するステップと、
前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御するステップと、
をコンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置の姿勢を制御する際に、球面座を用いることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、指向性信号に対しアンテナ装置が常に正対姿勢を維持するように制御する支持機構が開示されている。支持機構は下面に凸形状の球面座を有した設置台と台座から構成された自在軸受けを有している。この自在軸受けのX軸方向あるいはY軸方向またはその両方の高さをリード溝にて変化させ、適宜に設置台を傾斜させることで機械的に制御し、姿勢制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-163611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではアンテナが配置される設置台の姿勢制御手段に、ステッピングモータと複数の歯車、軸方向の角度を調整するリード溝が使われていた。したがって、リード溝といった周辺部品により省スペース化がしにくいことがある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を解決する位置制御機構、固定装置、固定システム、通信システム、制御装置、制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る位置制御機構は、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部を備える固定台と、前記可動部に固定されている第一磁石と、前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付けて前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させることが可能な第二磁石と、前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、前記固定台に固定されている第三磁石と、前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定され、前記固定台に対し、前記移動台を浮かすことが可能な第四磁石と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る制御装置は、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、前記可動部に固定されている第一磁石と、前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、前記固定台に固定されている第三磁石と、前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、を備える固定装置の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御する浮上制御部と、前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御する移動制御部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る制御方法は、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、前記可動部に固定されている第一磁石と、前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、前記固定台に固定されている第三磁石と、前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、を備える位置制御機構の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御するステップと、前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御するステップと、を含む。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、前記凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、前記可動部に固定されている第一磁石と、前記受け部に固定され、前記第一磁石を引き付ける第二磁石と、前記移動台と前記固定台との間に設けられ、前記凸曲面が嵌まる穴を有する嵌合部材と、前記固定台に固定されている第三磁石と、前記第三磁石に対向して前記嵌合部材に固定されている第四磁石と、を備える位置制御機構の前記固定台に対し、前記移動台を浮かすように、前記第三磁石又は前記第四磁石を制御するステップと、前記凸曲面を前記凹曲面に沿って移動させるように、前記第一磁石又は前記第二磁石を制御するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
上記一態様によれば、省スペース化しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施形態における固定装置の斜視図である。
図2】第一実施形態における固定装置の部分断面図である。
図3】第一実施形態における固定台の平面図である。
図4】第一実施形態における位置制御機構の機能を示す部分断面図Iである。
図5】第一実施形態における位置制御機構の機能を示す部分断面図IIである。
図6】第一実施形態における位置制御機構のフロー図である。
図7】第二実施形態における通信システムの構成図である。
図8】第二実施形態における制御装置のブロック図である。
図9】第三実施形態における位置制御機構の最小構成の部分断面図である。
図10】第四実施形態における位置制御機構の最小構成のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る各実施形態について、図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において用いられた図面および具体的な構成を、開示の解釈に用いてはならない。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
<第一実施形態>
以下、本開示に係る第一実施形態について、図1図6を用いて説明する。
【0015】
(位置制御機構の構成)
図1図2に示すように、位置制御機構1は、移動台11と、固定台12と、嵌合部材13と、第一磁石14と、第二磁石15と、第三磁石16と、第四磁石17と、を備える。
移動台11は、固定台12に対し回動可能である。
【0016】
(固定装置の構成)
固定装置2は、前述した位置制御機構1と、筐体18と、を備える。
例えば、筐体18は、移動台11に載っている。これにより、移動台11を回動させることで、移動台11の角度調整や姿勢を変えることが可能である。
筐体18には、内部に、筐体18上に搭載される電子機器の信号処理部や回路部が配置されている。
【0017】
(移動台の構成)
移動台11は、凸曲面11gsを有する可動部11gを備える。
例えば、凸曲面11gsは、下に突出する形状であって、球面の一部を切り取った形状(球冠形状)を有する。
凸曲面11gsの頂点11gstには、第一磁石14が配置されている。
移動台11は、後述する受け部12rの凹曲面12rsに沿って、2軸方向に回動可能である。
また、第一磁石14に対向する第二磁石15の作用により、移動台11は傾けられる。
【0018】
(固定台の構成)
例えば、固定台12は、車や船といった通信を行う機器に固定されている。
固定台12は、凸曲面11gsが嵌る凹曲面12rsを有する受け部12rを備える。
例えば、凹曲面12rsは、下に凹む形状であって、球面の一部を切り取った形状(球冠形状)を有する。
固定台12は、受け部12rの周囲に、上を向く平面12sを有する。
【0019】
(嵌合部材の構成)
嵌合部材13は、可動部11gが回動可能なように、移動台11と固定台12との間に設けられている。
嵌合部材13は、移動台11の可動部11gが嵌まる穴13hを有する。
例えば、嵌合部材13が有する穴13hの側壁面は、可動部11gの凸曲面11gsに沿った形状を有する。
例えば、可動部11gと、嵌合部材13との接触面には潤滑剤、もしくは複数のコロが存在する。これにより、可動部11gは嵌合部材13に対し回動可能となる。コロが存在した場合、嵌合部材13は球面滑り軸受あるいは自動調心球軸受けと似た振る舞いをする。
嵌合部材13は、穴13hの周囲に、平面12sと対向するように下を向く平面13sを有する。
例えば、平面13sのうち、各第三磁石16と対向する位置に、第四磁石17が配置されてもよい。
【0020】
(移動制御用磁石の構成)
第一磁石14は、可動部11gに固定されている。
例えば、第一磁石14は、永久磁石である。
例えば、第一磁石14は、可動部11gのうち、凸曲面11gsの頂点11gstに配置されている。
第二磁石15は、受け部12rに固定されている。
例えば、第二磁石15は、電磁石である。
例えば、図3に示すように、第二磁石15は、凸曲面の頂点11gstに対応する点である、凹曲面12rsの頂点12rstを中心に15aの磁石が複数配置される。
第一磁石14と、複数の第二磁石15とは、電磁石への制御によって、引力が作用し互いに引き付けあうことで、可動部11gの凸曲面11gsを凹曲面12rsに沿って移動させることができる。
第一磁石14は凸曲面11gsに埋め込まれ、第二磁石15は凹曲面12rsに埋め込まれている。これにより、可動部11gは滑らかに回動可能である。
【0021】
(浮上制御用磁石の構成)
第三磁石16は、固定台12に固定されている。
例えば、第三磁石16は、電磁石である。
例えば、図3に示すように、第三磁石16は、平面13sと対向する平面12sに複数配置されている。
例えば、第三磁石16は、図3に示すように、固定台12の四隅に固定されている。
第四磁石17は、嵌合部材13に固定されている。
例えば、第四磁石17は、電磁石である。
第四磁石17は、固定台12に対し、移動台11を浮かすことが可能である。
例えば、第四磁石17は、平面12sと対向する平面13sに複数配置されている。
例えば、第四磁石17は、図1に示すように、嵌合部材13の四隅に固定されている。
例えば、電磁石への制御によって、第三磁石16と、第四磁石17との間に斥力が作用し、第三磁石16と、第四磁石17とが、互いに反発しあうことで、移動台11が浮上する。
例えば、電磁石への制御によって、第三磁石16と、第四磁石17との間に引力が作用し、第三磁石16と、第四磁石17とが互いに引き付けあうことで、移動台11の浮上が解除される。
第三磁石16と第四磁石17とが電磁石である場合、一方が永久磁石の場合と比べ、第三磁石16と第四磁石17とは、より大きな斥力で移動台11を浮上させることができる。
【0022】
(制御方法)
本実施形態における位置制御機構の制御方法について説明する。
本実施形態における位置制御機構の制御方法は、図6に示すフローに従って実施される。
【0023】
まず、作業者は、固定台12に対し、移動台11を浮かすように、第三磁石16及び第四磁石17を制御する(ST1)。
例えば、作業者は、移動台11を浮かすように、複数配置された第三磁石16及び第四磁石17に流れる電流量と、電流方向を制御する。これにより、対向している第三磁石16と、第四磁石17と、の間で斥力が発生する。その場合には、固定台12は車や船といった通信を行う機器に固定されているため、嵌合部材13が図4に示すように、re方向に浮上することとなる。
本実施形態に係る位置制御機構1では、第三磁石16と、第四磁石17と、が電磁石であるため、作業者は、両磁石を制御する。両磁石が電磁石であるため、電磁石間にかかる斥力は永久磁石-電磁石間にかかる力より大きい。そのため、嵌合部材13は、移動台11や搭載される筐体18が重量物でも浮上させることができる。
【0024】
次に、作業者は、複数配置された第二磁石15に流れる電流量と、電流方向を制御することにより、第二磁石15の励磁状態を制御する(ST2)。
本実施形態に係る位置制御機構1は、第一磁石14が永久磁石である。そのため、作業者は、第二磁石15をST1と同様に制御する。
第二磁石15は複数設置されているため、作業者は、移動台11を傾けたい角度に対し、傾けたい角度に位置する複数の第二磁石15のうち、所定の第二磁石15をいくつか選び、制御する。傾けたい角度が大きい場合、作業者は、所定の第二磁石15をいくつか選び、励磁状態を切り替えて段階的に制御し、第一磁石14を段階的に移動させる。また、傾けたい角度が小さい場合、作業者は、第二磁石15を1つ制御してもよい。
作業者は、第一磁石14を傾ける際に、電磁石への制御によって、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力を発生させる。このため、作業者は、移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って移動させていることになる。また、次のST3に備え、作業者は、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力が発生した状態を維持し続ける。
ST1にて、作業者は、嵌合部材13を介して移動台11を浮上させている。このため、移動台11と、固定台12と、の接触面に隙間が生じることにより、これらの接触面に生じていた摩擦力がなくなり、作業者は、移動台11を容易に傾けることができる。その際、浮上した移動台11が移動する軌跡は、固定台12の凹曲面12rsに沿ったものとなる。
【0025】
次に、作業者は、嵌合部材13の浮上を解除する(ST3)。
図5に示すように、作業者は、移動台11を目標となる傾けたい角度に近づけた後に、再度第三磁石16と、第四磁石17と、に流れる電流量と、電流方向を制御する。作業者は、第三磁石16と、第四磁石17と、の間で引力を発生させることで、嵌合部材13がat方向に移動し、移動台11と固定台12と、が接触し、浮上を解除する。
作業者は、ST3にて嵌合部材13の浮上を解除した後も、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力が発生した状態を維持することで、移動台11の姿勢が維持される。さらに、作業者は、嵌合部材13の浮上を解除していることで、移動台11と、固定台12と、の接触面で摩擦力が発生し、この摩擦力も移動台11の姿勢維持に寄与する。(完了)
再度、移動台11の位置を調整する場合、作業者は、第三磁石16と、第四磁石17と、の間で斥力を発生させて嵌合部材13をre方向に浮上させる。その後、作業者は、移動台11を傾けたい角度に対し、傾けたい角度に位置する複数の第二磁石15のうち、所定の第二磁石15をいくつか選び、励磁状態を切り替えて段階的に制御する。作業者は、第一磁石14と、選んだ第二磁石15と、の間で引力を発生させ、移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って移動させる。その後、作業者は、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力が発生した状態を維持した状態で、嵌合部材13の浮上を解除し、維持した磁石間の引力と、浮上解除により発生する摩擦力とで移動台11の姿勢を維持する。
【0026】
(作用及び効果)
本実施形態の固定装置2あるいは位置制御機構1によれば、永久磁石と電磁石で移動台11の角度や回動を制御するため、必要な部品点数が少ない。よって、高さ方向及び幅方向への省スペース化に有用である。
したがって、本開示に係る固定装置2あるいは位置制御機構1は省スペース化しやすい。
【0027】
比較例1として、アンテナの角度を調整する場合、必要な可動域に対して可動域が限られることがある。そのため、必要な可動域を達成するための装置としてジンバルを用いた場合には、装置がアンテナに対し過大となることがある。また、ジンバルよりも比較的小型なゴニオステージをアンテナの角度調整に用いる際には、対象物を2軸に分けて角度調整をすることになり、結果的にゴニオステージを2段に重ねることになる。よって、アンテナを含めた装置全体の高さが高くなってしまうことがある。したがって、これらは設置スペースが限られている場所では使用が難しい。さらに、アンテナにて高周波数通信をおこなうにあたり、指向性の高いアンテナを使用することが予想される。このことから、アンテナは指向性に応じて制御可能かつ高精度な角度調整ができる制御機構が必要となる。
【0028】
比較例2として、車両の上に筐体18を搭載する場合、道路交通法で車両高さが決められている。このため、限られた高さにおいても任意の角度にアンテナを向かせる角度調整のできる制御機構が必要となる。また、高周波数帯でアンテナを介して通信をおこなうにあたり、車両に搭載する場合でもシステムの通信性能を損なわないことが求められる。すなわち、指向性を加味したアンテナの追尾性能を維持するために、制御可能かつ高精度でアンテナの角度を調整する機構が必要となる。
本実施形態に係る、制御可能かつ省スペース化の特徴を有する位置制御機構1を用いて、作業者は、車上に設置しているアンテナの角度を変更することができる。これにより、作業者は、移動台11上に配置されているアンテナを任意の方向に向かせることができる。
【0029】
本開示に係る位置制御機構1の効果としては、位置制御機構1を省スペース化したため限られた高さ方向、幅方向においても角度調整ができることが挙げられる。また、電磁石を用いることで、位置制御機構1は要求する力の大きさに対して低電力で運用が可能である。したがって、電力供給が限られる場面においても、位置制御機構1は有用である。また、本開示に係る位置制御機構1は、車や船だけでなく他の乗り物にも搭載可能である。
【0030】
また、本実施形態の一例は、第二磁石15が移動台11を傾けることができる。
そのため、移動台11は2軸方向に回動可能である。したがって、位置制御機構1によれば、移動台11により角度の調整がしやすい。
【0031】
また、本実施形態の一例は、第一磁石14が可動部11gの凸曲面11gsに埋め込まれ、第二磁石15が受け部12rの凹曲面に埋め込まれている。
そのため、位置制御機構1は、滑らかに回動しやすい。
【0032】
<変形例>
例えば、筐体18は、移動台11と一体に形成されていてもよい。一体形成の場合、筐体18と、移動台11と、の接合面が存在せず、滑らかに回動できる。
【0033】
例えば、可動部11gが回動可能であれば、嵌合部材13が有する穴13hの側壁面は、可動部11gの凸曲面11gsに沿っていなくてもよい。
例として、穴13hの側壁面は、円筒形状であってもよい。その際、可動部11gが回動しやすいように、平面13sの開口に樹脂製ハウジングを挿入する等、穴13hの側壁面を樹脂材料としてもよい。
【0034】
例えば、第一磁石14は、凸曲面11gsに埋め込まれていなくてもよい。同様に、第二磁石15は、凹曲面12rsに埋め込まれていなくてもよい。その際、移動台11を滑らかに回動させるため、樹脂層などの層が磁石上に存在してもよい。
【0035】
例えば、第一磁石14は、凸曲面11gsの頂点11gstに固定されてなくてもよい。例として、ワイヤリング等によって、凸曲面11gsの頂点11gstと、それに対応する凹曲面12rsの頂点12rstと、に穴を設けた場合に、第一磁石14の位置は凸曲面の任意の位置に配置することができる。
例えば、第一磁石14は、凸曲面11gsに複数固定されていてもよい。複数の第一磁石14が複数の第二磁石15に引き付けられることで、固定台12に対して移動台11を強固に固定したり、移動台11を微小な角度で調整を行ったりすることができる。
例えば、凸曲面11gsに固定された第一磁石14が複数存在し、凹曲面12rsに固定された第二磁石15が、1つあるいは2つ以上存在してもよい。この場合、この位置制御機構1は、本実施形態に係る位置制御機構1と同様の振る舞いをみせる。
【0036】
例えば、第一磁石14が、電磁石であってもよい。電磁石を用いることで、第一磁石14と第二磁石15同士を強力にひきつけあうことができる。よって、移動台11を固定台12に対して即座に回動させ、さらにその姿勢を強固に保持し続けることができる。
さらに、回動させるだけでなく、電磁石を制御し、第一磁石14と、第二磁石15との斥力により移動台11を浮上させることができる。その後に、嵌合部材13を浮上させる浮上制御をすることで浮上制御を2段階に分けて行うことができる。斥力で先に移動台11を浮上させることで、嵌合部材13は凸曲面11gsと、凹曲面12rsとの接触面に働く摩擦力の影響を考慮することなく、より小さな力で浮上できる。その後、嵌合部材13は移動台11を持ちあげたまま浮上し、移動台11は第一磁石14と、第二磁石15との引力によって回動する。
【0037】
例えば、第三磁石16は、平面12sに埋め込まれてもよい。同様に、第四磁石17は、平面13sに埋め込まれてもよい。これにより、浮上制御時に、浮上した位置制御機構1全体の高さを抑えることができる。これは省スペース化に有用である。
【0038】
例えば、第三磁石16あるいは第四磁石17のどちらか一方が、永久磁石であってもよい。これにより制御対象が減るため、制御が簡易化される。
【0039】
例えば、第一磁石14と、第二磁石15と、第三磁石16と、第四磁石17と、の各々の形状は矩形状に限定されない。例えば、各磁石の形状は、円形や環状でもよい。
【0040】
例えば、第三磁石16は、複数に限定されない。一例として、第三磁石16として、環状の磁石を1つ配置してもよい。その場合、第三磁石16の配置は、固定台12の凹曲面12rsの外縁を囲むような配置であってもよい。
【0041】
例えば、第四磁石17は、複数に限定されない。一例として、第四磁石17として、環状の磁石を1つ配置してもよい。その場合、第四磁石17の配置は、嵌合部材13の穴13hの外縁を囲むような配置であってもよい。
【0042】
例えば、移動台11の可動部11gと、固定台12の受け部12rとの凹凸関係は逆転してもよい。
【0043】
例えば、嵌合部材13と、固定台12との間に、スプリングが存在していてもよい。例として、浮上制御時に、作業者は、第三磁石16と、第四磁石17との電流を遮断することで、スプリングにて嵌合部材13を浮上させる。浮上後、作業者は、第一磁石14と、第二磁石15と、の間で引力を発生させ、移動台11を回動させる。最後に作業者は、電磁石への制御によって、第三磁石16と、第四磁石17との間に引力を発生させる。これにより、移動台11と、固定台12と、を接触させる。スプリングを使用することで、作業者は、第三磁石16と、第四磁石17と、に常時電流を流して制御する必要がなくなる。
【0044】
例えば、嵌合部材を第三磁石16と、第四磁石17とによる斥力で浮上させる場合、嵌合部材13が垂直方向に移動しやすい(あるいは面内方向に回転しにくい)様に、固定台12の側面から、嵌合部材13の移動方向に沿ってガイド機構を設けてもよい。例えば固定台12から嵌合部材13までの周囲を壁で囲うことが考えられる。また、固定台12から棒状のストッパーを設け、嵌合部材13に貫通させ、これをガイド構造にすることでも、面内回転を抑制しうる。棒状のストッパーには、端部に爪を備え、嵌合部材13が外れないよう爪によって嵌合部材13の移動方向に制限を加えてもよい。また、端部に爪を備えた棒状のストッパーは、固定台12の周囲に設け、浮上制御した際の嵌合部材13の外縁部を保持してもよい。
【0045】
<第二実施形態>
以下、第二実施形態として本開示に係る固定システム、通信システム、制御装置について、図7図8を用いて説明する。
第一実施形態では、位置制御機構1は電磁石を用いて移動台11の角度を調整していた。作業者は、電磁石への制御によって、第三磁石16と、第四磁石17と、の間で斥力を発生させて嵌合部材13を浮上させる。浮上によって移動台11と、固定台12と、の接触面に隙間が生じることにより、これらの接触面に生じていた摩擦力がなくなり、作業者は、移動台11を容易に傾けることができるようにしている。その後、作業者は、移動台11を傾けたい角度に対し、傾けたい角度に位置する複数の第二磁石15のうち、所定の第二磁石15をいくつか選び、励磁状態を切り替えて段階的に制御する。作業者は、第一磁石14と、選んだ第二磁石15と、の間で引力を発生させ、移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って移動させ、移動台11を傾けたい角度に傾ける。その後、作業者は、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力が発生した状態を維持した状態で、嵌合部材13の浮上を解除し、維持した磁石間の引力と、浮上解除により発生する摩擦力とで移動台11の姿勢を維持する。
本開示に係る固定システム5及び通信システム8は、位置制御機構1を用いることで、衛星との通信に用いられるような指向性の強いアンテナを用いた際により有用である。
【0046】
(固定システムの構成)
図7図8に示すように、固定システム5は、固定装置2と、制御装置3と、センサ4と、を備える。
例えば、固定装置2は、車上や船上に設置される。
センサ4は、筐体18の傾きを取得する。
センサ4は、加速度センサ、ジャイロセンサ、あるいはその両方を組み合わせた角度検知センサである。
例えば、センサ4は、角度を制御したい筐体18やその付近に設置される。固定装置2が設置されている車や船といった機器の動きに合わせ、センサ4は、筐体18の傾き角度を検知する。
センサ4は、後述する通信インターフェース34と通信を行う。その際、通信方式は有線無線を問わない。
【0047】
(通信システムの構成)
通信システム8は、前述した固定システム5と、アンテナ6と、を備える。
例えば、通信対象である衛星7と高周波数通信を行うため、アンテナ6は指向性の高いアンテナである。
例えば、アンテナ6は、筐体18内部に存在してもよい。
例えば、アンテナ6は、PAA(Phased Array Antenna)やパラボラアンテナのような板や皿状のものであってもよい。
【0048】
(制御装置の構成)
図8は、本開示の第1の実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、制御装置3は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信インターフェース34と、表示装置35と、入力装置36とを備えている。
【0049】
プロセッサ31は、所定のプログラムに従って動作することにより、浮上制御部311、移動制御部312、算出部313、取得部314、および記憶部315としての機能を発揮する。
コンピュータは、第一実施形態のST1~ST3の処理を作業者の代わりに実行する。
【0050】
浮上制御部311は、固定台12に対し、移動台11を浮かすように、第三磁石16及び第四磁石17を制御する。浮上制御部311は、第三磁石16及び第四磁石17の電流量と電流方向を変えることで、電磁石の制御を行う。電磁石の制御の結果、第三磁石16と、第四磁石17との斥力により、嵌合部材13は固定台12に対し浮上する。これに合わせて、移動台11は固定台12に対し浮上する。
【0051】
移動制御部312は、移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って移動させるように、第二磁石15を制御する。移動制御部312は、第二磁石15の電流量と、電流方向を制御することにより、第二磁石15の励磁状態を制御することで、電磁石の制御を行う。電磁石の制御の結果、第一磁石14と、第二磁石15との引力により、所定の位置に1つまたは複数あって算出部313により選ばれた第二磁石15を、必要に応じて励磁状態を切り替えて段階的に制御する。これにより、移動制御部312は移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って傾けたい角度に移動させる。
例えば、移動制御部312は、複数の第二磁石15のうち、第一磁石14の現在位置から最も近い第二磁石15から目標である傾けたい角度に対応する第二磁石15まで、算出部313が算出する後述のルートに沿って、第二磁石15を順にON(励磁状態)に切り替える。これにより、ルートに沿って第一磁石14が順に引きつけられることにより、移動制御部312は、第一磁石14を目標である第二磁石15まで徐々に近づけていく。
【0052】
算出部313は、センサ4が検知した筐体18の傾き角度のデータと、衛星7のアンテナ角度及び衛星7の位置情報と、から、現在の傾きから傾けるべき角度へ筐体18を傾けるのに必要な角度を算出する。
例えば、算出部313は、現在の筐体18の傾き角度であるセンサ4が検知した筐体18の傾き角度と、傾けるべき筐体18の角度である目標角度と、から、稼働角度を算出する。そして、算出部313は、複数の第二磁石15のうち、その稼働角度に対応する第二磁石15を決定し、第一磁石14の現在位置からのルートを算出する。
【0053】
取得部314は、通信インターフェース34を介して、センサ4が検知した筐体18の傾き角度のデータと、衛星7のアンテナ角度及び衛星7の位置情報と、を取得し、記憶部に保存する。その後、必要に応じて、取得部314は、これらの情報を記憶部315から取得する。
【0054】
記憶部315は、取得した筐体18の傾き角度のデータと、衛星7のアンテナ角度及び衛星7の位置情報と、を記憶する。
【0055】
なお、プロセッサ31が実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0056】
メモリ32は、プロセッサ31の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0057】
ストレージ33は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0058】
通信インターフェース34は、外部機器(センサ4等)との間で各種信号の送受信を行うためのインターフェースである。
【0059】
表示装置35は、解析画像等を表示する表示デバイスであって、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。
【0060】
入力装置36は、制御装置3のユーザの操作を受け付ける入力デバイスであって、例えば、一般的なマウス、キーボード、タッチセンサなどである。
【0061】
(通信システムの概要)
本実施形態における通信システムの概要について説明する。
まず、制御装置3の取得部314は、センサ4が検知した筐体18の傾き角度のデータと、衛星7のアンテナ角度及び位置情報と、を記憶部315から取得する。
次に、制御装置3の算出部313は、センサ4が検知した筐体18の傾き角度のデータと、衛星7のアンテナ角度及び位置情報と、から現在の傾きから傾けるべき角度へ筐体18を傾けるのに必要な稼動角度を算出する。算出されたデータは記憶部315に記憶される。
次に、制御装置3の浮上制御部311は、電磁石の制御を行い、固定台12に対し、移動台11を浮かすように、制御をする。これにより、筐体18の傾きを調整する準備が整う。
次に、制御装置3の移動制御部312は、移動台11が有する可動部11gの凸曲面11gsを、凹曲面12rsに沿って移動させるように、制御をする。現在の傾きから傾けるべき角度へ筐体18を傾けるのに必要な稼動角度が算出部313より算出されているため、制御装置3は、算出された稼動角度になるよう凹曲面を有する受け部12rに固定された複数の第二磁石15のうち、所定の第二磁石15をいくつか選び、励磁状態を切り替えて段階的に制御する。段階的に制御された第二磁石15に引き付けられる第一磁石14は、同様に段階的に移動していく。浮上制御部311にて、嵌合部材13を介して移動台11を浮上させているため、移動台11と、固定台12と、の接触面に隙間が生じることにより、これらの接触面に生じていた摩擦がなくなり移動台11を容易に傾けることができる。その際、浮上した移動台11が移動する軌跡は、固定台12の凹曲面12rsに沿ったものとなる。
制御装置3の移動制御部312は、目標角度に移動台11を移動した後、第一磁石14と、第二磁石15との間で引力が発生した状態を維持し続ける。
次に、制御装置3の浮上制御部311は、電磁石への制御を行い、第三磁石16と、第四磁石17との引力により、嵌合部材13と固定台12とを接触させる。これにより、移動台11と固定台12と、の接触面で発生する摩擦力で移動台11は固定される。
最終的に、制御装置3により、移動台11は、維持した磁石間の引力と、浮上解除により発生する摩擦力と、で姿勢を維持する。
衛星7あるいは固定装置が設置された車や船が動き、両者の相対位置が変化した場合、制御装置3は、前述した処理にて、再度ST1~ST3を作業者の代わりに実行し、筐体18の傾きを調整し続ける。
【0062】
(作用及び効果)
本実施形態の固定システム5、通信システム8及び制御装置3によれば、磁石と電磁石で移動台11の角度や回動を制御するため、必要な部品点数が少ない。よって、高さ方向及び幅方向への省スペース化に有用である。
したがって、本開示に係る固定システム5、通信システム8及び制御装置3は省スペース化しやすい。
【0063】
<第三実施形態>
以下、第三実施形態として本開示に係る位置制御機構の最小構成の実施形態について、図9を用いて説明する。
【0064】
(構成)
位置制御機構10は、凸曲面101gsを有する可動部101gを備える移動台101と、凸曲面101gsが嵌る凹曲面102rsを有する受け部102rを備える固定台102と、可動部101gに固定されている第一磁石104と、受け部102rに固定され、第一磁石104を引き付けて凸曲面101gsを凹曲面102rsに沿って移動させることが可能な第二磁石105と、移動台101と固定台102との間に設けられ、凸曲面が嵌る穴103hを有する嵌合部材103と、固定台102に固定されている第三磁石106と、第三磁石106に対向して嵌合部材103に固定され、固定台102に対し、移動台101を浮かすことが可能な第四磁石107と、を備える。
【0065】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、磁石と電磁石で移動台101の角度や回動を制御するため、必要な部品点数が少ない。よって、高さ方向及び幅方向への省スペース化に有用である。
したがって、省スペース化しやすい。
【0066】
<第四実施形態>
以下、第四実施形態として本開示に係る制御方法の最小構成の実施形態について、図10を用いて説明する。
本実施形態における制御方法は、図10に示すフローに従って実施される。
【0067】
制御方法は、凸曲面を有する可動部を備える移動台と、凸曲面が嵌る凹曲面を有する受け部と、を備える固定台と、可動部に固定されている第一磁石と、受け部に固定され、第一磁石を引き付ける第二磁石と、移動台と固定台との間に設けられ、凸曲面が嵌る穴を有する嵌合部材と、固定台に固定されている第三磁石と、第三磁石に対向して嵌合部材に固定されている第四磁石と、を備える位置制御機構の固定台に対し、移動台を浮かすように、第三磁石又は第四磁石を制御するステップ(ST10)と、凸曲面を凹曲面に沿って移動させるように、第一磁石又は第二磁石を制御するステップ(ST20)と、を含む。
【0068】
(作用及び効果)
本実施形態の制御方法によれば磁石と電磁石で移動台の角度や回動を制御するため、必要な部品点数が少ない。よって、高さ方向及び幅方向への省スペース化に有用である。
したがって、本開示に係る制御方法によれば省スペース化しやすい。
【0069】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0070】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【符号の説明】
【0071】
1 位置制御機構
11 移動台
11g 可動部
11gs 凸曲面
11gst 頂点
12 固定台
12r 受け部
12rs 凹曲面
12rst 頂点
12s 平面
13 嵌合部材
13s 平面
13h 穴
14 第一磁石
15 第二磁石
16 第三磁石
17 第四磁石
18 筐体
2 固定装置
3 制御装置
31 プロセッサ
311 浮上制御部
312 移動制御部
313 算出部
314 取得部
315 記憶部
32 メモリ
33 ストレージ
34 通信インターフェース
35 表示装置
36 入力装置
4 センサ
5 固定システム
6 アンテナ
7 衛星
8 通信システム
10 位置制御機構
101 移動台
101g 可動部
101gs 凸曲面
102 固定台
102r 受け部
102rs 凹曲面
103 嵌合部材
103h 穴
104 第一磁石
105 第二磁石
106 第三磁石
107 第四磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10