IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東陽機械製作所の特許一覧

<>
  • 特開-切断装置 図1
  • 特開-切断装置 図2
  • 特開-切断装置 図3
  • 特開-切断装置 図4
  • 特開-切断装置 図5
  • 特開-切断装置 図6
  • 特開-切断装置 図7
  • 特開-切断装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158771
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20241031BHJP
   B26D 1/09 20060101ALI20241031BHJP
   B65B 9/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B26D1/08
B26D1/09
B65B9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074285
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】592242660
【氏名又は名称】株式会社東陽機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹下 肇
【テーマコード(参考)】
3C027
3E050
【Fターム(参考)】
3C027JJ01
3C027JJ12
3C027JJ14
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB08
3E050CA01
3E050CB01
3E050CC01
3E050DB01
3E050DC03
3E050DD03
3E050DF01
3E050FA01
3E050FA07
3E050FB01
3E050FB07
3E050GB02
3E050GC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装袋列を切断する開閉動作に連動して、包装袋列の搬送方向で往復移動する一組の刃を備える切断装置を提供する。
【解決手段】包装袋列Pを幅方向に切断する切断装置は、互いに対向する一組の第1刃71および第2刃72と、一方向に回転する第1軸61bと、第1軸61bと共に回転する第1本体部61aと、を有する第1回転体61と、第1軸61bと逆方向に回転する第2軸62bと、第2軸62bと共に回転する第2本体部62aと、を有する第2回転体62と、を備え、第1回転体61および前記第2回転体62は、第1偏心軸61cおよび第2偏心軸の位置が、互いに最も上流側に配される上流位置、互いに最も近付く接近位置、互いに最も下流側に配される下流位置、互いに最も離れる離隔位置の順で変わるように、同一周期で回転し、第1刃71と第2刃72との間で、包装袋列Pを切断する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に連なった複数の包装袋からなり、かつ上流側から下流側に搬送される包装袋列を、前記包装袋ごとに分けるように、前記包装袋列を幅方向に切断する切断装置であって、
前記包装袋列を間に置く形で、互いに対向する一組の第1刃および第2刃と、
一方向に回転する第1軸と、前記第1軸の周りに配され、かつ、前記第1軸と共に回転する第1本体部と、を有する第1回転体と、
前記第1軸と平行に並びつつ前記第1軸と逆方向に回転する第2軸と、前記第2軸の周りに配され、かつ、前記第2軸と共に回転する第2本体部と、を有する第2回転体と、
前記第1本体部のうち、前記第1軸から偏心した位置において、回転自在な状態で支持される第1偏心軸と、
前記第2本体部のうち前記第2軸から偏心した位置において、回転自在な状態で支持される第2偏心軸と、
前記第1偏心軸で支持されるとともに、前記第1刃を保持する第1保持体と、
前記第2偏心軸で支持されるとともに、前記第2刃を保持する第2保持体と、
前記第1刃および前記第2刃の対向方向に延びた形をなし、前記対向方向に沿って互いに近付く向きと、互いに離れる向きとに移動できるように、前記第1保持体及び前記第2保持体を支持する第1ガイド体と、を備え、
前記第1回転体および前記第2回転体は、前記第1偏心軸および前記第2偏心軸の位置が、互いに最も前記上流側に配される上流位置、互いに最も近付く接近位置、互いに最も前記下流側に配される下流位置、互いに最も離れる離隔位置の順で変わるように、同一周期で回転し、
前記第1回転体および前記第2回転体が、前記上流位置から前記接近位置まで移動する過程において、前記第1刃と前記第2刃との間で、前記包装袋列を切断する、切断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の切断装置であって、
前記包装袋列の搬送方向に延びた形をなし、前記搬送方向に沿って、前記上流側と前記下流側とを往復移動できるように、前記第1ガイド体を支持する第2ガイド体を備える、切断装置。
【請求項3】
請求項1に記載の切断装置であって、
前記第1回転体および前記第2回転体が回転する角速度は、前記第1偏心軸と前記第2偏心軸が、前記下流位置から前記上流位置まで移動するときよりも、前記上流位置から前記下流位置まで移動するときの方が大きい、切断装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の切断装置であって、
前記第1刃と前記第2刃のうちの一方は、他方に向かって突出する凸部を有し、
前記第1刃と前記第2刃のうちの他方は、一方に向かって開口する凹部を有し、
前記凸部と前記凹部が互いに近付いて嵌合することにより、前記第1刃と前記第2刃との間で前記包装袋列が打ち抜き切断される、切断装置。
【請求項5】
長さ方向に連なった複数の包装袋からなり、かつ上流側から下流側に搬送される包装袋列を、前記包装袋ごとに分けるように、前記包装袋列を幅方向に切断する切断装置であって、
前記包装袋列を間に置く形で、互いに対向する一組の第1刃および第2刃と、
一方向に回転する第1軸と、前記第1軸の周りに配され、かつ、前記第1軸と共に回転する第1本体部と、を有する第1回転体と、
前記第1軸と平行に並びつつ前記第1軸と逆方向に回転する第2軸と、前記第2軸の周りに配され、かつ、前記第2軸と共に回転する第2本体部と、を有する第2回転体と、
前記第1本体部のうち、前記第1軸から偏心した位置で支持される第1偏心軸と、
前記第2本体部のうち前記第2軸から偏心した位置で支持される第2偏心軸と、
前記第1偏心軸に回転自在な状態で支持されるとともに、前記第1刃を保持する第1保持体と、
前記第2偏心軸に回転自在な状態で支持されるとともに、前記第2刃を保持する第2保持体と、
前記第1刃および前記第2刃の対向方向に延びた形をなし、前記対向方向に沿って互いに近付く向きと、互いに離れる向きとに移動できるように、前記第1保持体及び前記第2保持体を支持する第1ガイド体と、を備え、
前記第1回転体および前記第2回転体は、前記第1偏心軸および前記第2偏心軸の位置が、互いに最も前記上流側に配される上流位置、互いに最も近付く接近位置、互いに最も前記下流側に配される下流位置、互いに最も離れる離隔位置の順で変わるように、同一周期で回転し、
前記第1回転体および前記第2回転体が、前記上流位置から前記接近位置まで移動する過程において、前記第1刃と前記第2刃との間で、前記包装袋列を切断する、切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長さ方向に連なった複数の包装袋からなる包装袋列を、包装袋毎に分けるように、包装袋列を幅方向に切断する切断装置が知られている(例えば、特許文献1)。この種の切断装置よる包装袋列の切断は、包装袋列の搬送方向と交差する方向に開閉動作する一対の刃により行われる。
【0003】
切断装置で包装袋列を切断する際、刃が包装袋列に干渉すると、包装袋列がばたつく等して搬送が妨げられる。刃と包装袋列の干渉を抑制するため、一対の刃は、包装袋列に追従して搬送方向に移動しながら閉じ、包装袋列を切断する。切断後は、搬送方向に移動しながら一対の刃を開き、その後刃を開いたまま搬送方向とは逆方向に移動して元の位置に戻る。つまり、搬送される包装袋列を繰り返し切断する場合、一対の刃の開閉動作に加えて、一対の刃を搬送方向に往復移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-51523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対の刃を搬送方向に往復移動させる手段として、例えば、切断装置ごと移動させることが考えられる。しかし、切断装置を移動させるための動力源や、移動のためのスペースが必要であり、切断装置および包装充填機の複雑化、大型化が問題となる。
【0006】
本発明の目的は、上流側から下流側へ搬送される包装袋列を繰り返し切断できるように、包装袋列を切断する開閉動作に連動して、包装袋列の搬送方向で往復移動する一組の刃を備える切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1>長さ方向に連なった複数の包装袋からなり、かつ上流側から下流側に搬送される包装袋列を、前記包装袋ごとに分けるように、前記包装袋列を幅方向に切断する切断装置であって、前記包装袋列を間に置く形で、互いに対向する一組の第1刃および第2刃と、一方向に回転する第1軸と、前記第1軸の周りに配され、かつ、前記第1軸と共に回転する第1本体部と、を有する第1回転体と、前記第1軸と平行に並びつつ前記第1軸と逆方向に回転する第2軸と、前記第2軸の周りに配され、かつ、前記第2軸と共に回転する第2本体部と、を有する第2回転体と、前記第1本体部のうち、前記第1軸から偏心した位置において、回転自在な状態で支持される第1偏心軸と、前記第2本体部のうち前記第2軸から偏心した位置において、回転自在な状態で支持される第2偏心軸と、前記第1偏心軸で支持されるとともに、前記第1刃を保持する第1保持体と、前記第2偏心軸で支持されるとともに、前記第2刃を保持する第2保持体と、前記第1刃および前記第2刃の対向方向に延びた形をなし、前記対向方向に沿って互いに近付く向きと、互いに離れる向きとに移動できるように、前記第1保持体及び前記第2保持体を支持する第1ガイド体と、を備え、前記第1回転体および前記第2回転体は、前記第1偏心軸および前記第2偏心軸の位置が、互いに最も前記上流側に配される上流位置、互いに最も近付く接近位置、互いに最も前記下流側に配される下流位置、互いに最も離れる離隔位置の順で変わるように、同一周期で回転し、前記第1回転体および前記第2回転体が、前記上流位置から前記接近位置まで移動する過程において、前記第1刃と前記第2刃との間で、前記包装袋列を切断する、切断装置。
【0008】
<2>前記包装袋列の搬送方向に延びた形をなし、前記搬送方向に沿って、前記上流側と前記下流側とを往復移動できるように、前記第1ガイド体を支持する第2ガイド体を備える、前記<1>に記載の切断装置。
【0009】
<3>前記第1回転体および前記第2回転体が回転する角速度は、前記第1偏心軸と前記第2偏心軸が、前記下流位置から前記上流位置まで移動するときよりも、前記上流位置から前記下流位置まで移動するときの方が大きい、前記<1>に記載の切断装置。
【0010】
<4>切断装置において、前記第1刃と前記第2刃のうちの一方は、他方に向かって突出する凸部を有し、前記第1刃と前記第2刃のうちの他方は、一方に向かって開口する凹部を有し、前記凸部と前記凹部が互いに近付いて嵌合することにより、前記第1刃と前記第2刃との間で前記包装袋列が打ち抜き切断されている、前記<1>から前記<3>に記載の、切断装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、上流側から下流側へ搬送される包装袋列を繰り返し切断できるように、包装袋列を切断する開閉動作に連動して、包装袋列の搬送方向で往復移動する一組の刃を備える切断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る切断装置を備えた縦型多列充填包装機の右側面図
図2】包装袋形成機構部を通過して包装袋が形成される工程を模式的に表した説明図
図3】切断装置を模式的に表した平面図
図4図3のA-A線で縦断した概略図
図5】第1刃と第2刃とが組み合わされた状態を示す図
図6図3のB-B線で縦断した概略図
図7図3のC-C線で縦断した概略図切断工程を時系列順表した説明図(1)
図8図3のC-C線で縦断した概略図切断工程を時系列順表した説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る切断装置50を備えた縦型多列充填包装機10を、図1図8を参照して説明する。図1は、実施形態1に係る切断装置50を備えた縦型多列充填包装機10の右側面図である。縦型多列充填包装機(以下、単に「包装機10」と称する場合がある)は、6列に亘って、食品や医薬品等の内容物が充填されたスティック状の包装袋P0を連続的に製造する。図1の左側を、包装機10の前方とし、図1の右側を包装機10の後方として説明する。また、図1の紙面中の上下方向を、包装機10の上下方向とし、紙面中の手前側を右方向、奥側を左方向とする。
【0014】
包装機10は、本体フレーム11と、その後方の下部位置に設置されたフィルム供給装置12とを備えている。本体フレーム11は、包装機10が備える切断装置50等の各構成を支持する部材である。フィルム供給装置12は、ロール状の包材ロールFrから原反フィルムf0を供給する。包材ロールFrの中心には、モータで駆動する回転軸12aが設置されており、その回転軸12aが回転することで、包材ロールFrから原反フィルムf0が所定の速度で繰り出される。なお、本実施形態に係る包装機10は、連続送りタイプの包装充填機であり、原反フィルムf0は停止することなく連続的に繰り出される。
【0015】
フィルム供給装置12から供給された原反フィルムf0は、複数のロールを有するロール群13を通って弛みが吸収されつつ、本体フレーム11の背面側を上るように搬送される。そして更に、原反フィルムf0は、本体フレーム11の上面側を通って、本体フレーム11の前方側に設けられている包装袋形成機構部20に供給される。
【0016】
包装袋形成機構部20は、スリッタ装置21と、フォーマ装置22と、縦シール装置23と、横シール装置24と、充填装置25と、切断装置50等を備えている。上述した原反フィルムf0は、包装袋形成機構部20に供給され、原反フィルムf0が上側から下側に向かって包装袋形成機構部20を通過する際に、6列に分かれて、スティック状の包装袋P0が連続的に製造される。
【0017】
図2は、包装袋形成機構部20を通過して包装袋P0が形成される工程を模式的に表した説明図である。スリッタ装置21は、図1及び図2に示されるように、5枚の回転カッターを、一定間隔を空けて設けた上下一対の回転軸21aを備えている。原反フィルムf0は、それらの回転軸21aの間を通過する際に、長さ方向に平行に切断されて、6列に分けられた長尺状の分断フィルムf2となる。なお、説明の便宜上、図2には、スリッタ装置21の一部のみが示されている。
【0018】
フォーマ装置22は、各分断フィルムf2を筒形に形成する装置である。フォーマ装置22は、各分断フィルムf2に1つずつ割り当てられる複数のフォーマパイプ22aを備えている。フォーマパイプ22aは、概ね上下方向に沿うように配置され、後述する縦シール装置23が備える筒形シール部23a内に、フォーマパイプ22aの下端側が、クリアランスを持って挿入される。分断フィルムf2は、フォーマパイプ22aに対して外側から筒形に巻き付けられる。なお、フォーマパイプ22aは、内容物の供給パイプとしても機能する。図2には、説明の便宜上、複数のフォーマパイプ22aのうち、一部のフォーマパイプ22aのみが示されている。
【0019】
縦シール装置23は、筒形にされた分断フィルムf2の側縁同士が重ね合わせられた部分をシール(熱溶着)して、筒状フィルムf3を形成する装置である。縦シール装置23は、筒形シール部23aと、その筒形シール部23aに対して進退駆動する縦シールブロック23bとを備えている。筒形シール部23aは、上下方向に沿う形で本体フレーム11側に固定されている。また、筒形シール部23aには、正面側に上下方向に沿った開口溝が形成されている。
【0020】
分断フィルムf2は、上述したようにフォーマパイプ22aに筒形に巻き付けられた後、フォーマパイプ22aと筒形シール部23aとの間(クリアランス)を通過する際に、分断フィルムf2の幅方向の両端(側縁)が重ね合わせられ、その重ね合わせられた部分(以下、「合わせ部」と称する)が、筒形シール部23aの開口溝からはみ出した状態となる。
【0021】
縦シールヒータ23bは、筒形シール部23aと対向する面において、上下方向に延びるスリットが形成されている。開口溝からはみ出した合わせ部はスリットの内部を通って下方に移動するようになっている。縦シールヒータ23bは適度に加熱されており、合わせ部がスリットの内部を通過するときに、合わせ部のシール(熱溶着)が行われる。このようにして、分断フィルムf2から、合わせ部を有する筒状フィルムf3が形成される。
【0022】
横シール装置24は、筒状フィルムf3を、幅方向に横切る形でシール(熱溶着)するとともに、筒状フィルムf3を上流から下流に向かって連続的に送り出す装置である。横シール装置24は、横シールヒータ24aと、横シールヒータ24aよりも下流側(下方)に位置する横シールヒータ24bと、を備えている。横シールヒータ24a、24bは、それぞれ向かい合う一対のヒータブロックを有している。一対のヒータブロックは、適度に加熱されたヒータブロックで筒状フィルムf3を挟むことで、筒状フィルムf3を幅方向にシールする。
【0023】
横シールヒータ24a、24bは、図示しない駆動源により、それぞれ独立した動きで上下方向に往復移動する。横シールヒータ24bが往復移動する範囲は、横シールヒータ24aが往復移動する範囲よりも下流側である。
【0024】
横シール装置24が筒状フィルムf3をシールし、下流側に送り出す動作を具体的に説明する。上流側に位置する横シールヒータ24aは、往復移動の上限位置で筒状フィルムf3を挟むと、挟んだまま下限位置まで下降して筒状フィルムf3を下流側に引き下げる。上流位置から下限位置まで移動する間に、筒状フィルムf3が幅方向にシールされる。横シールヒータ24aは、下限位置において筒状フィルムf3を解放し、上限位置まで戻る。
【0025】
下流側に位置する横シールヒータ24bも、横シールヒータ24aと同様の動作により、筒状フィルムf3をシールして下流側へ引き下げる。横シールヒータ24aが筒状フィルムf3を引き下げる動作と、横シールヒータ24bが筒状フィルムf3を引き下げる動作を交互に行うことで、横シール装置24は筒状フィルムf3を連続的に下流側に送り出しながら、同時に幅方向のシールを行う。
【0026】
充填装置25は、上述したフォーマ装置22の一部を構成するフォーマパイプ22aの上端部に、供給口25aが突設され、その上端に接続シュート25bが接続されている。接続シュート25bには、ホッパ(図示せず)内に貯留された内容物が、計量されて投入される。投入された所定量の内容物は、接続シュート25b及びフォーマパイプ22aを通過して、下方に供給される。
【0027】
切断装置50は、上流側から下流側に向かって連続的に供給される、複数の包装袋P0が一列に繋がった包装袋列Pを、一対の第1刃71と第2刃72で挟み込み切断する装置である。切断装置50は、包装袋列Pを横シール部Sにおいて幅方向に切断して、包装袋P0に個別化する。本実施形態では、包装袋列Pは、切断装置50の上方から下方に向かって搬送されており、上方が上流側、下方が下流側で、搬送方向は下方である。切断装置50の構成については後述する。
【0028】
切断装置50の上流側には、図1に示されるように、ガイド体26が設けられており、それによって、切断装置50に供給される前の包装袋列Pの姿勢(向き)が調整される。また、切断装置50の下方には、切断されて個別化された包装袋P0を受けて、図示されない搬送手段(コンベア)上に排出するための排出シュート27が、列毎に設けられている。
【0029】
<切断装置>
切断装置50の構成について、図3から図8を参照して説明する。図3は切断装置50を平面視した模式図である。切断装置50は、ハウジング51と、駆動部52と、複数の歯車および回転軸が組み合わされてなる動力伝達部53と、第1回転体61と、第2回転体62と、ハウジング51の内側に収容されている切断部70と、を備えている。
【0030】
ハウジング51は略箱型をしており、左右方向に間隔を空けて立設された一対の側壁51aを有している。ハウジング51は、後方側(図5における上方)において、本体フレーム11の前面に取り付けられており、切断装置50は本体フレーム11および包装袋形成機構部20に対して固定されている。
【0031】
<駆動部>
ハウジング51の左外側には、駆動部52と、動力伝達部53と、駆動部52の動作を制御する制御部54と、が設けられている。駆動部52は、固定部材(図示せず)によりハウジング51に対して固定されている。駆動部52は、例えば電気で駆動するサーボモータである。駆動部52は、左右方向に延び、左右方向を軸として回転する出力軸52aを有している。
【0032】
本実施形態では、切断装置50の運転時における出力軸52aの回転方向は、右側から切断装置50を見て反時計回りである。以下の説明において、回転する歯車や軸の回転方向(時計回りまたは反時計回り)は、切断装置50を右側から見た回転方向として記述する。
【0033】
駆動部52は、出力軸52aの回転方向、回転角度、角速度(単位時間あたりの軸周りの回転角度)、回転数(単位時間あたりの回転回数)等の情報を出力軸52aから取得するエンコーダ52bを有している。制御部54は、エンコーダ52bが取得した各情報と、制御部54の内部に保存している制御プログラムに基づき、駆動部52の角速度及び回転数を制御する。例えば、制御部54からの指示により、駆動部52は、出力軸52aを任意の回転数で連続して回転させたり、任意の回転角度のときの角速度を任意に増減させることができる。
【0034】
出力軸52aの先端には、ドライブ歯車52cが同軸に取り付けられている。ドライブ歯車52cは、後述する動力伝達部53の第1歯車53aと噛合している。なお、駆動部52を除き切断装置50の構成は左右対称であるため、以降の説明においては、左側の構成のみを説明し、右側の構成の説明を省略する場合がある。
【0035】
<動力伝達部>
動力伝達部53は、出力軸52aの回転を、出力軸52aから離れた位置にある第1回転体61および第2回転体62に伝達する。動力伝達部53は、左右方向に間隔を空けて配された一対の第1歯車53aと、一対の第2歯車53bと、一対の第3歯車53cと、連結シャフト53dとを有している。一対の第3歯車53cは、一対の第3歯車53cと同軸に設けられた連結シャフト53dによって連結されている。
【0036】
まず、動力伝達部53の左側に配された歯車群について説明する。第1歯車53aは、第1歯車53aよりも前方に位置するドライブ歯車52cと噛合しており、ドライブ歯車52cの回転に伴って、ドライブ歯車52cとは逆向きに回転する。第1歯車53aには、第1歯車53aの回転軸と同軸になるように、第1回転体61の第1軸61bが連結されている。第1歯車53aが回転すると、第1回転体61が同一方向に同一周期で回転する。
【0037】
第1歯車53aは、後方側において、第2歯車53bと噛合している。第2歯車53bの回転軸は、第1歯車53aの回転軸と平行になるように設定される。第2歯車53bは第1歯車53aと直径が同じであり、外周に設けられた歯数も等しい。互いに噛合している第1歯車53aと第2歯車53bは、反対方向に同一周期で回転する。
【0038】
第2歯車53bには、第2歯車53bの回転軸と同軸になるように、第2回転体62の第2軸62bが連結されている。第2歯車53bが回転すると、第2回転体62が同一方向に同一周期で回転する。
【0039】
第1歯車53aと第2歯車53bは反対方向に同一周期で回転するため、それぞれの歯車と連結されている第1回転体61と第2回転体62も、反対方向に同一周期で回転する。第1歯車53aと第2歯車53bの回転軸は平行であるため、それぞれの回転軸と同軸である第1軸61bと第2軸62bも平行である。
【0040】
第2歯車53bは、後方側において、第3歯車53cと噛合している。第3歯車53cは左右方向を回転軸として、第2歯車53bとは逆向きに回転する。左側の第3歯車53cと右側の第3歯車53cは、同軸に設けられた連結シャフト53dによって連結されており、第2歯車53bから第3歯車53cに伝達された駆動力は、連結シャフト53dを介して、右側の第3歯車53cに伝達される。
【0041】
駆動部52の駆動力は、ドライブ歯車52cから第1歯車53a、第2歯車53b、第3歯車53cと伝達され、さらに連結シャフト53dを介してハウジング51の右側に伝達される。そして、ハウジング51の右側において、第3歯車53cが噛合している第2歯車53bを回転させ、さらに第2歯車53bが第1歯車53aを回転させる。
【0042】
図3において、各歯車52c、53a~53dおよび回転体61、62に付した矢線は、それぞれ上方から見たときの各部材の回転方向を示している。包装袋列Pを切断装置50で切断する場合の、出力軸52aの回転方向は、反時計回りである。出力軸52aを反時計回りに回転させると、第1歯車53aに連結された第1回転体61は時計回りに回転し、第2歯車53bに連結された第2回転体62は反時計回りに回転する。
【0043】
<回転体>
図3に示すように、側壁51aの前方寄りの位置には、側壁51aを左右方向に貫通する第1孔51bが形成されている。図4に示すように、第1孔51bの形状は、左右方向から見て円形である。第1孔51bの内側には、軸受を介して第1回転体61が回転自在に支持されている。第1回転体61は、円板状の第1本体部61aと、第1回転体61の回転中心C1からハウジング51の外側に向かって延びる第1軸61bと、を有している。第1軸61bは第1歯車53aと連結しており、第1回転体61は、第1歯車53aの回転に伴って、第1軸61bを回転軸、回転中心C1を中心として、所定の角速度(単位時間あたりの軸周りの回転角度)で回転する。
【0044】
第1本体部61aの、第1軸61bから偏心した位置には、軸受61dを介して第1偏心軸61cが支持されている。第1偏心軸61cは、第1本体部61aに対して回転自在である。第1回転体61が第1軸61bの軸周りに回転すると、第1偏心軸61cは、第1回転体61の回転中心C1を中心として所定の角速度で円運動する。
【0045】
図3図4に示すように、側壁51aの、第1孔51bよりも後方寄り、かつ、第1孔51bとは間隔を空けた位置には、側壁51aを左右方向に貫通する第2孔51dが形成されている。第2孔51dの形状は、左右方向から見て円形である。
【0046】
第2孔51dの内側には、軸受を介して第2回転体62が回転自在に支持されている。第2回転体62の構成は、第1回転体61と同じである。すなわち、第2回転体62は、円板形状の第2本体部62aと、第2回転体62の回転中心C2からハウジング51の外側に向かって延びる第2軸62bと、を有している。第2軸62bは第2歯車53bと連結しており、第2回転体62は、第2歯車53bの回転に伴って、第2軸62bを回転軸、回転中心C2を中心として、所定の角速度で回転する。
【0047】
第2回転体62においても、第1回転体61と同様に、第2本体部62aの第2軸62bから偏心した位置に、軸受62dを介して第2偏心軸62cが支持されている。第2偏心軸62cは、第2本体部62aに対して回転自在である。本実施形態では、第2回転体62の回転中心C2から第2偏心軸62cの回転中心までの距離と、第1回転体61の回転中心C2から第1偏心軸61c回転中心までの距離は同じとしている。第2回転体62が回転すると、第2偏心軸62cは、C2を中心として所定の角速度で円運動する。
【0048】
第1回転体61と第2回転体62は、それぞれ第1歯車53aと第2歯車53bの回転に伴い、逆方向、かつ、同一周期で回転する。第1偏心軸61cと第2偏心軸62cの円運動も、逆方向、かつ、同一周期である。
【0049】
<切断部>
切断部70は、動力伝達部53により伝達された駆動部52の駆動力によって、第1刃71および第2刃72を互いに接近及び離隔させて、包装袋列Pを切断する。図3に示すように、切断部70は、第1刃71、第2刃72、第1保持体73、第2保持体74、第1ガイド体75、第2ガイド体76、を有している。
【0050】
<一組の刃>
図5(A)、図5(B)は、対向して配置される第1刃71および第2刃72からなる一組の刃71、72の平面図と、前方から見た正面図である。
【0051】
第1刃71は、前後方向に延在する一対の柱状の雄ガイド部71aと、一対の雄ガイド部71aの基端側(前方側)において、一対の雄ガイド部71aを連結する板状の連結部71bと、を有している。一対の雄ガイド部71aは、左右方向に間隔を空けて配されている。連結部71bの後端には、左右方向に延び、対向する第2刃72の方向に向かって突出した雄切刃(「凸部」の一例)71cが形成されている。
【0052】
第2刃72は、略直方体のブロック状をなし、前後方向に貫通する貫通孔72aが形成されている。貫通孔72aは、第2刃72の前方側の面と後方側の面において、それぞれ開口している。貫通孔72aは、一対の雄ガイド部71aに対応する位置に貫設されており、雄ガイド部71aを案内する一対の雌ガイド孔72bと、一対の雌ガイド孔72bを繋ぐ中央孔72cと、からなる。中央孔72cの前方端の縁には、前方に向かって開口し、雄切刃71cと嵌合する雌切刃(「凹部」の一例)72dが形成されている。
【0053】
第1刃71と、第2刃72は、一対の雄ガイド部71aが一対の雌ガイド孔72bに嵌入するように、前後方向に並んで対向配置される。雄ガイド部71aの先端を雌ガイド部72bの開口縁に前方から挿入した状態では、図5(A)に示すように、上下方向に開口したギャップGが形成される。ギャップGは、一対の雄ガイド部71aと、雄切刃71cと、雌切刃72dとで囲まれた空間である。
【0054】
ギャップGの内側に包装袋列Pを挿入し、その後、第1刃71と第2刃72を互いに接近させると、包装袋列Pの一部が打ち抜き切断される。詳しくは、雄ガイド部71aが雌ガイド部72bに案内されて、雌ガイド部72bの内部に進入すると、雄切刃71cと雌切刃72dとが接近し、ギャップGの前後方向の幅は小さくなる。更に第1刃71と第2刃72を互いに接近させると、雄切刃71cが雌切刃72dの前端位置を超えて中央孔72cの内部に嵌合する。このとき、ギャップGの前後方向の幅がゼロになり、ギャップGの内側にある包装袋列Pは、雄切刃71cと雌切刃72dとによって打ち抜かれ、幅方向(左右方向)に切断される。
【0055】
以降の説明において、一対の刃71、72が接近して、ギャップGの前後方向の幅がゼロになることを、「一対の刃71、72が閉じる」と表記する。また、一対の刃71、72が離隔して、ギャップGが形成されることを、「一対の刃71、72が開く」と表記する。
【0056】
<保持体>
第1保持体73は、左右方向を長手方向とする略直方体状の部材である。図3に示すように、第1保持体73は、後方側の面において、1個以上(本実施形態では6個)の第1刃71を、左右方向に一列に並んだ状態で保持している。第1保持体73は、雄ガイド部71aおよび雄切刃71cが後方に向かって突出する姿勢になるように、第1刃71を保持する。
【0057】
第2保持体74は、左右方向を長手方向とする略直方体状の部材である。第2保持体74は、前方側の面において、第1保持体73が保持する第1刃71と同数の第2刃72を、各第1刃71に対向する位置で保持している。第2保持体74は、貫通孔72aの開口および雌切刃72dが後方側を向く姿勢になるように、第2刃72を保持する。
【0058】
<第1ガイド体>
図3に示すように、第1保持体73と第2保持体74の左側の端部には、第1ガイド体75が取り付けられている。第1ガイド体75は、2つのスプライン外筒75aと、1つのスプラインシャフト75bと、からなる。第1保持体73と第2保持体74の右側の端部にも同様に、第1ガイド体75が取り付けられている。
【0059】
図6に示すように、スプラインシャフト75bは、前後方向に延在するシャフトである。スプライン外筒75aには前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、貫通孔にはスプラインシャフト75bが摺動可能に挿通される。スプライン外筒75aは、スプラインシャフト75bに対し、スプラインシャフト75bの延在方向に沿って平行移動可能である。
【0060】
スプライン外筒75aは、第1回転体61が支持する第1偏心軸61cに連結されている。第1回転体61が回転すると、第1偏心軸61cとスプライン外筒75aは、第1回転体61の回転中心C1を中心に円運動する。上述の通り、第1偏心軸61cは第1本体部61aに対して回転自在である。第1偏心軸61cが第1本体部61aに対して自在に回転することにより、スプライン外筒75aは、スプラインシャフト75bが前後方向に挿通されている状態の姿勢を維持したまま、C1を中心に時計回りに円運動する。
【0061】
第2保持体74を保持するスプライン外筒75aおよびスプラインシャフト75bについても、回転方向を逆方向として、同様の動作をする。すなわち、第2回転体62が回転すると、スプライン外筒75aは、スプラインシャフト75bが前後方向に挿通されている状態の姿勢を維持したまま、第2回転体62の回転中心C2を中心に、反時計回りに円運動する。
【0062】
図3に示すように、前方側のスプライン外筒75aには、第1刃71を保持する第1保持体73が取り付けられており、後方側のスプライン外筒75aには、第2刃72を保持する第2保持体74が取り付けられている。スプライン外筒75aがC1、C2を中心に円運動することにより、第1刃71と第2刃72が、対向する姿勢を維持しつつ、互いに逆方向に円運動する。
【0063】
<第2ガイド体>
図3図6に示すように、スプラインシャフト75bの両端には、スプラインシャフト75bを上下方向に案内する一対の第2ガイド体76が設けられている。第2ガイド体76は、上下方向に延在するガイドレール76aと、ガイドレール76aに摺動可能に取り付けられるスライダ76bと、を有している。
【0064】
ガイドレール76aは、側壁51aに取り付けられている。ガイドレール76aは、側壁51aの前方寄りの位置と後方寄りの位置においてそれぞれ同じ高さ位置に取り付けられており、互いに平行である。
【0065】
スライダ76bは、ガイドレール76aの延在方向である上下方向に沿って摺動する。スライダ76bは、ガイドレール76aに対して上下方向以外の移動が規制される。スライダ76bは、スプラインシャフト75bの両端にそれぞれ取り付けられる。第2ガイド体76は、スプラインシャフト75bを含む第1ガイド体75を、上下方向への往復移動を許容しつつ、他の方向(前後方向、左右方向)の移動を規制した状態で支持している。
【0066】
<切断工程>
次に、切断装置50が包装袋列Pを切断する切断工程について、図3のC-C線において縦断した概略図である図7図8を参照して説明する。C-C線は、第1刃71の雄切刃71cと、第2刃72の雌切刃72dの両方と交差する線である。図7図8の(A)~(D)の各図は、切断工程を時系列順に示す図である。本実施形態の包装機10において、包装袋列Pは、上流側から下流側に向かって、停止することなく連続して搬送される。
【0067】
図7(A)は、C1を中心に時計回りに円運動する第1偏心軸61cと、C2を中心に反時計回りに円運動する第2偏心軸62cが、互いに最も上流側(上方)に配されるときの状態を示している。このときの第1偏心軸61cと第2偏心軸62cの位置を、上流位置とする。
【0068】
偏心軸61c、62cが上流位置にあるとき、雄切刃71cと雌切刃72dは前後方向に間隔を空けて並んでおり、一対の刃71、72が開いてギャップGが形成されている。包装袋列Pは、ギャップGの内側を下流側に向かって搬送される。
【0069】
図7(B)は、第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが互いに最も接近するときの状態を示している。このときの第1偏心軸61cと第2偏心軸62cの位置を、接近位置とする。第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが上流位置にある状態から、第1回転体61が時計回りに90°回転し、第2回転体62が反時計回りに90°回転すると、接近位置になる。
【0070】
上流位置から接近位置に変わるまでの間、第1刃71と第2刃72は、互いに対向する姿勢を維持したまま、ともに下降しつつ互いに接近する。雄切刃71cと雌切刃72dは、包装袋列Pの搬送方向に追従して移動しながら接近する。雄切刃71cと雌切刃72dは、上流位置から接近位置までの間のタイミングで嵌合し、一対の刃71、72が閉じる。一対の刃71、72が閉じると、ギャップGの内側に位置していた包装袋列Pは、雄切刃71cと雌切刃72dによって、打ち抜き切断される。打ち抜き切断された後、刃71、72よりも下流側の包装袋列Pは包装袋P0となって落下し、刃71、72よりも上流側の包装袋列Pは引き続き下流側に搬送される。
【0071】
雄切刃71cと雌切刃72dの嵌合は、接近位置になる以前のタイミングで始まる。接近位置になったときは、図7(B)に示すように、雄切刃71cの先端が雌切刃72dの内部に所定のストローク量だけ押し込まれるため、確実に打ち抜き切断できるようになっている。具体的には、接近位置における、C1から雄切刃71cの刃先(後方端)までの距離と、C2から雌切刃72dの刃先(前方端)までの距離との合計が、C1からC2までの距離よりも大きくなっている。両者の差がストローク量である。
【0072】
図8(C)は、第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが互いに最も下流側(下方)に配されるときの状態を示している。このときの第1偏心軸61cと第2偏心軸62cの位置を、下流位置とする。第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが接近位置に配された状態から、第1回転体61が時計回りに90°回転し、第2回転体62が反時計回りに90°回転すると、下流位置になる。
【0073】
接近位置になってから下流位置になるまでの間、一対の刃71、72は、互いに対向する姿勢を維持したまま、ともに下降しつつ互いに離隔する。包装袋列Pの切断後に、下流側に搬送される包装袋列Pに追従して、あるいは追い越して刃71、72が下降するため、刃71、72が包装袋列と干渉することを抑制できる。
【0074】
また、一対の刃71、72が互いに離隔することにより、接近位置において閉じていた刃71、72が開き、ギャップGの開口が次第に大きくなる。ギャップGの前後方向の幅が包装袋列の前後方向の幅よりも大きくなった後は、下流側に搬送される包装袋列Pは、ギャップGの内側を通過して下方に進行し、刃71、72と干渉しない。
【0075】
図8(D)は、第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが互いに最も離れた位置に配されるときの状態を示している。このときの第1偏心軸61cと第2偏心軸62cの位置を、離隔位置とする。第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが下流位置に配された状態から、第1回転体61が時計回りに90°回転し、第2回転体62が反時計回りに90°回転すると、離隔位置になる。
【0076】
下流位置から離隔位置になるまでの間、一対の刃71、72は互いに対向する姿勢を維持したまま、上昇しつつ互いに離隔する。ギャップGは前後方向に拡大し、ギャップGの内側を、上流側から下流側に搬送される包装袋列Pが通過する。
【0077】
第1偏心軸61cと第2偏心軸62cが離隔位置に配された状態から、第1回転体61が時計回りに90°回転し、第2回転体62が反時計回りに90°回転すると、再び上流位置に戻り、1サイクルの切断工程が完了する。切断装置50は、第1回転体61と第2回転体62を連続回転させて、切断工程のサイクルを連続して行うことで、上流側から下流側に連続的に搬送される包装袋列Pを次々に切断できる。
【0078】
ここで、切断工程における、一対の刃71、72の、対向方向(前後方向)の動作のみを抜き出すと、次のようになる。離隔位置(図8(D))から接近位置(図7(B))に変わる際には、一対の刃71、72は、スプラインシャフト75bに沿って互いに接近する向きに平行移動し、包装袋列Pを打ち抜き切断する。打ち抜き切断の後、接近位置(図7(B))から離隔位置(図8(D))に変わる際には、一対の刃71、72は、スプラインシャフト75bに沿って互いに離隔する方向に平行移動する。つまり、第1刃71と第2刃72は、対向方向において、接近と離隔を繰り返す往復運動(開閉動作)をしている。
【0079】
一方、一対の刃71、72の、搬送方向(上下方向)の動作のみを抜き出すと、次のようになる。上流位置(図7(A))から下流位置(図8(C))に変わる際には、一対の刃71、72は、第1ガイド体75とともに、上流側から下流側へ移動する。下流位置(図8(C))から上流位置(図7(A))に変わる際には、一対の刃71、72は、第1ガイド体75とともに、下流側から上流側へ移動する。つまり、第1刃71と第2刃72は、上下方向において、上昇と下降を繰り返す往復運動をしている。
【0080】
本実施形態の切断装置50は、回転体(第1回転体61、第2回転体62)の回転運動を、一対の刃71、72の前後方向の往復運動(開閉動作)と、上下方向の往復運動と、の2つに変換しているといえる。
【0081】
このような構成の切断装置50では、第1刃71と第2刃72は、上流位置から下流位置まで移動する間に、下流側に移動しながら互いに接近して、下流側に搬送される包装袋列Pを打ち抜き切断した後(図7(B)参照)、さらに下流側に移動しながら互いに離隔する(図8(C)参照)。第1刃71と第2刃72は、包装袋列Pの移動に追従するように下流側に移動しながら、包装袋列Pを打ち抜き切断する。包装袋列Pを切断した後は、刃71、72が下流側に退避しつつ離隔して、速やかに包装袋列Pから離れる。その後、上流位置に戻り、同じ動作を繰り返す。これにより、刃71、72は、切断後の包装袋列Pに干渉せず、連続して搬送される包装袋列Pを繰り返し切断することができる。
【0082】
本実施形態の切断装置50は、刃71、72を包装袋列Pの移動方向(下流方向)に追従して移動させながら切断する。この場合、切断装置自体を包装袋列Pの搬送方向に沿って移動させる必要がない。切断装置自体を搬送方向に往復移動させるための動力源や構造材、スペースが不要であり、切断装置または包装機の単純化、省スペース化が可能である。また、切断装置50は往復移動しないため、騒音や振動を低減できる。
【0083】
また、回転体61、62の角速度を変えることにより、図7図8の(A)~(D)に示す1サイクルの切断工程に要する時間が変化する。包装袋列Pの搬送速度が一定の場合、1サイクルの時間を変化させることで、一度切断してから次に切断するまでに搬送される包装袋列Pの長さを変えることができる。
【0084】
具体的には、長さの小さい包装袋P0を製造する場合は、回転体61、62の角速度を大きくして、1サイクルの時間を短くする。これにより、1サイクルの間に搬送される包装袋列Pの長さが小さくなり、包装袋列Pを、長さの小さい個片(個々の包装袋P0)に切断することができる。長さの大きい包装袋P0を製造する場合は、回転体61、62の角速度を小さくすることにより対応できる。
【0085】
回転体61、62の角速度を変更することのみによって、様々な長さの包装袋P0の製造に、容易に対応することができる。角速度の変更は、駆動部52の回転数を調整することにより行う。
【0086】
また、1サイクルの切断工程の中で、回転体61、62の角速度を変化させてもよい。具体的には、制御部54により駆動部52の動作を制御して、1サイクル内における上流位置から下流位置までの角速度を、下流位置から上流位置までの角速度より大きくする。包装袋列Pの切断後に刃71、72が下方に退避する速度が大きくなり、包装袋列Pの搬送速度が大きくても、刃71、72と包装袋列Pの干渉を抑制できる。
【0087】
また、下流位置から上流位置までの角速度や所要時間は、刃71、72と包装袋列Pの干渉の有無とは無関係である。そのため、下流位置から上流位置までの角速度を増減させて1サイクルに要する時間を短くしたり、長くしたりすることができる。1サイクルの間に搬送される包装袋列Pの長さは、製造される包装袋P0の長さに相当する。したがって、制御部54により下流位置から上流位置までの角速度を調整することで、製造される包装袋P0の長さを調整することができる。
【0088】
また、制御部54により駆動部52の動作を制御して、上流位置から下流位置までの角速度を大きくすると、上流位置から下流位置になるまでの時間が短くなる。この場合、下流位置から上流位置までの角速度を変えなければ、1サイクルに要する時間が長くなり、1サイクル中に搬送される包装袋列Pの長さも長くなる。製造する包装袋P0の長さが変わらない場合、包装袋列Pの搬送速度を小さくしなければならない。
【0089】
下流位置から上流位置までの角速度を小さくすると、下流位置から上流位置になるまでに要する時間が長くなるため、1サイクルに要する時間を角速度の変更前と同じにできる。このようにすると、搬送速度を変えなくても、刃71、72と包装袋列Pの干渉を防ぎ、かつ、角速度の変更前後で同じ長さの包装袋P0を製造することができる。
【0090】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0091】
(1)動力伝達部53は駆動部52の駆動力を複数の歯車を介して第1回転体61および第2回転体62に伝達したが、駆動力の伝達は歯車以外によって行われてもよい。例えば、ベルトとプーリによって伝達してもよいし、チェーンと歯車によって伝達してもよい。
【0092】
(2)駆動部52のドライブ歯車52cで第1歯車53aを回転駆動させる場合を例示したが、ドライブ歯車52cと噛合する歯車は、動力伝達部53の他の歯車であってもよい。また、出力軸52aを動力伝達部53のいずれかの歯車と連結して、出力軸52aで直接駆動してもよい。
【0093】
(3)上記実施形態では、包装袋列Pの搬送方向が上方から下方であり、上方を上流側、下方を下流側とする場合を例示したが、包装袋列Pの搬送方向は、これに限られない。搬送方向は、斜め方向や水平方向であってもよい。
【0094】
(4)上記実施形態では、包装袋列Pが連続的に搬送される連続送りタイプの包装機10に切断装置50を適用する場合を例示したが、間欠送りタイプの包装機に適用してもよい。
【0095】
(5)上記実施形態では、嵌合する一組の刃71、72を用いて包装袋列Pを打ち抜き切断する切断装置50を例示したが、嵌合する一組の刃で包装袋列Pを切断しなくても。例えば、第1刃71と第2刃72が、上刃と下刃とからなる一組の刃であってもよい。
【符号の説明】
【0096】
10: 包装機(縦型多列充填包装機)
50: 切断装置
52: 駆動部
52c: ドライブ歯車
53a: 第1歯車
53b: 第2歯車
53c: 第3歯車
53d: 連結シャフト
61: 第1回転体
62: 第2回転体
71: 第1刃
72: 第2刃
73: 第1保持体
74: 第2保持体
75: 第1ガイド体
76: 第2ガイド体
G: ギャップ
P0: 包装袋
P: 包装袋列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8