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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158774
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20241031BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20241031BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B65D47/34 100
B05B11/10 101E
B05B11/10 101G
B05B11/00 102G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074292
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB10
3E084BA02
3E084DB09
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB17
3E084JA20
3E084KA20
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】付勢部材と内容物との接触を抑制する。
【解決手段】貯留空間Aを有するシリンダ11と、吐出孔25が形成された吐出ヘッド14と、ピストン15と、付勢部材16と、操作レバー18と、を備え、シリンダは、本体筒21と供給筒22とを備え、供給筒に、容器本体W内と貯留空間とを連通する供給孔26が形成され、供給筒内には、供給孔を閉塞し、貯留空間内の負圧時に供給孔を開く下部弁体17が設けられ、ピストンは、本体筒内に上下摺動可能に嵌合された摺動筒部27と、供給筒内に挿入された流路筒部31と、を備え、流路筒部内は、供給孔と貯留空間内とを連通し、流路筒部には、供給筒内に上下摺動可能に嵌合された第1シール筒部32が設けられ、付勢部材は、供給筒の内周面と流路筒部の外周面との間に設けられ、付勢部材の下端部は、第1シール筒部に支持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、
前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、
前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記ピストンを下方付勢状態で上方移動可能に支持する付勢部材と、
前記シリンダ内において前記貯留空間の下側に位置する部分に差し込まれ、前記ピストンを押上げる操作レバーと、を備え、
前記シリンダは、有底筒状の本体筒と、前記本体筒より小径に形成されるとともに、前記本体筒の底壁を上下方向に貫く供給筒と、を備え、
前記供給筒に、前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔が形成され、
前記供給筒内には、前記供給孔を閉塞し、前記貯留空間内の負圧時に前記供給孔を開く下部弁体が設けられ、
前記ピストンは、前記本体筒内に上下摺動可能に嵌合された摺動筒部と、前記供給筒内に挿入された流路筒部と、を備え、
前記流路筒部内は、前記供給孔と前記貯留空間内とを連通し、
前記流路筒部には、前記供給筒内に上下摺動可能に嵌合された第1シール筒部が設けられ、
前記付勢部材は、前記供給筒の内周面と前記流路筒部の外周面との間に設けられ、
前記付勢部材の下端部は、前記第1シール筒部に支持されている、吐出器。
【請求項2】
前記供給筒に、前記容器本体内と前記供給筒内とを連通する外気導入孔が形成され、
前記流路筒部には、前記第1シール筒部より下方に位置する第2シール筒部が設けられ、
前記第1シール筒部および前記第2シール筒部は、前記供給筒内において、前記外気導入孔を上下方向に挟む各部分に上下摺動可能に嵌合され、
上方移動した前記ピストンの前記第1シール筒部と前記供給筒の内周面との間には、外気が前記外気導入孔に向けて通過可能な外気導入通路が設けられている、請求項1に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、ピストンを下方付勢状態で上方移動可能に支持する付勢部材と、シリンダ内において貯留空間の下側に位置する部分に差し込まれ、ピストンを押上げる操作レバーと、を備え、付勢部材が貯留空間に設けられた吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、吐出する内容物の種類によっては、内容物と接する付勢部材が劣化したり、内容物が変質したりするおそれが考えられる。
【0005】
本発明は、付勢部材と内容物との接触を抑制することができる吐出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吐出器は、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、前記ピストンを下方付勢状態で上方移動可能に支持する付勢部材と、前記シリンダ内において前記貯留空間の下側に位置する部分に差し込まれ、前記ピストンを押上げる操作レバーと、を備え、前記シリンダは、有底筒状の本体筒と、前記本体筒より小径に形成されるとともに、前記本体筒の底壁を上下方向に貫く供給筒と、を備え、前記供給筒に、前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔が形成され、前記供給筒内には、前記供給孔を閉塞し、前記貯留空間内の負圧時に前記供給孔を開く下部弁体が設けられ、前記ピストンは、前記本体筒内に上下摺動可能に嵌合された摺動筒部と、前記供給筒内に挿入された流路筒部と、を備え、前記流路筒部内は、前記供給孔と前記貯留空間内とを連通し、前記流路筒部には、前記供給筒内に上下摺動可能に嵌合された第1シール筒部が設けられ、前記付勢部材は、前記供給筒の内周面と前記流路筒部の外周面との間に設けられ、前記付勢部材の下端部は、前記第1シール筒部に支持されている。
【0007】
本発明によれば、操作レバーを操作して、付勢部材による下方付勢力に抗してピストンを上昇させると、貯留空間内が正圧になり、下部弁体による供給孔の閉塞が保たれ、貯留空間内の内容物が吐出孔から吐出される。その後、操作レバーを解放すると、ピストンが付勢部材により下方に復元移動させられ、貯留空間内が負圧になり、下部弁体が供給孔を開放し、容器本体内の内容物が供給孔および流路筒部内を通過して貯留空間内に供給される。
この際、付勢部材の下端部を支持している第1シール筒部が、供給筒の内周面に当接していることから、内容物が、供給筒の内周面と流路筒部の外周面との間において、第1シール筒部より上方に位置する部分に流入することがなく、付勢部材と内容物との接触を抑制することができる。
【0008】
前記供給筒に、前記容器本体内と前記供給筒内とを連通する外気導入孔が形成され、前記流路筒部には、前記第1シール筒部より下方に位置する第2シール筒部が設けられ、前記第1シール筒部および前記第2シール筒部は、前記供給筒内において、前記外気導入孔を上下方向に挟む各部分に上下摺動可能に嵌合され、上方移動した前記ピストンの前記第1シール筒部と前記供給筒の内周面との間には、外気が前記外気導入孔に向けて通過可能な外気導入通路が設けられてもよい。
【0009】
操作レバーを解放し、ピストンを付勢部材により下方に復元移動するときに、容器本体内の内容物が、供給孔および流路筒部内を通過して貯留空間内に供給されるとともに、外気が、外気導入通路および外気導入孔を通して容器本体内に供給される。これにより、容器本体の減容変形が抑制される。
第1シール筒部および第2シール筒部が、供給筒内において、外気導入孔を上下方向に挟む各部分に上下摺動可能に嵌合されているので、容器本体内の内容物が、意図せず外気導入孔を通して供給筒内に流入しても、この内容物を、第1シール筒部と第2シール筒部との間にとどまらせることが可能になり、付勢部材と内容物との接触を抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、付勢部材と内容物との接触を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の吐出器の縦断面図である。
図2図1の吐出器において、ピストンを上昇させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、吐出器の一実施形態について説明する。
吐出器1は、図1に示されるように、シリンダ11と、閉塞壁12と、吐出弁13と、吐出ヘッド14と、ピストン15と、付勢部材16と、下部弁体17と、操作レバー18と、を備え、内容物が充填された容器本体Wの口部W1に、装着キャップCを介して取付けられる。なお、吐出器1は、閉塞壁12を備えなくてもよい。
【0013】
内容物としては、例えば、衣料用液体洗剤、柔軟剤、および自動食洗機用液体洗剤等が挙げられる。吐出ヘッド14、吐出弁13、閉塞壁12、操作レバー18、装着キャップC、シリンダ11、および下部弁体17は、例えばポリプロピレンで形成され、ピストン15は、例えばポリエチレンで形成され、付勢部材16は、例えば金属材料で形成されている。なお、付勢部材16は、合成樹脂材料で形成されてもよい。
【0014】
シリンダ11、ピストン15、および付勢部材16は、共通軸Oと同軸に配設されている。以下、共通軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て共通軸Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て共通軸O回りに周回する方向を周方向という。
径方向のうち、吐出ヘッド14の後述する吐出孔25が開口する向きを前方といい、この逆向きを後方といい、上下方向から見て前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0015】
シリンダ11は、上下方向に延びる筒状に形成されている。シリンダ11は、内容物が貯留される貯留空間Aを有している。シリンダ11の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
シリンダ11は、有底筒状の本体筒21と、本体筒21より小径に形成されるとともに、本体筒21の底壁を上下方向に貫く供給筒22と、を備えている。貯留空間Aは、口部W1の上方に位置している。
本体筒21は、口部W1から上方に向けて突出している。本体筒21に、径方向の外側に向けて突出したフランジ部が形成されており、フランジ部が、容器本体Wの口部W1の上端開口縁と装着キャップCとにより上下方向に挟まれることで、吐出器1が口部W1に固定される。
供給筒22の上端部は、本体筒21の底壁から上方に突出している。供給筒22の上端部は、本体筒21の上端部より下方に位置している。供給筒22の上端部に、環状の頂壁を有する有頂筒状の支持部28が嵌合されて固定されている。供給筒22の上部の直径は、供給筒22の下部の直径より大きくなっている。供給筒22の上部と、供給筒22の下部と、の接続部分には、供給筒22内と容器本体W内とを連通する外気導入孔22aが形成されている。供給筒22の上部のうち、外気導入孔22aに連なる下端部より上方に位置する部分の内周面に、上下方向に延びる縦溝22bが形成されている。供給筒22の下部は、環状の底壁を有する有底筒状に形成され、この底壁の開口が、容器本体W内と貯留空間Aとを連通する供給孔26となっている。
【0016】
下部弁体17は、供給筒22内に設けられ、供給孔26を閉塞し、貯留空間A内の負圧時に供給孔26を開く。下部弁体17は、装着部34と、第2弁本体35と、を備えている。下部弁体17の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0017】
装着部34は、有頂筒状に形成されるとともに、供給筒22の下部内に嵌合されて固定され、供給孔26を覆っている。装着部34において、共通軸Oを左右方向に挟む両側部分に、周壁を左右方向に貫通する切欠き部が形成されている。切欠き部は、装着部34のうち、周壁の下端部を除く上下方向の全長にわたって形成されており、切欠き部によって、装着部34の頂壁における左右方向の両端部は、前後方向に真直ぐ延びている。この切欠き部を通して、供給孔26と、ピストン15の後述する流路筒部31内と、が連通する。装着部34の頂壁に、上方に向けて突出する係止壁34aが形成されている。
【0018】
第2弁本体35は、装着部34の内側に設けられ、装着部34の周壁に弾性変位可能に連結されている。第2弁本体35は、供給筒22の下部の底壁の上面における供給孔26の開口周縁部に離反可能に当接している。第2弁本体35は、有頂筒状に形成され、その周壁の下端開口縁が、供給筒22の下部の底壁の上面に上方に向けて離反可能に液密に当接している。第2弁本体35は、弾性変形可能に形成された連結片17aを介して装着部34の周壁の下端部に連結されている。連結片17aは、周方向に延びる帯状に形成され、周方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、連結片17aは、適宜変更してもよい。
【0019】
閉塞壁12は、貯留空間Aの上端開口を閉塞している。閉塞壁12の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。閉塞壁12の外周縁部には、下方に向けて延び、シリンダ11の本体筒21に外嵌された外嵌筒24が形成されている。外嵌筒24は、下端部同士が連結され、かつ上端が開口した二重筒状に形成されている。
閉塞壁12における径方向の中央部には、上方に向けて隆起した隆起筒12bが形成されている。隆起筒12bは、上端部同士が連結され、かつ下端が開口した二重筒状に形成されている。隆起筒12bの内筒部分の下端部内が、貯留空間Aに連通する流出孔23となっている。
流出孔23は、共通軸Oと同軸に配設されている。流出孔23の内周面には、上方に向かうに従い流出孔23の内径を大きくする弁座面23aが形成されている。流出孔23の内周面のうち、弁座面23aから下方に延びる下端部は、上下方向に真直ぐ延びている。
【0020】
閉塞壁12には、閉塞壁12の下面が上方に向けて窪み、かつ頂壁が流出孔23より上方に位置する有頂筒状のエア貯留部12aが形成されている。なお、閉塞壁12にエア貯留部12aを形成しなくてもよい。
エア貯留部12a内の上部には、貯留空間A内に内容物が充填された状態でも、空気を残留させておくことが可能になり、後述のように操作レバー18を操作してピストン15を上昇させ、貯留空間Aの内圧を上昇させる際、エア貯留部12a内の空気が圧縮することにより、操作レバー18の初動時の操作荷重を低減することができる。
【0021】
吐出ヘッド14は、有頂筒状に形成され、外嵌筒24に嵌合されている。吐出ヘッド14は、閉塞壁12の上面を覆っている。吐出ヘッド14の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。吐出ヘッド14には、流出孔23からの内容物を吐出する吐出孔25が形成されている。吐出孔25は、径方向のうち、共通軸Oに対してエア貯留部12aが位置している側の反対側に向けて開口している。
【0022】
吐出ヘッド14には、閉塞壁12の隆起筒12bに外嵌され、かつ吐出孔25に連通した連結筒14aが形成されている。連結筒14aは、吐出ヘッド14の頂壁の下面から下方に向けて延びている。
吐出ヘッド14の頂壁の下面において、連結筒14aの内側に位置する部分に、下方に向けて突出した規制突起14bが形成されている。規制突起14bには、図2に示されるように、上昇端位置に達した吐出弁13が突き当たる。規制突起14bは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。規制突起14bは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。規制突起14bは、連結筒14aの内周面に連結されている。規制突起14bのうち、径方向の外側部分は、径方向の内側部分より下方に向けて突出している。規制突起14bのうち、径方向の外側部分は連結筒14aに連結され、径方向の内側部分は吐出弁13と上下方向で対向している。
【0023】
ピストン15は、シリンダ11の本体筒21内に上下摺動可能に嵌合されている。ピストン15は、下方に向かうに従い縮径した多段の筒状に形成されている。ピストン15の材質は、例えばポリエチレンが好ましい。
ピストン15は、本体筒21内に上下摺動可能に嵌合された摺動筒部27と、供給筒22内に挿入された流路筒部31と、を備えている。
【0024】
流路筒部31は、上下方向に延びている。流路筒部31は、支持部28の頂壁の内側を通して供給筒22内に挿入されている。流路筒部31内は、供給孔26と貯留空間A内とを連通する。
【0025】
流路筒部31の下部の内周面には、径方向の内側に向けて突出し、下方を向く面を有する段部31cが形成されている。流路筒部31の下部内には、下部弁体17における装着部34の係止壁34aが挿入されている。係止壁34aの上端縁は、段部31cの下端面に当接、若しくは近接している。
【0026】
流路筒部31には、第1シール筒部32と、第1シール筒部32より下方に位置する第2シール筒部33と、が設けられている。第1シール筒部32および第2シール筒部33は、供給筒22内において、外気導入孔22aを上下方向に挟む各部分に上下摺動可能に嵌合されている。第1シール筒部32は、供給筒22の上部内に設けられ、第2シール筒部33は、供給筒22の下部内に設けられている。第1シール筒部32および第2シール筒部33は、全周にわたって連続して供給筒22の内周面に液密に当接している。
【0027】
第1シール筒部32は、上下方向に延びる筒状に形成され、流路筒部31の上下方向の一部を径方向の外側から囲っている。第1シール筒部32の内周面には、流路筒部31の外周面に連結された連結部32aが形成されている。連結部32aは、周方向の全長にわたって延びている。
第1シール筒部32は、供給筒22の上部のうち、外気導入孔22aに連なる下端部内に液密に当接している。上方移動した第1シール筒部32と、供給筒22の内周面と、の間には、外気が外気導入孔22aに向けて通過可能な外気導入通路Xが画成される。外気導入通路Xは、供給筒22の上端開口、およびシリンダ11の本体筒21内において貯留空間Aの下側に位置する部分を通して外部に連通する。図示の例では、図2に示されるように、ピストン15が上昇端位置に位置したときに、第1シール筒部32が、上下方向の全長にわたって、縦溝22bと径方向で対向することにより、第1シール筒部32と、供給筒22の内周面と、の間に、外気導入通路Xが画成される。
第2シール筒部33は、流路筒部31の下端開口縁から下方に向けて延びている。
【0028】
図示の例では、流路筒部31は、上筒部31aと下筒部31bとにより構成されている。なお、流路筒部31は、一体に形成されてもよい。
上筒部31aは、摺動筒部27と一体に形成されている。上筒部31aの下部は、下筒部31b内に嵌合されている。下筒部31bに、第1シール筒部32および第2シール筒部33が設けられている。
【0029】
ピストン15は、摺動筒部27と流路筒部31との間に位置する段壁15aを備えている。段壁15aは、流路筒部31の上端部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。段壁15aの表裏面は、上下方向を向いている。段壁15aの下面は、供給筒22の上端部に嵌合された支持部28の頂壁の上面に当接、若しくは近接している。
【0030】
ピストン15には、案内部36が設けられている。案内部36は、段壁15aの内周縁部から上方に向けて延び、有頂筒状に形成されている。案内部36は、共通軸Oと同軸に配設されている。案内部36の頂壁36aは環状に形成されている。案内部36の頂壁36aの内周縁部は、案内部36の周壁の内周面より径方向の内側に張り出している。案内部36の下端部には、左右方向に貫く貫通孔が形成されている。この貫通孔を通して、流路筒部31内と貯留空間A内とが連通している。
【0031】
吐出弁13は、閉塞壁12の流出孔23に挿入された状態で上下動可能に設けられ、流出孔23を開閉する。吐出弁13は、軸部37および第1弁本体38を備え、共通軸Oと同軸に配設されている。吐出弁13は、有底筒状に形成されている。なお、吐出弁13は、中実の棒体であってもよい。吐出弁13の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0032】
軸部37は、上下方向に延び、案内部36内に上下動可能に挿入されている。軸部37には、案内部36の頂壁36aの内周縁部に、この頂壁36aの下方から当接した係止突起37aが形成されている。
【0033】
第1弁本体38は、閉塞壁12の弁座面23aに対して上下方向に接近、および離反可能に設けられている。
第1弁本体38の外周面は、上方に向かうに従い外径が大きくなる円錐面状に形成されている。第1弁本体38の外周面に、全周にわたって連続して延び、弁座面23aに当接する突条状のシール突起が設けられている。第1弁本体38の外周面における下端部は、流出孔23の内周面より径方向の内側に位置している。第1弁本体38の外周面、および流出孔23の内周面それぞれの下端部は、径方向で対向している。
第1弁本体38の上端部に、上方に向けて突出した環状突起39が設けられている。環状突起39の上端開口縁は、吐出弁13が上昇端位置に位置したときに、吐出ヘッド14の規制突起14bに突き当たる。
【0034】
付勢部材16は、ピストン15を下方付勢状態で上方移動可能に支持している。付勢部材16は、コイルスプリングとなっている。付勢部材16の材質は、例えばステンレス、若しくはポリアセタールコポリマーが好ましい。
付勢部材16は、シリンダ11の供給筒22の内周面と、ピストン15の流路筒部31の外周面と、の間に設けられている。付勢部材16内に、流路筒部31が挿入されている。付勢部材16の下端部は、第1シール筒部32の連結部32aに支持されている。付勢部材16の上端部は、供給筒22の上端部に設けられた支持部28の頂壁の下面に支持されている。付勢部材16は、ピストン15、案内部36、および係止突起37aを介して吐出弁13を下方に付勢している。
【0035】
操作レバー18は、シリンダ11内において貯留空間Aの下側に位置する部分に差し込まれ、ピストン15を押上げる。操作レバー18の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
本実施形態では、操作レバー18は、シリンダ11の本体筒21内において貯留空間Aより下方に位置する部分に差し込まれ、ピストン15を押上げる押上部42と、押上部42に連結されるとともに、本体筒21内から突出したレバー部43と、を備え、操作レバー18の回転軸42a回りの回転移動に伴い、押上部42およびピストン15が互いに係合した状態で、ピストン15が上下動する。
【0036】
押上部42は、シリンダ11の本体筒21内において、貯留空間Aより下方に位置する部分に前後方向に差し込まれ、ピストン15を押上げる。押上部42は、本体筒21の後端部を前後方向に貫いている。押上部42は、供給筒22の上端部に設けられた支持部28を左右方向に挟む一対の板体を備えている。これらの板体は、表裏面が左右方向を向き、かつ前後方向に長い長方形状に形成されている。押上部42は、ピストン15の段壁15aの下面に当接している。一対の板体における各後端部に、左右方向の外側に向けて突出した回転軸42aが形成されている。
レバー部43は、押上部42における一対の板体を左右方向に連結するとともに、シリンダ11の本体筒21内から閉塞壁12の外嵌筒24の後方に向けて突出している。レバー部43は、後方に向かうに従い上方に向けて延びている。
【0037】
外嵌筒24には、後方に向かうに従い下方に向けて延びるグリップ部44が形成されている。
グリップ部44は、レバー部43を左右方向に挟む一対の側板44aと、一対の側板44a同士を連結し、レバー部43の下方からレバー部43に対向するグリップ板44bと、を備えている。側板44aにおける径方向の内端部に、操作レバー18の回転軸42aが回転可能に嵌合された軸受孔が形成されている。レバー部43の上面を親指で押し込む際、他の指を、グリップ板44bのうちの前方を向く内面に沿わせる。
【0038】
次に、吐出器1の作用について説明する。
【0039】
レバー部43の上面に親指を置き、かつ他の指をグリップ板44bの内面に沿わせた状態で、親指によりレバー部43を回転軸42a回りに下方に向けて押し込むと、押上部42が、ピストン15の段壁15aの下面を上方に突上げる。これにより、図2に示されるように、ピストン15が、シリンダ11内を上方に向けて移動し、貯留空間Aの内圧が上昇する。この際、第1シール筒部32の連結部32aが、支持部28の頂壁の下面に向けて接近することで、付勢部材16が上下方向に圧縮変形する。
【0040】
以上の過程において、吐出弁13が上方に向けて移動し、第1弁本体38が閉塞壁12の弁座面23aから上方に離反する。これにより、貯留空間Aの内容物が、流出孔23から流出し、吐出ヘッド14の連結筒14a内を通して吐出孔25から吐出される。
この際、第1シール筒部32は、上下方向の全長にわたって、供給筒22の縦溝22bと径方向で対向しており、第1シール筒部32と供給筒22の内周面との間に外気導入通路Xが画成される。これにより、シリンダ11の本体筒21内のうち、貯留空間Aの下側に位置する部分は、供給筒22の上端開口、および外気導入通路Xを通して、外気導入孔22aに連通する。また、この際、第2シール筒部33は、供給筒22の下部の内周面に液密に当接している。
【0041】
そして、レバー部43を開放すると、付勢部材16の復元力によりピストン15が下方移動し、ピストン15の段壁15aにより押上部42が押下げられ、操作レバー18が回転軸42a回りに回転する。
【0042】
以上の過程において、貯留空間Aが拡張して負圧になり、吐出弁13が下方に移動して第1弁本体38が弁座面23aに当接し、第2弁本体35が、供給筒22の下部の底壁の上面から上方に離反する。これにより、供給孔26が開放され、容器本体W内の内容物が、供給筒22内、および流路筒部31内を通して貯留空間Aに供給される。
この際、外気が、シリンダ11の本体筒21内のうち、貯留空間Aの下側に位置する部分と、供給筒22の上端開口と、外気導入通路Xと、外気導入孔22aと、を通して、容器本体W内に供給される。これにより、容器本体Wの減容変形が抑制される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、付勢部材16の下端部を支持している第1シール筒部32が、供給筒22の内周面に当接していることから、内容物が、供給筒22の内周面と流路筒部31の外周面との間において、第1シール筒部32より上方に位置する部分に流入することがなく、付勢部材16と内容物との接触を抑制することができる。
【0044】
第1シール筒部32および第2シール筒部33が、供給筒22内において、外気導入孔22aを上下方向に挟む各部分に上下摺動可能に嵌合されているので、容器本体W内の内容物が、意図せず外気導入孔22aを通して供給筒22内に流入しても、この内容物を、第1シール筒部32と第2シール筒部33との間にとどまらせることが可能になり、付勢部材16と内容物との接触を抑制することができる。
【0045】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
例えば、操作レバー18の押上部42は、ピストン15のうち、段壁15aの下面に限らず、ピストン15の外周面において、摺動筒部27より下方に位置する部分に設けた係合突起に、係合突起の下方から当接してもよい。
第1シール筒部32は、上下方向に延びる筒状に形成されていなくてもよい。流路筒部31に第2シール筒部33を設けなくてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 吐出器
11 シリンダ
14 吐出ヘッド
15 ピストン
16 付勢部材
17 下部弁体
18 操作レバー
21 本体筒
22 供給筒
22a 外気導入孔
25 吐出孔
26 供給孔
27 摺動筒部
31 流路筒部
32 第1シール筒部
33 第2シール筒部
A 貯留空間
W 容器本体
X 外気導入通路
図1
図2